JP3187618U - 燃焼機器用煙突 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの高騰を伴うことなく煙突高温化による燃焼・火傷事故を回避しながら、良好なドラフト機能を発揮できる燃焼機器用煙突を提供する。
【解決手段】内部に煙道を形成する鋼板製の筒状体20Aを複数本連結してなり、基端側が屋内の燃焼機器に接続され先端側が屋外に露出して配設され、燃焼機器の燃焼により発生した排気を屋外に導くための燃焼機器用の煙突において、少なくとも連結による重畳部分と壁又は屋根を貫通する部分を除く煙突周壁を構成する筒状体20Aが単層式とされ、筒状体20Aの少なくとも内周面に熱反射率が60%以上の遮熱層211が設けられており、且つ、筒状体20Aの連結部分に外部から内部への雨水の浸入又は内部から外部へのタールの漏出を阻止するための流通阻止手段である内リブ21aを備える。
【選択図】図3
【解決手段】内部に煙道を形成する鋼板製の筒状体20Aを複数本連結してなり、基端側が屋内の燃焼機器に接続され先端側が屋外に露出して配設され、燃焼機器の燃焼により発生した排気を屋外に導くための燃焼機器用の煙突において、少なくとも連結による重畳部分と壁又は屋根を貫通する部分を除く煙突周壁を構成する筒状体20Aが単層式とされ、筒状体20Aの少なくとも内周面に熱反射率が60%以上の遮熱層211が設けられており、且つ、筒状体20Aの連結部分に外部から内部への雨水の浸入又は内部から外部へのタールの漏出を阻止するための流通阻止手段である内リブ21aを備える。
【選択図】図3
Description
本考案は、燃焼機器用煙突に関し、殊に、屋内に配置したストーブ等の燃焼機器の排気を屋外に導く際に、排気の熱が煙突外周面から周囲に放出する量を適度に抑えて、煙突高温化による燃焼・火傷事故を回避しながらドラフト機能の維持を可能とした燃焼機器用煙突に関する。
ストーブのような屋内に配置される燃焼機器では、これを壁に埋設している場合を除き、その燃焼に伴う排気(燃焼ガスと煙)を屋外に導く煙突は、屋内空間経由で屋外まで延出して設けるのが一般的であり、屋内露出部分の輻射熱による暖房効果も期待している場合も多い。また、斯かる燃焼機器用の煙突では、完全横向き配置の場合を除き、高温の排気と低温の外部空気との比重差により排気が上昇することでドラフト機能が発揮され、排気がスムースに屋外に出ることにより燃焼機器の燃焼状態を良好に保つことを可能としている。
しかし、内部に煙道を形成する筒状体が薄い鋼板等で作成されて煙突周壁の遮熱性・断熱性が低い場合には、煙突外周面の過剰な高温化を招くことになり、屋内空間の露出部に人が触れることで火傷を負ったり、近接している物の炭化・燃焼を起こしたりすることがある。また、燃焼機器による排気が煙突周囲への熱放出に伴い低温化すると、煙突上部側の比重が重くなってドラフト機能が阻害され、燃焼機器の燃焼状態悪化に繋がることもある。さらに、このような排気の温度低下とドラフト機能の阻害は、煙突内壁にスス・タールが溜まりやすい状況を形成して、煙突火災の原因となるクレオソートの堆積を促進させることに繋がる。
そのため、煙突構成部品である筒状体が金属薄板等の熱伝導率の高い材料からなる場合には、これを二重にして間に空気や断熱材の層を設けて断熱性能を高めることが行われている。また、特開2006−125646号公報には、ガラスマットからなる分割可能な筒状成形品を煙突外周面にスペーサーを介して取り付ける方式の煙突用断熱カバーが提案されており、これを装着することで高い断熱性能を発揮して上述した不都合を回避可能としている。
しかしながら、前者の鋼板製筒状体を二重にした二重煙突では、筒状体を単層にしたシングル煙突の場合の約3倍の設備コストを要してしまう。また、後者の煙突用断熱カバーでは、既設の煙突に後から設けることが可能であるが、設ける際に比較的大きな手間を要することに加え、全体として二重煙突よりも設備コストが嵩む結果となる。
一方、筒状体自体に所定レベルの遮熱・断熱性能を附与して、シングル煙突でも上述した不都合を回避させることが考えられる。この場合、シングル煙突は適度な長さの筒状体を複数本連結して煙突を構成するが、その連結方式として、図15(A)に示すような一般にテーパー管と呼ばれる筒状体20Iでは、その一端に設けた小径部22を上向きにして他の筒状体20Iの大径側開口端を上から被せて挿す正挿し方式と、これとは逆に図15(B)に示すように筒状体20Iの大径側開口端を上向きにして他の筒状体20Iの小径部22を上から挿す逆挿し方式とがある。
また、図16(A)に示すような一般に拡張管と呼ばれる筒状体20Hでも、その一端に設けた大径部23を下向きにして他の筒状体20Hの小径側開口端を下から挿す正挿し方式と、これとは逆に図16(B)に示すように筒状体20Hの大径部23を上向きにして他の筒状体20Hの小径側開口端を上から挿す逆挿し方式とが周知である。
ところが、前述の正挿しタイプでは図15(A)や図16(A)に示すように、煙突内周面を伝って降りてくるタール等の液状汚れ50が、筒状体連結部分から外部に漏出して煙突外周面を汚すとともに、その下方に位置する物までも汚してしまう。一方、前述の逆挿しタイプでは、図15(B)や図16(B)に示すように煙突外周面を伝って降りてくる雨水等の水滴60が、筒状体連結部分から煙突内部に侵入して、燃焼機器の燃焼に悪影響を及ぼすことが知られている。
本考案は、上記のような問題を解決しようとするものであり、屋内に配置された燃焼機器から屋内空間を経由して屋外まで延設される燃焼機器用煙突について、コストの高騰を伴うことなく、煙突高温化による燃焼・火傷事故を回避しながら、良好なドラフト機能を発揮できるようにすることを課題とする。
そこで、本考案は、内部に煙道を形成する鋼板製の筒状体を複数本連結してなり、基端側を屋内の燃焼機器に接続され先端側を屋外に露出した状態で配設されて、燃焼機器の燃焼により発生した排気を屋外に導くための燃焼機器用煙突において、少なくとも連結による重畳部分と壁又は屋根を貫通する部分を除く部分の煙突周壁を構成する筒状体が単層式とされ、この筒状体の少なくとも内周面には熱反射率が60%以上の遮熱層が設けられており、且つ、筒状体の連結部分に外部から内部への雨水の浸入又は内部から外部へのタールの漏出を阻止するための所定の流通阻止手段を備えている、ことを特徴とするものとした。
シングル煙突を構成する鋼板製の筒状体に、所定の遮熱機能を発揮する遮熱層を設けるだけの比較的簡易な構成により、排気の熱が煙突外部に放出する量を所定レベル以下に抑えるものとして、比較的低コストで排気の過剰な温度低下を回避することができ、これに加え、筒状体連結部に液体の内外流通を阻止する流通阻止手段を設けたことで、シングル煙突であっても連結部を介した雨水の侵入やタールの漏出を回避することができる。
この場合、その筒状体は、外周面又は/及び内周面に、固化後に熱伝導率0.10W/(m・K)以下となる皮膜形成材料を用いて形成された厚さ0.2〜3.0mmの被膜が設けられたものとすれば、排気の熱が煙突外部に放出する量をさらに低下させることができ、比較的低廉なコストで排気の過剰な温度低下を確実に回避できるものとなる。
さらに、上述した燃焼機器用煙突において、その筒状体は基端側と先端側の開口端の径が異なり、大径の開口端に他の筒状体の小径の開口端側を挿入して固定する連結方式とされ、その流通阻止手段は、筒状体の大径の開口端からの所定深さ位置で内周面から内側に所定の突出高さで周方向円環状に形成された内リブであって、挿入された小径の開口端がその側面に略密着状態で当接して停止するものとされ、その内リブは、小径の開口端が当接する部分の内周面からの立ち上がり角度が45度以上であってその突出高さが挿入された小径の開口端の内周面の高さの2.0倍以上である、ことを特徴としたものとすれば、筒状体を単層にしたシングル煙突であっても、挿入された小径の開口端がその内周面よりも高い内リブの側面に密着して当接することにより、筒状体連結部を介した雨水の侵入・タールの漏出を回避しやすいものとなる。
或いは、その筒状体は基端側と先端側の開口端の径が異なり、大径の開口端に他の筒状体の小径の開口端側を挿入して固定する連結方式とされ、その流通阻止手段が、大径の開口端側で周壁を縦断面鈎状に内周面側に折り返してなる内折り返し部と、小径の開口端側で周壁を縦断面鈎状に外周面側に折り返してなる外折り返し部の組み合わせからなり、内折り返し部と外折り返し部とが互いに係合することにより、液体の内外流通を阻止しながら2本の筒状体が連結するものとしても同様である。
また或いは、その筒状体は、基端側と先端側の開口端の径が同一であって、その開口端の内径よりも外径の小さい筒状連結部材の両端側を対向した筒状体の開口端に挿入して固定する連結方式、又は先端側が開口端の内径よりも小さく基端側が開口端の外径よりも内径の大きい筒状連結部材の両端側に対向した筒状体の開口端を挿して固定する連結方式とされ、その流通阻止手段は、筒状体の基端側開口端からの所定深さ位置で内周面から内側に所定の突出高さで周方向円環状に形成された内リブであって、基端側の開口端に挿入された筒状連結部材の先端がその側面に略密着状態で当接して停止するものとされ、その内リブは、筒状連結部材の先端が当接する部分の内周面からの立ち上がり角度が45度以上であってその突出高さが挿入された筒状連結部材先端の内周面の高さの2.0倍以上である、ことを特徴としたものとすれば、上記同様に筒状体の連結部から雨水が侵入したりタールが漏出したりすることを回避しやすいものとなる。
さらにまた、上述した燃焼機器用煙突において、その皮膜形成材料は、遮熱・断熱機能を発揮する主成分としての無機素材を、皮膜形成後に40体積%以上含んだ状態となるものとすれば、薄くても堅固な皮膜を形成して煙道の過剰な狭窄化や過剰な重量増加を伴うことなく実施できるものとなる。この場合、その皮膜形成材料は、合成樹脂を主成分とした基剤に、中空又は/及び多孔性とされて遮熱・断熱機能を発揮する平均粒径2〜200μmの珪素系無機化合物の微粒子が分散状態で含まれたものとすれば、より優れた断熱効果を発揮するものとなる。
加えて、この珪素系無機化合物の微粒子を含む皮膜形成材料は、その微粒子が球状セラミックであって、その大部分が中空構造を有したマイクロバルーンからなり、且つ、合成樹脂の主成分がシリコン系樹脂であり、これを用いてなる断熱層が厚さ0.2〜3.0mmとされて、熱伝導率0.04W/(m・K)の素材による厚さ30.0mmの断熱材と同等以上の断熱性能を発揮する、ことを特徴としたものとすれば、断熱性能に加えて耐熱性能も高く排気の保温機能に一層優れたものとなり、或いは、その珪素系無機化合物の微粒子がゼオライト又は珪藻土からなるものとすれば、いずれも低コストで優れた遮熱・断熱性能を発揮するものとなる。
また加えて、上述した燃焼機器用煙突は薪ストーブ用であるものとすれば、煙突外周から放出される熱量が適度に調整されて、煙突自体が暖房機能を発揮しながら燃焼・火傷事故を回避可能なものとなり、且つ、良好な燃焼状態を維持しやすいものとなる。
シングル煙突を構成する鋼板製の筒状体に、遮熱層を設けるとともに筒状体連結部に液体の内外流通を阻止する流通阻止手段を設けた本考案によると、コストの高騰を伴うことなく、煙突高温化による燃焼・火傷事故を回避しながら、良好なドラフト機能を発揮することができるものである。
以下に、図面を参照しながら本考案を実施するための形態を説明する。尚、本考案において、熱伝導率はレーザーフラッシュ法(25℃)を用いて測定した値によるものとし、熱反射率は波長1〜5μmの赤外光に対する反射率とする。さらに、平均粒径はレーザー解析式粒度測定機から得られる重量粒度分布曲線より求められる平均粒径をいうものとする。
図1は、本考案における実施の形態である、屋根抜き式の燃焼機器用の煙突2Aの設置状態を示しており、図2は壁抜き式の燃焼機器用の煙突2Bの設置状態を示している。燃焼機器1として、例えば図のような薪ストーブが想定されるが、これに接続する煙突2Aは、連結による筒状体重畳部と屋根3の貫通部3aで筒状のカバー30で覆われている部分以外は、筒状体20Aが単層式のシングル煙突とされている。また、煙突2Bの場合も、連結による筒状体重畳部と壁4の貫通部4aで筒状のカバー31に覆われている部分以外は、煙突構成部材である筒状体20A(屈曲部を形成する筒状体23Aを含む)が単層式とされ、シングル煙突を構成している。
この煙突構成部材としての筒状体20Aは、図3の縦断面図に示すように、ステンレス等の薄板からなる鋼板を筒状に形成してなるものであり、先端側に次の筒状体20Aの基端側に挿入する部分である小径部22を有している。そして、その煙道を形成する部分の金属板210の内周面または内周面・外周面の両方に、厚さ0.2〜3.0mmで熱反射率が60%以上の遮熱層211が設けられている点を特徴としている。
尚、この遮熱層211は、固化後に0.10W/(m・K)以下となる皮膜形成材料を用いて形成され所定レベル以上の断熱機能を発揮する断熱層を兼ねたものであることが、排気の保温機能及び火傷の防止機能等の観点から好ましい。また、この筒状体20Aを構成する鋼板としては、例えば表面が鏡面状とされたステンレス鋼板等、その材料自体で熱反射率に優れて所定レベル以上の遮熱機能を発揮するものを使用すれば、反射する波長の違う部分で遮熱層211との相加効果が期待できるものとなる。
筒状体20Aを上記のような構成としたことで、比較的簡易な構成により排気の熱が煙突外部に放出される量を軽減して、低コストで煙突の断熱性を確保することができ、排気の過剰な温度低下を回避可能としてドラフト機能を良好に維持しながら、煙突高温化による燃焼・火傷事故を回避可能なものとしている。尚、熱反射率は確実な遮熱機能確保の観点から80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましいが、熱反射率95%以上を実現する遮熱・断熱塗料が実際に利用可能である。
この遮熱層211は、前述したようにその形成に用いる膜形成材料として固化後に熱伝導率0.10W/(m・K)以下となるものを用いることが推奨されるが、遮熱機能に加えて断熱機能により熱伝導を遮断して外周面温度の過剰な上昇を抑える観点から、熱伝導率0.05W/(m・K)以下であることが好ましい。この皮膜形成材料として、遮熱・断熱機能を発揮する主成分としての無機素材を、皮膜形成後に40体積%以上含んだ状態となるものを用いることにより、遮熱層211を薄くしても堅固な皮膜を形成することができ、煙道の過剰な狭窄化や過剰な重量増加を伴うことなく実施できるものとなる。
また、このような条件を満たす皮膜形成材料のうち、合成樹脂を主成分とした基剤に、中空/又は及び多孔性とされて高度な遮熱機能を発揮することに加え高度な断熱機能を発揮する平均粒径2〜200μmの珪素系無機化合物の微粒子が分散状態で含まれたものが良好な遮熱・断熱機能確保の観点から推奨され、特に、その珪素系無機化合物の微粒子が球状セラミックであって大部分が中空構造のマイクロバルーンからなるものが、特に遮熱・断熱機能に優れている。
さらに、この珪素系無機化合物としては、マイクロバルーンを用いた皮膜形成材料のうち、合成樹脂の主成分として耐熱性に優れたシリコン系樹脂を用いたものが、高温に曝されやすい燃焼機器の煙突に用いる観点で優れている。このような皮膜形成材料は、近年では断熱性塗料として市販されており、乾燥・固化状態でマイクロバルーンを50体積%以上含有し、0.2〜3.0mmの厚さで熱伝導率0.04W/(m・K)の素材による厚さ30.0mm〜100.0mmの断熱材と同等以上の断熱性能を発揮するものが知られている。或いは、珪素系無機化合物の微粒子がマイクロバルーンではなく、ゼオライトや珪藻土からなるものを用いてもよく、この場合は遮熱性能とともにコスト面、耐熱性の面でも優れたものとなる。
図3における2つの円中拡大部分図では、耐熱性能に優れた所定の合成樹脂の基剤214中に分散した珪素系無機化合物の微粒子215が、セラミックのマイクロバルーンとされた一例を示しており、且つ、遮熱層211が、筒状体20Aを構成する金属板210の内周面または内周面・外周面の両方にプライマ層212を介して設けられた例を示している。しかし、遮熱・断熱機能による充分な排気の保温効果・煙突高温化防止効果が確保される限りにおいては、遮熱層211は、ゼオライトや珪藻土等の微粒子が分散したものでもよく、或いは、他の無機素材を皮膜形成後に40体積%以上含んだものであってもよい。
このように、煙突構成部材としての筒状体20Aに、所定レベルの遮熱・断熱機能を発揮する遮熱層211を設けてなるシングル煙突とした本実施の形態の煙突2Aでは、設備コストを低廉に抑えることを可能としながら、燃焼機器1の燃焼による高温の排気が煙突外部に過剰に熱を奪われることが回避され、確実にドラフト機能を発揮して良好な燃焼状態を維持しやすいものとなる。また、これにより、筒状体20Aの表面温度は過剰に上昇することがなく、手で触った場合でも火傷の畏れが殆どなくなり、また、煙突周囲への輻射熱も適度なものとなって、近接した位置にある物の燃焼・炭化を招きにくいものとなる。
以上の特徴部分に加え、本実施の形態の煙突2Aを構成する筒状体20Aは、縦列した筒状体20A,20Aの基端側と先端側とを連結する連結部分に、外部から内部への雨水の浸入又は内部から外部へのタールの漏出を阻止する流通阻止手段として、内周面側に突出した円環状の内リブ21aを備えている点も特徴となっている。
即ち、従来例において、ドラフト機能を維持しながら燃焼・火傷事故等を回避する目的で二重煙突にした場合には、筒状体連結部分での雨水の浸入・タールの漏出は問題とならなかったが、低コスト化実現のために上記のようにシングル煙突とした場合には、図15、図16に示したように筒状体連結部分での雨水の浸入・タールの漏出が問題となるため、以下に詳述する流通阻止手段を設けてこの問題を解決したものである。
図4は、このような目的のために設けられた流通阻止手段としての内リブ21aの構成と機能を説明するためのものであり、テーパー管タイプの筒状体20Aを正挿しで連結した場合を示している。小径部22を上向きにした筒状体20Aに、次の筒状体20Aを小径部22の外径よりも内径が大きい基端側の開口端を上から被せるように挿すと、所定深さ位置で内周面から内側に円環状に突出した内リブ21aの側面(下面)に小径部22の開口端が当接し、内リブ21aが挿入時のストッパとして機能する。
そして、この内リブ21aは、円中の拡大部分図に示すように、その突出高さが挿入した小径部22の内周面の高さよりも2.0倍以上高くなっており、且つ、小径部22開口端が内リブ21aの側面に当接する部分の内周面からの立ち上がり角度が45度以上とされている関係で密着した状態で当接するため、小径部22外周面と内リブ21aよりも下側の筒状体20A内周面との間にタールが侵入しにくくなり、タールが外部へ殆ど漏出しないものとなっている。また、この内リブ21aの存在により筒状体20の横断面形状の真円度が維持されやすくなって、連結部分に隙間が生じにくくなるために液体流通阻止効果が一層確実なものとなっている。
一方、図5は、一方の開口端を拡大して大径部23とした拡張管タイプの筒状体20Bにおける内リブ21bの構成と機能を説明するためのものであり、小径側開口端を上向きにした筒状体20Bの上から、次の筒状体20Bの大径部23を被せるように挿し、正挿し方式で連結した状態を示している。この筒状体20Bは、開口端からの所定深さ位置で大径部23が終わる部分に内リブ21bが設けられており、この内リブ21bも前述の内リブ21aと同様にその突出高さが挿入した開口端の内周面よりも2.0倍以上高く、その当接部分の立ち上がり角度が45度以上となっているため、前述と同様の機能を発揮するようになっている。
一方、図6は、この筒状体20Bを逆挿し方式で連結した場合を示しており、例えば室内など上から雨水が浸入する畏れのない状況において、タールの漏出をより確実に回避したい場合等に好適である。この場合は、大径部23を上向きにした筒状体20Bに、次の筒状体20Bの小径側開口端を上から挿入するが、小径側開口端は大径部23が終わる深さ位置で内周面から内側に突出した内リブ21b側面(上面)に当接し、前述と同様の機能が発揮される。
図7〜図10は、基端側と先端側の開口端の径が同一とされたいわゆる寸胴管タイプの筒状体20Dを連結する場合を説明するためのものであり、図7は、鋼板を筒状に形成して筒状体20Dの内径よりも僅かに小さい外径とされた筒状連結部材30を連結部分に挿入・介装して、筒状体20D,20Dを連結する場合を示しているが、筒状体20Dは基端側の開口端から所定深さ位置に前述した内リブ21aと同様の構成の内リブ21cが形成されている点が特徴となっている。
図7(A)に示す筒状連結部材30は、その中途位置から周方向に外周面から円環状に内側に突出した外リブ30aを備えているが、これは筒状体20D,20Dのストッパとして機能するものである。そして、図7(B)に示すように連結状態で筒状連結部材30の先端が筒状体20Dの内リブ21cに当接するようになっており、前述した内リブ21aの場合と同様の機能を発揮する。
図8(A)に示す筒状連結部材31は、その中途位置から周方向に沿って外周面から円環状に外側に突出した隔壁31aを備えている。この隔壁31aも前述の筒状連結部材30の外リブ30aと同様のストッパ機能を発揮するが、上向きの開口端との密着度が高い分、外リブ30aよりも外部からの雨水の浸入阻止機能が高くなっている。
図9は、図8の筒状連結部材31の応用例としての筒状連結部材32を用いた場合を示しており、その隔壁32aは水平方向の円環部311までは筒状連結部材31と同様であるが、図9(B)に示すように、その円環部311の周縁側から下方向に延びて、下側の筒状体20Dの外周面に沿う周方向の帯状部312を形成しており、内リブ21cによるタールの漏出防止機能とともに、連結部の上方から筒状体20D外周面を伝って降りてくる雨水が煙突内部に侵入するのを確実に回避可能としている。
図10は、前述の筒状連結部材32の応用例としての筒状連結部材33を用いた場合を示しており、筒状連結部材32の隔壁32aの帯状部312をさらに下方向に延長した外筒33aとして、下から筒状部材20D先端側を挿入可能としながら内筒を省略したものであって、筒状連結部材32と同様の機能を発揮するものであるが、筒状連結部材32よりも作成しやすい形状となっている。
図11は、図5に示した拡張管タイプの筒状体20Bの応用例であって、大径の開口端側に設けた内折り返し部24aと、小径の開口端側に設けた外折り返し部24bの組み合わせからなる流通阻止手段を設けた筒状体20G,20Gによる連結部分の縦断面図を示しており、その内折り返し部24aは大径の開口端側で鋼板製の周壁を縦断面鈎状となるように内周面側に折り返して形成され、外折り返し部24bは小径の開口端側で鋼板製の周壁を縦断面鈎状となるように外周面側に折り返して形成されている。
そして、図のように筒状体20G基端側の大径の開口端に、他の筒状体20G先端側の小径の開口端を下から挿入して、内折り返し部24aと外折り返し部24bの鈎状構造を互いに係合させることにより、内周面を伝うタールや外周面を伝う雨水の内外流通を確実に阻止可能としながら、両筒状体20G,20Gを堅固に連結することができる。この場合、その係合部分を内外から圧迫変形させてカシメ式に固定してもよい。また、内折り返し部と外折り返し部による流通阻止手段で筒状体を連結するものであれば、図11の筒状体20Gが上下逆になる逆挿し方式や、筒状体を拡張管ではなくテーパー管にした場合でも前記同様の機能を発揮するものとなる。
図12(A)は図4のテーパー管タイプの筒状体20Aの応用例であり、内周面からの立ち上り角度が90度を超えて折り返し状とされた内リブ24cを設けた筒状体20Jの連結状態を示す縦断面図であり、図12(B)は図5の拡張管タイプの筒状体20Bの応用例であり、内周面からの立ち上り角度が90度を超えて折り返し状とされた内リブ24dを設けた筒状体20Kの連結状態を示す縦断面図である。このように内リブを折り返し状にしてその鋭角部に他の筒状体の開口端を挿入・当接させて挟み込むことで、連結状態が堅固になるとともに一層確実な液体の流通阻止機能を発揮するものとなる。
尚、近年の鋼板成形技術では、ロール状の鋼板である源単から筒状体を成形する際に、図11,12に示した筒状体20G,20J,20Kのように周壁を鋭角的に折り返して折り返し部や内リブを形成することは比較的容易なものとなっている。
図13は、上述した内リブ21a,21b,21cの形状における応用例を示すものであり、図13(A)に示すように、断面三角形状に突出した内リブ21d(斜辺立ち上がり角度45度以上)としたり、図13(B)に示すように断面台形状に突出した内リブ21e(側面立ち上がり角度45度以上)としても、上述した内リブ21a,21b,21cと同様の機能を発揮するものとなり、さらに、図13(C),(D)に示すように挿入した開口端が当接する面を直角にした内リブ21f,21gとしたり、図12(E),(F)に示すように挿入した開口端が当接する面を鋭角(内周面からの立ち上がり角度90度超)にした内リブ21h,21iとしてもよく、これにより液体の内外流通阻止機能が一層優れたものとなる。
図14(A)は、図15に記載した従来のテーパー管タイプの筒状体20Gを正挿し方式で連結する場合に、流通阻止手段としての液体誘導部材25を設けてなる筒状体20Eを示しており、図14(B)は、図16に記載した従来の拡張管タイプの筒状体20Hを逆挿し方式で連結する場合に、流通阻止手段としての液体誘導部材26を設けてなる筒状体20Fを示しており、このようにしてもタールの漏出や雨水の浸入を回避することが可能となる。
尚、上述した筒状体20D,20E,20F,20G,20J,20Kも、前述した筒状体20A,20Bと同様に各々遮熱層211を備えていることを前提としているのは言うまでもない。また、これら筒状体の内周側最上面(遮熱層211を内周面に設けている場合はさらにその上面)に、多孔質の基剤中に所定の触媒を分散してなり、付着したタール、油脂、汚れ等の有機成分を分解して水と炭酸ガスにする、いわゆるセルフクリーニング塗料を塗布してなるセルフクリーニング層を設ければ、内周面に付着するタールの量を一層減らすことができる。
以上、述べたように、屋内に配置された燃焼機器から屋内空間を経由して屋外まで延設された燃焼機器用煙突について、本考案により、筒状体連結部を介した雨水の浸入やタールの漏出を伴うことがなく、また、低コストで煙突高温化による燃焼・火傷事故を回避しながら良好なドラフト機能を発揮できるものとなった。
1 燃焼機器、2A,2B 燃焼機器用煙突、20A,20B,20D,20E,20F,20G,20J,20K 筒状体、21a,21b,21c,21d,21e,24c,24d 内リブ、22 小径部、23 大径部、24a 内折り返し部,24b 外折り返し部、25,26 液体誘導部材、30,31,32,33 筒状連結部材、30a 外リブ、31a,32a 隔壁、33a 外筒、50 液状汚れ、60 水滴、211 遮熱層、214 基剤、215 微粒子
Claims (10)
- 内部に煙道を形成する鋼板製の筒状体を複数本連結してなり、基端側を屋内の燃焼機器に接続され先端側を屋外に露出した状態で配設されて、前記燃焼機器の燃焼により発生した排気を屋外に導くための燃焼機器用煙突において、少なくとも連結による重畳部分及び壁又は屋根を貫通する部分を除く煙突周壁を構成する前記筒状体が単層式とされ、該筒状体の少なくとも内周面には熱反射率が60%以上の遮熱層が設けられており、且つ、前記筒状体の連結部分に外部から内部への雨水の浸入又は内部から外部へのタールの漏出を阻止するための所定の流通阻止手段を備えている、ことを特徴とした燃焼機器用煙突。
- 前記筒状体は、外周面又は/及び内周面に、固化後に熱伝導率0.10W/(m・K)以下となる皮膜形成材料を用いて形成された厚さ0.2〜3.0mmの皮膜が設けられている、ことを特徴とした請求項1に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記筒状体は、基端側と先端側の開口端の径が異なり、大径の前記開口端に他の前記筒状体の小径の前記開口端側を挿入して固定する連結方式とされ、前記流通阻止手段は、前記大径の開口端からの所定深さ位置で内周面から内側に所定の突出高さで周方向円環状に形成された内リブであって、挿入された前記小径の開口端が前記内リブ側面に略密着状態で当接して停止するものとされ、前記内リブは、前記小径の開口端が当接する部分の前記内周面からの立ち上がり角度が45度以上であって前記突出高さが挿入された前記小径の開口端の内周面の高さの2.0倍以上である、ことを特徴とした請求項1または2に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記筒状体は、基端側と先端側の開口端の径が異なり、大径の前記開口端に他の前記筒状体の小径の前記開口端側を挿入して固定する連結方式とされ、前記流通阻止手段は、前記大径の開口端側で周壁を縦断面鈎状に内周面側に折り返してなる内折り返し部と、前記小径の開口端側で周壁を縦断面鈎状に外周面側に折り返してなる外折り返し部の組み合わせからなり、内折り返し部と外折り返し部とが互いに係合することにより液体の内外流通を阻止しながら2本の前記筒状体が連結する、ことを特徴とした請求項1または2に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記筒状体は、基端側と先端側の開口端の径が同一であって、該開口端の内径よりも外径の小さい筒状連結部材の両端側を対向した前記筒状体の開口端に挿入して固定する連結方式、又は先端側が前記開口端の内径よりも小さく基端側が前記開口端の外径よりも内径の大きい筒状連結部材の両端側に対向した前記開口端を挿して固定する連結方式とされ、前記流通阻止手段は、前記筒状体の基端側開口端からの所定深さ位置で内周面から内側に所定の突出高さで周方向円環状に形成された内リブであって、前記基端側開口端に挿入された前記筒状連結部材の先端が前記内リブの側面に略密着状態で当接して停止するものとされ、前記内リブは、前記筒状連結部材の先端が当接する部分の前記内周面からの立ち上がり角度が45度以上であって前記突出高さが挿入された前記筒状連結部材先端の内周面の高さの2.0倍以上である、ことを特徴とした請求項1または2に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記皮膜形成材料は、遮熱・断熱機能を発揮する主成分としての無機素材を皮膜形成後に40体積%以上含んだ状態となるものである、ことを特徴とした請求項1,2,3,4または5に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記皮膜形成材料は、合成樹脂を主成分とした基剤に、中空又は/及び多孔性とされて遮熱・断熱機能を発揮する平均粒径2〜200μmの珪素系無機化合物の微粒子が分散状態で含まれたものである、ことを特徴とした請求項6に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記皮膜形成材料は、前記珪素系無機化合物の微粒子が球状セラミックであって、その大部分が中空構造を有したマイクロバルーンからなり、且つ、前記合成樹脂の主成分がシリコン系樹脂であり、該皮膜形成材料を用いてなる前記断熱層が厚さ0.2〜3.0mmとされて、熱伝導率0.04W/(m・K)の素材による厚さ30.0mmの断熱材と同等以上の断熱性能を発揮する、ことを特徴とした請求項7に記載した燃焼機器用煙突。
- 前記皮膜形成材料は、前記珪素系無機化合物の微粒子がゼオライト又は珪藻土からなる、ことを特徴とした請求項7に記載した燃焼機器用煙突。
- 薪ストーブ用であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載した燃焼機器用煙突。
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JP2013005537U Expired - Lifetime JP3187618U (ja) | 2013-09-26 | 2013-09-26 | 燃焼機器用煙突 |
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JP (1) | JP3187618U (ja) |
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