JP3193104U - 方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく高品位電磁特性を備えた優れた方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置を提供する。
【解決手段】仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、平坦化焼鈍炉1と、平坦化焼鈍炉1の上流に設けられた上流側フリーループ4と、平坦化焼鈍炉1の下流に設けられた下流側フリーループ5と、下流側フリーループ5の下流に設けられ絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部6と、絶縁被膜塗布部6の下流に設けられ絶縁被膜を乾燥する乾燥炉7と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、平坦化焼鈍炉1と、平坦化焼鈍炉1の上流に設けられた上流側フリーループ4と、平坦化焼鈍炉1の下流に設けられた下流側フリーループ5と、下流側フリーループ5の下流に設けられ絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部6と、絶縁被膜塗布部6の下流に設けられ絶縁被膜を乾燥する乾燥炉7と、を備える。
【選択図】図1
Description
本考案は、高品位磁気特性を備えた方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置に関する。
方向性電磁鋼板は主としてトランス、発電機等の電気機器の鉄芯材料として使用され、磁気特性と絶縁被膜特性が優れていることが重要であり、近年、省エネルギーの観点から、磁気特性のうち特に鉄損及び磁束密度特性が良好であることが望まれている。方向性電磁鋼板は、一般に仕上げ焼鈍(二次再結晶・Mg2SiO4被膜形成と純化焼鈍)を施すことで、磁化容易方向を圧延方向に揃えた磁化特性の優れた電力用強磁性材料である。ここで、Mg2SiO4被膜には、層間絶縁と、磁区間制御による磁化特性の向上という2つの役割がある。
この仕上げ焼鈍は、高温、長時間を要するので、方向性電磁鋼板をコイル状に巻き取った状態で箱型焼鈍炉やベル型焼鈍炉、トンネル炉等により行われる。そのため、仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板は、巻き癖や平坦不良を生じており、このままでは製品としては使用できず、そのようなコイルセット(巻き癖や平坦不良)を矯正するために、平坦化焼鈍を施す必要がある。
平坦化焼鈍は、コイルセットの平坦化とMg2SiO4被膜の上に塗布されるSiO2を主成分とするコロイド溶液の固化を行う。このSiO2(2次被膜)には、前述したMg2SiO4(1次被膜)を強く補強する役割がある。平坦化焼鈍は、一般に横型連続焼鈍炉にストリップ(鋼板)を通板し、磁気特性が劣化しないように、熱間にて張力を付与して平担度の修正を行う方法である。高温平坦化焼鈍過程で方向性電磁鋼板に印可される過度の張力は高温クリープ現象を介して2次再結晶粒界また粒内に残留歪を残すことにより、90度磁壁の発生を介し、磁歪と鉄損を増大させる。また、平坦化焼鈍の際の過度な張力はMg2SiO4被膜の構造にも影響しMg2SiO4被膜による誘導張力効果を減退させる。したがって、高温平坦化焼鈍過程で方向性電磁鋼板に印可される張力の制御は方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置において重要である。
また、平坦化焼鈍は、前工程の仕上げ焼鈍で方向性電磁鋼板表裏面に硬質なグラスフィルムを形成するため、例えば脱炭焼鈍炉のように炉内ロールで擦り疵や、掻き疵、ピンプル(突起物)を生成する懸念が少ないため、高価なカーボンロールや磁器ロールを使用する必要が無く、安価で入手の容易な鋼製ロールを使用するのが一般的である。しかし鋼製ロールは、高温炉内での方向性電磁鋼板との摩擦係数が大きいため、炉内ロール間のカテナリー変動が大きくなり、炉内張力変動が大きく、焼鈍前後の板幅減少により方向性電磁鋼板の結晶に歪みが生じ、仕上げ焼鈍で得られた高品位磁気特性を劣化させる原因となっている。このため、より高品位磁気特性を劣化させない平坦化焼鈍装置が求められている。
これらの課題を解決するために、
(特許文献1)には、仕上げ焼鈍された方向性電磁鋼板を連続焼鈍炉で平坦化焼鈍するにあたり、方向性電磁鋼板の温度が700℃以上の領域において、炉内ロール駆動モータの電流を制御することによって、方向性電磁鋼板に0.60kgf/mm2〜0.80kg/mm2の張力を付与しながら平坦化焼鈍を行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置が開示されている。
(特許文献2)には、仕上げ焼鈍された方向性電磁鋼板を連続平坦化焼鈍するに当たり、ライン内で二次皮膜焼き付け及び平坦化のため方向性電磁鋼板を昇温する以前に方向性電磁鋼板に加わる張力を3.0kgf/mm2未満とすることを特徴とする張力を付与する二次皮膜を有した方向性電磁鋼板の製造装置が開示されている。
この仕上げ焼鈍は、高温、長時間を要するので、方向性電磁鋼板をコイル状に巻き取った状態で箱型焼鈍炉やベル型焼鈍炉、トンネル炉等により行われる。そのため、仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板は、巻き癖や平坦不良を生じており、このままでは製品としては使用できず、そのようなコイルセット(巻き癖や平坦不良)を矯正するために、平坦化焼鈍を施す必要がある。
平坦化焼鈍は、コイルセットの平坦化とMg2SiO4被膜の上に塗布されるSiO2を主成分とするコロイド溶液の固化を行う。このSiO2(2次被膜)には、前述したMg2SiO4(1次被膜)を強く補強する役割がある。平坦化焼鈍は、一般に横型連続焼鈍炉にストリップ(鋼板)を通板し、磁気特性が劣化しないように、熱間にて張力を付与して平担度の修正を行う方法である。高温平坦化焼鈍過程で方向性電磁鋼板に印可される過度の張力は高温クリープ現象を介して2次再結晶粒界また粒内に残留歪を残すことにより、90度磁壁の発生を介し、磁歪と鉄損を増大させる。また、平坦化焼鈍の際の過度な張力はMg2SiO4被膜の構造にも影響しMg2SiO4被膜による誘導張力効果を減退させる。したがって、高温平坦化焼鈍過程で方向性電磁鋼板に印可される張力の制御は方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置において重要である。
また、平坦化焼鈍は、前工程の仕上げ焼鈍で方向性電磁鋼板表裏面に硬質なグラスフィルムを形成するため、例えば脱炭焼鈍炉のように炉内ロールで擦り疵や、掻き疵、ピンプル(突起物)を生成する懸念が少ないため、高価なカーボンロールや磁器ロールを使用する必要が無く、安価で入手の容易な鋼製ロールを使用するのが一般的である。しかし鋼製ロールは、高温炉内での方向性電磁鋼板との摩擦係数が大きいため、炉内ロール間のカテナリー変動が大きくなり、炉内張力変動が大きく、焼鈍前後の板幅減少により方向性電磁鋼板の結晶に歪みが生じ、仕上げ焼鈍で得られた高品位磁気特性を劣化させる原因となっている。このため、より高品位磁気特性を劣化させない平坦化焼鈍装置が求められている。
これらの課題を解決するために、
(特許文献1)には、仕上げ焼鈍された方向性電磁鋼板を連続焼鈍炉で平坦化焼鈍するにあたり、方向性電磁鋼板の温度が700℃以上の領域において、炉内ロール駆動モータの電流を制御することによって、方向性電磁鋼板に0.60kgf/mm2〜0.80kg/mm2の張力を付与しながら平坦化焼鈍を行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置が開示されている。
(特許文献2)には、仕上げ焼鈍された方向性電磁鋼板を連続平坦化焼鈍するに当たり、ライン内で二次皮膜焼き付け及び平坦化のため方向性電磁鋼板を昇温する以前に方向性電磁鋼板に加わる張力を3.0kgf/mm2未満とすることを特徴とする張力を付与する二次皮膜を有した方向性電磁鋼板の製造装置が開示されている。
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、方向性電磁鋼板に0.60kg/mm2〜0.80kg/mm2の張力を付与しながら平坦化焼鈍を行っているが、張力を高くしている為、鉄損特性が下がる原因になり好ましくないという課題を有していた。また、ホットレベラーによってロールを方向性電磁鋼板の上から押し付けて板上の異物を押し付けるため疵や凹凸を生じ磁気特性を劣化させるので好ましくない。さらに、平坦化焼鈍炉に掛かる張力を小さくした結果、乾燥炉と平坦化焼鈍炉が一体となっているため、乾燥炉では絶縁被膜液のコーティング装置から乾燥炉にかけてのカテナリーが大きくなるため、カテナリーによる方向性電磁鋼板の内部歪みが大きくなり、磁気特性を劣化させる。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、方向性電磁鋼板の巻き癖を矯正するために熱間で大きな張力をかけるので搬送方向に方向性電磁鋼板が引き延ばされ歪みを生じ磁気特性を劣化させる。
(3)(特許文献2)に開示の技術は、炉内ロールの配設ピッチを大きくしているので、炉内ロール間のカテナリーが大きくなり、カテナリーによる方向性電磁鋼板の内部歪みが大きくなり、磁気特性を劣化させる。
(4)従来の平坦化焼鈍は、乾燥炉と平坦化炉が連結され一体型となっている。絶縁被膜塗布後、絶縁被膜が乾燥するまでの間の区間ではロールによる補助が無く、カテナリーが大きくならないように高い張力をかける必要がある。このため、従来の平坦化焼鈍炉では、乾燥炉と平坦化焼鈍炉のバランスをとって張力付与をせざるを得なかった。
(5)従来の平坦化焼鈍では、絶縁被膜塗布部から、乾燥炉内の乾燥が終わるまでの間にロールを設置することができないため、その間のカテナリーが大きくなるため、張力変動もそれに伴って大きくなるため、方向性電磁鋼板に内部歪みが生じ磁気特性を劣化させる。
(6)従来の平坦化焼鈍では、乾燥炉内の排ガスが平坦化焼鈍炉内に侵入して雰囲気ガスが汚染されて絶縁被膜の劣化が生じていた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、方向性電磁鋼板に0.60kg/mm2〜0.80kg/mm2の張力を付与しながら平坦化焼鈍を行っているが、張力を高くしている為、鉄損特性が下がる原因になり好ましくないという課題を有していた。また、ホットレベラーによってロールを方向性電磁鋼板の上から押し付けて板上の異物を押し付けるため疵や凹凸を生じ磁気特性を劣化させるので好ましくない。さらに、平坦化焼鈍炉に掛かる張力を小さくした結果、乾燥炉と平坦化焼鈍炉が一体となっているため、乾燥炉では絶縁被膜液のコーティング装置から乾燥炉にかけてのカテナリーが大きくなるため、カテナリーによる方向性電磁鋼板の内部歪みが大きくなり、磁気特性を劣化させる。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、方向性電磁鋼板の巻き癖を矯正するために熱間で大きな張力をかけるので搬送方向に方向性電磁鋼板が引き延ばされ歪みを生じ磁気特性を劣化させる。
(3)(特許文献2)に開示の技術は、炉内ロールの配設ピッチを大きくしているので、炉内ロール間のカテナリーが大きくなり、カテナリーによる方向性電磁鋼板の内部歪みが大きくなり、磁気特性を劣化させる。
(4)従来の平坦化焼鈍は、乾燥炉と平坦化炉が連結され一体型となっている。絶縁被膜塗布後、絶縁被膜が乾燥するまでの間の区間ではロールによる補助が無く、カテナリーが大きくならないように高い張力をかける必要がある。このため、従来の平坦化焼鈍炉では、乾燥炉と平坦化焼鈍炉のバランスをとって張力付与をせざるを得なかった。
(5)従来の平坦化焼鈍では、絶縁被膜塗布部から、乾燥炉内の乾燥が終わるまでの間にロールを設置することができないため、その間のカテナリーが大きくなるため、張力変動もそれに伴って大きくなるため、方向性電磁鋼板に内部歪みが生じ磁気特性を劣化させる。
(6)従来の平坦化焼鈍では、乾燥炉内の排ガスが平坦化焼鈍炉内に侵入して雰囲気ガスが汚染されて絶縁被膜の劣化が生じていた。
本考案は上記従来の課題を解決するもので、方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく高品位電磁特性を備えた優れた方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本考案の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置及びそれを利用して得られた方向性電磁鋼板は、以下の構成を有している。
本考案の請求項1に記載の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置は、仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、平坦化焼鈍炉と、前記平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループと、前記平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループと、前記下流側フリーループの下流に設けられ絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、前記絶縁被膜塗布部の下流に設けられ前記絶縁被膜を乾燥する乾燥炉と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果を有する。
(1)平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループを備えることにより、平坦化焼鈍炉に上流側フリーループの上流側のループカーの移動(起動、加減速、停止等)時の衝撃やルーパ内でのハンチングによる方向性電磁鋼板の張力変化等の上流側の装置の張力変化の影響が無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力によって高温クリープ現象を介した2次再結晶粒界または粒内に残留歪みを残さないので90度磁壁の発生による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(2)平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループを備えることにより、下流側のループカーや下流側の装置の張力変化の影響を受けることが無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(3)下流側フリーループの下流側に設けられた絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、絶縁被膜塗布部の下流側に設けられ絶縁被膜を乾燥する乾燥炉とを備えることにより、平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されているので、それぞれに最適な張力付与を行うことが可能で、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(4)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、それぞれに最適な雰囲気ガスを選択することができ、高品質なグラスフィルムと、絶縁被膜を形成することができる。
(5)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、乾燥炉では、張力を大きくすることで、カテナリーを小さくすることが可能で炉体深さを小さくでき、平坦化焼鈍装置の生産性に優れる。
(6)絶縁被膜の乾燥炉で張力を充分にかけることができるので磁気特性に優れる。
(7)平坦化焼鈍炉の後に絶縁被膜塗布部と乾燥部を備えているので、乾燥炉内のカテナリー(たるみ)変化による平坦化焼鈍炉の炉内張力の変化を抑制することができる。
(8)平坦化焼鈍炉の後に、絶縁被膜塗布部と、乾燥部と、を備えることにより、平坦化焼鈍炉でカテナリーの張力変動の影響がでないので鉄損劣化が少なく、内部歪みが小さい高品位磁気特性を備えた方向性電磁鋼板を製造することができる。
本考案の請求項1に記載の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置は、仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、平坦化焼鈍炉と、前記平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループと、前記平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループと、前記下流側フリーループの下流に設けられ絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、前記絶縁被膜塗布部の下流に設けられ前記絶縁被膜を乾燥する乾燥炉と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果を有する。
(1)平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループを備えることにより、平坦化焼鈍炉に上流側フリーループの上流側のループカーの移動(起動、加減速、停止等)時の衝撃やルーパ内でのハンチングによる方向性電磁鋼板の張力変化等の上流側の装置の張力変化の影響が無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力によって高温クリープ現象を介した2次再結晶粒界または粒内に残留歪みを残さないので90度磁壁の発生による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(2)平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループを備えることにより、下流側のループカーや下流側の装置の張力変化の影響を受けることが無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(3)下流側フリーループの下流側に設けられた絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、絶縁被膜塗布部の下流側に設けられ絶縁被膜を乾燥する乾燥炉とを備えることにより、平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されているので、それぞれに最適な張力付与を行うことが可能で、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(4)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、それぞれに最適な雰囲気ガスを選択することができ、高品質なグラスフィルムと、絶縁被膜を形成することができる。
(5)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、乾燥炉では、張力を大きくすることで、カテナリーを小さくすることが可能で炉体深さを小さくでき、平坦化焼鈍装置の生産性に優れる。
(6)絶縁被膜の乾燥炉で張力を充分にかけることができるので磁気特性に優れる。
(7)平坦化焼鈍炉の後に絶縁被膜塗布部と乾燥部を備えているので、乾燥炉内のカテナリー(たるみ)変化による平坦化焼鈍炉の炉内張力の変化を抑制することができる。
(8)平坦化焼鈍炉の後に、絶縁被膜塗布部と、乾燥部と、を備えることにより、平坦化焼鈍炉でカテナリーの張力変動の影響がでないので鉄損劣化が少なく、内部歪みが小さい高品位磁気特性を備えた方向性電磁鋼板を製造することができる。
ここで、方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍としては、一般に、方向性電磁鋼板を製造する工程において、鋼スラブを熱間圧延し、熱処理し、デスケリーリングし、一回以上の冷間圧延を施し、脱炭・一次再結晶焼鈍し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍(二次再結晶焼鈍)した後の焼鈍をいう。仕上げ焼鈍は通常、1150°以上の高温域で約20時間かけてコイル焼鈍を行っているために、コイルに巻きぐせが付くと同時に、ベースプレートと称するコイルの載置台に接したコイルのエッジ部が座屈し、変形する。この座屈変形量は、30〜80mmの幅でコイル全長にまたがることがある。仕上げ焼鈍後、コイル状に巻かれた方向性電磁鋼板は高温長時間の焼鈍によりコイルセットがついている。これを除去するため、平坦化焼鈍では、900℃〜1000℃程度で方向性電磁鋼板に張力を付与しつつ炉内で熱処理をする。また、一般的な平坦化焼鈍装置の構成は、払い出しリール→余剰焼鈍分離剤除去→入側ルーパ→絶縁皮膜塗布(コーター)→乾燥炉と平坦化焼鈍炉(皮膜焼付けと平坦化)→出側ルーパ→巻き取りリールというものである。
ルーパは、ラインの投入側コイル若しくは受入側コイルの交換時に両セクションでラインを停止する必要があるので、方向性電磁鋼板を蓄えるものであり、ルーパは用途により、フリーループ式、ループカー式、ループタワー式等がある。ループカー式及び、ループタワー式は、大量の方向性電磁鋼板を貯蔵可能なため、よく用いられるが、ループカーやループタワーの移動の際に他のラインに張力変化の影響を与えてしまう。
従来、フリーループは、ライン停止時に方向性電磁鋼板を蓄えるものでピット内に垂直に方向性電磁鋼板を垂らして長さを確保するものである。また、速度を変えて運転する必要があるため、方向性電磁鋼板を蓄えるために設けられるルーパのうち、ピット内に懸垂ループを作り、ピット内に配設された光電管等でピット内のループ位置を検出し、フリーループ前後の速度差を吸収するものである。
本願における上流側フリーループ及び下流側フリーループは、他のルーパや前後の装置の衝撃力を吸収させることを目的とするものであるので、通常のフリーループのピット程の大きさは必要なく、特に限定するものではないが、ピットの深さは1〜3mのものを用いることもできる。
従来、フリーループは、ライン停止時に方向性電磁鋼板を蓄えるものでピット内に垂直に方向性電磁鋼板を垂らして長さを確保するものである。また、速度を変えて運転する必要があるため、方向性電磁鋼板を蓄えるために設けられるルーパのうち、ピット内に懸垂ループを作り、ピット内に配設された光電管等でピット内のループ位置を検出し、フリーループ前後の速度差を吸収するものである。
本願における上流側フリーループ及び下流側フリーループは、他のルーパや前後の装置の衝撃力を吸収させることを目的とするものであるので、通常のフリーループのピット程の大きさは必要なく、特に限定するものではないが、ピットの深さは1〜3mのものを用いることもできる。
絶縁被膜塗布部としては、SiO2等の絶縁被膜を方向性電磁鋼板の表裏面に塗布できるものであればよく、特に限定しない。また、乾燥炉についても同様にコーターで塗布した絶縁被膜を乾燥させることができるものであればよく、特に限定しないが、ヒーター,直火,ラジアントチューブ,熱風等のいずれか1若しくはこれらの組み合わせを用いることができる。従来の平坦化焼鈍においては、絶縁被膜塗布、乾燥、平坦化焼鈍の順に行われ、乾燥炉と平坦化焼鈍炉は一体的に形成されている。このため、コーター及び乾燥炉での張力変化が平坦化焼鈍炉の張力に影響を与えてしまうため、それらの影響を加味して平坦化焼鈍炉の炉内張力の調整を行わなければならず、また、コーター及び乾燥炉での張力変化により方向性電磁鋼板内部の歪みを生じさせていた。本構成を用いた場合、平坦化焼鈍炉の下流側に絶縁被膜塗布部と乾燥炉を設置しているので、平坦化焼鈍炉の炉内張力を安定化させることができる。
平坦化焼鈍に用いる平坦化焼鈍炉としては、横型の熱処理用連続炉が用いられる。また、平坦化焼鈍炉は、加熱、均熱、冷却を連続して行う。平坦化焼鈍炉内の炉内雰囲気は、炉内を中性から弱還元性雰囲気を確保するために、H2ガスを1vol%〜30vol%、好ましくは1vol%〜4vol%、残りをN2ガス、Arガス、Heガス等の不活性ガスを炉内に供給し焼鈍することが好ましい。平坦化焼鈍炉内の温度は850℃以上になるので、酸素が存在する雰囲気下では、カーボンと酸素が反応(燃焼)し、カーボンローラーの消耗が増えるが、水素ガスを1vol%〜30vol%含む構成を備えることにより、カーボンと酸素の反応速度(C+O2=CO2)より、水素と酸素の反応速度(2H2+O2=2H2O)の方が速いため、カーボンローラーの消耗が少なく、の耐久性に優れる。また、水素ガス以外の残りの雰囲気ガスは、N2ガス等の不活性ガスで構成されているので、カーボンローラーの耐久性に優れている。
焼鈍過程で結晶粒(結晶粒界)に歪みを与えると製品の磁気特性が劣化するため、平坦化焼鈍炉の炉内ロールの間隔は、0.5〜3m、より好ましくは1〜2mの間隔で配設されるのが好ましい。方向性電磁鋼板の磁気特性は、平坦化焼鈍での歪みが大きい程劣化し、平坦化焼鈍での歪みは、ストリップにかけられる張力が大きい程大きくなる傾向にある。このため、炉内ロールの間の距離が0.5mより短くなると、方向性電磁鋼板に与える歪みは小さくなるが炉内ロールの数が増え設備費が嵩みメンテナンス性が劣る傾向にあり好ましく無い。また、3mよりも炉内ロールのピッチが長くなると、炉内ロール1本当たりにかかる方向性電磁鋼板の重量が大きくなり方向性電磁鋼板にかかる張力が増し方向性電磁鋼板に与える歪みが大きくなり、炉内ロールの磨耗が大きくなる傾向にあり好ましくない。更に、設備費用は安くなるが、炉内に新たに方向性電磁鋼板を通す際の作業が煩雑になり、作業性が劣る傾向にあり好ましくない。
請求項2に記載の考案は、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、前記下流側フリーループの下流で前記絶縁被膜塗布部の上流に設けられた磁区制御装置を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)磁区制御装置を備えることにより、方向性電磁鋼板の表裏面にレーザや機械的圧痕を付与して鉄損をさらに低減することができる。
この構成により、請求項1の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)磁区制御装置を備えることにより、方向性電磁鋼板の表裏面にレーザや機械的圧痕を付与して鉄損をさらに低減することができる。
ここで、磁区制御装置としては、方向性電磁鋼板の表面にレーザ光を照射したり、機械的に方向性電磁鋼板の表面に溝を形成したりすることにより、方向性電磁鋼板に歪みを導入して磁区を細分化する方法であれば特に限定するものではない。磁区制御装置は、レーザ照射や機械的溝を形成することで局部歪みを導入することにより180度磁壁間隔を細分化させる技術であり、優れた鉄損低減効果を有する。
請求項3に記載の考案は、請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、前記平坦化焼鈍炉の炉内ロールがカーボンロールである構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)平坦化焼鈍炉にカーボンロールを備えることにより、鋼製ロールより、摩擦が小さく平坦化焼鈍炉での炉内張力を小さくすることができるので、結晶粒や結晶粒界に有害な張力を与えることが無いので品質に優れる。
この構成により、請求項1又は2の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)平坦化焼鈍炉にカーボンロールを備えることにより、鋼製ロールより、摩擦が小さく平坦化焼鈍炉での炉内張力を小さくすることができるので、結晶粒や結晶粒界に有害な張力を与えることが無いので品質に優れる。
ここで、カーボンロールとしては、表面が滑らかで、僅かに磨耗したカーボンの微粉体がロールと方向性電磁鋼板の間の摩擦を低減させる潤滑効果をもたらしたものが好適に用いられ、カーボンロールの表面に、例えばAl2PO3を含浸させるといった表面処理を施しても良い。また、金属性の芯材にカーボンスリーブを嵌めて用いたような、方向性電磁鋼板との接触面のみがカーボン製のものに限らず、CFRPロール(炭素繊維強化プラスチックロール)のように芯材を含めてカーボンで製造したものも用いることもできる。
平坦化焼鈍炉の炉内ロールは各ロールにモータを備え方向性電磁鋼板とロールの周速を調整しているが、炉内ロールの摩擦係数が大きいと方向性電磁鋼板の速度とロールの微小な周速差によって方向性電磁鋼板に擦り疵、掻き疵が生じるほか、炉内ロール間の張力変動が大きくなり磁気特性の劣化の原因となっている。本願考案の炉内ロールにカーボンロールを備えた場合、方向性電磁鋼板の送り速度とロール周速に微小な差があっても方向性電磁鋼板とカーボンロールの間で発生したカーボンロールの微粉末の潤滑作用によりロール上を滑らかに移動することができるので擦り、掻き傷による磁気特性の劣化が無く磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を製造することができる。
平坦化焼鈍炉の炉内ロールは各ロールにモータを備え方向性電磁鋼板とロールの周速を調整しているが、炉内ロールの摩擦係数が大きいと方向性電磁鋼板の速度とロールの微小な周速差によって方向性電磁鋼板に擦り疵、掻き疵が生じるほか、炉内ロール間の張力変動が大きくなり磁気特性の劣化の原因となっている。本願考案の炉内ロールにカーボンロールを備えた場合、方向性電磁鋼板の送り速度とロール周速に微小な差があっても方向性電磁鋼板とカーボンロールの間で発生したカーボンロールの微粉末の潤滑作用によりロール上を滑らかに移動することができるので擦り、掻き傷による磁気特性の劣化が無く磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を製造することができる。
本考案の実施の形態における平坦化焼鈍装置について、以下図面を参照しながら説明する。尚、本考案は以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置の模式図である。
図1中、1は平坦化焼鈍に用いる平坦化焼鈍炉、2は平坦化焼鈍炉1の金属性の芯材にカーボンスリーブを嵌めて作製されたカーボンローラーである炉内ロール、3は炉内ロール2に支持されて搬送される方向性電磁鋼板、4は平坦化焼鈍炉1の上流に設けられ平坦化焼鈍炉1に上流の張力変化の影響を防ぐ上流側フリーループ、5は平坦化焼鈍炉1の下流に設けられた下流に設けられ平坦化焼鈍炉1に下流の張力変化の影響を防ぐ下流側フリーループ、6は下流側フリーループ5の下流に設けられたSiO2等の絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部(コーター)、7は絶縁被膜塗布部5の下流に設けられ絶縁被膜塗布部6で塗布された皮膜を乾燥させる乾燥炉、8は投入側コイル、9は投入側コイル8から方向性電磁鋼板3を送り出すアンコイラー、10は方向性電磁鋼板3を巻き取る受入側コイル、11は巻き取り側の受入側コイル10に方向性電磁鋼板3を巻き取るリコイラー、12はコイルのオン・オフセット時に平坦化焼鈍を止めずに動かすためのルーピングカーである。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置の模式図である。
図1中、1は平坦化焼鈍に用いる平坦化焼鈍炉、2は平坦化焼鈍炉1の金属性の芯材にカーボンスリーブを嵌めて作製されたカーボンローラーである炉内ロール、3は炉内ロール2に支持されて搬送される方向性電磁鋼板、4は平坦化焼鈍炉1の上流に設けられ平坦化焼鈍炉1に上流の張力変化の影響を防ぐ上流側フリーループ、5は平坦化焼鈍炉1の下流に設けられた下流に設けられ平坦化焼鈍炉1に下流の張力変化の影響を防ぐ下流側フリーループ、6は下流側フリーループ5の下流に設けられたSiO2等の絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部(コーター)、7は絶縁被膜塗布部5の下流に設けられ絶縁被膜塗布部6で塗布された皮膜を乾燥させる乾燥炉、8は投入側コイル、9は投入側コイル8から方向性電磁鋼板3を送り出すアンコイラー、10は方向性電磁鋼板3を巻き取る受入側コイル、11は巻き取り側の受入側コイル10に方向性電磁鋼板3を巻き取るリコイラー、12はコイルのオン・オフセット時に平坦化焼鈍を止めずに動かすためのルーピングカーである。
以上のように、本考案の実施形態1における方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置は構成されているので、以下のような作用、効果が得られる。
(1)平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループを備えることにより、平坦化焼鈍炉に上流側フリーループの上流側のループカーの移動(起動、加減速、停止等)時の衝撃やルーパ内でのハンチングによる方向性電磁鋼板の張力変化等の上流側の装置の張力変化の影響が無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力によって高温クリープ現象を介した2次再結晶粒界または粒内に残留歪みを残さないので90度磁壁の発生による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(2)平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループを備えることにより、下流側のループカーや下流側の装置の張力変化の影響を受けることが無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(3)下流側フリーループの下流側に設けられた絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、絶縁被膜塗布部の下流側に設けられ絶縁被膜を乾燥する乾燥炉とを備えることにより、平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されているので、それぞれに最適な張力付与を行うことが可能で、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(4)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、それぞれに最適な雰囲気ガスを選択することができ、高品質なグラスフィルムと、絶縁被膜を形成することができる。
(5)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、乾燥炉では、張力を大きくすることで、カテナリーを小さくすることが可能で炉体深さを小さくでき、平坦化焼鈍装置の生産性に優れる。
(6)絶縁被膜の乾燥炉で張力を充分にかけることができるので磁気特性に優れる。
(7)平坦化焼鈍炉の後に絶縁被膜塗布部と乾燥部を備えているので、乾燥炉内のカテナリー(たるみ)変化による平坦化焼鈍炉の炉内張力の変化を抑制することができる。
(8)平坦化焼鈍炉の後に、絶縁被膜塗布部と、乾燥部と、を備えることにより、平坦化焼鈍炉でカテナリーの張力変動の影響がでないので鉄損劣化が少なく、内部歪みが小さい高品位磁気特性を備えた方向性電磁鋼板を製造することができる。
(9)平坦化焼鈍炉にカーボンロールを備えることにより、鋼製ロールより、摩擦が小さく平坦化焼鈍炉での炉内張力を小さくすることができるので、結晶粒や結晶粒界に有害な張力を与えることが無いので品質に優れる。
(1)平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループを備えることにより、平坦化焼鈍炉に上流側フリーループの上流側のループカーの移動(起動、加減速、停止等)時の衝撃やルーパ内でのハンチングによる方向性電磁鋼板の張力変化等の上流側の装置の張力変化の影響が無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力によって高温クリープ現象を介した2次再結晶粒界または粒内に残留歪みを残さないので90度磁壁の発生による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(2)平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループを備えることにより、下流側のループカーや下流側の装置の張力変化の影響を受けることが無く、平坦化焼鈍炉の張力を最小限に抑えることができるので、過度な張力による磁歪と鉄損の増大が無く、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(3)下流側フリーループの下流側に設けられた絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、絶縁被膜塗布部の下流側に設けられ絶縁被膜を乾燥する乾燥炉とを備えることにより、平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されているので、それぞれに最適な張力付与を行うことが可能で、得られる方向性電磁鋼板の内部歪みが小さく磁気特性に優れる。
(4)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、それぞれに最適な雰囲気ガスを選択することができ、高品質なグラスフィルムと、絶縁被膜を形成することができる。
(5)平坦化焼鈍炉と乾燥炉が下流側フリーループによって完全に分離されることにより、乾燥炉では、張力を大きくすることで、カテナリーを小さくすることが可能で炉体深さを小さくでき、平坦化焼鈍装置の生産性に優れる。
(6)絶縁被膜の乾燥炉で張力を充分にかけることができるので磁気特性に優れる。
(7)平坦化焼鈍炉の後に絶縁被膜塗布部と乾燥部を備えているので、乾燥炉内のカテナリー(たるみ)変化による平坦化焼鈍炉の炉内張力の変化を抑制することができる。
(8)平坦化焼鈍炉の後に、絶縁被膜塗布部と、乾燥部と、を備えることにより、平坦化焼鈍炉でカテナリーの張力変動の影響がでないので鉄損劣化が少なく、内部歪みが小さい高品位磁気特性を備えた方向性電磁鋼板を製造することができる。
(9)平坦化焼鈍炉にカーボンロールを備えることにより、鋼製ロールより、摩擦が小さく平坦化焼鈍炉での炉内張力を小さくすることができるので、結晶粒や結晶粒界に有害な張力を与えることが無いので品質に優れる。
(実施の形態2)
図2は実施の形態2の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置の模式図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図2中、13は下流側フリーループの下流で絶縁被膜塗布部の上流に設けられた磁区制御装置である。
図2は実施の形態2の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置の模式図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図2中、13は下流側フリーループの下流で絶縁被膜塗布部の上流に設けられた磁区制御装置である。
以上のように、本考案の実施形態2における方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用、効果が得られる。
(1)磁区制御装置を備えることにより、方向性電磁鋼板の表裏面にレーザや機械的圧痕を付与して鉄損をさらに低減することができる。
(1)磁区制御装置を備えることにより、方向性電磁鋼板の表裏面にレーザや機械的圧痕を付与して鉄損をさらに低減することができる。
本考案は、仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、平坦化焼鈍炉と、前記平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループと、前記平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループと、前記下流側フリーループの下流に設けられ絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、前記絶縁被膜塗布部の下流に設けられ前記絶縁被膜を乾燥する乾燥炉と、を備えることにより、平坦化焼鈍炉や、乾燥炉での方向性電磁鋼板に与える張力を最適化することで、平坦化焼鈍における磁気特性及び平坦化度の優れた方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置を提供することができる。
1 平坦化焼鈍炉
2 炉内ロール
3 方向性電磁鋼板
4 上流側フリーループ
5 下流側フリーループ
6 絶縁被膜塗布部
7 乾燥炉
8 投入側コイル
9 アンコイラー
10 受入側コイル
11 リコイラー
12 ルーピングカー
13 磁区制御装置
2 炉内ロール
3 方向性電磁鋼板
4 上流側フリーループ
5 下流側フリーループ
6 絶縁被膜塗布部
7 乾燥炉
8 投入側コイル
9 アンコイラー
10 受入側コイル
11 リコイラー
12 ルーピングカー
13 磁区制御装置
Claims (3)
- 仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置であって、平坦化焼鈍炉と、前記平坦化焼鈍炉の上流に設けられた上流側フリーループと、前記平坦化焼鈍炉の下流に設けられた下流側フリーループと、前記下流側フリーループの下流に設けられ絶縁被膜を塗布する絶縁被膜塗布部と、前記絶縁被膜塗布部の下流に設けられ前記絶縁被膜を乾燥する乾燥炉と、を備えたことを特徴とする方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置。
- 前記下流側フリーループの下流で前記絶縁被膜塗布部の上流に設けられた磁区制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置。
- 前記平坦化焼鈍炉の炉内ロールがカーボンロールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板の平坦化焼鈍装置。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3193104U true JP3193104U (ja) | 2014-09-18 |
Family
ID=
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019147980A (ja) * | 2018-02-26 | 2019-09-05 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019147980A (ja) * | 2018-02-26 | 2019-09-05 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
JP7031364B2 (ja) | 2018-02-26 | 2022-03-08 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
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