JP3190772U - 繊維製品用の微発熱フィルム体 - Google Patents

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Abstract

【課題】衣服などの繊維製品の特定部位に貼り付けることにより、その繊維製品が局部的に発熱することで着用感を向上させる微発熱フィルム体を提供する。
【解決手段】繊維製品の特定部位に接着する微発熱フィルム体1であって、少なくとも1種の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させた可撓性の樹脂基材2を用い、この可撓性の樹脂基材2とホットメルト層3または粘着層とを積層し、該ホットメルト層または粘着層によって繊維製品またはその繊維素材に貼り付ける。
【選択図】図1

Description

本考案は、衣服などの繊維製品の特定部位に貼り付けることにより、その繊維製品が局部的に発熱することで着用感を向上させる微発熱フィルム体に関する。
冬期に使用する電熱製品には、電気毛布などのように柔軟性を有するものが既に市販されている。この種の電熱製品は、屋外でも使用できるように、冬季スポーツウェア用または防寒用タウンウェア用として特化されたものも数多く存在する。柔軟性を有する電熱製品において、衣類に搭載して発熱させるには電源の取り付けが必要である。現在では、電源として超小型の蓄電池が開発されているとしても、立方体で硬い電源を衣類に取り付けると歩行や移動の際に邪魔になるうえにコスト高になり、現在では冬季登山用などのごく一部て着用されているにすぎない。
一方、実用新案登録第3028433号では、衣類に電熱ヒータと電源を搭載する代わりに、近赤外線から可視光線の光を吸収して発熱する炭化ジルコニウムを採用する。実用新案登録第3028433号は、透湿性を有する織成繊維から構成した外側布帛と、薄質布帛材の表面に金属帛を施した中間布帛と、炭化ジルコニウムの超微粉末を樹脂素材に混練・紡糸したフィラメントを織成した内側布帛との3層の貯熱構造の衣服であり、中間布帛の熱線反射特性と、外側布帛の遠赤外線特性からなる各層の物理的熱作用により保温性を確保している。
炭化ジルコニウムを蓄熱体として利用することは、特開平5−171137号などからでも公知である。この蓄熱体は、炭化ジルコニウムなどの光熱変換セラミックスおよび有機系潜熱蓄熱材を特定の合成樹脂に分散させ、繊維、フィルム、ボードなどの各種の形状に成形され、有機系潜熱蓄熱材の液化を起こすことなく、蓄熱のための熱源として日射を利用し、この熱を有効に蓄えることができる。
実用新案登録第3028433号公報 特開平5−171137号公報
従来の蓄熱製品は、炭化ジルコニウムを蓄熱体として利用していても、実用新案登録第3028433号のように構造が複雑であるので製造コストが高くなり、既存の衣服に簡単に蓄熱機能を付与することはできず、使用後のトラブルも発生しやすい。また、特開平5−171137号などのような蓄熱体は、使用する合成樹脂の柔軟性や伸縮性があまり良好でないので、繊維製品のような柔軟な素材に取り付けると剥離しやすいうえに着心地が相当に悪くなる。市販の蓄熱製品は、通常の繊維素材に比べて相当にコストが高く、繊維製品の製造コストに与える影響が小さくない。
本考案は、柔軟な繊維製品に貼着しにくい既存の蓄熱製品の改良について提案されたものであり、樹脂基材が薄くて柔軟性や伸縮性が高いので、繊維製品のような柔軟な素材に取り付けても違和感がなく、使用時に剥離や破損することが少ない微発熱フィルム体を提供することを目的としている。本考案の他の目的は、既存のフィルム状の蓄熱体に比べてコストが非常に安く、繊維製品全体のコストに与える影響が小さい微発熱フィルム体を提供することである。
本考案に係る微発熱フィルム体は繊維製品の特定部位に接着することができる。この微発熱フィルム体には、少なくとも1種の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させた可撓性の樹脂基材を用い、この可撓性の樹脂基材とホットメルト層または粘着層とを積層し、該ホットメルト層または粘着層によって繊維製品またはその繊維素材に貼り付ける。この微発熱フィルム体において、可撓性の樹脂基材の厚みは7〜13μmであり、ホットメルト層または粘着層の厚みは23〜32μmであると好ましい。
本考案に係る微発熱フィルム体は、少なくとも1種の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させた可撓性の樹脂基材を用い、この可撓性の樹脂基材から厚さが20μm以下の柔軟なフィルム体を成形し、該フィルム体をラミネート加工によって繊維製品またはその繊維素材に貼り付けてもよい。
本考案に係る微発熱フィルム体では、蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末として、炭化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化テルル、炭化ハフニウム、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモン酸亜鉛、スズドープ酸化インジウムまたはこれらの混合物を添加すると好ましい。
本考案に係る微発熱フィルム体は、外部からの太陽光によって発熱して蓄熱され、直接太陽光が当たらない上着の裏側などに貼着されても、微量の光が透過することで発熱効果を有するものである。本考案の微発熱フィルム体は、下着や上着などの繊維製品である被着体の特定部位に接着されると、その特定部位に穏やかな発熱をもたらし、冬期における寒さや関節の痛みを緩和して快適な生活の推進に寄与する。
本考案に係る微発熱フィルム体は、樹脂基材が非常に薄くて柔軟性や伸縮性が比較的高く、柔軟な繊維製品に貼り付けても着用者に違和感を与えることがなく、使用時に微発熱フィルム体が剥離や破損することも少ない。本考案の微発熱フィルム体は、単純な構造で高価な部材などを使用していないので、既存のフィルム状の電熱蓄熱体に比べて圧倒的にコストが安く、繊維製品全体のコストに与える影響がきわめて小さい。
本考案に係る微発熱フィルム体の面積は、繊維製品全体に比べてはるかに小面積であり、且つセラミックス系微粉末成分は肌と殆ど直接接触しないから、該繊維製品の着用者が仮にきわめて敏感な肌であっても、用いる微発熱フィルム体によってかぶれや発疹の影響を受けることはない。本考案の微発熱フィルム体は、繊維製品の種類、接着部位や用途に応じて樹脂基材およびホットメルト層の厚みや品種を変更し、セラミックス系微粉末の量を加減調整し、または接着層を粘着層とすることにより、その蓄熱性能を所望に応じて増減することも可能である。
本考案に係る微発熱フィルム体を示す拡大断面図である。 微発熱フィルム体の他の例を示す拡大断面図である。 微発熱フィルム体のさらに別の例を示す拡大断面図である。 微発熱フィルム体の一例を示す概略平面図である。 微発熱フィルム体の使用例を示す斜視図である。 微発熱フィルム体の別の使用例を示す斜視図である。 微発熱フィルム体をラミネート加工する状態を概略的に示す側面図である。
本考案に係る微発熱フィルム体1は、図1に示すように、薄い可撓性の樹脂基材2とホットメルト層3または粘着層とからなり、該フィルム体を被着体である繊維製品の特定部位に接着する。可撓性の樹脂基材2には、1種または2種以上の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させる。薄い樹脂基材は、ホットメルト層3または粘着層と積層することで繊維製品またはその繊維素材に接着しても、またはラミネート加工によって繊維製品またはその繊維素材に直接貼り付けてもよい。
微発熱フィルム体1において、可撓性の樹脂基材2の樹脂成分として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン系樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、EVA、ポリイミド樹脂、繊維素樹脂などが例示でき、これらを複数混合してもよく、可能ならばグラフト架橋などをすることも可能である。成形したフィルムは、柔軟性と伸縮性が高いと好ましく、特にポリウレタン、発泡ポリ塩化ビニルなどが好適である。
樹脂基材2に添加するセラミックス系微粉末は、高い蓄熱機能を有することを要し、炭化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化テルルまたは炭化ハフニウム、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモン酸亜鉛、スズドープ酸化インジウムなどであり、これを単独または2種以上混合してもよい。セラミックス系微粉末の平均粒径は0.5μm以下であり、粒径が0.5μmを超えると樹脂基材2の柔軟性と伸縮性を阻害し、該樹脂基材が伸長された際に破れやすくなる。
通常のセラミックスは、−273℃の絶対零度以上の温度であると光を吸収して微量のエネルギー放射を行い、常温ではそのエネルギー放射が多少大きくなる。前記のセラミックス系微粉末は、波長が約2000nm以下である近赤外線から可視光線を吸収して発熱する度合いが非常に大きく、上着の裏側などで微量の光線しか到達しない環境でもある程度の発熱を常に生じる。また、前記のセラミックス系微粉末が樹脂基材2の中に充填されていることにより、微粉末から発生した熱が樹脂基材2の中に蓄熱され、暖かさを所定の時間保持できる。
前記のセラミックス系微粉末の添加量は、樹脂基材100重量部に対して0.5〜100重量部であり、好ましくは3〜10重量部である。セラミックス系微粉末の添加量が前記の範囲内にあると、セラミックス系微粉末で所望の発熱を得ることができる。また、樹脂基材2の厚みが7〜13μmである。この際に、厚みが7μmを超えると暖かさをある程度保持でき、厚みが13μm未満であるとセラミックス微粉末から発生した熱を樹脂基材2の中に蓄熱して発熱しやすくなるので好ましく、しかも樹脂基材2の柔軟性と伸縮性が阻害されることが比較的少ない。
図1に示す微発熱フィルム体1において、裏側のホットメルト接着層3は、高い耐洗濯性、耐ドライクリーニング性、柔軟性などを有する。ホットメルト接着層3の厚さは23〜32μmであると好ましく、厚さがこの範囲内であると、樹脂基材2の柔軟性と伸縮性を阻害することが少なく、例えば、微発熱フィルム体1を肌シャツ5(図5)やタイツ6(図6)などの繊維製品と貼り合わせても、該被着体を着用した際に違和感が生じることがない。
ホットメルト接着層3は、ポリエステル系、ポリウレタン系、共縮合ポリエステル、共縮合ポリアミド、ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物、EVAなどからなる。ホットメルト接着層3は、通常、融点以下の温度に加温して軟化させ、微発熱フィルム体1を肌シャツ5(図5)やタイツ6(図6)などの繊維製品と確実に貼り合わせる。
微発熱フィルム体1を製造するには、一般に、離型フィルム(図示しない)の上にホットメルト接着層3を形成し、ついで樹脂基材2を形成する。これらの層形成には、印刷、塗布、スプレー、ディッピングのいずれの方法も適用可能であり、印刷法では、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷などであるが、通常、スクリーン印刷によって厚みを正確に設けると好ましい。この際に、用いる離型フィルムは、合成紙、天然紙、ラミネート紙、ポリエステル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム、セロファン、ラミネート布などのいずれでもよい。離型フィルムの表面に設ける離型層は、セルロース系、ポリアミド系、アクリル系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる。
図1に示す微発熱フィルム体1は、矩形状(図4、図6参照)、楕円形(図5参照)や円形などの所望の平面形状に裁断され、被着体である繊維製品の所望の個所に載置し、熱プレスやアイロンを用いて加熱・加圧によって貼り付ける。また、微発熱フィルム体1には、図4に示すように多数のパンチ孔7を全面に分散させて穿孔してもよく、該パンチ孔の形状と寸法は任意である。パンチ孔7を形成すると、樹脂基材2の柔軟性と伸縮性があまり良好でなくても被着体の繊維製品の伸びに対応させることが容易になり、フィルム体1の貼着によって繊維製品の通気性が損なわれることを回避できる。
微発熱フィルム体1は、樹脂基材2が非常に薄くて柔軟性や伸縮性が比較的高いことにより、繊維製品のような柔軟な被着体に貼り付けても着用者に違和感を与えることが少ない。微発熱フィルム体1は、単純な構造で高価な部材などを使用していないのでコストが安く、繊維製品全体のコストに与える影響が小さい。また、微発熱フィルム体1は、着色や模様を施してTシャツなどの目立つ個所に貼着してもよい。
図2において、別の微発熱フィルム体8は、樹脂基材2の下に粘着層10を有し、該粘着層は一般に溶剤型の感圧接着剤からなる。粘着層10は、被着体である繊維製品の材質や形状に応じて厚みなどを調整すればよく、印刷や塗布の後に加熱によって溶剤を揮発させればよい。微発熱フィルム体8は、粘着層10によって、通常、指圧などの低圧力で繊維製品に貼着でき、剥離する際に被着体に痕跡を残さずに容易に剥がせる再剥離型であっても、所望や用途に応じて永久接着型でもよい。粘着層10の厚みは、通常10〜50μm程度であり、この範囲内であると、微発熱フィルム体8を貼着しても着用者に与える違和感が比較的少ない。
粘着層10を構成する感圧接着剤として、アクリル系、ゴム系、ポリウレタン系またはポリビニルエーテル系などの粘着剤が例示できる。この粘着剤には、必要に応じて、充填剤、粘着付与剤、レベリング剤、消泡剤のような添加剤を加えてもよい。永久接着型の場合には、例えば、ビニル基をアクリルポリマーに導入したり、イソシアネートなどの架橋剤を添加して架橋させてもよい。粘着層10の粘着力は、微発熱フィルム体8の大きさや、被着体である繊維製品の種類などによって好ましい値が異なる。
微発熱フィルム体8は、裏側の粘着層10から離型フィルム12を剥がし、繊維製品である上着の裏側または肌着の表側の所定個所に載置して貼着すればよい。微発熱フィルム体8は、再剥離型であると指圧などの低い圧力で接着でき且つはぎ取るときに被着面に痕跡を殆ど残さず、永久接着型であれば洗濯の必要性が少ない繊維製品に貼着すればよい。
再剥離型の微発熱フィルム体8は、所定の繊維製品に一時的且つ部分的に発熱させることが必要である場合に使用すると好ましく、部分発熱の必要性が消滅すれば剥離すればよい。例えば、スポーツシャツや肌着のような普段使用の繊維製品について、冬期の登山やスポーツ観戦の際に、その時だけ足首、膝部、肘部などを部分発熱させると快適である。
図3において、さらに別の微発熱フィルム体14は、樹脂基材2の下にホットメルト層3および部分的な粘着層16を有する。ホットメルト層3および粘着層16は、前記したものと同様のものであればよく、このホットメルト層自体に粘着性があれば粘着層16は不要であり、該粘着層を全面的に形成してもよい。微発熱フィルム体14は、粘着層16によって指圧などの低圧力で繊維製品に仮接着できる。
微発熱フィルム体14は、裏側の粘着層16から離型フィルム18を剥がし、繊維製品である上着の裏側または肌着の表側の所定個所に載置して仮接着し、最終的に熱プレスやアイロンを用いて加熱・加圧によって接着する。微発熱フィルム体14は、最終接着まで位置変更可能であるので、繊維製品において好適な貼着個所を容易に認識できない場合または仮接着場所が不適切で最終接着時に変更したい場合などに好適であり、粘着層16が水溶性であると最終接着後の洗濯時に容易に除去できる。
図7に例示するように、微発熱フィルム体20を繊維製品またはその繊維素材にラミネート加工するには、通常、可撓性の樹脂基材から成形したフィルム体20と繊維素材などとの間に熱融着性フィルム22やホットメルト樹脂粉末などを介在させて加熱加圧すればよい。また、フィルム体20の裏面が部分溶融できるならば、接着剤を介在させることなく、フィルム体20を直接融着することも可能である。フィルム体20は、通常、剥離フィルム(図示しない)上に形成されており、該剥離フィルムの全面ではなく、部分的に積層されている場合もある。
ラミネート加工に用いる繊維素材は、長寸の通常の布地,編地,フェルト地などであり該繊維素材として、広幅織物をヒートカットでテープ状に切断した帯地、または細幅織機で織成したテープ地などを用いてもよい。この種の繊維素材で繊維製品を縫製すると、微発熱フィルム体20が所定の個所に接着されていることにより、該繊維製品に部分的に所望の蓄熱機能を付与できる。
次に、本考案を実施例に基づいて説明する。微発熱フィルム体1について、蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末粉末には、平均粒径0.5μm以下の炭化ジルコニウムを用いる。可撓性の樹脂基材2はポリウレタン樹脂溶液であり、該ポリウレタン樹脂溶液100重量部に炭化ジルコニウム5重量部を練り込む。また、ホットメルト層3は熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
微発熱フィルム体1を製造するには、ポリアミド系の離型層を有するポリエステル製の離型フィルム(図示しない)を用い、該離型フィルムの上に、厚さ30μmのホットメルト接着層3をスクリーン印刷法によって形成し、ついで炭化ジルコニウム含有のポリウレタン樹脂溶液を印刷して厚さ10μmの樹脂基材2を積層する。この離型フィルムは幅50cm、長さ50mであり、これを所望の寸法の矩形状または楕円形や円形などに裁断して微発熱フィルム体1を得る。
微発熱フィルム体1は、被着体である繊維製品の所望の個所に載置し、熱プレスやアイロンを用いて加熱・加圧によって接着する。微発熱フィルム体1は、樹脂基材2が厚さ10μmのポリウレタン樹脂製で薄いことによって柔軟性と伸縮性が高く、柔軟な繊維製品に貼り付けても着用者に違和感を与えることが少ない。
微発熱フィルム体1は、適当な寸法に裁断して肌シャツ5(図5)やタイツ6(図6)などの繊維製品の特定部位に貼り付けると、その特定部位に穏やかな発熱をもたらす。微発熱フィルム体1は、洗濯耐性を有するので、繊維製品の特定部位に永久接着されて洗濯されても長期間の使用が可能である。
微発熱フィルム体1は、太陽光が直接当たると発熱して効果的に蓄熱される。また、直接太陽光が当たらない上着の裏側などに貼着されても、微量の光が透過することで発熱を生じて蓄熱される。微発熱フィルム体1は、断熱効果があり、樹脂基材2で吸収した熱を保持する保温効果を有し、冬用のアウター衣料や肌着などに利用できる。
試験例1
(試験方法)
実施例1で得た微発熱フィルム体1について、太陽光蓄熱に関する光吸収保温性を試験する。この試験はボーケン規格BQE A 036に基づく。使用ランプは写真用レフランプPRF500WB/D(パナソニック製)、照射距離は30cmおよび試験環境は20℃65%RHである。この光吸収保温性試験における評価は、照射10分後に試験試料と対照品との温度差が2.0℃以上で認められ、消灯1分後に1.0℃以上で蓄熱効果があると認められる。
試験試料は、炭化ジルコニウム5重量部を練り込んだポリウレタン樹脂製の樹脂基材2をポリエステル生地に熱接着したものである。また、比較試料は、炭化ジルコニウムを含まないポリウレタン樹脂基材をポリエステル生地に熱接着したものである。個々の試料を15×15cmに裁断して試験片とする。両試験片について、その裏面の生地中央部にそれぞれ熱電対温度センサを取り付け、且つその表面の樹脂基材に擬似太陽光のレフランブを照射して温度上昇を測定する。レフランブの照射を10分間継続してから消灯を10分間続け、両試験片の温度変化を1分ごとに20分間測定してグラフに表示する。
(試験結果)
試験試料では、試験片裏面において照射10分後の上昇温度が49.6℃であり、消灯1分後には35.4℃の温度上昇であった。一方、比較試料では、試験片裏面において照射10分後の上昇温度が41.9℃であり、消灯1分後には32.2℃の温度上昇であった。
試験試料と比較試料に関して、両試料の温度差は照射10分後で7.7℃であり、消灯1分後には3.2℃の温度差がある。したがって、試験試料つまり実施例1の微発熱フィルム体1は、比較試料と比べて照射10分後および消灯1分後に正規評価以上の温度差を有するので、所望の蓄熱効果を有するものと判断できる。
試験例2
(試験方法)
実施例1で得た微発熱フィルム体1について、太陽光蓄熱に関する光吸収保温性を再度試験する。試験例2の構成は試験例1のそれと同様である。
試験試料は、炭化ジルコニウム5重量部を練り込んだポリウレタン樹脂製の樹脂基材2をポリエステル生地に熱接着したものである。また、比較試料は、単なるポリエステル生地である。
(試験結果)
試験試料では、試験片裏面において照射10分後の上昇温度が51.4℃であり、消灯1分後には37.1℃の温度上昇であった。一方、比較試料では、試験片裏面において照射10分後の上昇温度が44.9℃であり、消灯1分後には35.3℃の温度上昇であった。
試験試料と比較試料に関して、両試料の温度差は照射10分後で6.5℃であり、消灯1分後には1.8℃の温度差がある。したがって、実施例1の微発熱フィルム体1は、単なるポリエステル生地と比較して照射10分後および消灯1分後に正規評価以上の温度差を有するので、所望の蓄熱効果を有するものと判断できる。
試験例3
(試験方法)
実施例1で得た微発熱フィルム体1について、太陽光蓄熱に関する光吸収保温性をみたび試験する。試験例3の構成は試験例1のそれと同様であるが、照射距離は50cmに変更し、且つ照射時間を15分とする。
試験試料および比較試料は試験例1と同様である。第1回試験として、生地側の中央部にそれぞれ熱電対温度センサを取り付け、且つその樹脂基材側に擬似太陽光のレフランブを照射して温度上昇を測定する。また、第2回試験として、樹脂基材側の中央部にそれぞれ熱電対温度センサを取り付け、且つその生地側に擬似太陽光のレフランブを照射して温度上昇を測定する。
(試験結果)
試験試料では、第1回試験で照射15分後の上昇温度が42.0℃、消灯1分後には37.3℃の温度上昇であり、第2回試験で照射10分後の上昇温度が36.8℃、消灯1分後には34.1℃の温度上昇であった。一方、比較試料では、第1回試験で照射15分後の上昇温度が35.7℃、消灯1分後には32.4℃の温度上昇であり、第2回試験で照射10分後の上昇温度が35.2℃、消灯1分後には32.3℃の温度上昇であった。
試験試料および比較試料に関して、第1回試験で両試料の温度差は照射15分後で6.3℃、消灯1分後には4.9℃の温度差があり、第2回試験で両試料の温度差は照射10分後で1.6℃、消灯1分後には1.8℃の温度差がある。したがって、試験試料つまり実施例1の微発熱フィルム体1は、正規のボーケン規格よりも照射距離および照射時間が長くても、比較試料と比較して少なくとも第1回試験における照射10分後および第1回と第2回試験における消灯1分後に正規評価以上の温度差を有するので、所望の蓄熱効果を有するものと判断できる。
実施例1で製造した樹脂基材2について、図2に示すように易剥離性の粘着層10を形成する。この粘着層として、例えば、感圧接着剤からなる両面シート(商品名:PF−370、日東電工製)を用い、これを樹脂基材2の裏側に接着する。適宜に裁断した微発熱フィルム体8において、離型フィルム12を剥がし、粘着層10を繊維製品の特定部位に貼り付ける。
再剥離型の微発熱フィルム体8は、所定の繊維製品に一時的且つ部分的に発熱させることが必要である場合に使用し、部分発熱の必要性が消滅すれば剥離して元の繊維製品に戻せばよい。剥離後の微発熱フィルム体8は、場合によっては再使用が可能である。
実施例1と同様の樹脂基材を離型フィルムの上にスクリーン印刷法で形成し、これを剥離して図7に示す微発熱フィルム体20として使用する。図7において、離型フィルム(図示しない)上の微発熱フィルム体20と織物地などの繊維素材24は、低融点の熱融着性フィルム22を挟んで加熱ローラ対26に連続的に送り、該ローラ対を160℃に加熱することで熱融着性フィルム22を溶融して微発熱フィルム体20と繊維素材24とを融着し、離型フィルムを剥がしてラミネート加工の織物地28を得る。
ラミネート加工の織物地28は、裁断して作業服のヨーク部などに用いると、太陽光が直接当たると発熱して効果的に蓄熱される。また、直接太陽光が当たらない上着の裏側などに貼着されても、微量の光が透過することで多少は発熱を生じて蓄熱される。
実施例1における樹脂基材2について、原料のポリウレタン樹脂の溶液に適宜の顔料および展色材を添加して有色のポリウレタン樹脂溶液を作製する。この樹脂溶液100重量部に炭化ジルコニウム5重量部を練り込む。以下実施例1と同様に、離型フィルムの上に、厚さ30μmのホットメルト接着層3をスクリーン印刷で形成し、ついで炭化ジルコニウム含有のポリウレタン樹脂溶液を印刷してさ10μmの樹脂基材2を積層する。
白色、クリーム色、黒色などの微発熱フィルム体1は、適当な寸法に裁断して肌シャツ5(図5)やタイツ6(図6)などの繊維製品の特定部位に貼り付ければ、その特定部位に穏やかな発熱をもたらすとともに、その配色によって貼り付けが目立たないように配慮できる。一方、スポーツウェアなどに貼り付ける場合には、生地と異なる着色によってデザイン性を強調できる。
1 微発熱フィルム体
2 樹脂基材
3 ホットメルト層
10 粘着層

Claims (4)

  1. 繊維製品の特定部位に接着する微発熱フィルム体であって、少なくとも1種の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させた可撓性の樹脂基材を用い、この可撓性の樹脂基材とホットメルト層または粘着層とを積層し、該ホットメルト層または粘着層によって繊維製品またはその繊維素材に貼り付ける微発熱フィルム体。
  2. 可撓性の樹脂基材の厚みが7〜13μmであり、ホットメルト層または粘着層の厚みが23〜32μmである請求項1記載の微発熱フィルム体。
  3. 繊維製品の特定部位に接着する微発熱フィルム体であって、少なくとも1種の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させた可撓性の樹脂基材を用い、この可撓性の樹脂基材から厚さが20μm以下の柔軟なフィルム体を成形し、該フィルム体をラミネート加工によって繊維製品またはその繊維素材に貼り付ける微発熱フィルム体。
  4. 蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末として、炭化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化テルル、炭化ハフニウム、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモン酸亜鉛、スズドープ酸化インジウムまたはこれらの混合物を添加する請求項1または3記載の微発熱フィルム体。
JP2014001169U 2014-03-07 繊維製品用の微発熱フィルム体 Expired - Lifetime JP3190772U (ja)

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