JP3186489B2 - ディジタル信号処理方法及び装置 - Google Patents

ディジタル信号処理方法及び装置

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JP3186489B2
JP3186489B2 JP01583895A JP1583895A JP3186489B2 JP 3186489 B2 JP3186489 B2 JP 3186489B2 JP 01583895 A JP01583895 A JP 01583895A JP 1583895 A JP1583895 A JP 1583895A JP 3186489 B2 JP3186489 B2 JP 3186489B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばディジタルオー
ディオ信号等をビット圧縮した圧縮データを記録又は伝
送するディジタル信号処理方法及び装置に関し、特に、
トーナリティの高い信号を含むディジタルオーディオ信
号を扱うディジタル信号処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本件出願人は、先に、入力されたディジ
タルオーディオ信号をビット圧縮し、所定のデータ量を
記録単位としてバースト的に記録媒体に記録するような
技術を、例えば特開平4−105270号公報や、U.S.
Appln. S.N. 08/171,263 、USP 5,243,588 、USP 5,24
4,705 の各明細書及び図面等において提案している。
【0003】なお、上記S.N. 08/171,263 の明細書及び
図面には、データ領域の記録位置を示す目録データがサ
ブコーディングされて記録されるリードイン領域に、上
記データ領域の記録内容に関する表示データをメインデ
ータとして記録したディスクと、このディスクにデータ
を記録する記録手段を有するディスク記録装置と、この
ディスクからデータを再生する再生手段及びその再生手
段により得られる表示データに応じた表示を行う表示手
段を有するディスク再生装置とが記載されている。ま
た、上記特開平4−105270号公報には、連続して
入力される入力データが順次書き込まれ、書き込まれた
入力データが該入力データの転送速度よりも速い転送速
度の記録データとして順次読み出されるメモリ手段と、
ディスク状記録媒体を回転させる速度の切り換え可能な
回転駆動手段と、上記ディスク状記録媒体に上記メモリ
手段から読み出される記録データを記録する記録手段
と、上記メモリ手段に記録されている上記入力データの
データ量が所定量以上になると上記記録データを所定量
だけ該メモリ手段から順次読み出し、上記メモリ手段に
所定データ量以上の書き込み空間を確保しておくように
メモリ制御を行うメモリ制御手段と、このメモリ制御手
段によりメモリ手段から不連続に順次読み出される上記
記録データを上記ディスク状記録媒体上の記録トラック
に連続的に記録するように記録位置の制御を行う記録制
御手段とを備えるディスク記録装置と、これに対応する
ディスク再生装置とが記載されている。また、USP 5,24
3,588 の明細書及び図面には、ディジタルデータを一時
記憶する記憶手段と、上記記憶手段からのディジタルデ
ータを一定数のセクタ毎にクラスタ化し、各クラスタの
接続部分にインターリーブ処理の際のインターリーブ長
より長いクラスタ接続用セクタを設け、ディジタルデー
タにインターリーブを施して上記ディスク状記録媒体に
記録する記録手段を有するディスク記録装置と、これに
対応するディスク再生装置とが記載されている。さら
に、USP 5,244,705 の各明細書及び図面には、圧縮オー
ディオデータ等が記録されるディスク状記録媒体におい
て、ディスク状記録媒体のデータ記録領域の内径寸法を
32mm〜50mmの範囲内の所定値に設定するとき、デー
タ記録領域の内径寸法が32mmのときの外径寸法は60
mm〜62mmの範囲内の値とし、データ記録領域の内径寸
法が50mmのときの外径寸法は71mm〜73mmの範囲内
の値とすることにより、小型携帯用のディスク記録/再
生装置に使用可能とすると共に、例えば圧縮率が1/4
の圧縮オーディオデータを記録することで標準的な12
cmCDと同程度の再生時間を実現可能としたものが記
載されている。
【0004】上記各明細書及び図面等において提案して
いる技術は、記録媒体として光磁気ディスクを用い、い
わゆるコンパクト・ディスク(CD:Compact Disc)の
CD−I(CD−インタラクティブ)やCD−ROM
XAのオーディオデータフォーマットに規定されている
AD(適応差分)PCMオーディオデータを記録再生す
るものであり、このADPCMオーディオデータの例え
ば32セクタ分とインターリーブ処理のためのリンキン
グ用の数セクタとを記録単位として、ADPCMオーデ
ィオデータを光磁気ディスクにバースト的に記録してい
る。
【0005】この光磁気ディスクを用いた記録再生装置
におけるADPCMオーディオデータには、いくつかの
モードが選択可能になっており、例えば通常のCDの再
生時間に比較して、2倍の圧縮率でサンプリング周波数
が37.8kHzのレベルAのモード、4倍の圧縮率で
サンプリング周波数が37.8kHzのレベルBのモー
ド、8倍の圧縮率でサンプリング周波数が18.9kH
zのレベルCのモードがある。
【0006】すなわち、例えば前記レベルBの場合に
は、ディジタルオーディオデータが略々1/4に圧縮さ
れ、このレベルBのモードで記録されたディスクの再生
時間(プレイタイム)は、標準的なCDフォーマット
(CD−DAフォーマット)の場合の4倍となる。これ
によれば、より小型のディスクで標準の直径12cmの
ディスクと同じ程度の記録再生時間が得られることか
ら、装置の小型化が図れることになる。
【0007】ただし、この光磁気ディスクを用いた記録
再生装置では、ディスクの回転速度は標準的なCDと同
じであるため、例えば前記レベルBの場合、所定時間当
たりその4倍の再生時間分の圧縮データが得られること
になる。このため、例えばセクタやクラスタ等の時間単
位で同じ圧縮データを重複して4回読み出すようにし、
そのうちの1回分の圧縮データのみをオーディオ再生に
まわすようにしている。具体的には、スパイラル状の記
録トラックを走査(トラッキング)する際に、1回転毎
に元のトラック位置に戻るようなトラックジャンプを行
って、同じトラックを4回ずつ繰り返しトラッキングす
るような形態で再生動作を進めることになる。これは、
例えば4回の重複読み取りの内、少なくとも1回だけ正
常な圧縮データが得られればよいことになり、外乱等に
よるエラーに強く、特に携帯用小型機器に適用して好ま
しいものである。
【0008】さらに将来的には、半導体メモリを記録媒
体として用いることが考えられており、圧縮効率をさら
に高めるためには、追加のビット圧縮が行われる事が望
ましい。具体的には、半導体メモリを含むIC(集積回
路)をカード内に配したいわゆるICカードを用いてオ
ーディオ信号を記録再生するようなものであり、このI
Cカードに対して、ビット圧縮処理された圧縮データを
記録し、再生する。
【0009】このような半導体メモリを用いたICカー
ド等は、半導体技術の進歩に伴って記録容量の増大や低
価格化が実現されてゆくものであるが、市場に供給され
始めた初期段階では容量が不足気味で、また高価である
ことが考えられる。従って、例えば上記光磁気ディスク
等のような他の安価で大容量の記録媒体からICカード
等に内容を転送して頻繁に書き換えて使用することが充
分考えられる。具体的には、例えば上記光磁気ディスク
に収録されている複数の曲の内、好みの曲をICカード
にダビングするようにし、不要になれば他の曲と入れ換
える。このようにして、ICカードの内容書換えを頻繁
に行うことにより、少ない手持ち枚数のICカードで種
々の曲を戸外等で楽しむことができる。
【0010】なお、本件出願人は、先にEUROPEAN PATEN
T APPLICATION publication number: 0 525 809 A2 (Da
te of publication 03.02.93)において、上述の圧縮デ
ータを生成するために好適な符号化方法を提案してい
る。
【0011】また、本件出願人は、EUROPEAN PATENT AP
PLICATION publication number : 0599 719 A1 (Date o
f publication 01.06.94)、EUROPEAN PATENT APPLICATI
ONpublication number : 0 601 566 A1 (Date of publi
cation 15.06.94)、及びInternational Publication Nu
mber : WO 94/19801 (International PublicationDate
: 1 September 1994)において、上述のICカードを利
用した記録/再生に好適な記録/再生システムを提案し
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録時間を
延ばすことを目的として高能率符号のビットレートを下
げて行くと、徐々に音質の劣化が目立つようになる。特
に、聴覚的な効果が効き難い音楽信号でこの事が顕著と
なる。
【0013】そこで、本発明は、上述したようなことを
鑑み、記録時間を延ばすことを目的として高能率符号の
ビットレートを下げて行く場合に、アルゴリズムを複雑
化することなく、不自然な感じのない聴きやすい音質を
得ることができるディジタル信号処理方法及び装置を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のディジタル信号
処理方法は、上述の目的を達成するために提案されたも
のであり、入力ディジタル信号を、有限時間幅と有限周
波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に変換
する変換ステップと、上記複数のブロックのうちの一部
のブロックを選択するブロック選択ステップと、上記ブ
ロック選択ステップにて選択したブロック内のスペクト
ル成分を非線形処理する非線形処理ステップと、上記非
線形処理ステップにて非線形処理されたスペクトル成分
を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量子化ス
テップとを有し、上記非線形処理ステップでは、上記ブ
ロック内の少なくとも最大値を与えるスペクトル成分を
除くスペクトル成分を大きくすることを特徴とする。ま
た、本発明のディジタル信号処理方法は、上述の目的を
達成するために提案されたものであり、入力ディジタル
信号を、有限時間幅と有限周波数幅を持つ複数のブロッ
ク内のスペクトル成分に変換する変換ステップと、上記
複数のブロックのうちの一部のブロックを選択するブロ
ック選択ステップと、上記ブロック選択ステップにて選
択したブロック内のスペクトル成分を非線形処理する非
線形処理ステップと、上記非線形処理ステップにて非線
形処理されたスペクトル成分を持つブロックのスペクト
ル成分を量子化する量子化ステップとを有し、上記非線
形処理ステップでは、上記ブロック内の少なくとも最大
の信号対雑音比を持つスペクトル成分を除くスペクトル
成分を、そのスペクトル成分の上記量子化ステップによ
る量子化値がゼロになるように処理することを特徴とす
る。
【0015】さらに、本発明のディジタル信号処理方法
は、上述の目的を達成するために提案されたものであ
り、入力ディジタル信号を、有限時間幅と有限周波数幅
を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に変換する変
換ステップと、上記複数のブロックのうちの一部のブロ
ックを選択するブロック選択ステップと、上記ブロック
選択ステップにて選択したブロック内のスペクトル成分
を正規化した後に非線形処理する非線形処理ステップ
と、上記非線形処理ステップにて非線形処理されたスペ
クトル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化す
る量子化ステップとを有し、上記非線形処理ステップで
は、上記正規化における正規化レベルより小さい第1の
比較レベルと当該第1の比較レベルより小さい第2の比
較レベルの間の大きさを持つスペクトル成分に対して
は、そのスペクトル成分を大きくするか又はそのスペク
トル成分の上記量子化ステップによる量子化値がゼロに
なるようにし、上記第2の比較レベルより小さい値のス
ペクトル成分に対しては、そのスペクトル成分の上記量
子化ステップによる量子化値がゼロとなるように処理す
ることを特徴とする。また、本発明のディジタル信号処
理装置は、入力ディジタル信号を、有限時間幅と有限周
波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に変換
する変換手段と、上記複数のブロックのうちの一部のブ
ロックを選択するブロック選択手段と、上記ブロック選
択手段によって選択したブロック内のスペクトル成分を
非線形処理する非線形処理手段と、上記非線形処理手段
によって非線形処理されたスペクトル成分を持つブロッ
クのスペクトル成分を量子化する量子化手段とを有し、
上記非線形処理手段は、上記ブロック内の少なくとも最
大値を与えるスペクトル成分を除くスペクトル成分を大
きくすることにより、上述の目的を達成する。
【0016】さらに、本発明のディジタル信号処理装置
は、入力ディジタル信号を、有限時間幅と有限周波数幅
を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に変換する変
換手段と、上記複数のブロックのうちの一部のブロック
を選択するブロック選択手段と、上記ブロック選択手段
によって選択したブロック内のスペクトル成分を非線形
処理する非線形処理手段と、上記非線形処理手段によっ
て非線形処理されたスペクトル成分を持つブロックのス
ペクトル成分を量子化する量子化手段とを有し、上記非
線形処理手段は、上記ブロック内の少なくとも最大の信
号対雑音比を持つスペクトル成分を除くスペクトル成分
を、そのスペクトル成分の上記量子化手段による量子化
値がゼロになるようにすることにより、上述の目的を達
成する。さらにまた、本発明のディジタル信号処理装置
は、入力ディジタル信号を、有限時間幅と有限周波数幅
を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に変換する変
換手段と、上記複数のブロックのうちの一部のブロック
を選択するブロック選択手段と、上記ブロック選択手段
によって選択したブロック内のスペクトル成分を正規化
した後に非線形処理する非線形処理手段と、上記非線形
処理手段によって非線形処理されたスペクトル成分を持
つブロックのスペクトル成分を量子化する量子化手段と
を有し、上記非線形処理手段は、上記正規化における正
規化レベルより小さい第1の比較レベルと当該第1の比
較レベルより小さい第2の比較レベルの間の大きさを持
つスペクトル成分に対しては、そのスペクトル成分を大
きくするか又はそのスペクトル成分の上記量子化手段に
よる量子化値がゼロになるようにし、上記第2の比較レ
ベルより小さい値のスペクトル成分に対しては、そのス
ペクトル成分の上記量子化手段による量子化値がゼロと
なるようにすることにより、上述の目的を達成する。
【0017】
【作用】本発明のディジタル信号処理方法及び装置にお
いては、入力ディジタル信号が、有限時間幅と有限周波
数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に変換さ
れ、この複数のブロックのうちの少なくとも一部のブロ
ックが選択され、選択されたブロック内のスペクトル成
分が非線形処理され、この非線形処理されたスペクトル
成分を持つブロックのスペクトル成分が量子化されるこ
とにより、例えばトーナリティが高い成分を含むブロッ
クに関して非線形処理されたデータが得られる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0019】先ず、図1に、本発明のディジタル信号処
理方法を実現する一実施例として、ディジタルオーディ
オ信号をビット圧縮した圧縮データの記録媒体への記録
再生を行う圧縮データ記録再生装置の概略構成を示す。
【0020】この図1の圧縮データ記録再生装置は、本
発明の記録媒体の一例である光磁気ディスク1に対して
圧縮データを記録再生するための光磁気ディスク記録再
生ユニットと、他の例の記録媒体としてのICカード2
に対して圧縮データの書き込み/読み出しを行うための
ICカード記録ユニットとの2つのユニットを、1つの
システムに組んで構成されている。
【0021】この光磁気ディスク記録再生ユニット側の
再生系で再生された信号を上記ICカード記録ユニット
で記録する際には、先ず、上記再生系の光磁気ディスク
1から光学ヘッド53によってデータが読み取られる。
このデータはデコーダ71に送られてEFM(8−1
4)復調やデインターリーブ処理や誤り訂正処理等が施
されて再生圧縮データとなされる。上記再生圧縮データ
は、上記ICカード記録ユニットのメモリ85に送ら
れ、一旦記憶される。上記メモリ85から読み出された
再生圧縮データに、エントロピィ符号化等を行う追加圧
縮器84による可変ビットレート符号化処理等の追加処
理が施され、その後、当該追加処理が施された再生圧縮
データがICカードインタフェース回路86を介してI
Cカード2に書き込まれる。このように、光磁気ディス
ク1から再生された圧縮データは、ATCデコーダ73
による伸張処理を受ける前の圧縮状態のままで上記IC
カード2に対する記録系に送られて、当該ICカード2
に書き込まれる。
【0022】ところで、通常の再生時すなわちオーディ
オ聴取のための再生時には、記録媒体すなわち光磁気デ
ィスク1から間歇的或いはバースト的に所定データ量単
位(例えば32セクタ+数セクタ)で圧縮データを読み
出し、これを伸張して連続的なオーディオ信号に変換し
ているが、上述のようないわゆるダビングを行う時に
は、光磁気ディスク1上の圧縮データを連続的に読み取
って、上記ICカード記録ユニットに送って記録してい
る。これによって、データ圧縮率に応じた高速の(短時
間の)ダビングが行える。
【0023】以下、図1に示す圧縮データ記録再生装置
の具体的な構成について詳細に説明する。
【0024】図1に示す圧縮データ記録再生装置の光磁
気ディスク記録再生ユニットにおいて、記録媒体として
は、スピンドルモータ51により回転駆動される光磁気
ディスク1が用いられる。光磁気ディスク1に対するデ
ータの記録時には、例えば光学ヘッド53によりレーザ
光を照射した状態で記録データに応じた変調磁界を磁気
ヘッド54により印加することによって、いわゆる磁界
変調記録を行い、光磁気ディスク1の記録トラックに沿
ってデータを記録する。また、再生時には、光磁気ディ
スク1の記録トラックを光学ヘッド53によりレーザ光
でトレースして磁気光学的にデータの再生を行う。
【0025】光学ヘッド53は、例えば、レーザダイオ
ード等のレーザ光源、コリメータレンズ、対物レンズ、
偏光ビームスプリッタ、シリンドリカルレンズ等の光学
部品及び所定パターンの受光部を有するフォトディテク
タ等から構成されている。この光学ヘッド53は、光磁
気ディスク1を介して上記磁気ヘッド54と対向する位
置に設けられている。光磁気ディスク1にデータを記録
するときには、記録系のヘッド駆動回路66により磁気
ヘッド54を駆動して記録データに応じた変調磁界を印
加すると共に、光学ヘッド53により光磁気ディスク1
の目的トラックにレーザ光を照射することによって、磁
界変調方式により熱磁気記録を行う。またこの光学ヘッ
ド53は、目的トラックに照射したレーザ光の反射光を
検出し、例えばいわゆる非点収差法によりフォーカスエ
ラーを検出し、例えばいわゆるプッシュプル法によりト
ラッキングエラーを検出する。光磁気ディスク1からデ
ータを再生するとき、光学ヘッド53は上記フォーカス
エラーやトラッキングエラーを検出すると同時に、レー
ザ光の目的トラックからの反射光の偏光角(カー回転
角)の違いを検出して再生信号を生成する。
【0026】光学ヘッド53の出力は、RF回路55に
供給される。このRF回路55は、光学ヘッド53の出
力から上記フォーカスエラー信号やトラッキングエラー
信号を抽出してサーボ制御回路56に供給するととも
に、再生信号を2値化して再生系のデコーダ71に供給
する。
【0027】サーボ制御回路56は、例えばフォーカス
サーボ制御回路やトラッキングサーボ制御回路、スピン
ドルモータサーボ制御回路、スレッドサーボ制御回路等
から構成される。上記フォーカスサーボ制御回路は、上
記フォーカスエラー信号がゼロになるように、光学ヘッ
ド53の光学系のフォーカス制御を行う。また上記トラ
ッキングサーボ制御回路は、上記トラッキングエラー信
号がゼロになるように光学ヘッド53の光学系のトラッ
キング制御を行う。さらに上記スピンドルモータサーボ
制御回路は、光磁気ディスク1を所定の回転速度(例え
ば一定線速度)で回転駆動するようにスピンドルモータ
51を制御する。また、上記スレッドサーボ制御回路
は、システムコントローラ57により指定される光磁気
ディスク1の目的トラック位置に光学ヘッド53及び磁
気ヘッド54を移動させる。このような各種制御動作を
行うサーボ制御回路56は、該サーボ制御回路56によ
り制御される各部の動作状態を示す情報をシステムコン
トローラ57に送る。
【0028】システムコントローラ57にはキー入力操
作部58や表示部59が接続されている。このシステム
コントローラ57は、キー入力操作部58による操作入
力情報により指定される動作モードで記録系及び再生系
の制御を行う。またシステムコントローラ57は、光磁
気ディスク1の記録トラックに記録されているいわゆる
ヘッダータイムやサブコードのQデータ等から再生され
るセクタ単位のアドレス情報に基づいて、光学ヘッド5
3及び磁気ヘッド54がトレースしている上記記録トラ
ック上の記録位置や再生位置を管理する。さらにシステ
ムコントローラ57は、キー入力操作部58により切り
換え選択されたATCエンコーダ63でのビット圧縮モ
ード情報や、RF回路55から再生系を介して得られる
再生データ内のビット圧縮モード情報に基づいて、この
ビット圧縮モードを表示部59に表示させると共に、該
ビット圧縮モードにおけるデータ圧縮率と上記記録トラ
ック上の再生位置情報とに基づいて表示部59に再生時
間を表示させる制御を行う。この再生時間表示は、光磁
気ディスク1の記録トラックに記録されているヘッダー
タイムやサブコードQデータ等から再生されるセクタ単
位のアドレス情報(絶対時間情報)に対し、上記ビット
圧縮モードにおけるデータ圧縮率の逆数(例えば1/4
圧縮のときには4)を乗算することにより、実際の時間
情報を求め、これを表示部59に表示させるものであ
る。なお、記録時においても、例えば光磁気ディスク等
の記録トラックに予め絶対時間情報が記録されている
(プリフォーマットされている)場合に、このプリフォ
ーマットされた絶対時間情報を読み取ってデータ圧縮率
の逆数を乗算することにより、現在位置を実際の記録時
間で表示させることも可能である。
【0029】次に、この圧縮データ記録再生装置の記録
再生系のうちの記録系において、入力端子60からのア
ナログオーディオ入力信号AINがローパスフイルタ61
を介してA/D変換器62に供給され、このA/D変換
器62は上記アナログオーディオ入力信号AINを量子化
(PCM)する。A/D変換器62から得られたディジ
タルオーディオ信号は、ATC(Adaptive Transform C
oding )エンコーダ63に供給される。また、入力端子
67からのディジタルオーディオ入力信号DINがディジ
タル入力インタフェース回路68を介してATCエンコ
ーダ63に供給される。ATCエンコーダ63は、上記
アナログオーディオ入力信号AINを上記A/D変換器6
2により量子化した所定転送速度のディジタルオーディ
オ信号又はディジタル入力インタフェース回路68を介
して供給されるディジタルオーディオ信号について、表
1に示すATC方式における各種モードに対応するビッ
ト圧縮(データ圧縮)処理を行うもので、上記システム
コントローラ57により動作モードが指定されるように
なっている。例えばBモードでは、サンプリング周波数
が44.1kHzでビットレートが64kbpsの圧縮
データ(ATCオーディオデータ)とされ、メモリ64
に供給される。このBモ−ドのステレオモードでのデー
タ転送速度は、上記標準のCD−DAのフォーマットの
データ転送速度(75セクタ/秒)の1/8(9.37
5セクタ/秒)に低減されている。
【0030】
【表1】
【0031】ここで、図1の実施例においては、A/D
変換器62のサンプリング周波数が例えば上記標準的な
CD−DAフォーマットのサンプリング周波数である4
4.1kHzに固定されており、ATCエンコーダ63
においてもサンプリング周波数は維持され、ビット圧縮
処理が施されるようなものを想定している。この時:低
ビットレートモードになるほど、信号通過帯域は狭くし
て行くので、それに応じてローパスフイルタ61のカッ
トオフ周波数も切換制御する。すなわち、上記圧縮モー
ドに応じてA/D変換器62のローパスフイルタ61の
カットオフ周波数を同時に切換制御する。
【0032】次に、メモリ64は、データの書き込み及
び読み出しがシステムコントローラ57により制御さ
れ、ATCエンコーダ63から供給される圧縮されたオ
ーディオデータ(以下、ATCオーディオデータと言
う)を一時的に記憶しておき、必要に応じてディスク上
に記録するためのバッファメモリとして用いられてい
る。すなわち、例えば上記Bモ−ドのステレオのモード
において、ATCエンコーダ63から供給されるATC
オーディオデータは、そのデータ転送速度が、標準的な
CD−DAフォーマットのデータ転送速度(75セクタ
/秒)の1/8、すなわち9.375セクタ/秒に低減
されており、このATCオーディオデータがメモリ64
に連続的に書き込まれる。このATCオーディオデータ
は、前述したように8セクタにつき1セクタの記録を行
えば足りるが、このような8セクタおきの記録は事実上
不可能に近いため、後述するようなセクタ連続の記録を
行うようにしている。
【0033】この記録は、休止期間を介して、所定の複
数セクタ(例えば32セクタ+数セクタ)から成るクラ
スタを記録単位として、標準的なCD−DAフォーマッ
トと同じデータ転送速度(75セクタ/秒)でバースト
的に行われる。すなわちメモリ64においては、上記ビ
ット圧縮レートに応じた9.375(=75/8)セク
タ/秒の低い転送速度で連続的に書き込まれたBモ−ド
でステレオモードのATCオーディオデータが、記録デ
ータとして上記75セクタ/秒の転送速度でバースト的
に読み出される。この読み出されて記録されるデータに
ついて、記録休止期間を含む全体的なデータ転送速度
は、上記9.375セクタ/秒の低い速度となっている
が、バースト的に行われる記録動作の時間内での瞬時的
なデータ転送速度は上記標準的な75セクタ/秒となっ
ている。従って、ディスク回転速度が標準的なCD−D
Aフォーマットと同じ速度(一定線速度)のとき、該C
D−DAフォーマットと同じ記録密度、記憶パターンの
記録が行われる。
【0034】メモリ64から上記75セクタ/秒の(瞬
時的な)転送速度でバースト的に読み出されたATCオ
ーディオデータすなわち記録データは、エンコーダ65
に供給される。ここで、メモリ64からエンコーダ65
に供給されるデータ列において、1回の記録で連続記録
される単位は、複数セクタ(例えば32セクタ)から成
るクラスタ及び該クラスタの前後位置に配されたクラス
タ接続用の数セクタとしている。このクラスタ接続用セ
クタは、エンコーダ65でのインターリーブ長より長く
設定しており、インターリーブされても他のクラスタの
データに影響を与えないようにしている。
【0035】エンコーダ65は、メモリ64から上述し
たようにバースト的に供給される記録データについて、
エラー訂正のための符号化処理(パリティ付加及びイン
ターリーブ処理)やEFM処理などを施す。このエンコ
ーダ65による符号化処理が施された記録データが磁気
ヘッド駆動回路66に供給される。この磁気ヘッド駆動
回路66は、磁気ヘッド54が接続されており、上記記
録データに応じた変調磁界を光磁気ディスク1に印加す
るように磁気ヘッド54を駆動する。 また、システ
ムコントローラ57は、メモリ64に対する上述の如き
メモリ制御を行うとともに、このメモリ制御によりメモ
リ64からバースト的に読み出される上記記録データを
光磁気ディスク1の記録トラックに連続的に記録するよ
うに記録位置の制御を行う。この記録位置の制御は、シ
ステムコントローラ57によりメモリ64からバースト
的に読み出される上記記録データの記録位置を管理し
て、光磁気ディスク1の記録トラック上の記録位置を指
定する制御信号をサーボ制御回路56に供給することに
よって行われる。次に、この光磁気ディスク記録再生ユ
ニットの再生系について説明する。
【0036】この再生系は、上述の記録系により光磁気
ディスク1の記録トラック上に連続的に記録された記録
データを再生するためのものであり、光学ヘッド53に
よって光磁気ディスク1の記録トラックをレーザ光でト
レースすることにより得られる再生出力がRF回路55
により2値化されて供給されるデコーダ71を備えてい
る。なお、この再生系では、光磁気ディスクのみではな
く、いわゆるコンパクディスク(CD:Compact Disc)
と同じ再生専用光ディスクの読み出しも行うことができ
る。
【0037】デコーダ71は、上述の記録系におけるエ
ンコーダ65に対応するものであって、RF回路55に
より2値化された再生出力について、エラー訂正のため
の復号化処理(デインターリーブ処理や誤り訂正処理)
やEFMの復調処理などの処理を行い上述のBモ−ドの
ステレオモードにおけるATCオーディオデータを、該
Bモ−ドのステレオモードにおける正規の転送速度より
も早い75セクタ/秒の転送速度で再生する。このデコ
ーダ71により得られる再生データは、メモリ72に供
給される。
【0038】メモリ72は、データの書き込み及び読み
出しがシステムコントローラ57により制御され、デコ
ーダ71から75セクタ/秒の転送速度で供給される再
生データがその75セクタ/秒の転送速度でバースト的
に書き込まれる。また、このメモリ72は、上記75セ
クタ/秒の転送速度でバースト的に書き込まれた上記再
生データがBモ−ドのステレオモードの正規の9.37
5セクタ/秒の転送速度で連続的に読み出される。
【0039】システムコントローラ57は、再生データ
をメモリ72に75セクタ/秒の転送速度で書き込むと
ともに、メモリ72から上記再生データを上記9.37
5セクタ/秒の転送速度で連続的に読み出すようなメモ
リ制御を行う。また、システムコントローラ57は、メ
モリ72に対する上述の如きメモリ制御を行うととも
に、このメモリ制御によりメモリ72にバースト的に書
き込まれる上記再生データを光磁気ディスク1の記録ト
ラックから連続的に再生するように再生位置の制御を行
う。この再生位置の制御は、システムコントローラ57
により光磁気ディスク1からバースト的に読み出される
上記再生データの再生位置を管理して、システムコント
ローラ57から、光磁気ディスク1もしくは光ディスク
1の記録トラック上の再生位置を指定する制御信号をサ
ーボ制御回路56に供給することによって行われる。
【0040】メモリ72から9.375セクタ/秒の転
送速度で連続的に読み出された再生データとして得られ
るBモ−ドのステレオモードにおけるATCオーディオ
データは、ATCデコーダ73に供給される。このAT
Cデコーダ73は、上記記録系のATCエンコーダ63
に対応するもので、システムコントローラ57により動
作モードが指定されて、例えば上記Bモ−ドのステレオ
モードにおけるATCオーディオデータを8倍にデータ
伸張(ビット伸張)することで16ビットのディジタル
オーディオデータを再生する。このATCデコーダ73
からのディジタルオーディオデータは、D/A変換器7
4に供給される。
【0041】D/A変換器74は、ATCデコーダ73
から供給されるディジタルオーディオデータをアナログ
信号に変換して、アナログオーディオ出力信号AOUT を
形成する。このD/A変換器74により得られるアナロ
グオーディオ出力信号AOUTは、ローパスフイルタ75
を介して出力端子76から出力される。
【0042】次に、この圧縮データ記録再生装置の上記
ICカード記録ユニットについて説明する。
【0043】デコーダ71からのATCオーディオデー
タは、追加圧縮器84に送られて余剰ビットの除去及び
ゼロ語長処理等の処理がなされる。
【0044】ここで、本実施例では、ブロックフローテ
ィングの為のブロック内の最大値より著しく小さいスペ
クトル成分をゼロとする。この処理は、メモリ85に対
するデータの読み書きを伴いながら実行される。余剰ビ
ットの除去及びゼロ語長処理等を行う追加圧縮器84か
らの可変ビットレート圧縮符号化されたデータは、IC
カードインタフェース回路86を介してICカード2に
書き込まれる。勿論、本発明においては、余剰ビットの
除去及びゼロ語長処理等の可変ビットレ−ト圧縮は行わ
ないが、直交変換サイズを大きくしたり、サブ情報を持
つ周波数軸上のブロックフローティングの為のブロック
及び/又は量子化雑音が発生するブロックの周波数幅を
広げることで、より低いビットレートの定ビットレート
での書き込みを行うようにしても良い。
【0045】上記光磁気ディスク記録再生ユニットの再
生系のデコーダ71からの圧縮データ(ATCオーディ
オデータ)が、伸張されずにそのまま上記ICカード記
録ユニットのメモリ85に送られるようになっている。
このデータ転送は、いわゆる高速ダビング時にシステム
コントローラ57がメモリ85等を制御することによっ
て行われる。このようにビットレートが低いATCオー
ディオデータを光磁気ディスク若しくは光ディスクから
ICカード2に書き込むことは、記録容量当たりの価格
が高いICカードを用いる場合に適している。なお、メ
モリ72からの圧縮データをメモリ85に送るようにし
てもよい。
【0046】ここで、いわゆる高速ディジタルダビング
動作について説明する。
【0047】高速ディジタルダビング時には、キー入力
操作部58のダビング操作キー等を操作することによ
り、システムコントローラ57が高速ダビング制御処理
動作を実行する。具体的には、上記デコーダ71からの
圧縮データをそのままICカード記録ユニットのメモリ
85に送り、余剰ビットの除去及びゼロ語長処理等の処
理を行う追加圧縮器84により可変ビットレート符号化
を施して、ICカードインタフェース回路86を介して
ICカード2に書き込む。ここで、光磁気ディスク1に
例えば上記Bモ−ドのステレオモードにおけるATCオ
ーディオデータが記録されている場合には、デコーダ7
1からは8倍に圧縮されたディジタルオーディオデータ
が連続的に読み出されることになる。
【0048】従って、上記高速ダビング時には、光磁気
ディスク1から実時間で8倍(上記Bモ−ドのステレオ
モードの場合)の時間に相当する圧縮データが連続して
得られることになり、これに余剰ビットの除去及びゼロ
語長処理等の処理が施されて、一定ビットレート化され
たデータがICカード2に書き込まれるから、8倍の高
速ダビングを実現できる。なお、圧縮モードが異なれば
ダビング速度の倍率も異なってくる。また、圧縮の倍率
以上の高速でダビングを行わせるようにしてもよい。こ
の場合には、光磁気ディスク1を定常速度の何倍かの速
度で高速回転駆動する。
【0049】ところで、上記光磁気ディスク1には、図
2に示すように、ビット圧縮符号化されたデータが記録
されると同時に、該データを追加圧縮伸張ブロック3で
可変ビットレート符号化により圧縮符号化した際のデー
タ量(すなわちICカード2に書き込むために必要とさ
れるデータ記録容量)の情報が記録されている。こうす
ることによって、例えば光磁気ディスク1に記録されて
いる曲の内、ICカード2に書き込み可能な曲数や曲の
組合せ等を、これらのデータ量情報を読み取ることによ
り即座に知ることができる。もちろん可変ビットレート
モードではなく、固定ビットレートのより低ビットレー
トモードへの変換を追加圧縮伸張ブロック3で行なうこ
ともできる。
【0050】また逆に、ICカード2内に、可変ビット
レート符号化によりビット圧縮符号化されたデータのみ
ならず、ビット圧縮符号化したデータのデータ量情報も
書き込んでおくことにより、ICカード2から光磁気デ
ィスク1に曲等のデータを送って記録する際のデータ量
を迅速に知ることができる。もちろん、ICカード2内
には、可変ビットレート符号化でビット圧縮符号化され
たデータのみならず、固定ビットレートの低ビットレー
トモードのデータを書き込むこともできる。
【0051】ここで、図3は、上記図1に示す構成の圧
縮データ記録再生装置5の正面外観を示しており、光磁
気ディスク又は光ディスクの挿入部6とICカード挿入
スロット7とが設けられている。もちろん、光磁気ディ
スク記録再生ユニットとICカード記録ユニットとは別
々のセットになっていてその間をケーブルで接続するよ
うにしてもよい。
【0052】次に、ATCエンコーダ63における高能
率符号化について詳述する。すなわち、ディジタルオー
ディオ信号等の入力ディジタル信号を、帯域分割符号化
(SBC)、適応変換符号化(ATC)及び適応ビット
割当ての各技術を用いた高能率符号化の技術について、
図4以降の各図を参照しながら説明する。
【0053】本発明のディジタル信号処理方法における
高能率符号化の処理を具体的に実現するATCエンコー
ダ63(以下、高能率符号化装置という)は、入力ディ
ジタル信号を複数の周波数帯域に分割すると共に、最低
域の2つの帯域の帯域幅は同じで、より高い周波数帯域
では高い周波数帯域ほどバンド幅を広く選定し、各周波
数帯域毎に直交変換を行って、得られた周波数軸のスペ
クトルデータを、低域では、後述する人間の聴覚特性を
考慮したいわゆる臨界帯域幅(クリテイカルバンド)毎
に、中高域ではブロックフローティング効率を考慮して
臨界帯域幅を細分化した帯域毎に、適応的にビット割当
して符号化している。通常、上述の直交変換のためのブ
ロックが量子化雑音の発生する単位である。さらに、本
実施例においては、直交変換の前に入力ディジタルオー
ディオ信号に応じて適応的にブロックサイズ(ブロック
長)を変化させると共に、該ブロック単位でフローティ
ング処理を行っている。
【0054】具体的には、図4において、入力端子10
には例えばサンプリング周波数が44.1kHzの時、
0〜22kHzのディジタルオーディオ信号が供給され
ている。この入力ディジタルオーディオ信号は、例えば
いわゆるQMF(QuadratureMirror filter)等のフィル
タからなる帯域分割フイルタ11により0〜11kHz
帯域と11k〜22kHz帯域とに分割され、0〜11
kHz帯域の信号は同じくいわゆるQMF等のフィルタ
からなる帯域分割フィルタ12により0〜5.5kHz
帯域と5.5k〜11kHz帯域とに分割される。帯域
分割フィルタ11からの11k〜22kHz帯域の信号
は直交変換回路の一例であるMDCT回路13に送ら
れ、帯域分割フィルタ12からの5.5k〜11kHz
帯域の信号はMDCT回路14に送られ、帯域分割フィ
ルタ12からの0〜5.5kHz帯域の信号はMDCT
回路15に送られることにより、それぞれMDCT処理
される。
【0055】ここで上述した入力ディジタル信号を複数
の周波数帯域に分割する手法としては、例えば上記QM
F等のフィルタによる分割手法がある。この分割手法は
文献「ディジタル・コーディング・オブ・スピーチ・イ
ン・サブバンズ」("Digitalcoding of speech in subba
nds" R.E.Crochiere, Bell Syst.Tech. J., Vol.55,N
o.8 1976) に述べられている。
【0056】また、文献「ポリフェィズ・クァドラチュ
ア・フィルターズ −新しい帯域分割符号化技術」("Po
lyphase Quadrature filters -A new subband coding t
echnique", Joseph H. Rothweiler ICASSP 83, BOSTON)
には、等帯域幅のフィルタ分割手法が述べられている。
【0057】また、上述した直交変換としては、例えば
入力オーディオ信号を所定単位時間でブロック化し、前
記ブロック毎に高速フーリエ変換(FFT)、離散コサ
イン変換(DCT)、変更離散コサイン変換(MDC
T)等を行うことで時間軸を周波数軸に変換するような
直交変換がある。上記MDCTについては、文献「時間
領域エリアシング・キャンセルを基礎とするフィルタ・
バンク設計を用いたサブバンド/変換符号化」("Subban
d/Transform Coding Using Filter Bank DesignsBased
on Time Domain Aliasing Cancellation," J.P.Princen
A.B.Bradley, Univ. of Surrey Royal Melbourne Ins
t. of Tech. ICASSP 1987)に述べられている。
【0058】次に、標準的な入力ディジタルオーディオ
信号に対する各モードにおけるMDCT回路13、1
4、15でのブロックについての具体例を図5に示す。
【0059】この図5の具体例において、上記図4の各
帯域分割フィルタ11,12からの3つのフィルタ出力
信号は、各々複数の直交変換ブロックサイズを有するM
DCT回路13、14、15によって、信号の時間特性
により、その時間分解能を切り換えられる。また、MD
CT回路13、14、15は、ビットレートが小さいモ
ード程、最大処理ブロックの時間長を長くし、信号通過
帯域幅を狭くする。
【0060】すなわち、この実施例では、Aモードの場
合、信号が時間的に準定常的であるときには直交変換ブ
ロックサイズを11.6msと大きくし、信号が非定常
的であるときには図5に示すように11kHz以下の帯
域で直交変換ブロックサイズを更に4分割とし、11k
Hz以上の帯域では直交変換ブロックサイズを8分割と
する。
【0061】Bモードの場合は、Aモードに比べて直交
変換ブロックの時間長が2倍長くなって23.2msと
なり、信号通過帯域幅は13kHzまでと狭くなる。ま
た、信号が時間的に準定常的である場合には直交変換ブ
ロックサイズを23.2msと大きくし、信号が非定常
的である場合には2分割して11.6msとする。さら
に、信号の非定常性がより強まったときは、図5に示す
ように11kHz以下の帯域では直交変換ブロックサイ
ズを更に4分割として合計8分割とし、11kHz以上
の帯域では直交変換ブロックサイズを更に8分割して合
計16分割とする。
【0062】Cモードの場合は、直交変換ブロックの時
間長を34.8msまでとする。通過帯域は、5.5k
Hzに制限する。
【0063】Dモードの場合は、直交変換ブロックの時
間長を46.4msとする。
【0064】ここで、各MDCT回路13、14、15
において、直交変換ブロックの時間長を2倍長くするの
を、低域側の帯域に限ることにより、AモードからBモ
ードへのビットレートの変換が容易となる。すなわち、
Aモードの低域側の直交変換した信号を逆直交変換し、
得られる信号を直交変換ブロックサイズが倍で直交変換
する。これは、全帯域を成す複数の帯域の信号を逆直交
変換してから、再びそれぞれの帯域毎に直交変換するの
に比較して容易である。また、これは例えば光磁気ディ
スクからICメモリカードへの高速転送をAモードから
Bモードへの変換を行いながら実行するのに都合がよ
い。これは、低域よりも高域の音響信号の方が、時間的
変動が大きいこと、信号対雑音比が小さくてもよいこと
がその根拠となる。
【0065】なお、このとき、信号通過帯域幅は、13
kHzまでとする。この場合、11kHzから22kH
z帯域の信号において直交変換前のフィルタ出力信号を
1/2若しくは1/4サブサンプリングすることで、信
号通過帯域以上の帯域の為の無駄な信号処理を避けるこ
とができる。
【0066】以下Cモード、Dモードとなるにしたがっ
て直交変換ブロックの長さが長くなり、信号通過帯域幅
は狭くすることができる。もちろん、全てのモード間で
直交変換ブロックの長さ及び信号通過帯域幅が異なる必
要はなく、同じ値を取る場合もある。
【0067】また、例え低ビットレートモードの方が直
交変換ブロックの長さが長くなっていたとしても、時間
遅れを短くしたい用途のためには、そのモードが持つ複
数の直交変換ブロックサイズの内、短い直交変換ブロッ
クサイズを選択的に使って直交変換することで目的を達
成することができる。
【0068】再び図4において、Aモードにおける各M
DCT回路13、14、15にてMDCT処理されて得
られた周波数軸上のスペクトルデータ(スペクトル成
分)あるいはMDCT係数データは、低域はいわゆる臨
界帯域(クリティカルバンド)毎にまとめられて、また
中高域はブロックフローティングの有効性を考慮して臨
界帯域幅を細分化して、後述する非線形処理回路40,
41,42を介した後、適応ビット割当符号化回路18
に送られている。なお、このクリティカルバンドとは、
人間の聴覚特性を考慮して分割された周波数帯域であ
り、ある純音の周波数近傍の同じ強さの狭帯域のノイズ
によって当該純音がマスクされるときのそのノイズの持
つ帯域のことである。このクリティカルバンドは、高域
ほど帯域幅が広くなっており、上記0〜22kHzの全
周波数帯域は例えば25のクリティカルバンドに分割さ
れている。
【0069】Bモードにおいて、直交変換ブロックサイ
ズをAモードの場合の2倍にしない信号が非定常的であ
る場合には、サブ情報を有するブロックの周波数幅を、
例えばAモードの2倍の周波数幅にとることにより、前
記ブロックの数を半減し、サブ情報を減らしている。こ
のようにして、低域は、直交変換ブロックサイズを2倍
にすることで、それ以外の帯域は、サブ情報を有するブ
ロックの周波数幅を大きくすることで、全帯域でのサブ
情報を減らすことができる。
【0070】次に、ビット配分算出回路43は、上記ク
リティカルバンド及びブロックフローティングを考慮し
て分割されたスペクトルデータに基づき、クリティカル
バンド及びブロックフローティングを考慮した各分割帯
域毎のエネルギ或いはピーク値等を求め、さらに、マス
キング量を考慮したこの各分割帯域毎のエネルギ或いは
ピーク値等に基づいて、各帯域毎に割り当てビット数を
求め、この情報を適応ビット割当符号化回路18に送
る。当該適応ビット割当符号化回路18では、各帯域毎
に割り当てられたビット数に応じて各スペクトルデータ
(或いはMDCT係数データ)を正規化及び量子化する
ようにしている。このようにして符号化されたデータ
は、出力端子19を介して取り出される。
【0071】次に、図6は上記ビット配分算出回路43
の一具体例の概略構成を示すブロック回路図である。こ
の図6において、入力端子21には、上記各非線形処理
回路40,41,42からの周波数軸上のスペクトルデ
ータが供給されている。
【0072】次にこの周波数軸上のスペクトルデータ
は、帯域毎のエネルギ算出回路22に送られて、クリテ
ィカルバンド及びブロックフローティングを考慮した各
分割帯域のエネルギが、例えば当該バンド内での各スペ
クトル成分の振幅値の総和を計算すること等により求め
られる。この各バンド毎のエネルギの代わりに、振幅値
のピーク値、平均値等を用いるようにしてもよい。この
エネルギ算出回路22からの出力として、例えば各バン
ドの総和値のスペクトルを図7の図中SBとして示して
いる。ただし、この図7では、図示を簡略化するため、
上記マスキング量とクリティカルバンド及びブロックフ
ローティングを考慮した分割帯域数を12バンド(B1
〜B12)で表現している。
【0073】ここで、上記スペクトルSBのいわゆるマ
スキングに於ける影響を考慮するために、該スペクトル
SBに所定の重み付け関数を掛けて加算するような畳込
み(コンボリユーション)処理を施す。このため、上記
帯域毎のエネルギ算出回路22の出力すなわち該スペク
トルSBの各値は、畳込みフィルタ回路23に送られ
る。該畳込みフィルタ回路23は、例えば、入力データ
を順次遅延させる複数の遅延素子と、これら遅延素子か
らの出力に乗算係数(重み付け関数)を乗算する複数の
乗算器(例えば各バンドに対応する25個の乗算器)
と、各乗算器出力の総和をとる総和加算器とから構成さ
れるものである。この畳込み処理により、図7の図中点
線で示す部分の総和がとられる。なお、上記マスキング
とは、人間の聴覚上の特性により、ある信号によって他
の信号がマスクされて聞こえなくなる現象をいうもので
あり、このマスキング効果には、時間軸上のオーディオ
信号による時間軸マスキング効果と、周波数軸上の信号
による同時刻マスキング効果とがある。これらのマスキ
ング効果により、マスキングされる部分にノイズがあっ
たとしても、このノイズは聞こえないことになる。この
ため、実際のオーディオ信号では、このマスキングされ
る範囲内のノイズは許容可能なノイズとされる。
【0074】ここで、上記畳込みフィルタ回路23の各
乗算器の乗算係数(フィルタ係数)の一具体例を示す
と、任意のバンドに対応する乗算器Mの係数を1とする
とき、乗算器M−1で係数0.15を、乗算器M−2で
係数0.0019を、乗算器M−3で係数0.0000
086を、乗算器M+1で係数0.4を、乗算器M+2
で係数0.06を、乗算器M+3で係数0.007を各
遅延素子の出力に乗算することにより、上記スペクトル
SBの畳込み処理が行われる。ただし、Mは1〜25の
任意の整数である。
【0075】次に、上記畳込みフィルタ回路23の出力
は引算器24に送られる。該引算器24は、上記畳込ん
だ領域での後述する許容可能な雑音レベルに対応するレ
ベルαを求めるものである。なお、当該許容可能な雑音
レベル(以下、許容ノイズレベルという)に対応するレ
ベルαは、後述するように、逆コンボリューション処理
を行うことによって、クリティカルバンドの各バンド毎
の許容ノイズレベルとなるようなレベルである。ここ
で、上記引算器24には、上記レベルαを求めるための
許容関数(マスキングレベルを表現する関数)が供給さ
れる。この許容関数を増減させることで上記レベルαの
制御を行っている。当該許容関数は、次に説明するよう
な(n−ai)関数発生回路25から供給されているも
のである。
【0076】すなわち、許容ノイズレベルに対応するレ
ベルαは、クリティカルバンドのバンドの低域から順に
与えられる番号をiとすると、次の(1)式で求めるこ
とができる。
【0077】α=S−(n−ai) ・・・(1) この(1)式において、n,aは定数でa>0、Sは畳
込み処理されたバークスペクトルの強度であり、(1)
式中(n-ai)が許容関数となる。本実施例ではn=38,
a=1としており、この時の音質劣化はなく、良好な符
号化が行えた。
【0078】このようにして、上記レベルαが求めら
れ、このデータは、割算器26に伝送される。当該割算
器26では、上記畳込みされた領域での上記レベルαを
逆コンボリユーションするためのものである。したがっ
て、この逆コンボリユーション処理を行うことにより、
上記レベルαからマスキングスペクトルが得られるよう
になる。すなわち、このマスキングスペクトルが許容ノ
イズスペクトルとなる。なお、上記逆コンボリユーショ
ン処理は、複雑な演算を必要とするが、本実施例では簡
略化した割算器26を用いて逆コンボリユーションを行
っている。
【0079】次に、上記マスキングスペクトルは、合成
回路27を介して減算器28に伝送される。ここで、当
該減算器28には、上記帯域毎のエネルギ検出回路22
からの出力、すなわち前述したスペクトルSBが、遅延
回路29を介して供給されている。したがって、この減
算器28で上記マスキングスペクトルとスペクトルSB
との減算演算が行われることで、図8に示すように、上
記スペクトルSBは、該マスキングスペクトルMSのレ
ベルで示すレベル以下がマスキングされることになる。
以下、マスキングされたスペクトルSBを許容雑音レベ
ルという当該減算器28からの出力は、許容雑音補正回
路30を介し、出力端子31から取り出され、例えば割
り当てビット数情報が予め記憶されたROM等(図示せ
ず)に送られる。このROM等は、上記減算回路28か
ら許容雑音補正回路30を介して得られた出力に応じ、
各バンド毎の割り当てビット数情報を出力する。この割
り当てビット数情報が上記適応ビット割当符号化回路1
8に送られることで、MDCT回路13、14、15か
らの周波数軸上の各スペクトルデータがそれぞれのバン
ド毎に割り当てられたビット数で量子化されるわけであ
る。
【0080】すなわち要約すれば、適応ビット割当符号
化回路18では、上記マスキング量を考慮した各分割帯
域のエネルギに応じて割り当てられたビット数で上記各
バンド毎のスペクトルデータを量子化することになる。
なお、遅延回路29は上記合成回路27以前の各回路で
の遅延量を考慮してエネルギ検出回路22からのスペク
トルSBを遅延させるために設けられている。
【0081】ところで、上述した合成回路27での合成
の際に、最小可聴カーブ発生回路32から供給される図
9に示すような人間の聴覚特性であるいわゆる最小可聴
カーブRCを示すデータと、上記マスキングスペクトル
MSとを合成するようにしてもよい。この最小可聴カー
ブRCにおいて、雑音の絶対レベルがこの最小可聴カー
ブRC以下ならば該雑音は聞こえないことになる。この
最小可聴カーブRCは、コーディングが同じであっても
例えば再生時の再生ボリュームの違いで異なるものとな
が、現実的なディジタルシステムでは、例えば16ビッ
トダイナミックレンジへの音楽のはいり方にはさほど違
いがないので、例えば4kHz付近の最も耳に聞こえや
すい周波数帯域の量子化雑音が聞こえないとすれば、他
の周波数帯域ではこの最小可聴カーブのレベル以下の量
子化雑音は聞こえないと考えられる。
【0082】したがって、例えば4kHz付近の雑音が
聞こえない使い方をするとし、この最小可聴カーブRC
とマスキングスペクトルMSとを共に合成することで許
容雑音レベルを得るようにし、この場合の許容雑音レベ
ルは、図9の図中の斜線で示す部分までとすることがで
きる。なお、本実施例では、上記最小可聴カーブの4k
Hzのレベルを、例えば20ビット相当の最低レベルに
合わせている。また、この図9は、信号スペクトルSS
も同時に示している。
【0083】また、上記許容雑音補正回路30では、補
正情報出力回路33から送られてくる例えば等ラウドネ
スカーブの情報に基づいて、上記減算器28からの出力
における許容雑音レベルを補正している。ここで、等ラ
ウドネスカーブとは、人間の聴覚特性に関する特性曲線
であり、例えば1kHzの純音と同じ大きさに聞こえる
各周波数での音の音圧を求めて曲線で結んだもので、ラ
ウドネスの等感度曲線とも呼ばれる。またこの等ラウド
ネス曲線は、図9に示した最小可聴カーブRCと略同じ
曲線を描くものである。この等ラウドネス曲線において
は、例えば4kHz付近では1kHzのところより音圧
が8〜10dB下がっても1kHzと同じ大きさに聞こ
え、逆に、10kHz付近では1kHzでの音圧よりも
約15dB高くないと同じ大きさに聞こえない。このた
め、許容雑音補正回路30において、許容雑音レベル
を、等ラウドネス曲線と同じ周波数特性を持つようにす
るのが良いことがわかる。このようなことから、上記等
ラウドネス曲線を考慮して上記許容雑音レベルを補正す
ることは、人間の聴覚特性に適合していることがわか
る。
【0084】また、補正情報出力回路33において、上
記適応ビット割当符号化回路18での量子化の際の出力
情報量(データ量)と、最終符号化データのビットレー
ト目標値との間の誤差の情報に基づいて、上記許容雑音
レベルを補正する補正データを出力する。これは、全て
のビット割り当て単位ブロックに対して予め一時的な適
応ビット割り当てを行って得られた総ビット数が、最終
的な符号化出力データのビットレートによって定まる一
定のビット数(目標値)に対して誤差を持つことがあ
り、その誤差分を0とするように再度ビット割り当てを
するものである。すなわち、当該目標値よりも総割り当
てビット数が少ないときには、差のビット数を各単位ブ
ロックに割り振って付加するようにし、目標値よりも総
割り当てビット数が多いときには、差のビット数を各単
位ブロックに割り振って削るようにするわけである。
【0085】具体的には、上記総割り当てビット数の上
記目標値からの誤差を検出し、この誤差データに応じて
補正情報出力回路33が各割り当てビット数を補正する
ための補正データを出力する。ここで、上記誤差データ
がビット数の不足を示す場合は、上記単位ブロック当た
り多くのビット数が使われることで上記データ量が上記
目標値よりも多くなっている場合である。また、上記誤
差データが、ビット数の余りを示すデータとなる場合
は、上記単位ブロック当たり少ないビット数で済み、上
記データ量が上記目標値よりも少なくなっている場合で
ある。したがって、上記補正情報出力回路33からは、
この誤差データに応じた上記減算器28からの許容雑音
レベルを、例えば上記等ラウドネス曲線の情報データに
基づいて補正させるための上記補正データが出力され
る。上述のような補正データが、上記許容雑音補正回路
30に伝送されることで、上記減算器28からの許容雑
音レベルが補正される。
【0086】以上説明したような高能率符号化装置で
は、メイン情報として量子化されたスペクトルデータが
出力されると共に、サブ情報としてブロックフローティ
ングの状態を示すスケールファクタ、語長を示すワード
レングスが出力される。もちろん、ワードレングス情報
は必須ではなく、ATCデコーダ73においてスケール
ファクタ情報から求めることもできる。
【0087】ここで、前記ビット配分算出回路43は、
図10のような構成とすることもできる。この図10を
用いて、以上述べたビット配分手法とは異なる次のよう
な有効なビット配分手法について述べる。
【0088】上記図4における各非線形処理回路40,
41,42の出力は、図10の入力端子301を介し
て、帯域毎のエネルギを算出するエネルギ算出回路30
3に送られる。この帯域毎のエネルギ算出回路303で
は、上記臨界帯域(クリティカルバンド)又は高域では
更にクリティカルバンドを分割した帯域毎のエネルギ
が、例えば当該バンド内での各振幅値の2乗平均の平方
根を計算すること等により求められる。なお、この各バ
ンド毎のエネルギの代わりに、振幅値のピーク値や平均
値等を用いるようにしてもよい。また、上記エネルギ算
出回路303からの出力としては、例えば図7に示した
クリティカルバンド又は高域では更にクリティカルバン
ドを分割した帯域毎のスペクトル成分の総和値であるバ
ークスペクトルSBとしてもよい。
【0089】ここで、本実施例において、MDCT係数
を伝送又は記録するのに使えるビット数を例えば100
Kbpsとすると、本実施例ではその100Kbpsを
用いた固定ビット配分パターンを作成する。本実施例に
おいては、上記固定ビット配分のためのビット割り当て
パターンが複数個用意されており、信号の性質によりパ
ターンを選択することが出来るようになっている。本実
施例では、上記100Kbpsに対応する短い時間のビ
ット量を各周波数に分布させた種々のパターンを、固定
ビット配分回路305が持っている。当該固定ビット配
分回路305は、特に、中低域と高域とのビット配分率
を違えたパターンを複数個有している。そして、信号の
大きさが小さいほど、高域への割り当て量が少ないパタ
ーンを選択するようにする。このようにすることで、小
さい信号の時ほど高域の感度が低下するラウドネス効果
を生かせる。なお、このときの信号の大きさとしては、
全帯域の信号の大きさを使用することも出来るが、例え
ばQMF等のフィルタ出力若しくはMDCT処理した出
力を利用することもできる。なお、MDCT係数を伝送
又は記録するのに使えるビット数(使用可能なビット数
の100Kbps)は、例えば使用可能総ビット数出力
回路302で設定される。この使用可能総ビット数は、
外部から入力することも可能である。
【0090】また、エネルギ依存のビット配分は、上記
100Kbpsに対応する短い時間のエネルギのdB値
に対してブロック毎に予め定められた係数をかけて重み
付けを行ない、このようにして得られた値に比例するよ
うに行なわれる。ここで、上記重み付け係数を低域に対
して大きな値になるように設定することにより、低域に
より多くのビットが割り当てられる事になる。なお、こ
のエネルギ依存のビット配分は、上記エネルギ算出回路
303の出力が供給されるエネルギ依存ビット配分回路
304が行っている。
【0091】すなわち、このエネルギ依存ビット配分回
路304においては、上記固定ビット配分回路305と
同様に重み付け係数を複数パターン用意し、この複数パ
ターンを入力信号によって切り替えるようにしたり、或
いは、例えば二つの重み付け係数のパターンを入力信号
によって内挿した重み付けパターンを用いてエネルギ依
存のビット配分を計算する。このように、本実施例にお
いては、入力信号によって重み付けの係数を変化させる
ことにより、より聴感に適合したビット割り当てが可能
となり、音質向上を図ることができる。
【0092】この図10において、上述したような固定
ビット配分パターンへの配分と例えばバークスペクトル
(スペクトルSB)に依存したビット配分との分割率
は、信号スペクトルの滑らかさを表す指標により決定さ
れる。すなわち、本実施例では、上記エネルギ算出回路
303の出力をスペクトル滑らかさ算出回路308に送
り、当該スペクトル滑らかさ算出回路308において、
信号スペクトルデータの隣接値間の差の絶対値の和を信
号スペクトルデータの和で割った値を指標として算出
し、この指標が上記ビット配分の分割率を求めるビット
分割率決定回路309に送られる。
【0093】上記ビット分割率決定回路309からの分
割率データは、上記固定ビット配分回路305の出力が
供給される乗算器312と、上記エネルギ依存ビット配
分回路304の出力が供給される乗算器311とに送ら
れる。これら乗算器312,311の出力が和算出回路
306に送られる。すなわち、固定ビット配分と帯域毎
の臨界帯域(クリティカルバンド)又は高域では更にク
リティカルバンドを分割した帯域毎のスペクトルのエネ
ルギに依存したビット配分の値の和が、上記和算出回路
306で演算されて、この演算結果が出力端子(各帯域
のビット割り当て量出力端子)307から適応ビット割
当符号化回路18に送られて量子化の際に使用される。
【0094】このときのビット割当の様子を図11,図
13に示す。また、これに対応する量子化雑音の様子を
図12,図14に示す。なお、図11,図12は信号の
スペクトルが割合平坦である場合を示し、図13,図1
4は信号スペクトルが高いトーナリティーを示す場合を
示している。また、図11及び図13の図中QS はエネ
ルギ依存分のビット量を示し、図中QF は固定ビット割
り当て分のビット量を示している。図12及び図14の
図中Lは信号レベルを示し、図中NS はエネルギ依存分
による雑音低下分を、図中NF は固定ビット割り当て分
による雑音レベルを示している。
【0095】上記信号のスペクトルが割合平坦である場
合を示している図11及び図12において、通常、多量
の固定ビット割り当て分によるビット割り当ては、全帯
域にわたって大きい信号対雑音比を取るために役立つ。
しかし、この図11,図12のような場合、低域及び高
域では比較的少ないビット割り当てが使用されるように
なる。これは、聴覚的にこの帯域の重要度が小さいため
である。また、このとき、図11の図中QS に示すよう
に、若干のエネルギ依存のビット配分を行なう分(ビッ
ト)によって、信号の大きさが大きい帯域の雑音レベル
が選択的に低下させられる。したがって、信号のスペク
トルが割合平坦である場合には、この選択性も割合広い
帯域に渡って働くことになる。
【0096】これに対して図12,図14に示すよう
に、信号スペクトルが高いトーナリティを示す場合に
は、図12の図中QS に示すように、多量のエネルギ依
存のビット配分を行なう分(ビット)による量子化雑音
の低下は極めて狭い帯域(図14の図中NS で示す帯
域)の雑音を低減するために使用される。これにより孤
立スペクトル成分を有する入力信号に対する量子化雑音
の特性の向上が達成される。また、同時に若干の固定ビ
ット割り当て分によるビット配分を行なう分(ビット)
により、広い帯域の雑音レベルが非選択的に低下させら
れる。
【0097】ブロック選択回路20は、十分に信号対雑
音比の取れないブロックを検出し、非線形処理回路4
0,41,42はそれぞれブロック選択回路20で検出
されたブロックに対し、次のような非線形信号処理を行
って量子化雑音を低減させる。すなわち、MDCT変換
出力である周波数軸上のスペクトルデータは、上記マス
キング量とクリティカルバンド及びブロックフローティ
ングを考慮した各分割帯域毎に、最大スペクトルデータ
に比較して小さいスペクトルデータの大きさをより大き
くするかゼロとする変換処理が行われる。
【0098】これについて図15を用いて説明する。
【0099】この図15には、あるブロックフローティ
ングの為の周波数ブロックn及びn+1のように、周波
数ブロックni(iは整数)それぞれに5本のスペクト
ルデータ(成分)が存在する場合が示されている。周波
数ブロックnの場合には、各スペクトル成分の大きさが
似通ったものであるため、ブロックフローティン及び各
スペクトル成分に共通の語長で量子化を行ったときに各
スペクトル成分の信号対雑音比が略同一となり、周波数
ブロックn内のスペクトル成分に共通のブロックフロー
ティング情報と語長情報を用いても、効率的に各スペク
トル成分に対して高い信号対雑音比を与えることができ
る。
【0100】これに比して、周波数ブロックn+1の場
合には、各スペクトル成分の大きさが似通っておらず特
に数少ないスペクトル成分が他の多数のスペクトル成分
よりも飛び抜けて大きい場合には、十分な信号対雑音比
が得られるスペクトル成分は少数となる。残りの多数の
スペクトル成分は著しく低い信号対雑音比を有すること
になる。この場合、レベルの大きいスペクトル成分によ
るマスキング効果が期待できそうであるが、このような
孤立したスペクトル成分のマスキング効果は雑音成分に
よるマスキング効果に比して著しく小さいことが知られ
ている。この結果、信号対雑音比の小さいスペクトル成
分は全体的に音質の劣化要因となる。
【0101】本発明では、このような信号対雑音比の大
きく取れないスペクトル成分についてはマスキングの効
果を判定して、もしもマスキングが効き難い場合には、
信号対雑音比の大きく取れないスペクトル成分は量子化
雑音が発生しないようにゼロビット配分を行って、量子
化値がゼロとなるようにするか、若しくはビット配分を
行う場合には信号対雑音比を大きくするようにスペクト
ル成分を大きくなるように変形した後に適応ビット割当
符号化回路18で正規化及び量子化処理を行うようにす
る。
【0102】非線形処理回路40,41,42の動作を
図16を用いて説明する。なお、周波数ブロックn+1
は、ブロック選択回路20によって非線形処理を行うブ
ロックとして選択されているものとする。
【0103】この図16において、ブロックフローティ
ングの為の周波数ブロックn+1のスペクトル成分A,
B,C,D,Eの5本について考える。この場合、スペ
クトル成分Bが最大値を与えるので、正規化のレベルは
このスペクトル成分Bで決定される。
【0104】次に、正規化レベルから概略12dB低い
レベルとして第1の比較レベルを、18dB低いレベル
として第2の比較レベルを設定する。そして、第1の比
較レベルと第2の比較レベルの間のレベルのスペクトル
成分については、信号対雑音比を大きくするためにスペ
クトル成分の大きさを大きくする。上記スペクトル成分
の大きさを大きくする方法としては、正規化レベルから
6dB小さいレベルとする。
【0105】図16に示すように、このときスペクトル
成分Aは第2の比較レベルよりも小さい値を持つために
更に小さくされてスペクトル成分A’のように量子化出
力がゼロとなるようにされる。スペクトル成分Bは最大
値を持つため、なんらの変更をされない。スペクトル成
分Cは第1の比較レベルと第2の比較レベルの間にある
ため、大きくされてスペクトル成分C’のように変更す
る。以下、スペクトル成分D,Eは第2の比較レベルよ
りも小であるため、小さくされて量子化出力はゼロとな
る。なお、図16には無いが、第1の比較レベルよりも
大きいスペクトル成分については、そのままの値でも充
分に信号対雑音比が得られるため、特に処理は行われな
い。
【0106】このとき別の方法としては、第1及び第2
の比較レベルが、周波数ブロック内最大スペクトル成分
の値により可変であるようにすることもできる。その方
法としては、周波数ブロック内の最大スペクトル成分の
値が大きいほど第1の比較レベルが低下するようにする
か、又は周波数ブロック内の最大スペクトル成分の値が
大きいほど第2の比較レベルが上昇するようにさせる。
更には 周波数ブロック内の最大スペクトル成分の値が
大きいほど、第1の比較レベルが低下し、第2の比較レ
ベルが上昇する様にすることもできる。このように、第
1及び/又は第2の比較レベルを、周波数ブロック内の
最大スペクトル成分の値に応じて可変とすることによ
り、より聴覚に適合した選択が可能となる。また、音質
の変化は大きくなるが、第1の比較レベルより小さい値
のスペクトル成分については、すべてその量子化値がゼ
ロとなるように、各スペクトル成分をより小さい値とす
るようにしてもよい。
【0107】ブロック選択回路20において、以上のよ
うな非線形処理を周波数ブロック内で行うかどうかを決
める方法としては、ブロック選択回路20を上述したビ
ット配分算出回路43と同様の構成とし、MDCT回路
13,14,15の出力を用いて、仮のビット配分を演
算し、この仮のビット配分により決まる各周波数ブロッ
クの語長に基づいて選択しても良い。具体的には、量子
化雑音レベルが正規化レベルから24dB以下となる周
波数ブロックすなわち語長が4ビット以下となる周波数
ブロックのみを非線形処理の対象とする。
【0108】ブロック選択回路20において、以上のよ
うな非線形処理を周波数ブロック内で行うかどうかを決
める別の方法としては、各周波数ブロックのトーナリテ
ィを用いる方法がある。例えば、スペクトル成分の大き
さが大きい方から少なくとも一つのスペクトル成分の実
効値と残りのスペクトル成分の実効値との比をトーナリ
ティとして求めることにより判定する方法を用いる。
【0109】ここで、本実施例では、この判定の際の実
効値の比として、スペクトル成分の大きさが最大となる
スペクトル成分すなわち最大の信号対雑音比を持つスペ
クトル成分の実効値と残りのスペクトル成分の実効値と
の比が10dB以上ある場合であり、かつ、周波数ブロ
ック内の最大スペクトル成分の値があるレベル以上であ
るときに非線形処理を行う周波数ブロックとして選択す
るようにする。本実施例では、ピークレベルから−40
dBを、このレベルとする。これにより、聴覚的にみて
違和感が起こり難い低レベル信号での不必要な処理を避
けることができる。
【0110】また、このような非線形処理を行う周波数
帯域を特定の周波数帯域に限定することもできる。特に
非線形処理を行う帯域を高域に限定することで音質の変
化を最小限に止めることができる。このような非線形処
理が行われた後、実際のビット配分がビット配分算出回
路43で実行される。非線形処理により増大したスペク
トル成分とゼロとされたスペクトル成分を考慮して最終
的なビット配分が決定される。
【0111】以上説明したように、本実施例では、ブロ
ック内の最大値を除く信号成分の内、値の大きい成分に
ついては、その値をより大きくするような非線形処理を
行うことにより、信号対雑音比を大きくしてマスキング
効果を大きくすることができる。
【0112】また、ブロック内の最大値を除く信号成分
の内、値の小さい成分については、その量子化値がゼロ
になるように、その値をより小さくするような非線形処
理を行うことにより、信号対雑音比の小さい信号から雑
音を発生しないようにすることができる。
【0113】また、仮のビット配分により決まる語長が
ある長さ以下のブロックのみを上述の非線形処理の処理
対象とすることにより、音質劣化を最小に抑えることが
できる。
【0114】さらに、上述の非線形処理を行うブロック
を、各ブロックのトーナリティに基づいて選択するよう
にしたことにより、必要なブロックのみを処理対象とす
ることができ、音質の変化を最小に抑えることができ
る。また、この時のトーナリティを、ブロック内信号成
分の内の少なくとも最大の信号対雑音比を持つ成分と、
その成分を除いたブロック内信号成分とから得られた
値、例えば、それぞれの成分の実効値の比から求めるこ
とにより、聴覚的にみて、マスキング効果の期待できな
いブロックのみを選択することができる。
【0115】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
るものではなく、例えば、ディジタルオーディオ信号の
みならず、ディジタル音声(スピーチ)信号やディジタ
ルビデオ信号等の信号処理装置にも適用可能である。ま
た、上述した最小可聴カーブの合成処理を行わない構成
としてもよい。この場合には、最小可聴カーブ発生回路
32、合成回路27が不要となり、上記引算器24から
の出力は、割算器26で逆コンボリューションされた
後、直ちに減算器28に伝送されることになる。また、
ビット配分手法は多種多様であり、最も簡単には固定の
ビット配分若しくは信号の各帯域エネルギによる簡単な
ビット配分若しくは固定分と可変分を組み合わせたビッ
ト配分など使うことができる。また、光磁気ディスク1
を定常速度よりも速い回転速度で駆動することにより、
ビット圧縮率よりもさらに高速のダビングを行わせても
よい。この場合には、データ転送速度の許す範囲で高速
ダビングを行わせることができる。
【0116】次に、本発明のディジタル信号処理方法に
おける高能率符号化に対応する高能率復号化処理を具体
的に実現する高能率復号化装置を図17に示す。
【0117】この図17において、入力端子152,1
54,156には前述した高能率符号化処理が施された
メイン情報である符号化データが供給され、これら符号
化データがそれぞれ対応する復号化回路146,14
7,148に送られる。また、各復号化回路146,1
47,148には、それぞれ対応する端子153,15
5,157を介してサブ情報である情報圧縮パラメータ
も供給される。これら各復号化回路146,147,1
48では、上記情報圧縮パラメータを用いて上記符号化
データの復号化を行って、周波数軸上のスペクトルデー
タを復元する。
【0118】上記各復号化回路146,147,148
からの出力データは、それぞれ対応するIMDCT回路
143,144,145に送られる。これらIMDCT
回路143,144,145では前述したMDCT処理
に対応する逆変換であるIMDCT処理が行われる。す
なわち、上記復号化回路146,147,148からの
スペクトルデータの内の0〜5.5kHz帯域のスペク
トルデータに対しては、IMDCT回路145におい
て、また5.5〜11kHz帯域のスペクトルデータは
IMDCT回路144において、さらに11〜22kH
z帯域のスペクトルデータはIMDCT回路143にお
いて、それぞれIMDCT処理が施される。
【0119】さらに、上記IMDCT回路143の出力
は、前記帯域分割フィルタ11と逆の処理を行う帯域合
成フィルタ(IQMF)回路141に送られる。また、
IMDCT回路144、145の出力は、前記帯域分割
フィルタ12と逆の処理を行う帯域合成フィルタ(IQ
MF)回路142に送られる。この帯域合成フィルタ回
路142の出力も、上記帯域合成フィルタ回路141に
送られる。したがって、当該帯域合成フィルタ回路14
1からは、前記各帯域に分割された信号が合成されたデ
ィジタルオーディオ信号が得られることになる。このデ
ィジタルオーディオ信号が出力端子140から出力され
る。
【0120】
【発明の効果】すなわち、以上の説明からも明らかなよ
うに、本発明のディジタル信号処理方法及び装置におい
ては、例えビット配分量の不足のために信号対雑音比が
十分でない場合にも、ブロックフローティングの為のブ
ロック内の最大値を持つスペクトル成分からの大きさの
差によって、その差が小さい場合にはスペクトル成分の
大きさを大きくなるように変更するか、その差が大きい
場合には量子化値をゼロとすることによって、量子化雑
音の音質に与える影響を低減する事が可能である。した
がって、本発明においては、例えばトランペット音の信
号のように、高能率符号化においてフローティングブロ
ック内のトーナリティが大きい音の信号に対する量子化
雑音を低減して音質劣化を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディジタル信号処理方法を実現する一
実施例としての圧縮データのディスク記録再生装置の構
成例を示すブロック回路図である。
【図2】光磁気ディスクとICカードの記録内容を示す
図である。
【図3】本実施例装置の外観の一例を示す概略的な正面
図である。
【図4】本実施例のビットレート圧縮符号化に使用可能
な高能率圧縮符号化装置の一具体例を示すブロック回路
図である。
【図5】ビット圧縮の各モードでの処理ブロックのデー
タ構造をあらわす図である。
【図6】ビット配分演算を行う一具体例のブロック回路
図である。
【図7】各臨界帯域及びブロックフローティングを考慮
して分割された帯域のスペクトルを示す図である。
【図8】マスキングスペクトルを示す図である。
【図9】最小可聴カーブ、マスキングスペクトルを合成
した図である。
【図10】第2のビット配分法を実現する構成のブロッ
ク回路図である。
【図11】第2のビット配分法において、信号スペクト
ルが平坦なときのノイズスペクトルを示す図である。
【図12】第2のビット配分法において、信号スペクト
ルが平坦なときのビット割当を示す図である。
【図13】第2のビット配分法において、信号スペクト
ルトのトーナリティが高いときのノイズスペクトルを示
す図である。
【図14】第2のビット配分法において、信号スペクト
ルのトーナリティが高いときのビット割当を説明するた
めの図である。
【図15】信号のトーナリティの違いにより生ずる信号
対雑音比の違いを説明するための図である。
【図16】信号対雑音比の低いブロックに対して適応す
る非線形変換を説明するための図である。
【図17】本実施例のビットレート圧縮符号化に使用可
能な高能率圧縮符号化装置の一具体例を示すブロック回
路図である。
【符号の説明】
1 光磁気ディスク 2 ICカード 3 追加圧縮伸張ブロック 5 録音再生装置 6 光磁気ディスクスロット 7 ICカードスロット 11、12 帯域分割フイルタ 13、14、15 直交変換(MDCT)回路 18 適応ビット割当符号化回路 20 ブロック選択回路 22 帯域毎のエネルギ検出回路 23 畳込みフイルタ回路 27 合成回路 28 減算器 30 許容雑音補正回路 32 最小可聴カーブ発生回路 33 補正情報出力回路 40,41,42 非線形処理回路 43 ビット配分算出回路 53 光学ヘッド 54 磁気ヘッド 56 サーボ制御回路 57 システムコントローラ 62、83 A/D変換器 63 ATCエンコーダ 64、72、85 メモリ 65 エンコーダ 66 磁気ヘッド駆動回路 71 デコーダ 73 ATCデコーダ 74 D/A変換器 84 剰余ビット除去及び語長ゼロ処理回路 85 RAM 121 ローパスフィルタ 122、123 帯域分割フィルタ 124 高域信号処理回路 125 ダウンサンプリング回路 126、127、128 MDCT回路 129 ビット配分回路 141 142 帯域合成フィルタ 143 144 145 逆直交変換回路 146 147 148 復号化回路 301 帯域毎のエネルギ算出回路 302 スペクトルの滑らかさ算出回路 304 ビット分割率決定回路 305 使用可能な総ビット数 306 エネルギ依存のビット配分回路 307 固定のビット配分回路 308 ビットの和演算回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−304030(JP,A) 特開 平5−90972(JP,A) 特開 昭64−24515(JP,A) 特開 昭60−106228(JP,A) 特開 平6−164408(JP,A) 特開 平6−244738(JP,A) 特開 平7−30432(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 7/30 G10L 19/00 G11B 20/10 301

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ディジタル信号を、有限時間幅と有
    限周波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に
    変換する変換ステップと、 上記複数のブロックのうちの一部のブロックを選択する
    ブロック選択ステップと、 上記ブロック選択ステップにて選択したブロック内のス
    ペクトル成分を非線形処理する非線形処理ステップと、 上記非線形処理ステップにて非線形処理されたスペクト
    ル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量
    子化ステップとを有し、 上記 非線形処理ステップで、上記ブロック内の少なく
    とも最大値を与えるスペクトル成分を除くスペクトル成
    分を大きくすることを特徴とするディジタル信号処理方
    法。
  2. 【請求項2】 入力ディジタル信号を、有限時間幅と有
    限周波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に
    変換する変換ステップと、 上記複数のブロックのうちの一部のブロックを選択する
    ブロック選択ステップと、 上記ブロック選択ステップにて選択したブロック内のス
    ペクトル成分を非線形処理する非線形処理ステップと、 上記非線形処理ステップにて非線形処理されたスペクト
    ル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量
    子化ステップとを有し、 上記 非線形処理ステップでは、上記ブロック内の少なく
    とも最大の信号対雑音比を持つスペクトル成分を除く
    ペクトル成分を、そのスペクトル成分の上記量子化ステ
    ップによる量子化値がゼロになるように処理することを
    特徴とするディジタル信号処理方法。
  3. 【請求項3】 入力ディジタル信号を、有限時間幅と有
    限周波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分に
    変換する変換ステップと、 上記複数のブロックのうちの一部のブロックを選択する
    ブロック選択ステップと、 上記ブロック選択ステップにて選択したブロック内のス
    ペクトル成分を正規化 した後に非線形処理する非線形処
    理ステップと、 上記非線形処理ステップにて非線形処理されたスペクト
    ル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量
    子化ステップとを有し、 上記 非線形処理ステップでは、上記正規化における正規
    化レベルより小さい第1の比較レベルと当該第1の比較
    レベルより小さい第2の比較レベルの間の大きさを持つ
    スペクトル成分に対しては、そのスペクトル成分を大き
    くするか又はそのスペクトル成分の上記量子化ステップ
    による量子化値がゼロになるようにし、上記第2の比較
    レベルより小さい値のスペクトル成分に対しては、その
    スペクトル成分の上記量子化ステップによる量子化値が
    ゼロとなるように処理することを特徴とするディジタル
    信号処理方法。
  4. 【請求項4】 上記第1の比較レベル及び第2の比較レ
    ベルは、上記ブロック内の最大のスペクトル成分の値に
    応じて可変とすることを特徴とする請求項記載のディ
    ジタル信号処理方法。
  5. 【請求項5】 上記ブロック内の最大のスペクトル成分
    の値が大きいほど、上記第1の比較レベルが低下し、及
    び/又は、上記第2の比較レベルが上昇することを特徴
    とする請求項記載のディジタル信号処理方法。
  6. 【請求項6】 上記ブロック選択ステップでは、上記
    線形処理前の上記スペクトル成分に基づいて求められた
    ビット配分によって決定される語長が、予め設定された
    語長よりも短いブロックを、上記非線形処理を行うブロ
    ックとして選択することを特徴とする請求項記載のデ
    ィジタル信号処理方法。
  7. 【請求項7】 上記ブロック選択ステップでは、ブロッ
    ク内の最大のスペクトル成分の値に基づいて、上記非線
    形処理を行うブロックを選択することを特徴とする請求
    記載のディジタル信号処理方法。
  8. 【請求項8】 上記ブロック選択ステップでは、ブロッ
    クの最大のスペクトル成分の値が所定値以上のとき、当
    該ブロックを上記非線形処理を行うブロックとして選択
    することを特徴とする請求項記載のディジタル信号処
    理方法。
  9. 【請求項9】 上記ブロック選択ステップでは、ブロッ
    クのトーナリティに基づいて、上記非線形処理を行うブ
    ロックを選択することを特徴とする請求項記載のディ
    ジタル信号処理方法。
  10. 【請求項10】 上記トーナリティは、ブロック内のス
    ペクトル成分の内の少なくとも最大の信号対雑音比を持
    つ成分でなる第1の成分と、当該第1の成分を除くブロ
    ック内のスペクトル成分でなる第2の成分とに基づいて
    求めることを特徴とする請求項記載のディジタル信号
    処理方法。
  11. 【請求項11】 上記トーナリティは、上記第1の成分
    から得られた第1の値と、上記第2の成分から得られた
    第2の値との比であることを特徴とする請求項10記載
    のディジタル信号処理方法。
  12. 【請求項12】 入力ディジタル信号を、有限時間幅と
    有限周波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分
    に変換する変換手段と、 上記複数のブロックのうちの一部のブロックを選択する
    ブロック選択手段と、 上記ブロック選択手段によって選択したブロック内のス
    ペクトル成分を非線形処理する非線形処理手段と、 上記非線形処理手段によって非線形処理されたスペクト
    ル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量
    子化手段とを有し、 上記 非線形処理手段は、上記ブロック内の少なくとも最
    大値を与えるスペクトル成分を除くスペクトル成分を大
    きくすることを特徴とするディジタル信号処理装置。
  13. 【請求項13】 入力ディジタル信号を、有限時間幅と
    有限周波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分
    に変換する変換手段と、 上記複数のブロックのうちの一部のブロックを選択する
    ブロック選択手段と、 上記ブロック選択手段によって選択したブロック内のス
    ペクトル成分を非線形処理する非線形処理手段と、 上記非線形処理手段によって非線形処理されたスペクト
    ル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量
    子化手段とを有し、 上記 非線形処理手段は、上記ブロック内の少なくとも最
    大の信号対雑音比を持つスペクトル成分を除くスペクト
    成分を、そのスペクトル成分の上記量子化手段による
    量子化値がゼロになるようにすることを特徴とするディ
    ジタル信号処理装置。
  14. 【請求項14】 入力ディジタル信号を、有限時間幅と
    有限周波数幅を持つ複数のブロック内のスペクトル成分
    に変換する変換手段と、 上記複数のブロックのうちの一部のブロックを選択する
    ブロック選択手段と、 上記ブロック選択手段によって選択したブロック内のス
    ペクトル成分を正規化した後に非線形処理する非線形処
    理手段と、 上記非線形処理手段によって非線形処理されたスペクト
    ル成分を持つブロックのスペクトル成分を量子化する量
    子化手段とを有し、 上記 非線形処理手段は、上記正規化における正規化レベ
    ルより小さい第1の比較レベルと当該第1の比較レベル
    より小さい第2の比較レベルの間の大きさを持つスペク
    トル成分に対しては、そのスペクトル成分を大きくする
    か又はそのスペクトル成分の上記量子化手段による量子
    化値がゼロになるようにし、上記第2の比較レベルより
    小さい値のスペクトル成分に対しては、そのスペクトル
    成分の上記量子化手段による量子化値がゼロとなるよう
    にすることを特徴とするディジタル信号処理装置。
  15. 【請求項15】 上記第1の比較レベル及び第2の比較
    レベルは、上記ブロック内の最大のスペクトル成分の値
    に応じて可変とすることを特徴とする請求項14記載の
    ディジタル信号処理装置。
  16. 【請求項16】 上記ブロック内の最大のスペクトル成
    分の値が大きいほど、上記第1の比較レベルが低下し、
    及び/又は、上記第2の比較レベルが上昇することを特
    徴とする請求項15記載のディジタル信号処理装置。
  17. 【請求項17】 上記ブロック選択手段は、上記非線形
    処理前の上記スペクトル成分に基づいて求められたビッ
    ト配分によって決定される語長が、予め設定された語長
    よりも短いブロックを、上記非線形処理を行うブロック
    として選択することを特徴とする請求項14記載のディ
    ジタル信号処理装置。
  18. 【請求項18】 上記ブロック選択手段は、ブロック内
    の最大のスペクトル成分の値に基づいて、上記非線形処
    理を行うブロックを選択することを特徴とする請求項
    記載のディジタル信号処理装置。
  19. 【請求項19】 上記ブロック選択手段は、ブロックの
    最大のスペクトル成分の値が所定値以上のとき、当該ブ
    ロックを上記非線形処理を行うブロックとして選択する
    ことを特徴とする請求項18記載のディジタル信号処理
    装置。
  20. 【請求項20】 上記ブロック選択手段は、ブロックの
    トーナリティに基づいて、上記非線形処理を行うブロッ
    クを選択することを特徴とする請求項14記載のディジ
    タル信号処理装置。
  21. 【請求項21】 上記トーナリティは、ブロック内のス
    ペクトル成分の内の少なくとも最大の信号対雑音比を持
    つ成分でなる第1の成分と、当該第1の成分を除くブロ
    ック内のスペクトル成分でなる第2の成分とに基づいて
    求めることを特徴とする請求項20記載のディジタル信
    号処理装置。
  22. 【請求項22】 上記トーナリティは、上記第1の成分
    から得られた第1の値と、上記第2の成分から得られた
    第2の値との比であることを特徴とする請求項21記載
    のディジタル信号処理装置。
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