JP3204128B2 - カムモータ装置 - Google Patents

カムモータ装置

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JP3204128B2
JP3204128B2 JP29163296A JP29163296A JP3204128B2 JP 3204128 B2 JP3204128 B2 JP 3204128B2 JP 29163296 A JP29163296 A JP 29163296A JP 29163296 A JP29163296 A JP 29163296A JP 3204128 B2 JP3204128 B2 JP 3204128B2
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利幸 酒井
洋一郎 小竹
俊博 成瀬
正明 須原
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建設機械の走行用
モータ等に用いられるカムモータ装置に関し、さらに詳
しくは、そのモータ容量が大小2段階に変更されること
により、比較的低速で運転される低速モードとその倍速
で運転される高速モードとに切換えられるように構成さ
れたカムモータ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のカムモータ装置とし
て、複数個のピストン及びシリンダが4つの群に分けら
れ、これらの各群のピストン及びシリンダに対する作動
油の分配状態を切換弁の切換操作により2段階に切換え
得るように構成されたものが知られている(例えば、特
開昭55−153871号公報の第2図参照)。このも
のでは、切換弁を低速モードに切換えることにより、こ
れらのうちの選択された2つの群の各シリンダに作動油
が供給される一方、他の2つの群の各シリンダが油タン
クに接続されて作動油を排出するようにされ、これによ
り、カムモータ装置のモータ容量を最大にして比較的低
速かつ高出力トルクの状態で回転作動されるようにして
いる。また、高速モードに切換えることにより、上記選
択された2つの群のうちの一方の群の各シリンダに作動
油が供給され、上記他の2つの群のうちの一方の群の各
シリンダから作動油が排出される一方、残りの2つの群
の各シリンダが互いに連通されて閉回路を構成するよう
にされる。これにより、カムモータ装置のモータ容量を
上記低速モードの半分にして、上記低速モードの倍速の
高速回転作動が行われるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
カムモータ装置では、高速モードで作動油の供給が行わ
れない2つの群の各シリンダが閉回路を構成しているた
め、これらの各シリンダ内の圧油の逃げ場がなく回転抵
抗を生じる恐れがある上に、この圧油に機械損失分の熱
量が蓄積されて異常高温になる恐れがあり、耐久性の低
下を招くという不都合がある。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、高速モードで
回転駆動力を発生しない各ピストンによる回転抵抗を極
力防止しつつ、そのピストンに対応するシリンダ内の圧
油の油温が異常に上昇することを防止して、カムモータ
装置の耐久性の向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、円柱状のシリンダブロック
(2)と、内周側にカム面(3a)が形成され、上記シ
リンダブロック(2)の外周面を囲んだ状態に配設され
たカムリング(3)と、上記シリンダブロック(2)に
対しその中心軸(X)を中心としてそれぞれ半径方向外
方に延びてシリンダブロック(2)の外周面に開口する
よう放射上に配設された複数のシリンダ(5,5,…)
と、上記カム面(3a)に対して進退するように上記各
シリンダ(5)に収容されたピストン(6)と、上記シ
リンダブロック(2)の一端面(2a)に対し相対回転
可能に接合されるよう配設されて作動油供給系(15
0)から供給される作動油を上記複数のシリンダ(5,
5,…)のうちの上記カム面(3a)に向い上昇行程に
ある各ピストン(6)に対応する各シリンダ(5)に対
し分配供給する分配弁(7)とを備え、上記の上昇行程
にある各ピストン(6)が上記カム面(3a)を押圧す
ることにより、非回転状態に固定された上記シリンダブ
ロック(2)もしくは上記カムリング(3)の一方に対
して他方が回転するように構成されたカムモータ装置を
前提とする。このものにおいて、上記分配弁(7)を介
して複数のシリンダ(5,5,…)に対し4つの群に分
けて作動油を供給する第1,第2,第3及び第4の4つ
の連通路(8c,8b,8d,8a)と、これらの4つ
の連通路(8c,8b,8d,8a)を作動油供給系
(150)の作動油の供給側もしくは排出側と選択的に
接続して上記シリンダブロック(2)もしくはカムリン
グ(3)の回転作動を低速もしくは高速に切換える切換
弁(9)とを備えるものとする。そして、上記シリンダ
ブロック(2)に、各シリンダ(5)と連通されて上記
一端面(2a)において中心軸(X)を中心とする円周
上に等間隔に開口する被分配ポート(21,21,…)
を設ける。また、上記分配弁(7)に、上記シリンダブ
ロック(2)との接合端面(7a)において4の倍数と
なる数の分配ポート(71,…,72,…,73,…,
74,…)の各一端が、上記被分配ポート(21,2
1,…)と同一円周上に等間隔に開口するように配設
し、これらの分配ポート(71,…,72,…,73,
…,74,…)を、周方向に3つおきに配設された第1
分配ポート(71,…)により構成された第1の分配ポ
ート群と、上記第1の各分配ポート(71)に対して上
記シリンダブロック(2)の上記分配弁(7)に対する
正転時の相対回転の向きに隣接して配設された第2分配
ポート(72,…)により構成された第2の分配ポート
群と、上記第2の各分配ポート(72)に対して上記相
対回転の向きに隣接して配設された第3分配ポート(7
3,…)により構成された第3の分配ポート群と、上記
第3の各分配ポート(73)に対して上記相対回転の向
きに隣接して配設された第4分配ポート(74,…)に
より構成された第4の分配ポート群との互いに同数の分
配ポート(71,…,72,…,73,…又は74,
…)からなる第1,第2、第3及び第4の4つの分配ポ
ート群にグループ分けする。そして、上記各分配ポート
の他端を、上記第1,第2,第3及び第4の4つの分配
ポート群ごとに上記第1,第2、第3及び第4の4つの
連通路(8c,8b,8d及び8a)と個別に連通す
る。さらに、上記切換弁(9)として、上記第1及び第
3の2つの連通路(8c及び8d)、又は、上記第2及
び第4の2つの連通路(8b及び8a)のうちの何れか
一方の2つの連通路を上記作動油供給系(150)の作
動油の供給側に接続し、かつ、他方の2つの連通路を上
記作動油供給系(150)の作動油の排出側に接続する
低速位置と、上記第1連通路(8c)又は第4連通路
(8a)のうちの何れか一方を上記供給側に接続し、か
つ、他方を上記排出側に接続するとともに、上記第2連
通路(8b)と第3連通路(8d)とを互いに接続する
高速位置とを備える構成とするものである。
【0006】上記の構成の場合、切換弁(9)が低速位
置にあるとき、第1及び第3の両方の連通路(8c及び
8d)、又は、第2及び第4の両方の連通路(8b及び
8a)のうちの何れか一方が上記作動油供給系(15
0)の作動油の供給側に接続され、かつ、他方が上記作
動油供給系(150)の作動油の排出側に接続される。
このため、第1,第2,第3及び第4の各分配ポート
(71,72,73,74)が、交互に作動油の供給を
受ける高圧側と作動油が還流される低圧側とにされ、ピ
ストン(6)がカム面(3a)に向かって上昇する上昇
行程にある各シリンダ(5)に対し、被分配ポート(2
1,21,…)を介して高圧の作動油が供給されること
により、これらの各シリンダ(5)に収容されたピスト
ン(6)が上記カム面(3a)を押圧して駆動力を発生
し、これにより、シリンダブロック(2)もしくはカム
リング(3)のうちの一方が回転する。そして,この回
転に伴いピストン(6)が回転軸(X)向かって下降す
る下降行程に移行した各シリンダ(5)から上記ピスト
ン(6)によって排出された作動油が、被分配ポート
(21,21,…)を介して還流される。つまり、カム
モータ装置は、そのモータ容量が最大になって比較的低
速かつ高出力トルクの低速モードで回転作動される。ま
た、上記切換弁(9)が高速位置にあるとき、上記第1
連通路(8c)又は第4連通路(8a)のうちの何れか
一方が上記供給側に接続され、かつ、他方が上記排出側
に接続されるため、第1分配ポート(71,71,…)
又は第4分配ポート(74,74,…)の何れか一方が
高圧側にされ、かつ、他方が低圧側にされる。このた
め、高圧の作動油の供給を受けるシリンダ(5,5,
…)の本数が上記低速モードの半分になり、カムモータ
装置は、そのモータ容量が半分になって上記低速モード
の場合の2倍速でかつ2分の1出力トルクの高速モード
で回転作動される。しかも、上記第2連通路(8b)と
第3連通路(8d)とが互いに連通されるため、第2分
配ポート(72,72,…)と第3分配ポート(73,
73,…)とが互いに接続された状態になり、このた
め、カムモータ装置に供給された作動油の流れは以下の
ようになる。すなわち、上記第1分配ポート(71,7
1,…)が高圧側にされ、かつ、上記第4分配ポート
(74,74,…)が低圧側にされた場合について説明
すると、まず、上記第1の各分配ポート(71)から供
給された高圧の作動油は、上昇行程にあるシリンダ
(5)に収容されたピストン(6)をカム面(3a)に
向けて押し出すことにより、シリンダブロック(2)も
しくはカムリング(3)のうちの一方を回転させる。次
に、この回転に伴い上記シリンダ(5)が下降行程に移
行すると、このシリンダ(5)内の作動油は、そのシリ
ンダ(5)から上記ピストン(6)により排出されて第
2分配ポート(72)を通ってこの第2分配ポート(7
2)と切換弁(9)において連通されている第3分配ポ
ート(73)へ流通する。さらに、上記回転に伴い上記
シリンダ(5)が再び上昇行程に移行すると、上記第3
分配ポート(73)を通して作動油が上記シリンダ
(5)に流入する。そして、このシリンダ(5)の下降
行程への移行に伴い第4分配ポート(74)を介して作
動油供給系(150)の排出側へと還流されることにな
る。つまり、作動油供給系(150)からカムモータ装
置に供給される高圧の作動油が、シリンダブロック
(2)と分配弁(7)との相対回転に伴い第1分配ポー
ト(71,71,…)、第2分配ポート(72,72,
…)第3分配ポート(73,73,…)、第4分配ポー
ト(74,74,…)の順に連続して流れ、上記第4分
配ポート(74,74,…)から上記作動油供給系(1
50)の排出側に還流されて循還されることになる。こ
のため、作動油が装置内で逃げ場を失って高圧になるこ
とによる回転抵抗の発生が防止される上に、作動油がす
べての分配ポート、すなわち、全てのシリンダ(5,
5,…)に対し連続して流通するため、その作動油に機
械損失分の熱量が蓄積されることによる油温の異常な上
昇が防止され、これにより、カムモータ装置の耐久性の
向上を図ることが可能になる。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明における切換弁(9)として、高速位置において、第
2連通路(8b)と第3連通路(8d)とを、上記作動
油供給系(150)の排出側にチャージ油を供給するチ
ャージポンプ(16)の吐出側に接続する構成とするも
のである。
【0008】上記の構成の場合、請求項1記載の発明に
よる作用に加えて、第2連通路(8b)と第3連通路
(8d)とがチャージポンプ(16)の吐出側に接続さ
れてこのチャージポンプ(16)から供給される圧油に
より作動油供給系(150)の排出側と同圧に保持され
る。このため、上記第2連通路(8b)又は第3連通路
(8d)に接続されたシリンダ(6,6,…)内では作
動油が昇圧することがなく、ピストン(5)を回転抵抗
を生じさせることなくカム面(3a)に対し当接した状
態で相対移動させることが可能になる。これにより、こ
れらの各ピストン(6)とカム面(3a)との衝突を防
止して静粛性の向上とピストン(6,6,…)等の耐久
性の向上とを図ることが可能になる。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明における切換弁(9)を、柱状に形成された弁体(9
2)と、この弁体(92)内に形成されて一端側がチャ
ージポンプ(16)の吐出側に接続された第5連通路
(926)とを備えるものとし、この第5連通路(92
6)に上記弁体(92)の周面に開口する開口部を備
え、この開口部を、上記切換弁(9)が高速位置にある
とき、上記第2連通路(8b)と第3連通路(8d)と
に臨んで開口するように配設する構成とするものであ
る。
【0010】上記の構成の場合、切換弁(9)の弁体
(92)内に形成された第5連通路(926)により、
第2連通路(8b)と第3連通路(8d)とが確実に連
通され、かつ、これらの第2及び第3の連通路(8b及
び8d)に対し、チャージポンプ(16)からの圧油が
確実に供給されるため、上記請求項2記載の発明による
作用をコンパクトな構成で確実に得ることが可能にな
り、これにより、装置全体のコンパクト化を図ることが
可能になる。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明における切換弁(9)を、チャージポンプ(16)か
ら供給される圧油により高速位置と低速位置とに切換え
られる構成とするものである。
【0012】上記の構成の場合、請求項3記載の発明に
おける切換弁(9)を切換作動させるための構成が具体
的に特定され、作動油供給系(150)の排出側にチャ
ージ油を供給するためのチャージポンプ(16)から供
給される圧油により、上記切換弁(9)が確実に作動さ
せられる。これにより、切換弁(9)の切換作動のため
の特別な駆動源を設けることなく、上記切換作動を行な
わせることが可能になる。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明におけるカムリング(3)を、カムモータ装置の本体
側(13)に対して非回転状態に固定し、かつ、シリン
ダブロック(2)を、上記本体側(13)に回転可能に
支持する構成とするものである。
【0014】上記の構成の場合、請求項1記載の発明に
おけるシリンダブロック(2)及びカムリング(3)の
構成が具体的に特定される。すなわち、カムリング
(3)が上記カムモータ装置の本体側(13)に非回転
状態に固定され、このカムリング(3)に対してシリン
ダブロック(2)が相対回転されることにより、このシ
リンダブロック(2)から回転駆動力が確実に出力され
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0016】図1は、本発明の実施形態に係るカムモー
タ装置を示し、1は環状に形成されたケーシング本体、
2は厚肉の円柱状に形成されたシリンダブロック、3は
上記シリンダブロック(2)の外周面を囲んで配設され
たカムリング、4はエンドキャップである。また、5,
5,…(図2参照)は上記シリンダブロック(2)内に
配設された複数のシリンダ、6は上記各シリンダ(5)
内に収容されたピストン、7は上記各シリンダ(5)に
対して作動油を分配供給する分配弁である。さらに、8
a,8b,8c,8dは上記分配弁(7)の外周面を囲
んで配設された4つの連通路としての環状連通路、9は
これらの環状連通路(8a,8b,…)を作動油の供給
側又は排出側に切換接続する切換弁としての給排操作
弁、10は出力軸である。そして、上記カムモータ装置
は、例えば、建設機械等の車体に配設されて車輪やクロ
ーラ等を駆動するものである。
【0017】上記ケーシング本体(1)は、上記出力軸
(10)の回転軸(X)と同軸に配置され、この回転軸
(X)方向の一側(同図における左側:以下、単に左側
という)に配設された略円錐状のケーシングカバー(1
1)と複数のボルト(11a,11a,…)により締結
される一方、他側(同図における右側:以下、単に右側
という)において、複数のボルト(12,12,…)
(図2参照)により、上記カムリング(3)を挟んで上
記エンドキャップ(4)と締結され、カムモータ装置の
本体であるケーシング(13)を構成している。そし
て、上記出力軸(10)が、このケーシング(13)を
左右に貫通した状態で上記ケーシングカバー(11)と
上記エンドキャップ(4)とにそれぞれ配設されたテー
パローラベアリング(111,41)により回転自由に
支持されている。また、上記ケーシング本体(1)及び
上記エンドキャップ(4)の外周面には、取り付けフラ
ンジ(14,14,…)が外方に突出して設けられてお
り、これらの取り付けフランジ(14,14,…)を介
して、上記ケーシング(13)が車体側に固定されるよ
うになっている。
【0018】上記シリンダブロック(2)は、上記出力
軸(10)の外周面に例えばスプライン結合により結合
されてこの出力軸(10)と同軸一体に回転するように
配設されており、その内部には、図2に示すように、複
数かつ偶数(図例では8個)のシリンダ(5,5,…)
が上記回転軸(X)を中心として放射状にかつ周方向に
等間隔に配設され、それぞれ、上記シリンダブロック
(2)の半径方向外方に延びて外周面に開口している。
そして、これらの各シリンダ(5)内にはピストン
(6)が収容されており、これらの各ピストン(6)
は、先端部に配設されたローラ(61)を上記カムリン
グ(3)の内側に形成されたカム面(3a)に沿って転
動させつつ、このカム面(3a)に案内されて上記各シ
リンダ(5)内で進退するようになっている。さらに、
上記シリンダブロック(2)には、上記各シリンダ
(5)と連通され、このシリンダブロック(2)の一端
面(2a)(右側の端面)において上記回転軸(X)を
中心とする円周上に等間隔に開口する8つの被分配ポー
ト(21,21,…)が設けられている。
【0019】上記カムリング(3)は、図2に示すよう
に、そのカム面(3a)に、上記ピストンの本数及び配
列との関係により定められた所定の数(図例では6つず
つ)の凸部(31,31,…)と凹部(32,32,
…)とが周方向に等間隔にかつ交互に形成されており、
このカム面(3a)に対する上記8つのピストン(6,
6,…)の位置関係は、同図において右上の位置にある
ピストン(6)を第1番として時計回りに順番に第1〜
第8番とすると、第1及び第5の各ピストン(6)が上
記凹部(32)の略底点に、第2及び第6の各ピストン
(6)が上記凸部(31)と凹部(32)との間の下り
側の中間点に(すなわち、下降行程に)、第3及び第7
の各ピストン(6)が上記凸部(31)の略頂点に、第
4及び第8の各ピストン(6)が上記凸部(31)と凹
部(32)との間の上り側の中間点に(すなわち、上昇
行程に)それぞれ当接することになるように関係付けら
れている。従って、主に、上記第4及び第8の各ピスト
ン(6)がカム面(3a)を押圧するように作動油を供
給することにより、シリンダブロック(2)が中心軸
(X)の回りに同図における反時計回り(矢印の方向)
に回転し、次に、主に、第3及び第7の各ピストンに作
動油を供給することにより、シリンダブロック(2)が
さらに回転し、この回転により凸部(31)を乗り越え
た第2及び第6の各ピストンに作動油を供給するという
ように順番に作動油を分配供給することにより、シリン
ダブロック(2)と出力軸(10)とが連続して回転駆
動されるようになっている。
【0020】上記分配弁(7)は、略円柱状に形成され
て一端面(7a)(左側の端面:以下、接合端面とい
う)がシリンダブロック(2)の右側の端面(2a)に
対し相対回転可能に接合されるように配置されるととも
に、エンドキャップ(4)に対して内周部に内嵌された
状態で非回転状態に固定されている。また、このエンド
キャップ(4)の内周面には、上記分配弁(7)の外周
側の全周面と相対向して開口するように形成された環状
の凹部が出力軸(10)の長手方向(左右方向)に4つ
形成されており、これらの環状の凹部と上記分配弁
(7)の外周面とにより、左側から順番に第4,第2,
第1及び第3の4つの環状連通路(8a,8b,8c,
8d)が画成されている。そして、上記接合端面(7
a)には、図3に示すように、カム面(3a)の凸部
(31,…)又は凹部(32,…)の数の倍数(図例で
は、12個)の分配ポート(71,…,72,…,7
3,…,74,…)が、上記シリンダブロック(2)の
右側の端面(2a)に配設された被分配ポート(21,
21,…)と連通可能なように、これらの被分配ポート
(21,21,…)と同一円周上に等間隔に開口するよ
う設けられている。
【0021】上記分配ポート(71,…,72,…,7
3,…,74,…)は、図3に示すように、カム面(3
a)の各凸部(31)と各凹部(32)とに対して周方
向の中間位置に配置されており、3つおきに配設された
第1分配ポート(71,71,…)により構成された第
1の分配ポート群と、上記第1の各ポートに対してシリ
ンダブロック(2)の正転する向き(同図における矢印
の方向:反時計回り)に隣接して配設された第2分配ポ
ート(72,72,…)により構成された第2の分配ポ
ート群と、上記第2の各分配ポートに対して上記の向き
に隣接して配設された第3分配ポート(73,73,
…)により構成された第3の分配ポート群と、上記第3
の各分配ポートに対して上記の向きに隣接して配設され
た第4分配ポート(74,74,…)により構成された
第4の分配ポート群との互いに同数の分配ポート(7
1,…,72,…,73,…,74,…)からなる4つ
の分配ポート群にグループ分けされている。そして、上
記各分配ポート(71,72,73,74)の上記シリ
ンダブロック(2)と反対側の端部(右側の端部)は、
図4に示すように、上記各第1分配ポート(71)が第
1環状連通路(8c)の位置まで延びてこの第1環状連
通路(8c)と連通され、同様に、上記各第2分配ポー
ト(72)が第2環状連通路(8b)と、上記各第3分
配ポート(73)が第3環状連通路(8d)と、上記各
第4分配ポート(74)が第4環状連通路(8a)と、
それぞれ、個別に連通されている。
【0022】上記4つの環状連通路(8a,8b,…)
のうち、第1環状連通路(8c)は、供給通路(81)
を介してメインポンプ(15)と接続され、このメイン
ポンプ(15)から吐出される作動油の供給を受けるよ
うに構成されている。一方、第2環状連通路(8a)
は、排出通路(82)を介して上記メインポンプ(1
5)と接続され、シリンダブロック(2)側から排出さ
れる作動油を上記メインポンプ(15)に還流させるよ
うに構成されている。そして、これらのメインポンプ
(15)、供給通路(81)、排出通路(82)等によ
り構成された閉回路と、この閉回路からの作動油の洩れ
を補充するために低圧側となる通路にチャージ油を補充
するチャージポンプ(16)とにより作動油供給系(1
50)が構成されている。また、上記メインポンプ(1
5)は、作動油の吸入方向と吐出方向とを反転可能に構
成されており、上記排出通路(82)に対して作動油を
供給することにより、カムモータ装置の出力軸(10)
を逆転させ得るようになっている。
【0023】上記給排操作弁(9)は、エンドキャップ
(4)の内部に形成された円形の横断面を有する弁室
(91)と、この弁室(91)内に長手方向(左右方
向)に摺動可能に収容された円柱状の弁体(92)とに
より構成されている。上記弁室(91)は、図5及び図
6に詳細を示すように、同図における左側(以下、単に
左側という)から順番に配設された第1,第2,第3及
び第4の4つの拡径部(91a,91b,91c,91
d)を有しており、これらの4つの拡径部(91a,9
1b,91c,91d)は、上記エンドキャップ(4)
内に形成された4つの連通路(83a,83b,83
c,83d)により4つの環状連通路(8a,8b,8
c,8d)と個別に連通されている。また、上記弁室
(91)の同図における右側(以下、単に右側という)
の端部には、シリンダ部(91e)が形成されており、
切換弁(161)が右側位置にあるとき、チャージ油供
給通路(93)を介してチャージポンプ(16)から圧
油の供給を受け、上記弁体(92)を作動させるように
なっている。また、この弁体(92)は、左側から順番
に形成された第1,第2及び第3の3つの大径部(92
1,922,923)と、これらの大径部(921,9
22,923)の間にそれぞれ形成された小径部(92
4,925)とを有しており、さらに、右側の端面に開
口する一方、本体内を長手方向(左右方向)に上記第2
大径部(922)の位置まで延び、この第2大径部(9
22)及び第3大径部(923)の外周面において、そ
れぞれ、周方向に等間隔に4個所づつ開口する第5連通
路としてのチャージ圧供給通路(926)を有してい
る。
【0024】上記弁体(92)は、図5に示すように、
ばね(94及び95)の付勢力により右側に押し付けら
れて低速位置に位置付けられ、この低速位置において、
上記第3拡径部(91c)と第4拡径部(91d)とを
互いに連通するとともに、上記第1拡径部(91a)と
第2拡径部(91b)とを互いに連通するように構成さ
れている。このため、上記弁体(92)が上記低速位置
にあるときには、上記第1及び第3環状連通路(8c及
び8d)が供給通路(81)に連通されるとともに、上
記第2及び第4環状連通路(8b及び8a)が排出通路
(82)に連通されるようになっている。また、図6に
示すように、上記弁体(92)が、シリンダ部(91
e)に供給されるチャージ圧を受け、上記ばね(94及
び95)の付勢力に抗して左側に移動して高速位置に位
置変換されると、上記第2拡径部(91b)と第4拡径
部(91d)とがチャージ圧供給通路(926)を介し
て互いに連通され、かつ、チャージ圧が上記シリンダ部
(91e)から上記チャージ圧供給通路(926)を介
して上記第2及び第4拡径部(91b及び91d)に伝
えられるとともに、上記第1拡径部(91a)と第3拡
径部(91c)とは、それぞれ、他のいずれの拡径部か
らも遮断された状態になるように構成されている。この
ため、上記第1環状連通路(8c)が供給通路(81)
に連通され、かつ、上記第4環状連通路(8a)が排出
通路(82)に連通されるとともに、上記第2環状連通
路(8b)と第3環状連通路(8d)とは、互いに連通
されかつチャージ圧が供給された状態になる。
【0025】従って、上記給排操作弁(9)の弁体(9
2)が低速位置(図5参照)にある場合には、供給通路
(81)からの作動油が第3及び第4拡径部(91c及
び91d)並びに第1及び第3環状連通路(8c及び8
d)を通って第1及び第3の6個の各分配ポート(7
1,73)に供給されてこれらが高圧側となる一方、他
の6個の第2及び第4の各分配ポート(72,74)が
第2及び第4環状連通路(8b及び8a)並びに第1及
び第2拡径部(91a及び91b)を介して排出通路
(82)に連通されて低圧側になり、12個の全分配ポ
ート(71,…,72,…,73,…,74,…)が、
交互に高圧側と低圧側とになるように構成されている。
反対に、上記給排操作弁(9)の弁体(92)が高速位
置(図6参照)にある場合には、供給通路からの作動油
が第3拡径部(91c)及び第1環状連通路(8c)を
通って第1の3個の各分配ポート(71)に供給されて
これらが高圧側となる一方、第4の3個の各分配ポート
(74)が第4環状連通路(8a)及び第1拡径部(9
1a)を介して排出通路に連通されて低圧側になるとと
もに、第2及び第3の6個の各分配ポート(72,7
3)は、第2及び第3環状連通路(8b及び8d)並び
に第2及び第4拡径部(91b及び91d)を介して互
いに連通され、かつ、チャージ圧に保たれるようになっ
ている。
【0026】なお、図1において17は出力軸(10)
の回転を拘束するネガティブブレーキ機構である。この
ネガティブブレーキ機構(17)は、上記出力軸(1
0)の外周面に固設された複数のプレッシャリングと、
これらのプレッシャリングの間に介装されて上記ケーシ
ング本体(1)の内周側に固設されたプレッシャプレー
トとを備え、チャージポンプ(16)からの圧油の供給
を受けない間は、上記プレッシャリングとプレッシャプ
レートとを皿ばね(18)の押圧付勢力により互いに押
し付け合わせることにより、それらの間の摺動摩擦力に
よって上記出力軸(10)を上記ケーシング本体(1)
に対して非回転状態に拘束するように構成されており、
一方、チャージポンプ(16)からの圧油の供給を受け
て上記プレッシャリングとプレッシャプレートとが互い
に引き離されることにより、上記出力軸(10)を回転
自由状態に維持するように構成されている。
【0027】次に、上記実施形態に係るカムモータ装置
の作動及び作用・効果を説明する。
【0028】まず、チャージポンプ(16)を運転状態
にして圧油をネガティブブレーキ機構(17)に供給
し、このネガティブブレーキ機構(17)による出力軸
(10)の拘束状態を解除する。次に、メインポンプ
(15)を運転状態にして作動油を供給通路(81)に
供給する。
【0029】ここで、上記カムモータ装置を低速モード
で回転作動させる場合には、切換弁(161)を左側位
置に切換えて給排操作弁(9)に対するチャージポンプ
(16)からの圧油の供給を遮断する。これにより、上
記給排操作弁(9)の弁体(92)が低速位置(図5参
照)に位置付けられ、第1及び第3の合計6個の各分配
ポート(71,73)が作動油の供給側に、第2及び第
4の合計6個の各分配ポート(72,74)が作動油の
排出側に切換えられる。そして、8個のシリンダ(5,
5,…)のうちの半数、すなわち、上昇行程にある4個
のシリンダ(5,5,…:図2における第3,第4,第
7及び第8番のピストン(6)にそれぞれ対応する4個
のシリンダ)に対して高圧の作動油が供給され、これら
の各シリンダ(5)に収容されたピストン(6)が駆動
力を発生することによりシリンダブロック(2)と出力
軸(10)とが一体に回転する。そして、この回転に伴
い上昇行程に移行することになる4個のシリンダ(5,
5,…)に対し高圧の作動油が供給されて上記シリンダ
ブロック(2)がさらに回転し、これが繰り返されて上
記シリンダブロック(2)と出力軸(10)とが連続し
て回転する。一方、下降行程にある4個の各シリンダ
(5)からは、作動油がピストン(6)によって排出さ
れて排出通路(82)を介してメインポンプ(15)の
吸入側に還流される。このように、上記低速モードで
は、カムモータ装置は、モータ容量が最大になって比較
的低速かつ高出力トルクの状態で回転作動される。
【0030】また、上記カムモータ装置を高速モードで
回転作動させる場合には、切換弁(161)を右側位置
に切換えて給排操作弁(9)にチャージポンプ(16)
から圧油を供給する。これにより、上記給排操作弁
(9)の弁体(92)が高速位置(図6参照)に切換え
られ、第1の3個の各分配ポート(71)が作動油の供
給側に、第4の3個の各分配ポート(74)が作動油の
排出側に切換えられる。このため、上昇行程にある4個
のシリンダ(5,5,…)のうちの半分の2個の各シリ
ンダ(5:図2における第3及び第8番のピストン
(6)にそれぞれ対応する2個の各シリンダ)に対して
上記第1の各分配ポート(71)から高圧の作動油が供
給され、これらの各シリンダ(5)に収容されたピスト
ン(6)が駆動力を発生する状態になる。従って、カム
モータ装置は、そのモータ容量が上記低速モードの場合
の半分になって比較的高速かつ低出力トルクの状態で回
転作動される。しかも、第2及び第3の合計6個の各分
配ポート(72,73)が互いに接続された状態になる
ため、カムモータ装置に供給された作動油の流れは以下
のようになる。すなわち、図2における第8番のピスト
ン(6)に対応する一つのシリンダ(5)に着目する
と、このシリンダ(5)は上昇行程にあって一つの第1
分配ポート(71:図3における最上位置の左側の分配
ポート)と連通されており、供給通路(81)を介して
上記第1分配ポート(71)から供給される高圧の作動
油によりピストン(6)をカム面(3a)の側に押し出
すことにより回転駆動力を発生することになる。そし
て、上記シリンダ(5)は、この回転駆動力によるシリ
ンダブロック(2)の回転(図3の矢印方向への回転)
に伴い下降行程に移行し、第2分配ポート(72)と連
通されてこの第2分配ポート(72)に上記作動油を排
出する。この作動油は、上記第2分配ポート(72)か
ら第2環状連通路(8b)(図6参照)に流通し、チャ
ージ圧供給通路(926)を介して第3環状連通路(8
d)に流通する。そして、上記シリンダブロック(2)
の回転に伴い再び上昇行程に移行した上記シリンダ
(5)に対し、上記作動油が上記第3分配ポート(7
3)から供給される。最後に、上記シリンダ(5)が再
び下降行程に移行して第4分配ポート(74)に連通さ
れ、この第4分配ポート(74)から排出された上記作
動油が第4環状連通路(8a)と排出通路(82)とを
介してメインポンプ(15)の吸入側へ還流される。つ
まり、カムモータ装置内を流通する作動油が、すべてメ
インポンプ(15)との間で循還するようになっている
ため、作動油が上記カムモータ装置内で逃げ場を失って
高圧になることによる回転抵抗の発生が防止される上
に、この作動油に機械損失分の熱量が蓄積されることに
よる油温の異常な上昇を防止することができ、これによ
り、上記カムモータ装置の耐久性の向上を図ることがで
きる。
【0031】また、上記高速モードにおいては、第2分
配ポート(72,72,…)又は第3分配ポート(7
3,73,…)と連通されたシリンダ(5,5,…)に
対してチャージ圧の作動油が供給されるようになってお
り、このチャージ圧が低圧側と略同圧であるため、これ
らのシリンダ(5,5,…)内では作動油が昇圧するこ
とがなく、このため、ピストン(5)を回転抵抗を生じ
させることなくカム面(3a)に対し当接した状態で相
対移動させることができる。これにより、これらのピス
トン(6,6,…)とカム面(3a)との衝突を防止し
て静粛性の向上と耐久性の向上とを図ることができる。
【0032】さらに、上記カムモータ装置では、高速モ
ードにおいて給排操作弁(9)が高速位置に切換えら
れ、第2分配ポート(72,72,…)と第3分配ポー
ト(73,73,…)とが上記給排操作弁(9)の弁体
(92)内に形成されたチャージ圧供給通路(926)
によって確実に接続されるとともに、上記弁体(92)
を高速位置に保持するチャージ圧が上記チャージ圧供給
通路(926)を介して上記第2及び第3分配ポート
(72,…,73,…)に伝えられるため、駆動力を発
生しない各シリンダ(5)に対してコンパクトな構成で
確実にチャージ圧を伝えることができ、これにより、装
置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0033】次に、上記カムモータ装置を逆転させる場
合、メインポンプ(15)における作動油の吸入方向と
吐出方向とを逆転させ、上記排出通路(82)に対して
作動油が供給されるようにする。そして、低速モードで
逆転作動させる場合には、上記低速モードの正転の場合
と同様に給排操作弁(9)を低速位置とし、第2及び第
4の合計6個の各分配ポート(72,74)を作動油の
供給側に、第1及び第3の合計6個の各分配ポート(7
1,73)を作動油の排出側に切換えることにより、8
個のシリンダ(5,5,…)のうちの上昇行程にある4
個の各シリンダ(5)に対して作動油を供給する一方、
下降行程にある4個の各シリンダ(5)から作動油を排
出させ、カムモータ装置を、比較的低速かつ高出力トル
クの状態で回転作動させることができる。また、上記カ
ムモータ装置を高速モードで逆転作動させる場合には、
上記高速モードの正転の場合と同様に給排操作弁(9)
を高速位置に切換え、第4の3個の各分配ポート(7
4)を作動油の供給側に、第1の3個の各分配ポート
(71)を作動油の排出側に切換えるとともに、第2及
び第3の合計6個の各分配ポート(72,73)を互い
に接続し、かつ、これらの各分配ポート(72,73)
にチャージ圧を供給する。これにより、上昇行程にある
4個のシリンダ(5,5,…)のうちの半分の2個の各
シリンダ(5)に対して高圧の作動油を供給して駆動力
を発生させ、カムモータ装置を、比較的高速かつ低出力
トルクの状態で回転作動させることができる。この際、
上記の駆動力を発生する2個のシリンダ(5)に供給さ
れた高圧の作動油は、上記の高速モードでの正転の場合
と同様に、駆動力を発生しない各シリンダ(5)を循還
した後にメインポンプ(15)に還流するため、作動油
はすべてカムモータ装置とメインポンプ(15)との間
で循還することになり、このため、上記高速モードの正
転の場合と同様に回転抵抗の増加や油温の異常上昇を防
止することができ、これにより、上記カムモータ装置の
耐久性の向上を図ることができる。
【0034】この逆転作動の場合について、図7に示す
従来のカムモータ装置と比較すると、この従来のカムモ
ータ装置では、複数のピストン及びシリンダを3つの群
に分け、各群のピストン及びシリンダに対し3つの連通
路(108a,108b,108c)により作動油を分
配供給するように構成されており、具体的には、12個
の分配ポートが6個の第1分配ポート(図示省略)、3
個の第2分配ポート(図示省略)及び3個の第3分配ポ
ート(110)の3つの分配ポート群にグループ分けさ
れており、同図における左側(以下、単に左側という)
の第1連通路(108a)が上記各第1分配ポートに接
続され、真ん中の第2連通路(108b)と同図におけ
る右側(以下,単に右側という)の第3連通路(108
c)とがそれぞれ上記2及び第3の各分配ポートに接続
され、さらに、上記第1連通路(108a)が作動油の
排出通路と連通される一方、上記第3連通路(108
c)が作動油の供給通路と連通されている。そして、高
速モードで正転される場合、上記第3連通路(108
c)を介して3個の各第3分配ポート(110)に作動
油が供給されて高圧側にされる一方、給排操作弁(10
9)の切換えにより互いに連通された上記第1連通路
(108a)と第2連通路(108b)とを介して6個
の各第1分配ポートと3個の各第2分配ポートとが低圧
側にされるようになっている。このため、高速モードで
逆転される場合には、上記の正転の場合と反対に、上記
第1連通路(108a)と上記第2連通路(108b)
とが上記排出通路から供給される作動油を受けることに
より、上記6個の各第1分配ポートと3個の各第2分配
ポートとが高圧側にされる一方、上記第3連通路(10
8c)が上記供給通路と接続されることにより、上記3
個の各第3分配ポート(110)が低圧側にされること
になる。従って、逆転駆動の駆動力を発生するシリンダ
の他に、逆転駆動の駆動力を発生しないシリンダに対し
ても高圧の作動油が供給されることになってしまい、こ
れにより、回転抵抗が著しく大きくなる上に、熱的悪影
響も大きくなってしまう。これに対し、上記実施形態に
係るカムモータ装置では、高速モードで逆転される場
合、第4環状連通路(8a)(図6参照)が排出通路
(82)と接続されて高圧側にされ、かつ、第1環状連
通路(8c)が供給通路(81)と接続されて低圧側に
されるとともに、第2及び第3の2つの環状連通路(8
b及び8d)がチャージ圧に保持されるようになってお
り、このチャージ圧が低圧側と略同圧であるため、この
チャージ圧の作動油を供給される各シリンダ(5)にお
いて、ピストン(6)の作動に伴う回転抵抗を上記従来
の場合と比べて小さくして効率向上を図ることができ、
併せて、熱的悪影響も小さくすることができる。<他の
実施形態>なお、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではなく、その他種々の実施形態を包含するものであ
る。すなわち、上記実施形態では、カムモータ装置の構
成として、ケーシング(13)にカムリング(3)を固
定し、このカムリング(3)に対して相対回転するシリ
ンダブロック(2)に出力軸(10)を連結するように
しているが、これに限らず、例えば、シリンダブロック
を装置本体側に固定し、このシリンダブロックに対して
カムリングを含む環状ケーシングが回転されるように構
成してもよい。
【0035】上記実施形態では、カムリング(3)のカ
ム面(3a)にそれぞれ6個づつの凸部(31)と凹部
(32)とを形成し、これに対応して8個のピストン
(6,6,…)を配設しているが、これに限らず、例え
ばカムリングの凸部や凹部をそれぞれ6個以外としても
よく、これに対応して8個以外のピストンを配設するよ
うにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、切換弁(9)が高速位置にあるとき、作動
油供給系(150)から供給された高圧の作動油を、シ
リンダブロック(2)と分配弁(7)との相対回転に伴
い、第1分配ポート(71,71,…)、第2分配ポー
ト(72,72,…)、第3分配ポート(73,73,
…)、第4分配ポート(74,74,…)の順に連続し
て流通させ、上記第4分配ポート(74,74,…)か
ら排出して上記作動油供給系(150)に還流させるよ
うにしているため、すべての作動油を上記作動油供給系
(150)とカムモータ装置との間で還流させることが
でき、これにより、その油温が異常に上昇することを防
止してカムモータ装置の耐久性の向上を図ることができ
る。
【0037】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明による効果に加えて、駆動力を発生しない各シ
リンダ(5)対してチャージ圧の作動油を供給すること
により、回転抵抗を小さくさせつつ、上記各シリンダ
(5)内のピストン(6)とカム面(3a)との衝突を
防止して静粛性の向上とピストン(6,6,…)等の耐
久性の向上とを図るとができる。
【0038】請求項3記載の発明によれば、切換弁
(9)の弁体(92)内に形成された第5連通路(92
6)により、上記請求項2記載の発明による作用をコン
パクトな構成で確実に得ることができ、これにより、装
置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0039】請求項4記載の発明によれば、作動油供給
系(150)の排出側に圧油を供給するためのチャージ
ポンプ(16)から供給される作動油により、切換弁
(9)を確実に作動させることができ、これにより、切
換弁(9)の切換作動のための特別な駆動源を設けるこ
となく、上記切換作動を行なわせることができる。
【0040】請求項5記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明におけるシリンダブロック(2)及びカム
リング(3)の構成が具体的に特定され、出力軸(1
0)から駆動力を確実に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す一部切欠図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】カムリングと分配ポートとの位置関係を示す図
である。
【図4】分配ポートの構成を示す斜視図である。
【図5】給排操作弁の構成を示す拡大断面図である。
【図6】高速位置にあるときの図4相当図である。
【図7】従来のカムモータ装置における給排操作弁の構
成例を示す図である。
【符号の説明】
2 シリンダブロック 2a シリンダブロックの一端面 3 カムリング 3a カム面 5 シリンダ 6 ピストン 7 分配弁 7a 分配弁の一端面(接合端
面) 8a 第4環状連通路(第4連通
路) 8b 第2環状連通路(第2連通
路) 8c 第1環状連通路(第1連通
路) 8d 第3環状連通路(第3連通
路) 9 給排操作弁(切換弁) 13 ケーシング(本体) 16 チャージポンプ 21 被分配ポート 71 第1分配ポート 72 第2分配ポート 73 第3分配ポート 74 第4分配ポート 150 作動油供給系 92 切換弁の弁体 926 チャージ圧供給通路(第5
連通路) X 回転軸(シリンダブロック
の中心軸)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須原 正明 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキ ン工業株式会社 淀川製作所内 (56)参考文献 特開 昭55−153871(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F03C 1/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円柱状のシリンダブロック(2)と、内
    周側にカム面(3a)が形成され、上記シリンダブロッ
    ク(2)の外周面を囲んだ状態に配設されたカムリング
    (3)と、上記シリンダブロック(2)に対しその中心
    軸(X)を中心としてそれぞれ半径方向外方に延びてシ
    リンダブロック(2)の外周面に開口するよう放射上に
    配設された複数のシリンダ(5,5,…)と、上記カム
    面(3a)に対して進退するように上記各シリンダ
    (5)に収容されたピストン(6)と、上記シリンダブ
    ロック(2)の一端面(2a)に対し相対回転可能に接
    合されるよう配設されて作動油供給系(150)から供
    給される作動油を上記複数のシリンダ(5,5,…)の
    うちの上記カム面(3a)に向い上昇行程にある各ピス
    トン(6)に対応する各シリンダ(5)に対し分配供給
    する分配弁(7)とを備え、上記の上昇行程にある各ピ
    ストン(6)が上記カム面(3a)を押圧することによ
    り、非回転状態に固定された上記シリンダブロック
    (2)もしくは上記カムリング(3)の一方に対して他
    方が回転するように構成されたカムモータ装置におい
    て、 上記分配弁(7)を介して複数のシリンダ(5,5,
    …)に対し4つの群に分けて作動油を供給する第1,第
    2,第3及び第4の4つの連通路(8c,8b,8d,
    8a)と、 上記4つの連通路(8c,8b,8d,8a)を作動油
    供給系(150)の作動油の供給側もしくは排出側と選
    択的に接続して上記シリンダブロック(2)もしくはカ
    ムリング(3)の回転作動を低速もしくは高速に切換え
    る切換弁(9)とを備えており、 上記シリンダブロック(2)には、各シリンダ(5)と
    連通されて上記一端面(2a)において中心軸(X)を
    中心とする円周上に等間隔に開口する被分配ポート(2
    1,21,…)が設けられ、 上記分配弁(7)には、上記シリンダブロック(2)と
    の接合端面(7a)において4の倍数となる数の分配ポ
    ート(71,…,72,…,73,…,74,…)の各
    一端が、上記被分配ポート(21,21,…)と同一円
    周上に等間隔に開口するように配設され、 上記分配ポート(71,…,72,…,73,…,7
    4,…)は、周方向に3つおきに配設された第1分配ポ
    ート(71,…)により構成された第1の分配ポート群
    と、上記第1の各分配ポート(71)に対して上記シリ
    ンダブロック(2)の上記分配弁(7)に対する正転時
    相対回転の向きに隣接して配設された第2分配ポート
    (72,…)により構成された第2の分配ポート群と、
    上記第2の各分配ポート(72)に対して上記相対回転
    の向きに隣接して配設された第3分配ポート(73,
    …)により構成された第3の分配ポート群と、上記第3
    の各分配ポート(73)に対して上記相対回転の向きに
    隣接して配設された第4分配ポート(74,…)により
    構成された第4の分配ポート群との互いに同数の分配ポ
    ート(71,…,72,…,73,…又は74,…)か
    らなる第1,第2、第3及び第4の4つの分配ポート群
    にグループ分けされ、 上記各分配ポートの他端は、上記第1,第2,第3及び
    第4の4つの分配ポート群ごとに上記第1,第2、第3
    及び第4の4つの連通路(8c,8b,8d及び8a)
    と個別に連通され、 上記切換弁(9)は、 上記第1及び第3の2つの連通路(8c及び8d)又は
    上記第2及び第4の2つの連通路(8b及び8a)のう
    何れか一方の2つの連通路を上記作動油供給系(1
    50)の作動油の供給側に接続し、かつ、他方の2つの
    連通路を上記作動油供給系(150)の作動油の排出側
    に接続する低速位置と、 上記第1連通路(8c)又は第4連通路(8a)のうち
    の何れか一方を上記供給側に接続し、かつ、他方を上記
    排出側に接続するとともに、上記第2連通路(8b)と
    第3連通路(8d)とを互いに接続する高速位置とを備
    えていることを特徴とするカムモータ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 切換弁(9)は、高速位置において、第2連通路(8
    b)と第3連通路(8d)とを、作動油供給系(15
    0)の排出側にチャージ油を供給するチャージポンプ
    (16)の吐出側に接続するように構成されていること
    を特徴とするカムモータ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 切換弁(9)は、柱状に形成された弁体(92)と、こ
    の弁体(92)内に形成されて一端側がチャージポンプ
    (16)の吐出側に接続された第5連通路(926)と
    を備え、 上記第5連通路(926)は、上記弁体(92)の周面
    に開口する開口部を備え、この開口部は、上記切換弁
    (9)が高速位置にあるとき、上記第2連通路(8b)
    と第3連通路(8d)とに臨んで開口するように配設さ
    れていることを特徴とするカムモータ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 切換弁(9)は、チャージポンプ(16)から供給され
    る圧油により高速位置と低速位置とに切換えられるよう
    に構成されていることを特徴とするカムモータ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 カムリング(3)は、カムモータ装置の本体側(13)
    に対して非回転状態に固定されており、 シリンダブロック(2)は、上記本体側(13)に回転
    可能に支持されていることを特徴とするカムモータ装
    置。
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