JP3197662B2 - 端面形状を改良した異形管のロール成形法 - Google Patents
端面形状を改良した異形管のロール成形法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロール成形機、特に少
数段の成形ロールを備えたロール成形機によって、構造
用,建築用,装飾用等に使用される矩形管,六角管,三
角管,オーバル管等の異形管を製造する方法に関する。
数段の成形ロールを備えたロール成形機によって、構造
用,建築用,装飾用等に使用される矩形管,六角管,三
角管,オーバル管等の異形管を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】角管は、プレス成形やロール成形等で製
造されている。たとえば、プレス成形法では、2枚の切
り板を凹型形状に成形し、上下2か所を溶接した後、サ
イジング及び矯正を行っている。また、鋼板から製造さ
れた丸管を、大型プレスで異形管に成形する方法もあ
る。何れのプレス成形も、バッチ式で角管を製造するこ
とから、生産性が低い。この点、ロール成形法は、連続
化に適し、高生産性で角管を製造することができる方法
である。ロール成形法には、走行している帯材を異形断
面形状に折り曲げながら、突き合わせられた幅方向両端
部を溶接する方法と、電縫溶接等により製造された丸管
を素管とし、この素管をサイジングミル等によって異形
管に成形する方法に大別される。鋼管製造時に成形を併
せて行う方法は、製造工程が少ない点では有利である
が、専用の異形管製造設備が必要となる。他方、丸管を
異形管に成形する方法は、比較的小型の生産設備でよ
く、需要に応じた操業柔軟性の高い方法である。
造されている。たとえば、プレス成形法では、2枚の切
り板を凹型形状に成形し、上下2か所を溶接した後、サ
イジング及び矯正を行っている。また、鋼板から製造さ
れた丸管を、大型プレスで異形管に成形する方法もあ
る。何れのプレス成形も、バッチ式で角管を製造するこ
とから、生産性が低い。この点、ロール成形法は、連続
化に適し、高生産性で角管を製造することができる方法
である。ロール成形法には、走行している帯材を異形断
面形状に折り曲げながら、突き合わせられた幅方向両端
部を溶接する方法と、電縫溶接等により製造された丸管
を素管とし、この素管をサイジングミル等によって異形
管に成形する方法に大別される。鋼管製造時に成形を併
せて行う方法は、製造工程が少ない点では有利である
が、専用の異形管製造設備が必要となる。他方、丸管を
異形管に成形する方法は、比較的小型の生産設備でよ
く、需要に応じた操業柔軟性の高い方法である。
【0003】円筒状の素管を角管に成形するロール成形
法では、成形ロールの間に素管を引っ張り込みながら成
形が行われる。そのため、正確な位置関係で素管を引っ
張り出すことが難しく、曲り等の欠陥が発生し、得られ
た異形管の形状精度が低くなり易い。成形ロールの間に
素管を押し込む方式も知られている。押込み方式では、
素管の後端から押圧力を加えるため、油圧シリンダー等
の押込み機構のストロークが大きくなり、設備の大型
化,複雑化が避けられない。押込み方式の改良として、
素管の後端を適宜の位置に係止する係止機構を油圧シリ
ンダーと素管との間に配置し、この係止機構を素管と共
に移動させながら素管を成形することが特公昭62−5
4564号公報で紹介されている。係止機構を組み込む
ことによって油圧シリンダーのストロークはある程度小
さくなるものの、設備構成が複雑化する。また、後端側
から押込み力を素管に加えることから、素管に撓み,座
屈等の変形が生じ易い欠点がある。
法では、成形ロールの間に素管を引っ張り込みながら成
形が行われる。そのため、正確な位置関係で素管を引っ
張り出すことが難しく、曲り等の欠陥が発生し、得られ
た異形管の形状精度が低くなり易い。成形ロールの間に
素管を押し込む方式も知られている。押込み方式では、
素管の後端から押圧力を加えるため、油圧シリンダー等
の押込み機構のストロークが大きくなり、設備の大型
化,複雑化が避けられない。押込み方式の改良として、
素管の後端を適宜の位置に係止する係止機構を油圧シリ
ンダーと素管との間に配置し、この係止機構を素管と共
に移動させながら素管を成形することが特公昭62−5
4564号公報で紹介されている。係止機構を組み込む
ことによって油圧シリンダーのストロークはある程度小
さくなるものの、設備構成が複雑化する。また、後端側
から押込み力を素管に加えることから、素管に撓み,座
屈等の変形が生じ易い欠点がある。
【0004】そこで、本発明者等は、成形ロールに送り
込まれる素管を両側からクランプした状態で推進力を付
与するため、素管の走行方向両側に進退可能な複数の押
込み具を配置し、これら押込み具を無限軌道に沿って走
行させる装置を開発し、別途特許出願した。両側から素
管を挟持する押圧具によって押込み力を付与するとき、
撓み,座屈等の変形が抑制される。また、成形可能な素
管長さに制限がなくなり、しかも複数の素管を連続して
ロール成形することが可能になる。
込まれる素管を両側からクランプした状態で推進力を付
与するため、素管の走行方向両側に進退可能な複数の押
込み具を配置し、これら押込み具を無限軌道に沿って走
行させる装置を開発し、別途特許出願した。両側から素
管を挟持する押圧具によって押込み力を付与するとき、
撓み,座屈等の変形が抑制される。また、成形可能な素
管長さに制限がなくなり、しかも複数の素管を連続して
ロール成形することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】先願で提案した異形管
製造装置は、成形ロールを3段に配列し、第1スタンド
で素管を予備成形し、第2スタンドで所定形状の成形を
施し、第3スタンドで仕上げ成形している。このように
スタンド数が少ないロール成形機で素管を成形すると
き、大きな残留応力が発生する。そのため、得られた角
管等の異形管を切断すると、切断端面で残留モーメント
が解放され、切断端面に口開きや口閉じが生じる。この
ような形状不良は、美観上好ましくないばかりでなく、
両端部を突き合わせて接続する場合に接合不良等の原因
となる。また、研磨等によって表面仕上げする場合に
も、端部の口開きや口閉じによって研磨ムラが発生し易
くなる。
製造装置は、成形ロールを3段に配列し、第1スタンド
で素管を予備成形し、第2スタンドで所定形状の成形を
施し、第3スタンドで仕上げ成形している。このように
スタンド数が少ないロール成形機で素管を成形すると
き、大きな残留応力が発生する。そのため、得られた角
管等の異形管を切断すると、切断端面で残留モーメント
が解放され、切断端面に口開きや口閉じが生じる。この
ような形状不良は、美観上好ましくないばかりでなく、
両端部を突き合わせて接続する場合に接合不良等の原因
となる。また、研磨等によって表面仕上げする場合に
も、端部の口開きや口閉じによって研磨ムラが発生し易
くなる。
【0006】残留応力に起因する問題は、異形管の外面
をプレス成形したり、異形管に心金を挿入して形状を矯
正することによって解消することができる。しかし、プ
レス成形や心金を使用した矯正作業は、工数の増加を招
き、ロール成形法の長所を相殺する。しかも、心金の装
着・取外し等を必要とする矯正作業は、作業性が非常に
悪く、製品コストを上昇させる原因となる。本発明は、
このような問題を解消すべく案出されたものであり、外
面側からのロール成形で円筒状の素管から異形管を製造
する際、最終段の絞り加工を特定することによって、切
断した場合にも口開き,口閉じ等の変形が小さい異形管
を得ることを目的とする。
をプレス成形したり、異形管に心金を挿入して形状を矯
正することによって解消することができる。しかし、プ
レス成形や心金を使用した矯正作業は、工数の増加を招
き、ロール成形法の長所を相殺する。しかも、心金の装
着・取外し等を必要とする矯正作業は、作業性が非常に
悪く、製品コストを上昇させる原因となる。本発明は、
このような問題を解消すべく案出されたものであり、外
面側からのロール成形で円筒状の素管から異形管を製造
する際、最終段の絞り加工を特定することによって、切
断した場合にも口開き,口閉じ等の変形が小さい異形管
を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のロール成形法
は、その目的を達成するため、外側から圧下するロール
成形により円筒状の素管から異形管を製造する際、最終
段で圧下率0.2〜1%の絞り加工を施すことを特徴と
する。このロール成形法は、各段において大きな加工度
で素管が加工される少数段のロール成形機、具体的には
2〜4段に成形ロールを配置したロール成形機で角管を
製造するとき、顕著な効果を発揮する。冷間ロール成形
製品を切断すると、残留曲げモーメント及び残留ねじり
モーメントが解放され、切断端面の近傍が変形する。こ
の現象は、ロール成形した角管等の異形管において口開
き,口閉じ等の変形として現れる。特に、少数段の成形
ロールで成形された異形管では、残留モーメントが大き
いことから、変形量も大きくなる。
は、その目的を達成するため、外側から圧下するロール
成形により円筒状の素管から異形管を製造する際、最終
段で圧下率0.2〜1%の絞り加工を施すことを特徴と
する。このロール成形法は、各段において大きな加工度
で素管が加工される少数段のロール成形機、具体的には
2〜4段に成形ロールを配置したロール成形機で角管を
製造するとき、顕著な効果を発揮する。冷間ロール成形
製品を切断すると、残留曲げモーメント及び残留ねじり
モーメントが解放され、切断端面の近傍が変形する。こ
の現象は、ロール成形した角管等の異形管において口開
き,口閉じ等の変形として現れる。特に、少数段の成形
ロールで成形された異形管では、残留モーメントが大き
いことから、変形量も大きくなる。
【0008】口開き率は、たとえば図1に示すように製
造方法に応じて変わる。製造方法Aは、7スタンドで素
管を成形する方式であり、何れのスタンドにおいても均
等な圧下を素管に施す。製造方法Bは、3スタンドのロ
ール成形機を使用し押し込み方式で角管を製造した場合
を示す。製造方法Cは、2スタンドのロール成形機を使
用し押し込み方式で角管を製造した場合を示す。図1の
例では、何れの製造法においても圧延材から造管した直
径D0 =50.8mm,肉厚比t0 /D0 =0.028
(t0 :初期肉厚)の溶接管を素管とした。また、口開
き率Q(%)は、図2に示すように、得られた角管にお
いて通管方向に関し中央部の幅をWm ,中央部の辺長さ
をL,管端での角管幅をWe とするとき、次式(1)で
定義した。 Q=(We −Wm )/L×100 ・・・・(1)
造方法に応じて変わる。製造方法Aは、7スタンドで素
管を成形する方式であり、何れのスタンドにおいても均
等な圧下を素管に施す。製造方法Bは、3スタンドのロ
ール成形機を使用し押し込み方式で角管を製造した場合
を示す。製造方法Cは、2スタンドのロール成形機を使
用し押し込み方式で角管を製造した場合を示す。図1の
例では、何れの製造法においても圧延材から造管した直
径D0 =50.8mm,肉厚比t0 /D0 =0.028
(t0 :初期肉厚)の溶接管を素管とした。また、口開
き率Q(%)は、図2に示すように、得られた角管にお
いて通管方向に関し中央部の幅をWm ,中央部の辺長さ
をL,管端での角管幅をWe とするとき、次式(1)で
定義した。 Q=(We −Wm )/L×100 ・・・・(1)
【0009】図1にみられるように、何れの製造方法A
〜Cによっても、口開き率Qは、先端側で小さく、後端
側で大きくなっている。また、2スタンド或いは3スタ
ンドで角管を製造すると、先端及び後端共に口開きにな
る。特に2スタンドの場合、大きな口開き率Qになって
いる。口開き率Qは、7スタンドの均等圧下方式(製造
方法A)にみられるように、成形段数が多くなるほど小
さくなる。口開き率Qは、図3に示すように圧下率R,
肉厚比t0 /D0 ,材質等による影響も受ける。後端側
では、肉厚比t0 /D0 が小さいほど、また圧下率Rが
大きいほど口開き率Qが大きくなる。逆に、先端側で
は、その傾向が逆転する。なお、図3における圧下率Q
は、次式(2)で定義した。 R={π (D0 −t0)−4 (W−t0)}/π (D0 −t0)×100 ・・・・(2)
〜Cによっても、口開き率Qは、先端側で小さく、後端
側で大きくなっている。また、2スタンド或いは3スタ
ンドで角管を製造すると、先端及び後端共に口開きにな
る。特に2スタンドの場合、大きな口開き率Qになって
いる。口開き率Qは、7スタンドの均等圧下方式(製造
方法A)にみられるように、成形段数が多くなるほど小
さくなる。口開き率Qは、図3に示すように圧下率R,
肉厚比t0 /D0 ,材質等による影響も受ける。後端側
では、肉厚比t0 /D0 が小さいほど、また圧下率Rが
大きいほど口開き率Qが大きくなる。逆に、先端側で
は、その傾向が逆転する。なお、図3における圧下率Q
は、次式(2)で定義した。 R={π (D0 −t0)−4 (W−t0)}/π (D0 −t0)×100 ・・・・(2)
【0010】口開き率Qは、図4に示すように、通管方
向によっても変わる。なお、図4における通常通管は、
圧延材から製造された直径D0 =50.8mm及び肉厚
比t0 /D0 =0.028の素管を使用し、図5(a)
に示すように順方向で2スタンドの成形を行った場合で
ある。また、反転通管は、同じ素管を使用し、図5
(b)に示すように第1スタンドと第2スタンドにおけ
る通管方向を逆にした場合である。図4から明らかなよ
うに、反転通管して製造した角管では、先端部及び後端
部の口開き傾向が逆転している。このことから、口開き
の傾向は、最終スタンドにおける通管方向の影響を強く
受けていることが判る。
向によっても変わる。なお、図4における通常通管は、
圧延材から製造された直径D0 =50.8mm及び肉厚
比t0 /D0 =0.028の素管を使用し、図5(a)
に示すように順方向で2スタンドの成形を行った場合で
ある。また、反転通管は、同じ素管を使用し、図5
(b)に示すように第1スタンドと第2スタンドにおけ
る通管方向を逆にした場合である。図4から明らかなよ
うに、反転通管して製造した角管では、先端部及び後端
部の口開き傾向が逆転している。このことから、口開き
の傾向は、最終スタンドにおける通管方向の影響を強く
受けていることが判る。
【0011】切断端面に口開き,口閉じ等の変形が発生
するメカニズムは、小奈等が「組成と加工」24−26
8(1983)第434頁で報告しているように、次の
ように推察される。素管は、成形ロールの入り口近傍で
図6に示すように曲げ及びねじりを受ける。すなわち、
辺部は、変形開始点AからBまでの間で曲げモーメント
M1 ,曲げ戻しモーメントM2 と、辺部を起こすための
ねじりモーメントT1及びT2 の作用を受ける。この変
形過程を経て成形された角管には、残留応力がモーメン
トの形で働いているので、切断されたとき残留モーメン
トが解放される。いま、図7(a)に示すように残留曲
げモーメントM及び残留ねじりモーメントTがそれぞれ
単独で作用している平板を仮定する。
するメカニズムは、小奈等が「組成と加工」24−26
8(1983)第434頁で報告しているように、次の
ように推察される。素管は、成形ロールの入り口近傍で
図6に示すように曲げ及びねじりを受ける。すなわち、
辺部は、変形開始点AからBまでの間で曲げモーメント
M1 ,曲げ戻しモーメントM2 と、辺部を起こすための
ねじりモーメントT1及びT2 の作用を受ける。この変
形過程を経て成形された角管には、残留応力がモーメン
トの形で働いているので、切断されたとき残留モーメン
トが解放される。いま、図7(a)に示すように残留曲
げモーメントM及び残留ねじりモーメントTがそれぞれ
単独で作用している平板を仮定する。
【0012】切断端面は、残留モーメントMのみが作用
している状態では同一方向に変形し、残留ねじりモーメ
ントTのみが作用している状態では反対方向に変形す
る。残留曲げモーメントM及び残留ねじりモーメントT
が同時に作用している状態では、それぞれの変形が重複
して発生するため、(M+T)で示すように一方の変形
が大きく、他方の変形が小さくしかも反対方向の変形と
なる。この推論は、図1に示した7スタンドの均等圧下
方式(製造方法A)で得られた角管の切断端面の変形と
定性的に一致する。図6と図7(a)とを対比すると
き、得られた角管に残留する曲げモーメント及びねじり
モーメントは、成形ロールの直前で作用していた成形モ
ーメントT2及びT2 と反対方向であることが判る。
している状態では同一方向に変形し、残留ねじりモーメ
ントTのみが作用している状態では反対方向に変形す
る。残留曲げモーメントM及び残留ねじりモーメントT
が同時に作用している状態では、それぞれの変形が重複
して発生するため、(M+T)で示すように一方の変形
が大きく、他方の変形が小さくしかも反対方向の変形と
なる。この推論は、図1に示した7スタンドの均等圧下
方式(製造方法A)で得られた角管の切断端面の変形と
定性的に一致する。図6と図7(a)とを対比すると
き、得られた角管に残留する曲げモーメント及びねじり
モーメントは、成形ロールの直前で作用していた成形モ
ーメントT2及びT2 と反対方向であることが判る。
【0013】そこで、図7(b)に示すように、残留曲
げモーメントMが残留ねじりモーメントTよりも優勢で
あると、切断端面に生じる変形は、残留曲げモーメント
Mに支配され、切り口が互いに同じ方向になる。このこ
とから、図1において、3スタンドの押込み方式(製造
方法B)及び2スタンドの押込み方式(製造方法C)で
先端側及び後端側共に口開きになっているのは、7スタ
ンドによる均等圧下方式(製造方法A)に比較して少な
い段数で成形していることから、残留曲げモーメントM
による影響が強く現れているものと推察される。角管の
残留曲げモーメント及び残留ねじりモーメントが切断に
よって解放されることにより切断端面に変形が生じるの
であれば、残留モーメントの減少を図ることにより切断
端面の変形を抑制できることが予想される。
げモーメントMが残留ねじりモーメントTよりも優勢で
あると、切断端面に生じる変形は、残留曲げモーメント
Mに支配され、切り口が互いに同じ方向になる。このこ
とから、図1において、3スタンドの押込み方式(製造
方法B)及び2スタンドの押込み方式(製造方法C)で
先端側及び後端側共に口開きになっているのは、7スタ
ンドによる均等圧下方式(製造方法A)に比較して少な
い段数で成形していることから、残留曲げモーメントM
による影響が強く現れているものと推察される。角管の
残留曲げモーメント及び残留ねじりモーメントが切断に
よって解放されることにより切断端面に変形が生じるの
であれば、残留モーメントの減少を図ることにより切断
端面の変形を抑制できることが予想される。
【0014】残留モーメントを減少させる手段として、
オーバーベンドした素管を最終段で曲げ戻す方法が考え
られる。この方法によるとき、最終段で逆方向の成形モ
ーメントが付与され、第1段からオーバーベンドロール
までに生じた残留曲げモーメントが相殺されて減少す
る。しかし、ロール成形によって角管を製造するとき、
一旦オーバーベンドした素管を曲げ戻すためには、素管
の内側から心金等で加工することが余儀なくされる。心
金を使用するロール成形は、前述したように作業能率が
劣るばかりでなく、心金の焼付きを防止する対策も必要
とされる。したがって、実用面から好ましい方法とはい
えない。
オーバーベンドした素管を最終段で曲げ戻す方法が考え
られる。この方法によるとき、最終段で逆方向の成形モ
ーメントが付与され、第1段からオーバーベンドロール
までに生じた残留曲げモーメントが相殺されて減少す
る。しかし、ロール成形によって角管を製造するとき、
一旦オーバーベンドした素管を曲げ戻すためには、素管
の内側から心金等で加工することが余儀なくされる。心
金を使用するロール成形は、前述したように作業能率が
劣るばかりでなく、心金の焼付きを防止する対策も必要
とされる。したがって、実用面から好ましい方法とはい
えない。
【0015】そこで、本発明においては、最終段で角管
等の異形管に導入されるモーメントを可能な限り小さく
し、製品の残留モーメントを最小限に抑える方式を検討
した。その結果、小さな圧下率Rで再絞りを行うと、図
8に示すように口開き率Qが減少することを解明した。
再絞り加工は、図9に示すように圧下率Rの増加に伴っ
て口開き率Qを小さくする傾向を示した。そして、0.
2%以上の圧下率Rで再絞りを行うことによって、口開
き率Qを目標レベル1.0よりも十分に低い値に維持で
きることを解明した。圧下率Rの大きな再絞り加工は、
非常に大きな成形荷重を必要とする。そのため、反力に
よって角管角部のシャープさや角管平面部の平坦性を悪
化させる虞れがある。そこで、角管のコーナーアール及
び平坦度に及ぼす圧下率の影響を調査した。
等の異形管に導入されるモーメントを可能な限り小さく
し、製品の残留モーメントを最小限に抑える方式を検討
した。その結果、小さな圧下率Rで再絞りを行うと、図
8に示すように口開き率Qが減少することを解明した。
再絞り加工は、図9に示すように圧下率Rの増加に伴っ
て口開き率Qを小さくする傾向を示した。そして、0.
2%以上の圧下率Rで再絞りを行うことによって、口開
き率Qを目標レベル1.0よりも十分に低い値に維持で
きることを解明した。圧下率Rの大きな再絞り加工は、
非常に大きな成形荷重を必要とする。そのため、反力に
よって角管角部のシャープさや角管平面部の平坦性を悪
化させる虞れがある。そこで、角管のコーナーアール及
び平坦度に及ぼす圧下率の影響を調査した。
【0016】再絞り加工の圧下率Rは、図10に示すよ
うにコーナーアールを小さくする方向に作用し、シャー
プな角部を形成することに有効に働く。たとえば、装飾
用に要求される目標値0.7は、0.2%以上の圧下率
で得られる。なお、コーナーアールは、図11において
ゲージアールRg が測定されるアール止りの長さRsの
板厚tに対する比率Rs /tで表した。また、圧下率R
は、図12に示すように若干の低下傾向を示すものの、
平坦度f/Wに実質的な変化を来さない。すなわち、最
終段で再絞り加工することによって、得られる角管平面
部の平坦性が損なわれることはない。なお、平坦度は、
図13において角管平面部の幅をWとし、平面部の最深
部から最高部までの高さをfとして、幅Wに対する高さ
fの比率f/Wで表した。
うにコーナーアールを小さくする方向に作用し、シャー
プな角部を形成することに有効に働く。たとえば、装飾
用に要求される目標値0.7は、0.2%以上の圧下率
で得られる。なお、コーナーアールは、図11において
ゲージアールRg が測定されるアール止りの長さRsの
板厚tに対する比率Rs /tで表した。また、圧下率R
は、図12に示すように若干の低下傾向を示すものの、
平坦度f/Wに実質的な変化を来さない。すなわち、最
終段で再絞り加工することによって、得られる角管平面
部の平坦性が損なわれることはない。なお、平坦度は、
図13において角管平面部の幅をWとし、平面部の最深
部から最高部までの高さをfとして、幅Wに対する高さ
fの比率f/Wで表した。
【0017】以上のことから、最終段で0.2%以上の
圧下率で再絞り加工を施すとき、得られる異形管に存在
する残留モーメントが小さくなり、異形管を切断した場
合にあっても切断端面に発生する口開き,口閉じ等の変
形が抑制されることが確認される。しかも、最終段にお
ける再絞り加工は、角管等の平面部平坦性を損ねること
なく、シャープな角部の形成にも有効である。しかし、
1.5%を超える圧下率で再絞り加工を行うと、平坦度
が悪化すると共に口開き率が増大し、形状不良となる。
圧下率で再絞り加工を施すとき、得られる異形管に存在
する残留モーメントが小さくなり、異形管を切断した場
合にあっても切断端面に発生する口開き,口閉じ等の変
形が抑制されることが確認される。しかも、最終段にお
ける再絞り加工は、角管等の平面部平坦性を損ねること
なく、シャープな角部の形成にも有効である。しかし、
1.5%を超える圧下率で再絞り加工を行うと、平坦度
が悪化すると共に口開き率が増大し、形状不良となる。
【0018】
【実施例】外径50.8mm及び肉厚1.5mmのSU
S304ステンレス鋼パイプを素管とし、成形ロールを
2段に配置したロール成形機で一辺が39.1mmの正
方形断面をもつ角管を製造した。得られた角管を切断
し、切断端面の変形を調査したところ、0.7〜1.2
%の口開き,口閉じ等の変形が発生していた。そこで、
ロール成形機の最終段に絞りロールを組み込み、同じ条
件下で成形された角管に対して圧下率0.2〜1%の再
絞り加工を施した。そして、圧下率Rが口開き率Q,コ
ーナーアールRs /t及び平坦度f/Wに与える影響を
調査した。このときの調査結果は、前述の図9,図10
及び図12に示されている。すなわち、再絞り加工を施
すことによって口開き率Qが大幅に減少し、シャープな
角部をもち平面部平坦性に優れた角管が得られた。
S304ステンレス鋼パイプを素管とし、成形ロールを
2段に配置したロール成形機で一辺が39.1mmの正
方形断面をもつ角管を製造した。得られた角管を切断
し、切断端面の変形を調査したところ、0.7〜1.2
%の口開き,口閉じ等の変形が発生していた。そこで、
ロール成形機の最終段に絞りロールを組み込み、同じ条
件下で成形された角管に対して圧下率0.2〜1%の再
絞り加工を施した。そして、圧下率Rが口開き率Q,コ
ーナーアールRs /t及び平坦度f/Wに与える影響を
調査した。このときの調査結果は、前述の図9,図10
及び図12に示されている。すなわち、再絞り加工を施
すことによって口開き率Qが大幅に減少し、シャープな
角部をもち平面部平坦性に優れた角管が得られた。
【0019】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、最終段で再絞り加工を施すとき、異形管の残留モー
メントが減少し、切断端面に発生する口開き,口閉じ等
の変形が抑制される。そのため、所定長さに切断した異
形管を相互に接続する現場作業等において、隙間等のな
い堅実な接続部が得られる。また、研磨仕上げ等を施す
場合でも、管端に研磨ムラが発生することがなくなり、
均質な表面外観をもった製品となる。しかも、再絞り加
工によって角部がシャープとなるため、特に装飾用等に
適した異形管が得られる。
は、最終段で再絞り加工を施すとき、異形管の残留モー
メントが減少し、切断端面に発生する口開き,口閉じ等
の変形が抑制される。そのため、所定長さに切断した異
形管を相互に接続する現場作業等において、隙間等のな
い堅実な接続部が得られる。また、研磨仕上げ等を施す
場合でも、管端に研磨ムラが発生することがなくなり、
均質な表面外観をもった製品となる。しかも、再絞り加
工によって角部がシャープとなるため、特に装飾用等に
適した異形管が得られる。
【図1】 7スタンドの均等圧下方式(製造方法A),
3スタンドの押込み方式(製造方法B)及び2スタンド
の押込み方式(製造方法C)に応じた口開きの状態
3スタンドの押込み方式(製造方法B)及び2スタンド
の押込み方式(製造方法C)に応じた口開きの状態
【図2】 口開きを説明する図
【図3】 圧下率,肉厚比及び材質が口開きに与える影
響
響
【図4】 口開きに及ぼす通管方向の影響
【図5】 通常通管(a)及び反転通管(b)
【図6】 ロール成形時における各種モーメントの発生
状況
状況
【図7】 切断端面に口開き,口閉じ等が発生するメカ
ニズムの説明図
ニズムの説明図
【図8】 再絞り加工により口開きが減少することを示
した図
した図
【図9】 再絞り加工の圧下率Rと口開き率Qとの関係
【図10】 再絞り加工の圧下率Rとコーナーアールと
の関係
の関係
【図11】 コーナーアールの説明図
【図12】 再絞り加工の圧下率Rと角管平面部の平坦
度との関係
度との関係
【図13】 平坦度の説明図
Claims (1)
- 【請求項1】 外側から圧下するロール成形によって円
筒状の素管から異形管を製造する際、最終段で圧下率
0.2〜1%の絞り加工を施すことを特徴とする異形管
のロール成形法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05063993A JP3197662B2 (ja) | 1993-03-11 | 1993-03-11 | 端面形状を改良した異形管のロール成形法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05063993A JP3197662B2 (ja) | 1993-03-11 | 1993-03-11 | 端面形状を改良した異形管のロール成形法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06262251A JPH06262251A (ja) | 1994-09-20 |
JP3197662B2 true JP3197662B2 (ja) | 2001-08-13 |
Family
ID=12864534
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05063993A Expired - Fee Related JP3197662B2 (ja) | 1993-03-11 | 1993-03-11 | 端面形状を改良した異形管のロール成形法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3197662B2 (ja) |
-
1993
- 1993-03-11 JP JP05063993A patent/JP3197662B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06262251A (ja) | 1994-09-20 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20010529 |
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