JP3187541B2 - 排気ガス測定装置の診断方法 - Google Patents

排気ガス測定装置の診断方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の排気ガ
スのサンプルを採り出して分析するような排気ガス測定
装置のサンプルの採取効率を確認する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車の排気ガスの汚染濃
度を検査するような排気ガス測定において、定容量サン
プリング法のように希釈した排気ガスの一部を採取して
分析するような方法が知られている。すなわち、この方
法は排気ガス中の汚染物質の濃度を走行距離あたりの重
量に換算するため希釈空気によって排気ガスを希釈し、
その一部をバッグ内に採り出してガス分析するものであ
る。ところで、かかる測定装置において、測定精度を上
げるためには排気ガスの総量とサンプリングした採取量
との関係が一定関係に保たれることが肝要であり、この
ためサンプルとして採り出す際の採取効率を時々検査す
る必要があった。そして、従来では例えばホルムアルデ
ヒドを排気ガス測定装置内に導入して採取効率を確認す
るような方法が知られている。すなわち、排気ガス測定
装置内に導いたホルムアルデヒドを希釈するとともに、
装置内から希釈流のサンプルを採り出し、このサンプル
を分析することによって採取効率を診断するというもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のように
ホルムアルデヒドを使用して診断する場合は、サンプル
として補集したホルムアルデヒド中に他の成分が混入し
やすいため、他の成分と分離させるために特別の装置等
が必要となり、高価な装置を使用して複雑な手順を踏む
必要があった。又、ホルムアルデヒドは人体に有害であ
り、作業に従事する作業員に悪影響を与えるといった作
業環境の問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明はケトン類の低沸点液状物を気化させて排気
ガス測定装置内に導入して希釈するとともにこの希釈流
を補集し、前記低沸点液状物の総排出量と補集された低
沸点液状物の量を比較して補集率を求め、この補集率か
らサンプルの採取効率を診断するようにした。
【0005】
【作用】ケトン類の低沸点液状物を気化させ排気ガス測
定装置に導入し、採取状況を診断する。つまり、低沸点
液状物の総排出量と補集量を測定することで、補集率を
求め、この補集率と、流路断面積等に基づく計算上の採
取効率を比較して装置の採取効率が正常であるか異常で
あるかを判断する。この際、ケトン類の低沸点液状物を
使用することで、人体に対する悪影響はなく、しかも補
集した低沸点液状物の量の分析が容易である。
【0006】
【実施例】本発明の排気ガスの診断方法の実施例につい
て、添付した図面に基づき説明する。図1は排気ガス測
定装置の一部と診断装置を示す概要図、図2は診断装置
の一部拡大図である。
【0007】排出ガスの試験法である定容量サンプリン
グ法は排出ガスを空気で希釈し、混合流が一定流量にな
るようにした後、その一部を採取してガス成分を分析す
る方法であるが、図1に示すように構成される。
【0008】すなわち、排気ガス測定装置50は、自動
車のテールパイプに連結されるガス導入部51と、フィ
ルター52を介して大気を導入する大気導入部53を有
する流路管54を備えるとともに、この流路管54のガ
スと大気が混合する接合部55の下流には臨界流量ベン
チュリー部56を備えている。
【0009】そして、この臨界流量ベンチュリー部56
の更に下流には、ブロア57が設けられ、前記ガス導入
部51、大気導入部53からガス或いは空気を吸引する
ようにしている。
【0010】ところで、前記接合部55と臨界流量ベン
チュリー部56との間には、流路管54の径に較べて細
径の採取ダクト58を臨ませている。
【0011】すなわち、この採取ダクト58は、ガスと
空気の混合によって希釈された希釈流を一定量採取する
ためのものであり、下流に接続するテドラーバッグ59
内に溜め込むようにしている。そして、この採取したサ
ンプルを分析計で分析する。
【0012】因みに、臨界流量ベンチュリー部56で流
路を狭めているのは、流速を高速にすることで流量を安
定させるためのものであり、ブロア57の回転数を変化
させても流量補正の必要がないようにしたものである。
【0013】本発明の診断装置は、以上のような排気ガ
ス測定装置50のサンプルの採取効率を診断するために
設けられ、図1に示すような低融点発生ユニットとして
のアセトン発生装置1と、補集ユニットとしてのカルボ
ニル類補集装置20を備えている。
【0014】そして、アセトン発生装置1によって、例
えばケトン類の低融点液状物の1実施例であるアセトン
を気化させ、気化したアセトン蒸気をガス導入部51か
ら導入して希釈するとともに、希釈流の一部をカルボニ
ル類補集装置20で補集し、後述する要領で補集率を求
めるようにしている。尚、かかるケトン類の低融点液状
物の他の例としては、例えばメチルエチルケトン、或い
はジエチルケトン等が考えられる。
【0015】アセトン発生装置1は、図2に示すよう
に、純度の高いアセトン2を収納するアセトン容器3
と、このアセトン容器3の周囲を覆うヒータ4と、アセ
トン2の温度を測定する温度センサ5を備え、この温度
センサ5は電気信号に変換するカプラ6を介して温度調
整計7に接続されている。そして、この温度調整計7は
前記ヒータ4にも接続されている。
【0016】そして、この温度調整計7によってアセト
ン2の温度を一定の温度に保持し、アセトン2を気化さ
せるが、かかるアセトン2の沸点は56.5℃であり低
い沸点である。尚、この温度調整計7の電源は一般用の
AC100Vである。
【0017】又、このアセトン容器3には、アセトン放
出チューブ8と窒素導入チューブ9が接続している。
【0018】すなわち、アセトン放出チューブ8は、前
記ガス導入部51に接続されてアセトン容器3と排出ガ
ス測定装置50内を連通せしめるものであり、通路の途
中に小型コック10を備えている。
【0019】窒素導入チューブ9は、アセトン蒸気を排
出ガス測定装置50に向けて送り込むためのものであ
り、一方弁11を介してアセトン容器3に接続されると
ともに、流量計12、圧力調整器13を介して上流側の
窒素ボンベ14に接続されている。
【0020】そして、この窒素ボンベ14内の加圧され
た窒素ガスを圧力調整器13の操作によってアセトン容
器3内に導き、該アセトン容器3内で発生するアセトン
蒸気をガス導入部51に向けて送給する。
【0021】次にカルボニル類補集装置20は、図1に
示すように、採取ダクト58の近傍に配設した補集ダク
ト21と、この補集ダクト21の流路下流に直列に接続
する一対のインピンジャー22、23と、その下流のポ
ンプ24を備え、実施例の場合、前記補集ダクト21の
補集口21aの開口面積は、採取ダクト58の採取口5
8aの開口面積と同一としている。
【0022】又、インピンジャー22、23内にはアセ
トニトリルを収納しており、アセトン蒸気はこのアセト
ニトリルを通る際に補集される。つまり、試験後この試
料を不図示の分析器で分析することで、捕捉されたアセ
トンの重量を求めることが出来る。
【0023】以上のように構成した診断装置の診断方法
について説明する。
【0024】排気ガス測定装置の採取機能を確認する場
合、図1に示すように、アセトン発生装置1のアセトン
放出チューブ8を排気ガス測定装置50のガス導入部5
1に接続し、又、カルボニル類補集装置20の補集ダク
ト21の補集口21aを、流路管54内の採取ダクト5
8側の採取口58aの近傍に臨ませておく。
【0025】かかる状態で、図2のアセトン発生装置1
のアセトン容器3をヒータ4で加熱し、温度調整計7に
よってアセトン2を所定温度に維持する。このため、ア
セトン2の一部が気化してアセトン蒸気となる。
【0026】又、アセトン蒸気をガス導入部51に向け
て送給するため、窒素ボンベ14から窒素ガスを送り込
む。このため、アセトン容器3内のアセトン蒸気は、こ
の窒素ガスによってアセトン放出チューブ8を介してガ
ス導入部51から測定装置50内に流入する。
【0027】そして、このアセトン蒸気は流路管54内
に入ると大気導入部53から導入される空気によって希
釈され希釈流となり、この希釈流の一部が補集ダクト2
1から補集され、一部が採取ダクト58からテドラーバ
ッグ59内に流入する。
【0028】そして、補集ダクト21から入った希釈流
はインピンジャー22、23内を通過し、この際、アセ
トン蒸気が補集される。因みに、インピンジャー22、
23を直列に併設しているのは、アセトン蒸気を確実に
捕捉するためである。
【0029】そして、分析器によってインピンジャー2
2、23によって捕捉されたアセトンの量を計測すると
ともに、別途テドラーバッグ59内のアセトンの量も測
定して、補集ダクト21及び採取ダクト58の両者から
採取した採取アセトンの合計を求める。
【0030】一方、アセトン容器3の方は、試験前の重
量と試験後の重量を比較すれば、実際に排出したアセト
ンの総排出量が求められ、この総排出量と前記採取アセ
トンの量を比較すれば補集率%が求まる。すなわち、 補集率(%)=[採取アセトンの量/アセトンの総排出
量]×100 で表わされる。
【0031】そして、この補集率が所定の値、例えば流
路管54の断面積と、採取口58aと補集口21aを合
せた開口断面積の比率と一定関係にあれば、排気ガス測
定装置50に流路管54等の破損、詰り等の不具合がな
いことが確認出来る。つまり、排気ガス測定装置50の
サンプル採取効率の良否が判断出来る。
【0032】又、かかるアセトンは人体に無害であり、
作業者に対する悪影響もない。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の排気ガス測定装
置の診断方法は、ケトン類の低沸点液状物を使用して補
集率を求めるようにしたため、補集が極めて簡単であ
り、又、補集率が高いため測定精度も安定したものとな
る。そして、かかるケトン類の低沸点液状物は一般に人
体に無害であり、作業者に対して悪影響を与えることも
ない。しかも、ケトン類の低沸点液状物を気化させるた
めの装置は安価であり、手軽に構成出来るという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】排気ガス測定装置の一部と診断装置を示す概要
【図2】診断装置の一部拡大図
【符号の説明】
1 アセトン発生装置 20 カルボニル類補集装置 50 排気ガス測定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 1/22 G01N 1/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気ガスのサンプルからガス分析するよ
    うな排気ガス測定装置のサンプル採取効率を診断する診
    断方法において、この方法は、ケトン類の低沸点液状物
    を気化させて前記排気ガス測定装置内に導入し、これを
    希釈した後その希釈流の一部を補集し、前記低沸点液状
    物の総排出量と補集された低沸点液状物の量を比較して
    補集率を求め、この補集率から前記サンプルの採取効率
    を診断するようにしたことを特徴とする排気ガス測定装
    置の診断方法。
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FR2780507B1 (fr) * 1998-06-26 2000-09-01 Inst Francais Du Petrole Systeme de prelevement de polluants specifiques contenus dans des gaz d'echappement dilues issus de machines thermiques
JP4497131B2 (ja) * 2006-06-13 2010-07-07 株式会社豊田中央研究所 生体性物質の酸化装置及び生体性物質酸化測定方法

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