JP3203723B2 - 還元ポリオキソアニオン系化合物の酸化方法 - Google Patents

還元ポリオキソアニオン系化合物の酸化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、還元されたポリオキソ
アニオン系化合物を触媒を用いて酸化する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオキソアニオン系化合物は、化学工
業において工業用触媒として極めて重要な化合物であ
る。
【0003】一般に、ポリオキソアニオン系化合物は強
い酸化剤であり、それらの酸化還元反応の多くが可逆的
であることが知られている。例えば、G.A.Tsig
dinosら(Topp.Curr.Chem.,7
6,1(1978))は、リン、モリブデン等からなる
ヘテロポリオキソアニオンのサイクリックボルタンメト
リーの測定から、その酸化還元反応が可逆的であること
を報告している。また、この酸化還元反応において、還
元されたポリオキソアニオン系化合物は、その溶液中に
おいて酸化剤、特に、酸素により可逆的に酸化されるこ
とが知られている。
【0004】例えば、K.I.Matveevら(Ki
net.Katal.,18,862(1977))、
や、P.Argitisら(Inorg.Chem.,
25,4386(1986))は、リン、モリブデン及
びバナジウムからなる還元されたヘテロポリオキソアニ
オンが酸素によって可逆的に酸化されることを報告して
いる。また、E.Papaconstantinou
(J.Chem.Soc.Chem.Commun.,
12(1982))は、リン、モリブデンからなる還元
されたヘテロポリオキソアニオンが酸素によって可逆的
に酸化されることを報告している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記引
用文献(Inorg.Chem.,25,4386(1
986)の4388ページ左欄第49〜51行、J.C
hem.Soc.Chem.Commun.,12(1
982)の13ページ右欄第19〜30行)、および、
C.L.Hillらの文献(J.Am.Chem.So
c.,107,5148(1985)の5152ページ
左欄第14〜22行)等に記載されているように、還元
されたポリオキソアニオン系化合物の酸化反応は、反応
速度が遅く、円滑に進行しないという問題点がある。そ
れ故、例えばポリオキソアニオン系化合物を触媒とする
プロセス等において、還元されたポリオキソアニオン系
化合物を液相で酸素により円滑に酸化する手法の開発が
望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような現状に鑑み、
本発明者らは還元されたポリオキソアニオン系化合物の
酸化反応に関して詳細に検討した。その結果、意外にも
触媒としてある種の金属化合物を使用すると、還元され
たポリオキソアニオン系化合物の酸化反応がより円滑に
進行するという新規な事実を見いだし本発明を完成する
に至った。
【0007】すなわち、本発明は還元されたポリオキソ
アニオン系化合物を、液相で酸素により酸化する方法に
おいて、触媒として、銅、鉄、コバルト及びマンガンか
ら選ばれた少なくとも一種以上の金属を含む金属化合物
を使用することを特徴とする、還元ポリオキソアニオン
系化合物の酸化方法に関する。
【0008】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0009】本発明において、ポリオキソアニオン系化
合物とは、例えば、M.T.Pope著Heterop
oly and Isopoly Oxometala
tesに記載されているように、ポリオキソアニオンと
1種、または2種以上の陽イオン(カウンターカチオ
ン)を含んでいるものを言う。
【0010】ポリオキソアニオン系化合物を構成するポ
リオキソアニオンは、次の一般式(1)(以下に式
(1)と略記する)によってあらわされる。 [X−m ・・・(1) ここで、Xは P、B、Si、As、Ge、Se、T
e、I、Co、Mn、Cuから選ばれる元素を示し、
L、M、及び、Nは Mo、W、V、Nb、Ta、Re
から独立的に選ばれた元素を示し、またOは酸素元素を
示す。一般に、ポリオキソアニオンは式(1)において
遷移金属L、M、Nの酸素酸が縮合することによって生
ずるイソポリオキソアニオンと、遷移金属L、M、Nの
酸素酸が、ヘテロ原子Xを中心に取り込んで、縮合酸基
が酸素を共有して縮合することによって生ずるヘテロポ
リオキソアニオンとの2種類が知られている。
【0011】また、ポリオキソアニオンには、L、M、
Nの元素が全て同一である単独金属成分型、および、
L、M、Nの元素が異なった2種以上を有する混合配位
型が知られている。xはイソポリオキソアニオンでは0
であり、また、ヘテロポリオキソアニオンではxは自然
数である。mはポリオキソアニオンの価数を示す。a、
b、c、z、及び、mは正の整数であり、a+b+cは
2以上である。また、ヘテロ原子Xを中心に持つヘテロ
ポリオキソアニオンはその構造に特徴があり、例えば、
式(1)において、x=1、a+b+c=12、z=4
0のものは、3個のMO八面体(M=Mo,W,V
等)が辺を共有してM13を形成し、これら4個が
1つのヘテロ原子X(X=P、Si等)を取り囲んでい
る、いわゆる”ケギン構造”をもつものとして知られて
いる。また、式(1)において、x=2、a+b+c=
18、z=62のものは、前記のM13 6個が2
つのヘテロ原子Xを取り囲んだいわゆる”ドーソン構
造”をもつものとして知られている。
【0012】ポリオキソアニオンのうち、式(1)にお
いて、x=0であるイソポリオキソアニオンとして、例
えば、 [Mo246−、[W10324− [Mo408−、[Mo195− [Mo266−、[Mo366− [WMo362−、[Mo36
4− などを挙げることができる。
【0013】また、ポリオキソアニオンのうち、式
(1)において、ヘテロポリオキソアニオンとして、x
=1のとき、例えば、[SiMo12404−
[SiMo404−、[SiW1240
4−、[PMo12403−、[PMo
403−、[PMo403−、[PMo
403−、[PMo409−、[P
Mo407−、[PMo
406−、[PMo10405−、[P
Mo11VO404−、[PW12403−
[PW11VO404−、[PW1040
5−、[GeMo12404−、[GeMo
404−、等x=2のとき、例えば、[PMo
18626−、[P18626−、[P
Mo15VO627−、[PMo12VO
627−、[As18626−、などを挙げ
ることができる。
【0014】本発明においては、ポリオキソアニオン
は、イソポリオキソアニオンでもヘテロポリオキソアニ
オンでもよいが、可逆的な酸化還元反応において安定な
ヘテロポリオキソアニオンがより好ましい。式(1)に
おいて、X、およびL、M、Nは、前述の元素からお互
いに独立的に選ばれる元素であってよく、また、L、
M、Nの元素がすべて同一であっても、また異なった2
種以上であってもよいが、Xとして、P、Si、及び、
L、M、NとしてMo、W、Vから選ばれた元素が好ま
しい。
【0015】また、本発明において、ポリオキソアニオ
ンは前記単独金属成分型、または混合配位型のいずれで
あってもよい。さらに、ポリオキソアニオンは、例えば
ヘテロポリオキソアニオンがケギン構造、ドーソン構造
などの種々の構造を有することが知られているように種
々の構造を有するが、本発明においては、ポリオキソア
ニオンはどのような構造を有していても特に差し支えな
い。また、一般に、ポリオキソアニオンは、しばしば溶
液中において複数の異なった組成、および構造のポリオ
キソアニオンの解離平衡状態にあることが知られている
が、本発明において、ポリオキソアニオンは溶液中で複
数の異なった組成、および構造のポリオキソアニオンの
解離平衡状態にあっても差し支えない。
【0016】一方、ポリオキソアニオン系化合物のカウ
ンターカチオンとしては、多くのカチオン種が知られて
いる。例えば、H、各種金属イオンであり具体的に例
示するとLi、Na,K、などのアルカリ金属イ
オン、Ca2+、Mg2+、などのアルカリ土類金属イ
オン、及び、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウ
ムイオン(2〜4級のアンモニウムイオン)等のオニウ
ムなどの非金属系陽イオン等が知られている。本発明に
おいて、カウンターカチオンは、これらより選ばれた1
種、または、2種以上であってよい。
【0017】また、一般にポリオキソアニオン系化合物
は、しばしば結晶水を有しているが、本発明において、
ポリオキソアニオン系化合物は結晶水を含んでいても一
向に差し支えない。
【0018】本発明において、還元されたポリオキソア
ニオン系化合物とは、前記ポリオキソアニオン系化合物
を還元することによって得られる還元されたポリオキソ
アニオン系化合物である。ポリオキソアニオン系化合物
が還元される反応は、一般にポリオキソアニオンが還元
され、還元ポリオキソアニオンを生成する反応であるこ
とが知られている。従って、還元されたポリオキソアニ
オン系化合物は、還元されたポリオキソアニオンとカウ
ンターカチオンを含んでいる。還元されたポリオキソア
ニオンは、次の一般式(2)(以下に式(2)と略記す
る)によってあらわされる。 [X−m−n ・・・(2) ここで、X、L、M、N、Oおよび、x、a、b、c、
z、mは、式(1)と同一の元素、または、数字を示
す。また、nは還元されたポリオキソアニオンの還元電
子数を示し、通常、nは0<n≦6である。
【0019】還元されたポリオキソアニオンは、式
(2)において、n=1、2、3、4、5、6の値に対
応して、それぞれ1、2、3、4、5、6電子還元され
たポリオキソアニオンをあらわす。これらの還元された
ポリオキソアニオンとしては、例えば、前記のイソポリ
オキソアニオンが還元されたもの、およびヘテロポリオ
キソアニオンが還元されたものを挙げることができる。
【0020】本発明において、還元されたポリオキソア
ニオンの還元電子数nは、必ずしも正の整数でなくても
よい。なぜなら、n=1〜6の還元電子数の異なる還元
されたポリオキソアニオンの混合物は、nが見かけ上整
数でなくなることがあるからである。また、還元された
ポリオキソアニオンと還元されていないポリオキソアニ
オンとが共存していてもよい。また、還元を受けたこと
によって生成し、還元されたポリオキソアニオン中に存
在している電子は、ポリオキソアニオンを構成している
特定の金属に局在化していても、あるいは、ポリオキソ
アニオン全体に非局在化していてもどちらでも差し支え
ない。さらに、還元されたポリオキソアニオンが複数の
異なった組成、または構造の還元されたポリオキソアニ
オンの解離平衡状態にあってもよく、このとき、還元さ
れたポリオキソアニオンが還元電子数の異なった還元さ
れたポリオキソアニオンや還元されていないポリオキソ
アニオンに解離していても差し支えない。
【0021】一方、ポリオキソアニオン系化合物が還元
され、還元されたポリオキソアニオン系化合物を調製す
る場合に、後述の還元剤の一部が還元されたポリオキソ
アニオン系化合物のカウンターカチオンとなるが、本発
明においては、還元剤の一部がカウンターカチオンにな
ったり、還元を受ける前のポリオキソアニオン系化合物
のカウンターカチオンと交換したりしても特に差し支え
ない。
【0022】本発明において、還元されたポリオキソア
ニオン系化合物は、ポリオキソアニオン系化合物から公
知の方法で還元することにより調製できる。例えば、水
素、または、ヒドラジン、しゅう酸、クエン酸、アスコ
ルビン酸、アルデヒド、アルコール、ケトン等のような
有機化合物、水素化ホウ素ナトリウム、硫酸第一鉄、塩
化第一銅、塩化第一錫等の金属塩、銅、鉄等の金属等の
ような還元剤により液相で還元する方法や、電気化学的
方法によって電子を与えることなどにより液相で還元す
る方法によって還元されたポリオキソアニオン系化合物
を得ることができる。本発明において、還元されたポリ
オキソアニオン系化合物は、それらいずれの方法によっ
て還元されたものであっても特に差し支えない。これら
の方法において、還元条件、還元剤の量等を変えること
によって、所望の還元電子数を有する還元されたポリオ
キソアニオン系化合物を得ることができる。
【0023】また、前記各種の還元されたポリオキソア
ニオン系化合物は、結晶水を有するものも含まれる。
【0024】本発明において、このように調製された還
元されたポリオキソアニオン系化合物は、本発明の触媒
の存在下酸化できる。本発明において、前述の還元され
たポリオキソアニオン系化合物の酸化とは、還元された
ポリオキソアニオン系化合物の還元電子数が減少するこ
とを意味する。従って、還元されたポリオキソアニオン
系化合物が酸化され、より酸化された状態の還元された
ポリオキソアニオン系化合物、または元のポリオキソア
ニオン系化合物、および、それらの混合平衡状態であっ
てもよい。
【0025】本発明において、還元されたポリオキソア
ニオン系化合物を酸化する反応において、触媒として、
銅、鉄、コバルト、マンガンから選ばれる少なくとも一
種を含む金属化合物が使用できる。この触媒として、少
なくとも1種の前記金属化合物を含有していれば特に限
定はない。金属化合物としては、例えば、前記金属の塩
酸塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩等の無機塩、酢
酸塩等の有機塩、アセチルアセトナト錯体、カルボニル
錯体、アンミン錯体等の錯塩等を挙げることができ、こ
れらの無機塩、有機塩、錯塩等は水和物であってもよ
い。また、金属化合物として、前記金属、または金属酸
化物等も使用することができる。さらに、これら金属化
合物は、シリカ、アルミナ、活性炭、その他公知の担体
に担持しても特に差し支えない。なお、これら金属化合
物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合物や
複合化合物等として併用してもよい。
【0026】本発明法で用いる触媒としての金属化合物
と、還元されたポリオキソアニオン系化合物との存在比
は特に限定されるものではないが、通常、還元されたポ
リオキソアニオン系化合物1モル当たり、金属化合物
0.0001〜50モルであり、好ましくは0.000
5〜20モル、さらに好ましくは0.002〜5モル程
度である。
【0027】本発明における還元されたポリオキソアニ
オン系化合物の酸化反応はそれらが溶解している溶液中
で行なうことができる。この溶媒としては還元されたポ
リオキソアニオン系化合物が溶解するものであればよ
く、通常、水を用いることができ、水溶液中において行
うことができる。本発明においては水溶媒を単独で用い
てもよいし、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジ
メチルホルムアミド、メチルエチルケトン、スルホラ
ン、エタノール、第3ブチルアルコール、ジオキサン、
酢酸等の極性溶媒を混合させてもよい。また、必要なら
ば、硫酸、硝酸、燐酸、塩酸等の鉱酸を適宜添加しても
差し支えない。
【0028】還元されたポリオキソアニオン系化合物の
濃度は、酸化反応条件において溶液となるような濃度で
あれば特に制限はないが、通常、0.01重量%〜80
重量%程度(飽和溶液)の濃度で酸化反応を行うことが
できる。
【0029】本発明において、還元されたポリオキソア
ニオン系化合物の酸化反応は酸化剤として酸素を共存さ
せることによって行なう。使用することのできる酸素
に、特に制限はないが、通常、純酸素、または、窒素等
の不活性ガスで希釈された空気等を用いることができ
る。また、有機過酸、過酸化水素等のすでに酸素が活性
化された酸化剤等を共存させて使用することも可能であ
る。酸素と還元されたポリオキソアニオン系化合物との
存在比は特に限定されるものではないが、通常、本酸化
反応において、還元されたポリオキソアニオン系化合物
に対してモル比で2モル以上の過剰量の酸素を存在させ
ることができる。酸素は、酸化反応において消費される
ので、適宜、酸素を補って反応を行うこともできる。酸
素を補う方法においては前記の存在比は特に過剰量でな
くても差し支えない。本発明における反応温度は、特に
制限はないが、通常、0〜200℃であり、好ましく
は、30〜150℃である。また、反応圧力は、常圧〜
高圧の広い範囲の中で適宜選定することができ、通常、
常圧〜100Kg/cm程度の範囲である。このと
き、酸素の分圧は、常圧〜50Kg/cm程度の範囲
で適宜選定することができる。
【0030】本発明の方法において、反応は回分方式、
半回分方式、連続方式など、いずれの方法でもよく、通
常は、常圧、または、加圧回分方式、常圧、または、加
圧半回分方式、あるいは、常圧、または、加圧での連続
方式などを採用することができる。本発明における反応
時間は、還元されたポリオキソアニオン系化合物の種
類、触媒量、反応圧力、反応温度等の反応条件、反応方
法等によって異なるため一義的に規定することはできな
いが、通常、回分方式の反応であれば数分から数時間の
間で、好ましくは、1分から24時間の間で反応を行な
うことができ、連続方式の反応の場合には、その接触時
間として、0.1〜10時間でよい。
【0031】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明がこれら実施例によって制限されるもの
ではないことは言うまでもない。
【0032】なお、実施例及び比較例において、酸化反
応の進行の程度は、以下に示す還元されたポリオキソア
ニオン系化合物の酸化率であらわす。還元されたポリオ
キソアニオン系化合物の酸化率は次の式(3)によって
算出される。 還元されたポリオキソアニオン系化合物の酸化率(%) =(A−B)×100/A ・・・(3) ここで、A、Bは A=酸化反応前の還元されたポリオキソアニオン系化合
物の還元電子数 B=酸化反応後の還元されたポリオキソアニオン系化合
物の還元電子数 である。ただし、還元されたポリオキソアニオン系化合
物が酸化反応によって完全に酸化され、還元を受けてい
ないポリオキソアニオン系化合物となった場合には、B
=0となる。
【0033】前記式(3)において、還元されたポリオ
キソアニオン系化合物の酸化率(%)は、還元されたポ
リオキソアニオン系化合物の還元電子数が酸化を受ける
ことによってどのくらいの割合で減少したかを示すもの
であり、この数値が100%に近いほど酸化反応は進行
したことを示す。
【0034】また、前記還元電子数の決定は、反応前後
における還元されたポリオキソアニオン系化合物のKM
nO溶液による滴定、または、紫外−可視−近赤外吸
収スぺクトル測定によって行った。
【0035】実施例1 滴下ロート、還流冷却管、100℃温度計、および、磁
気撹拌子を備えた500ml四ツ口フラスコ中に、ポリ
オキソアニオン系化合物として HPMo
40・30HO(日本無機化学社製)144.66g
(50mmol)と水100mlを加え、ポリオキソア
ニオン系化合物を溶解させた。水50mlにHNNH
・HO 1.25g(25mmol)を溶解し滴下
ロートにいれた。これをN雰囲気下、先のポリオキソ
アニオン系化合物水溶液に撹拌しながら30分かけて滴
下した。さらに40℃で3時間、60℃で1時間加熱撹
拌することによりポリオキソアニオン系化合物を還元し
た。反応後の溶液は濃紺色であった。この反応溶液を室
温まで冷却した後、水で希釈して、還元されたポリオキ
ソアニオン系化合物が0.2mol/l水溶液となるよ
うに調製した。KMnO溶液による滴定から、得られ
た還元されたポリオキソアニオン系化合物の還元電子数
は2電子であった。このようにして、0.2mol/l
2電子還元されたポリオキソアニオン系化合物 H
PMo40 水溶液を得た。前記の0.2mo
l/l 2電子還元されたポリオキソアニオン系化合物
PMo40 水溶液を30ml(2電子
還元されたポリオキソアニオン系化合物 HPMo
40 6.0mmol含有)、および、触媒とし
て硫酸銅・5水和物(CuSO・5HO) 0.0
300g(0.12mmol)をテフロン製撹拌翼付き
100mlオートクレーブに仕込み、酸素4kg/cm
(絶対圧)を圧入し、撹拌速度800rpmで撹拌し
ながら60℃で30分反応した。反応において、反応中
の圧力が一定となるように酸素を供給し補った。反応終
了後、放冷したのち、反応溶液をKMnO溶液で滴定
したところ、この反応による還元されたポリオキソアニ
オン系化合物の酸化率は26.1%であった。
【0036】すなわち、この反応により2電子還元され
たポリオキソアニオン系化合物 HPMo
40の還元電子は26.1%なくなったことになる。
【0037】実施例2 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物のかわりに、触媒
として硫酸第2鉄・5水和物(Fe(SO・5
O)0.0588g(0.12mmol)を用いた
こと以外は実施例1と全く同様の反応を行った。その結
果、還元されたポリオキソアニオン系化合物の酸化率は
13.4%であった。
【0038】比較例1 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物を添加しなかった
こと以外は以外は実施例1と全く同様の反応を行った。
その結果、還元されたポリオキソアニオン系化合物の酸
化率は1.8%であった。
【0039】実施例3 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物のかわりに、硫酸
コバルト・7水和物(CoSO・7HO)0.03
37g(0.12mmol)を用いたこと以外は実施例
1と全く同様の反応を行った。その結果、還元されたポ
リオキソアニオン系化合物の酸化率は14.4%であっ
た。
【0040】実施例4 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物のかわりに、硫酸
マンガン・4水和物(MnSO・4HO)0.02
58g(0.12mmol)を用いたこと以外は実施例
1と全く同様の反応を行った。その結果、還元されたポ
リオキソアニオン系化合物の酸化率は4.1%であっ
た。
【0041】実施例5 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において反応温度を100℃としたこと以外
は実施例1と全く同様の反応を行った。その結果、還元
されたポリオキソアニオン系化合物の酸化率は53.9
%であった。
【0042】実施例6 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物の量を、0.00
75g(0.03mmol)としたこと以外は実施例1
と全く同様の反応を行った。その結果、還元されたポリ
オキソアニオン系化合物の酸化率は24.9%であっ
た。
【0043】実施例7 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物の量を、0.29
96g(1.2mmol)としたこと以外は実施例1と
全く同様の反応を行った。その結果、還元されたポリオ
キソアニオン系化合物の酸化率は28.8%であった。
【0044】実施例8 実施例1において、還元されたポリオキソアニオン系化
合物の酸化において硫酸銅・5水和物の量を、2.99
6g(12.0mmol)、および反応温度を40℃と
したこと以外は実施例1と全く同様の反応を行った。そ
の結果、還元されたポリオキソアニオン系化合物の酸化
率は20.8%であった。
【0045】実施例9 滴下ロート、還流冷却管、100℃温度計、および、磁
気撹拌子を備えた500ml四ツ口フラスコ中に、ポリ
オキソアニオン系化合物として HPMo1240
・29HO(日本無機化学社製)11.74g(5m
mol)と、水100mlを加え、ポリオキソアニオン
系化合物を溶解させた。水50mlにHNNH・H
O 0.250g(5mmol)を溶解し滴下ロート
にいれた。これをN雰囲気下、先のポリオキソアニオ
ン系化合物水溶液に撹拌しながら30分かけて滴下し
た。さらに40℃で3時間、60℃で3時間加熱撹拌す
ることによりポリオキソアニオン系化合物を還元した。
反応後の溶液は濃紺色であった。この反応溶液を室温ま
で冷却した後、水及びHPOを加え還元されたポリ
オキソアニオン系化合物が0.02mol/l水溶液
(1重量%HPO含有)となるように調製した。
【0046】KMnO溶液による滴定から、得られた
還元されたポリオキソアニオン系化合物の還元電子数は
4電子であった。このようにして、0.02mol/l
4電子還元されたポリオキソアニオン系化合物 H
PMo1240 水溶液(1重量%HPO含有)
を得た。
【0047】前記の0.02mol/l 4電子還元さ
れたポリオキソアニオン系化合物HPMo1240
水溶液(1重量%HPO含有)を30ml(4電
子還元されたポリオキソアニオン系化合物 HPMo
1240 0.60mmol含有)、および、触媒と
して硫酸銅・5水和物 0.0300g(0.12mm
ol)を、テフロン製撹拌翼付き100mlオートクレ
ーブに仕込み、酸素4kg/cm(絶対圧)を圧入
し、撹拌速度800rpmで撹拌しながら60℃で30
分反応した。反応において、反応中の圧力が一定となる
ように酸素を供給し補った。反応終了後、放冷したの
ち、反応溶液をKMnO溶液で滴定したところ、この
反応による還元されたポリオキソアニオン系化合物の酸
化率は49.0%であった。
【0048】すなわち、この反応により4電子還元され
たポリオキソアニオン系化合物 HPMo1240
の還元電子は49.0%なくなったことになる。
【0049】実施例10 滴下ロート、還流冷却管、100℃温度計、および、磁
気撹拌子を備えた500ml四ツ口フラスコ中に、ポリ
オキソアニオン系化合物として HPMo10
40・31HO(日本無機化学社製)114.79g
(50mmol)と水100mlを加え、ポリオキソア
ニオン系化合物を溶解させた。水50mlにHNNH
・HO 1.25g(2.5mmol)溶解し滴下
ロートにいれた。これをN雰囲気下先のポリオキソア
ニオン系化合物水溶液に撹拌しながら30分かけて滴下
した。さらに40℃で3時間、60℃で3時間加熱撹拌
することによりポリオキソアニオン系化合物を還元し
た。反応後の溶液は濃青緑色であった。この反応溶液を
室温まで冷却した後、水で希釈して、還元されたポリオ
キソアニオン系化合物が0.2mol/l水溶液となる
ように調製した。
【0050】可視−近赤外吸収スペクトル測定より、得
られた還元されたポリオキソアニオン系化合物の還元電
子数は2電子であった。このようにして、0.2mol
/l2電子還元されたポリオキソアニオン系化合物 H
PMo1040 水溶液を得た。
【0051】前記の0.2mol/l 2電子還元され
たポリオキソアニオン系化合物 HPMo10
40 水溶液を30ml(2電子還元されたポリオキソ
アニオン系化合物 HPMo1040 6.0
mmol含有)、および、触媒として硫酸銅・5水和物
0.0300g(0.12mmol)を、テフロン製
撹拌翼付き100mlオートクレーブに仕込み、酸素4
kg/cm(絶対圧)を圧入し、攪拌速度800rp
mで攪拌しながら60℃で30分反応した。反応におい
て、反応中の圧力が一定となるように酸素を供給し補っ
た。反応終了後、放冷したのち、反応溶液を可視−近赤
外吸収スペクトル測定したところ、この反応による還元
されたポリオキソアニオン系化合物の酸化率は15.8
%であった。 すなわち、この反応により2電子還元さ
れたポリオキソアニオン系化合物HPMo10
40の還元電子は15.8%なくなったことになる。
【0052】
【発明の効果】本発明において、金属化合物を触媒とし
て使用することにより還元ポリオキソアニオン系化合物
を酸素によって円滑に酸化することができる。
【0053】従来、問題となっていた還元されたポリオ
キソアニオン系化合物の酸化は、本発明によって触媒的
に促進することができるようになり、本発明は、ポリオ
キソアニオン系化合物を触媒とするプロセス等において
工業的にも利用価値の極めて高いものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 27/19 B01J 37/14 C01G 39/00 C01G 41/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】還元されたポリオキソアニオン系化合物を
    液相で酸素酸化する方法において、触媒として、銅、
    鉄、コバルト及びマンガンから選ばれた少なくとも一種
    以上の金属を含む金属化合物を使用することを特徴とす
    る還元ポリオキソアニオン系化合物の酸化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102493969B1 (ko) * 2020-12-02 2023-02-06 엔피씨(주) 물품 적재용 파렛트

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