JP3190084B2 - ガスレーザ装置 - Google Patents

ガスレーザ装置

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JP3190084B2
JP3190084B2 JP711292A JP711292A JP3190084B2 JP 3190084 B2 JP3190084 B2 JP 3190084B2 JP 711292 A JP711292 A JP 711292A JP 711292 A JP711292 A JP 711292A JP 3190084 B2 JP3190084 B2 JP 3190084B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はガスレーザ媒質を予備
電離してから主放電を点弧してレーザ光を発生させるガ
スレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】CO2 レ−ザやエキシマレ−ザといっ
た、いわゆる高ガス圧下で動作させる横励起方式のガス
レ−ザ装置では、放電空間部においてガスレ−ザ媒質を
励起するための主放電を安定に点弧させるために、陰極
と陽極とからなる一対の主電極間で点弧される主放電に
先立って上記放電空間部を予備電離する予備電離手段が
備えられている。
【0003】予備電離手段としてはUV(紫外線)、コ
ロナ放電、X線などがあるが、UV方式が最も高繰り返
し動作が可能であるとされている。UV方式は主放電に
先立ってピン電極にスパ−ク放電を点弧させ、それによ
って発生した紫外線で、主にガスレ−ザ媒質中の不純物
(低電離電圧のもの)を電離すると考えられている。
【0004】しかしながら、UV方式において繰り返し
動作を高くすると、つぎのようなことが生じる。まず、
繰り返し動作を高くすることで、予備電離放電の破壊電
圧が低下することが実験により確認されている。予備電
離放電の電圧が低下すると、予備電離の強度が低下する
ことが考えられ、その結果として主放電が不均一にな
り、レ−ザ出力が低下する。つぎに、繰り返し動作を高
くすることで、予備電離放電によって生じる生成物の発
生量が多くなり、それによってレ−ザ出力が低下する。
また、ピン電極から音響波が発生したり、スパ−ク放電
によるガスレ−ザ媒質の劣化が早くなり、動作時間が短
くなるなどのことが生じる。
【0005】一方、X線方式ではUV方式の場合に生じ
る問題をなくすことができると考えられる。しかしなが
ら、X線管によってX線を発生する場合、その構造上、
繰り返し動作が最高で1kHz 程度で、高繰り返し動作
が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、ガスレ−
ザ装置によって高繰り返し動作を行わせようとすると、
予備電離強度が十分に得られず、出力が安定しなかった
り、ガスレ−ザ媒質の劣化が早く、動作時間が短くなる
などのことがあった。
【0007】この発明は上記事情にもとづきなされたも
ので、その目的とするところは、高繰り返し動作におい
ても、レーザ出力を長い寿命で安定して出力することが
できるようにしたガスレーザ装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に第1の発明は、ガスレーザ媒質を封入するためのレー
ザチャンバと、このレーザチャンバ内に対向して配置さ
れた陰極と陽極とを備える主電極と、この陽極と陰極と
の間の放電空間部を放電させる第1の予備電離手段と、
前記放電空間部にX線を照射する第2の予備電離手段
と、この第2の予備電離手段を制御する制御手段とを備
えるガスレーザ装置において、 前記第2の予備電離手段
は、前記放電空間部の長手方向に沿って配設される複数
個のX線発生装置を備え、かつ、前記制御手段は、前記
各X線発生装置を個別に制御可能に構成されていること
を特徴とする。
【0009】
【0010】
【0011】
【作用】この発明によれば、X線による予備電離によ
り、放電による予備電離をアシストすることで、高繰り
返し動作においても、放電空間部を十分な強度で予備電
離することができ、さらにX線による予備電離で、放電
空間部の長手方向における予備電離の不均一を是正する
ことができる。
【0012】
【0013】以下、この発明の一実施例を図面を参照し
て説明する。図1に示すガスレーザ装置はガスレーザ媒
質が封入されたレーザチャンバ1を備えている。このレ
ーザチャンバ1内にはそれぞれ上部取付板2aと下部取
付板2bに保持された主電極を構成する陰極3と陽極4
とが離間対向して配置されている。上部取付板2aの陰
極3の両側には、基端を固定した複数の上部ピン電極5
が長手方向に所定間隔で設けられている。上記下部取付
板2bの陽極4の両側には複数の下部ピン電極6がそれ
ぞれピーキングコンデンサ7を介して上記上部ピン電極
5と同じ間隔で設けられている。それによって、上記上
部ピン電極5と下部ピン電極6とはスパークギャップを
形成する間隔を介して先端を離間対向させている。
【0014】上記レ−ザチャンバ1内には送風機8と熱
交換器9とが配置されている。上記送風機8によって上
記レ−ザチャンバ1内のガスレ−ザ媒質は図中矢印で示
すように陰極3と陽極4との間の放電空間部11を通っ
て循環させられる。上記放電空間部11において、ガス
レ−ザ媒質は後述するごとく上記陰極3と陽極4との間
で発生する主放電によって励起される。励起されること
で温度上昇したガスレ−ザ媒質は、上記熱交換器9によ
って冷却されて循環する。
【0015】上記陽極4には、薄肉部4aを形成する凹
部12がその背面側に開放し、かつ長手方向ほぼ全長に
わたって形成されている。上記レ−ザチャンバ1と上部
取付板2cの上記凹部12と対向する部分にはそれぞれ
開口部1a、2cが形成されている。この開口部1a、
2cと対応するレ−ザチャンバ1の外面にはたとえば5
つのX線管13が上記陽極4の長手方向に沿って所定間
隔で配置されている。したがって、各X線管13から出
射したX線は上記陽極4の薄肉部4aを透過して放電空
間部11へ至る。これらX線管13はX線用高圧電源1
4から供給される高電圧が印加されることでX線を発生
するようになっている。
【0016】上記上部ピン電極5は上部取付板2a、レ
−ザチャンバ1およびサイラトロン15を介して直流高
圧電源16に接続されている。上記下部ピン電極6はピ
−キングコンデンサ7、下部取付板2bおよび主コンデ
ンサ17を介して上記直流高圧電源16に接続されてい
る。なお、上記レ−ザチャンバ1はア−スされている。
【0017】上記サイラトロン15と上記X線用高圧電
源14は制御装置18からのパルス信号によって駆動さ
れるようになっている。上記パルス信号の繰り返し数は
上記制御装置18によって設定することができ、また5
つのX線管13には上記制御装置18によって選択的に
高電圧を供給できるようになっている。
【0018】つぎに、上記構成のガスレ−ザ装置によっ
てレ−ザ光を発生させる動作について説明する。繰り返
し数があまり高くない状態でガスレ−ザ装置を運転する
場合には、制御装置18から上記繰り返し数に応じたパ
ルス信号を出力してサイラトロン15を開閉制御する。
サイラトロン15が閉成されれば、主コンデンサ17に
蓄えられた電荷がピ−キングコンデンサ7に移行するか
ら、上部ピン電極5と下部ピン電極6との先端間のギャ
ップでスパ−ク放電が発生し、その放電による紫外線で
陰極3と陽極4との間の放電空間部11が予備電離され
る。放電空間部11の予備電離が進むと、上記陰極3と
陽極4との間に主放電が点弧されるから、その主放電に
よってガスレ−ザ媒質が励起されてレ−ザ光Lが発生す
る。
【0019】なお、主放電の繰り返し数があまり高くな
い場合の予備電離は、ピン電極5、6間の放電に代わ
り、X線によってだけ行なうようにしてもよい。投入エ
ネルギを考慮すると、通常はUV放電だけの方がよい
が、放電体積を大きくして大出力化するときには、X線
を使用した方が効果がある。
【0020】レ−ザ光のパルス発振(主放電)を高繰り
返し数で行う場合、ピン電極5、6間の放電だけによっ
て放電空間部11を予備電離(この予備電離をUV放電
という)すると、予備電離強度の不足により陰極3と陽
極4との間に点弧される主放電が不安定になる。そのた
め、主放電の繰り返し数を上げる場合には、上記放電空
間部11の予備電離をX線によってアシストする。図3
(a)にUV放電(主放電と同じパルス数となる)とX
線発生とのパルス列の一例を示す。たとえば、主放電の
繰り返し数を3kHz に上げた場合、X線による予備電
離、つまりX線の発生繰り返し数を1kHz とする。X
線を発生させれば、上記放電空間部11がX線によって
も予備電離される。そのため、主放電の繰り返し数を上
げることで、UV放電による予備電離強度が不足して
も、その不足はX線による予備電離で補えるから、陰極
3と陽極4との間に発生する主放電を安定させることが
できる。
【0021】図3(b)に示すように上記UV放電とX
線の発生とは同時であってもよく、図3(c)に示すよ
うにUV放電による予備電離に先立ってX線による予備
電離を行うようにしてもよい。つまり、X線によりガス
レ−ザ媒質の構成粒子をエネルギの高い状態にしてお
き、UV放電により効率よく初期電子を生成する。その
場合のUV放電の遅延時間tは数百nsオ−ダであり、こ
れらの制御はガスレ−ザ媒質の種類(XeCl、Kr
F、ArF)やガスレ−ザ媒質を構成するXe、Kr、
Ar、HCl、F2 などの混合比によって使い分けるよ
うにすればよい。たとえば、電子付着の大きいF2 をハ
ロゲントナ−として用いる場合には図3(b)で示すよ
うにUV放電とX線発生とのタイミングを一致させ、付
着の小さいHClの場合は図3(c)のようにタイミン
グをずらした方がよい。
【0022】ガスレ−ザ媒質の寿命を長くする場合に
は、UV放電のエネルギを小さくし、X線による予備電
離を主体にした方がよい。UV放電のエネルギを小さく
するには、上部ピン電極5と下部ピン電極6とのギャッ
プ間隔を小さくしたり、上部ピン電極5と下部ピン電極
6とを部分的に短絡するなどの方法がある。
【0023】5つのX線管13は制御装置18によって
個別に制御することができる。そのため、UV放電によ
って放電空間部11を予備電離して主放電を点弧させる
場合、部分的に予備電離を強化することができる。たと
えば、放電空間部11の両端に位置するX線管13を作
動させ、放電空間部11の陰極3と陽極4との長手方向
両端部に対応する部分にX線を照射する。陰極3と陽極
4との長手方向両端部は電流が集中してア−ク放電とな
りやすいが、その部分にX線を照射することで予備電離
が十分になされるから、その部分でのア−ク放電の発生
を防ぎ、陰極3と陽極4との間に均一なグロ−放電を発
生させ、レ−ザ出力の増大を計ることができる。
【0024】なお、上記一実施例では放電による予備電
離手段としてUV放電を挙げたが、UV放電に代わり、
コロナ電極によるコロナ放電で予備電離するようにして
もよい。また、ピン電極は主電極の幅方向両側に設け
ず、放電空間部に対するガスレ−ザ媒質の流入側であ
る、上流側のピン電極を除去し、下流側だけに設けるよ
うにしてもよい。上流側のピン電極をなくせば、予備電
離放電によって発生する放電生成物が放電空間部に流入
しずらくなるから、レ−ザ出力が低下するのを防止する
ことができる。
【0025】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明は、放電空間
部を予備電離する予備電離手段として、放電による第1
の予備電離手段と、X線による第2の予備電離手段とを
設けるようにした。したがって、主放電の繰り返し数を
増大させるような場合、放電空間部の予備電離強度を向
上させることができるから、レ−ザ出力の安定化や平均
出力の増大を計ることができる。
【0026】また、放電空間部を放電により予備電離す
る場合、放電空間部を部分的にX線による予備電離でア
シストできるようにした。そのため、放電空間部の主電
極の両端部に対応する部分の予備電離が強化できるか
ら、主電極の端部でのア−ク放電の発生を防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の全体構成図。
【図2】同じく図1のA−A線に沿う側面図。
【図3】(a)はUV放電とX線発生とのパルス列の説
明図、(b)はUV放電とX線発生とのタイミングを同
じにした場合の説明図、(c)はUV放電とX線発生と
のタイミングをずらした場合の説明図。
【符号の説明】 1…レ−ザチャンバ、3…陰極、4…陽極、5、6…ピ
ン電極(第1の予備電離手段)、11…放電空間部、1
3…X線管(第2の予備電離手段)、18…制御装置
(制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 3/00 - 3/041 H01S 3/097 - 3/0979 H01S 3/104,3/134 H01S 3/22 - 3/227

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスレーザ媒質を封入するためのレーザ
    チャンバと、 このレーザチャンバ内に対向して配置された陰極と陽極
    とを備える主電極と、 この陽極と陰極との間の放電空間部を放電させる第1の
    予備電離手段と、 前記放電空間部にX線を照射する第2の予備電離手段
    と、 この第2の予備電離手段を制御する制御手段とを備える
    ガスレーザ装置において、 前記第2の予備電離手段は、前記放電空間部の長手方向
    に沿って配設される複数個のX線発生装置を備え、か
    つ、 前記制御手段は、前記各X線発生装置を個別に制御可能
    に構成されていることを特徴とするガスレーザ装置。
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