JP3200136B2 - 溶接ロボットの溶接位置補正方法及び溶接位置補正装置 - Google Patents

溶接ロボットの溶接位置補正方法及び溶接位置補正装置

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JP3200136B2
JP3200136B2 JP04559492A JP4559492A JP3200136B2 JP 3200136 B2 JP3200136 B2 JP 3200136B2 JP 04559492 A JP04559492 A JP 04559492A JP 4559492 A JP4559492 A JP 4559492A JP 3200136 B2 JP3200136 B2 JP 3200136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は溶接ロボットの溶接位
置補正方法及び溶接位置補正装置に係り、さらに詳しく
は、溶接線を検出して溶接位置を補正しながら溶接を行
なうための溶接ロボットの溶接位置補正方法及び溶接位
置補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レンジファインダ、タッチセンサ等によ
る溶接センサを用いた溶接ロボットシステムでは、溶接
位置とその進行方向前方の検出位置とが一定距離を有す
るため、検出したずれ補正量の出力を溶接速度に応じて
遅延させる必要がある。
【0003】これまでのこの種の考案として、FIFO
(First-In First-Out)メモリを使用して遅延させ、遅
延させたデータから溶接位置とのオフセットベクトルを
計算し、ロボットマニュピレータを補正制御させるもの
がある(特開平2−12504号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな技術にあっては、実用上の問題点として以下の点が
あげられる。 (1)単にFIFOメモリで遅延させる場合、センサ側
の検出周期とロボット側での補正周期の同期をとる必要
がある。このため、どちらか速い方の周期に合わせなけ
ればならないので、センサ及びロボットの性能を充分発
揮できない。このことは、特に高速溶接を行なう場合、
補正間隔が長くなるので精度低下の大きな要因となる。 (2)センサで検出した溶接線位置自体が検出誤差を含
むので、この値をそのままずれ補正量としてロボットに
フィードバックした場合にハンチングを起こす要因とな
る。 (3)センサを使用したトラッキングの途中で、タック
やキズ等があった場合、センサはその部分に対して検出
不能や誤検出を行なう場合がある。この時、ロボットに
対して正しいずれ補正指令をかけられないか、あるいは
溶接中止指令を出してしまう。このため、センサを使用
しているにもかかわらず信頼性が低下する。
【0005】この発明は、上記従来のもののもつ問題点
を解決して、検出手段の検出周期と溶接ロボットの補正
周期とを同期させずに、溶接線のずれ補正量を溶接ロボ
ットにフィードバックさせて溶接位置を補正することの
できる溶接ロボットの溶接位置補正方法及び溶接位置補
正装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するため、溶接トーチから溶接進行方向前方に所定距
離離れて装着された検出手段を備え、この検出手段が検
出したワークの形状データに基づく溶接線位置と、あら
かじめ設定されている目標溶接線位置との誤差を、ずれ
補正量として所要時間だけ遅延させて溶接ロボットの制
御装置にフィードバックすることで、実際の溶接位置を
補正する溶接ロボットの溶接位置補正方法において、前
記検出手段がワークの形状データを所定の周期で検出
し、検出されたワークの形状データに基づく前記溶接線
位置と前記目標溶接線位置との誤差であるずれ補正量
を、前記所定の周期でシフトレジスタに順送りで格納し
ていき、溶接ロボットの前記制御装置からリクエストが
あると、その時点から前記所要時間だけ遡った所定時点
の前後で既に格納されているずれ補正量を前記シフトレ
ジスタから取り出し、このずれ補正量に基づいて前記所
定時点に相当するずれ補正量を導き出し、得られた前記
所定時点に相当するずれ補正量を溶接ロボットの前記制
御装置にフィードバックするものである。
【0007】また、この発明は、請求項1記載の発明に
おいて、溶接ロボットの前記制御装置にフィードバック
した前記ずれ補正量を前記シフトレジスタにもフィード
バックして、シフトレジスタに格納されているすべての
ずれ補正量のデータを、前記フィードバックしたずれ補
正量との差分をとったデータに置き換えるものである。
【0008】また、この発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記検出手段が任意の検出周期にワークの形状
データを検出できないとき、当該検出周期のずれ補正量
として無効を表わすデータをシフトレジスタに格納し、
前記シフトレジスタから格納されているずれ補正量を取
り出す際、前記無効を表わすデータについては無視し、
その前後のずれ補正量に基づいて所定時点に相当するず
れ補正量を導き出すものである。
【0009】さらに、この発明は、溶接トーチから溶接
進行方向前方に所定距離離れて装着された検出手段を備
え、この検出手段が検出したワークの形状データに基づ
く溶接線位置と、あらかじめ設定されている目標溶接線
位置との誤差を、ずれ補正量として所要時間だけ遅延さ
せて溶接ロボットの制御装置にフィードバックすること
で、実際の溶接位置を補正する溶接ロボットの溶接位置
補正装置において、前記検出手段にワークの形状データ
を所定の周期で検出させるタイミング信号発生手段と、
前記検出手段が検出したワークの形状データに基づく前
記溶接線位置と前記目標溶接線位置との誤差であるずれ
補正量を、前記所定の周期で順送りで格納していくシフ
トレジスタと、溶接ロボットの前記制御装置からリクエ
ストがあると、その時点から前記所要時間だけ遡った所
定時点の前後で既に格納されているずれ補正量を前記シ
フトレジスタから取り出し、このずれ補正量に基づいて
前記所定時点に相当するずれ補正量を導き出す近似計算
手段とを備え、得られた前記所定時点に相当するずれ補
正量を溶接ロボットの前記制御装置にフィードバックす
るように構成したものである。
【0010】
【作用】この発明によれば、検出手段がワークの形状デ
ータを所定の周期で検出し、検出されたワークの形状デ
ータに基づく溶接線位置と目標溶接線位置との誤差であ
るずれ補正量を、前記所定の周期でシフトレジスタに順
送りで格納していき、溶接ロボットの制御装置からリク
エストがあると、その時点から所要時間だけ遡った所定
時点の前後で既に格納されているずれ補正量を前記シフ
トレジスタから取り出し、このずれ補正量に基づいて前
記所定時点に相当するずれ補正量を導き出し、得られた
前記所定時点に相当するずれ補正量を溶接ロボットの前
記制御装置にフィードバックするので、検出手段の検出
周期と溶接ロボットの補正周期とを同期させずに溶接位
置を補正することができ、そのため、検出手段および溶
接ロボット双方の処理能力を低減させることがない。
【0011】また、この発明によれば、溶接ロボットの
制御装置にフィードバックしたずれ補正量をシフトレジ
スタにもフィードバックして、シフトレジスタに格納さ
れているすべてのずれ補正量のデータを、前記フィード
バックしたずれ補正量との差分をとったデータに置き換
えるので、溶接ロボットがフィードバックされたずれ補
正量にしたがって溶接位置を補正することで、溶接ロボ
ット自身の物理的位置が修正されるのに合わせて、シフ
トレジスタに格納されているすべてのずれ補正量のデー
タを修正することができる。
【0012】また、この発明によれば、検出手段が任意
の検出周期にワークの形状データを検出できないとき、
当該検出周期のずれ補正量として無効を表わすデータを
シフトレジスタに格納し、前記シフトレジスタから格納
されているずれ補正量を取り出す際、前記無効を表わす
データについては無視し、その前後のずれ補正量に基づ
いて所定時点に相当するずれ補正量を導き出すので、検
出手段の検出誤差によるバラツキ分が抑えられ、そのた
め、溶接ロボットのハンチング等を生じにくい。
【0013】さらに、この発明によれば、検出手段にワ
ークの形状データを所定の周期で検出させるタイミング
信号発生手段と、前記検出手段が検出したワークの形状
データに基づく溶接線位置と目標溶接線位置との誤差で
あるずれ補正量を、前記所定の周期で順送りで格納して
いくシフトレジスタと、溶接ロボットの制御装置からリ
クエストがあると、その時点から所要時間だけ遡った所
定時点の前後で既に格納されているずれ補正量を前記シ
フトレジスタから取り出し、このずれ補正量に基づいて
前記所定時点に相当するずれ補正量を導き出す近似計算
手段とを備え、得られた前記所定時点に相当するずれ補
正量を溶接ロボットの前記制御装置にフィードバックす
るように構成したので、検出手段の検出周期と溶接ロボ
ットの補正周期とを同期させずに溶接位置を補正するこ
とができ、そのため、検出手段および溶接ロボット双方
の処理能力を低減させることがない。
【0014】
【実施例】以下この発明の好適な一実施例を図面に基づ
いて説明する。この発明に係る溶接ロボットの溶接位置
補正装置1を用いた溶接システム3の全体ブロック図を
図4に示す。この溶接システム3は、溶接用のトーチ5
をアーム7の先端に装備した(自動溶接機としての)溶
接ロボット9と、この溶接ロボット9の動きを制御する
制御装置としてのロボットコントローラ11と、溶接線
検出手段としてのセンサ13を制御するセンサコントロ
ーラ15と、ロボットコントローラ11に制御されてト
ーチ5に溶接電流を供給する溶接電源17を有してい
る。なお、溶接ロボット9の具体的な構成はすでに公知
であるため、詳細な説明を省略する。
【0015】センサ13はトーチ5に対して溶接進行方
向(X軸方向)前方(図中左前方向)に取付けられてお
り、トーチ5先端の溶接位置とセンサ13の検出中心位
置との間隔はL(mm)である。
【0016】センサ13が検出したワークWの形状デー
タは、センサコントローラ15に送られてずれ補正指令
値が演算され、ロボットコントローラ11に出力され
る。従って、このずれ補正指令値に従って、逐次トーチ
5の進行方向を修正しながら溶接を行なっていくことに
なる。
【0017】ここで、ロボット9の座標系として、溶接
進行方向をX軸、ワークWに対して上下方向をZ軸、X
軸に直交した水平な軸をY軸と定義し、トーチ5のずれ
補正は説明上、Y、Z軸方向に行なうものとする。
【0018】また、以後の説明においては、溶接速度を
V(mm/sec)として考える。但し、VはワークWとトーチ
5の相対速度を表すものであり、ワークWが固定されて
トーチ5が移動する場合でも、トーチ5が固定されてワ
ークWがハンドリングロボット等により移動する場合で
も同様に取り扱うことができる。
【0019】以下、例としてワークWが固定されてトー
チ5が移動する場合について説明する。図1にはセンサ
コントローラ15の構成を示す。このセンサコントロー
ラ15は、センサ13からのワーク形状データを受けて
溶接線位置y,zを検出する溶接線位置検出手段19を
備えている。この溶接線位置検出手段19は、例えば、
特開平3−204178等に示されているが、この他に
も色々考えられる。いずれの手法を用いてもよい。そし
て、センサ13に同期信号を送るとともに、溶接線位置
検出手段19へタイミングtsを送るタイミングブロッ
ク21と、溶接方向と直交する方向へのずれ補正量を遅
延させるY軸遅延ブロック23と、上下方向へのずれ補
正量を遅延させるZ軸遅延ブロック25とを備え、I/
Oポート27からロボットコントローラ11へ補正指令
を発するものである。また、目標溶接位置y,z
あらかじめ設定する目標溶接線位置設定手段29を備え
ている。
【0020】次に、同じく図1に基づいて、溶接線のず
れ量の求め方について説明する。溶接線のずれ量Δy,
Δzは、センサ13からのワーク形状データを受けて溶
接線位置検出手段19により検出された溶接線位置y,
zと、目標溶接線位置設定手段29によりあらかじめ設
定されている目標溶接位置y,zを比較してその差
として求める。すなわち、Δy=y−y,Δz=z−
となる。
【0021】このずれ量は、タイミングブロック21で
生成されるタイミングts(sec)毎に演算が行なわれて
Y,Z軸遅延ブロック23,25に出力される。図3を
併せて参照するに、タイミングtsはセンサ13からの
形状データ検出終了後に発生するタイミング信号であ
る。
【0022】図1には遅延ブロック23,25として、
Y軸遅延ブロック23のみについて詳細を示したが、Z
軸遅延ブロック25についても全く同様であるので図示
及び説明を省略する。
【0023】Y軸遅延ブロック23は、N個のバッファ
を有するシフトレジスタ31と、センサ13が形状デー
タを検出してからの時間td(sec)を計測するタイマ
ー手段33を有している。このタイマー手段33は、t
sの立上がりでリセットされる実時間タイマーである。
さらに、センサ13及びロボットコントローラ11間の
通信遅延時間、ロボットコントローラ11の補正処理に
係る遅延時間等の信号データフィードバックに係る遅延
時間td(sec)をあらかじめ設定しておく遅延時間手
段35を備えている。そして、シフトレジスタ31から
のデータや、タイマー手段33、遅延時間手段35のデ
ータに基づいて所定時間におけるずれ補正量を計算する
近似計算手段37を備えている。
【0024】このY軸遅延ブロック23においては、Y
軸ずれ量Δyは、SCLK入力端子に接続されたタイミ
ングtsでシフトレジスタ31のバッファIにタイミン
グtsで次々に格納されていく。この時、バッファNに
格納されていたデータは不要なので消去される。
【0025】次に、図3(A),(B)に基づいてタイ
ミングts,tdを説明する。tdのパルスでセンサ1
3の形状データ検出をスタートし、検出終了した時点で
tsのパルスを立てる。このパルスを見て溶接線位置計
算を行なってずれ量計算を行なう。
【0026】ここで、形状データ検出期間をt(se
c)、溶接線位置計算期間をt(sec)、ずれ量計算期間
をt(sec)とすると、ずれ量検出までに要するセンサ
13の処理時間は、t+t+t(sec)となる。t
dは、これより長い周期t(sec)毎にパルスを発生す
る。つまり、t>t+t+tである。
【0027】次に、以上のシフトレジスタ31内(バッ
ファI〜N)のずれ量と、遅延時間td,tdから
近似計算を行なう方法について説明する。
【0028】この近似計算は、ロボットコントローラ1
1からのリクエスト信号が近似計算手段37に入力され
たときに、ずれ補正量FΔy(T)を求めるためのもの
であり、その結果がロボットコントローラ11へ出力さ
れる。
【0029】近似計算を行なうためには近似計算点前後
のずれ量を必要とするが、これはシフトレジスタ31に
格納されたずれ量を用いる。
【0030】ここで、シフトレジスタ31の第一段目の
レジスタであるバッファIには、現時点よりも(td
+t)(sec)以前のずれ量Δy(td+t)が格納さ
れていることとなり、バッファIIには(td+2t)
(sec)以前のずれ量Δy(td+2t)(sec)が格納さ
れていることになる。
【0031】図2に基づいて、ロボットコントローラ1
1からのリクエストが来たときの近似計算方法について
説明する。
【0032】図2(A)を参照するに、まず、センサ1
3は溶接トーチ5に対して距離L(mm)だけ先読みしてい
るので、速度V(mm/sec)で動いていた場合には、L/V
(sec)だけ遅れた時点でのずれ補正量を溶接ロボット9
に送らなければならない。但し、実際はセンサ13と溶
接ロボット9間の通信にかかる時間や、溶接ロボット9
側で補正処理を行なう時間も考慮に入れるべきであるの
で、この遅れ時間をtd(sec)としてあらかじめ設定
しておく。つまり、T=L/V−td(sec)が、現時
点に対する実際にずれ補正量を出力すべき遅れ時間であ
る。
【0033】次に、シフトレジスタ31から、T(sec)
前付近のずれ量データを取出す。 ……,Δy(td+Pt)≦T<Δy(td+(P
+1)t),……
【0034】次に、これらのデータより近似式FΔy
(t)を立てる。近似式は、溶接線が直線であると限定
されていれば1次近似式で良いが、曲線も含まれる場合
であれば2次以上の高次近似式にあてはめてもよい。図
2(A)には1次近似式を用いた場合を示している。ま
た、近似式という手段で説明しているが、補間式を用い
てもよい。これらの式の導出には、最小二乗近似法等各
種の方法が考えられるが、いずれの方法を用いても良
い。
【0035】この式に対して、遅れ時間T(sec)をあて
はめると、補正すべきずれ補正量Y(mm)が求まる。つま
り、Y=FΔy(T)(mm)である。また、数個分のデー
タの平均又は中央値をとり、これをY(mm)としてもよ
い。
【0036】一方、Z軸方向のずれ補正量Zも全く同様
にして、Z=FΔz(T)(mm)から求めることができ
る。このようにして求められたずれ補正量Y,Zは、図
1に示すようにセンサコントローラ15内のI/Oポー
ト27を介してロボットコントローラ11へ送出され
る。
【0037】また、溶接ロボット9へ送出されたずれ補
正量Y(mm)は、シフトレジスタ31内に格納されたずれ
補正量データΔy(td+t)……にフィードバック
する。
【0038】すなわち、図2(B)を参照するに、Δy
(td+t)……のずれ量に対してYを減算し、この
結果を再格納する。これをシフトレジスタ31内の全て
のバッファに対して行なう。これは、ずれ補正量を溶接
ロボット9へ送出することによってワークWに対する溶
接ロボット9の物理的位置が修正されるので、これに合
わせて、修正される前に検出されたずれ量も修正する必
要があるからである。この修正からt(sec)経過後のず
れ量を図2(C)に示している。
【0039】これにより、センサ13の検出周期と溶接
ロボット9の補正周期が同期せずとも正確なずれ補正処
理が実現できる。また、検出ずれ量に含まれる検出誤差
によるばらつきも低減できる。
【0040】一方、図1に戻って、溶接線位置検出手段
19では、位置検出ができなかった場合、あるいは、あ
らかじめ設定された値よりも大きな位置データとなった
場合、無効コードをシフトレジスタ31に格納するよう
にする。無効コードは、例えば、”99999”といっ
た数値でも良い。近似計算手段37では、シフトレジス
タ31からずれ量データを取り出す際に、無効コードが
あった場合にはこれを無視する。また、無効コードの連
続性についてもチェックを行ない、あらかじめ設定され
た値よりも長く無効コードが続いたら溶接終了命令を出
力する。
【0041】これにより、溶接途中でのイレギュラーに
よるセンサ検出データの欠落やミスに影響されない。
【0042】このように、センサ13の検出周期でずれ
補正量を順次シフトレジスタ31に格納していき、ロボ
ットコントローラ11からのずれ補正量出力要求がきた
時に遅延時間前後に相当するずれ補正量より補間又は近
似方程式を用いて、遅延時間に相当するずれ補正量を導
き出してこれをロボットコントローラ11に出力するの
で、センサ13とロボットコントローラ11は非同期で
ずれ補正量の送受ができる。従って、互いの処理能力を
低減させることがない。
【0043】また、このような処理において、遅延時間
前後複数個のずれ補正量から近似計算式を求めれば、検
出誤差によるバラツキ分が抑えられるので、この値を溶
接ロボット9へフィードバックすればハンチング等を生
じにくい。又は、複数個のずれ補正量の平均値や中央値
をずれ補正量とすることもできる。
【0044】さらに、上記処理において、タックやキズ
等による数個の有効値欠如に対しても、その前後の有効
値を用いて近似計算式を立てればこの間の補正も可能で
ある。
【0045】なお、この発明は、前述した実施例に限定
されることなく、適宜の変更を行なうとにより、その他
の態様で実施し得るものである。
【0046】
【発明の効果】この発明は以上のように、溶接トーチか
ら溶接進行方向前方に所定距離離れて装着された検出手
段を備え、この検出手段が検出したワークの形状データ
に基づく溶接線位置と、あらかじめ設定されている目標
溶接線位置との誤差を、ずれ補正量として所要時間だけ
遅延させて溶接ロボットの制御装置にフィードバックす
ることで、実際の溶接位置を補正する溶接ロボットの溶
接位置補正方法において、前記検出手段がワークの形状
データを所定の周期で検出し、検出されたワークの形状
データに基づく前記溶接線位置と前記目標溶接線位置と
の誤差であるずれ補正量を、前記所定の周期でシフトレ
ジスタに順送りで格納していき、溶接ロボットの前記制
御装置からリクエストがあると、その時点から前記所要
時間だけ遡った所定時点の前後で既に格納されているず
れ補正量を前記シフトレジスタから取り出し、このずれ
補正量に基づいて前記所定時点に相当するずれ補正量を
導き出し、得られた前記所定時点に相当するずれ補正量
を溶接ロボットの前記制御装置にフィードバックするよ
うに構成したので、検出手段の検出周期と溶接ロボット
の補正周期とを同期させずに溶接位置を補正することが
でき、そのため、検出手段および溶接ロボット双方の処
理能力を低減させることがなく、検出手段の性能および
溶接ロボットの性能を、相互に依存せずに独立して発揮
することができる効果がある。
【0047】また、この発明は、請求項1記載の発明に
おいて、溶接ロボットの前記制御装置にフィードバック
した前記ずれ補正量を前記シフトレジスタにもフィード
バックして、シフトレジスタに格納されているすべての
ずれ補正量のデータを、前記フィードバックしたずれ補
正量との差分をとったデータに置き換えるように構成し
たので、溶接ロボットがフィードバックされたずれ補正
量にしたがって溶接位置を補正することで、溶接ロボッ
ト自身の物理的位置が修正されるのに合わせて、シフト
レジスタに格納されているすべてのずれ補正量のデータ
を修正することができ、それにより、以後のリクエスト
に応じて、適正なずれ補正量を溶接ロボットの制御装置
にフィードバックすることができる効果がある。
【0048】また、この発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記検出手段が任意の検出周期にワークの形状
データを検出できないとき、当該検出周期のずれ補正量
として無効を表わすデータをシフトレジスタに格納し、
前記シフトレジスタから格納されているずれ補正量を取
り出す際、前記無効を表わすデータについては無視し、
その前後のずれ補正量に基づいて所定時点に相当するず
れ補正量を導き出すように構成したので、検出手段の検
出誤差によるバラツキ分が抑えられ、そのため、溶接ロ
ボットのハンチング等を生じにくい効果がある。
【0049】さらに、この発明は、溶接トーチから溶接
進行方向前方に所定距離離れて装着された検出手段を備
え、この検出手段が検出したワークの形状データに基づ
く溶接線位置と、あらかじめ設定されている目標溶接線
位置との誤差を、ずれ補正量として所要時間だけ遅延さ
せて溶接ロボットの制御装置にフィードバックすること
で、実際の溶接位置を補正する溶接ロボットの溶接位置
補正装置において、前記検出手段にワークの形状データ
を所定の周期で検出させるタイミング信号発生手段と、
前記検出手段が検出したワークの形状データに基づく前
記溶接線位置と前記目標溶接線位置との誤差であるずれ
補正量を、前記所定の周期で順送りで格納していくシフ
トレジスタと、溶接ロボットの前記制御装置からリクエ
ストがあると、その時点から前記所要時間だけ遡った所
定時点の前後で既に格納されているずれ補正量を前記シ
フトレジスタから取り出し、このずれ補正量に基づいて
前記所定時点に相当するずれ補正量を導き出す近似計算
手段とを備え、得られた前記所定時点に相当するずれ補
正量を溶接ロボットの前記制御装置にフィードバックす
るように構成したので、検出手段の検出周期と溶接ロボ
ットの補正周期とを同期させずに溶接位置を補正するこ
とができ、そのため、検出手段および溶接ロボット双方
の処理能力を低減させることがなく、検出手段の性能お
よび溶接ロボットの性能を、相互に依存せずに独立して
発揮することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る溶接ロボットの溶接位置補正装
置におけるセンサコントローラの内部構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】ずれ補正量の求め方を示す説明図である。
【図3】遅延時間及びタイミング信号等を示す説明図で
ある。
【図4】この発明に係る溶接ロボットの溶接位置補正装
置を用いた溶接システムの全体図である。
【符号の説明】
1 溶接位置補正装置 5 溶接トーチ 9 溶接ロボット(自動溶接機) 11 ロボットコントローラ(制御装置) 13 センサ(溶接線検出手段) 31 シフトレジスタ 35 遅延時間手段 37 近似計算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/127 B25J 9/10 B25J 13/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチから溶接進行方向前方に所定
    距離離れて装着された検出手段を備え、この検出手段が
    検出したワークの形状データに基づく溶接線位置と、あ
    らかじめ設定されている目標溶接線位置との誤差を、ず
    れ補正量として所要時間だけ遅延させて溶接ロボットの
    制御装置にフィードバックすることで、実際の溶接位置
    を補正する溶接ロボットの溶接位置補正方法において、 前記検出手段がワークの形状データを所定の周期で検出
    し、 検出されたワークの形状データに基づく前記溶接線位置
    と前記目標溶接線位置との誤差であるずれ補正量を、前
    記所定の周期でシフトレジスタに順送りで格納してい
    き、 溶接ロボットの前記制御装置からリクエストがあると、
    その時点から前記所要時間だけ遡った所定時点の前後で
    既に格納されているずれ補正量を前記シフトレジスタか
    ら取り出し、このずれ補正量に基づいて前記所定時点に
    相当するずれ補正量を導き出し、 得られた前記所定時点に相当するずれ補正量を溶接ロボ
    ットの前記制御装置にフィードバックする、 ことを特徴とする溶接ロボットの溶接位置補正方法。
  2. 【請求項2】 溶接ロボットの前記制御装置にフィード
    バックした前記ずれ補正量を前記シフトレジスタにもフ
    ィードバックして、シフトレジスタに格納されているす
    べてのずれ補正量のデータを、前記フィードバックした
    ずれ補正量との差分をとったデータに置き換えることを
    特徴とする請求項1記載の溶接ロボットの溶接位置補正
    方法。
  3. 【請求項3】 前記検出手段が任意の検出周期にワーク
    の形状データを検出できないとき、当該検出周期のずれ
    補正量として無効を表わすデータをシフトレジスタに格
    納し、 前記シフトレジスタから格納されているずれ補正量を取
    り出す際、前記無効を表わすデータについては無視し、
    その前後のずれ補正量に基づいて所定時点に相当するず
    れ補正量を導き出す、 ことを特徴とする請求項1記載の溶接ロボットの溶接位
    置補正方法。
  4. 【請求項4】 溶接トーチから溶接進行方向前方に所定
    距離離れて装着された検出手段を備え、この検出手段が
    検出したワークの形状データに基づく溶接線位置と、あ
    らかじめ設定されている目標溶接線位置との誤差を、ず
    れ補正量として所要時間だけ遅延させて溶接ロボットの
    制御装置にフィードバックすることで、実際の溶接位置
    を補正する溶接ロボットの溶接位置補正装置において、 前記検出手段にワークの形状データを所定の周期で検出
    させるタイミング信号発生手段と、 前記検出手段が検出したワークの形状データに基づく前
    記溶接線位置と前記目標溶接線位置との誤差であるずれ
    補正量を、前記所定の周期で順送りで格納していくシフ
    トレジスタと、 溶接ロボットの前記制御装置からリクエストがあると、
    その時点から前記所要時間だけ遡った所定時点の前後で
    既に格納されているずれ補正量を前記シフトレジスタか
    ら取り出し、このずれ補正量に基づいて前記所定時点に
    相当するずれ補正量を導き出す近似計算手段とを備え、 得られた前記所定時点に相当するずれ補正量を溶接ロボ
    ットの前記制御装置にフィードバックするように構成し
    たことを特徴とする溶接ロボットの溶接位置補正装置。
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