JP3187636B2 - コラーゲン代謝改善剤 - Google Patents

コラーゲン代謝改善剤

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JP3187636B2 JP35193893A JP35193893A JP3187636B2 JP 3187636 B2 JP3187636 B2 JP 3187636B2 JP 35193893 A JP35193893 A JP 35193893A JP 35193893 A JP35193893 A JP 35193893A JP 3187636 B2 JP3187636 B2 JP 3187636B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケイ酸関連物質または
その塩を有効成分とするコラーゲン代謝改善剤、および
コラーゲン代謝を賦活する化粧料及び入浴剤に係り、更
に詳しくは細胞のプロコラゲナーゼ産生を促進するケイ
酸関連物質またはその塩を有効成分とするコラーゲン代
謝改善剤および化粧料ならびに入浴剤に関する。
【0002】
【従来の技術】コラーゲンの異常蓄積に伴う疾病(肝お
よび肺線維症、ケロイド、肥厚性瘢痕および強皮症等)
では、コラーゲンの合成と分解のバランスが失われてい
ることが示唆されており、例えば強皮症に伴う皮膚の硬
化はコラーゲン量の増加(Ar-thritis Rheum.、22卷、1
30 頁、1979年参照)やコラーゲン分解能の低下(TheJou
rnal of Clinical Investigation 、56巻、1175頁、197
5年参照)により生ずる。
【0003】このうちコラーゲン分解能の低下は、各組
織や皮膚線維芽細胞のコラゲナーゼ活性の低下によると
考えられており(皮膚、14巻、217 頁、1972年、Journa
l ofClinical Investigation、56巻、1175頁、1975年お
よび Life Sciences、30巻、23頁、1982年参照)、コ
ラゲナーゼ活性の増強が望まれている。
【0004】皮膚にはコラーゲンが乾燥重量比で70%
含まれており、皮膚に物理的特性を与えると共に、細胞
の増殖、分化、移動などの生理的な影響も与えている。
このコラーゲンは上記のような疾病のみならず、老化に
伴い代謝回転速度が生理的に低下することが知られてい
る(現代化学、12月号、36頁、1990年参照)。
【0005】老化に伴ってコラーゲン代謝回転速度が低
下すると、コラーゲン分子の寿命が長くなり、分子間架
橋の割合が増すと共に、コラゲナーゼ分解に抵抗性を示
すようになる(Aging of the Skin 、121 頁、1989年、
Raven Press 、New York)。その結果、一定量のコラー
ゲンを分解するために必要とされるコラゲナーゼの量が
増加し、ますます代謝回転速度が低下するという悪循環
を引き起こすことになる。
【0006】この悪循環の結果、皮膚の柔軟性、弾力性
の低下や皺の増加が起こり、また毛髪に至っては、頭皮
の緊張化、血流量の低下、毛母細胞の活性低下が起こ
り、脱毛症を発生させることが示唆されている。
【0007】従来より、様々な皮膚化粧料及び養毛化粧
料が開発されているが、コラーゲンの代謝に直接働きか
けることによって積極的に上記の問題を解決しようよす
る試みは、殆どなされていなかった。
【0008】ところで、コラゲナーゼは、結合組織中の
間質型コラーゲン(I型、II型、およびIII型コラ
ーゲン)を分解する際の律速酵素であり、コラーゲンの
代謝に重要な役割を果たしている。コラゲナーゼは、前
駆体であるプロコラゲナーゼとして細胞より分泌され、
生体内ではその後プラスミンやストロムライシン等のタ
ンパク分解酵素によってコラゲナーゼに活性化される(B
iochemical Journal、166 巻、21頁、1977年および Pro
ceedings of the National Academy ofSciences of the
U.S.A.、86巻、2632頁、1989年参照)と考えられてい
る。
【0009】以上のことから、老化に伴うコラーゲンの
代謝回転速度低下の改善のためには、プロコラゲナーゼ
の産生を促進する物質が有効と考えられる。
【0010】さらに、コラーゲンの代謝回転速度低下の
改善のためには、コラゲナーゼによる分解促進のみでな
く、同時にコラーゲン合成を促進するとより有効であ
り、プロコラゲナーゼの産生を促進する物質とともにコ
ラーゲン合成を促進する物質を共用することが有効と考
えられる。
【0011】細胞のプロコラゲナーゼ産生能を増強する
ことを可能とする物質として、これまで、インターロイ
キン1、腫瘍壊死因子(TNF)、表皮成長因子(EG
F)、血小板由来成長因子(PDGF)等のサイトカイ
ンおよびホルボールエステル等が知られている。しかし
これらのサイトカイン類は高価であり、製造コストが高
くなる。また、ホルボールエステルは発癌プロモーター
物質であってその使用は安全と言いがたい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
とするところは、プロコラゲナーゼ産生促進作用、およ
び老化に伴うコラーゲンの代謝回転速度低下の改善効果
を有する、安価で安全性にも優れたコラーゲン代謝改善
剤を提供することにある。さらに、皮膚の柔軟性、弾力
性、皺における改善効果に優れた皮膚化粧料や育毛効果
及び脱毛予防効果に優れた養毛化粧料、全身の皮膚コラ
ーゲン代謝を改善する入浴剤等の化粧料を提供すること
にある。
【0013】
【産業上の利用分野】上述の目的は、ケイ酸関連物質ま
たはその塩を含有することを特徴とするコラーゲン代謝
改善剤、ケイ酸関連物質またはその塩およびアスコルビ
ン酸またはその誘導体を含有することを特徴とするコラ
ーゲン代謝改善剤、前記のいずれかのコラーゲン代謝改
善剤を含有することを特徴とする養毛化粧料によって達
成される。
【0014】本発明の用いられるケイ酸関連物質として
は、例えばメタケイ酸,オルトケイ酸,メタ二ケイ酸,
メタ三ケイ酸等が挙げられ、またその塩としては、例え
ば水ガラス,ナトリウム塩,カリウム塩,マグネシウム
塩,アルミニウム塩,カルシウム塩等が挙げられる。
【0015】ケイ酸は、水に不溶であるため、メタケイ
酸,オルトケイ酸,メタ二ケイ酸,メタ三ケイ酸は溶液
中にしか存在せず、またメタケイ酸,オルトケイ酸,メ
タ二ケイ酸,メタ三ケイ酸のマグネシウム塩も水に不溶
である。従って、本発明のコラーゲン代謝改善剤として
は、ケイ酸カリウム,メタケイ酸ナトリウム,オルトケ
イ酸ナトリウムが利用しやすいという点で好ましい。
【0016】本発明のコラーゲン代謝改善剤または化粧
料の、ケイ酸関連物質またはその塩の含有量は、その用
途により異なるが、コラーゲン代謝改善剤または化粧料
の総量を基準として0.1〜99重量%が好ましく、特
に5〜60重量%が好ましい。
【0017】本発明に用いられるアスコルビン酸または
その誘導体としては、アスコルビン酸とその塩(ナトリ
ウム塩,マグネシウム塩,硫酸塩等),アスコルビン酸
リン酸エステルおよび硫酸エステルとその塩(マグネシ
ウム塩,硫酸塩等),ステアリン酸エステル,ジパルミ
チン酸エステルおよびモノパルミチン酸エステル等を用
いることができる。
【0018】アスコルビン酸またはその誘導体の含有量
は、その用途により異なるが、適用する組成物全量を1
00として0.001〜10重量%が好ましく、さらに
好ましくは0.01〜3重量%である。
【0019】本発明のコラーゲン代謝改善剤は、上記の
ケイ酸関連物質またはその塩,アスコルビン酸またはそ
の誘導体それ自体,またはこれらを水、中和水、酸性水
などで希釈したもの、あるいは希釈したものにさらにメ
チルパラベン等の防腐剤などを適宜添加したもの等の形
で供与される。
【0020】本発明のコラーゲン代謝改善剤は、細胞培
養の際、培地に添加することによって、医学・薬学上重
要なプロコラゲナーゼの産生量を増加させるのに用いる
ことができる。
【0021】本発明のコラーゲン代謝改善剤は、その使
用目的に応じて、通常用いられる公知の成分に配合する
ことによって、経口投与の剤形や注射、経皮等の非経口
の剤形に調製することが可能で、経口または注射、経皮
等の非経口でヒトに投与される。
【0022】経口投与の剤形としては、錠剤、顆粒剤、
散剤、細粒剤、硬カプセル剤等の固形製剤のほか、シロ
ップ剤、エリキシル剤、軟カプセル剤等の液剤が含まれ
る。
【0023】かかる製剤は常法によって製造され、錠
剤、顆粒剤、散剤、細粒剤は、ケイ酸関連物質またはそ
の塩と通常の医薬添加物例えば、乳糖、でんぷん、結晶
セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、タルク等とを混合して製造され、硬
カプセル剤は上記の細粒剤、散剤、を適宜カプセルに充
填して製造される。
【0024】また、シロップ剤は、白糖、D−ソルビト
ール、カルボキシメチルセルロース等を含む水溶液にパ
ラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル
等の防腐剤と共にケイ酸関連物質またはその塩を溶解し
て製造され、エリキシル剤はケイ酸関連物質またはその
塩をエタノールに溶解し、その溶液にグリセリン、オレ
ンジ油、レモン油、コリアンダー油、アニス油、タルク
等を混合して製造される。
【0025】軟カプセル剤は、脂質賦形剤、例えば、植
物油、油性エマルジョン、グリコール類等にケイ酸関連
物質またはその塩を溶解し、軟カプセルに充填して製造
される。
【0026】注射剤は、ケイ酸関連物質またはその塩を
生理食塩水あるいは脂質賦形剤、例えば、植物油、油性
エマルジョン、グリコール等に溶解または乳化させ無菌
的にアンプルあるいはバイヤルに封入することによって
製造される。
【0027】経皮剤には、軟膏剤、ローション剤、パッ
プ剤、ゲル剤、クリーム剤、液剤、スプレー剤、入浴剤
および貼付剤等が含まれる。かかる製剤は、ケイ酸関連
物質またはその塩と通常の医薬添加物、例えばワセリ
ン、スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素、ステア
リルアルコール、セタノール等の高級アルコール、ミリ
スチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等の
高級脂肪酸の低級アルキルエステル、ラノリン等の動物
性油脂、グリセリン、プロピレングリコール等の多価ア
ルコール、マクロゴール400、マクロゴール400
0、等のポリエチレングリコール、モノステアリン酸グ
リセリン等のグリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸
ナトリウム、モノステアリン酸ポリエチレングリコー
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸(商品
名、NIKKOL DDP-2、日本サーファクタント工業株式会
社)、セスキオレイン酸ソルビタン等の界面活性剤、乳
酸、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、無水硫酸ナ
トリウム等の各種イオン、エタノール、蝋、樹脂、水お
よび要すればパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安
息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキ
シ安息香酸ブチル等の防腐剤とを混合し、常法により製
造することが出来る。
【0028】本発明のコラーゲン代謝改善剤は、経口ま
たは非経口で投与される。それは、例えば、肝線維症、
肺線維症等、臓器にコラーゲンが異常蓄積した疾病には
経口または注射により、ケロイド、肥厚性瘢痕等上皮に
コラーゲンが異常蓄積した疾病には経皮または局所注射
により、本発明のコラーゲン代謝改善剤を投与される。
またそれは、老化に伴うコラーゲン代謝回転低下の場合
には、経口あるいは経皮的に本発明のコラーゲン代謝改
善剤を投与される。
【0029】投与量は、患者あるいはコラーゲン代謝回
転の低下した人の年齢、体重、症状あるいは投与方法等
により異なるが、成人に投与する場合、一般には1回当
たりケイ酸関連物質またはその塩として0.05〜100mg の
量を1日、1〜3回投与する。例えば、肝線維症、肺線
維症等の臓器にコラーゲンが異常蓄積した疾病に対して
は、経口投与または注射により1回当たり3 〜100 mgの
投与量が適当であり、ケロイド、肥厚性瘢痕等の上皮に
コラーゲンが異常蓄積した疾病や老化に伴いコラーゲン
代謝回転の低下した皮膚に対しては、経皮投与により1
回当たり1 〜50mgの投与量あるいは入浴剤においては 1
〜 500mg/lの濃度で一日あたり10〜30分入浴するのが適
当である。
【0030】本発明の化粧料は、常法に従って、ローシ
ョン類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類等の皮
膚化粧料、またはヘアートニック、ヘアーローション、
ヘアークリーム、ヘアーコンディショナー、シャンプ
ー、リンス、ヘアージェル、ヘアーミスト、ヘアーフォ
ーム等の養毛化粧料の形態にすることができる。また、
界面活性剤、保湿剤、pH調整剤、増粘剤、殺菌剤、防
腐剤、角質溶解剤、抗酸化剤、香料、色素、紫外線吸収
剤、顔料、抗男性ホルモン剤等を、本発明の目的を損な
わない範囲で適宜配合することができる。
【0031】以下、試験例、実施例および比較例を挙げ
て本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は例中に記
された原料、配合比に限定されるものではない。なお、
試験例中に用いた語句の定義を記載する。
【0032】MEM培地:最少必須培地10−101
(大日本製薬社製)1袋に精製水1l加え、それぞれ終
濃度0. 1重量%ラクトアルブミン酵素水解物(シグマ
社製)、1容量%非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナ
トリウム(以上いずれも大日本製薬社製)、0. 12重
量%炭酸水素ナトリウムおよび50mg/lストレプト
マイシンを添加して調製する。
【0033】FBS:牛胎仔血清
【0034】測定用緩衝液:0.2MNaCl、5mMCaCl2、0.05
容量%Brij-35 を含有する50mMトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン(以後単にトリスと略記する)水溶液
を塩酸にて室温でpH7.5 に調整した緩衝液。
【0035】プロコラゲナーゼ産生量:本実験では、プ
ロコラゲナーゼ産生量は、トリプシンで活性化して得ら
れるコラゲナーゼ活性として定量した。
【0036】試験例−1 本実験で用いた細胞では、産生されるコラゲナーゼはそ
のままでは活性をもたないプロコラゲナーゼとして回収
されるので、プロコラゲナーゼ産生量は、トリプシンで
活性化して得られるコラゲナーゼ活性として定量した。
【0037】正常ヒト線維芽細胞株〔白人女性の皮膚よ
り採取されたDetroit-551(ATCC CCL110) 〕を10容量
%ウシ胎仔血清(以下FBSと略記)を含むMEM培地
にて1x105 個/mlに調製し、6穴プレートに2m
lずつ播種して、5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃
で培養した。
【0038】なお、MEM培地は、最少必須培地10−
101(大日本製薬社製)に、それぞれ終濃度0.1重
量%ラクトアルブミン酵素水解物(シグマ社製)、1容
量%非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム(以
上いずれも大日本製薬社製)、0.12重量%炭酸水素
ナトリウムおよび50mg/lストレプトマイシンを添
加して調製した。
【0039】コラーゲン代謝改善剤(10mMメタケイ
酸ナトリウム溶液)を、0.6 容量%FBSを添加したM
EM培地で希釈して各濃度の添加溶液とした。
【0040】24時間後培養液を吸引除去し、終濃度
0.6容量%FBSを添加したMEM培地で細胞を2回
洗浄した後、各添加溶液2mlを加え、7日間培養して
培養上清を得た。
【0041】得られた培養上清250μlに10mMト
リス塩酸緩衝液〔4℃でpH7.8に調整、1mM塩化
カルシウム、0.05容量%Brij-35 を含む〕を1.7
5ml加え、同緩衝液で平衡化した CM-セファロースCL-6
B TM(ファルマシア社製、ベッド容量0.5ml)に供
した。
【0042】次に、125mM食塩を含む同緩衝液0.
5mlにてインヒビターを除去(計4回、総量2ml)
し、500mM食塩を含む同緩衝液0.5mlにてプロ
コラゲナーゼを回収(計4回、総量2ml)し、試験液
とした。
【0043】次に、試験液50μl にトリプシン溶液(シ
グマ社製、Type 12 を測定用緩衝液にて濃度1 mg/ml に
調製)20μl を添加し、35℃にて5分間インキュベート
した後、ダイズトリプシンインヒビター溶液(メルク社
製 No.24020を測定用緩衝液にて濃度3 mg/ml に調製)
30μl を添加してトリプシンを失活させ、コラゲナーゼ
溶液を得た。
【0044】フルオレッセンイソチオシアネートで標識
されたI型コラーゲン(濃度1mg/ml のFITC- コラーゲ
ン酢酸溶液、コスモバイオ社製)を基質溶液として用
い、永井等の方法(炎症、4巻、2号、123頁、1984
年参照)に準じて上記コラゲナーゼの活性(単位/ml)
を測定した。そして、上記のトリプシン処理によりプロ
コラゲナーゼから生じるコラゲナーゼが、35℃にて1 分
間当り1 μg のI型コラーゲン(FITC- コラーゲン)を
分解する量をプロコラゲナーゼの1単位とし、プロコラ
ゲナーゼ産生量(単位/培養液ml)を求めた(この値を
Xとする)。
【0045】一方、対照試験としてメタケイ酸ナトリウ
ムの代わりに精製水を加え、上記と同様の操作によりコ
ラーゲン代謝改善剤(メタケイ酸ナトリウム溶液)を添
加しない場合のプロコラゲナーゼ産生量(単位/培養液
ml)を求めた(この値をYとする)。
【0046】次いで、これらの値から下式によりプロコ
ラゲナーゼ産生促進率を算出した。
【0047】
【0048】得られた培養上清中のプロコラゲナーゼ量
を定量した結果を表1に示した。対照(無添加)では5
8.5±7.6単位/ml(平均値±標準誤差、n=
3)に対し、メタケイ酸ナトリウム添加では用量依存的
に有意にプロコラゲナーゼの産生を促進した。
【0049】
【表1】
【0050】試験例−2 試験例−1と同様に、後記実施例2、3、4、5のコラ
ーゲン代謝改善剤を正常ヒト線維芽細胞に添加し、プロ
コラゲナーゼ産生を調べた。
【0051】得られた培養上清中のプロコラゲナーゼ量
を定量した結果を表2に示した。対照(無添加)では5
8.5±7.6単位/ml(平均値±標準誤差、n=
3)に対し、メタケイ酸関連物質添加では有意にプロコ
ラゲナーゼの産生を促進した。
【0052】
【表2】
【0053】試験例−3(美肌効果実用試験) 1)試験検体 実施例7、8、9、10および比較例2の溶液を用い
た。
【0054】2)試験方法 荒れ肌、小皺、乾燥肌等を訴える女子被験者(35〜55
才) 20名に試験検体を毎日朝夕2回、連続3ヶ月間塗
布使用させた後、皮膚の柔軟性、弾力性、皺の改善につ
いて評価させた。各項について「皮膚の柔軟性が向上し
た」、「皮膚の弾力性が向上した」、「皮膚の皺が改善
した」と回答した人数で示した。
【0055】3)試験結果 結果を表3に示した。表より明らかなように実用試験に
おいても効果が認められた。アスコルビン酸リン酸エス
テルマグネシウム塩(Asc−P)を共存させると、よ
り良い効果が得られた。
【0056】
【表3】
【0057】試験例−4(養毛効果実用試験) 1)試験検体 実施例19、20、21、22記載の養毛化粧料および
比較例3に記載のオイリーヘアートニック。
【0058】2)試験方法 30〜40代の毛成長に衰えの認められる男性被験者2
0名の頭部に毎日朝夕2回、連続6ヵ月間試料を塗布し
た後の効果を判定した。効果の判定は、育毛効果および
脱毛予防効果の各項に対して、「生毛が剛毛化した、あ
るいは生毛が増加した」、「脱毛が少なくなった」と回
答した人数で示した。
【0059】3)試験結果 結果を表4に示した。ヒト実用試験において、育毛剤効
果および脱毛予防効果が認められた。Asc−Pを共存
させると、より良い効果が得られた。
【0060】
【表4】
【0061】試験例−5 メタケイ酸ナトリウムを含む入浴剤について、実際に以
下のように入浴効果を調べた。
【0062】実施例27の入浴剤30gとその比較例4
の入浴剤0.35g、または実施例28の入浴剤33g
とその比較例5の入浴剤15.5gを、それぞれ41℃
のお湯180lに投入した。被験者10名ずつ、右足を
実施例27または28のお湯に、左足を比較例4または
5のお湯に、1日3回(朝、昼、夜)それぞれ5分、1
0日間部分浴させた。10日後前足側部皮膚表面の皮溝
状態を、拡大ビデオカメラで観察し、以下の基準で点数
をつけた。さらに、アンケートによる評価も以下の基準
でおこなった。
【0063】観察した皮丘、皮溝の状態の点数
【0064】
【表5】
【0065】アンケート評価方法
【0066】
【表6】
【0067】入浴効果を調べた結果を表7に示した。メ
タケイ酸ナトリウム(およびAsc−P)を含む入浴剤
を用いた場合、比較例と比べ、皮膚表面の皮溝状態はは
っきりしており、アンケート評価においても肌のしっと
り感が高かった。
【0068】
【表7】
【0069】実施例1 メタケイ酸ナトリウム12.2mgを、20mM塩酸溶
液9mlに溶解し、pHを1N水酸化ナトリウムで中和
後、精製水で10mlにメスアップした。それを、ポアサ
イズが0.2μmのニトロセルロース膜(アドバンテッ
ク東洋製、DISMIC-25 )で濾過滅菌し、コラーゲン代謝
改善剤とした。
【0070】実施例2メタ ケイ酸カリウム15.4mgを用いる以外は、実施
例1と同様にしてコラーゲン代謝改善剤を調製した。
【0071】実施例3 オルトケイ酸ナトリウム18.4mg、40mM塩酸溶
液9mlを用いる以外は、実施例1と同様にしてコラーゲ
ン代謝改善剤を調製した。
【0072】実施例4 水ガラス16.9mgを用いる以外は、実施例1と同様
にしてコラーゲン代謝改善剤を調製した。
【0073】実施例5 メタケイ酸ナトリウム12.2mgを20mM塩酸溶液
9mlに溶解し、pHを1N水酸化ナトリウムで中和後、
さらにAsc−P10mgを加えて精製水で10mlにメ
スアップした。それを、実施例1と同様に濾過滅菌し、
コラーゲン代謝改善剤を調製した。
【0074】実施例6メタ ケイ酸カリウム15.4mgを加える以外は、実施
例5と同様にしてコラーゲン代謝改善剤を調製した。
【0075】実施例7〜10 実施例1、2、5、6のコラーゲン代謝改善剤を、それ
ぞれ0.1重量%メチルパラベン溶液で10倍希釈し
て、実施例7、8、9、10のコラーゲン代謝改善剤を
調製した。
【0076】実施例11〜14(ローション) 実施例1、2、5、6いずれかのコラーゲン代謝改善剤
とラウリル硫酸ナトリウム、精製水を湯浴で80℃に加
温して混合し、一方サラシミツロウ、セタノール、濃グ
リセリンを80℃に加温して混合し、この混合物へ加温
したコラーゲン代謝改善剤混合物を攪拌しながら徐々に
加え、ホモジナイザー(TOKUSHUKIKAKOGYO製)で2.5 分
間激しく攪拌(2500rpm )した。攪拌しながら徐々に室
温まで冷却して、100 g中にメタケイ酸塩6mMを含む
それぞれの実施例11、12、13、14のローション
を得た。
【0077】
【表8】
【0078】実施例15〜18(クリーム) 下記の成分を約80℃で均一に混合溶解し、約80℃
で均一に混合溶解しておいた成分中に加えて乳化した
後、約50℃で均一に混合溶解しておいた成分を添加
し、約30℃まで冷却して、実施例15、16、17、
18のクリームを調製した。
【0079】
【表9】
【0080】実施例19〜22(オイリーヘアートニッ
ク) 実施例1、2、5、6いずれかのコラーゲン代謝改善剤
を、0.1重量%メチルパラベン溶液で10倍希釈し
て、1mMコラーゲン代謝改善剤を得た。この水溶液を
37.2g用い、表10の組成に従って、親水性成分と
親油性成分を混合攪拌して、実施例19、20、21、
22のオイリーヘアートニックを得た。
【0081】
【表10】
【0082】実施例23〜26(ヘアークリーム) 実施例1、2、5、6のコラーゲン代謝改善剤を含む下
記表11に示す親水性成分を、約80℃で均一に混合溶
解し、予め約80℃で均一に混合溶解しておいた親油性
成分中に加えて乳化した後、約50℃で香料成分を添加
し、約30℃になるまで攪拌を続け、実施例23、2
4、25、26のヘアークリームを調製した。
【0083】
【表11】
【0084】実施例27 下記処方の入浴剤組成物を、粉体を混合する通常の方法
で調製し、メタケイ酸ナトリウム48.95gを含む入
浴剤を100g作製した。
【0085】 メタケイ酸ナトリウム 48.95 g クエン酸1水和物 50.00 g 香料 1.00 g 有機色素 0.05 g ────────────────────────────────── 100.00 g
【0086】実施例28 下記処方の入浴剤組成物を、粉体を混合する通常の方法
で調製し、メタケイ酸ナトリウム48.95gおよびA
sc−P 11.0gを含む入浴剤を111g作製し
た。
【0087】 メタケイ酸ナトリウム 48.95 g クエン酸1水和物 50.00 g Asc−P 11.0 g 香料 1.0 g 有機色素 0.05 g ────────────────────────────────── 111 g
【0088】比較例1 20mM塩化ナトリウム溶液を作成し、それを、ポアサ
イズが0.2μmのニトロセルロース膜(アドバンテッ
ク東洋製、DISMIC-25 )で濾過滅菌し、コラーゲン代謝
改善剤に対する比較例1とした。
【0089】比較例2 比較例1を0.1重量%メチルパラベン溶液で実施例7
〜10と同様に希釈して比較例2とした。
【0090】比較例3(オイリーヘアートニック) 比較例1を10g用いる以外は、実施例19〜22と同
様にして、比較例3とした。
【0091】比較例4(入浴剤) 下記処方の入浴剤組成物を、粉体を混合する通常の方法
で調製し、比較のための入浴剤51.05gを作製し
た。
【0092】 クエン酸ナトリウム 50.00 g 香料 1.00 g 有機色素 0.05 g ──────────────────────────── 51.05 g
【0093】比較例5(入浴剤) 下記処方の入浴剤組成物を、粉体を混合する通常の方法
で調製し、比較のための入浴剤62.05gを作製し
た。
【0094】 クエン酸ナトリウム 50.00 g Asc−P 11.0 g 香料 1.00 g 有機色素 0.05 g ──────────────────────────── 62.05 g
【0095】処方例1(錠剤) メタケイ酸ナトリウム50gと下記に示す乳糖、トウモ
ロコシデンプン、結晶セルロースの混合物に、ヒドロキ
シプロピルセルロースを30gの精製水に溶解して加
え、充分練合した。
【0096】この練合物を20メッシュの篩に通して顆
粒状に造粒し乾燥した後、得られた顆粒にステアリン酸
マグネシウムを混合し、1錠200 mgに打錠し、1錠中に
有効成分としてメタケイ酸ナトリウム100mg を含有する
錠剤を得た。
【0097】 「成分」 乳 糖 10g トウモロコシデンプン 30g 結晶セルロース 8g ヒドロキシプロピルセルロース 1g ステアリン酸マグネシウム 1g ────────────────────────────────── 50g
【0098】処方例2(カプセル剤) メタケイ酸ナトリウム100 gと下記に示す乳糖、トウモ
ロコシデンプン、結晶セルロース、ステアリン酸マグネ
シウムを充分混合し、混合物の300 mgずつを2号カプセ
ルに充填して、1錠中に有効成分としてメタケイ酸ナト
リウム100mg を含有するカプセル剤を得た。
【0099】 「成分」 乳 糖 100g トウモロコシデンプン 50g 結晶セルロース 47g ステアリン酸マグネシウム 3g ────────────────────────────────── 200g
【0100】処方例3(顆粒剤) メタケイ酸ナトリウム100 gと下記に示す乳糖、トウモ
ロコシデンプンを充分混合し、ヒドロキシプロピルセル
ロースを1000gの精製水に溶解して加え、充分練合し
た。
【0101】この混合物20メッシュの篩に通して造粒
し、乾燥後整粒して、1g中に有効成分としてメタケイ
酸ナトリウム100mg を含有する顆粒剤を得た。
【0102】 「成分」 乳 糖 470g トウモロコシデンプン 400g ヒドロキシプロピルセルロース 30g ────────────────────────────────── 900g
【0103】
【発明の効果】本発明のコラーゲン代謝改善剤は、ヒト
皮膚線維芽細胞の培養系に添加すると、プロコラゲナー
ゼの産生量を促進した。また本発明の化粧料は、ヒト実
用試験において、美肌効果、育毛剤効果および脱毛予防
効果が認められた。また、本発明のコラーゲン代謝改善
剤は、組織への浸透性に有利な低分子物質であり、コラ
ーゲンの異常蓄積を伴う疾病、または老化に伴うコラー
ゲンの代謝回転の低下に対するコラーゲン代謝改善剤と
して有用であると期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 17/00 A61P 17/00 // A61K 7/00 A61K 7/00 7/48 7/48 7/50 7/50 (A61K 33/00 31:375) (A61K 33/06 31:375) (A61K 33/12 31:375) (72)発明者 石田 隆男 神奈川県小田原市寿町5丁目3番28号 鐘紡株式会社 化粧品研究所内 審査官 齋藤 恵 (56)参考文献 特開 昭63−22008(JP,A) 特開 平4−178313(JP,A) 特開 平5−935(JP,A) 特開 平5−178737(JP,A) 特開 平5−229932(JP,A) 特開 昭60−215613(JP,A) 特公 昭30−3950(JP,B1) 化学大事典編集委員会編、化学大事典 3 縮刷版 第34刷、共立出版株式会 社、1993年6月1日発行、p.301〜302 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 33/00 - 33/44 A61K 7/00 - 7/50 A61P 3/00 - 43/00 A61K 31/00 - 31/80 CA(STN) WPI(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタケイ酸、オルトケイ酸、メタ二ケイ
    酸、メタ三ケイ酸およびこれらの塩並びに水ガラスから
    なる群より選ばれるケイ酸関連物質またはその塩を含有
    することを特徴とするコラーゲン代謝改善剤。
  2. 【請求項2】 メタケイ酸、オルトケイ酸、メタ二ケイ
    酸、メタ三ケイ酸およびこれらの塩並びに水ガラスから
    なる群より選ばれるケイ酸関連物質またはその塩アス
    コルビン酸またはその誘導体を含有することを特徴と
    するコラーゲン代謝改善剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のコラーゲン代謝
    改善剤を含有することを特徴とする養毛化粧料。
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