JP3202136B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、にきびの防止あるいは
その治療に優れた効果を発揮する皮膚外用剤に関する。

【０００２】

【従来技術及び発明が解決しようとする課題】にきび
（痙瘡）は、皮膚の体裁を醜くし、且つ屡々厄介な症状
を伴い、特に皮脂腺に富む皮膚の領域、顔、頸、背に発
生する。にきびの発生因子はいまだ明確ではないが、皮
脂の過剰排出、皮脂成分異常、毛包脂腺系排出管の閉
塞、さらに毛包脂腺管内の常在細菌の関与などであると
されている。実際には、これらの発生因子が複合的に作
用して、にきびの面皰、丘疹、膿疱等の特徴的な症状が
現れる。にきびは病的な皮脂排出でなく、思春期におけ
る生理的な変調として皮脂排出の急激な増大時期など
に、特にその手入れを怠ると毛包脂腺管内の常在細菌、
即ち嫌気性細菌プロピオニバクテリウム・アクネス（Ｐ
ｒｏｐｉｏｎｉｂａｃｔｅｒｉｕｍ ａｃｎｅｓ）の異
常増殖がおこり、細菌由来の様々な炎症性物質が皮膚に
炎症をもたらし発生することになる。

【０００３】このような背景にあって、にきびの治療剤
としては、エリスロマイシン、テトラサイクリンなどの
抗生物質やイオウ、レゾルシン、サリチル酸などの角質
の剥離溶解剤が用いられている。

【０００４】ところが、エリスロマイシン、テトラサイ
クリンなどの抗生物質は、抗菌スペクトルが広すぎる
為、プロピオニバクテリウム・アクネス以外の皮膚上の
有用微生物まで殺してしまい、また服用による副作用の
危険も懸念される。一方、イオウ、レゾルシン、サルチ
ル酸などにより期待される角質の剥離作用はたび重なる
塗布によってにきび周囲の皮膚に刺激を与え、治療効果
上の個人差も大きく、充分なものと言えない。このよう
に、既存のにきびの治療剤は十分満足されるものではな
い。

【０００５】したがって、確実な治療効果を発揮し、か
つ副作用の少ないにきび治療剤、例えばプロピオニバク
テリウム・アクネスのみに対して抗菌作用を示す低刺激
性の抗菌性組成物が望まれていた。そこで本発明の目的
は、殺菌作用によってにきびの防止あるいはその治療に
おいて優れた効果を発揮する皮膚外用剤を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記事情に
鑑み、鋭意研究を重ねた結果、トレハロース−６−脂肪
酸エステルは、安全性が高く、プロピオニバクテリウム
・アクネスに対して特異的に抗菌活性を示し、さらにこ
れを配合する化粧料がにきびに有用であることを見出
し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の請求項
１は、トレハロース−６−脂肪酸エステルを配合してな
るにきび用皮膚外用剤である。また、本発明の請求項２
は、トレハロース−６−脂肪酸エステルを配合すること
を特徴とするにきび用化粧水である。本発明の請求項３
は、トレハロース−６−脂肪酸エステルを配合すること
を特徴とするにきび治療剤である。

【０００７】本発明の皮膚外用剤又は化粧水に配合する
トレハロース−６−脂肪酸エステルは、トレハロースと
脂肪酸の低級アルキルエステルとのエステル交換によっ
て得ることができる。また、脂肪酸低級エステルとして
は、大豆脂肪、牛脂、ヤシ油、オリーブ油等の天然由来
の脂肪酸と低級アルコールとの通常の方法（ＵＳＰ２８
９３９９０号公報、特開昭３６−２１７１７号公報、Ｕ
ＳＰ３４８０６１６号公報、特開昭５３−６１３０号公
報、ＵＳＰ３９６３６９９号公報）による脂肪酸エステ
ルを用いることもできる。

【０００８】この具体的な製造例は、特開平５−１６８
８９３号公報に詳述されている。これらの方法によって
得られた主反応生成物として、本発明のトレハロース−
６−脂肪酸エステルを得ることができる。また、未反応
のトレハロースや副生成物としてトレハロース−６，
６’−脂肪酸ジエステルも生成されるが、これらが混在
した状態でも本発明の効果は維持されるために問題には
ならない。

【０００９】本発明に使用するトレハロース−６−脂肪
酸エステルはプロピオニバクテリウム・アクネス（アク
ネ菌）に対して特異的に抗菌活性を示すことが本発明で
見出された。

【００１０】本発明のトレハロース−６−脂肪酸エステ
ルの皮膚外用剤又は化粧水への配合量は特に限定されず
広範囲に選択することができるが、実効濃度や経済性を
考慮して、化粧料の総量を基準として０．０２５〜３０
重量％とするのが好ましい。

【００１１】本発明の皮膚外用剤は、常法に従って、乳
液類、クリーム類、軟膏類、パック類、パウダー類、洗
顔料類、石けん類等の剤型にすることが可能であるが、
その特性上化粧水類が特に望ましい。

【００１２】本発明の皮膚外用剤又は化粧水には、界面
活性剤、保湿剤、ｐＨ調整剤、増粘剤、色素、香料、殺
菌剤、防腐剤、角質溶解剤、消炎剤、抗酸化剤、紫外線
吸収剤、顔料等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜
配合することができる。

【００１３】

【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
を詳説する。実施例に記載したヒト皮膚貼布試験、にき
び治療効果試験の方法は次の通りである。

【００１４】（１）ヒト皮膚貼布試験 被検者２５名の前腕屈側部皮膚に試料０．０５ｇを直径
１．０ｃｍの円型のリント布のついた貼布試験用絆創膏
を用いて２４時間の閉塞貼布した。次いで、表１の判定
基準に従って、絆創膏除去１時間後、２４時間後の判定
を実施した。判定結果は、反応の強い方の評価を採用
し、被検者２５名のうち評価が（±）以上と判定された
人の数で示した。

【００１５】

【表１】

【００１６】（２）にきび治療効果試験 顔面ににきび症状を有する被検者２０名の顔面の左部に
対照品（基剤のみの組成物）を、右部には実施例あるい
は比較例の試験品を各々１日に朝夕２回ずつ１ヶ月間連
続塗布した。次いで、にきび症患部の治療効果を表２の
判定基準に従って、半顔比較法にて判定した。判定結果
は、評価点の平均値で示した。

【００１７】

【表２】

【００１８】実施例１〜７，比較例１〜４ 表３に記載の成分組成において、各種トレハロース−６
−脂肪酸エステルを配合して各々の化粧水を常法により
調整し、ヒト皮膚貼布試験及びにきび治療効果試験を実
施し、その結果を表４に示した。

【００１９】

【表３】

【００２０】

【表４】

【００２１】この結果から、トレハロース−６−脂肪酸
エステルを配合した本発明のにきび用化粧水は（実施例
１〜７）は明らかに皮膚刺激もなく、にきび治療効果が
認められた。

【００２２】実施例８（乳液） 次の配合組成からなる乳液を調製した。 ステアリン酸 １．５重量％ セチルアルコール １ ワセリン ４ 液状パラフィン ８ ＰＯＥモノオレート（Ｅ．Ｏ．：２０） ２ トリエタノールアミン １ ６−ウンデシノイルトレハロース １ 香料 適量 イオン交換水 残量

【００２３】実施例９（クリーム） 次の配合組成からなるクリームを調製した。 ステアリン酸 ７重量％ セチルアルコール ３ ミツロウ ２ オリーブ油 １５ ＰＯＥソルビタンモノオレート（Ｅ．Ｏ．：２０） ２ ６−ラウロイルトレハロース １ イオン交換水 残量

【００２４】実施例１０（洗顔料） 次の配合組成からなる洗顔料を調製した。 ミリスチン酸 １５重量％ ラウリン酸 ８ グリセリン ２０ 水酸化カリウム ５ ６−ミリストイルトレハロース ５ イオン交換水 残量

【００２５】実施例１１（身体洗浄料） 次の配合組成からなる身体洗浄料を調製した。 ヤシ油脂肪酸カリウム ２０重量％ ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド ５ プロピレングリコール ５ トレハロース−６−ヤシ油脂肪酸 ５ 香料 適量 イオン交換水 残量

【００２６】実施例８〜１１の乳液、クリーム、洗顔
料、身体洗浄料はトレハロース脂肪酸エステルを配合し
ないものに比べてにきびの防止あるいはその治療効果に
すぐれていた。

【００２７】以上記載の如く、本発明が、殺菌作用によ
りにきびの防止あるいはその治療に用いて優れた効果を
発揮するにきび用皮膚外用剤を提供することは明らかで
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/50 A61K 31/7016 A61K 31/7024

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トレハロース−６−脂肪酸エステルを配
   合することを特徴とするにきび用皮膚外用剤。
2. 【請求項２】 トレハロース−６−脂肪酸エステルを配
   合することを特徴とするにきび用化粧水。
3. 【請求項３】 トレハロース−６−脂肪酸エステルを配
   合することを特徴とするにきび治療剤。