JP3205036B2 - 透明導電膜 - Google Patents

透明導電膜

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JP3205036B2
JP3205036B2 JP09698892A JP9698892A JP3205036B2 JP 3205036 B2 JP3205036 B2 JP 3205036B2 JP 09698892 A JP09698892 A JP 09698892A JP 9698892 A JP9698892 A JP 9698892A JP 3205036 B2 JP3205036 B2 JP 3205036B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明導電膜に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池やエレクトロルミネッセントデ
ィスプレイ(ELD)等の受光・発光素子を初め液晶デ
ィスプレイ(LCD)、透明面状発熱体、調光窓、各種
光学フィルタ、可視光選択透過膜および透明タッチスイ
ッチ等の製造には透明導電膜が必要不可欠である。
【0003】現在一般に利用可能な透明導電膜として
は、酸化スズ(SnO2)系、酸化インジウム(In2O
3)系、インジウム−錫酸化物(ITO)系および酸化
亜鉛(ZnO)系等の酸化物系や金等の金属薄膜が知ら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、酸化
物系透明導電膜は、実装に際し、還元性雰囲気中もしく
は酸化性雰囲気中のいずれにおいても、その化学的安定
性に乏しく、または他の酸化物材料と組み合わせて利用
された場合、酸化されることによる特性劣化が生ずると
いう問題を含んでいる。また、金属透明導電膜の場合で
は、膜の機械的強度が低く、かつ密着性に極めて乏し
く、化学的安定性も乏しいため利用範囲が非常に限られ
るという問題がある。
【0005】一般に、透明導電膜を太陽電池用透明電極
層や透明コーティング層として、集積化光導波ないしは
光偏向回路等のオプトエレクトロニクス素子に実装する
場合、その透明導電膜の光屈折率が大きければ光閉じ込
め効果が大いに期待でき、より高性能な素子が実現でき
る。その結果、素子の付加価値が一段と高められる。し
かるに前記した各種透明導電膜を実装しても光屈折率が
小さいため、そのような効果が得られないという問題が
あった。そのため実際にはそれら透明導電膜の表面を微
細な凹凸構造にし、入射光を膜表面で散乱させることに
より閉じ込めるようにする等の特別なプロセスが必要に
なり、工程が複雑になるという問題があった。
【0006】さらにこれらのオプトエレクトロニクス素
子への実装に際し、とくに該透明導電膜と他の薄膜とを
積層した多層膜を形成する際には、エッチングの選択性
が重要なファクタとなる。しかし前記した該透明導電膜
ではこのような条件を満たすことができないためその応
用範囲を著しく狭くしていたという問題があった。
【0007】オプトエレクトロニクス全盛時代を迎えつ
つある現在、各種ディスプレイ装置や太陽電池あるいは
精密光学器械にける高性能光学薄膜や自動車並びに建築
物における装飾用コーティング膜、窓用赤外線反射膜調
光窓等に大規模な透明導電膜の需要が見込まれている。
このような状況下において、さらに高性能な透明導電膜
が求められている。
【0008】本発明は、このような社会的要請に応え、
かつ前記した従来形透明導電膜の欠点を除去した新しい
透明導電膜を提供することを目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】この目的は、透明導電
膜用原材料としてGaN、あるいはそれに元素周期表第
VI族もしくは第IV族の元素のうち少なくとも1種
を、もしくはVI族元素とIV族元素のそれぞれ少なく
とも1種を1化学式当たり0.01〜20原子%含有し
たもの、または本発明の目的を損なわない範囲でGaN
のGaの一部をIn、Al、Bあるいは(In,Al)
や(In,B)に置き換えたもの(以下、例えば(Ga
1-xInx)N、(Ga1-yAly)N、(Ga1-zBz)
N、(Ga1-x-yInxAly)Nや(Ga1-x-zInxB
z)Nという)等を使用することによって達成される。
すなわち光屈折率2.1以上、好ましくは2.2以上
で、電気抵抗率0.1Ωcm以下、好ましくは0.01Ω
cm以下のGaN系透明導電膜単体もしくは各種金属薄膜
もしくは金属酸化物系薄膜を組み合わせて使用すること
により、全く新しい透明導電膜を提供するものである。
さらにこのGaN系透明導電膜は、還元性ガスに強く、
化学的安定性を有しているためエッチングの選択性や各
種使用環境下での耐性に優れ、各種デバイス等の保護膜
としても有効である。
【0010】
【作用】GaNは故意に不純物を導入しない状態では通
常n形伝導を示す半導体である。一般にGaNは高温基
板上に作成されている。得られる電気抵抗率は1000
0000000Ωcm台と高く、透明導電膜となり得な
い。しかし非熱平衡状態での成膜法を採用すれば、Ga
Nの化学量論的組成比を制御することが可能であり、そ
れによってN空孔もしくは格子間Ga等の真性格子欠陥
を導入でき、非化学量論的組成比の結晶質GaNが生成
する結果、該欠陥に起因する内因性ドナーの導入が可能
となることにより、1019cm-3台の高いキャリア密度
と、0.1〜0.01Ωcmという透明導電膜として十分
利用できる低い抵抗率が実現する。
【0011】本発明で添加、使用するVI族元素は、酸
素(O)、イオウ(S)、セレン(Se)あるいはテル
ル(Te)のうち1種以上であり、他方、IV族元素と
しては、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム
(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、チタニウム(T
i)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)のう
ち1種以上である。あるいは、上記に加えVI族元素と
IV族元素を複合添加することも有効である。例えば、
OのようなVI族とTiのようなIV族元素の複合添加
も有効である。それらの含有量は1化学式当たり0.0
1〜20原子%、好ましくは0.05〜10原子%であ
る。これらの元素の添加はVI族元素においてはNとの
置換によって有効な外因性ドナーとして働き、またIV
族元素においてはGaとの置換によって有効なドナーと
して働き、伝導電子を生成することによってGaN膜の
低抵抗率化が達成できる。また、そのドナーが0.01
%原子以下ではその効果が不十分であり、20原子%以
上ではかえって著しい結晶性の悪化を招くため適当でな
い。また前記方法によりVI族並びに、もしくはIV族
元素を導入すると、前記内因性ドナーの作用効果に加
え、この外因性ドナーにより、さらに高い1020cm-3台
のキャリア密度が容易に得られる。
【0012】また本発明の目的を損なわない範囲でGa
の一部をIn、AlあるいはBもしくは(In,A
l)、(In,B)または(In,Al,B)で置き換
えても良い。即ち、前述したように(Ga1-xInx)
N、(Ga1-yAly)Nまたは(Ga1-zBz)N等の擬
2元混晶系や(Ga1-x-yInxAly)Nや(Ga1-x-z
InxBz)Nのような擬3元混晶系が可能であり、前記
した(Ga1-x-yInxAly)Nや(Ga1-x-zInxB
z)N混晶系の組成を制御することによりエネルギーギ
ャップ(Eg)を変化させることができるため光学的吸
収端やキャリア密度および移動度を変化させることが可
能である。適当な組成では結晶性向上による高い移動度
を実現でき、0.01〜0.0001Ωcm台というさら
に低抵抗な透明導電膜が実現できる。ただし、InやA
lもしくはBの添加量がGa原子に対して20原子%以
上置き換えると、InではEgが小さくなり過ぎ光透過
率の点で、またAlおよびBではEgが大きくなり過ぎ
抵抗率の増加を招く点で、透明導電膜として好ましくな
くなる。
【0013】本発明の透明導電膜の製造方法としては、
減圧下で、低温基板上にスパッタ法、イオンプレーティ
ング法、真空蒸着法、化学気相成長法や、最近ではエレ
クトロンサイクロトロン共鳴(ECR)プラズマを用い
た有機金属化学気相成長(MOCVD)法等の公知の膜
形成技術が利用できる。これらの中でECRプラズマを
用いた有機金属化学気相成長法(以下、ECR−MOC
VD法という)は低温でも膜形成過程における基板損傷
が少なく、高速で、高品質な薄膜形成が可能と言われて
いる。さらに独立に制御できるパラメータが多いため成
長している膜の結晶性や光屈折率等を再現性良く精密に
制御でき、本発明を実施するうえで最適な方法である。
またGaN、(Ga1-xInx)N、(Ga1-yAly)
N、(Ga1-zBz)Nあるいは(Ga1-x-yInxAl
y)Nや(Ga1-x-zInxBz)NにVI族やIV族元素
を含有させる方法としては膜形成過程で原材料のGa、
In、Al、BもしくはGaNにVI族やIV族元素を
含む合金、水素化合物、窒化物、ハロゲン化物および有
機化合物の形態で導入するのが好適であるが、透明導電
膜を形成した後、VI族やIV族元素をGaN、(Ga
1-xInx)N、(Ga1-yAly)N、(Ga1-zBz)N
あるいは(Ga1-x-yInxAly)Nや(Ga1-x-zIn
xBz)N膜中に熱拡散したりイオン注入することも可能
である。他方、N原料としてアンモニア(NH3)、窒
素(N2)、トリメチルアミン[(CH3)3N]、トリ
エチルアミン[(C2H5)3N]、ジメチルアミン
[(CH3)2NH]、ジエチルアミン[(C2H5)2N
H]またはヒドラジン(N2H4)等が利用できる。また
スパッタ法により製造する場合には、ターゲット材料と
して、本発明の透明導電膜前記組成と同じ焼結体や、金
属Gaを用いることができる。後者の場合、窒素を含む
雰囲気中での反応性スパッタリングにより該透明導電膜
を製造することができる。尚、ターゲットの製造は公知
の方法によって行うことができる。
【0014】以下、本発明を実施例により説明する。
【実施例 1】ECR−MOCVD装置成長室内に設け
られたプラズマ取り出し口から鉛直下11cmの位置に、
水平面に対し45°傾いたコーニングガラス基板の中心
が来るようにセットし、Ga原料としてトリエチルガリ
ウム(TEG)、N原料として窒素(N2)およびアン
モニア(NH3)ガスを採用し、以下の作成条件でGa
N膜の形成を行った。すなわちa)成長室背圧:0.0
00004Torr、b)成膜ガス圧:0.009To
rr、c)基板温度:350℃、d)TEGバブラー温
度:20℃、e)TEGキャリア水素ガス流量:0.6
sccm、f)NH3導入ガス流量:0.9sccm、g)プラ
ズマ発生室導入水素ガス流量:1.1sccm、h)成長時
間:150分、i)TEG噴き出しノズル方向:基板に
対し垂直、j)TEG噴き出しノズル−基板間距離:4
cm。その結果、膜厚100nm、平均可視光透過率85
%、光屈折率2.3、キャリア密度8×1019cm-3そし
て電気抵抗率は0.013Ωcmという各値が得られた。
この時、電気抵抗率の成膜ガス圧依存性を図1の曲線1
に示す。また得られた該透明導電膜の典型的な透過率ス
ペクトルを図2に示す。尚、N原料としてN2ガスやト
リメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、
ジエチルアミンあるいはヒドラジンを含むガスを用いた
場合においてもNH3を用いた場合とほぼ同じ電気的、
光学的特性が得られた。
【0015】
【実施例 2】実施例1と同じ条件に加え、VI族元素
としてSを導入するため二硫化炭素(CS2)を詰めた
バブラーを用い、水素キャリアガスとともにCS2ガス
をTEG噴き出しノズル出口付近で別々に噴き出させ
た。CS2水素キャリアガス流量は0.05sccmであっ
た。得られた膜の厚さは136nm、平均可視光透過率は
85%、キャリア密度3.1×1020cm-3、そして電気
抵抗率は0.005Ωcmであった。尚、O、Se、Te
のようなVI族元素や、C、Si、SnおよびTiのよ
うなIV族元素を単独で添加した場合、いずれもほぼ同
様の電気的・光学的特性が得られた。この時、電気抵抗
率の成膜ガス圧依存性を図1の曲線2に示す。また実施
例1で示したTEG噴き出しノズルとほぼ同じ所からV
I族元素とIV族元素を同時に含むようなテトライソプ
ロピルチタネート(C12H28O4Ti)を不純物として
導入した場合では、さらに低抵抗化が達成できた。即
ち、アルゴンガスもしくはN2ガスでキャリアされたテ
トライソプロピルチタネートを含むガスを0.2sccm導
入して作成した同様のGaN:O,Ti透明導電膜では
キャリア密度9×1020cm-3、抵抗率0.0003Ωcm
が得られた。一方、透過率スペクトルから求めたいずれ
の膜の吸収端波長も図2で示される位置より短波長側に
シフトした。尚、テトライソプロピルチタネートの代わ
りにIV族元素のGe、Sn、ZrおよびHfを含むガ
スと酸素を含むガスとを導入して膜形成したそれぞれの
場合についても前記O、Tiの場合とほぼ同様の電気
的、光学的特性が得られた。この時、電気抵抗率の成膜
ガス圧依存性を図1の曲線3に示す。
【0016】
【実施例 3】実施例1と同じ条件に加え、GaNにお
いてGa原子に対して15原子%をInで置き換えた
(Ga0.85In0.15)N薄膜を作成した。Inの原料と
してトリエチルインジウム(TEI)を採用した。TE
Iバブラー温度は80℃、TEIキャリア水素ガス流量
は0.2sccm、TEGキャリア水素ガス流量は0.4sc
cmとして成膜した。得られた膜の膜厚は190nm、平均
可視光透過率は80%、光屈折率は2.3、キャリア密
度2×1020cm-3、そして電気抵抗率は0.006Ωcm
であった。この時、得られた電気抵抗率の成膜ガス圧依
存性は図1の曲線2とほぼ同様の傾向を示した。また、
VI族不純物として酸素を導入した場合では、さらに低
抵抗化が達成できた。即ち、実施例1で示したようにプ
ラズマ発生室へ導入していた水素の代わりにアルゴン8
0%/酸素20%の混合ガスを0.08sccm導入して作
成した同様の該透明導電膜ではキャリア密度6×1020
cm-3、抵抗率0.001Ωcmが得られた。しかし、透過
率スペクトルから求めたいずれの膜の吸収端波長も図2
で示される位置より長波長側にシフトした。
【0017】
【実施例 4】実施例1と同じ条件に加え、GaNにお
いてGa原子に対して10原子%をAlで置き換えた
(Ga0.90Al0.10)N薄膜を作成した。Alの原料と
してトリメチルアルミニウム(TMA)を採用した。T
MAバブラー温度は10℃、TMAキャリア水素ガス流
量は0.2sccm、TEGキャリア水素ガス流量は0.4
sccmとして成膜した。得られた膜の膜厚は150nm、平
均可視光透過率は88%、光屈折率は2.2、キャリア
密度4×1019cm-3、そして電気抵抗率は0.04Ωcm
であり、吸収端がブルーシフトして可視光域での透過率
が改善できた。この時、得られた電気抵抗率の成膜ガス
圧依存性は図1の曲線1とほぼ同様の傾向を示した。一
方、前記TMAの代わりにトリエチルボロン(TEB)
を使用し、そのバブラー温度を0℃に保ち前記同様にし
て(Ga0.85B0.15)N薄膜を作成したところ、TMA
を使用した場合とほぼ同じ電気的特性並びに同等の可視
光透過率が得られた。また前記作成条件でTMAとTE
Bを同時に供給して作成した(Ga0.85Al0.10B0.0
5)N透明導電膜においてもほぼ同様の電気的特性並び
に同等の可視光透過率が得られた。また前記TMAに加
え、80℃に保ったTEIバブラーからTEIを含むガ
スを同時に導入し、前記同様の方法で(Ga0.90In0.
08Al0.02)N薄膜を作成したところ、TMAのみを使
用した場合とほぼ同じ電気的特性、並びに可視光透過率
が得られた。
【0018】
【実施例 5】高周波マグネトロンスパッタ法によりコ
ーニング7059ガラス上に作成された平均可視光透過
率85%、電気抵抗率0.0003Ωcmの特性を持つZ
nO:Al(Al=2wt%)薄膜の上に、実施例1と
同じ条件で厚さ122nmのGaN透明導電膜を形成で
きた。得られた該膜の平均可視光透過率は85%、シー
ト抵抗5Ω/□であり、膜の化学的安定性を改善できる
ことが確認できた。また、逆に実施例1で作成したGa
N透明導電膜の上にも同様にZnO:Al透明導電膜を
形成することができた。いずれの場合でも、膜が剥がれ
たりする事もなく平滑な無反射コーティング膜を形成で
きた。さらに、GaNの代わりに実施例3で示した(G
a0.85In0.15)Nや(Ga0.85B0.15)Nおよび(G
a0.85In0.10B0.05)N、さらに実施例4で示した
(Ga0.90Al0.10)Nおよび(Ga0.90In0.08Al
0.02)Nに替えても全く問題なかった。得られた電気
的、光学的特性はそれぞれ実施例3および4で示した場
合とほぼ同様であった。また、上述のZnO:Al透明
導電膜をSnO2系、In2O3系およびITO系の内少
なくとも1種の酸化物系透明導電膜に代えることは何ら
支障なかった。
【0019】
【実施例 6】実施例1で作成したGaN透明導電膜上
に、同装置を用いて、原料ガスに水素希釈ジシラン、ジ
ボランおよびホスフィンを用いた通常のプラズマCVD
法によってp層a−Si、i層a−Si、n層a−Si
を形成し、最後にAl電極を付け、a−Si太陽電池セ
ルを作成した。通常の酸化物系透明導電膜を形成した基
板を用いた場合と光−電気変換効率を比較した結果、約
40%の向上が見られた。これは透明導電膜に高屈折率
であるGaNを使用した結果、光閉じ込め効果による効
率向上であると考えられる。また、このような水素雰囲
気中で膜形成を行なっても該透明導電膜の特性は劣化す
ることはなく還元性ガスにも十分強いことが分かった。
【0020】
【実施例 7】コーニング#7059ガラス基板上に作
成されたミクロな凹凸状表面を有するいわゆるミルキー
ZnO:Al透明導電膜上に、反応性高周波マグネトロ
ンスパッタ法により、ターゲットとして直径150mmの
GaN焼結体、スパッタガスとしてアルゴン80%/酸
素20%混合ガス、ガス圧6×10-3Torr、基板温度2
50℃、基板−ターゲット間距離40mm、高周波電力8
0Wの各条件下で厚さ50nmのGaN:O透明導電膜を
オーバーコーティングした。得られた該透明導電膜の平
均可視光透過率は85%、シート抵抗5Ω/□であっ
た。尚、スパッタガスとしてN280%/酸素20%を
用いた場合、およびアンモニア(NH3)ガス/酸素ガ
スの分圧比を10%とし、それぞれ独立に導入した場合
のいずれの場合においても前記とほぼ同様の電気的、光
学的特性が得られた。これらの透明電極を用いて、実施
例6と同様にa−Si太陽電池セルを実装したところ、
十分な水素プラズマに対する還元耐性も認められ、また
変換効率は実施例6の場合に比べさらに約20%向上し
た。これは光閉じ込め効果によるものと考えられる。一
方、同装置を用いターゲットとして深さ3mmのステンレ
ス製皿に金属ガリウムを装填したものを使用し、窒素ガ
スに酸素(O)ガスを2%含ませたガス雰囲気中で反応
性スパッタにより上記と同一条件下で同ミルキーZn
O:Al透明導電膜上に厚さ30nmのGaN:O透明導
電膜をオーバーコーティングした。得られた該透明導電
膜の平均可視光透過率は83%、シート抵抗3Ω/□で
あった。この方法を用いて、前記同様a−Si太陽電池
セルに実装した結果、実施例6の場合と同等の対水素プ
ラズマ還元耐性並びに変換効率が得られた。
【0021】
【実施例 8】実施例1の方法、条件でガラス基板上に
誘電体フッ化マグネシウム(MgF)/GaN/MgF
から成るファブリ・ペロー形干渉フィルタを作成した。
ただしMgFは真空蒸着法により形成した。この場合も
GaNとMgFとのなじみは良く、剥がれたりすること
はなかった。また500nmを中心波長に持つ単色フィル
ターを構成したところ、最大透過率は65%であった。
さらに5%透過率における波長幅は150nmであった。
いずれの値も実用上十分なものである。さらに、上記M
gFの代わりにAZO、ITO、SnO2系等の酸化物
系透明導電膜(TCO)に置き換えても同様のフィルタ
を形成することができ、フィルタ機能を有する透明導電
膜を実現できた。また、AZO透明導電膜をGaN薄膜
で挟んだ場合もフィルタ効果が得られた。各層の厚さや
上記層構成を多層化することにより所望の中心波長や光
透過率を持つフィルタ機能付き透明導電膜を精度よく製
作することができた。
【0022】
【実施例 9】ガラス基板上にコーティングされたIT
O透明導電膜上に厚さ約20nmの金属銀(Ag)薄膜を
付けた後、実施例1の方法、条件で厚さ60nmのGaN
透明導電膜を形成し、その上に実施例6と同様の方法を
用いてp−i−na−Si:H層を付け、その上にAl
反射層を形成し、Glass/ITO/Ag/GaN/
p−i−na−Si:H/Al太陽電池セルを作成し
た。GaN層は既に述べたように化学的安定性に優れて
いるためセル活性層保護膜として、またGaN層の屈折
率は2.2〜2.3と大きいので、光閉じこめ効果を向
上させることによる変換効率の増大に、そして薄いAg
層挿入により光透過率を低下させることなくGaN透明
電極層の低シート抵抗化にそれぞれ寄与し、その結果光
ー電気変換効率は実施例6の場合に比べ35%向上し
た。またステンレス(SS)基板上に前記同様の方法で
形成したITO/Ag/GaN/p−i−na−Si:
H/SS太陽電池セルの場合においてもほぼ同様の電気
的、光学的特性を実現することができた。さらにTCO
の代わりにAZOやSnO2に置き換えてもほぼ同様の
電気的、光学的特性を実現することができた。
【0023】
【実施例10】実施例1の方法、条件(ただし基板は故
意に加熱しない条件)でポリエチレンテレフタレート
(PET)プラスチックフィルム基板上に、第1層目と
して40nmのGaN透明導電膜を、第2層目として真空
蒸着法により厚さ20nmの金属銀(Ag)薄膜を、第3
層目として厚さ40nmのGaN透明導電膜をそれぞれ形
成した。得られた透明導電膜の平均可視光透過率は84
%、シート抵抗5Ω/□であった。尚、実施例7で使用
した高周波マグネトロンスパッタ装置を用い、Ag金属
ターゲットとGaN焼結体ターゲットを用いた2元スパ
ッタ法によって前記同様のPETプラスチックフィルム
基板上に該3層膜を形成した場合や、基板を実施例1で
用いたガラスに置き換えた場合、さらには、第2層目を
Ag薄膜に代わって金(Au)薄膜やAl薄膜に置き換
えて膜形成を行なった場合等、いずれの場合も前記とほ
ぼ同等の電気的、光学的特性を有する該透明導電膜を実
現することができた。このように極く薄い金属薄膜とG
aN透明導電膜の積層構造は、金属薄膜の安定性を高
め、低いシート抵抗を持つ透明導電膜の形成が可能とな
り、かつ透明で高い光透過率を実現できた。本方法によ
って得られた該透明導電膜を電磁シールドフィルムとし
て実装したところ、約40dBの電磁ノイズ低減効果が認
められた。また、該膜に通電することにより透明ヒータ
ー(透明面状発熱体)を実現できた。さらには直流駆動
有機EL素子の透明電極として前記GaN/Ag/Ga
N積層構造を有する透明導電膜を実装した結果、光透過
率を低下させることなく低シート抵抗化することがで
き、該素子の経時安定性を著しく高めることができた。
尚、第1層目を除いても、あるいはのGaN透明導電膜
の代わりにAZO膜に置き換えても全く支障なかった。
【0024】本発明は前記実施例のみに限定されるもの
ではなく、種々の方法により製造できることは言うまで
もない。例えば、前記実施例においては、Ga原料とし
てTEG、In原料としてTEIを使用しているが、ト
リメチルガリウム(TMG)やトリメチルインジウム
(TMI)が利用できる。またこのような有機金属化合
物だけではなく、金属アルコレートを使用しても良い。
さらにN原料として窒素ガス以外に、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミ
ンあるいはヒドラジン等を使用することは全く支障な
い。
【発明の効果】本発明によれば、2.1以上の高い光屈
折率と0.1Ωcm以下の低い抵抗率を有するこれまでに
ない新しい透明導電膜を提供でき、場合によっては極薄
の金属薄膜を併用することによって、低いシート抵抗が
要求される多くのオプトエレクトロニクス素子、例えば
太陽電池や、液晶ディスプレイおよびエレクトロルミネ
ッセントディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ
の高性能化を図ることも容易になるという効果が認めら
れた。本発明になるGaN系透明導電膜は窒化物である
ため、還元性や酸化性雰囲気に極めて強く安定である。
しかも成膜プロセスは単純となり低コスト化が図れると
いう効果がある。たとえば太陽電池の受光面に該透明導
電膜を利用することにより光閉じ込め効果が容易に得ら
れ、従来行なわれていた活性層側界面を凹凸にする等の
複雑な工程は一切不要となる。さらに減圧下の低温基板
上に成膜することにより抵抗率や光屈折率を制御するこ
とができ、多機能化や機能強化を容易に実現することが
できる。また上述したように該透明導電膜は化学的に非
常に安定であるため透明ヒーター、電磁波シールドフィ
ルム等苛酷な環境下においても、その性能を低下させる
ことなく使用できるという顕著な効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で得られた該透明導電膜の抵抗
率の成膜ガス圧依存性を示す図である。
【図2】本発明の実施例で得られた該透明導電膜の光透
過率スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 故意に不純物を添加しないGaN透明導電膜におけ
る抵抗率の成膜ガス圧依存性を示す図である。 2 VI族あるいはIV族元素を単独で添加した場合の
GaN系透明導電膜における抵抗率の成膜ガス圧依存性
を示す図である。 3 VI族やIV族元素を同時に添加した場合のGaN
系透明導電膜における抵抗率の成膜ガス圧依存性を示す
図である。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に形成した光屈折率2.1以上、
    電気抵抗率0.1Ωcm以下の透明かつ導電性を有し、
    窒化ガリウム(GaN)から成る透明導電膜、 または前記GaNが、ガリウムの一部をインジウム(I
    n)、アルミニウム(Al)またはホウ素(B)のよう
    なIII族元素のうち少なくとも1種、もしくは2種、も
    しくは3種によって置換されて成るCaNを主成分とす
    る透明導電膜において、 酸素、イオウ、セレンおよびテルルのようなVI族元素
    や、炭素、シリコン、ゲルマニウム、錫、チタニウム、
    ジルコニウム、またはハフニウムのようなIV族元素のう
    ち少なくとも1種を、もしくはVI族元素とIV族元素のそ
    れぞれ少なくとも1種を同時に1化学式当たり0.01
    〜20原子%含有したGaNを主成分とすることを特徴
    とする透明導電膜。
  2. 【請求項2】 基体上に少なくとも1種の金属薄膜ある
    いは酸化物透明導電膜と、前記請求項1のGaN透明導
    電膜とを積層もしくは交互に多層積層して成ることを特
    徴とする透明導電膜。
  3. 【請求項3】 前記請求項1の基体がガラスまたはプラ
    スチックである請求項1または2記載の透明導電膜。
  4. 【請求項4】 太陽電池用透明電極、またはフラットパ
    ネル形ディスプレイ用透明電極として使用する請求項1
    または2記載の透明導電膜。
  5. 【請求項5】 基体表面上に光学フィルター用コーティ
    ング層として酸化物系またはフッ化物系透明膜で挟まれ
    るか、あるいは酸化物系またはフッ化物系透明膜を挟む
    ように多層形成された請求項1に記載の透明導電膜。
  6. 【請求項6】 太陽電池、フラットパネル形ディスプレ
    イ、透明電磁波シールドフィルムあるいは透明ヒーター
    用透明導電膜を製造するために使用される請求項1また
    は2記載の透明導電膜。
  7. 【請求項7】 無反射コーティングを製造するために使
    用される請求項1記載の透明導電膜。
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