JP3190803U - 果実保護カバー - Google Patents

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Abstract

【課題】果実に装着した状態で、その内部への雨水などの水の入り込みを抑えることができる防水性に優れた果実保護カバーを提供する。【解決手段】果樹に実った状態の果実fの少なくとも上部を収納する収納凹部が下方に形成された果実保護カバー1Aである。果実保護カバー1Aには、収納凹部の開口縁部12から果実保護カバー1Aの頂部13に亘って、切れ込み14が形成されている。果実保護カバー1Aを果実fに装着する際に一方側のカバー壁部15aと他方側のカバー壁部15bとが重なる重なり部分17となるカバー壁部15a,15bの外壁面には、切れ込み14に沿って突条部18A,18Bが形成されている。【選択図】図3

Description

本考案は、果樹に実った状態の果実の少なくとも上部を覆い、果実を保護する果実保護カバーに関する。
従来から、果樹に実った状態の蜜柑、桃、林檎、梨等の果実が、過度に日光を受けることにより日焼けを起こしたり、雹などが衝突することにより傷が生じたりすることから、果樹に実った状態の果実に、紙製の袋を覆うことが一般的に行われている。しかしながら、紙製の袋は、雨水等により濡れた場合、破れ易い。
このような点を鑑みてたとえば、以下に示す樹脂発泡体からなる果実保護カバーが提案されている(例えば特許文献1参照)。この果実保護カバーは、図10(a)に示すように、カップ状に成形したカバーであり、果実の少なくとも上部を収納する収納凹部91が下方に形成されている。果実保護カバー9には、収納凹部91の開口縁部92から果実保護カバー9の頂部93に亘って、切れ込み94が形成されている。
果実保護カバー9で果実fを覆う際には、開口縁部92に形成された切れ込み94の端部94aから、頂部93に形成された切れ込み94の端部94bまで、切れ込み94に沿って果実fの軸部bを挿入する。これにより、図10(b)に示すように、果実fの上部から延在する軸部bを頂部93近傍の切れ込み94に貫通させた状態で収納凹部91に果実fを収納することができる。その後、切れ込み94が開かないように、切れ込み94に沿って粘着テープtを貼りつける。このようにして、果実保護カバー9で果実fを覆い、日光や雹から果実fを保護することができる。
特開平5−23064号公報
しかしながら、特許文献1に示す果実保護カバー9を用いた場合であっても、雨水や結露水等の水(水滴)が果実保護カバー9の表面に付着し、この水が、粘着テープtを貼り付けていない切れ込み94の隙間c1からカバー内部(すなわち収納凹部91)に浸入することがある。これにより、浸入した水が果実fに付着し、その付着した部分が変色することがあった。特に、各果実の中でも冬季に樹上で熟成させる柑橘系の果実ではこのような点が問題視されている。
そこで、例えば、図10(c)に示すように、切れ込み94の隙間c1を塞ぐべく、果実保護カバー9を用いて、切れ込み94により区分された一方側のカバー壁部95a、他方側のカバー壁部95bを重ね合わせ、重ね合わせた重なり部分97をステップルなどにより接合することにより、果実fの上部を覆うことも考えられる。
しかしながら、一方側のカバー壁部95aと、他方側のカバー壁部95bとを重ね合わせた際に、図10(c)に示すように外側に位置する他方側のカバー壁部95bが変形し、これらの間に隙間c2が形成されることがある。これにより、果実保護カバー9の表面に付着した水がこの隙間c2に入り込み、カバー内部に流れ込んでしまうことがあった。
本考案は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、果実に装着した状態で、カバー内部への雨水、結露水などの水の浸入を抑えることができる防水性に優れた果実保護カバーを提供することにある。
前記課題を解決すべく、考案者が鋭意検討を重ねた結果、切れ込みにより区分された一方側のカバー壁部の外壁面と他方側のカバー壁部の内壁面とを重ね合わせた際に、一方側のカバー壁部の変形を抑えるように一方側のカバー壁部の剛性を高める、または、たとえ前記変形により隙間が形成されたとしても、これらの隙間に浸入する水を堰き止める堰を形成することができれば、カバー内部への水の浸入を抑えることができると考えた。
本考案は、このような点を鑑みてなされたものであり、本考案に係る果実保護カバーは、果樹に実った状態の果実の少なくとも上部を収納する収納凹部が下方に形成された果実保護カバーであって、該果実保護カバーには、前記収納凹部の開口縁部から前記果実保護カバーの頂部に亘って、切れ込みが形成されており、前記果実保護カバーは、前記切れ込みにより区分された一方側のカバー壁部と、他方側のカバー壁部とを重ね合わせ、該重ね合わせた重なり部分を接合することにより、前記果実に装着されるものであり、前記果実保護カバーを前記果実に装着する際に前記重なり部分となる、少なくとも何れか一方の前記カバー壁部の外壁面には、前記切れ込みに沿って突条部が形成されていることを特徴とする。
本考案によれば、果実保護カバーで樹木上の果実を覆う際には、収納凹部の開口縁部に形成された切れ込みの端部から、頂部に形成された切れ込みの端部まで、切れ込みに沿って果実の軸部を挿入する。これにより、果実の上部から延在する軸部を頂部近傍の切れ込みに貫通させた状態で、収納凹部に果実を収納することができる。この状態で、切れ込みにより区分された一方側のカバー壁部と切れ込みにより区分された他方側のカバー壁部とを重ね合わせ、該重ね合わせた重なり部分を接合し、果実保護カバーが果実に装着される。
ここで、例えば、一方側のカバー壁部の外壁面に突条部が形成され、該一方側のカバー壁部がカバー外側に位置し、他方側のカバー壁部がカバー内側に位置するように、これらを重ね合わせた場合には、突条部が一方側のカバー壁部の剛性を高める補強材として作用する。これにより一方側のカバー壁部の変形を抑え、一方側のカバー壁部と他方側のカバー壁部との間に隙間が形成され難くなる。これにより、果実に装着した状態で、カバー内部への雨水、結露水などの水の浸入を抑えることができる。
一方、他方側のカバー壁部の外壁部に突条部が形成され、上述の如く一方側のカバー壁部がカバー外側に位置し、他方側のカバー壁部がカバー内側に位置するように、これらを重ね合わせた場合には、一方側のカバー壁部と他方側のカバー壁部との間に突条部が配置される。これにより、突条部が、一方側のカバー壁部と他方側のカバー壁部との間に浸入する雨水、結露水などの水を堰き止める堰として作用するので、この場合も、カバー内部への水の浸入を抑えることができる。
より好ましい態様としては、前記突条部は、切れ込みにより区分された双方のカバー壁部の外壁面に形成されており、前記突条部の位置に対応する前記カバー壁部の内壁面には凹溝部が形成されており、前記一方のカバー壁部と前記他方のカバー壁部とを重ね合わせたときに、前記外壁面の突条部の少なくとも一部が、前記内壁面の凹溝部に入り込むように、前記突条部が形成されている。
この態様によれば、一方側のカバー壁部と他方側のカバー壁部とを重ね合わせた場合、カバー外側に位置するカバー壁部の突条部が、カバー外側に位置するカバー壁部の変形を抑えることができる。さらに、一方側のカバー壁部の内壁面と他方側のカバー壁部の外壁面との間にも、カバー内側に位置するカバー壁部の突条部が配置されるため、この突条部を水の浸入に対する堰として作用させることができる。この結果、上述した突条部による双方の効果を期待することができる。
さらに、これらを重ね合わせて接合した状態で、この堰として作用するカバー内側に位置するカバー壁部に形成された突条部の一部が、カバー外側に位置するカバー壁部の内壁面に形成された凹溝部に入り込む。これにより水の浸入をより確実に抑えることができるとともに、切れ込みが開き難くなり、果実からカバーが外れ難くなる。さらに、突条部をカバー壁部同士の重ねあわせの位置決め部として用いることができ、カバーを果実に容易に装着する装着作業性を高めることができる。
さらに好ましい態様としては、前記切れ込みの端部のうち、前記果実保護カバーの頂部側の端部を含む部分は、その周りの前記果実保護カバーの頂部に対して突出している。この態様によれば、果実保護カバーの上方から降り注がれる水が、果実保護カバーの頂部に溜ることを抑え、果実の軸部と切れ込みとの隙間から水が果実保護カバーの内部に浸入することを抑えることができる。
本考案によれば、果実に装着した状態で、その内部への雨水などの水の入り込みを抑えることができる。
本考案の第1実施形態に係る果実保護カバーの模式的斜視図。 (a)は図1に示す果実保護カバーの平面図、(b)は(a)のA−A線に沿った矢視断面図、(c)は(a)のB−B線に沿った矢視断面図。 図1に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図。 図3のC−C線に沿った矢視断面図。 本考案の第2実施形態に係る果実保護カバーの模式的斜視図。 (a)は図5に示す果実保護カバーの平面図、(b)は(a)のD−D線に沿って切断したときの矢視断面図、(c)は(a)のE−E線に沿って切断したときの矢視断面図。 図5に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図。 図7のF−F線に沿って切断したときの矢視断面図。 (a)は本考案の第3実施形態に係る果実保護カバーの模式的斜視図、(b)は(a)に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図、(c)は(b)とは異なる装着状態を示した図。 (a)は従来の果実保護カバーの模式的斜視図、(b)は(a)に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図、(c)は(b)とは異なる装着状態を示した図。
以下に、本考案の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本考案の第1実施形態に係る果実保護カバーの模式的斜視図である。図2は、(a)は図1に示す果実保護カバーの平面図、(b)は(a)のA−A線に沿った矢視断面図、(c)は(a)のB−B線に沿った矢視断面図である。図3は、図1に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図であり、図4は、図3のC−C線に沿った矢視断面図である。
本実施形態に係る果実保護カバー1Aは、樹木上の(果樹に実った状態の)果実の少なくとも上部を覆うことにより、果実fを保護するカバーである(図3参照)。果実保護カバー1Aの構成素材としては、たとえば熱可塑性の合成樹脂発泡シートが用いられる。
合成樹脂発泡シートの素材としては、剛性と柔軟性のバランスがよく緩衝性に優れ、かつ強度があって保形、復元性、成形性にも優れている点から、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、またはウレタン系の樹脂発泡体が好ましく、より好ましくは、熱成形できる点からポリオレフィン系、または、ポリスチレン系の樹脂発泡体である。また、ポリオレフィン系、ポリスチレン系の非発泡シート、フィルムを積層したものでもよい。これらに着色剤、抗菌添加剤をさらに含んだものでもよい。
果実保護カバー1Aを成形する前の合成樹脂発泡シートの厚みは、使用素材によっても異なるが、1〜7mmの範囲にあり、8〜40cm/gに発泡しているものが好ましい。
発泡シートの厚みを1〜7mmの範囲にすることにより、果実を保護するに充分な強度が得られ、発泡シートからの成形が容易になる。ここで、厚さが1mm未満の場合には、果実保護カバー1Aの剛性を十分確保することができず、厚さが7mmを超えた場合には、生産効率が低下することがある。
また、8〜40cm/gの範囲に発泡した発泡シートを用いることにより、充分な緩衝性および保温性が得られ、果実を保護するに十分な強度が得られる。ここで、8cm/g未満で発泡しているものは、素材自体が硬いため、衝撃緩衝性が十分に得られないばかりでなく、カバー内の果実に対して保温性を十分に保つとこができないことがあり、一方、40cm/gを超えて発泡しているものは、果実保護カバー1Aの剛性を十分確保することができない。
果実保護カバー1Aは、適度の弾力性及び保形性を有する上述した熱可塑性の合成樹脂発泡シートから、真空成形、圧空成形等の熱成形加工の手段により立体的に成形される。また、果実保護カバー1Aを、シート製袋加工、ビーズ成形により成形してもよい。
このようにして製造される果実保護カバー1Aは、樹上の(すなわち果樹に実った状態の)果実fの少なくとも上部を収納する収納凹部11が下方に形成されたカップ状のカバーである。収納凹部11は、果実保護カバー1Aを構成する壁部15により形成されている。果実保護カバー1Aに下方に開口した収納凹部11を形成することにより、カバー装着時の果実fの通気性を確保することができる。
果実保護カバー1Aの壁部15には、収納凹部11の鍔状の開口縁部12から果実保護カバー1Aの頂部13に亘って、切れ込み14が形成されている。ここで、果実保護カバー1Aの頂部13側の切れ込み14の端部14bは、果実保護カバー1Aの中央よりもさらに、開口縁部12側の切れ込み14の端部14aから離れた位置に形成されている。
これにより、図3に示すように、果実fの上部から延在する軸部bを頂部13近傍の切れ込み14に貫通させた状態で、切れ込み14により区分された一方側のカバー壁部15aと、他方側のカバー壁部15bとを重ね合わせた時に、収納凹部11の中央に果実fを収納することができ、果実fが果実保護カバー1Aに接触することをより確実に回避することができる。
さらに、本実施形態では、切れ込み14により区分された双方のカバー壁部15a,15bには、一方側のカバー壁部15aと他方のカバー壁部15bとが重なる部分(重なり部分17)に、切れ込み14に沿って突条部18A,18Bが形成されている。すなわち、突条部18A,18Bは、切れ込み14を挟んで果実保護カバー1Aの外壁面に形成されることになる。また、本実施形態では、突条部18A,18Bは、果実保護カバー1Aの頂部13で連続して繋がっている。本実施形態では、突条部18A,18Bは、同じ幅および高さを有しており、突条部の幅は、5〜25mm(例えば15mm)、突条部の高さは、2〜10mm(例えば5mm)であることが好ましい。
上述した如く、果実保護カバー1Aは発泡シートを成形して得られた成形体であるので、各突条部18A,18Bの位置に対応する果実保護カバー1Aの内壁面には凹溝部が形成されることになる。そして、一方のカバー壁部15aと他方のカバー壁部15bとを重ね合わせたときに、外壁面の突条部18Bの少なくとも一部が、突条部18Aの位置に対応する内壁面の凹溝部に入り込むようになっている。
本実施形態に係る果実保護カバー1Aを用いて樹上の果実fを覆う際には、収納凹部11の開口縁部12に形成された切れ込み14の端部14aから、頂部13に形成された切れ込み14の端部14bまで、切れ込み14に沿って果実fの軸部bを挿入する。これにより、果実fの上部から延在する軸部bを頂部13近傍の切れ込み14に貫通させた状態で、収納凹部11に果実fが収納される。
この状態で、図3および図4に示すように、切れ込み14により区分された一方側のカバー壁部15bの内壁面19aと、切れ込みにより区分された他方側のカバー壁部15bの外壁面19bと、を重ね合わせ、重ね合わせた重なり部分17をステップルなどで接合する。これにより、果実保護カバー1Aに軸部bを挟み込んだ状態で、果実保護カバー1Aを果実fに装着し、この上部を覆うことができる。
この際に、一方側のカバー壁部15aを外側にして、他方側のカバー壁部15bを内側にして重ね合わせているので、一方側のカバー壁部15aの突条部18Aが、一方側のカバー壁部15aの変形を抑え、一方側のカバー壁部15aの内壁面と他方側のカバー壁部15bの内壁面との間に隙間が形成され難くなる。
また、一方側のカバー壁部15aの内壁面19aと他方側のカバー壁部15bの外壁面19bとの間に、他方側のカバー壁部15bの突条部18Bが配置されるので、この突条部18Bを水の浸入を堰き止める堰として作用させることができる。
さらに、本実施形態では、この堰として作用する他方側のカバー壁部15bに形成された突条部18Bの一部が、一方側のカバー壁部15aの内壁面に形成された凹溝部に入り込む。これにより、水の浸入をより確実に抑えることができるとともに、切れ込み14が開き難くなり、果実fから果実保護カバー1Aが外れ難くなる。さらに、突条部18Bをカバー壁部15a,15b同士の重ねあわせの位置決め部として用いることができ、果実保護カバー1Aを果実に容易に装着する装着作業性を高めることができる。
このようにして、本実施形態に係る果実保護カバー1Aによれば、果実fの上部を覆うことにより、雹害、日焼け防止を回避することができるとともに、切れ込み14からカバー1内部への結露水、雨水などの水の浸入を抑え、水が果実fに付着し難くなる。
なお、本実施形態では、図3および図4に示すように、切れ込み14により区分された一方側のカバー壁部15aがカバー外側に位置し、他方側のカバー壁部15bがカバー内側に位置するようにこれらを重ね合わせて接合したが、これとは逆に、一方側のカバー壁部15bがカバー内側に位置し、他方側のカバー壁部15bがカバー外側に位置するようにこれらを重ね合わせて接合してもよい。この場合であっても、上述した効果と同じ効果を期待できるのは明らかである。
〔第2実施形態〕
図5は、本考案の第2実施形態に係る果実保護カバーの模式的斜視図である。図6は、(a)は図5に示す果実保護カバーの平面図、(b)は(a)のD−D線に沿って切断したときの矢視断面図、(c)は(a)のE−E線に沿って切断したときの矢視断面図である。図7は、図5に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図であり、図8は図7のF−F線に沿って切断したときの矢視断面図である。
本実施形態の果実保護カバー1Bが、第1実施形態の果実保護カバー1Aと相違する点は、果実保護カバーの頂部の構造である。したがって、第1実施形態の果実保護カバー1Aの部分と同じ機能を有する部分には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る果実保護カバー1Bの切れ込み14の端部14a,14bのうち、果実保護カバー1Bの頂部側の端部14bを含む部分は、その周りの果実保護カバーの頂部に対して突出している。すなわち、本実施形態では、果実保護カバー1Bの頂部13にドーム状の突出部16がさらに形成されている。突出部16の表面は、球面状の表面を有しており、突出部16の頂点またはその近傍に、切れ込み14の端部14bが形成されている。
なお、突出部16は、果実保護カバー1Bの中央よりもさらに、開口縁部12側の切れ込み14の端部14aから離れた位置に形成されており、果実保護カバー1Bの頂部13側の切れ込み14の端部14bも、果実保護カバー1Aの中央よりもさらに、開口縁部12側の切れ込み14の端部14aから離れた位置に形成されている。
このような突出部16を設けることにより、果実保護カバー1Bの上方から降り注がれる水が、果実保護カバー1Bの頂部13に溜ることを抑え、果実fの軸部bと切れ込み14との隙間から水が果実保護カバー1Bの内部に浸入することを抑えることができる。また、球面状の表面となるように、ドーム状の突出部16を設けたことにより、この突出部16の切れ込み14に区分されたカバー壁部同士も容易に重ね合わせることができる。
〔第3実施形態〕
図9(a)は本考案の第3実施形態に係る果実保護カバーの模式的斜視図、(b)は(a)に示す果実保護カバーを果実に装着した状態を示した図、(c)は(b)とは異なる装着状態を示した図である。
本実施形態の果実保護カバー1Cが、第2実施形態の果実保護カバー1Bと相違する点は、果実保護カバーの突条部の構造である。したがって、第1実施形態の果実保護カバー1Aの部分と同じ機能を有する部分には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9(a)に示すように、本実施形態に係る果実保護カバー1Cでは、切れ込み14により区分されたカバー壁部15a,15bのうち、他方のカバー壁部15bの外壁面にのみに、切れ込み14に沿って突条部18Cが形成されている。すなわち、本実施形態では、一方側のカバー壁部15aには、突条部が形成されていない。
このような果実保護カバー1Cで果実を覆う際に、例えば、図9(b)に示すように、一方側のカバー壁部15aがカバー内側に位置し、他方側のカバー壁部15bがカバー外側に位置するように、これらを重ねあわせて接合した際には、他方のカバー壁部15bの突条部18Cが、一方側のカバー壁部15bの剛性を高める補強材として作用する。
このため、他方側のカバー壁部15bの変形が押さえられるため、一方側のカバー壁部15aの外壁面と他方側のカバー壁部15bの内壁面との間に隙間が形成され難くなる。これにより、果実fに装着した状態で、カバー内部へ結露水または雨水などの水が浸入することを抑えることができる。
一方、図9(c)に示すように、一方側のカバー壁部15aがカバー外側に位置し、他方側のカバー壁部15bが内側に位置するように、これらを重ねあわせて接合した際には、一方側のカバー壁部15aの内壁面と他方側のカバー壁部15bの外壁面との間に突条部18Cが配置されることになる。これにより、突条部18Cが、一方側のカバー壁部15aの内壁面と他方側のカバー壁部15bの外壁面との間の結露水または雨水などの水の浸入を堰き止める堰として作用するので、カバー内部への水の浸入を抑えることができる。
以上、本考案の実施形態について詳述したが、本考案は、前記の実施形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載された本考案の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
第1〜第3の実施形態では、カップ状の果実保護カバーであったが、果実の上部を覆うものであれば、円錐状、角錐状、瓢箪状などの形状であってもよい。
第1〜第3の実施形態では、果実保護カバーは、果実の上半部よりも広い範囲を覆うような大きさとなっていたが、上述した如く、雹害、日焼け防止を回避することができるとともに、切れ込みからカバー内部への結露水、雨水などの水滴の浸入を抑えることができるのであれば、果実の上半分またはそれよりも狭い範囲の果実の上部を覆うような大きさであってもよい。
第1〜第3の実施形態では、果実保護カバーの中心に対して一方側のカバー壁部の外壁面に、一対の突条部または一つの突条部を設けたが、果実保護カバーを上下方向に一方向に傾き難く安定して積み重ねることができるように、果実保護カバーの中心を挟んで、突条部と反対側(他方側)のカバー壁部の外壁面に、さらに突条部のような突起部を設けてもよい。
1A,1B、1C:果実保護カバー
11:収納凹部
12:開口縁部
13:頂部
14:切れ込み
15a,15b:カバー壁部
16:突出部
17:重なり部分
18A,18B,18C:突条部
19a:内壁面
19b:外壁面
b:軸部
f:果実

Claims (3)

  1. 果樹に実った状態の果実の少なくとも上部を収納する収納凹部が下方に形成された果実保護カバーであって、
    該果実保護カバーには、前記収納凹部の開口縁部から前記果実保護カバーの頂部に亘って、切れ込みが形成されており、
    前記果実保護カバーは、前記切れ込みにより区分された一方側のカバー壁部と、他方側のカバー壁部とを重ね合わせ、該重ね合わせた重なり部分を接合することにより、前記果実に装着されるものであり、
    前記果実保護カバーを前記果実に装着する際に前記重なり部分となる、少なくとも何れか一方の前記カバー壁部の外壁面には、前記切れ込みに沿って突条部が形成されていることを特徴とする果実保護カバー。
  2. 前記突条部は、切れ込みにより区分された双方のカバー壁部の外壁面に形成されており、
    前記突条部の位置に対応する前記カバー壁部の内壁面には凹溝部が形成されており、
    前記一方のカバー壁部と前記他方のカバー壁部とを重ね合わせたときに、前記外壁面の突条部の少なくとも一部が、前記内壁面の凹溝部に入り込むように、前記突条部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の果実保護カバー。
  3. 前記切れ込みの端部のうち前記果実保護カバーの頂部側の端部を含む部分は、その周りの前記果実保護カバーの頂部に対して突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の果実保護カバー。
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