JP3184968B2 - ガス化炉の運転監視方法 - Google Patents

ガス化炉の運転監視方法

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JP3184968B2 JP11146199A JP11146199A JP3184968B2 JP 3184968 B2 JP3184968 B2 JP 3184968B2 JP 11146199 A JP11146199 A JP 11146199A JP 11146199 A JP11146199 A JP 11146199A JP 3184968 B2 JP3184968 B2 JP 3184968B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス化炉の状態を
最適に維持できるよう原料供給部、酸素供給部及び水蒸
気供給部の動作を制御するガス化炉の運転監視システム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ガス化炉の運転は、炉内もしくは
その周辺部での温度、圧力、差圧の測定結果や、生成ガ
ス量、組成、発熱量などの測定結果をもとに、運転条件
(原料供給量や酸素供給量、水蒸気供給量)を調節して
きた。これまでは、炉の安定した操業の確保が優先さ
れ、ガス化炉の工学的な定常状態の維持が重要視されて
きた。
【0003】ところが、咋今の地球環境を維持する重要
性の認識から、ガス化炉の熱効率を向上することが目指
されるようになった。熱効率を向上するには工学的な省
エネルギー努力と共に、ガス化炉内の反応状態を最適化
する化学的な調節を必要とする。
【0004】これまで、ガス化炉内の化学的状態は生成
ガス組成、生成量、発熱量等を解析して、推定されてき
た。しかし、これらの測定値は運転中にかなりの幅で変
動する。その変動原因も多数想定され、相互の関係も種
々類推されるため、個々の変動の解釈は後回しにして、
測定値の時間平均値を用いて炉内状況の概略を判断して
きた。
【0005】しかし、最近の加圧噴流床ガス化法などで
は、原料やO、HO等のガス化剤の炉内滞在時間は
数秒と短縮されたため、従来の時間平均値を用いたの
で、反応状況に即した運転制御が遅れることになってし
まう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決し、ガス化炉内の反応状況を即時に把
握し、原料供給量、酸素供給量及び水蒸気供給量を定量
的かつ合理的に調整してガス化炉の状態を最適に維持す
ることのできるガス化炉の運転制御システムを提供する
ことをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明によれば、原料供給部、酸素供給
部及び水蒸気供給部を備えたガス化炉の運転監視方法
あって、原料である石炭の単位量当たりの元素分析値を
求める第1の手段と、生成ガス組成を求める第2の手段
と、該第1の手段及び該第2の手段で求めたデータに基
づき、ガス化反応における酸素の利用率を示す指標値
を、下記式 Δ=0.5(1+0.5m−3η)−(1−X)(1−η)/(X+Y) [式中、mは石炭中に含まれる炭素原子に対する水素原
子比(H/C)であり、ηはメタンへの転化率である。
X、Y及びZは、それぞれ生成ガス中の二酸化炭素濃
度、一酸化炭素濃度及びメタン濃度を示し、η=Z/
(X+Y+Z)の関係を有する。]により 求める第3の
手段と、該第1の手段及び該第2の手段で求めたデータ
に基づき、ガス化反応における水蒸気分解量(β−ζ)
を、下記式 β−ζ=(1−η)/(X+Y)−(1+0.5m−2η) [式中、β及びζは、それぞれ石炭1モル当たりの供給
水蒸気量及び生成ガス中の水蒸気量を示す。m、η、X
及びYは、それぞれ前記したと同意義を有する。]によ
求める第4の手段と、該第3の手段及び該第4の手段
で求めたデータに基づき、ガス化炉内での反応の動向を
求め、その動向に応じて原料供給部、酸素供給部及び水
蒸気供給部の動作を制御する第5の手段を具備すること
を特徴とするガス化炉の運転監視方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
詳述する。図1は、本発明によるガス化炉の運転システ
ムの構成例を示すブロック図である。図中1はガス化炉
で、原料供給部2、酸素供給部3及び水蒸気供給部4を
備えている。また11は原料である石炭1モルの単位量
当たりの元素分析値を求める元素分析値算出手段(第1
の手段)、12は生成ガス組成を求める生成ガス組成算
出手段(第2の手段)、13は11及び12の手段で求
めたデータに基づき、ガス化反応における酸素の利用率
を示す指標値を求める指標値算出手段(第3の手段)、
14は11及び12の手段で求めたデータに基づき、ガ
ス化反応における水蒸気の分解又は生成を表す水蒸気分
解量を求める水蒸気分解量算出手段(第4の手段)、1
5は13及び14の手段で求めたデータに基づき、ガス
化炉内での反応の動向を求め、それに応じて原料供給
部、酸素供給部及び水蒸気供給部の動作を制御する制御
手段(第5の手段)である。
【0009】先ず、本システムの原理について述べる
と、本システムは、石炭の元素分析値と生成ガス組成の
データに基づき、理想的な部分酸化反応 C+(1/2)O → CO から、実際のガス化反応が、どれだけ燃焼反応側(酸素
過剰側)で、 CO+(1/2)O → CO +(1/2)O → HO あるいは水性ガス化反応側(酸素不足側)で、 C+HO → CO+H 進行したかを表す指標値(以下酸素過剰量とも呼ぶ)
と、ガス化反応における水蒸気の分解あるいは生成を表
す水蒸気分解量とを、独自に誘導した理論式により計算
し、得られたデータを独自の理論に従って解析し、ガス
化炉内で既述の各反応やシフト反応 CO+HO → CO+H の動向をリアルタイムで把握し、ガス化炉の状態を最適
に維持できるよう原料供給量、酸素供給量及び水蒸気供
給量を適切に制御するものである。
【0010】先ず、本システムの制御に用いる理論式に
ついて説明する。ガス化の反応式を一般式で表すと次の
ようになる。 CH+αO+βHO → γCO+δH+εCO+ζHO+ ηCH (1) 上記式中、CHはガス化された石炭1モルを示
し、α、βはそれぞれ原料1モルあたりに供給された酸
素と水蒸気の量を示す。またγ〜ηは原料1モルあたり
の各生成ガス量である。(1)の元素収支は C: 1=γ+ε+η (2) H: m+2β=2δ+2ζ+4η (3) O: n+2α+β=γ+2ε+ζ (4) (4)式から(2)式を引くと次のようになる。 (n−1)+2α+β=ε+ζ−η この式を変形すると次式が得られる。 α−0.5(1−n)=Δ=0.5{ε−η−(β−ζ)}(5) 原料CH1モルからCO 1モルを生成する時
の理論酸素量は0.5(1−n)モルである。したがっ
て、供給酸素量とこの理論酸素量の差である△はガス化
における酸素の利用率を示す指標値となる。また(β−
ζ)は水蒸気分解量を示す。(5)式を書き変えるとC
生成量が(6)式で表せる。 ε=(β−ζ)+2Δ+η (6) (2)式に(6)式のεを代入するとCOの生成量が
(7)式で表される。 γ=1−(β−ζ)−2Δ−2η (7) H生成量は(3)式を変形して(8)式で表される。 δ=0.5m+(β−ζ)−2η (8) (6)式、(7)式、(8)式とηとから、生成ガス量
は次式で表される。 γ+δ+ε+η=1+0.5m+(β−ζ)−2η (9) ここで生成ガス中のCOとCOの濃度をそれぞれX
とYとすると次の関係式が得られる。 CO :ε/(γ+δ+ε+η)=X={(β−ζ)+2Δ+n}/{1+ 0.5m+(β−ζ)−2η} (10) CO :γ/(γ+δ+ε+η)=Y={1−(β−ζ)−2Δ−2η}/{ 1+0.5m+(β−ζ)−2η} (11) (10)式と(11)式から、過剰酸素量△と水蒸気分
解量(β−ζ)の値は、CO濃度XとCO濃度Yとメ
タンヘの転換率ηを用いて、次式で表せる。 Δ=0.5(1+0.5m−3η)−(1−X)(1−η)/(X+Y) (12) (β−ζ)=(1−η)/(X+Y)−(1+0.5m−2η)(13) なお、CH濃度をZとすると、ηは η=Z/(X+Y+Z) で表される。
【0011】CO濃度とCO濃度から計算した△をx
軸にとり、同様にして計算した(β−ζ)をy軸にとる
と、理論的にはガス化反応経路に従ってグラフ上の点
は、図2に示す軌跡をたどる。過剰酸素量△が正で前述
の燃焼反応のうち炭素や一酸化炭素が選択的に消費され
ると、その軌跡は△軸上を右方向に向かう。Hが選択
的に燃焼すると、過剰酸素量と比例して水蒸気が生成す
るので、水蒸気分解量は負となり、傾き−2の直線に沿
って軌跡は右下方向に走る。過剰酸素量が負となると、
未反応炭素が水蒸気と反応するので、その軌跡は傾き−
2の直線に沿って、左上がりの方向に行く。シフト反応
は、一連の部分酸化反応とは直接関係がないので、その
軌跡は(β−ζ)軸に沿つて上方向に向かう。即ち、生
成ガス組成上の変化が生じた反応経路の概略を(12)
式、(13)式と△−(β−ζ)線図によって半定量的
に分析できる。
【0012】図1において、元素分析値算出手段11
は、原料1モル当たりの元素分析値を求める。生成ガス
組成算出手段12は、生成ガス組成を求める。指標値算
出手段は13は、11及び12の手段からデータを受け
取り、上記の理論式に従って、指標値を求める。水蒸気
分解量算出手段14は、同じく11及び12の手段から
データを受け取り、上記の理論式に従って、水蒸気分解
量を求める。制御手段15は、13及び14の手段で算
出した酸素過剰量と水蒸気分解量とをそれぞれ軸にする
グラフに経時的にプロットし、その軌跡を上記の理論に
従って解析し、その結果に基づき上記制御を行うように
することができる。
【0013】本発明の理論を酸素吹きの噴流床ガス化の
運転結果に適用した結果を図3に示す。原料の元素分析
値から、原料1モルからCO 1モルを生産するための
理論酸素量は0.431(mol/mol(石炭))で
ある。この運転では0.45〜0.51molの酸素が
供給されたので、0.02〜0.08mol/mol
(石炭)燃焼側に振られてガス化反応は進行すると予想
される。しかし、図3の運転結果では、0.073〜
0.157mol/mol(石炭)の過剰酸素が消費さ
れたことになるので、図3から、この運転では酸素を理
論量より多く供給しながら、未反応炭素を生成したこと
が読みとれる。実際にこの運転ではかなりの未反応炭素
が回収された。また図3はほぼ△軸に垂直に水蒸気分解
量(β−ζ)が増減する場合が認められる。これはシフ
ト反応によるものと推定され、酸素供給速度などを変更
すると、シフト反応が生じやすくなることが推定され
る。
【0014】図4は同じ方式の炉にほぼ理想的な量の酸
素を供給した時の結果である。この場合も、ガス組成上
は、過剰酸素量が0.052〜0.082の正であり、
反応は燃焼側で進行したことがわかる。この場合は、酸
素過剰量が減少すると水蒸気分解量は増加し、その割合
は−2の直線関係にあることから、水性ガス化反応が生
じたと思われる。逆に酸素過剰量が大きくなると水蒸気
の生成が生じ、その関係が傾き−2の直線に沿うことか
ら酸素が過剰になるとHの選択的な燃焼が生じたと判
定される。
【0015】本発明の特長は次の通りである。 1)ガス化炉内の反応の動向が普遍的な理論に基づいて
解析されるので、ガス化方式を選ばず広く適応できる。
ガス化炉を最高の熱効率で運転するには、給炭速度や酸
素、水蒸気の供給速度を調節して、ガス化炉内で起きる
化学反応の組み合わせを最適化にする必要がある。従来
から、特定のプラントの運転中に示す温度、圧力、ガス
生成量などの測定結果を経験的に解析して、そのプラン
ト特有の運転法を確立することはよく行われている。し
かしこのような方法はプラントやプロセスが異なると適
用できない。また、ガス化炉の運転状況を化学的に理解
するために、ガス化反応は炭素とガス化剤や生成ガスと
の間の反応の平衡定数や速度を用いて解析された。これ
らは概して運転終了後にガス化炉の性能解析の一環とし
て行われることが多く、運転中のガス化炉内の反応の進
行を動的に解析することはほとんど行われなかった。そ
の理由の一つに従来のガス化反応の解析においては供給
原料を基準に理論が組み立てられたことが挙げられる。
すなわち、(1)式のようなガス化の総括反応式を考え
る際に、CHは供給原料1モルをとるのが通例で
あった。供給原料1モルあたりの反応過程を明かそうと
するならば、原料供給量を把握することが解析の基本と
なる。最近の噴流層ガス化ではガス化温度が高く原料の
炉内滞在時間は数秒とされる。現在の原料の乾式供給装
置では数秒単位での供給量を一定化することはほとんど
不可能で、原料供給の変動は避けられず、この変動を主
たる原因としてガス化反応は変化し続けると思われる。
この結果としてのガス組成変化を供給原料1モルあたり
のガス化反応式に沿って解析することは原理的に矛盾を
きたし、結果の解釈が混乱する結果をしばしば招いた。
本発明は供給原料量に代えて反応した原料1モルあたり
の反応についての理論に基づいて解析を実行する。その
ため、原料供給量の変動によって引き起こされる反応も
理論的混乱なく扱えることになり、生成ガス組成に時間
変化に対しても信頼性の高い解析を行える。また理論の
誘導過程では任意の過程や数値の近似を一切用いないの
で、理論式は(1)式で表されるガス化現象一般につい
て普遍的に成立するので、ガス化方式やプロセス構成に
よらず広く用いることができる。
【0016】2)ガス化剤の酸素と水蒸気の利用状況を
表す酸素過剰量と水蒸気分解量とを生成ガス濃度の分析
結果と同時に表示することができる。ガス化炉内の反応
状態を知る上で生成ガス組成は重要な情報であるが、各
ガスの濃度の絶対値だけではガス化反応の進行状態を把
握できない。何らかの解析を実施してガス分析値をもた
らした反応過程を明らかにする必要がある。代表的な生
成ガスであるCO、H、CO、HO、CHの生
成・分解に関しても10以上の素反応が想定されるの
で、限られたデータの中で各素反応の寄与を決めるに
は、原料やガス化剤の供給量と生成物の収量との間の元
素収支関係を解析する必要があり、運転中に必要な情報
を入手して解析を実行することは容易ではない。本発明
では新たに酸素と水蒸気の消費形態を酸素過剰量と水蒸
気分解量で見積もる方法を発案し、理論的に酸素過剰量
を推定できる計算式を誘導した。式は一切の任意な仮定
を排除して誘導されているので、生成ガス組成の解析に
一般的に使用可能であり、求められる酸素過剰量と水蒸
気分解量は信頼をおける値である。また式は単純な四則
演算から構成されるので、酸素過剰量と水蒸気分解量の
計算は非常に短い時間内に達成可能で、ガス分析結果の
表示と同時に計器上にこれらの指標値を表すことが可能
で、ガス化反応の傾向をより定量的に解釈できる。
【0017】3)酸素過剰量と水蒸気分解量の時々刻々
の計算結果をグラフに表し、その軌跡を解析して反応の
時間経過を動的に解析できる。従来の反応解析が炉に供
給したガス化原料とガス化剤間の反応を追うことに終始
したため、ガス化炉の瞬間的な状態を解明できなかっ
た。本発明は供給原料量に代えて反応した原料1モルあ
たりの反応について解析を実行するため、原料供給量の
変動によって引き起こされる反応も理論的に扱え、生成
ガス組成に時間変化から炉内の反応状況を動的に解析で
きる。こうした動的解析の特徴を活かして、本発明では
生成ガス組成から求めた酸素過剰量と水蒸気分解量とが
描く軌跡を求め、理論的に推定される軌跡と比較するこ
とで反応の動特性をリアルタイムで解析表示できる。そ
の結果、従来解明できなかった水性ガス化反応とシフト
反応の寄与を明瞭かつ定量的に分けて検討できるように
なり、水蒸気の供給量を定量的かつ合理的に調節でき
る。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、前記構成を採用したの
で従来技術に比して以下に述べるような格別顕著なる効
果が得られる。従来、石炭ガス化炉の運転は主にプラン
ト各部の温度圧力、差圧の値によって監視されてきた。
運転は安定した長時間操業できることがまず求められ、
プロセスシステムが組まれ、プラント構造が試験され
た。冷ガス効率はプロセスの性能を標記する一つの数値
であるが、運転終了後に原料やガス化剤と生成ガスとの
間の物質収支をもとに計算されるのが常であった。最近
になって、CO排出の抑制や資源の制約などが認識さ
れて高効率化と炭素転換率の向上が重要な課題となっ
た。冷ガス効率の向上は工学的手法だけでは限界があ
り、多数あるガス化反応の構成を最適化させ、炭素転換
率を1に近づける化学的な処置が必要である。しかし、
これを確実に実行するガス化炉の運転監視方法は確立し
ていない。近年、開発が競われる噴流床ガス化方式では
〜7MPa、1300〜1600℃で炉が運転される。
炉材の耐熱性に関わる操業の安全性を確保する上でガス
化温度を知ることは重要であるが、この温度域を長時間
安定して計測できる温度計はほとんどない。炉内での原
料とガスの混合性が良く、比較的均一な温度分布を特つ
ガス化方式では、温度の直接計測に代わってメタンの平
衡濃度の温度依存性から炉内温度を推定する方法が利用
されている。しかし、部分酸化反応を主とする高温部分
と、熱分解反応等を主とする比較的低温部分とをガス化
炉内に積極的に構成して、生成ガス顕熱の化学的利用を
はかる開発中の方式では、熱分解によるメタン生成の寄
与が大きく、メタン濃度は化学平衡関係から大きくずれ
るためこの温度推定法は利用できない。そこで、本発明
で得られる酸素過剰量から部分酸化反応部の燃焼反応の
寄与を割り出し、その温度を見積もる方式が有効な手段
となりうる。水蒸気は、炭素と反応して一酸化炭素と水
素を生じる水性ガス化反応と、一酸化炭素と反応して二
酸化炭素と水素を生じるシフト反応により消費され、水
素の燃焼により生成する。水添ガス化反応は吸熱反応で
冷ガス効率を向上させるので、水蒸気分解率はガス化炉
の性能や運転状況を評価する指標値として用いられてき
た。一方、シフト反応は生成ガス組成を変えても、冷ガ
ス効率には影響しない。生成ガス組成だけでは水添ガス
化反応とシフト反応を定量的に分離できないため、水蒸
気分解率をそのまま冷ガス効率と関連づけられなかった
が、本発明を用いれば、両反応の寄与をおおよそ推定で
き、冷ガス効率を向上させる運転条件の把握を容易にす
ることができる。水蒸気は上記の化学的作用のほかに、
ガス化炉の過熱を抑止する冷却媒体としても良く利用さ
れる。水蒸気の化学的作用と冷却媒体としての働きを的
確に分離して、無駄のない水蒸気の使用を実現するため
にも、水蒸気の化学的分解量を知らなければならない。
水蒸気分解率は実験終了後にある運転期間の平均的な水
素収支、酸素収支、プロセス全体の物質収支などから計
算されたが、この方法では運転終了後にしか水蒸気分解
量を求められない。炉の運転を最適化するには、運転中
の水蒸気分解挙動を知って即座に運転条件を調節するこ
とが望ましいが、適切な手法がなかった。このため、時
には水性ガス化反応の寄与を過大に評価して過剰なスチ
ームが添加され、その結果として炉が冷却されているの
に気づかずに、炉温を維持するため過剰に酸素を供給し
て運転成績が悪化しても、原料のガス化反応性が低いた
め効率が上がらないと判断される場合もあった。従来の
運転監視技術は原料供給量速度、酸素/水蒸気供給速
度、生成ガス組成、生成ガス量、各部温度/圧力を出力
するだけであったが、本発明によれば、ガス化の冷ガス
効率に直接支配する酸素の利用状況と水蒸気の分解量を
的確にリアルタイムで把握しながら、原料供給速度、酸
素や水蒸気の供給量あるいは今日急速度を調節できるの
で、高効率化に必要な措置を適切にかつ定量的に判定で
き、過去に行われたような誤操作に陥らずにすむし、緊
急時における安全操業の確保も確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス化炉の運転監視システムの構
成を示すブロック図である。
【図2】Δをx軸にとり、(β−ζ)をy軸にとった場
合の理論的なガス化反応の動向を示す図である。
【図3】酸素吹きの噴流床ガス化の運転結果に本発明の
理論を応用した結果を示す図である。
【図4】図3と同じ方式の炉にほぼ理想的な量の酸素を
供給した時の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 ガス化炉 2 原料供給部 3 酸素供給部 4 水蒸気供給部 11 元素分析値算出手段(第1の手段) 12 生成ガス組成算出手段(第2の手段) 13 指標値算出手段(第3の手段) 14 水蒸気分解量算出手段(第4の手段) 15 制御する制御手段(第5の手段)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−71362(JP,A) 特開 平6−264760(JP,A) 特開 平9−87639(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10J 3/46 C10J 3/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料供給部、酸素供給部及び水蒸気供給
    部を備えたガス化炉の運転監視方法であって、 原料である石炭の単位量当たりの元素分析値を求める第
    1の手段と、 生成ガス組成を求める第2の手段と、 該第1の手段及び該第2の手段で求めたデータに基づ
    き、ガス化反応における酸素の利用率を示す指標値
    を、下記式 Δ=0.5(1+0.5m−3η)−(1−X)(1−η)/(X+Y) [式中、mは石炭中に含まれる炭素原子に対する水素原
    子比(H/C)であり、ηはメタンへの転化率である。
    X、Y及びZは、それぞれ生成ガス中の二酸化炭素濃
    度、一酸化炭素濃度及びメタン濃度を示し、η=Z/
    (X+Y+Z)の関係を有する。] により 求める第3の手段と、 該第1の手段及び該第2の手段で求めたデータに基づ
    き、ガス化反応における水蒸気分解量(β−ζ)を、下
    記式 β−ζ=(1−η)/(X+Y)−(1+0.5m−2η) [式中、β及びζは、それぞれ石炭1モル当たりの供給
    水蒸気量及び生成ガス中の水蒸気量を示す。m、η、X
    及びYは、それぞれ前記したと同意義を有する。] により 求める第4の手段と、 該第3の手段及び該第4の手段で求めたデータに基づ
    き、ガス化炉内での反応の動向を求め、その動向に応じ
    て原料供給部、酸素供給部及び水蒸気供給部の動作を制
    御する第5の手段を具備することを特徴とするガス化炉
    の運転監視方法
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