本発明は、一般的に歯科インプラントの分野に関し、より詳細には内部連結インプラントに関する。本発明はまた、内部連結インプラントと補完アバットメントの組み合わせ体、及びアバットメントに関する。
現在、幅広い種類の歯科インプラントが業界で存在する。かかる歯科インプラントは、一般的に患者の口内にインプラントを取り付けかつ保持するためのおねじを持つ本体を含む。インプラントの設置は、ラチェットまたは他の回転手段のような駆動部材を用いる予め穿孔またはタップされた部位中へのインプラントの回転を含む。インプラントはまた、外部的にまたは内部的に設けられることができる駆動領域を含む。インプラントを外部的及び内部的に駆動するための種々の構造が、現在、存在する。
多くの内部的に駆動される歯科インプラントは、インプラントとアバットメントの間の満足のいくトルク伝達と安定性を提供するけれども、インプラント連結欠陥が存在し続ける。従って、インプラント連結欠陥を最少にすることができる構造により改善されたトルク伝達とインプラント/アバットメント安定性を与える内部連結または内部的に駆動されるインプラントに対する継続する要求がある。業界において多数のインターフェイスが存在しており、それらの中でUS6733291(Nobel Biocare)またはEP1763324(Keystone Dental Inc)は近い例を開示する。
インプラントシステムへのアバットメントの固定での一つの側面は、ある状況ではアバットメントがインプラントインターフェイスと整合するのが容易でないことである。もし正確に整合されないなら、アバットメントがインプラントにねじにより固定されるときにアバットメントまたはさらにはインプラント欠陥の危険が増大される。なぜなら負荷が適切に分配されないであろうからである。患者の口のある部分へのアクセス、並びに口部領域内の可視性は、インプラントへのアバットメントの適切な整合及び続く固定を容易にする解決策を与えることを望ましいものにする。この問題に対する解決策、特に小さな半径を持つインプラントシステムに対する業界の要求がある。小さな半径を持つインプラントに対しては、解決策に対する要求は、おそらくさらにより大きい。なぜなら連結領域を提供するために利用できる材料がより制限されるからである。
本発明の目的は、特に小さなインプラント半径または直径を可能にする内部連結歯科インプラントを提供することである。
本発明のこの及び他の目的は、図面、好適な実施態様の説明、及び添付請求項を参照すると明らかとなるであろう。
本発明は、添付の独立請求項に規定される。実施態様は、添付の従属請求項に規定される。
図1は、本発明によるアバットメント及び歯科インプラントを示す側面図である。
図2aは、図1のアバットメントの透視図である。
図2bは、図1のアバットメントの拡大された部分側面図である。
図3は、組み立てられた状態のときの本発明による歯科インプラント/アバットメントの断面側面図である。
図4aは、結合ねじにより歯科インプラントに結合される図1のアバットメントを示す側面図である。
図4bは、本発明による歯科インプラント及びドライバーの側面図である。
図5は、固定された状態のときの本発明による歯科インプラント/アバットメントの断面側面図である。
図6は、組み立てられたアバットメントとインプラントの透視図である。
図7aは、インプラントとかみ合うアバットメントの平面図である。
図7bは、インプラントの上面図である。
図7cは、本発明のアバットメントの一実施態様の底面図である。
図7dは、図7cのアバットメントの外部輪郭を示す。
図8は、歯科インプラントの断面側面図である。
図1は、歯科インプラント20の一実施態様を示す。この実施態様では、インプラント20は、インプラント本体32を含み、それは下方部34及びカラー36を含む。インプラント20は、種々のタイプのセラミックのような他の材料が使用されることができるけれども、チタンから作られることができる。下方部34は、先細りであることができ、かつ下方部34の外表面35上に設けられている一対のねじ山(インプラント保持手段)38を含むことができる。以下に説明されるように、図示された実施態様は、各々がインプラントの周りに螺旋形に延びる一対のねじ山38を含むけれども、一部変更された実施態様は、より多いまたは少ないねじ山を含むことができる。加えて、以下に説明されるように、本体32は、一般的に円錐形または先細りであるように示されている。しかし、他の実施態様では、本体32は、実質的に円筒形または他の形状であることができる。歯科インプラント20は、基部端22、基部端22に略隣接した基部部分26、末梢端24、及び末梢端24に略隣接した末梢部分28を含むことができる。
図示された実施態様では、インプラント本体32は、オッセオインテグレーションを促進するように構成されることができる外表面または骨付着生長表面40を含む。一実施態様では、骨付着生長表面40は、本体32の表面積を増やすことによりオッセオインテグレーションを促進するように形成される。これに関して、骨付着生長表面40は、例えば酸腐食、グリットブラスト、及び/または機械加工のような幾つかの異なる態様でインプラント本体32を粗面化することにより形成されることができる。これに代えて、骨付着生長表面40は、オッセオインテグレーションを促進するためにその下にある表面をある物質で被覆することにより形成されることができる。ある実施態様では、これはインプラント本体32の表面積を減らすことまたは増やすことをもたらすことができる。リン酸トリカルシウム(TCP)及びヒドロキシアパタイト(HA)のようなリン酸カルシウムセラミックは、外表面40の化学的性質を変えることによりオッセオインテグレーションを強化することができる材料の例である。他の実施態様では、外表面40は、オッセオインテグレーションを促進するように形成されかつ単独でまたは上述の粗面化及び/または被覆と組み合わせて使用されることができる例えばねじ山、マイクロねじ山、凹み、及び/または溝のような肉眼で見える構造を含むことができる。一実施態様では、外表面40は、低マイクロメーター範囲の開放細孔を持つ高度に結晶質のかつリン酸塩に富んだ酸化チタン微細構造をした表面のような微細構造表面を含む。かかる表面の一例は、Nobel Biocare AB(登録商標)により、TiUnite(登録商標)の商標の下で販売されている。別の実施態様では、ジルコニウムセラミック本体が微細構造表面を提供するために多孔性ジルコニウムで被覆されることができることは特に有利である。別の実施態様では、微細構造表面はオッセオインテグレーションを促進するように形成された物質(例えば骨生長刺激物質)で被覆されることができる。
続いて図1に関して、カラー36は下方部34の上に位置することができ、図示された実施態様では、下方部34と共に一体的に形成されるかまたは下方部34に永久的に取り付けられることができる。カラー36は、少なくとも部分的に側壁44により規定されることができる。図示された実施態様では、側壁44は、カラー36の側壁44の周りに円周状に配置されている二つの半円形溝46を含む。半円形溝46は、患者の歯茎の軟組織のような軟組織のための追加の生長表面を提供することができる。一実施態様では、半円形溝46は約150ミクロンの幅及び約50ミクロンの深さを持つ。溝46は、一つ以上の溝46がカラー36の実質的部分を占めるような寸法であることができる。図1の図示された実施態様では、二つの溝46は、カラー36の実質的部分(例えば全面積の50%より多く)を占めるものとして示されている。一部変更された実施態様では、カラー36は、より多いまたは少ない溝を備えることができ、または溝を持たないことができ、及び/または異なる寸法及び形状を持つ溝を備えることができる。他の実施態様では、周囲突起またはマイクロねじ山がカラー36上に設けられることができる。一般的に、カラー36上のかかる構造は、インプラント20が挿入されるがインプラント20のねじ山38に比べたときにより少ない範囲まで挿入されるより硬い皮質骨に負荷をかけるために有利な形状をしており、それらは、皮質骨の下に位置した海綿状の網状組織骨と係合するように構成されることができる。他の実施態様では、カラー36は、例えば内向きに先細りとなったりまたは逆先細り側壁を持つ非円筒形状であることができる。
図1に示された実施態様では、ねじ山38のそれぞれは、面58により連結されている末梢フランク54と基部フランク56を含む。上述のように、図示された歯科インプラント20は、末梢端24の対向側面で始まりかつインプラント本体32の下方端34に沿って対向位置を維持しながら下方部34に沿って基部端22に向けて進行する一対のねじ山38を含む。従って、図示された実施態様では、ねじ山38のそれぞれは同じピッチを持つ。図示された実施態様は二つのねじ山38を示すけれども、一つまたは三つのような他の好適な数のねじ山も使用されることができることは認められるであろう。
図示された実施態様では、ねじ山38のそれぞれの面58は、ねじ山38が歯科インプラント20の末梢端24から基部端22に進行するにつれて厚さTを増加する。すなわち、インプラント20の末梢部分28内のねじ山38の末梢部分は、インプラント20の基部部分26上のねじ山38の基部部分より細い面を含む。
インプラント本体32は少なくとも三つの異なる角度を規定することができる。第一の角度は、インプラント本体32の一般的形状により規定されることができる。第二の角度は、ねじ山38の面58により規定されることができる。第三の角度は、ねじ山のベースにより規定されることができる。図1に関して、インプラント本体32の下方部34の円錐形状は可変角度を含むことができる。可変角度は、末梢部分28の角度が基部部分26の角度より狭いように変わることができる。さらに、ねじ山38の面58はまた、円錐形であることができ、ねじ山38の面58は、変化する円錐角を規定することができる。ねじ山38の面58により規定される角度は、インプラント本体32の下方部34により形成された変化する円錐角と異なることができる。すなわち、インプラント本体32の下方部34により規定される円錐角は、ねじ山38の面58により形成された円錐角より狭くすることができる。一実施態様では、インプラント本体32の下方部34により規定される円錐角は、ねじ山38の面58により形成される円錐角より大きくすることができる。図示された実施態様は前述の円錐角関係を利用するけれども、他の好適な関係も使用されることができる。かかる好適な関係は、面58が円錐形でなくかつ略円筒形状を規定するねじ山38及び/またはインプラント本体32の下方部34の円錐角に密接に調和する円錐角を規定するねじ山38の面58を含むことができる。さらに他の実施態様では、ねじ山38の面58により規定される角度及び/または本体32により規定される角度は、それらが実質的に円筒状であるようにインプラント20の縦軸に略平行であることができる。
図1に関して、歯科インプラント20の下方部34は、歯科インプラント20の末梢部分28上に配置されている二つの溝48を含む。溝48は、歯科インプラント20の挿入を助ける形状をしており、以下により詳細に検討されるであろう。下方部34はまた、歯科インプラント20の基部部分26内に一対のねじ山のそれぞれの面58上に設けられている上部溝50を含む。インプラントの末梢部分28では、下部溝52(図6参照)は、歯科インプラント20の末梢部分28上の表面35上のねじ山38のそれぞれの間に設けられることができる。一般に、溝50は略螺旋型に延びる。図示された実施態様では、各溝50は実質的に連続している。しかし、一部変形された実施態様では、一つまたは両方の溝50は非連続であるように形成されることができる。例えば、溝50は、略螺旋形を一緒に形成する一連の短い溝、くぼみ、またはへこみから形成されることができる。しかし、骨組織はある寸法の連続径路に沿って成長するのを好むことが観察されたので、連続溝が有利には骨付着を促進する。
図1に関して、溝48は略螺旋形状を含むことができる。さらに、溝48は、歯科インプラント20の末梢端24から略中心部に向けて延びることができる。溝48は、インプラント本体32の下方部34に沿って略対向位置に設けられることができる。図示された実施態様では、溝48は、歯科インプラント20が反時計方向に回転されるとき、骨を切断または除去するように構成されている。さらに、溝48は、骨を切断または除去することなく時計方向に回転されるのを可能にするように構成される。しかし、骨除去は、インプラント20を反時計方向に回転することにより達成されることができる。
歯科インプラント20の図示実施態様は、歯科インプラント20が反時計方向に回転されるときに切断するように構成されている溝48を持って示されているけれども、他の好適な溝または溝配向もまた使用されることができる。かかる好適な溝または溝配向は、歯科インプラント20が時計方向に回転されるときに切断またはタッピング機能を提供するように構成される溝を含むことができる。
続いて図1に関して、溝50は、歯科インプラント20上に、例えばオッセオインテグレーションのための追加の表面を提供するために設けられる。溝50は、歯科インプラント20の基部部分26上に設けられたねじ山38の部分の面58上に設けられることができる。溝50は、下方部34の基部端22で始まり、かつ下方部34の長さの少なくとも約37%にほぼ渡ってねじ山38の面58に沿って末梢端24に向けて延びることができる。図示された実施態様では、溝50は、歯科インプラント20の末梢端24に向けて消散するか及び/または先細りとなる。溝50の消散及び/または先細りは、インプラント20の約1/4〜1/2回転内の距離に渡って起こることができる。ある実施態様では、消散及び/または先細りを越えた面58の部分は溝50を含まないであろう。図1の図示された実施態様は、溝50が下方部34の長さの基部に近い方の37%にほぼ沿って延びることができることを示す。しかし、他の実施態様では、上部溝50は、下方部34の基部に近い方の10%〜80%にほぼ沿って延びるように形成されることができ、他の実施態様では、上部溝50は、下方部34の基部に近い方の20%〜50%にほぼ沿って延びることができる。
一実施態様では、下部溝及び上部溝50の構成は、インプラント本体32の下方部34の少なくとも一部分に沿って重複する上部溝及び下部溝50をもたらすことができる。従って、上部溝及び下部溝50の両方を含むインプラント本体32の下方部34の一部分がある。図示された実施態様は、上部溝50を含むが下部溝を含まないもの、他の実施態様では上部溝と下部溝が重複することができるまたはできないもの、及び/または上部と下部溝50間の会合点で終わることができるものまたは上部と下部溝50間の会合点前で終わることができるものを示す。
図8に最も良く示されるように、歯科インプラント20はまた、歯科インプラント20の基部端22で開口している中空部または内部連結界面(内腔)66を含むことができる。図示された実施態様では、中空部66は、−基部/冠状端から末梢/尖端に向けて−第一部分、第二部分、及び第三部分を含む。第一部分はアバットメント室68である。第二部分は、インプラント20の縦方向に延びかつ第二部分の内部の周りに均一に分散されて設けられた複数のかみ合い突出部74を持つ内部に面する駆動領域69を含む。中空部66の第三部分は、ねじ山付き室(めねじ付き領域)70を含む。アバットメント室68、及びかみ合い突出部74を持つ内部に面する駆動領域(かみ合い凹所)69は、アバットメント100を受けるように構成されることができ、ねじ山付き室70は、アバットメント100をインプラント20に取り付けるように構成される結合ねじ200を受けるように構成されることができる。
ねじ山付き室70は、一般的にアバットメント室68の下に設けられることができる。さらに、内部に面する駆動領域69とねじ山付き室70の間の領域77は省かれることができる。これは、コンパクトな(短い)界面を可能にし、それは、インプラント20の本体32が先細りであるときに有益であることができる。
アバットメント室68は、連結界面66のための幅広の初期開口を提供するインプラント20の縦軸L2に対して内向きに先細りとなる側壁(内部に面する傾斜表面)80を含む。アバットメント室68の特別な幾何学形状は、縦軸L2に対して円錐半角Xを規定する。一実施態様では、円錐半角Xは、約10度と約20度の間にある。すなわち、内部壁80と縦中心線L2の間の角度は好ましくは約10度と約20度の間にある。一実施態様では、円錐半角Xは約12度である。
図示された実施態様のさらに別の利点は、インプラント20の実質的に平坦な上部表面21の面積と厚さである。一実施態様では、インプラント20の上部表面21は、有利にはインプラント20の上部表面21上に特定の歯科用修復物を支持するための表面を提供することができる。追加的にまたは代替的に、上部表面21は、かみ合い凹所69を迂回する要素を支持するために使用されることができる。従って、一実施態様では、インプラント20の上部表面21は、上部表面21の外部及び内部周囲の間で測定したときに少なくとも0.2mmより大きい、別の実施態様では約0.25mmより大きい厚さを少なくとも持つ。一実施態様では、上部表面21の厚さは約0.25mmである。
上述の実施態様は、歯槽骨内に埋設されたときに歯科インプラントの改善された安定性を提供する。さらに、本発明のある実施態様は、空間の効率的な利用を提供する。例えば、上述のように、ある実施態様では、上部溝50は、内部連結界面66を含む本体32の一部分のねじ山38の面50上に設けられる。従って、インプラント20の本体の強度は、この場所では影響を受けないままである。もし上記溝50がこの部分の本体32上に設けられたなら、本体強度を維持するために特定の寸法に維持された最小壁厚を持つ内部連結界面66のために利用可能な空間がより少ないであろう。従って、内部連結界面66の部分内の面58に位置された上部溝50を持つことは、連結界面66のために利用可能な空間を改善し、さらにインプラント20の改善された安定性を提供する。ある実施態様では、壁厚は、もし上部溝50がかみ合い凹所74の部分の面58にのみ設けられ、しかも少なくとも部分的にねじ山付き室70の場所に設けられないなら十分であるであろう。
インプラント20の駆動領域69は、複数の外向きに延びるかまたは凹状の突出部74を含む複数の内部に面する突出部を持つ突出部構成からなる。本発明の好適な実施態様では、凹状突出部74は、図7bに示されるように、互いから60°だけ角度的に間隔を置かれている。従って、好適な実施態様では、六つの凹状突出部74がある。好ましくは、駆動領域69の壁厚は、なおインプラント20を患者の顎骨中に回転し、従って埋入し、もし必要ならインプラントを回収するために十分なトルク伝達を提供しながら、できるだけ小さく保たれる。これはまた、インプラント20の強度を最大にし、埋入及び使用時の両方でインプラント連結欠陥を減らす。
好ましくは、突出部74のそれぞれは実質的に平行線に沿って延びる。従って、突出部74はインプラント20の縦軸L2に実質的に平行に延びる。
さらに、突出部74は、図7b及び8でわかるように、内部に面する傾斜表面80中まで部分的に延びることが好ましい。言い換えれば、凹状突出部74は、表面80を介してアバットメント室68内に開口する。さらに言い換えれば、傾斜表面80は、駆動領域69の最も内向きに延びる要素までずっと延びる。
さらに、外向きに延びる凹状突出部74は、実質的に同じまたは同様な半径を持つ円の部分であり、互いに対してかつインプラントの縦軸に対して実質的に平行である側壁を持つ。この構造は、インプラント寸法にかかわらず、特に軸をはずれた負荷を含む状況にあるときに、埋入または使用時の歯科インプラント連結欠陥に抵抗し、従ってそれを減らすために増加した直径の外部壁を提供する。
好適な駆動領域69は、実質的に等しい半径の部分から形成された複数の凹状突出部を含むけれども、本発明の特定の利点が、等しくない半径を持つ円から形成されているかまたは円以外の構成から形成されている裂片状構成により達成されることもできる。代替構成では、アバットメント及び駆動ツール及び配置ヘッドの対応する構成が同様に変えられる。
本発明によるアバットメント100を特に図2a及び2bに関して説明する。アバットメント100はインプラント20に連結可能である。アバットメント100は基部端102及び末梢端104を持つ。
アバットメント100はさらに、補綴物取り付け部110を含む。さらに、アバットメント100は、補綴物取り付け部110の少なくとも一部分を通してかつアバットメント100の末梢端104に延びる中心内腔112を含む。
アバットメント100はさらに、側面から見たときにアバットメントの縦軸L1に対してその末梢端に向けて内向きに傾斜している第一アバットメント表面106を含む。第一アバットメント表面106の傾斜角度は、図2bでわかるようにXで示されている。第一アバットメント表面106はインプラント20の内壁80に対応する。
アバットメント100はさらに、第一アバットメント表面に対して末梢にありかつ複数の突出部116を持つ第二裂片状アバットメント表面108を含む。突出部116は、外向きに延びる凸状突出部116であることができる。外向きに延びる凸状突出部116の数は、例えば六つであることができる。突出部116は、表面108の周囲の周りに均一に分布されている。第二裂片状アバットメント表面108は、歯科インプラント20とアバットメント100が連結されるときにインプラントの内部に面する駆動領域69に対応しかつそれに隣接することができる。すなわち、外向きに延びる凸状突出部116は、インプラント20の凹状突出部74を補完しかつそれと係合するために設計されている。
アバットメント100はさらに、側面から見たときに縦軸L1に対して、その末梢端に向けて内向きに傾斜している第三傾斜アバットメント表面114を含む。第二裂片状アバットメント表面108は、第三傾斜アバットメント表面114のすぐ隣りにある。第三傾斜アバットメント表面114は、アバットメント100の末梢端104に向けてずっと延びる。第二裂片状アバットメント表面108の突出部116は、第三傾斜アバットメント表面114上に続き、それらはまた、アバットメント100の末梢端104に向けてずっと延びる。さらに、第三傾斜アバットメント表面114の突出部116は、例えば図2a及び2bでわかるように傾斜される。従って、裂片状末梢端の面取りがアバットメント100上に形成される。
第三傾斜アバットメント表面114の傾斜角度Yは、12.5〜50度であることができる。さらに、図7dでわかるように、凸状突出部116は円C上に位置し、円Cと凸状突出部116の半径方向に最も外向きの点との間の距離A1は、凸状突出部116間の領域115の半径方向に最も内向きの点と円との間の最大距離A2より大きくすることができる。すなわち、A2<A1である。この方法では、領域115は、図7cから認められるように、薄過ぎることにならない。さらに、突出部116は、第三傾斜アバットメント表面114の傾斜角度Yと実質的に同じ角度で傾斜されることが好ましい。さらに、末梢端104のアバットメント100の端部表面122は、中心内腔112により規定される内部円形輪郭124、及び突出部116を持つ第三傾斜アバットメント表面114の末梢端により規定される外部非円形輪郭126を持つことができる。
傾斜した突出部116を持つ第三傾斜アバットメント表面114は、アバットメント100がインプラント20と組み立てられるときにアバットメント100の正しい位置に向けての案内を可能にする。すなわち、アバットメント100とインプラント20が一緒にもたらされるときにもしアバットメント100の突出部116とインプラント20の突出部74が適切に整合されないなら、インプラント20に対してアバットメント100をさらにねじるかまたは回転することにより、アバットメント100は、容易に所定場所中に落ちるであろう。総体的に、アバットメント100のインプラント20への連結は容易にされる。
さらに、インプラント20の駆動領域69の突出部74は、3.0mmの直径Dの歯科インプラント20のために約1.55mmの実質的長さLを持つことができる。これは、アバットメント100が駆動領域69と不適切に整合されているところから(その場合に突出部116の傾斜端が突出部74間の表面80の部分と接触状態にある)アバットメント100をその軸L1の周りに回転することにより駆動領域69と適切に整合することとなるところまで行くときにアバットメント100に等しく実質的な「落下距離」を持たせることを可能にする。これはまた、アバットメント100がインプラント20内に正しく配置されたことの明確な触覚的応答を使用者に与える。L=1.55mmかつD=3.0mmは、0.52の比(L:D)を与える。好ましくは、この比は、本インプラントのためには少なくとも0.4、より好ましくは少なくとも0.45である。第二裂片状アバットメント表面108及び第三傾斜アバットメント表面114を持つアバットメント100の部分は、明確な触覚的応答を達成するために対応する高さを持つべきである。この高さは、例えば3.0mmの直径Dの歯科インプラント20のためには約1.35mmであることができる。長さLはまた、末梢端22での内径に対比されることができる。3.0mm直径Dのインプラント20のための内径は、例えば2.5mmであることができる。
図3は、歯科インプラント20と組み立てられているが、まだ結合ねじにより連結または固定されていないアバットメント100を示す側面断面図である。図示されているように、アバットメント100の第二裂片状アバットメント表面108は、歯科インプラント20の内部に面する駆動領域69と整合しかつその中に挿入されている。さらに、第一アバットメント表面106を持つアバットメント100の円錐形部分は、歯科インプラント20のアバットメント室(受け入れ室)68中に挿入されている。本発明では好ましくないけれども、アバットメント100は、末梢端104がかみ合い凹所74の下方端75と接触状態にあるように歯科インプラント20の中空部66中に挿入されることもできる。
図3にも示されるように、インプラント20の上部表面21は、アバットメント100がインプラント20に結合されるときに露出されたままであることができる。一実施態様では、露出された上部表面は、少なくとも約0.2mmの厚さNを持ち、一実施態様では、約0.25mmの厚さを持つ。この厚さは少なくとも0.1mmである。
図5に関して、結合ねじ200の下方ねじ山付き領域202は、歯科インプラント20のねじ山付き室70と係合されることができ、結合ねじ200の座部210は、アバットメント100の座部111と接触している。結合ねじ200及びアバットメント100及び歯科インプラント20のこの係合は、それによりアバットメント100を歯科インプラント20に固定することができる。
図4bは、インプラント20を患者の顎骨内に埋入するための駆動手段(インプラント駆動体とも呼ばれる)400の一実施態様を示す。駆動手段400は、案内部406及び駆動部405を含む。案内部405は、駆動手段400の縦軸に略平行に延びる略円筒形状のねじ山のない構造を含む。駆動部405は、アバットメント100の第二裂片状アバットメント表面108の裂片状構成に実質的に似た裂片状構成を含み、従って駆動手段400がインプラント20中に挿入されかつ回転されるとき、駆動部405の裂片状構成は、駆動関係でインプラント20の駆動領域69の突出部74とかみ合いかつ係合する。駆動手段400はさらに、六角408、方形またはいかなる他の手段も含むことができ、それに対して電動化されたまたは電動化されていない器具等を付与して駆動手段400、従ってインプラント20を回転することができる。
本発明の歯科インプラント20及びアバットメント100の構造を述べたが、それらの設置は次のように最良に理解されることができる。まず、患者の口内のインプラント部位を調製した後、インプラント20は、それを、図4bに示されたような直接駆動手段400により、または予め組み立てられたフィクスチャーマウント(図示せず)によって、回転することにより埋入される。インプラント20が希望の埋入深さに埋入された後、駆動手段400またはフィクスチャーマウント装置がインプラント20から除去される。アバットメント100が次いでインプラントの開口端内に配置され、アバットメント100の第二裂片状アバットメント表面108及び第一傾斜表面106は、インプラント20の駆動領域69及び傾斜表面80内にそれぞれ配置されかつそれらと係合する。結合ねじ200が次いで内腔112の開口端中に挿入され、図4aに示されるようにラチェット300により、または他の従来公知の回転ツールにより回転され、それにより結合ねじ200の下方ねじ山付き領域202がインプラント20のねじ山付き室70のねじ山中にねじ込まれる。ラチェット300または他の回転ツールと結合ねじ200の界面は201により示されている。ねじ200の回転は、タイトな摩擦嵌合を形成するインプラント20のアバットメント室68の傾斜表面80に対してアバットメント100の傾斜表面106を強制する。これはアバットメント100とインプラント20の間に安定性を提供する。
本発明を特定の好適な実施態様及び実施例で開示したが、本発明が特定の開示された実施態様を越えて他の代替実施態様及び/または本発明の使用及び明らかな変形例及びそれらの均等物まで広がることは当業者により理解されるであろう。加えて、本発明の多数の変形例を示しかつ詳細に述べたが、本発明の範囲内にある他の変更もこの開示に基づいて当業者に容易に明らかとなるであろう。実施態様の特定の特徴及び態様の種々の組み合わせまたは副組み合わせがなされることができ、それらが本発明の範囲内に入ることも予想される。従って、開示された実施態様の種々の特徴及び態様が開示された発明の多様な方式を実施するために互いに組み合わされまたは置き換えられることができることは理解されるべきである。従って、ここに開示された本発明の範囲は、上述の特定の開示された実施態様により限定されるべきでないこと、また請求項の正当な読みとりによってのみ決定されるべきであることが意図されている。
本考案は、一般的に歯科インプラントの分野に関し、より詳細には内部連結インプラントに関する。本考案はまた、内部連結インプラントと補完アバットメントの組み合わせ体、及びアバットメントに関する。
現在、幅広い種類の歯科インプラントが業界で存在する。かかる歯科インプラントは、一般的に患者の口内にインプラントを取り付けかつ保持するためのおねじを持つ本体を含む。インプラントの設置は、ラチェットまたは他の回転手段のような駆動部材を用いる予め穿孔またはタップされた部位中へのインプラントの回転を含む。インプラントはまた、外部的にまたは内部的に設けられることができる駆動領域を含む。インプラントを外部的及び内部的に駆動するための種々の構造が、現在、存在する。
多くの内部的に駆動される歯科インプラントは、インプラントとアバットメントの間の満足のいくトルク伝達と安定性を提供するけれども、インプラント連結欠陥が存在し続ける。従って、インプラント連結欠陥を最少にすることができる構造により改善されたトルク伝達とインプラント/アバットメント安定性を与える内部連結または内部的に駆動されるインプラントに対する継続する要求がある。業界において多数のインターフェイスが存在しており、それらの中でUS6733291(Nobel Biocare)またはEP1763324(Keystone Dental Inc)は近い例を開示する。
インプラントシステムへのアバットメントの固定での一つの側面は、ある状況ではアバットメントがインプラントインターフェイスと整合するのが容易でないことである。もし正確に整合されないなら、アバットメントがインプラントにねじにより固定されるときにアバットメントまたはさらにはインプラント欠陥の危険が増大される。なぜなら負荷が適切に分配されないであろうからである。患者の口のある部分へのアクセス、並びに口部領域内の可視性は、インプラントへのアバットメントの適切な整合及び続く固定を容易にする解決策を与えることを望ましいものにする。この問題に対する解決策、特に小さな半径を持つインプラントシステムに対する業界の要求がある。小さな半径を持つインプラントに対しては、解決策に対する要求は、おそらくさらにより大きい。なぜなら連結領域を提供するために利用できる材料がより制限されるからである。
本考案の目的は、特に小さなインプラント半径または直径を可能にする内部連結歯科インプラントを提供することである。
本考案のこの及び他の目的は、図面、好適な実施態様の説明、及び添付請求項を参照すると明らかとなるであろう。
本考案は、添付の独立請求項に規定される。実施態様は、添付の従属請求項に規定される。
図1は、本考案によるアバットメント及び歯科インプラントを示す側面図である。
図2aは、図1のアバットメントの透視図である。
図2bは、図1のアバットメントの拡大された部分側面図である。
図3は、組み立てられた状態のときの本考案による歯科インプラント/アバットメントの断面側面図である。
図4aは、結合ねじにより歯科インプラントに結合される図1のアバットメントを示す側面図である。
図4bは、本考案による歯科インプラント及びドライバーの側面図である。
図5は、固定された状態のときの本考案による歯科インプラント/アバットメントの断面側面図である。
図6は、組み立てられたアバットメントとインプラントの透視図である。
図7aは、インプラントとかみ合うアバットメントの平面図である。
図7bは、インプラントの上面図である。
図7cは、本考案のアバットメントの一実施態様の底面図である。
図7dは、図7cのアバットメントの外部輪郭を示す。
図8は、歯科インプラントの断面側面図である。
図1は、歯科インプラント20の一実施態様を示す。この実施態様では、インプラント20は、インプラント本体32を含み、それは下方部34及びカラー36を含む。インプラント20は、種々のタイプのセラミックのような他の材料が使用されることができるけれども、チタンから作られることができる。下方部34は、先細りであることができ、かつ下方部34の外表面35上に設けられている一対のねじ山(インプラント保持手段)38を含むことができる。以下に説明されるように、図示された実施態様は、各々がインプラントの周りに螺旋形に延びる一対のねじ山38を含むけれども、一部変更された実施態様は、より多いまたは少ないねじ山を含むことができる。加えて、以下に説明されるように、本体32は、一般的に円錐形または先細りであるように示されている。しかし、他の実施態様では、本体32は、実質的に円筒形または他の形状であることができる。歯科インプラント20は、基部端22、基部端22に略隣接した基部部分26、末梢端24、及び末梢端24に略隣接した末梢部分28を含むことができる。
図示された実施態様では、インプラント本体32は、オッセオインテグレーションを促進するように構成されることができる外表面または骨付着生長表面40を含む。一実施態様では、骨付着生長表面40は、本体32の表面積を増やすことによりオッセオインテグレーションを促進するように形成される。これに関して、骨付着生長表面40は、例えば酸腐食、グリットブラスト、及び/または機械加工のような幾つかの異なる態様でインプラント本体32を粗面化することにより形成されることができる。これに代えて、骨付着生長表面40は、オッセオインテグレーションを促進するためにその下にある表面をある物質で被覆することにより形成されることができる。ある実施態様では、これはインプラント本体32の表面積を減らすことまたは増やすことをもたらすことができる。リン酸トリカルシウム(TCP)及びヒドロキシアパタイト(HA)のようなリン酸カルシウムセラミックは、外表面40の化学的性質を変えることによりオッセオインテグレーションを強化することができる材料の例である。他の実施態様では、外表面40は、オッセオインテグレーションを促進するように形成されかつ単独でまたは上述の粗面化及び/または被覆と組み合わせて使用されることができる例えばねじ山、マイクロねじ山、凹み、及び/または溝のような肉眼で見える構造を含むことができる。一実施態様では、外表面40は、低マイクロメーター範囲の開放細孔を持つ高度に結晶質のかつリン酸塩に富んだ酸化チタン微細構造をした表面のような微細構造表面を含む。かかる表面の一例は、Nobel Biocare AB(登録商標)により、TiUnite(登録商標)の商標の下で販売されている。別の実施態様では、ジルコニウムセラミック本体が微細構造表面を提供するために多孔性ジルコニウムで被覆されることができることは特に有利である。別の実施態様では、微細構造表面はオッセオインテグレーションを促進するように形成された物質(例えば骨生長刺激物質)で被覆されることができる。
続いて図1に関して、カラー36は下方部34の上に位置することができ、図示された実施態様では、下方部34と共に一体的に形成されるかまたは下方部34に永久的に取り付けられることができる。カラー36は、少なくとも部分的に側壁44により規定されることができる。図示された実施態様では、側壁44は、カラー36の側壁44の周りに円周状に配置されている二つの半円形溝46を含む。半円形溝46は、患者の歯茎の軟組織のような軟組織のための追加の生長表面を提供することができる。一実施態様では、半円形溝46は約150ミクロンの幅及び約50ミクロンの深さを持つ。溝46は、一つ以上の溝46がカラー36の実質的部分を占めるような寸法であることができる。図1の図示された実施態様では、二つの溝46は、カラー36の実質的部分(例えば全面積の50%より多く)を占めるものとして示されている。一部変更された実施態様では、カラー36は、より多いまたは少ない溝を備えることができ、または溝を持たないことができ、及び/または異なる寸法及び形状を持つ溝を備えることができる。他の実施態様では、周囲突起またはマイクロねじ山がカラー36上に設けられることができる。一般的に、カラー36上のかかる構造は、インプラント20が挿入されるがインプラント20のねじ山38に比べたときにより少ない範囲まで挿入されるより硬い皮質骨に負荷をかけるために有利な形状をしており、それらは、皮質骨の下に位置した海綿状の網状組織骨と係合するように構成されることができる。他の実施態様では、カラー36は、例えば内向きに先細りとなったりまたは逆先細り側壁を持つ非円筒形状であることができる。
図1に示された実施態様では、ねじ山38のそれぞれは、面58により連結されている末梢フランク54と基部フランク56を含む。上述のように、図示された歯科インプラント20は、末梢端24の対向側面で始まりかつインプラント本体32の下方端34に沿って対向位置を維持しながら下方部34に沿って基部端22に向けて進行する一対のねじ山38を含む。従って、図示された実施態様では、ねじ山38のそれぞれは同じピッチを持つ。図示された実施態様は二つのねじ山38を示すけれども、一つまたは三つのような他の好適な数のねじ山も使用されることができることは認められるであろう。
図示された実施態様では、ねじ山38のそれぞれの面58は、ねじ山38が歯科インプラント20の末梢端24から基部端22に進行するにつれて厚さTを増加する。すなわち、インプラント20の末梢部分28内のねじ山38の末梢部分は、インプラント20の基部部分26上のねじ山38の基部部分より細い面を含む。
インプラント本体32は少なくとも三つの異なる角度を規定することができる。第一の角度は、インプラント本体32の一般的形状により規定されることができる。第二の角度は、ねじ山38の面58により規定されることができる。第三の角度は、ねじ山のベースにより規定されることができる。図1に関して、インプラント本体32の下方部34の円錐形状は可変角度を含むことができる。可変角度は、末梢部分28の角度が基部部分26の角度より狭いように変わることができる。さらに、ねじ山38の面58はまた、円錐形であることができ、ねじ山38の面58は、変化する円錐角を規定することができる。ねじ山38の面58により規定される角度は、インプラント本体32の下方部34により形成された変化する円錐角と異なることができる。すなわち、インプラント本体32の下方部34により規定される円錐角は、ねじ山38の面58により形成された円錐角より狭くすることができる。一実施態様では、インプラント本体32の下方部34により規定される円錐角は、ねじ山38の面58により形成される円錐角より大きくすることができる。図示された実施態様は前述の円錐角関係を利用するけれども、他の好適な関係も使用されることができる。かかる好適な関係は、面58が円錐形でなくかつ略円筒形状を規定するねじ山38及び/またはインプラント本体32の下方部34の円錐角に密接に調和する円錐角を規定するねじ山38の面58を含むことができる。さらに他の実施態様では、ねじ山38の面58により規定される角度及び/または本体32により規定される角度は、それらが実質的に円筒状であるようにインプラント20の縦軸に略平行であることができる。
図1に関して、歯科インプラント20の下方部34は、歯科インプラント20の末梢部分28上に配置されている二つの溝48を含む。溝48は、歯科インプラント20の挿入を助ける形状をしており、以下により詳細に検討されるであろう。下方部34はまた、歯科インプラント20の基部部分26内に一対のねじ山のそれぞれの面58上に設けられている上部溝50を含む。インプラントの末梢部分28では、下部溝52(図6参照)は、歯科インプラント20の末梢部分28上の表面35上のねじ山38のそれぞれの間に設けられることができる。一般に、溝50は略螺旋型に延びる。図示された実施態様では、各溝50は実質的に連続している。しかし、一部変形された実施態様では、一つまたは両方の溝50は非連続であるように形成されることができる。例えば、溝50は、略螺旋形を一緒に形成する一連の短い溝、くぼみ、またはへこみから形成されることができる。しかし、骨組織はある寸法の連続径路に沿って成長するのを好むことが観察されたので、連続溝が有利には骨付着を促進する。
図1に関して、溝48は略螺旋形状を含むことができる。さらに、溝48は、歯科インプラント20の末梢端24から略中心部に向けて延びることができる。溝48は、インプラント本体32の下方部34に沿って略対向位置に設けられることができる。図示された実施態様では、溝48は、歯科インプラント20が反時計方向に回転されるとき、骨を切断または除去するように構成されている。さらに、溝48は、骨を切断または除去することなく時計方向に回転されるのを可能にするように構成される。しかし、骨除去は、インプラント20を反時計方向に回転することにより達成されることができる。
歯科インプラント20の図示実施態様は、歯科インプラント20が反時計方向に回転されるときに切断するように構成されている溝48を持って示されているけれども、他の好適な溝または溝配向もまた使用されることができる。かかる好適な溝または溝配向は、歯科インプラント20が時計方向に回転されるときに切断またはタッピング機能を提供するように構成される溝を含むことができる。
続いて図1に関して、溝50は、歯科インプラント20上に、例えばオッセオインテグレーションのための追加の表面を提供するために設けられる。溝50は、歯科インプラント20の基部部分26上に設けられたねじ山38の部分の面58上に設けられることができる。溝50は、下方部34の基部端22で始まり、かつ下方部34の長さの少なくとも約37%にほぼ渡ってねじ山38の面58に沿って末梢端24に向けて延びることができる。図示された実施態様では、溝50は、歯科インプラント20の末梢端24に向けて消散するか及び/または先細りとなる。溝50の消散及び/または先細りは、インプラント20の約1/4〜1/2回転内の距離に渡って起こることができる。ある実施態様では、消散及び/または先細りを越えた面58の部分は溝50を含まないであろう。図1の図示された実施態様は、溝50が下方部34の長さの基部に近い方の37%にほぼ沿って延びることができることを示す。しかし、他の実施態様では、上部溝50は、下方部34の基部に近い方の10%〜80%にほぼ沿って延びるように形成されることができ、他の実施態様では、上部溝50は、下方部34の基部に近い方の20%〜50%にほぼ沿って延びることができる。
一実施態様では、下部溝及び上部溝50の構成は、インプラント本体32の下方部34の少なくとも一部分に沿って重複する上部溝及び下部溝50をもたらすことができる。従って、上部溝及び下部溝50の両方を含むインプラント本体32の下方部34の一部分がある。図示された実施態様は、上部溝50を含むが下部溝を含まないもの、他の実施態様では上部溝と下部溝が重複することができるまたはできないもの、及び/または上部と下部溝50間の会合点で終わることができるものまたは上部と下部溝50間の会合点前で終わることができるものを示す。
図8に最も良く示されるように、歯科インプラント20はまた、歯科インプラント20の基部端22で開口している中空部または内部連結界面(内腔)66を含むことができる。図示された実施態様では、中空部66は、−基部/冠状端から末梢/尖端に向けて−第一部分、第二部分、及び第三部分を含む。第一部分はアバットメント室68である。第二部分は、インプラント20の縦方向に延びかつ第二部分の内部の周りに均一に分散されて設けられた複数のかみ合い突出部74を持つ内部に面する駆動領域69を含む。中空部66の第三部分は、ねじ山付き室(めねじ付き領域)70を含む。アバットメント室68、及びかみ合い突出部74を持つ内部に面する駆動領域(かみ合い凹所)69は、アバットメント100を受けるように構成されることができ、ねじ山付き室70は、アバットメント100をインプラント20に取り付けるように構成される結合ねじ200を受けるように構成されることができる。
ねじ山付き室70は、一般的にアバットメント室68の下に設けられることができる。さらに、内部に面する駆動領域69とねじ山付き室70の間の領域77は省かれることができる。これは、コンパクトな(短い)界面を可能にし、それは、インプラント20の本体32が先細りであるときに有益であることができる。
アバットメント室68は、連結界面66のための幅広の初期開口を提供するインプラント20の縦軸L2に対して内向きに先細りとなる側壁(内部に面する傾斜表面)80を含む。アバットメント室68の特別な幾何学形状は、縦軸L2に対して円錐半角Xを規定する。一実施態様では、円錐半角Xは、約10度と約20度の間にある。すなわち、内部壁80と縦中心線L2の間の角度は好ましくは約10度と約20度の間にある。一実施態様では、円錐半角Xは約12度である。
図示された実施態様のさらに別の利点は、インプラント20の実質的に平坦な上部表面21の面積と厚さである。一実施態様では、インプラント20の上部表面21は、有利にはインプラント20の上部表面21上に特定の歯科用修復物を支持するための表面を提供することができる。追加的にまたは代替的に、上部表面21は、かみ合い凹所69を迂回する要素を支持するために使用されることができる。従って、一実施態様では、インプラント20の上部表面21は、上部表面21の外部及び内部周囲の間で測定したときに少なくとも0.2mmより大きい、別の実施態様では約0.25mmより大きい厚さを少なくとも持つ。一実施態様では、上部表面21の厚さは約0.25mmである。
上述の実施態様は、歯槽骨内に埋設されたときに歯科インプラントの改善された安定性を提供する。さらに、本考案のある実施態様は、空間の効率的な利用を提供する。例えば、上述のように、ある実施態様では、上部溝50は、内部連結界面66を含む本体32の一部分のねじ山38の面50上に設けられる。従って、インプラント20の本体の強度は、この場所では影響を受けないままである。もし上記溝50がこの部分の本体32上に設けられたなら、本体強度を維持するために特定の寸法に維持された最小壁厚を持つ内部連結界面66のために利用可能な空間がより少ないであろう。従って、内部連結界面66の部分内の面58に位置された上部溝50を持つことは、連結界面66のために利用可能な空間を改善し、さらにインプラント20の改善された安定性を提供する。ある実施態様では、壁厚は、もし上部溝50がかみ合い凹所74の部分の面58にのみ設けられ、しかも少なくとも部分的にねじ山付き室70の場所に設けられないなら十分であるであろう。
インプラント20の駆動領域69は、複数の外向きに延びるかまたは凹状の突出部74を含む複数の内部に面する突出部を持つ突出部構成からなる。本考案の好適な実施態様では、凹状突出部74は、図7bに示されるように、互いから60°だけ角度的に間隔を置かれている。従って、好適な実施態様では、六つの凹状突出部74がある。好ましくは、駆動領域69の壁厚は、なおインプラント20を患者の顎骨中に回転し、従って埋入し、もし必要ならインプラントを回収するために十分なトルク伝達を提供しながら、できるだけ小さく保たれる。これはまた、インプラント20の強度を最大にし、埋入及び使用時の両方でインプラント連結欠陥を減らす。
好ましくは、突出部74のそれぞれは実質的に平行線に沿って延びる。従って、突出部74はインプラント20の縦軸L2に実質的に平行に延びる。
さらに、突出部74は、図7b及び8でわかるように、内部に面する傾斜表面80中まで部分的に延びることが好ましい。言い換えれば、凹状突出部74は、表面80を介してアバットメント室68内に開口する。さらに言い換えれば、傾斜表面80は、駆動領域69の最も内向きに延びる要素までずっと延びる。
さらに、外向きに延びる凹状突出部74は、実質的に同じまたは同様な半径を持つ円の部分であり、互いに対してかつインプラントの縦軸に対して実質的に平行である側壁を持つ。この構造は、インプラント寸法にかかわらず、特に軸をはずれた負荷を含む状況にあるときに、埋入または使用時の歯科インプラント連結欠陥に抵抗し、従ってそれを減らすために増加した直径の外部壁を提供する。
好適な駆動領域69は、実質的に等しい半径の部分から形成された複数の凹状突出部を含むけれども、本考案の特定の利点が、等しくない半径を持つ円から形成されているかまたは円以外の構成から形成されている裂片状構成により達成されることもできる。代替構成では、アバットメント及び駆動ツール及び配置ヘッドの対応する構成が同様に変えられる。
本考案によるアバットメント100を特に図2a及び2bに関して説明する。アバットメント100はインプラント20に連結可能である。アバットメント100は基部端102及び末梢端104を持つ。
アバットメント100はさらに、補綴物取り付け部110を含む。さらに、アバットメント100は、補綴物取り付け部110の少なくとも一部分を通してかつアバットメント100の末梢端104に延びる中心内腔112を含む。
アバットメント100はさらに、側面から見たときにアバットメントの縦軸L1に対してその末梢端に向けて内向きに傾斜している第一アバットメント表面106を含む。第一アバットメント表面106の傾斜角度は、図2bでわかるようにXで示されている。第一アバットメント表面106はインプラント20の内壁80に対応する。
アバットメント100はさらに、第一アバットメント表面に対して末梢にありかつ複数の突出部116を持つ第二裂片状アバットメント表面108を含む。突出部116は、外向きに延びる凸状突出部116であることができる。外向きに延びる凸状突出部116の数は、例えば六つであることができる。突出部116は、表面108の周囲の周りに均一に分布されている。第二裂片状アバットメント表面108は、歯科インプラント20とアバットメント100が連結されるときにインプラントの内部に面する駆動領域69に対応しかつそれに隣接することができる。すなわち、外向きに延びる凸状突出部116は、インプラント20の凹状突出部74を補完しかつそれと係合するために設計されている。
アバットメント100はさらに、側面から見たときに縦軸L1に対して、その末梢端に向けて内向きに傾斜している第三傾斜アバットメント表面114を含む。第二裂片状アバットメント表面108は、第三傾斜アバットメント表面114のすぐ隣りにある。第三傾斜アバットメント表面114は、アバットメント100の末梢端104に向けてずっと延びる。第二裂片状アバットメント表面108の突出部116は、第三傾斜アバットメント表面114上に続き、それらはまた、アバットメント100の末梢端104に向けてずっと延びる。さらに、第三傾斜アバットメント表面114の突出部116は、例えば図2a及び2bでわかるように傾斜される。従って、裂片状末梢端の面取りがアバットメント100上に形成される。
第三傾斜アバットメント表面114の傾斜角度Yは、12.5〜50度であることができる。さらに、図7dでわかるように、凸状突出部116は円C上に位置し、円Cと凸状突出部116の半径方向に最も外向きの点との間の距離A1は、凸状突出部116間の領域115の半径方向に最も内向きの点と円との間の最大距離A2より大きくすることができる。すなわち、A2<A1である。この方法では、領域115は、図7cから認められるように、薄過ぎることにならない。さらに、突出部116は、第三傾斜アバットメント表面114の傾斜角度Yと実質的に同じ角度で傾斜されることが好ましい。さらに、末梢端104のアバットメント100の端部表面122は、中心内腔112により規定される内部円形輪郭124、及び突出部116を持つ第三傾斜アバットメント表面114の末梢端により規定される外部非円形輪郭126を持つことができる。
傾斜した突出部116を持つ第三傾斜アバットメント表面114は、アバットメント100がインプラント20と組み立てられるときにアバットメント100の正しい位置に向けての案内を可能にする。すなわち、アバットメント100とインプラント20が一緒にもたらされるときにもしアバットメント100の突出部116とインプラント20の突出部74が適切に整合されないなら、インプラント20に対してアバットメント100をさらにねじるかまたは回転することにより、アバットメント100は、容易に所定場所中に落ちるであろう。総体的に、アバットメント100のインプラント20への連結は容易にされる。
さらに、インプラント20の駆動領域69の突出部74は、3.0mmの直径Dの歯科インプラント20のために約1.55mmの実質的長さLを持つことができる。これは、アバットメント100が駆動領域69と不適切に整合されているところから(その場合に突出部116の傾斜端が突出部74間の表面80の部分と接触状態にある)アバットメント100をその軸L1の周りに回転することにより駆動領域69と適切に整合することとなるところまで行くときにアバットメント100に等しく実質的な「落下距離」を持たせることを可能にする。これはまた、アバットメント100がインプラント20内に正しく配置されたことの明確な触覚的応答を使用者に与える。L=1.55mmかつD=3.0mmは、0.52の比(L:D)を与える。好ましくは、この比は、本インプラントのためには少なくとも0.4、より好ましくは少なくとも0.45である。第二裂片状アバットメント表面108及び第三傾斜アバットメント表面114を持つアバットメント100の部分は、明確な触覚的応答を達成するために対応する高さを持つべきである。この高さは、例えば3.0mmの直径Dの歯科インプラント20のためには約1.35mmであることができる。長さLはまた、末梢端22での内径に対比されることができる。3.0mm直径Dのインプラント20のための内径は、例えば2.5mmであることができる。
図3は、歯科インプラント20と組み立てられているが、まだ結合ねじにより連結または固定されていないアバットメント100を示す側面断面図である。図示されているように、アバットメント100の第二裂片状アバットメント表面108は、歯科インプラント20の内部に面する駆動領域69と整合しかつその中に挿入されている。さらに、第一アバットメント表面106を持つアバットメント100の円錐形部分は、歯科インプラント20のアバットメント室(受け入れ室)68中に挿入されている。本考案では好ましくないけれども、アバットメント100は、末梢端104がかみ合い凹所74の下方端75と接触状態にあるように歯科インプラント20の中空部66中に挿入されることもできる。
図3にも示されるように、インプラント20の上部表面21は、アバットメント100がインプラント20に結合されるときに露出されたままであることができる。一実施態様では、露出された上部表面は、少なくとも約0.2mmの厚さNを持ち、一実施態様では、約0.25mmの厚さを持つ。この厚さは少なくとも0.1mmである。
図5に関して、結合ねじ200の下方ねじ山付き領域202は、歯科インプラント20のねじ山付き室70と係合されることができ、結合ねじ200の座部210は、アバットメント100の座部111と接触している。結合ねじ200及びアバットメント100及び歯科インプラント20のこの係合は、それによりアバットメント100を歯科インプラント20に固定することができる。
図4bは、インプラント20を患者の顎骨内に埋入するための駆動手段(インプラント駆動体とも呼ばれる)400の一実施態様を示す。駆動手段400は、案内部406及び駆動部405を含む。案内部405は、駆動手段400の縦軸に略平行に延びる略円筒形状のねじ山のない構造を含む。駆動部405は、アバットメント100の第二裂片状アバットメント表面108の裂片状構成に実質的に似た裂片状構成を含み、従って駆動手段400がインプラント20中に挿入されかつ回転されるとき、駆動部405の裂片状構成は、駆動関係でインプラント20の駆動領域69の突出部74とかみ合いかつ係合する。駆動手段400はさらに、六角408、方形またはいかなる他の手段も含むことができ、それに対して電動化されたまたは電動化されていない器具等を付与して駆動手段400、従ってインプラント20を回転することができる。
本考案の歯科インプラント20及びアバットメント100の構造を述べたが、それらの設置は次のように最良に理解されることができる。まず、患者の口内のインプラント部位を調製した後、インプラント20は、それを、図4bに示されたような直接駆動手段400により、または予め組み立てられたフィクスチャーマウント(図示せず)によって、回転することにより埋入される。インプラント20が希望の埋入深さに埋入された後、駆動手段400またはフィクスチャーマウント装置がインプラント20から除去される。アバットメント100が次いでインプラントの開口端内に配置され、アバットメント100の第二裂片状アバットメント表面108及び第一傾斜表面106は、インプラント20の駆動領域69及び傾斜表面80内にそれぞれ配置されかつそれらと係合する。結合ねじ200が次いで内腔112の開口端中に挿入され、図4aに示されるようにラチェット300により、または他の従来公知の回転ツールにより回転され、それにより結合ねじ200の下方ねじ山付き領域202がインプラント20のねじ山付き室70のねじ山中にねじ込まれる。ラチェット300または他の回転ツールと結合ねじ200の界面は201により示されている。ねじ200の回転は、タイトな摩擦嵌合を形成するインプラント20のアバットメント室68の傾斜表面80に対してアバットメント100の傾斜表面106を強制する。これはアバットメント100とインプラント20の間に安定性を提供する。
本考案を特定の好適な実施態様及び実施例で開示したが、本考案が特定の開示された実施態様を越えて他の代替実施態様及び/または本考案の使用及び明らかな変形例及びそれらの均等物まで広がることは当業者により理解されるであろう。加えて、本考案の多数の変形例を示しかつ詳細に述べたが、本考案の範囲内にある他の変更もこの開示に基づいて当業者に容易に明らかとなるであろう。実施態様の特定の特徴及び態様の種々の組み合わせまたは副組み合わせがなされることができ、それらが本考案の範囲内に入ることも予想される。従って、開示された実施態様の種々の特徴及び態様が開示された考案の多様な方式を実施するために互いに組み合わされまたは置き換えられることができることは理解されるべきである。従って、ここに開示された本考案の範囲は、上述の特定の開示された実施態様により限定されるべきでないこと、また請求項の正当な読みとりによってのみ決定されるべきであることが意図されている。