JP3187475B2 - 強圧把持装置 - Google Patents

強圧把持装置

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五男 多川
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三五重機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば鉄筋コンクリー
ト等の構築物を破砕するためのカッターやクラッシャー
等の破砕装置、および、グローブ等に利用される強圧把
持装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】破砕装置やグローブ等における強圧破壊
の分野で利用される把持装置として、復動型の油圧シリ
ンダを用いてアームを開閉駆動するようにしたものが既
に公知である。
【0003】図4は復動型の油圧シリンダを用いた従来
型の強圧把持装置の構成を示す図で、一対のアーム1,
1′が中間支軸部の軸4,4′を介して側板3,3′の
両側に枢着されると共に、アーム1,1′を開閉駆動す
る復動型の油圧シリンダ2がアーム1,1′の後端部に
連結され、側板3,3′間のストッパ5,5′により、
完全開放位置および完全閉鎖位置においてのみ、中心軸
X−X′に対するアーム1,1′の開閉角度の対称性が
保証されるようになっている。
【0004】強圧力を必要とされる把持装置において
は、アーム1,1′を単純に開閉駆動するだけでなく、
中心軸X−X′上の位置で適確に作業対象を挟持して、
把持装置の本体に無用の応力が作用するのを防止する必
要があるが、従来型の強圧把持装置では油圧シリンダ2
が側板3,3′に対して完全にフリーな状態で取り付け
られていたため、アーム1,1′を中途半端に開いた状
態、即ち、アーム1,1′がストッパ5および5′から
離間した状態では、該アーム1,1′が係動して揺動自
在となり、この状態で把持装置の姿勢を変化させると、
アーム1,1′および油圧シリンダ2の重量と破砕装置
の姿勢変化とによって軸4,4′の周りの回転モーメン
トが変化し、アーム1,1′の揺動角度が様々に変化す
るため、中心軸X−X′に対するアーム1,1′の開閉
角度に偏りが生じ易いといった問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような問題に鑑
み、本願発明者は、油圧シリンダ2のシリンダボトムと
アーム1との連絡部6がアーム開閉時になぞる移動軌跡
と同形状のガイド溝7を側板3,3′に形成すると共
に、油圧シリンダ2のシリンダ8にトラニオンピン9を
突設してガイド溝7と摺動自在に係合させた図5のよう
な破砕装置を特公平3−36382号として既に提案し
ている。この発明は、中心軸X−X′に対するアーム
1,1′の開閉角度の対称性を低負荷状態において維持
することに関して充分な成功を収め、所望の開閉角度で
作業対象にアプローチして適確な位置で把持動作を行う
ことを可能としたが、作業対象を強圧把持した状態で一
方のアーム1または1′のみに強い力が作用するとトラ
ニオンピン9とガイド溝7との摺接部に強力な圧接力が
作用するため、トラニオンピン9の摺動動作が疎外され
てシリンダボトム側のアーム1に充分な駆動力が伝達さ
れなくなり、油圧シリンダが傾いてアーム1′のみが偏
って開閉する場合があった。また、ガイド溝7を円弧状
に形成しなければならず、加工が困難でコスト高となる
欠点があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、各アームに作用
する負荷が増大しても、中心軸に対するアーム開閉角度
の対称性を維持することのできる強圧把持装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の強圧把持装置
は、前記目的を達成するため、中心軸に対する各アーム
の開閉角度が対称となるように一対のアームを開閉動作
させたときにシリンダ上の特定点が通る移動軌跡に沿っ
て側板に矩形状のガイド溝を形成すると共に、シリンダ
の特定点の近傍には、油圧シリンダを側板の中心軸と直
交させた状態で相互に離間して側板のガイド溝と一定の
間隙を有して摺動自在に係合する2つのトラニオンピン
を突設したことを特徴とする構成を有する。
【0008】
【作用】シリンダに突設された2つのトラニオンピンと
側板のガイド溝との係合関係により、油圧シリンダと側
板の中心軸とのなす角が常に直角に規制される。ピスト
ンロッドを伸縮させるとピストンロッド側のアームが閉
開し、ピストンロッドとピストンロッド側のアームとの
連結部の位置が変化する。ピストンロッドとピストンロ
ッド側のアームとの連結部の移動により、油圧シリンダ
が側板の中心軸との直交状態を保ったまま側板のガイド
溝に沿って同時に移動する。アームを対称に開閉動作さ
せたときと略同様の軌跡に沿って移動するシリンダボト
ムがもう一方のアームをピストンロッド側のアームと対
称に閉開し、側板の中心軸に対する両アームの開閉角度
を中心軸に対し略対称に保持する。また、一方のアーム
に強い力が作用した場合でもトラニオンピンとガイド溝
との間の圧接力が2つのトラニオンピンによって分散さ
れるので、油圧シリンダの摺動動作は円滑であり、油圧
シリンダの傾きが防止されて、シリンダボトム側のアー
ムが確実に動作する。
【0009】
【実施例】以下、図1乃至図3を参照して本発明の実施
例を説明する。
【0010】図中1,1′は先端部に破砕刃10,1
0′を有して側板3,3′に軸4,4′を介して中間部
に設けられた支軸部を枢着させた一対のアームであり、
破砕刃は例えばアーム1,1′の先端部に対向配置した
一対の圧壊刃11,11′とアーム1,1′の支軸部側
に対向配置した一対の剪断刃20,20′とを備えてい
る。そして、側板3,3′間には、側板3,3′の中心
軸X−X′と直交する復動型の油圧シリンダ2が配設さ
れ、一方のアーム1の後端部は油圧シリンダ2のシリン
ダボトムにピン12を介して枢着され、他方のアーム
1′はピストンロッド13にピン12′を介して枢着さ
れている。
【0011】そして、側板3,3′には、中心軸X−
X′に対してアーム1,1′の開閉角度が対称となるよ
うに各アーム1,1′を開閉動作させたときにシリンダ
8上の特定点Pが通る移動軌跡に沿って矩形状のガイド
溝7′,7″が対向して設けられ、ガイド溝7′,7″
には、シリンダ8上の特定点Pの近傍に突設されたトラ
ニオンピン9′,9″が余裕をもって摺動自在に嵌合し
ている。図2はガイド溝7′,7″の形状を示す図であ
り、ガイド溝7′,7″は特定点Pの移動軌跡に対して
トラニオンピン9′,9″の径と同等の幅を与えた軌跡
14の領域を包含するかたちで形成され、トラニオンピ
ン9′,9″とガイド溝7′,7″との間には一定の間
隙が形成されている。このガイド7′,7″は側板3,
3′を貫通して形成しても、また、側板3,3′の内側
に刻設してもよい。
【0012】また、側板3,3′は回動板15に固着さ
れると共に、この回動板15は支持板16に軸回りに回
動自在に取付けられている。この支持板16には作業機
のブームへの取付孔17およびブーム上に設置された油
圧シリンダのピストンロッドへの取付孔18を備えたブ
ラケット部材19が固設されている。なお、5,5′は
アーム1,1′が最大、最小に開かれた位置で当接する
ストッパーである。
【0013】前記のように構成された本発明の装置を用
いて鉄筋コンクリート構築物を破砕する動作を説明する
と、まず、油圧シリンダ2によりピストンロッド13を
縮退させ、アーム1,1′を開いた状態で、作業機(図
示しない)のブームおよび油圧シリンダを操作して、ア
ーム1,1′の圧壊刃11,11′間の中心、即ち、中
心軸X−X′上に破砕対象物を位置させる。次いで、油
圧シリンダ2によりピストンロッド13を伸長させてア
ーム1,1′を閉動作させ、圧壊刃11,11′によっ
てコンクリート構築物を押し壊すようにしてそのコンク
リート部分を破壊する。コンクリート部分が破壊される
と、内部の鉄筋が露出する。この露出した鉄筋は、再度
ピストンロッド13を縮退させてアーム1,1′を開い
て剪断刃20,20′間の中心に位置される。次いで、
ピストンロッド13を伸長動作させることによって、剪
断刃20,20′でその露出した鉄筋が切断され、鉄筋
コンクリート構築物が破砕される。
【0014】このようなアーム1,1′の閉開動作に際
し、ピストンロッド13を伸縮させると、ピストンロッ
ド13の突出量に応じてアーム1′が閉開すると共に、
ピストンロッド13とアーム1′との連結部であるピン
12′が軸4′を中心とする円弧軌跡に沿って移動す
る。同時に、油圧シリンダ2はX−X′方向におけるピ
ン12′の移動に連動して、中心軸X−X′との直交状
態を保ったまま側板3,3′のガイド溝7′,7″に沿
って移動するが、油圧シリンダ2の移動を規制するガイ
ド溝7′,7″は油圧シリンダ2を水平に保持した状態
でアーム1,1′を中心軸X−X′に対し対称に開閉動
作させたときのシリンダ8の移動軌跡に沿って形成され
ているから、シリンダボトム側のアーム1はシリンダ8
の移動位置を仲介として、中心軸X−X′に対し、常
に、アーム1′と略同等の開閉角度を維持することとな
る。
【0015】また、一方のアーム1または1′に強い力
が作用してシリンダ8がガイド溝7′,7″に押し付け
られた場合でも、ガイド溝7′,7″に対する圧接力が
片側2つのトラニオンピン9′,9″によって分散され
るのでガイド溝7′,7″に対するシリンダ8の摺動動
作が円滑になり、シリンダ8の移動動作を介してシリン
ダボトム側のアーム1に充分な開閉駆動力を伝達するこ
とができる。トラニオンピン9′,9″がシリンダ8上
に離間して設けられているため、油圧シリンダ2は側板
3,3′の中心軸X−X′に対して常に直交した状態を
維持し、図5に示される従来例のように、トラニオンピ
ンがガイド溝に食い付いたまま油圧シリンダに傾きが生
じたり、また、傾きが生じた状態のままピストンロッド
が突出してピストンロッド側のアームのみが閉じられた
りすることもなく、中心軸X−X′に対するアーム1,
1′の開閉角度は常にほぼ等しく保たれる。
【0016】側板3,3′のガイド溝7′,7″はアー
ム1,1′を対称に開閉動作させたときの移動軌跡にト
ラニオンピン9′,9″の径と同等の幅を与えた領域を
包含するものであって、移動軌跡そのものと同一ではな
いが、シリンダ8上に2つのトラニオンピン9′,9″
を離間して配設し、中心線X−X′に対する油圧シリン
ダ2の直交状態を維持する必要上、ガイド溝7′,7″
は移動軌跡14の特性に近似した矩形形状とする必要が
ある(ガイド溝を円弧形状にするとシリンダ8の位置変
化に伴いピストンロッド13の先端が常に円弧形状の曲
率中心を向くように姿勢が変化するので油圧シリンダ2
に傾きが生じる)。2本のトラニオンピンを配設してガ
イド溝を矩形形状に形成したときに、ガイド溝とトラニ
オンピンとの摺接面に全く間隙がないと、シリンダ8の
移動軌跡がガイド溝7′,7″によって完全に拘束され
るので、いずれかの中途開閉位置においてアーム1,
1′の開閉角度に偏りが生じることとなるが、実施例に
おいては、ガイド溝とトラニオンピンとの間に微小な間
隙が設けられているので、シリンダ8の移動位置が必要
以上に拘束されることはなく、少なくとも、完全開放位
置と完全閉鎖位置においはアーム1,1′の開閉位置が
ストッパー5または5′によって理想位置に位置決めさ
れる。また、円弧形状のガイド溝に替えて矩形形状のガ
イド溝を用いることにより側板3,3′の加工が容易と
なり、把持装置全体のコストダンが図れる。
【0017】以上、一実施例として、破砕刃10,1
0′として圧壊刃11,11′と剪断刃20,20′を
備えた破砕装置について説明したが、本発明は、圧壊刃
のみを備えたもの、或いは剪断刃のみを備えた破砕装
置、およびグローブ等の各種強圧把持装置に実施するこ
とができる。
【0018】また、トラニオンピンをローラで構成する
ことによって、その移動を容易にするようにしてもよ
い。
【0019】
【発明の効果】本発明の強圧把持装置は、側板の中心軸
に対しアームの開閉角度が対象となるようにアームを開
閉動作させたときのシリンダの移動軌跡に沿って側板に
形成された矩形状のガイド溝とシリンダに設けられた2
本のトラニオンピンとの係合関係によって油圧シリンダ
の傾きを防止すると共に、ピストンロッド側のアームの
開閉動作による側板中心軸方向のピストンロッドの位置
変化でシリンダをガイド溝に沿って移動させることによ
り、シリンダボトム側のアームをピストンロッド側のア
ームに従動させて開閉駆動するようにしたので、側板の
中心軸に対する各アームの開閉角度を略対称に保持する
ことができ、しかも、トラニオンピンとガイド溝との間
の圧接力が2つのトラニオンピンによって分散されてい
るため側板に対するシリンダの摺動動作が円滑であり、
シリンダの位置変化によりシリンダボトム側のアームに
充分な駆動力を伝達することができるので、アームに強
い力が作用した場合でも側板の中心軸に対する各アーム
の開閉角度を常に略対称に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の破砕装置を示す側
面図
【図2】同実施例の破砕装置におけるガイド溝の配設状
態を示す図
【図3】図1の矢視A−A′に沿って見る断面図
【図4】従来型破砕装置を示す側面図
【図5】別の従来型破砕装置を示す側面図
【符号の説明】
1 アーム 1′ アーム 2 油圧シリンダ 3 側板 3′ 側板 7′ ガイド溝 7″ ガイド溝 8 シリンダ 9′ トラニオンピン 9″ トラニオンピン 13 ピストンロッド

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のアームの中間支軸部を側板の両側
    に枢着すると共に、復動型の油圧シリンダを側板の中心
    軸と直交させて配設し、一方のアームの後端部をシリン
    ダボトムに連結する一方、他方のアームの後端部をピス
    トンロッドに連結してなる強圧把持装置において、前記
    中心軸に対する各アームの開閉角度が対称となるように
    前記一対のアームを開閉動作させたときにシリンダ上の
    特定点が通る移動軌跡に沿って前記側板に矩形状のガイ
    ド溝を形成すると共に、前記シリンダの特定点の近傍に
    は、油圧シリンダを側板の中心軸と直交させた状態で、
    相互に離間して側板のガイド溝と一定の間隙を有して摺
    動自在に係合する2つのトラニオンピンを突設したこと
    を特徴とする強圧把持装置。
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