JP3188163U - アミノ酸分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料を短時間で乾燥させることができるアミノ酸分析装置を提供する。【解決手段】コンバータ12の温調部120の一部に、エドマン反応を行う前の試料を載置して乾燥させるための試料載置部120eを設ける。これにより、エドマン反応中の試料を加熱するために温調される温調部120を用いて、試料を乾燥させることができる。したがって、試料を自然乾燥させるような場合と比較して、試料を短時間で乾燥させることができる。特に、温調部120の一部に設けられた試料載置部120eに、エドマン反応を行う前の試料を載置するだけでよいため、試料を容易に乾燥させることができる。【選択図】 図3A
Description
本考案は、試料のエドマン反応を行うエドマン反応部と、前記エドマン反応部に試薬を供給する試薬供給部と、前記エドマン反応部においてエドマン反応により試料から脱離したアミノ酸の分析を行うアミノ酸分析部とを備えたアミノ酸分析装置に関するものである。
従来から、蛋白質やペプチドの一次構造、すなわちアミノ酸配列をN末端から逐次分析するために用いられる方法として、エドマン反応が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。このエドマン反応により、試料からアミノ酸を逐次分解して分析するアミノ酸分析装置には、試料のエドマン反応を行うエドマン反応部が備えられている。
エドマン反応部には、エドマン反応により試料からアミノ酸を脱離させるための反応槽と、脱離したアミノ酸を安定化させるコンバータとが含まれている。試料は、例えばガラスファイバフィルタやPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜などの試料支持体により支持された状態で、反応槽内に設置される。反応槽内には、試薬供給部から所定の試薬が供給され、この試薬と試料との反応により、試料のN末端側からアミノ酸が逐次脱離する。
脱離したアミノ酸はコンバータに送られ、このコンバータ内に、さらに試薬供給部から所定の試薬が逐次供給される。これにより、脱離したアミノ酸が安定化され、安定的なアミノ酸が高速クロマトグラフなどのアミノ酸分析部に導入される。アミノ酸分析部では、アミノ酸がカラムを通過する過程で分離され、検出器で逐次検出されることにより、アミノ酸配列の分析が行われる。
アミノ酸分析装置の反応槽内に試料を設置する際には、試料支持体上に予め試料を載置して乾燥させることにより、試料を試料支持体上に固定させておく必要がある。試料支持体は、分析の方法に応じて使い分けることとなるが、試料支持体の種類によっては試料が乾燥しにくい場合がある。
例えば、試料支持体がガラスファイバフィルタである場合には、フィルタの吸水性が高いため、試料がフィルタに染み込みやすい。そして、試料が染み込んだガラスファイバフィルタをアミノ酸分析装置に内蔵されているドライステーションにセットして、当該フィルタに不活性ガスを吹き付ければ、短時間で試料を乾燥させることが可能である。しかしながら、分析サンプルが分子量の小さなペプチド等ではなく、分子量の大きなタンパク質等の場合には、ガラスファイバフィルタの保持力が弱いため、PVDF膜を使用する必要がある。
試料支持体がPVDF膜である場合には、膜の撥水性が高いため、試料が載置された膜に不活性ガスを吹き付けると、試料が膜から飛び散ってしまうおそれがある。そのため、このような場合には、試料をPVDF膜上で自然乾燥させるのが一般的であるが、特に気温が低い冬場などには乾燥に時間を要し、分析開始までの前処理時間が長くなるという問題がある。
本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであり、試料を短時間で乾燥させることができるアミノ酸分析装置を提供することを目的とする。
本考案に係るアミノ酸分析装置は、試料のエドマン反応を行うエドマン反応部と、前記エドマン反応部に試薬を供給する試薬供給部と、前記エドマン反応部においてエドマン反応により試料から脱離したアミノ酸の分析を行うアミノ酸分析部とを備え、前記エドマン反応部には、エドマン反応中の試料を加熱するために温調される温調部と、前記温調部の一部に設けられ、エドマン反応を行う前の試料を載置して乾燥させるための試料載置部とが含まれることを特徴とする。
このような構成によれば、エドマン反応中の試料を加熱するために温調される温調部を用いて、試料を乾燥させることができる。これにより、試料を自然乾燥させるような場合と比較して、試料を短時間で乾燥させることができる。特に、温調部の一部に設けられた試料載置部に、エドマン反応を行う前の試料を載置するだけでよいため、試料を容易に乾燥させることができる。
前記エドマン反応部には、エドマン反応により試料からアミノ酸を脱離させるための反応槽と、脱離したアミノ酸を安定化させるコンバータとが含まれていてもよい。この場合、前記試料載置部は、前記コンバータに備えられた前記温調部の一部に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、コンバータに備えられた温調部を用いて、試料を乾燥させることができる。反応槽及びコンバータは、通常、いずれも温調部により温調されるようになっているが、反応槽よりもコンバータの方が高温に温調されるのが一般的である。したがって、より高温に温調されるコンバータの温調部に試料載置部を設けて、当該試料載置部に試料を載置することによって、試料をより短時間で乾燥させることができる。
前記試料載置部は、前記温調部の上面に形成された凹部により構成されていてもよい。
このような構成によれば、温調部の上面に形成された凹部により構成される試料載置部内に試料を容易に位置決めして乾燥させることができるとともに、試料を試料載置部内に安定して載置することができるため、振動などにより試料が試料載置部からはみ出るのを防止することができる。
前記温調部には、その側面から前記試料載置部まで延びる切欠きが形成されていてもよい。
このような構成によれば、温調部の側面から試料載置部まで延びる切欠きに、ピンセットなどの器具を挿入して、試料を試料載置部に載置することができるため、試料をより容易に乾燥させることができる。
前記温調部には、エドマン反応中の試料を加熱するための本体部と、前記本体部に対して着脱可能に設けられ、前記試料載置部が形成された試料乾燥部とが含まれていてもよい。
このような構成によれば、試料を乾燥させるときにのみ、温調部の本体部に試料乾燥部を取り付けて、当該試料乾燥部に形成されている試料載置部に試料を載置することができる。これにより、試料を乾燥させないときに温調部から無駄に放熱されるのを防止できるため、ランニングコストを低減することができる。
本考案によれば、エドマン反応中の試料を加熱するために温調される温調部を用いて、試料を短時間で乾燥させることができる。
図1は、本考案の一実施形態に係るアミノ酸分析装置の構成例を示す概略図である。このアミノ酸分析装置は、エドマン反応を用いてアミノ酸の分析を行うためのものであり、エドマン反応部1、試薬供給部2及びアミノ酸分析部3などを備えている。
エドマン反応部1は、反応槽11及びコンバータ12を備えており、これらを用いて順次、試料のエドマン反応を行う。試料は、例えばガラスファイバフィルタやPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜などの試料支持体4により支持された状態で、反応槽11内に設置される。反応槽11には、それぞれガラスで形成された1対の挟持体111,112が備えられており、これらの挟持体111,112の間に試料支持体4を挟持することができるようになっている。
一方の挟持体111は、試料支持体4に対して上方に配置され、試薬供給部2から試薬を導入するための試薬導入路113が接続されている。試薬導入路113から導入される試薬は、挟持体111内に形成された流路を介して、試料支持体4により支持されている試料に上方から供給され、エドマン反応により試料からアミノ酸が脱離される。他方の挟持体112は、試料支持体4に対して下方に配置されており、反応槽11内で試料から脱離したアミノ酸は、当該挟持体112内に形成された流路を介して、反応槽11の外部(下方)に導かれる。
コンバータ12には、ガラス製の反応容器としてのコンバージョンフラスコ121が備えられている。反応槽11において試料から脱離したアミノ酸は、試料搬送路122を介してコンバージョンフラスコ121内に送られる。コンバージョンフラスコ121には、試薬供給部2から試薬導入路123を介して試薬が導入され、これにより、コンバージョンフラスコ121内のアミノ酸が安定化される。安定化されたアミノ酸は、試料導出路124を介してアミノ酸分析部3に送られる。
コンバージョンフラスコ121には、上述の試料搬送路122、試薬導入路123及び試料導出路124の他に、ガス排気路125が接続されている。ガス排気路125には二方バルブ126が介装されており、当該二方バルブ126を開くことにより、コンバージョンフラスコ121内のガスを大気中に排気することができる。
また、試料搬送路122の途中には、三方バルブ127を介してガス排気路128が接続されている。この三方バルブ127の開閉状態を切り替えることにより、試料搬送路122を介して反応槽11及びコンバータ12が連通した状態と、試料搬送路122がガス排気路128に連通した状態とに切り替えることができる。ガス排気路128には二方バルブ129が介装されており、試料搬送路122がガス排気路128に連通した状態で当該二方バルブ129を開くことにより、試料搬送路122内のガスを大気中に排気することができる。
試薬供給部2は、第1試薬供給部21及び第2試薬供給部22を備えており、これらを用いてエドマン反応部1に試薬を供給する。第1試薬供給部21は、上記試薬導入路113を介して反応槽11に試薬を供給する。一方、第2試薬供給部22は、上記試薬導入路123を介してコンバータ12に試薬を供給する。
第1試薬供給部21には、複数の試薬ボトル211a〜211eが備えられており、第2試薬供給部には、複数の試薬ボトル211f、211gが備えられている。これらの試薬ボトル211a〜211gには、ガス供給路212からガス(例えばN2ガス)を供給することができるようになっている。ガス供給路212は、各試薬ボトル211a〜211gに連通する分岐路212a〜212gと、上記試薬導入路113に連通する分岐路212hと、上記試薬導入路123に連通する分岐路212iとに分岐している。各分岐路212a〜212iには、それぞれ二方バルブ213a〜213iが介装されている。
第1試薬供給部21の複数の試薬ボトル211a〜211eには、それぞれ試薬供給路214a〜214eが接続されている。これらの試薬供給路214a〜214eは、それぞれ三方バルブ215a〜215eを介して分岐路212hに接続されている。また、複数の試薬ボトル211a〜211eには、それぞれガス排気路216a〜216eが接続されており、各ガス排気路216a〜216eには二方バルブ217a〜217eが介装されている。
第1試薬供給部21から試薬導入路113を介して反応槽11に試薬を供給する際には、三方バルブ215a〜215eの開閉状態を切り替えて、第1試薬供給部21の各試薬ボトル211a〜211eのいずれかに接続されている試薬供給路214a〜214eを分岐路212hに連通させる。この状態で、その試薬ボトル211a〜211eに対応する分岐路212a〜212eに設けられた二方バルブ213a〜213eを開状態とし、ガス供給路212からガスを供給する。
その結果、当該試薬ボトル211a〜211e内を分岐路212a〜212eから供給されるガスで加圧し、試薬供給路214a〜214e、分岐路212h及び試薬導入路113を介して、反応槽11に試薬を供給することができる。また、二方バルブ213hを開状態とすれば、分岐路212h及び試薬導入路113を介して、反応槽11にガスのみを供給することもできる。なお、二方バルブ217a〜217eは、試薬ボトル211a〜211eを第1試料供給部21に取り付ける際、空気にさらされた各試薬ボトル211a〜211eの内部をガス(例えばN2ガス)に置換して、試薬の劣化を防ぐために開かれる。
第2試薬供給部22の複数の試薬ボトル211f,211gには、それぞれ試薬供給路214f,214gが接続されている。これらの試薬供給路214f,214gは、それぞれ三方バルブ215f,215gを介して分岐路212iに接続されている。また、複数の試薬ボトル211f,211gには、それぞれガス排気路216f,216gが接続されており、各ガス排気路216f,216gには二方バルブ217f,217gが介装されている。
第2試薬供給部22から試薬導入路123を介してコンバータ12に試薬を供給する際には、三方バルブ215f,215gの開閉状態を切り替えて、第2試薬供給部22の各試薬ボトル211f,211gのいずれかに接続されている試薬供給路214f,214gを分岐路212iに連通させる。この状態で、その試薬ボトル211f,211gに対応する分岐路212f,212gに設けられた二方バルブ213f,213gを開状態とし、ガス供給路212からガスを供給する。
その結果、当該試薬ボトル211f,211g内を分岐路212f,212gから供給されるガスで加圧し、試薬供給路214f,214g、分岐路212i及び試薬導入路123を介して、コンバータ12に試薬を供給することができる。また、二方バルブ213iを開状態とすれば、分岐路212i及び試薬導入路123を介して、コンバータ12にガスのみを供給することもできる。なお、二方バルブ217f,217gは、試薬ボトル211f,211gを第2試料供給部22に取り付ける際、空気にさらされた各試薬ボトル211f,211gの内部をガス(例えばN2ガス)に置換して、試薬の劣化を防ぐために開かれる。
この例では、試薬ボトル211aには酢酸エチル、試薬ボトル211bには塩化n−ブチル、試薬ボトル211cにはトリメチルアミン、試薬ボトル211dにはPITCのn−ヘプタン溶液、試薬ボトル211eにはトリフルオロ酢酸、試薬ボトル211fにはアセトニトリルと水の混合液、試薬ボトル211gにはトリフルオロ酢酸溶液がそれぞれ収容されている。ただし、試薬ボトル211a〜211gに収容されている試薬はこれらに限られるものではなく、試薬ボトル211a〜211gの数もこれに限られるものではない。
アミノ酸分析部3は、六方バルブ31、ポンプ32、カラム33、検出器34及びデータ処理装置35などを備えており、エドマン反応部1においてエドマン反応により試料から脱離したアミノ酸の分析を行う。エドマン反応により試料から脱離したアミノ酸は、六方バルブ31に接続されているシリンジ(図示せず)により、試料導出路124から六方バルブ31に吸い込まれる。その後、六方バルブ31を切り替えて、ポンプ32を駆動させることにより、脱離したアミノ酸をカラム33に注入することができる。
カラム33に注入されたアミノ酸は、当該カラム33を通過する過程で分離され、検出器34により検出される。データ処理装置35は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含み、検出器34からの検出信号を解析することにより、アミノ酸の分析を行うことができる。
図2は、図1のアミノ酸分析装置を用いてアミノ酸の分析を行う際の処理の一例を示すフローチャートである。分析を開始する際には、まず、試料を支持する試料支持体4が、1対の挟持体111,112により挟持された状態で反応槽11内にセットされた後(ステップS101)、カップリング反応が行われる(ステップS102)。
カップリング反応では、試薬ボトル211cから反応槽11内にトリメチルアミンを供給し、当該反応槽11内をトリメチルアミン(気体)で満たした後、試薬ボトル211dから反応槽11内にPITCのn−ヘプタン溶液を供給し、蛋白質のN末端アミノ基に反応させることにより、PTC−蛋白質を生成する。そして、試薬ボトル211aから反応槽11内に酢酸エチルを供給することにより、過剰試薬及び副生成物を洗浄する。
その後、試薬ボトル211eから反応槽11内にトリフルオロ酢酸を供給することにより、PTC−蛋白質のN末端ペプチド結合を切断し、ATZ−アミノ酸を生成する(ステップS103:切断反応)。脱離したATZ−アミノ酸は、試薬ボトル211bから反応槽11内に塩化n−ブチルを供給することによりコンバータ12に抽出される(ステップS104)。
次に、コンバータ12において転換反応が行われる(ステップS105)。転換反応では、試薬ボトル211gからコンバージョンフラスコ121内にトリフルオロ酢酸溶液を供給することにより、ATZ−アミノ酸が安定なPTH−アミノ酸に転換される。その後、試薬ボトル211fからコンバージョンフラスコ121内にアセトニトリルと水の混合液を供給することにより、当該混合液にPTH−アミノ酸を溶解させる(ステップS106)。
エドマン反応により試料から脱離したPTH−アミノ酸は、六方バルブ31を介して、高速液体クロマトグラフのカラム33に注入される(ステップS107)。このカラム33において、PTH−アミノ酸が分離され、検出器34により検出される(ステップS108)。そして、検出器34からの検出信号をデータ処理装置35で解析することにより、データの表示及び記録や、PTH−アミノ酸の同定、定量及び収率計算などが行われる(ステップS109)。
上記ステップS101〜S109のうち、ステップS101〜S104は反応槽11において行われ、ステップS105及びS106はコンバータ12において行われ、ステップS107〜S109はアミノ酸分析部3において行われる。このとき、反応槽11は約40℃に温調され、コンバータ12(コンバージョンフラスコ121)は反応槽11よりも高い約60℃に温調される。ステップS102〜S106は、エドマン反応部1において行われるエドマン反応であり、ステップS102〜S109を繰り返すことにより、次のアミノ酸に対するエドマン反応を順次に行うことができる。
図3A及び図3Bは、コンバータ12の構成例を示した図であり、図3Aは平面図、図3Bは側断面図をそれぞれ示している。この例では、コンバータ12に備えられた温調部120によりコンバージョンフラスコ121を温調し、コンバージョンフラスコ121内のエドマン反応中の試料を加熱することができるようになっている。温調部120には、ヒータ(図示せず)の他、当該ヒータからの熱をコンバージョンフラスコ121に伝達するための伝熱部120aなどが備えられている。
伝熱部120aは、例えばアルミなどの熱伝導性が高い材料により形成されている。この例では、伝熱部120aの上面から下方に向かって、コンバージョンフラスコ121の外形に対応する内面形状を有する収容凹部120bが形成されている。これにより、収容凹部120b内に収容されたコンバージョンフラスコ121の外周面全体が収容凹部120bの内面に当接し、コンバージョンフラスコ121が均一に加熱されるようになっている。
伝熱部120aには、四角柱形状の本体部120cと、当該本体部120cの側面から突出した試料乾燥部120dとが備えられている。本体部120cは、コンバージョンフラスコ121内のエドマン反応中の試料を加熱するためのものであり、上記収容凹部120bが形成されている。試料乾燥部120dは、反応槽11にセットする前の試料を乾燥させるためのものであり、本体部120cと一体的に形成された構成であってもよいし、本体部120cに対して着脱可能に設けられていてもよい。
試料乾燥部120dが本体部120cと一体的に形成されている場合には、当該試料乾燥部120dが伝熱部120aの一部としてもともと備えられた部分であってもよい。この場合、試料乾燥部120dが本体部120cから突出した形状に限らず、例えば本体部120cと試料乾燥部120dとの明確な境界が存在しないような構成などであってもよい。
この例では、試料乾燥部120dは、本体部120cよりも小さい四角柱形状に形成されており、その上面が本体部120cの上面に対して面一となるように、本体部120cの側面の上部に設けられている。試料乾燥部120dの上面には、平坦面からなる試料載置部120eが形成されており、当該試料載置部120eにエドマン反応を行う前の試料を載置して乾燥させることができるようになっている。
試料載置部120eは、例えば直径約8mmの円形状に形成されている。この試料載置部120eの形状は、試料を支持する試料支持体4の形状と略一致しており、試料支持体4が試料を支持した状態で試料載置部120eに載置されることにより、試料支持体4上で試料を乾燥させ、そのまま試料支持体4を反応槽11にセットすることができるようになっている。
このように、本実施形態では、エドマン反応中の試料を加熱するために温調される温調部120を用いて、試料を乾燥させることができる。これにより、試料を自然乾燥させるような場合と比較して、試料を短時間で乾燥させることができる。特に、温調部120の一部に設けられた試料載置部120eに、エドマン反応を行う前の試料を載置するだけでよいため、試料を容易に乾燥させることができる。
また、本実施形態では、試料載置部120eがコンバータ12に備えられた温調部120の一部に設けられているため、コンバータ12に備えられた温調部120を用いて、試料を乾燥させることができる。反応槽11及びコンバータ12は、通常、いずれも温調部により温調されるようになっているが、本実施形態のように、反応槽11よりもコンバータ12の方が高温に温調されるのが一般的である。したがって、より高温に温調されるコンバータ12の温調部120に試料載置部120eを設けて、当該試料載置部120eに試料を載置することによって、試料をより短時間で乾燥させることができる。
また、作業者は、試料支持体4を反応槽11にセットするために、反応槽11に対する操作を行う場合があるが、通常、コンバータ12に対する操作を行うことはない。このように、作業者が触れる可能性が低いコンバータ12に備えられた温調部120の一部に試料載置部120eを設けることにより、試料載置部120eに試料を載置しやすく、安定して確実に試料を乾燥させることができる。
さらに、試料乾燥部120dが本体部120cに対して着脱可能な構成の場合には、試料を乾燥させるときにのみ、温調部120の本体部120cに試料乾燥部120dを取り付けて、当該試料乾燥部120dに形成されている試料載置部120eに試料を載置することができる。これにより、試料を乾燥させないときに温調部120から無駄に放熱されるのを防止できるため、ランニングコストを低減することができる。
図4A及び図4Bは、コンバータ12の変形例を示した図であり、図4Aは平面図、図4Bは側断面図をそれぞれ示している。この例では、試料載置部120fに関する形状のみが図3A及び図3Bの例とは異なり、他の構成については同様であるため、同様の構成については、図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
試料載置部120fは、試料乾燥部120dの上面に形成されており、例えば直径約8.5mm、深さ約1mmの円形状の凹部により構成されている。この試料載置部120fの形状は、試料を支持する試料支持体4の形状よりも若干大きく形成されており、試料支持体4が試料を支持した状態で試料載置部120fに載置されることにより、試料支持体4上で試料を乾燥させ、そのまま試料支持体4を反応槽11にセットすることができるようになっている。
この例では、温調部120(試料乾燥部120d)の上面に形成された凹部により構成される試料載置部120f内に試料を容易に位置決めして乾燥させることができるとともに、試料を試料載置部120f内に安定して載置することができるため、振動などにより試料が試料載置部120fからはみ出るのを防止することができる。
この例では、さらに、温調部120(試料乾燥部120d)の側面から試料載置部120fまで延びる切欠き120gが形成されている。切欠き120gは、試料乾燥部120dにおける本体部120cとは反対側の側面に、上面から下面まで延びるように形成されている。当該切欠き120gは、その底部(本体部120c側の端面120h)が試料載置部120f内に入り込む程度の深さに形成されていることが好ましい。
これにより、温調部120(試料乾燥部120d)の側面から試料載置部120fまで延びる切欠き120gに、図4Aに示すようにピンセットなどの器具5を挿入して、試料を試料載置部120fに載置することができるため、試料をより容易に乾燥させることができる。ただし、切欠き120gの形状は、この例に示すような形状に限られるものではなく、温調部120の側面から試料載置部120fまで延びるような形状であれば、他の各種形状を採用することができる。
なお、試料乾燥部120dが本体部120cと一体的に形成された構成、又は、試料乾燥部120dが本体部120cに対して着脱可能な構成のいずれであってもよいという点は、図3A及び図3Bの例と同様である。また、図3A及び図3Bの例において、図4A及び図4Bの例と同様に、温調部120(試料乾燥部120d)の側面から試料載置部120eまで延びる切欠きを形成してもよい。
試料載置部120e,120fの形状は、円形状に限らず、試料を支持する試料支持体4の形状に合わせて、他の各種形状に形成することができる。この場合、試料載置部120e,120fは、少なくとも試料支持体4と同程度、又は、試料支持体4よりも大きい形状であればよい。また、試料載置部120e,120fは、試料支持体4を載置することができるようなスペースであればよく、試料載置部120e,120fとそれ以外の部分との明確な境界が存在しないような構成などであってもよいが、少なくとも試料支持体4を載置する際の目印が設けられていることが好ましい。
以上の実施形態では、コンバータ12の温調部120の一部に試料載置部120e,120fが形成された構成について説明した。しかし、コンバータ12ではなく、反応槽11の温調部の一部に、試料載置部が設けられた構成であってもよい。この場合、コンバータ12の温調部120よりも反応槽11の温調部の方が低温で温調されるため、コンバータ12の温調部120の一部に試料載置部120e,120fを形成した場合よりも試料の乾燥に時間がかかることとなるが、試料を自然乾燥させるような場合と比較すれば、試料を短時間で乾燥させることができる。
1 エドマン反応部
2 試薬供給部
3 アミノ酸分析部
4 試料支持体
5 器具
11 反応槽
12 コンバータ
21 第1試薬供給部
22 第2試薬供給部
31 六方バルブ
32 ポンプ
33 カラム
34 検出器
35 データ処理装置
111 挟持体
112 挟持体
113 試薬導入路
120 温調部
120a 伝熱部
120b 収容凹部
120c 本体部
120d 試料乾燥部
120e 試料載置部
120f 試料載置部
121 コンバージョンフラスコ
122 試料搬送路
123 試薬導入路
124 試料導出路
125 ガス排気路
126 二方バルブ
127 三方バルブ
128 ガス排気路
129 二方バルブ
211a〜211g 試薬ボトル
212 ガス供給路
212a〜212i 分岐路
213a〜213i 二方バルブ
214a〜214g 試薬供給路
215a〜215g 三方バルブ
216a〜216g ガス排気路
217a〜217g 二方バルブ
2 試薬供給部
3 アミノ酸分析部
4 試料支持体
5 器具
11 反応槽
12 コンバータ
21 第1試薬供給部
22 第2試薬供給部
31 六方バルブ
32 ポンプ
33 カラム
34 検出器
35 データ処理装置
111 挟持体
112 挟持体
113 試薬導入路
120 温調部
120a 伝熱部
120b 収容凹部
120c 本体部
120d 試料乾燥部
120e 試料載置部
120f 試料載置部
121 コンバージョンフラスコ
122 試料搬送路
123 試薬導入路
124 試料導出路
125 ガス排気路
126 二方バルブ
127 三方バルブ
128 ガス排気路
129 二方バルブ
211a〜211g 試薬ボトル
212 ガス供給路
212a〜212i 分岐路
213a〜213i 二方バルブ
214a〜214g 試薬供給路
215a〜215g 三方バルブ
216a〜216g ガス排気路
217a〜217g 二方バルブ
Claims (5)
- 試料のエドマン反応を行うエドマン反応部と、
前記エドマン反応部に試薬を供給する試薬供給部と、
前記エドマン反応部においてエドマン反応により試料から脱離したアミノ酸の分析を行うアミノ酸分析部とを備え、
前記エドマン反応部には、エドマン反応中の試料を加熱するために温調される温調部と、前記温調部の一部に設けられ、エドマン反応を行う前の試料を載置して乾燥させるための試料載置部とが含まれることを特徴とするアミノ酸分析装置。 - 前記エドマン反応部には、エドマン反応により試料からアミノ酸を脱離させるための反応槽と、脱離したアミノ酸を安定化させるコンバータとが含まれており、
前記試料載置部は、前記コンバータに備えられた前記温調部の一部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸分析装置。 - 前記試料載置部は、前記温調部の上面に形成された凹部により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアミノ酸分析装置。
- 前記温調部には、その側面から前記試料載置部まで延びる切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアミノ酸分析装置。
- 前記温調部には、エドマン反応中の試料を加熱するための本体部と、前記本体部に対して着脱可能に設けられ、前記試料載置部が形成された試料乾燥部とが含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアミノ酸分析装置。
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-
2013
- 2013-10-22 JP JP2013006050U patent/JP3188163U/ja not_active Expired - Fee Related
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