JP3198488B2 - 透き入れ紙の製造方法及びこの製造に使用する模様網 - Google Patents

透き入れ紙の製造方法及びこの製造に使用する模様網

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、証券用紙などの偽造防
止を目的として製造される透き入れ紙や、意匠的な効果
を高める目的で製造される模様透き入れ紙のいずれの製
造にも利用出来る透き入れ紙の製造方法、及びこの製造
方法に使用する模様網に関するものである。
【0002】なお本明細書中で“模様”という用語は、
文字、図柄、マーク等を総称したものとして使用する。
【0003】
【従来の技術】円網抄紙機の円網シリンダーや長網抄紙
機のダンディロールに模様網をとりつけて透き入れ紙を
製造することは周知である。これらの透き入れ紙製造用
模様網の製造方法としては、(1)金簀や竹簀を円網シ
リンダーやダンデイロールの上網に巻き付ける方法、
(2)上網に針金、金属、樹脂、紙等で作った模様型等
を金属細線で取り付けたり、ハンダ付けしたり、接着剤
で貼り付ける方法、(3)上網に塗料や樹脂で模様型等
を描き、網目を塞ぐ方法、(4)抄紙網自体に直接凹凸
模様型等をつける方法、(5)感光性樹脂を利用して模
様型を形成する方法、等が知られている。
【0004】(5)の感光性樹脂を使用して透き入れ紙
製造用模様網を製造し、透き入れ紙を抄造する方法は従
来から種々提案されており、例えば特公昭49−212
48号には、抄紙網上に感光性樹脂を塗布し、この上に
多数の網点を有する図形等の写真フィルムたとえばネガ
フィルム、ポジフィルムなどを密着するか、あるいは直
接図形等を描き、画像形成露光したのち、現像すること
により模様網を製造する方法が記載されている。
【0005】また、特公昭51−43082号には、基
材上の感光性樹脂層にパターンを重ねて露光しレリーフ
を形成し、このレリーフ上に接着剤を施し抄網と接着さ
せ基材を剥離して模様網を製造する方法が、また、特公
昭54−28486号には、抄網に感光性樹脂を流し込
み、透明フィルムを重ねて樹脂を均一に伸ばした後にパ
ターンを重ねて露光、現像する模様網の製造方法が、ま
た、特公昭54−24483号には、基材上に感光性樹
脂層を形成、透明フィルムを重ね樹脂を伸ばし、パター
ンを重ね露光、現像した後、接着剤をレリーフに塗布し
網に接着する模様網の製造方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記し
たような感光性樹脂を使用する方法により透き入れ紙製
造用の抄紙網を製造し、種々検討した結果、次のような
問題点があることが判った。 (1)階調性に富んだ透き入れ紙の製造ができない。階
調性とは、透き入れ紙を光にかざして見た時に模様がハ
イライト部からダークトーン部に渡って連続的な階調を
持って見えることを意味する。従って、特に図柄を透き
入れた透き入れ紙においては、かような階調性は意匠効
果に影響を与えるため、極めて重要な特性となる。階調
性は透き入れ部分と透き入れを施していない部分で、紙
の厚さ方向の繊維量が連続的に変化することで得られ
る。本発明者らが検討した結果では、前記した特公昭4
9−21248号、特公昭51−43082号、特公昭
54−24483号の方法では階調性に富んだ透き入れ
紙の製造はできないことが判った。また特公昭49−2
1248号にはガラスロ板上に、網点分解法を応用して
網点で模様型を形成し、写真図版の透き入れを施すこと
が記載されているが、この方法で階調性のある透き入れ
紙を大量生産することは不可能に近い。
【0007】(2)模様網の製造に多大な労力を必要と
する。前記特公昭51−43082号および特公昭54
−24483号の方法はいずれも、予め作製したレリー
フ(模様型)を接着剤を用いて抄紙網に接着する方法で
模様網を製造する。この方法では接着剤が模様部以外に
流れ出し抄紙網の目を塞ぎ、また複雑な形状の模様部の
場合は模様の細部に接着剤が流れるので意図した模様の
透き入れが困難となる。従って塞がれた箇所の接着剤を
丹念に取り除く作業が必要となるので模様網の製造には
多大な労力が必要となる。
【0008】特に階調性に富んだ透き入れ紙を製造する
ための従来の方法としては、抄紙網自体に直接凹凸模様
をつけ、円網抄紙機で抄紙する方法が採用されていた。
抄紙網自体に直接凹凸模様をつける方法は、木版等に彫
刻で凹凸模様を施し、その上に金属製抄紙網をかぶせ、
木槌等で丹念に叩いて網に凹凸模様を施して模様網を製
造していた。しかしながらこの方法で抄紙網に模様をつ
けるためには、極めて高度の熟練と多大な時間が必要で
あった。
【0009】そこで本発明は、従来技術における上述し
たような問題点を解決して、階調性に富んだ透き入れ紙
を効果的に製造するための方法を提供すること、及びこ
の製造方法に使用する模様網を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決するために感光性樹脂を使用して種々検討を
進めた結果、模様型を段階的に抄紙網上に形成すること
によって階調性に優れた透き入れ紙を製造できることを
見出し本発明を完成した。すなわち本発明による透き入
れ紙の製造方法は、抄紙網上に感光性樹脂を使用して厚
みが段階的に変化した模様型を形成した模様網を、円網
抄紙機の円網シリンダーまたは長網抄紙機のダンディロ
ールに取り付け、この円網抄紙機または長網抄紙機を使
用して抄紙することを特徴とするものである。さらに本
発明は、上記の透き入れ紙を製造するために用いる模様
網であって、抄紙網上に感光性樹脂を使用して厚みが段
階的に変化した模様型を形成したことを特徴とするもの
である。
【0011】上記した透き入れ紙製造用模様網を製造す
るに際しては、抄紙網上に第一の感光性樹脂層を形成し
てその上に所望パターンを置き露光、現像して第一層の
画像を形成し、第一層の画像の上に第二の感光性樹脂層
を積層形成してその上に第一層の画像より小さい所望パ
ターンを置き露光、現像して第一層の画像の上に第二層
の画像を積層形成し、さらに必要に応じて第二層の画像
の上に複数層の画像を順次同様にして積層形成すること
によって、厚みが段階的に変化する模様型を抄紙網上に
形成する方法により、効率よく抄紙網を製造することが
できる。
【0012】本発明で使用する抄紙網の材料には、ブロ
ンズ,ステンレス鋼などの金属、ポリエステル,ポリア
ミドなどの合成樹脂があり、通常線径が100〜100
0μmの細線を使用し、織り機で平織、ロングクランプ
織、モノプレン織などを行い、4〜120メッシュ/イ
ンチで織ることにより製造される。本発明ではこれら材
質の抄紙網上に、ポリウレタン系、ポリビニル系、ポリ
エステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系等の感光性
樹脂を用いて、厚さを段階的に変化させた模様型を形成
する。
【0013】以下に、感光性樹脂を用いて、厚さを段階
的に変化させた模様型を製造する方法について詳細に述
べる。まず模様型の全厚みに対して所定の階調を得るた
めに積層形成させる感光性樹脂の層の数、及び各層の厚
みを決め、模様を段階的に変化させるためのパターンを
有するネガ又はポジフィルムを複数枚作製する。
【0014】次いで第一の感光性樹脂層を所定厚みで抄
紙網上に形成する。感光性樹脂層の形成方法の具体的例
としては、抄紙網を80〜90度に保持し、エッジを有
するバケットに感光性樹脂液を入れて、エッジを網に押
し当て、液面を網に接触させて撫で上げることにより感
光性樹脂液を抄紙網上に塗布する。塗布後乾燥し、さら
に同じ要領で2回、3回と所定の厚みを得るまで感光性
樹脂液の塗布乾燥を繰り返す。あるいは感光性樹脂によ
り形成したフィルムを同材質の感光性樹脂液を用いて抄
紙網に貼り付ける。所定の厚みに不足する場合は、抄紙
網上に形成した感光性樹脂フィルム層の上にさらに感光
性樹脂フィルムを重ね貼りして所定の厚みを得る。
【0015】次いで、このようにして形成した第一の感
光性樹脂層の上に、所望パターンを有する第一層目用の
ネガ又はポジフィルムを置き、露光、現像して第一層の
画像(模様型)を形成する。この第一層の画像上にさら
に第二の感光性樹脂層を所定厚みに形成し、第一層の画
像より小さい所望パターンを有する第二層目用のネガ又
はポジフィルムを第二の感光性樹脂層の上に置き、露
光、現像して第一層の画像の上に第二層の画像を形成す
る。このようにして順次画像を積層形成していき、厚み
が段階的に変化する所定の階調を持った模様型を抄紙網
上に形成する。図1はこのようにして製造した模様網の
部分拡大断面図であり、1は抄紙網、2は段階的に厚み
が変化する模様型を示す。この図の例では感光性樹脂か
らなる画像層を4段に積層形成してある。
【0016】本発明ではこのようにして製造した模様網
を、円網抄紙機の円網シリンダーの上網、あるいは長網
抄紙機のダンデイロールの上網に取り付けて透き入れ紙
を製造する。これらの方法では、紙料が流動性を持った
状態で透き入れされるため、模様型の厚みの影響は顕著
に現れる。模様型の厚みが薄すぎるときは、円網抄紙機
の場合は製紙用繊維が模様型上に必要以上に被り、また
長網抄紙機のダンディロールでは紙匹の繊維を模様型通
りに押し広げることができないために階調性のある透き
入れが得られなくなる。また模様型の厚みが必要以上に
厚いときは、円網抄紙機の場合は製紙用繊維が模様型に
被らなくなり、また長網抄紙機のダンディロールでは紙
匹の繊維を模様型が押し広げすぎるために孔があいてし
まう等の問題を起こしやすい。
【0017】模様型の厚みは、透き入れ模様と坪量によ
って決めることが必要であるが、円網抄紙機で透き入れ
紙を製造する場合は、模様型の全厚みは通常50〜50
0μm、好ましくは150〜300μmに、長網抄紙機
のダンデイロールで製造する場合は通常0.3〜2.0
mm、好ましくは0.5〜1.0mmとする。例えば円
網抄紙機でマークを透き入れする場合は、坪量80g/
2 の場合は模様型の全厚みを150μm前後に、坪量
120g/m2 の場合は200μm前後に形成する。ま
た、ダンディロールで透き入れする場合は、坪量80g
/m2の場合は模様型の全厚みを0.5mm前後に、坪
量120g/m2 の場合は0.8mm前後に、坪量16
0g/m2 の場合は1.0mm前後とする。
【0018】上記したようにして感光性樹脂を使用して
模様型を作製する場合は、積層した各段のエッジ部分は
それぞれほぼ直角に形成されて階段状になる(図1参
照)。従って、積層した各段のエッジ部分が連続的にな
だらかに変化する模様型を作製することは感光性樹脂を
使用する方法では非常に困難である。
【0019】本発明者らが検討した結果では、積層した
各段のエッジ部分を階段状に変化させた模様型でも、エ
ッジ部分を連続的になだらかに変化させた模様型と比較
して、階調性に大きな差が出ないことが判った。もちろ
んこの差は、透き入れする模様の種類、透き入れ紙の厚
み、模様型の厚みに密接に関係する。
【0020】本発明者らが検討した結果では、坪量12
0g/m2 の場合で全厚み500μmの模様型の場合
は、感光性樹脂層を5層位に積層させて模様型を作製す
れば、充分連続的に変化する階調性が得られることが判
った。一方、段階的に変化する階調性を得たい場合に
は、積層させる感光性樹脂層の層数を少なくすればよ
い。
【0021】本発明ではこのようにして製造した模様型
の表面に耐久性、耐水性を有する塗料を塗布することが
できる。かような塗料は模様型との接着性が良好である
ことが必要であり、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸
エステル樹脂、ポリエステル塗料、ポリアミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、シリコンゴム等を抄紙網の目づまりをしな
いように模様型の表面に塗布する。この処理により、模
様型の耐久性、耐水性を向上させることができると共
に、階段状に形成された模様型の各段のエッジ部分をな
だらかにすることもでき、透き入れの階調性を制御する
ことができる。
【0022】模様型を形成した抄紙網を用いて透き入れ
紙を製造する場合には、模様型と紙匹の剥離性が悪い
と、紙が切れたり、紙匹に形成された模様を損なう場合
がある。特に細い模様の模様型を用いる場合には、シャ
ープな模様を得られないばかりか、模様それ自体が損な
われる。このような場合には感光性樹脂に撥水性のある
フッ素系、シリコン系、有機ジルコニウム塩系、或は炭
化水素系等の撥水剤を予め添加しておくことにより、模
様型表面に撥水性を持たせ、紙匹の型離れ、剥離性を向
上することができる。本発明者らが検討した結果では、
模様型の水に対する表面張力が32ダイン/cm以下と
なるように撥水剤を添加した場合に良好な結果が得られ
た。
【0023】本発明の透き入れ紙製造用模様網を使用し
て透き入れ紙を抄造するに際しては、円網抄紙機の円網
シリンダーの上網にこの模様網を取り付けて、常法に従
い透き入れ紙を製造する方法や、長網抄紙機のダンディ
ロールの上網にこの模様網を取り付けて、常法に従い透
き入れ紙を製造する方法等のいずれも採用できる。円網
抄紙機で透き入れ紙を製造する場合は、多層抄合わせ方
法も採用できる。例えば1槽目の円網シリンダーに本発
明の模様網を取り付けて無着色の紙匹を形成させ、2槽
目では模様の無い着色紙を抄合わせることにより、若し
くはこの逆の組合せにより、色彩的コントラストを強調
した透き入れ紙を製造することもできる。
【0024】
【実施例】実施例1 図2、図3、図4に示したような花柄模様を段階的に変
化させたパターンを有する3種類のネガフィルムを使用
して、65メッシュ/インチのブロンズ製の幅1200
mmの平織の抄紙網上に模様型を形成した。模様の大き
さは縦約20mm、横約30mmであり、20mm間隔
で抄紙網の全面に形成した。図示したネガフィルムのパ
ターンは、分かりやすくするために模様を拡大して示し
てある。
【0025】先ず下記配合の感光性樹脂組成物を用い
て、100μm厚みの第一の感光性樹脂層を抄紙網の上
に形成した。 感光性樹脂組成物: 部分鹸化酢酸ビニル 100重量部 (スチルバゾリウム基1.3モル%付加、鹸化度88
%、重合度1700) 酢酸ビニル重合体エマルジョン 800重量部 消泡剤 適量 全固形分30重量%、粘度3000cpsとなるように
水で調節する。
【0026】この第一感光性樹脂層の上に、図2に示し
たような第一の階調のパターンを有するネガフィルムを
重ね、露光、現像して第一層目の画像を形成した。次い
で第二層目の画像の上に、100μm厚みの感光性樹脂
フィルム(剥離シート上に、上記組成の感光性樹脂層を
形成したもの)を重ね貼合した後、剥離シートを剥離す
ることにより、第一層目の画像の上に第二の感光性樹脂
層を積層形成した。この第二感光性樹脂層の上に、第一
層目の画像より小さい第二の階調のパターンを有する図
3に示したネガフィルムを重ねて露光、現像し、第一層
目の画像の上に第二層目の画像を形成した。
【0027】上記と全く同様な方法で、第二層目の画像
の上に100μm厚みの第三の感光性樹脂層を積層形成
した後、この第三感光性樹脂層の上に、第三の階調のパ
ターンを有する図4に示したネガフィルムを用いて第三
層目の画像を形成した。図5はこのようにして製造した
模様型20を上面から見た図であり、21は第一階調の
第一層目の画像、22は第二階調の第二層目の画像、2
3は第三階調の第三層目の画像を示す。
【0028】以上の方法で厚みが3段階に変化した花柄
模様の模様型を抄紙網上に形成し、さらにこの模様型の
表面に、37%ホルマリン液10重量部、35%塩酸1
重量部、水89重量部よりなる配合液を塗布し、40℃
で30分間放置した後水洗して透き入れ紙製造用模様網
を得た。さらにポリウレタン樹脂塗料を模様型表面に塗
布して耐久性、耐水性を向上させると共に、積層した各
画像層のエッジ部分をなだらかにした。
【0029】実施例2 1槽目の円網シリンダーに模様型を形成していない抄紙
網(65メッシュ/インチのブロンズ製の幅1200m
mの平織の抄紙網)をとりつけ、2槽目の円網シリンダ
ーに実施例1で作製した模様網をとりつけた2槽式の円
網抄紙機を用いて、抄合わせた透し入れ紙を抄造した。
【0030】模様型のない抄紙網をとりつけた1槽目の
円網シリンダーでは、下記配合の紙料を用いて常法に従
い坪量70g/m2 の紙匹を調製した。 紙料配合: パルプ NBKP 15
0Kg LBKP 390Kg (叩解度450ml C.S.F.) 薬品 ロジンサイズ剤 7.
2Kg (商品名「SPN700」、荒川林産化学(株)製) 澱粉 3Kg (商品名「アミコール」、日澱化学(株)製) 定着剤(硫酸バンド) 30Kg 染料(いづれもバイエル(株)製) LEVACELL FAST YELLOW 対パル
プ0.02% LEVACELL FAST BLACK 対パル
プ0.002%
【0031】模様網を取り付けた2槽目の円網シリンダ
ーでは、上記配合の紙料から染料を除いた無着色紙料を
用いて常法により坪量70g/m2 の紙匹を抄合わせ
た。その結果、階調性に富み繊細で複雑な意匠効果のあ
る花柄模様の透き入れ紙が得られた。
【0032】実施例3 65メッシュ/インチのブロンズ製の幅1200mmの
平織の抄紙網に模様型を形成した。まず、この抄紙網を
保護するために抄紙網の周囲に木枠を取り付け、次いで
下記配合の感光性樹脂組成物を使用して抄紙網への塗
工、乾燥を多数回繰り返し、200μm厚みの第一の感
光性樹脂層を抄紙網の上に形成した。 感光性樹脂組成物: 部分鹸化酢酸ビニル 100重量部 (スチルバゾリウム基1.3モル%付加、鹸化度88
%、重合度1700) 酢酸ビニル重合体エマルジョン 800重量部 消泡剤 適量 フッ素系界面活性剤 10重量部 全固形分30重量%、粘度3000cpsとなるよう水
で調節する。
【0033】この第一感光性樹脂層の上に、直径30m
mの円の中にTの文字を形成したマーク(マークの幅
2.5mm、50mm間隔)を有するネガフィルムを重
ね、紫外線照射ランプ(3kw、距離80cm)で2分
間露光後、水で現像して第一層目の画像を形成した。次
いで、第一層目の画像の上に200μm厚みの感光性樹
脂フィルム(剥離シート上に上記組成の感光性樹脂層を
形成したもの)を重ね貼合した後、剥離シートを剥離す
ることにより、第一層目の画像の上に第二の感光性樹脂
層を積層形成した。この第二感光性樹脂層の上に、幅を
1.5mmに狭めた第二の階調の上記と同じマークを有
するネガフィルムを重ねて露光、現像し、第一層目の画
像の上に第二層目の画像を形成した。さらにこの模様型
に、37%ホルマリン液10重量部、35%塩酸1重量
部、水89重量部よりなる配合液を塗布し、40℃で3
0分間放置した後水洗し、透き入れ紙製造用模様網を得
た。
【0034】実施例4 実施例3で製造した透き入れ紙製造用模様網を、長網抄
紙機のダンディロールの上網にとりつけ、下記紙料配合
で坪量90g/m2 の透き入れ模様紙を製造した。 紙料配合: パルプ NBKP 150
Kg LBKP 390Kg (叩解度420ml C.S.F.) 薬品 ロジンサイズ剤(「SPN700」) 7.2
Kg 澱粉(「アミコール」) 3Kg 定着剤(硫酸バンド) 30Kg 得られた透き入れ紙は階調性のある模様(マーク)が形
成され、偽造防止用紙として優れた性能を有していた。
【0035】
【発明の効果】以上説明したところからわかるように本
発明による透き入れ紙製造用模様網は、感光性樹脂を使
用して、厚みが段階的に変化した模様型を抄紙網の上に
形成したものであるから、この模様網を用いて抄造した
透き入れ紙は、階調性に富んだ、すなわちハイライト部
からダークトーン部に渡って連続的に階調が変化した模
様を透き入れることができる。
【0036】また、階調性に富んだ透き入れ紙の製造に
従来から用いられていたような金属製抄紙網に直接凹凸
模様をつけた模様網を製造する場合には、高度の熟練と
多大の時間が必要であったが、本発明の模様網を製造す
るに際しては、抄紙網上に形成した感光性樹脂層に所望
のパターンを置き露光、現像して画像を形成する操作を
順次繰り返して複数の画像を積層形成することによっ
て、厚みが段階的に変化する模様網を効率よく簡便に製
造することができる。
【0037】さらに必要に応じて、本発明の模様型表面
に耐久性、耐水性を有すると用を塗布することによっ
て、模様型の耐久性、耐水性を向上できると共に、透き
入れ模様の階調性を制御することもできる。また、感光
性樹脂中に撥水剤を添加することにより、透き入れ紙の
抄造に際して紙匹を模様型から剥がれ易くすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 模様型の厚みが段階的に変化した本発明の透
き入れ紙製造用模様網の実施例を示す部分拡大断面図で
ある。
【図2】 本発明の透き入れ紙製造用模様網の製造に用
いる模様のパターンを有するネガフィルムのうち、第一
層の画像形成に使用する図柄の一例を示す平面図であ
る。
【図3】 図2の図柄により形成された第一層の画像の
上に形成する第二層の画像形成に使用する図柄の一例を
示す平面図である。
【図4】 図3の図柄により形成された第二層の画像の
上に形成する第三の画像形成に使用する図柄の一例を示
す平面図である。
【図5】 図2、図3および図4の図柄による第一層、
第二層および第三層の画像が積層形成された模様型の平
面図である。
【符号の説明】
1:抄紙網 2:模様型 3:第一層の画像 4:第二層の画像 5:第三層の画像
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 義光 東京都墨田区横川5丁目3番10号 村上 スクリーン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−219692(JP,A) 特開 昭50−157611(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21F 1/44 - 1/46 D21H 27/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抄紙網上に感光性樹脂を使用して厚みが
    段階的に変化した模様型を形成した模様網を、円網抄紙
    機の円網シリンダーまたは長網抄紙機のダンディロール
    に取り付け、この円網抄紙機または長網抄紙機を使用し
    て抄紙することを特徴とする透き入れ紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 抄紙網上に感光性樹脂を使用して厚みが
    段階的に変化した模様型を形成したことを特徴とする透
    き入れ紙製造用模様網。
  3. 【請求項3】 模様型の表面に耐久性、耐水性を有する
    塗料を塗布したことを特徴とする請求項2記載の透き入
    れ紙製造用模様網。
  4. 【請求項4】 感光性樹脂に撥水剤を添加することによ
    り、模様型の水に対する表面張力を32ダイン/cm以
    下としたことを特徴とする請求項2記載の透き入れ紙製
    造用模様網。
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