JP3190384B2 - 着色有機系廃液の処理方法 - Google Patents

着色有機系廃液の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は着色有機系廃液の処理方
法に関する。更に詳しくは、着色有機系廃液を塩素イオ
ンの存在下で無隔膜電解する処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種工業から排出される廃液の多くは着
色している。その着色の原因は種々様々であるが、その
まま放出することは環境への影響が大きく好ましくな
い。着色原因としては、液中の浮遊物や溶解性または微
細コロイド状物質によるものが大半であり、従来から、
着色原因に応じた、例えば、凝集処理、吸着処理、酸化
処理、イオン交換処理等の処理をして排放出することが
行われていた。特に染料や医薬品等の有機化合物の製造
工程から排出される有機系廃液の着色原因は、主に廃液
中に混入した未反応原料、製品、副生物等の有機化合物
による着色が多い。これら着色有機系廃液の処理として
は、従来、主に脱色を目的として行われる発色基等を酸
化して脱色する酸化処理方法や発色化合物を吸着除去す
る吸着処理方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】吸着処理は主に活性炭
が用いられているが、活性炭の再生及び補充に費用が嵩
み工業的にはコストが問題となっている。一方、酸化処
理は、種々の酸化剤が用いられている。例えば、過酸化
水素水を添加する方法、次亜塩素酸ソーダを添加する方
法、廃液を高温、加圧下で空気等を吹き込み湿式酸化す
る方法、オゾンにより酸化する方法、電解により酸化処
理する方法等が挙げられる。
【0004】上記酸化方法において、過酸化水素水及び
次亜塩素酸ソーダはその価格が高くコスト的に問題であ
り、湿式酸化は高温で加圧状態を保持する必要があり、
高級材料を使用しなければならず建設コストが嵩む問題
がある。また、オゾン酸化も高価なオゾン発生器と多量
の電力を必要とし、コスト的に工業性に富むものでな
い。また、電解酸化処理には、直接電解酸化と間接電解
酸化があり、直接電解酸化は酸化生成物が電極面を被覆
し易く、電圧上昇、電流効率の低下を引起こして電力費
が嵩む問題がある。一方、塩素イオンを反応媒体として
使用する間接電解酸化は、直接電解酸化のような問題が
生じることがなく、シアン含有排水の処理等に好適に用
いられている。
【0005】上記の塩素イオン存在下での間接電解酸化
に使用される電極としては、白金電極、カーボン電極、
チタン基体に酸化ルテニウム・チタニアまたは酸化イリ
ジウム・白金等を被覆したDSA(寸法安定性陽極:Di
mensionally Stable Anode)電極等がある。これら電極
のうち、白金電極は多くの酸素発生を伴い電流効率が低
く、カーボン電極は電極自身の酸化反応により消耗が激
しい等の欠点を有している。これに対し、DSA電極
は、酸素発生量が少なく、且つ、耐久性も優れているこ
とから最近注目を集めている。しかし、DSA電極にお
いては、微量のマンガンイオンの存在により、その性能
が著しく低下する欠点がある(電気化学協会昭和57年
3月発行「DENKIKAGAKU」第50巻、第3
号、第280〜281頁及び同会昭和58年6月発行
「DENKI KAGAKU」第51巻、第6号、第4
93〜494頁参照)。
【0006】また、昭和55年4月電気化学協会発行
「DENKI KAGAKU」第48巻、第4号、第2
67〜270頁には、反応性染料水溶液を、二酸化鉛の
陽極を用いて電解脱色する方法が提案されているが、染
料濃度が50ppmと低濃度の模擬廃液を用い、短期的
な脱色性能に関するものであり、マンガンイオンの影響
や電極の長期寿命等を含めて全般的な検討はなされてい
ない。発明者等は、着色有機系廃液、特にマンガンイオ
ン含有の着色有機系廃液の塩素イオン存在下での電解酸
化処理について鋭意検討した結果、二酸化鉛電極が微量
のマンガンイオンの存在下でも性能低下がなく、酸素発
生量も少なく、且つ耐久性にも優れていることを見出
し、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、マンガ
ンイオンを含有する着色有機系廃液をpH6〜9に調整
した後、塩素イオンの存在下、二酸化鉛電極を陽極とし
て無隔膜電解することを特徴とする着色有機系廃液の処
理方法が提供される。
【0008】また、(1)マンガンイオンを含有する着
色有機系廃液を、pH10以上で酸素含有ガスと接触処
理する工程、(2)前記接触処理した廃液から生成固形
物を分離除去しマンガンイオン含有量20ppm以下の
着色廃液にする工程、(3)得られた着色廃液をpH6
〜9に調整する工程、及び、(4)得られたpH6〜9
の着色廃液を、塩素イオンの存在下、二酸化鉛を陽電極
として無隔膜電解処理する工程により順次処理すること
を特徴とする着色有機系廃液の処理方法が提供される。
【0009】
【作用】本発明は上記のように構成され、従来の電解酸
化脱色において、通常用いられていた白金電極、カーボ
ン電極、DSA電極の代わりに二酸化鉛電極を用いるこ
とにより、白金電極やカーボン電極の上記欠点がなく、
且つ、0.1ppmと極低濃度のマンガンイオンの影響
をうけるDSA電極とも異なり、20ppm以下であれ
ばマンガンイオンが存在しても長期間の耐久性を示して
着色廃液を効率よく連続的脱色処理することができる。
また、20ppm以上のマンガンイオンが含有される場
合は、そのまま電解処理し、脱色効率が所定値より低下
した時点で、電極表面の再生処理を行い、再び電解脱色
処理を行うことができる。更にまた、好ましくは、マン
ガンイオンを不溶化処理して、工業的に通常用いられる
濾過、遠心分離等の固液分離手段で生成沈澱物を除去
し、マンガンイオン濃度を20ppm以下にして処理す
ることができる。
【0010】以下、本発明について、更に詳細に説明す
る。本発明において、着色有機系廃液としては、各種の
工場廃液があり、特に制限されるものでないが、それら
の中でも染料やその中間体の合成の際に排出される廃液
が一般的で、通常色度約100〜1500度のものであ
る。例えば、スチルベン染料の原料となるジニトロスチ
ルベンジスルホン酸塩の合成において、副生されるジニ
トロスチルベンジスルホン酸塩の2量体、3量体、4量
体等の重合体は廃液と共に排出され、その廃液は黒褐色
に着色し、約800〜1200の色度を有しているもの
が多い。なお、本発明において、色度とは廃液の吸光度
測定により求めた値で、最大吸光度が2.0以下となる
ように希釈した廃液の400nmから650nmの間の
50nm毎の吸光度の和に希釈倍率を乗じた値である。
【0011】本発明で処理する廃液中に含有されるマン
ガンイオン(以下、Mn2+とする。)は、通常、製造過
程等で混入することが多いが、河川への排出は環境衛生
上好ましくないことは勿論、その濃度によっては、使用
電極を被毒し、所定の脱色効果を安定して得ることがで
きない。例えば、従来の廃液の電解酸化処理に使用され
ていたDSA電極において、連続的に安定した酸化処理
を保持するためにはMn2+濃度を約0.1ppm以下に
低減させる必要があった。そのため、酸化処理後、上記
した通常の固液分離手段によるMn2+除去では充分でな
く、固液分離後、高価なキレート樹脂により徹底したM
2+除去処理をする必要があった。
【0012】これに対し、本発明においては、廃液中の
Mn2+濃度が20ppm以下の場合は、そのまま電解酸
化処理に供することができる。また、Mn2+濃度が20
ppmを超える場合でも、そのまま電解処理して所定の
脱色率が低下したときに、電極を再生処理して用いるこ
とができ、更にまた、好ましくは、予め含有するMn2+
を20ppm以下として電解酸化処理する。20ppm
を超えて多量に含有されるMn2+を20ppm以下に除
去処理することは、本発明の電解酸化処理が長期的に安
定し、効率的な脱色効果を定常的に得ることができ、特
に好ましい。本発明では、上記のように電解酸化処理に
供する着色廃液中にMn2+が含有されていてもそのまま
処理するか、Mn2+を予め所定濃度まで除去して処理す
る。また、Mn2+を予め除去する場合でも、従来のDS
A電極の約0.1ppmの200倍の濃度でよく、キレ
ート樹脂等の特別な除去方法は必要でない。また、染料
等の製造過程や染色過程等でMn2+が混入しない場合で
あっても、使用する工業用水や水道水等に0.1〜0.
3ppm程度のMn2+が含有されているときがあり、こ
のような場合は、本発明の方法であれば、特別なMn2+
の除去処理をする必要がない。
【0013】本発明において、Mn2+濃度が約20pp
mを超える廃液を予めMn2+を除去することなく、その
まま処理する場合は、使用する二酸化鉛陽極の電解効率
が低下したときに、電極を再生処理することにより、引
き続き電解酸化処理して脱色することができる。この場
合、電解酸化処理槽を複数配備して交互に電解処理に用
い、電解処理工程を連続的に行うこともできる。電極の
再生処理は、主に陽極表面に析出した二酸化マンガンを
還元剤、例えば、シュウ酸水溶液等を用いて洗浄・溶出
して行うことができる。また、廃液中のMn2+を予め除
去する場合、通常、廃液を酸化してMn2+を酸化物とし
て不溶化して除去する。マンガン酸化物の除去は、遠心
分離、濾過等の通常の工業的固液分離手段を用いて行う
ことができる。この場合、廃液中に残存するMn2+濃度
は、上記のように約20ppm以下にすればよく、不溶
化後の分離除去は、上記のように通常の工業的固液分離
手段による除去で充分であり、DSA電極のような特別
な分離除去手段を用いる必要がない。
【0014】本発明において、上記の廃液中のMn2+
不溶化するための酸化処理は特に制限されるものでな
い。また、酸化処理温度も特に制限されるものでない
が、好ましくは25℃以上である。酸化処理を効率的に
行うためである。通常、Mn2+含有廃液と酸素ガス、空
気等の酸素含有ガスとを約25℃以上で効率的に接触す
ればよい。例えば、向流的に該廃液と酸素含有ガスとを
接触させて行うことができる。また、酸素含有ガスと廃
液との接触において、好ましくは、廃液のpHを予め約
10以上に、更に好ましくは、10〜12に調整する。
廃液のpHが10未満であるとMn2+の不溶化が不充分
となるためである。また、pHが12を超える場合は、
酸化処理のためのpH調整と後段の電解処理に供する際
のpH6〜9の再調整において、いずれもpH調整剤が
多量に必要となり経済性に欠けるおそれがある。pH調
整剤としては、不溶化酸化処理のためのpH調整はカセ
イソーダ等のアルカリを用いて行うことができ、また電
解処理のためのpH調整は塩酸、硫酸等の酸を用いて行
うことができる。上記酸化処理によってMn2+は、主
に、4MnO2 ・2Mn(OH)2・2H2Oの酸化物形
態となり不溶化される。この生成する不溶化沈澱物は粒
子が大きく、上記の濾過や遠心分離等通常の工業的固液
分離手段を用いて容易に分離除去され、廃液中のMn2+
濃度を20ppm以下にすることができる。
【0015】本発明の電解処理工程は、Mn2+を予め上
記のようして除去後、または、そのまま含有した廃液に
ついて、pHを約6〜9の中性付近として行う。従っ
て、上記Mn2+除去工程を経た場合には、pH10以上
に調整されているため、得られた廃液のpHに合わせ
て、塩酸等の酸性化合物を添加してpHを約6〜9に再
調整する。次いで、塩素イオンの存在下で、無隔膜で電
解処理する。本発明において、塩素イオンは、陽極側で
次亜塩素酸イオン(ClO-1)となり廃液の着色物を酸
化して脱色するように作用する。従って、処理すべき着
色有機系廃液中に、例えば塩化ナトリウム等の塩素イオ
ンを含有しているときは、そのまま電解処理することが
できるが、含有していない廃液においては塩素イオン生
成物を積極的に添加する。塩素イオン生成物としては、
塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等
塩化物や、また、海水を用いることができる。沿岸海水
中には、工場排水等によりMn2+を含む場合もあるが、
通常、約0.5ppm程度であり、本発明の電解酸化処
理においては問題とならない。塩素イオン濃度は、通
常、0.1重量%以上とするのがよい。0.1重量%未
満であると副反応である酸素発生が多くなり電流効率の
低下を引起こすため好ましくない。通常は、約1〜5重
量%の塩素イオン濃度で行うのが、本発明の二酸化鉛陽
極を用いた電解処理において、経済性の点から効果的で
ある。
【0016】本発明の電解処理工程における電極として
は、陰極は特に制限されることがなく、通常、ステンレ
スや鉄等を用いることができる。一方、陽極としては二
酸化鉛を用いる。二酸化鉛陽極は、DSA電極のように
Mn2+を0.1ppm以下の極微量濃度に低減する必要
がなく、上記のように約20ppm以下とすればよく、
極めて効果的である。白金電極やカーボン電極に比し、
副反応である酸素発生量が少なく高い電流効率が得ら
れ、また耐久性も優れ、長期寿命性能を有する利点があ
る。本発明において用いられる二酸化鉛陽極の形態は特
に制限されるものでない。通常、チタン基体に二酸化鉛
を電着被覆した電極が好適に用いることができる。特
に、電気化学協会昭和56年7月発行「DENKI K
AGAKU」第49巻、第7号、438〜441頁に記
載の方法で製造された二酸化鉛電極や特開昭63−57
791号公報、同63−57792号公報に記載の方法
で製造された二酸化鉛電極が、堅牢性、電導性、耐蝕性
に優れ、好ましい。また、二酸化鉛陽極の形状も特に制
限されるものでなく、通常、平板状のチタン基体に二酸
化鉛を電着被覆した板状電極やチタンメッシュ基体に二
酸化鉛を電着被覆したメッシュ状電極等が用いられる。
【0017】本発明の電解処理工程で用いられる電解槽
としては、例えば、角型の溶液タンクに上部より陰極、
陽極を交互に浸漬した形態の電解槽や、図2にその組立
分解図を示したような液流通式電解槽等公知のいずれの
電解槽も使用できる。本発明の電解酸化では、陰極より
水素が発生するため、また、本発明の対象とする着色有
機系廃液は、当初より発泡性であったり、処理過程で発
泡性を有するものが多く、安全性の面から液流通式電解
槽を用いるのが好ましい。
【0018】液流通式電解槽としては、その一例を示し
た図2のように構成されるものを用いることができる。
図2において、樹脂製の枠2で保持されたメッシュ状の
二酸化鉛陽極1の両側を、所定の厚みを有する樹脂製の
室枠3及び3’とで挟み、更に、その室枠3及び3’の
外側に、同様に樹脂製の枠5及びは5’でそれぞれ保持
された陰極となるステンレス板4及び4’を配置し、各
枠の上部及び下部には、それぞれ廃液供給用及び処理液
排出用のマニホールド6及び7を設け、室枠3及び3’
には、電極部への廃液供給用スリット8及び電極部から
の処理液排出用スリット9を設けて構成されている。
【0019】本発明の電解酸化脱色における電解電流密
度は、電解槽コスト、電極の寿命、電解電力費、補助動
力費等から総処理費が最低となるように適宜選択するこ
とができる。通常は、1〜50A/dm2 、好ましくは
5〜20A/dm2 の範囲で操作する。処理操作温度
は、通常、10〜80℃の範囲で行うのが好ましい。1
0℃未満では生成した次亜塩素酸との反応が遅く、効率
が低下するおそれがあり、一方、80℃を超えると二酸
化鉛電極の耐久性が低下する。
【0020】また、本発明における電解酸化脱色は、処
理排出液が所望の色度になるまで、単位廃液量当たりの
通電電気量を適宜選択して行うことができる。更に、電
解槽内では被処理廃液を撹拌するか、上記した液流通式
電解槽では電極部において所定の液流速をもつように処
理廃液を循環流通させることにより、陽極側に生じる次
亜塩素酸イオンと廃液との接触を効率的に行うのが好ま
しい。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。但し、本発明は下記実施例により制限されるもので
ない。 実施例1 (マンガン除去工程)直径120mm、高さ200mm
の底付円筒体内のほぼ中央部底部に、直径40mm、高
さ145mmの円筒体の内筒を設置し、その内筒内に上
昇流を生じるように撹拌機を配置し、更に内筒の底外周
に約1mmφの小孔を多数穿設したリング状ステンレス
パイプの空気供給管を配置したマンガンイオン不溶化装
置を用いて、Mn2+の不溶化を行った。上記したマンガ
ンイオン不溶化装置内に、Mn2+濃度200ppm、色
度1000度、塩素イオン含有量3.5重量%のジニト
ロスチルベンジスルホン酸塩製造工程廃液を約1800
cc導入し、液温を25℃または45℃に保持して撹拌
機を回転させながら、濃度50重量%の水酸化ナトリウ
ム水溶液を添加して、pHを10、11または12に調
整し、同時に空気供給管から空気を300Nリットル/
時で供給した。
【0022】空気の供給を続けながら、30分毎に装置
内から酸化処理廃液を採取し、Mn2+不溶化状態を確認
するため、0.025μmの濾紙で濾過した後、濾液を
濃度98重量%の硫酸溶液でpH7とした後、濾液のM
2+濃度を測定した。その結果を表1に示した。表1よ
り、pH10以上であれば、Mn2+は容易に10ppm
以下の濃度まで不溶化されることが分かる。なお、pH
12で酸化時間180分の酸化処理廃液のMn2+濃度
は、上記の測定方法では0.0ppmと測定されるが、
通常の工業的に使用される濾材と同等のNo.5Aの濾
紙に濾過した場合の濾液について、同様にMn2+濃度を
測定した場合は、3ppmを示した。従って、本発明の
工業的実施においては、Mn2+濃度は3ppmより低い
値に除去することは困難であるが、下記の電解処理例で
も明らかであるが、本発明ではMn2+濃度は20ppm
以下とすれば二酸化鉛陽極の耐久性は充分であるため、
問題がない。
【0023】
【表1】
【0024】(電解処理工程)次いで、図1に説明図を
示した本発明の一実施例の電解酸化脱色装置を用いて、
Mn2+除去した着色廃液を電解脱色した。即ち、図1に
おいて、上記Mn2+除去工程の実験No. 1の180分経
過後のMn2+濃度9.1ppmの廃液1200ccを抜
出し、濃度98重量%の硫酸を用いてpHを7.2にし
た後、処理液槽10に貯留した。次いで、処理液槽10
内の廃液を、前記図2に示したものと同様の液流通式1
セル電解槽14の廃液供給口16にポンプ11により供
給して、処理液排出口17から排出して消泡塔13で処
理液槽10からポンプ12により抜出された廃液と混合
して消泡後、処理液槽10に循環した。電解槽14を流
通する液量は4260cc/時であった。また、電解槽
14を構成する陽極としては、ペルメレック電極(株)
製の縦10cm、横5cmのメッシュ状二酸化鉛電極を
使用し、陰極としては、縦10cm、横5cmのステン
レス電極を2枚使用した。
【0025】上記のように、電解槽14にMn2+を除去
してpH調整をした被処理液を流通させると同時に、電
流密度を0.1A/cm2として、電極に10Aの電流
を通電し、1〜4時間の各電解時間後の処理廃液の色度
及び電解電圧を測定し、脱色率を算出した。その結果、
1、2、3、4時間後の各電解電圧(V)は、それぞれ
3.87、3.89、3.82、3.79で、また、色
度はそれぞれ、380、130、60、30であった。
従って、脱色率(%)は、それぞれ62、87、94、
97であった。
【0026】更に、上記処理液槽10に、同様にMn2+
除去後、pHを7.1に調整したMn2+濃度8.1pp
mの着色廃液を410cc/時で連続的に供給し、上記
と同様に40時間電解脱色した。電解脱色処理液は、処
理液槽10においてオーバーフローして系外に取り出し
た。この場合、着色廃液の電解槽における滞留時間は3
時間であった。この結果、7、20、40時間後の各電
解電圧(V)は、それぞれ3.80、3.78、3.7
9で、また、色度はそれぞれ、70、80、70であっ
た。脱色率(%)は、それぞれ93、92、93であっ
た。
【0027】実施例2 実施例1の電解処理工程の液流通式電解槽に換えて、陽
極及び陰極をそれぞれ棒状の二酸化鉛電極(ペルメレッ
ク電極(株)製、電極面積:7.86cm2 )とステン
レス電極を用い、内径40mmφで内容積160ccの
底付円筒体内に電極間距離を5.3mmとして配置し、
底部にマグネチックスターラーを設置した浸漬式電解脱
色装置を用いて、電解処理した。
【0028】実施例1のマンガン除去工程の実験No. 3
の30〜60分酸化処理と同様の方法でMn2+を酸化不
溶化した後、No.5A濾紙で、沈澱物を濾過し、濾液
を98重量%硫酸でpHを7〜8に調整した色度100
0〜1050、塩素イオン3.5重量%、Mn2+濃度約
3〜8ppmの着色廃液を、装置内の廃液量が100c
cで、滞留時間が約3時間となるように上部からオーバ
ーフローで抜き出しながら、上記浸漬式電解脱色装置の
下部から約33cc/時で連続的に導入して、電流密度
0.1A/cm2 で0.786A通電して電解処理し
た。連続電解処理した処理廃液について、適宜、色度を
測定し脱色率を算出した。その結果を図3に示した。ま
た、連続電解処理した1450時間を通じ、電解電圧は
3.7〜3.85Vを推移した。
【0029】比較例1 実施例2において、陽極を同等の電極面積のDSA電極
1、DSA電極2、または白金電極に換えた以外は、全
く同様に電解処理を行い、同様に処理廃液の色度を測定
し脱色率を算出した。その結果を図3に示した。この場
合、図3から明らかなように、白金電極では240時間
経過までは脱色率約70%台を維持できた。しかし、脱
色率が低く活性の点で問題があることが分かる。一方、
DSA電極1においては、初期活性が脱色率94%と優
れるが、約96時間後には脱色率55%と低下し、ま
た、DSA電極2は初期活性が脱色率83%、約96時
間後の脱色率51%と、いずれも長期的な活性で問題が
あることが分かる。
【0030】なお、DSA電極1は、チタン基体に酸化
ルテニウム・チタニア(チタニア0.7モル分率)を被
覆したもの、DSA電極2は、チタン基体に白金・酸化
イリジウム(酸化イリジウム0.3モル分率)を被覆し
たものを使用した。これらのDSA電極の作製は、以下
のようにして行った。先ず、塩化白金酸、塩化ルテニウ
ム、塩化イリジウム酸、チタン-n- テトラブトキシドの
各ブタノール溶液を各電極作製に必要な所定の比率で混
合して塗布液を作成し、それらの塗布液にチタン棒を浸
漬し、浸漬塗布後、100℃で5分間乾燥し、500℃
で10分間熱分解させた。この一連の操作を10回繰り
返した後、500℃で1時間熱処理を行い、各電極を作
製した。
【0031】実施例3 電解処理に供した着色廃液をマンガン除去処理をしてい
ない色度1000〜1050、塩素イオン濃度3.5重
量%、Mn2+濃度200ppmの着色廃液とした以外
は、実施例2と全く同様に処理した。その結果、経過時
間5、24、46時間後の各電解電圧(V)は、それぞ
れ4.15、4.14、4.16で、処理廃液の脱色率
(%)は、それぞれ89、85、68となった。46時
間経過後、二酸化鉛電極を濃度5重量%のシュウ酸水溶
液を用いて洗浄し、電極表面に析出した二酸化マンガン
を還元洗浄除去した。その後、再び上記廃液を同様にし
て電解処理した。その結果、経過時間5、24、46時
間後の各電解電圧(V)は、それぞれ4.12、4.1
5、4.16で、処理廃液の脱色率(%)は、それぞれ
90、85、69となった。この結果から明らかなよう
に、マンガン除去せず、Mn2+濃度が高い場合には、二
酸化鉛電極でも電解電圧の上昇と短時間での活性低下を
引き起こすが、還元剤を用いて電極を洗浄処理して再生
することにより、電解酸化処理を引き続き行えることが
分かる。
【0032】
【発明の効果】本発明は、上記実施例及び比較例からも
明らかなように、着色有機系廃液を長期的に安定して電
解酸化脱色ができ、工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の説明図
【図2】本発明の液流通式電解脱色装置の組立分解図
【図3】本発明における実施例及び比較例の脱色率と経
過時間との関係を示した図
【符号の説明】
1 メッシュ状二酸化鉛電極 2、5、5’
樹脂製枠 3、3’ 室枠 4、4’ ステ
ンレス電極 6 廃液供給用マニホールド 7 処理液排出
用マニホールド 8 廃液供給用スリット 9 処理液排出
用スリット 10 処理液槽 11、12 ポ
ンプ 13 消泡塔 14 電解槽 16 廃液供給口 17 処理液排
出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸河里 脩 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12 番1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 若林 中 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12 番1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 増野 英二 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12 番1号 千代田化工建設株式会社内 審査官 中村 敬子 (56)参考文献 特開 平5−115879(JP,A) 特開 昭54−30653(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46,1/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガンイオンを含有する着色有機系廃
    液をpH6〜9に調整した後、塩素イオンの存在下、二
    酸化鉛電極を陽極として無隔膜電解することを特徴とす
    る着色有機系廃液の処理方法
  2. 【請求項2】 (1)マンガンイオンを含有する着色有
    機系廃液を、pH10以上で酸素含有ガスと接触処理す
    る工程、(2)前記接触処理した廃液から生成固形物を
    分離除去しマンガンイオン含有量20ppm以下の着色
    廃液にする工程、(3)得られた着色廃液をpH6〜9
    に調整する工程、及び、(4)得られたpH6〜9の着
    色廃液を、塩素イオンの存在下、二酸化鉛を陽極として
    無隔膜電解処理する工程により順次処理することを特徴
    とする着色有機系廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】 該着色有機系廃液が、ジニトロスチルベ
    ンジスルホン酸またはその塩の製造工程から排出される
    塩素イオン及びマンガンイオン含有の着色廃液である請
    求項2記載の着色有機系廃液の処理方法。
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