JP3205079B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置

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JP3205079B2 JP26780092A JP26780092A JP3205079B2 JP 3205079 B2 JP3205079 B2 JP 3205079B2 JP 26780092 A JP26780092 A JP 26780092A JP 26780092 A JP26780092 A JP 26780092A JP 3205079 B2 JP3205079 B2 JP 3205079B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気共鳴を利用して被
検体の所望箇所を画像化する磁気共鳴イメージング装置
の画質向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴イメージング装置(以下MRI
装置と記す)は、核磁気共鳴現象を利用して被検体中の
所望の検査部位における原子核スピンの密度分布,緩和
時間分布等を計測して、その計測データから被検体の断
面を画像表示するものである。均一で強力な静磁場発生
装置内に置かれた被検体の原子核スピンは、静磁場の強
さによって定まる周波数(ラーモア周波数)で静磁場の
方向を軸として歳差運動を行なう。そこで、このラーモ
ア周波数に等しい周波数の高周波パルスを外部より照射
すると、スピンが励起され高いエネルギー状態に遷移す
る(核磁気共鳴現象)。この照射を打ち切ると、スピン
はそれぞれの状態に応じた時定数でもとの低いエネルギ
ー状態にもどり、このときに外部に電磁波(NMR信
号)を放出する。これをその周波数に同調した高周波受
信コイルで検出する。MRI装置では、検出される信号
に位置情報を付加する目的で、スライス方向,エンコー
ド方向,リードアウト方向に対応する三軸の傾斜磁場を
静磁場空間に印加する。この結果、被検体内の各位置か
らの信号を周波数情報として分離,識別することが可能
である。
【0003】ここで、MRI装置における画像再構成方
法について説明する。図6は一般的に用いられているス
ピンエコー(SE)法におけるパルスシーケンスの説明
図である。照射パルスには90度と180度の2種類が
あり、それぞれスライス傾斜磁場と共に被検体に印加さ
れ、撮像する断面内の核スピンを励起する。この2種類
の照射パルス間にリードアウト傾斜磁場を印加して励起
されたスピンの位相拡散を促進し、次に、180度パル
スの印加によってスピンの拡散方向を反転し、再びリー
ドアウト傾斜磁場を印加すると、スピンが収束して90
度−180度パルス間の2倍の時間で鋭いエコー信号を
生成する。この時間をエコー時間Teと呼ぶ。ここで得
られるエコー信号はリードアウト方向における一次元の
投影像情報を有しているが、これだけでは二次元画像は
構成できない。そこで、位相拡散を与えるリードアウト
傾斜磁場印加中に、もう一つの軸であるエンコード方向
に傾斜磁場を印加し位置における位相回転を与え、エコ
ー信号にエンコード方向の情報を位相情報として重畳さ
せる。さらに、このエンコード傾斜磁場量を変化させな
がら印加して繰り返しエコー信号の計測を行なう。この
繰り返し時間をTrと呼ぶ、またエンコード量にエンコ
ードNo.ゼロをエンコード傾斜磁場量ゼロとした正負の
ナンバーを付け、極性の異なるエンコード傾斜磁場を印
加する。
【0004】この様にして得られたエコー信号列を二次
元フーリエ変換手段によって分析すると、二次元の画像
情報を得ることができる。この二次元フーリエ変換によ
る画像再構成方法を以下2DFT法と記す。
【0005】次に、MRI画像で臨床上に重要な画像強
調について説明する。プロトンのスピンにはその存在環
境によって変化する縦緩和と横緩和と呼ばれる2種の緩
和現象が存在する。この緩和現象によって信号強度Sは
次式のごとく算出される。
【0006】 S=ρ・(1−exp(−Tr/T1))・(exp(−Te/T2)) ここに、ρは存在するプロトンの密度である。また、T
1,T2はそれぞれの組織に固有の定数であり、プロト
ンの存在環境によって決定される値である。この式で、
第2項は繰り返し周期Trに対する信号強度の回復過程
を表しており、これが縦緩和現象(T1値に依存)であ
る。第3項はエコー計測時間Teに対する信号強度の減
衰過程であり横緩和現象(T2値に依存)によるもので
ある。
【0007】図7は計測されるエコー信号強度のTrお
よびTeによる関係を説明したものであるが、例として
図7(c)に示すように外側が組織A,内側が組織Bの
被検体を考え、それぞれに緩和現象による信号強度を図
7(a),図7(b)に示す特性であるとする。T1値
を反映したT1強調画像を撮像する際は横緩和の影響を
抑えるために、できるだけ短いTe(ショートTe,S
と表示)が必要とされ、Trは組織によるT1差を描出
できるような最適値(Sと表示、人体では300ms程
度)を使用する。この例の場合、組織Bの方がT1値が
短いため、縦緩和による信号回復が早く高信号となった
画像が得られる。T2強調画像の撮像の際は縦緩和によ
る影響を抑えるために、十分に長いTr(ロングTr,
Lと表示、通常1500ms以上)を使用して各組織の
信号を回復し、Teを長めに(表示L,100ms程
度)設定して撮像を行なう。この例では組織Aの方がT
2値が長いため、T1強調画像とはコントラストが反転
した画像が得られる。Trを長く、Teを短く設定する
と、各組織のT1値,T2値に影響されない画像が得ら
れる。これは組織のプロトン密度による画像となるた
め、プロトン密度画像と呼ばれる。T1,T2値は同一
組織でも、その状態(例えば腫瘍など)によっても異な
るため、病変部位の特定に利用されている。以上、MR
Iの概要を述べたが、詳細は「NMR医学」(基礎と臨
床)(核磁気共鳴医学研究会編・丸善(株)発行・昭和5
9年1月20日発行)を参照されたい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】臨床上有効な画像を得
るためには、前述の画像強調が重要である。特に、良好
なT1強調画像を得るためには、できるだけ短いTeを
設定しなければならず、高い傾斜磁場強度が要求され
る。以下、この原理を説明する。
【0009】図6のパルスシーケンスにおいて、Teを
短くするためにはエンコード傾斜磁場およびリードアウ
ト傾斜磁場を印加している時間を短縮する必要がある。
しかし、傾斜磁場の印加量は印加時間と印加レベルの積
によって決定されるため、印加時間を短縮した際には、
そのぶん印加レベルを増加しなければ同一の傾斜磁場量
とはならない。従って、パルスシーケンスで設定し得る
最短Teは、装置の最大傾斜磁場強度、つまり、傾斜磁
場電源の最大容量によって制限される。傾斜磁場を発生
する傾斜磁場コイルは傾斜磁場電源に対して誘導負荷で
あり、高精度に大電流制御することは非常に困難であ
る。さらに、このような大きな変化磁界は人体に対する
影響の面からも好ましくなく、傾斜磁場強度は小さいほ
ど望ましいといえる。
【0010】本発明はこのような傾斜磁場強度に起因す
る問題を解決し、少ない傾斜磁場電源容量でも短いTe
の設定が可能で、良好なT1強調画像を得られるMRI
装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述のようにTeの短縮
にはエンコード傾斜磁場,リードアウト傾斜磁場の印加
時間を短くする必要があるが、この手段を図1を用いて
説明する。通常の2DFT法による撮像では、画像の分
解能を確保する目的から、エンコードNo.を±128〜
±256程度に設定するが、ここでは説明を簡略化する
ために+6エンコードから−6エンコードまでゼロを含
めて13回計測を行なって画像再構成するものとする。
【0012】まず、エンコード傾斜磁場であるが、従来
のパルスシーケンス(破線で表示)では印加時間を一定
に保って印加レベルを増減して傾斜磁場量を制御(この
方法を以下、印加レベル制御と呼ぶことにする)してい
る。このため、Teは全計測にわたって一定であり、繰
り返し時間Trも変化せず、全計測時間はTrの13倍
となる。この従来方法では最大のエンコード傾斜磁場
(No.+6及びNo.−6)を印加できるように、傾斜磁場
電源の容量に応じて印加時間が決定され、この結果、最
短Teが制限される。
【0013】ところで、2DFT法による信号計測では
エンコードNo.の範囲に応じて、採取される情報が異な
っている。この様子を図8を用いて説明する。
【0014】13回の全計測データを使用して再構成処
理をすると正常な画像が得られるものとする。ここで、
中央部(以下、ゼロエンコードを含む幾つかの低いエン
コード部分を中央部と記す)の+3から−3までの7つ
のエンコード情報だけを使用して再構成処理をすると、
エンコード方向の粗い情報だけ(低い周波数成分に相当
する)を利用することになるため、画像の明暗のコント
ラスは得られるが、輪郭などの細かい細分情報が得られ
ず、不鮮明な画像となる。これに対して周辺部(以下、
中央部以外のエンコード部分を周辺部と記す)のデータ
である+4から+6及び−4から−6までの6つのエン
コード(高周波データ対応)に、中央部には、ゼロデー
タを挿入して再構成処理を行うと輪郭情報を抽出した画
像が得られる。このことから、再構成の使用エンコード
データ範囲に応じて、画像のコントラスト成分と輪郭成
分にほぼ分離することが可能であることが分かる。この
ため、画像のコントラストを決定する中央部のみでも、
Teを短く設定すればT1強調画像を得られることにな
る。
【0015】そこで、本発明は、図1の実線で示すよう
にエンコード傾斜磁場量の制御を、画像強調に比較的関
与しない周辺部は従来どおり印加レベル制御によって行
ない、中央部では印加レベルを一定値に維持しつつ印加
時間を変更する制御(以下、印加時間制御と記す)に切
り替えることによって印加時間を減少し、そのぶんTe
を短縮して計測を行なうようにする。また、リードアウ
ト傾斜磁場の印加時間もこれに伴って短くする必要があ
る。しかし、この場合Teを短縮したために、受信信号
のサンプリング時間が減少し、データに欠落を生じる。
これを補正する必要があるが、この詳細を図3を用いて
説明する。従来のシーケンス(a)ではエコー信号のピ
ークを中心とした信号サンプリングが行なわれ、各エン
コードでのサンプリングデータを集めて作られる受信デ
ータ空間を全て満たすことができる。これに対して、本
発明によるシーケンス(b)ではTeの短縮によりエコ
ー信号のピーク位置がサンプリング時間の前方へ移動
し、さらに、前半の時間余裕が減るために、サンプリン
グ点数が少なくなる。すなわち、非対称サンプリングと
なる。このサンプリング点数の減少によるデータの欠落
はリードアウト方向での分解能の低下となり、問題であ
る。そこで、欠落データの推定を行なう。
【0016】受信されるNMR信号はデータ空間上の対
角位置において、互いに複素共役の関係にあり、ピーク
以後のデータが全てサンプリングされていれば、前半部
分を演算によって推定補間することが可能である。この
手法を用いて、実際の前半部の欠落したサンプリングデ
ータから前半部を推定して、受信データ空間を満たすよ
うにする。図に示すようにゼロエンコード部が最も推定
部分が大きくなり、Teが長くなるに従って、サンプリ
ング時間も長くでき、推定部分は少なくなる。
【0017】以上のようにして、本発明では図1に示す
エンコード傾斜磁場,リードアウト傾斜磁場の印加時間
を中央部において減少するように制御し、これによって
TeおよびTrを短縮して良好なT1強調画像を従来方
法よりも短い時間で撮像可能にする。エンコード傾斜磁
場を印加レベル制御から印加時間制御へ切り替える位置
は全エンコード点数や要求される画像の強調度,装置の
傾斜磁場電源容量などによって左右され、最適位置を選
択する。
【0018】
【作用】本発明によれば、エンコード傾斜磁場の制御手
段を中央部でレベル制御から時間制御に切り替えて行な
い、同時にリードアウト傾斜磁場の印加時間も短くし
て、Teを短縮し、サンプリングデータ推定処理と共に
良好なT1強調画像を従来よりも短時間に撮像すること
が可能であり、少ない傾斜磁場電流で効率的に良好なM
RI画像を撮像できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
詳細に説明する。図5は本発明に係るMRI装置の全体
構成例を示すブロック図である。このMRI装置は、核
磁気共鳴(NMR)現象を利用して被検体6の断層画像
を得るもので、静磁場発生磁石10と、中央処理装置
(以下CPUという)11と、シーケンサ12と、送信
系13と、傾斜磁場発生系14と、受信系15と、信号
処理系16とからなる。
【0020】上記静磁場発生磁石10は、被検体6に強
く均一な静磁場を与えるもので、上記被検体6の周りの
ある広がりをった空間に永久磁石方式又は常電導方式あ
るいは超電導方式の磁場発生手段が配置されている。上
記シーケンサ12は、CPU11の制御で動作し、被検
体6の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信
系13及び傾斜磁場発生系14並びに受信系15に送る
ものである。
【0021】上記送信系13は、高周波発振器17と変
調器18とパワーアンプ19と送信側の照射コイル20
とからなり、上記高周波発振器17から出力された高周
波パルスをシーケンサ12の命令に従って変調器18で
変調し、この変調された照射パルスをパワーアンプ19
で増幅した後に被検体6に近接して配置された照射コイ
ル20に供給することにより、電磁波が被検体6に照射
されるようになっている。
【0022】上記傾斜磁場発生系14は、X,Y,Zの
三軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル21と、それぞれの
コイルを駆動する傾斜磁場電源22とからなり、上記シ
ーケンサ12からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾
斜磁場電源22を駆動することにより、X,Y,Zの三
軸方向の傾斜磁場Gx,Gy,Gzを被検体6に印加す
るようになっている。この傾斜磁場の加え方により、被
検体6に対するスライス面を設定することができる。
【0023】上記受信系15は、受信コイル2と受信回
路23と直交位相検波器24とA/D変換器25とから
なり、上記送信側の照射コイル20から照射された電磁
波による被検体6の応答の電磁波(NMR信号)は被検
体6に近接して配置された受信コイル2で検出され、受
信回路23を介して直交位相検波器24へ入力され、直
交位相検波器24で高周波発振器17の出力信号に同期
して波形整形されるとともにsin成分,cos成分の
二系統の信号に分離して出力され、次いでそれらの二系
統の信号はA/D変換器25によりデジタル信号に変換
されて信号処理系16へ送られるようになっている。
【0024】信号処理系16は、CPU11と、磁気デ
ィスク26及び光ディスク27等の記録装置と、CRT
等のディスプレイ28とからなり、受信系15から入力
したデータに対し上記CPU11でフーリエ変換,補正
係数計算,画像再構成等の処理を行ない、任意断面の信
号強度分布あるいは複数の信号に適当な演算を行なって
得られた信号強度分布を画像化してディスプレイ28に
表示するようになっている。なお、本図において、照射
コイル20と受信コイル2及び傾斜磁場コイル21は、
被検体6の周りの空間に配置された静磁場発生磁石10
の磁場空間内に配置されている。
【0025】ここで、本発明によるパルスシーケンスを
SE法を例にして説明する。図6は従来のSE法シーケ
ンスのタイミング図である。90度と180度の照射パ
ルス間にエンコード傾斜磁場とリードアウト傾斜磁場が
印加される。計測はエンコード傾斜磁場の印加量を正負
の極性で256〜512回、変えながら行なわれるが、
通常は印加時間tは一定にして、印加レベルを変更する
ことによって制御している。勿論、最大エンコード傾斜
磁場レベルは傾斜磁場電源の容量内になければならな
い。例えば、印加時間tが10msで、傾斜磁場コイル
電流が100Aのとき必要なエンコード方向の位相回転
が得られているものとすると、tを半分の5msにする
ためには、コイル電流を200A流す必要がある。すな
わち、印加時間の最短値は傾斜磁場電源の電流容量によ
って決定される。これによってTeの最短限界値も決定
される。
【0026】本発明をSE法シーケンスに適用した場合
のタイミング図を図4に示す。この図はエンコードNo.
+4と+3の部分であるが、±3以内の中央部を印加時
間制御に切り替えた例である。No.+4までは印加レベ
ル制御で、印加時間tは一定である。No.+3では印加
時間制御に変わり、印加レベルは変化せずに印加時間が
tからt3に減少している。これによって照射パルス間
隔を狭くでき、その2倍の時間であるTeをTe3に短
縮することができる。この場合、リードアウト傾斜磁場
の印加時間も同様に短くする必要があるが、この作用に
関して図2を用いて説明する。照射パルス間に印加され
るリードアウト傾斜磁場によって各スピンの位相が拡散
され、180度パルスによって方向反転された後、再び
リードアウト傾斜磁場の印加によって拡散した位相が収
束し、拡散時の傾斜磁場量と同一の収束傾斜磁場量が印
加された時点でエコー信号のピークが発生する。そし
て、この収束傾斜磁場の印加状態で信号を受信し、デー
タのサンプリングを行なう。従って、収束傾斜磁場の印
加時間は拡散傾斜磁場の印加時間の2倍となっている。
【0027】このようにして、エコー信号のピークを中
心にしたデータの対称サンプリングが行なえる。しかし
ながら、拡散傾斜磁場の印加時間を短くすると、拡散の
途中で方向が反転し、収束傾斜磁場が印加されるので、
先の例よりも早い時点でエコー信号のピークが生じる。
つまり、Teが短縮されたわけであるが、図2から分か
るようにデータのサンプリングが前半の一部分を欠落し
た非対称サンプリングとなっている。このようにサンプ
リング点数が少ないと、画像の分解能が低下するので、
このままでは問題である。リードアウト傾斜磁場の印加
レベルを増加して、印加時間の減少を補い、対称サンプ
リングにする方法も考えられるが、このようにすると受
信信号の帯域が増加して、SN比に不利となるので賢明
ではない。そこで、NMR信号が受信データ空間上の対
角位置で複素共役となり、データに対称性があるという
性質を利用して、計算によってサンプリングの欠落部分
を推定して、データ採取を行なうようにする。
【0028】以上、述べたように本発明によるパルスシ
ーケンスでは、画像のコントラストを決定するエンコー
ドNo.の中央部でTeを短縮することができるため、十
分にT1強調のかかった画像を得ることができる。この
強調効果において、エンコード傾斜磁場を印加レベル制
御から印加時間制御に切り替える点の設定が重要であ
り、要求される画像の強調状態や、装置の傾斜磁場電源
容量などによって、最適点に設定する必要がある。ま
た、画像再構成の時点で、Teの異なる受信データを合
成することになるため、データのレベル補正などに考慮
する必要がある。
【0029】さらに、本発明によるシーケンスでは、T
eの短縮に伴ってTrも短縮できるため、全計測時間を
短くできるという効果もある。また、T1強調撮像にお
いてはTrに最適値が存在するため、Trをこの最適値
に合わせて設定し、Teの短縮による時間余裕を撮像枚
数の増加に利用してもよい。
【0030】本発明は、SE法だけでなく、その他のパ
ルスシーケンスにも適用可能である。例えば、図10は
グラジェントエコー(GE)法のタイミング図である
が、照射パルス直後にエンコード傾斜磁場とリードアウ
ト傾斜磁場を印加し、このリードアウト傾斜磁場の極性
を反転して印加することによって、拡散した位相を収束
し、エコー信号を得るものである。通常はエンコード傾
斜磁場量の制御は印加レベル制御によるため、印加時間
t′は一定である。
【0031】本発明をGE法に適用した場合のタイミン
グ図を図9に示す。GE法でもSE法と全く同様にエン
コード傾斜磁場量の制御を中央部で、印加レベル制御か
ら印加時間制御に切り替えることによって、Teの短縮
を実現できる。この場合も非対称サンプリングとなる
(図2参照)のでデータの推定処理は必要である。GE
法では、Teの短縮は画像強調に対する効果ばかりでな
く、アンジオ撮像などの高機能シーケンスにおいても重
要な技術であるため、本発明は効果的である。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、全エ
ンコードの中央部でエンコード傾斜磁場量の制御を印加
レベル制御から印加時間制御に切り替えることによっ
て、この時間を短くし、最短Teの短縮を傾斜磁場電源
の強化なしに実現し、臨床上有効なT1強調画像を従来
よりも短時間に撮像可能にして、さらに、高機能シーケ
ンスにおけるTeの設定範囲を拡大し、良好なMRI画
像が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による傾斜磁場印加およびTe,Tr説
明図。
【図2】非対称サンプリング法説明図。
【図3】部分信号採取による信号推定説明図。
【図4】本発明によるスピンエコー法シーケンス説明
図。
【図5】MRI装置の全体構成図。
【図6】スピンエコー法シーケンス説明図。
【図7】緩和時間による画像コントラストの説明図。
【図8】再構成画像の計測データ範囲による変化。
【図9】本発明によるグラジェントエコー法シーケンス
説明図。
【図10】グラジェントエコー法シーケンス説明図。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検体に静磁場を与える磁気回路と、前記
    被検体にスライス傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場及び
    エンコード傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、前記
    被検体の組織を構成する原子の原子核に磁気共鳴を起こ
    させる照射パルスを印加する照射コイルと、磁気共鳴信
    号を検出する受信コイルと、前記検出信号を使って対象
    物体の物理的性質をあらわす画像を得る画像再構成手段
    と、前記傾斜磁場コイルの各傾斜磁場及び前記照射コイ
    ルの印加タイミングを制御する制御手段を備えた磁気共
    鳴イメージング装置において、前記制御手段は、一連の
    パルスシーケンス中において、さらにエンコード傾斜磁
    場及びリードアウト傾斜磁場の印加時間を変更させる制
    御を行なうと共に、エンコード傾斜磁場の印加時間を所
    定値に維持して印加レベルを変更させる制御とエンコー
    ド傾斜磁場の印加レベルを所定値に維持して印加時間を
    変更させる制御を所定のエンコード傾斜磁場印加タイミ
    ングで切り替えて制御し、エンコード傾斜磁場の印加時
    間変更に対応してリードアウト傾斜磁場の印加時間を変
    更すること特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 【請求項2】前記画像再構成手段は、リードアウト傾斜
    磁場の印加時間変更により受信した受信信号の非対称性
    を推定により補正することを特徴とする請求項1記載の
    磁気共鳴イメージング装置。
  3. 【請求項3】被検体に静磁場を与える磁気回路と、前記
    被検体にスライス傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場及び
    エンコード傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、前記
    被検体の組織を構成する原子の原子核に磁気共鳴を起こ
    させる照射パルスを印加する照射コイルと、磁気共鳴信
    号を検出する受信コイルと、前記検出信号を使って対象
    物体の物理的性質をあらわす画像を得る画像再構成手段
    と、前記傾斜磁場コイルの各傾斜磁場及び前記照射コイ
    ルの印加タイミングを制御する制御手段を備えた磁気共
    鳴イメージング装置において、前記制御手段は、さらに
    エンコード傾斜磁場の印加時間を変更させる制御を行う
    と共に、エンコード傾斜磁場の印加レベルを変更させた
    画像の輪郭情報を持つ計測データとエンコード傾斜磁場
    の印加時 間を変更させた画像のコントラスト情報を持つ
    計測データとを得て、前記画像再構成手段はこれらの計
    測データを用いて画像を再構成することを特徴とする磁
    気共鳴イメージング装置。
  4. 【請求項4】前記制御手段は、さらにリードアウト傾斜
    磁場の印加時間を変更させる制御を行なうと共に、前記
    エンコード傾斜磁場の印加時間の変更に伴い前記リード
    アウト傾斜磁場の印加時間を変更することを特徴とする
    請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置。
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