JP3184800U - 走行式吊り具 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械部品の着脱やワイヤー自体の取り外し端部からの挿通といった操作を不要とし、ワイヤーへの取り付け操作、ないし取り外し操作を容易に行うことのできるといった、取り扱い性に優れた走行式吊り具を提供する。
【解決手段】架設ワイヤーWに走行可能に取り付けられ、架設ワイヤーWに沿って吊り部品4を移動可能に吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、架設ワイヤーWを跨ぐ凹部が周設され、架設ワイヤーW上を転動し得る滑車輪1と、滑車輪1の両側部から下方にループ状に亘って内部にワイヤー収容空間を有すると共に、吊り部品4を係止させる係止部2Cを有する吊設体2と、を具備してなる走行式吊り具であって、前記係止部2Cの内部又は係止部2Cとの外接触部に、架設ワイヤーWが挿通可能なワイヤー挿入口20を形成してなる。
【選択図】図3
【解決手段】架設ワイヤーWに走行可能に取り付けられ、架設ワイヤーWに沿って吊り部品4を移動可能に吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、架設ワイヤーWを跨ぐ凹部が周設され、架設ワイヤーW上を転動し得る滑車輪1と、滑車輪1の両側部から下方にループ状に亘って内部にワイヤー収容空間を有すると共に、吊り部品4を係止させる係止部2Cを有する吊設体2と、を具備してなる走行式吊り具であって、前記係止部2Cの内部又は係止部2Cとの外接触部に、架設ワイヤーWが挿通可能なワイヤー挿入口20を形成してなる。
【選択図】図3
Description
本考案は、架設したワイヤーに沿って走行可能に取り付け、ワイヤーに沿ってカーテン等の吊り具を移動可能に吊設する走行式吊り具に関する。
温室等のカーテン装置におけるカーテン走行式吊り具装置に関し、従来、上枠部に滑車を回転自在に設け、下枠部にカーテン吊り用フックを設けた滑車枠体の中央部に前記滑車の滑車面に当接するカーテンワイヤーの通過孔を設けたものが開示される(例えば、特許文献1参照)。これは、滑車枠体の前記通過孔の側面に、カーテンワイヤーの挿通方向に沿ってワイヤー取付孔を設けると共に、該ワイヤー取付孔に突出して弾性変形可能にカーテンワイヤーを嵌着し且つ抜け防止するワイヤー嵌着板を前記滑車枠体に設ける一方、下枠部に設けた前記カーテン吊り用フックの先端にカーテン吊り具をワンタッチで嵌着し且つ抜け防止する抜け止め装着部を設けている、とされる。
また他に、ゴルフの練習場や学校のグランド等の周部に張設される防球ネットの吊り下げ金具に関し、従来、ボルトとナットとによってコンクリート製支柱の上部側を抱持する状態で取り付けられる支柱抱持部材にブラケットを連設すると共に、該ブラケットに、防球ネットに連結されたリングに対するガイドワイヤーの連結部と、一端側が前記防球ネットの上部側に連結され且つ他端側が地上近傍のワイヤー昇降機に連結されたネット昇降用ワイヤーを巻回するための滑車の連結部とを設け、更に、支柱上端に係止して前記支柱抱持部材の落ち止めを司る落下防止具を当該支柱抱持部材に連設したものが開示される(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記従来のカーテン走行式吊り具装置や吊り下げ金具は、いずれもワイヤーへの取り付けやワイヤーからの取り外しに際し、機械部品の着脱やワイヤー自体の取り外し端部からの挿通といった操作が必要となっており、特にワイヤーに沿って複数個を連接するこの種部品においては、ワイヤーへの取り付け操作やワイヤーからの取り外し操作が煩雑となっていた。
また上記従来の走行式吊り具装置のように機械部品を組み形成したものは、複雑な構造によって体積や重量が嵩張り、或いは耐久性に劣り、また工場用の間仕切りやビニールハウスなどに吊り具の使用対象が限定される場合があった。
そこで本考案は、ワイヤーへの取り付けやワイヤーからの取り外しに際し、機械部品の着脱やワイヤー自体の取り外し端部からの挿通といった操作を不要とし、ワイヤーへの取り付け操作、ないし取り外し操作を容易に行うことのできるといった、取り扱い性に優れた走行式吊り具を提供することを課題とする。また比較的簡易な構造によって体積や重量が嵩張りにくく、或いは耐久性に優れ、また吊り具の使用対象が限定されにくい走行式吊り具を安価に提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本考案は以下(1)〜(10)の構成を採用している。
(1)本考案の走行式吊り具は、
架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に取り付けられた状態で吊り部品(4)を吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、
架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸棒からなると共に架設ワイヤー(W)上を滑動し得る軸部(2A)と、軸部(2A)の両側部からそれぞれ下方に亘る側枠部(21)(22)と、によって三方枠状に囲われたワイヤー収容空間を形成する吊設体(2)を具備してなり、
前記吊設体(2)は、このワイヤー収容空間の側部又は下部に設けられた、吊り部品(4)を係止させる周状又は部分周状の係止部(2C)と、
前記係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接して設けられた、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)とを有してなり、
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする。
少なくとも吊設体(2)を具備してなる上記走行式吊り具は、後述の実施例3のように滑車輪1を有さず、吊設体2とスリーブ3のみを具備した形態を含む。この場合には、吊設体の軸部2Aを囲うスリーブ3が架設ワイヤーW上に接した状態で吊り下げ状態となり、この状態のままスリーブ3が架設ワイヤー上を滑動ないし転動することで、走行式吊り具が走行する。
また滑車輪1及びスリーブ3のいずれも有さず、吊設体2のみを具備した形態も含む。この場合には、吊設体の軸部2Aが架設ワイヤーW上に接した状態で吊り下げ状態となり、この状態のまま軸部2Aが架設ワイヤー上を直接滑動することで、走行式吊り具が走行する。
吊り下げ姿勢では、軸部2Aが横方向を向いて架設ワイヤー上を跨ぎ、側枠部21,22が縦方向を向いて軸部2Aから下方を向いて架設ワイヤーの側部を囲ってバランスが取れた状態となる。吊り下げ姿勢の時、ワイヤー収容空間は空間内上部に架設ワイヤーを収容して、縦方向に拡がる。係止部で吊り部品(4)を係止させたとき、この吊り下げ姿勢のまま架設ワイヤーに沿って走行可能となる。前記係止部によって吊り部品(4)を係止することで、さらに安定して吊り下げ姿勢を保つことができる。
(2)前記走行式吊り具において、軸部(2A)の周囲には軸周りを略円筒状に覆うスリーブ材(3)が覆設され、
吊り下げ姿勢ではこのスリーブ材3が架設ワイヤーを跨いだ状態となり、
このスリーブ材(3)の内面又は外面の少なくともいずれかが軸部又は架設ワイヤーWに対して滑動することで架設ワイヤー上を移動することが好ましい。
実施例3では走行時にスリーブ材3自体は回転せず、架設ワイヤー上に接したまま滑り動くものとなっている。他に、走行時にスリーブ材3自体が軸部2Aに対して回転し、架設ワイヤー上を転動するものも含まれる。また、吊り部品(4)の吊り状態や走行速度といった外的条件によって、滑動ないし転動のいずれかが起こることもあり得るため、これらを除く趣旨ではない。例えば、走行時にスリーブ材3自体が軸部2Aに対して回転しながらスリーブ材3が架設ワイヤー上を滑動する場合もあり、このようなものも含まれる。
ここで略円筒状に覆うとは、円筒体又は円筒体の一部が欠落した部分円筒体で覆うか、或いは螺旋状に旋回した線状体によって円筒領域で覆うことをいう。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
(3)また、本考案の走行式吊り具は、架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に沿って吊り部品(4)を移動可能に吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、
架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸部(2A)廻りに転動可能に取り付けられた滑車輪(1)と、
滑車輪(1)の両側端からそれぞれ下方に亘る側枠部21,22を有し、側枠部21,22の少なくともいずれかの下部に、吊り部品(4)を係止させる係止部(2C)を有した吊設体(2)と、を具備してなる走行式吊り具であって、
前記吊設体(2)の内部には、滑車輪(1)の下側面と、その両側端から縦方向に伸びる側枠部21,22の各内側面と、吊設体(2)の外周面とを包囲縁とした、ワイヤー収容空間が形成され、
このワイヤー収容空間の下部であって、係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接した部分に、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)を有してなり、
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、滑車輪(1)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする。
吊設体(2)に、ワイヤー挿入口(20)を設けたワイヤー収容空間を形成しているため、走行式吊り具のワイヤー収容空間内に架設ワイヤー(W)を入れるだけで、走行式吊り具の取り付けを容易に行うことができるものとなった。取り付け状態では、滑車輪(1)の凹部が架設ワイヤー(W)上に嵌まり、吊設体(2)が滑車輪の下部に吊設される。このとき、架設ワイヤー(W)を含む滑車輪の下部にワイヤー収容空間が形成される。取り付けた状態で、係止部(2C)は架設ワイヤー(W)の下部に位置しており、カーテンフック、カーテンループ等の吊り部材を係止保持する。
(4)前記いずれかの走行式吊り具において、前記両側枠部のうちいずれか一方の側枠部の先部には、前記係止部(2C)の特定の外周部分に接触乃至近接するように伸長した、弾性線材からなる挿入端部(2B)が形成され、
架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する際には、この挿入端部(2B)が、係止部(2C)の前記特定の外周部分から架設ワイヤーのワイヤー径以上離間するまで弾性変形することでワイヤー挿入口(20)が一時的に開口した一時開口状態となり、
架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容した後には、この挿入端部(2B)が再び係止部(2C)の前記特定の外周部分にまで接触乃至近接するまで弾性復帰することでワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じた略閉口状態となることが好ましい。
ここで略閉口状態とは、ワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じて、挿入端部と係止部とが接触しているか、或いは挿入端部と係止部との最近接距離が架設ワイヤーのワイヤー径よりも小さくなった状態をいう。略閉口状態では、ワイヤー挿入口(20)ワイヤー収容空間が完全な閉空間として形成されるか、或いは完全には閉じていないが架設ワイヤーが遊挿脱しない程度まで閉じた準閉空間として形成される。
少なくともワイヤー収容空間のうちのワイヤー挿入口(20)部分を弾性線材で構成し、またワイヤー挿入口を前記弾性線材の挿入端部と係止部との間に形成している。これにより、簡易な機構でありながらワイヤー挿入操作を行いやすく、かつ、ワイヤー挿入後に架設ワイヤー(W)から容易に外れる(ワイヤー収容空間内の架設ワイヤー(W)がワイヤー収容空間外へ容易に抜け出る)ことのないものとなる。
(5)前記いずれかの走行式吊り具において、滑車輪(1)は横方向の軸孔(1H)を有すると共にこの軸孔(1H)を中心とする回転体形状で構成され、
吊設体(2)は、
前記軸孔(1H)内の少なくとも両孔端それぞれに横方向に挿通する軸部(2A)と、
前記軸孔(1H)の両端の軸部(2A)それぞれから縦方向に曲げ形成された左右の側枠部(21,22)と、
左右の側枠部(21,22)のうちいずれか一方の下部先端から内側方向に環状又は部分環状に曲げ形成された係止部(2C)と、
左右の側枠部(21,22)のうちいずれか他方の下部先端から伸長し、前記係止部(2C)の曲げ形成された特定の外周部の一部に接触又は近接する挿入端部(2B)と、
を有した弾性線材によって一体構成され、これら軸部、両側枠部、及び係止部乃至挿入端部ことで、内部のワイヤー収容空間が形成されることが好ましい。
吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。
(6)前記いずれかの走行式吊り具において、軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲には弾性材からなるスリーブ材(3)が覆設され、
このスリーブ材(3)の内面又は外面が軸部又は軸孔に対して擦動することが好ましい。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪1が車軸1Aに対してスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。これにより走行式吊り具の取り付け後の走行が滑らかとなり、走行時に発生する音が小さくなる。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
(7)前記いずれかの走行式吊り具において、係止部(2C)は、多重に巻き構成された多重巻きの成形線材からなることが好ましい。
図7に示すように、多重巻きの線材内に吊り具を係止した状態では、一重の環材と比べ、吊り具の自由回転範囲が制限され振れ量が少なくなる。これにより、多数の走行式吊り具でそれぞれ吊り具を吊設したとき、各吊り具が大きくほぼ同方向をむくように吊設できるため、体裁の良いものとなる。
(8)前記いずれかの走行式吊り具において、挿入端部(2B)は、係止部(2C)との接触部又は最近接部にて外方へ屈曲又は湾曲し、この屈曲又は湾曲した先に棒状の操作片(23)を有することが好ましい。
操作片(23)によって架設ワイヤー(W)の挿入操作をより行いやすく、また設置後の架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間外に出して走行式吊り具を取り外す取り外し操作を行いやすいものとなる。
(9)前記いずれかの走行式吊り具において、操作片(23)の先端に、操作片(23)の棒の径を膨出させた膨出部(7)が形成され、この膨出部(7)によって、操作片(23)の架設ワイヤー以外のものへの侵入及び係止を阻害することが好ましい。
膨出部(7)の膨出部分が障壁となって操作片23の先部で外部接触することで、他の走行式吊り具のワイヤー収容空間内、及び他の係止部へ係止することを阻害する。特に架設ワイヤーから取り外した状態で複数の走行式吊り具を保管する際に、走行式吊り具同士の不要な絡みつきを防止する。
(10)前記いずれかの走行式吊り具において、両側枠部のうち少なくともいずれかの側枠部には、枠形成方向に沿ってカバー材(5)が嵌め込み固定されることが好ましい。
カバー材(5)によって側枠部を覆い、側枠部の外部への不要な接触を抑制して側枠部を保護すると共に、吊設体が架設ワイヤー以外の外部品と不要に絡まって、ワイヤー収容空間内乃至係止部内に架設ワイヤー以外の外部品が入ってしまうことを防ぐことができる。また化粧カバーとして構成することで、取り付けられた状態で体裁の良いものとなる。
(1)本考案の走行式吊り具は、
架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に取り付けられた状態で吊り部品(4)を吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、
架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸棒からなると共に架設ワイヤー(W)上を滑動し得る軸部(2A)と、軸部(2A)の両側部からそれぞれ下方に亘る側枠部(21)(22)と、によって三方枠状に囲われたワイヤー収容空間を形成する吊設体(2)を具備してなり、
前記吊設体(2)は、このワイヤー収容空間の側部又は下部に設けられた、吊り部品(4)を係止させる周状又は部分周状の係止部(2C)と、
前記係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接して設けられた、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)とを有してなり、
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする。
少なくとも吊設体(2)を具備してなる上記走行式吊り具は、後述の実施例3のように滑車輪1を有さず、吊設体2とスリーブ3のみを具備した形態を含む。この場合には、吊設体の軸部2Aを囲うスリーブ3が架設ワイヤーW上に接した状態で吊り下げ状態となり、この状態のままスリーブ3が架設ワイヤー上を滑動ないし転動することで、走行式吊り具が走行する。
また滑車輪1及びスリーブ3のいずれも有さず、吊設体2のみを具備した形態も含む。この場合には、吊設体の軸部2Aが架設ワイヤーW上に接した状態で吊り下げ状態となり、この状態のまま軸部2Aが架設ワイヤー上を直接滑動することで、走行式吊り具が走行する。
吊り下げ姿勢では、軸部2Aが横方向を向いて架設ワイヤー上を跨ぎ、側枠部21,22が縦方向を向いて軸部2Aから下方を向いて架設ワイヤーの側部を囲ってバランスが取れた状態となる。吊り下げ姿勢の時、ワイヤー収容空間は空間内上部に架設ワイヤーを収容して、縦方向に拡がる。係止部で吊り部品(4)を係止させたとき、この吊り下げ姿勢のまま架設ワイヤーに沿って走行可能となる。前記係止部によって吊り部品(4)を係止することで、さらに安定して吊り下げ姿勢を保つことができる。
(2)前記走行式吊り具において、軸部(2A)の周囲には軸周りを略円筒状に覆うスリーブ材(3)が覆設され、
吊り下げ姿勢ではこのスリーブ材3が架設ワイヤーを跨いだ状態となり、
このスリーブ材(3)の内面又は外面の少なくともいずれかが軸部又は架設ワイヤーWに対して滑動することで架設ワイヤー上を移動することが好ましい。
実施例3では走行時にスリーブ材3自体は回転せず、架設ワイヤー上に接したまま滑り動くものとなっている。他に、走行時にスリーブ材3自体が軸部2Aに対して回転し、架設ワイヤー上を転動するものも含まれる。また、吊り部品(4)の吊り状態や走行速度といった外的条件によって、滑動ないし転動のいずれかが起こることもあり得るため、これらを除く趣旨ではない。例えば、走行時にスリーブ材3自体が軸部2Aに対して回転しながらスリーブ材3が架設ワイヤー上を滑動する場合もあり、このようなものも含まれる。
ここで略円筒状に覆うとは、円筒体又は円筒体の一部が欠落した部分円筒体で覆うか、或いは螺旋状に旋回した線状体によって円筒領域で覆うことをいう。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
(3)また、本考案の走行式吊り具は、架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に沿って吊り部品(4)を移動可能に吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、
架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸部(2A)廻りに転動可能に取り付けられた滑車輪(1)と、
滑車輪(1)の両側端からそれぞれ下方に亘る側枠部21,22を有し、側枠部21,22の少なくともいずれかの下部に、吊り部品(4)を係止させる係止部(2C)を有した吊設体(2)と、を具備してなる走行式吊り具であって、
前記吊設体(2)の内部には、滑車輪(1)の下側面と、その両側端から縦方向に伸びる側枠部21,22の各内側面と、吊設体(2)の外周面とを包囲縁とした、ワイヤー収容空間が形成され、
このワイヤー収容空間の下部であって、係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接した部分に、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)を有してなり、
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、滑車輪(1)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする。
吊設体(2)に、ワイヤー挿入口(20)を設けたワイヤー収容空間を形成しているため、走行式吊り具のワイヤー収容空間内に架設ワイヤー(W)を入れるだけで、走行式吊り具の取り付けを容易に行うことができるものとなった。取り付け状態では、滑車輪(1)の凹部が架設ワイヤー(W)上に嵌まり、吊設体(2)が滑車輪の下部に吊設される。このとき、架設ワイヤー(W)を含む滑車輪の下部にワイヤー収容空間が形成される。取り付けた状態で、係止部(2C)は架設ワイヤー(W)の下部に位置しており、カーテンフック、カーテンループ等の吊り部材を係止保持する。
(4)前記いずれかの走行式吊り具において、前記両側枠部のうちいずれか一方の側枠部の先部には、前記係止部(2C)の特定の外周部分に接触乃至近接するように伸長した、弾性線材からなる挿入端部(2B)が形成され、
架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する際には、この挿入端部(2B)が、係止部(2C)の前記特定の外周部分から架設ワイヤーのワイヤー径以上離間するまで弾性変形することでワイヤー挿入口(20)が一時的に開口した一時開口状態となり、
架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容した後には、この挿入端部(2B)が再び係止部(2C)の前記特定の外周部分にまで接触乃至近接するまで弾性復帰することでワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じた略閉口状態となることが好ましい。
ここで略閉口状態とは、ワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じて、挿入端部と係止部とが接触しているか、或いは挿入端部と係止部との最近接距離が架設ワイヤーのワイヤー径よりも小さくなった状態をいう。略閉口状態では、ワイヤー挿入口(20)ワイヤー収容空間が完全な閉空間として形成されるか、或いは完全には閉じていないが架設ワイヤーが遊挿脱しない程度まで閉じた準閉空間として形成される。
少なくともワイヤー収容空間のうちのワイヤー挿入口(20)部分を弾性線材で構成し、またワイヤー挿入口を前記弾性線材の挿入端部と係止部との間に形成している。これにより、簡易な機構でありながらワイヤー挿入操作を行いやすく、かつ、ワイヤー挿入後に架設ワイヤー(W)から容易に外れる(ワイヤー収容空間内の架設ワイヤー(W)がワイヤー収容空間外へ容易に抜け出る)ことのないものとなる。
(5)前記いずれかの走行式吊り具において、滑車輪(1)は横方向の軸孔(1H)を有すると共にこの軸孔(1H)を中心とする回転体形状で構成され、
吊設体(2)は、
前記軸孔(1H)内の少なくとも両孔端それぞれに横方向に挿通する軸部(2A)と、
前記軸孔(1H)の両端の軸部(2A)それぞれから縦方向に曲げ形成された左右の側枠部(21,22)と、
左右の側枠部(21,22)のうちいずれか一方の下部先端から内側方向に環状又は部分環状に曲げ形成された係止部(2C)と、
左右の側枠部(21,22)のうちいずれか他方の下部先端から伸長し、前記係止部(2C)の曲げ形成された特定の外周部の一部に接触又は近接する挿入端部(2B)と、
を有した弾性線材によって一体構成され、これら軸部、両側枠部、及び係止部乃至挿入端部ことで、内部のワイヤー収容空間が形成されることが好ましい。
吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。
(6)前記いずれかの走行式吊り具において、軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲には弾性材からなるスリーブ材(3)が覆設され、
このスリーブ材(3)の内面又は外面が軸部又は軸孔に対して擦動することが好ましい。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪1が車軸1Aに対してスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。これにより走行式吊り具の取り付け後の走行が滑らかとなり、走行時に発生する音が小さくなる。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
(7)前記いずれかの走行式吊り具において、係止部(2C)は、多重に巻き構成された多重巻きの成形線材からなることが好ましい。
図7に示すように、多重巻きの線材内に吊り具を係止した状態では、一重の環材と比べ、吊り具の自由回転範囲が制限され振れ量が少なくなる。これにより、多数の走行式吊り具でそれぞれ吊り具を吊設したとき、各吊り具が大きくほぼ同方向をむくように吊設できるため、体裁の良いものとなる。
(8)前記いずれかの走行式吊り具において、挿入端部(2B)は、係止部(2C)との接触部又は最近接部にて外方へ屈曲又は湾曲し、この屈曲又は湾曲した先に棒状の操作片(23)を有することが好ましい。
操作片(23)によって架設ワイヤー(W)の挿入操作をより行いやすく、また設置後の架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間外に出して走行式吊り具を取り外す取り外し操作を行いやすいものとなる。
(9)前記いずれかの走行式吊り具において、操作片(23)の先端に、操作片(23)の棒の径を膨出させた膨出部(7)が形成され、この膨出部(7)によって、操作片(23)の架設ワイヤー以外のものへの侵入及び係止を阻害することが好ましい。
膨出部(7)の膨出部分が障壁となって操作片23の先部で外部接触することで、他の走行式吊り具のワイヤー収容空間内、及び他の係止部へ係止することを阻害する。特に架設ワイヤーから取り外した状態で複数の走行式吊り具を保管する際に、走行式吊り具同士の不要な絡みつきを防止する。
(10)前記いずれかの走行式吊り具において、両側枠部のうち少なくともいずれかの側枠部には、枠形成方向に沿ってカバー材(5)が嵌め込み固定されることが好ましい。
カバー材(5)によって側枠部を覆い、側枠部の外部への不要な接触を抑制して側枠部を保護すると共に、吊設体が架設ワイヤー以外の外部品と不要に絡まって、ワイヤー収容空間内乃至係止部内に架設ワイヤー以外の外部品が入ってしまうことを防ぐことができる。また化粧カバーとして構成することで、取り付けられた状態で体裁の良いものとなる。
本考案は上記手段を講じており、少なくとも2重の弾性樹脂製被覆層を施すことによって金属製の撚り線が錆びにくく、したがって耐水性、耐候性に比較的優れたものとなる。また外観上の体裁がよく、破断強度に優れた高強度材仕様の質感を有すると共に、弾性樹脂のコーティングによってワイヤーの柔軟性が向上し、取り扱い性や収納性に比較的優れた走行式吊り具を安価に提供することとなった。
本考案を実施するための最良の形態として、実施例1(図1〜3、図5b、図7a)、実施例2(図4、図5a)、実施例3(図6、図7b)、及び実施例4〜6(図8)として示す各図と共に説明する。いずれの実施例でも本考案の走行式吊り具は、設置箇所に略水平に張られた架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に沿って吊り部品(4)を移動可能に吊設する走行式吊り具である。
そして本考案の走行式吊り具の基本構成として、少なくとも、
・架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸棒からなると共に架設ワイヤー(W)上を滑動し得る軸部(2A)と、
・軸部(2A)の両側部からそれぞれ下方に亘る側枠部(21)(22)と、
・いずれかの側枠部(21)(22)に設けられた、吊り部品(4)を係止させる周状又は部分周状の係止部(2C)と、を有した吊設体(2)を具備する。
この吊設体(2)は、前記軸部(2A)とその両端から下方に伸びる側枠部(21)(22)とによって上部を三方枠状に囲われたワイヤー収容空間を形成する。また前記係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接して、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)が設けられる。
そして上記吊設体(2)は、ワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする。
・架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸棒からなると共に架設ワイヤー(W)上を滑動し得る軸部(2A)と、
・軸部(2A)の両側部からそれぞれ下方に亘る側枠部(21)(22)と、
・いずれかの側枠部(21)(22)に設けられた、吊り部品(4)を係止させる周状又は部分周状の係止部(2C)と、を有した吊設体(2)を具備する。
この吊設体(2)は、前記軸部(2A)とその両端から下方に伸びる側枠部(21)(22)とによって上部を三方枠状に囲われたワイヤー収容空間を形成する。また前記係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接して、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)が設けられる。
そして上記吊設体(2)は、ワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする。
(挿入端部2Bと係止部2C)
またワイヤー収容空間とワイヤー挿入口(20)の構成に関し、特に、両側枠部(21)(22)のうちいずれか一方の側枠部(21)の先部には、ワイヤー収容空間の形成方向たる内側方向を向いて、環状又は部分環状に曲げ形成された係止部(2C)が形成され、
また他方の側枠部(22)の先部には、前記係止部(2C)の特定の外周部分に接触乃至近接するように伸長した、弾性線材からなる挿入端部(2B)が形成されることが好ましい。少なくともワイヤー収容空間のうちのワイヤー挿入口(20)部分を弾性線材で構成し、またワイヤー挿入口を前記弾性線材の挿入端部と係止部との間に形成している。これにより、簡易な機構でありながらワイヤー挿入操作を行いやすく、かつ、ワイヤー挿入後に架設ワイヤー(W)から容易に外れる(ワイヤー収容空間内の架設ワイヤー(W)がワイヤー収容空間外へ容易に抜け出る)ことのないものとなる。
またワイヤー収容空間とワイヤー挿入口(20)の構成に関し、特に、両側枠部(21)(22)のうちいずれか一方の側枠部(21)の先部には、ワイヤー収容空間の形成方向たる内側方向を向いて、環状又は部分環状に曲げ形成された係止部(2C)が形成され、
また他方の側枠部(22)の先部には、前記係止部(2C)の特定の外周部分に接触乃至近接するように伸長した、弾性線材からなる挿入端部(2B)が形成されることが好ましい。少なくともワイヤー収容空間のうちのワイヤー挿入口(20)部分を弾性線材で構成し、またワイヤー挿入口を前記弾性線材の挿入端部と係止部との間に形成している。これにより、簡易な機構でありながらワイヤー挿入操作を行いやすく、かつ、ワイヤー挿入後に架設ワイヤー(W)から容易に外れる(ワイヤー収容空間内の架設ワイヤー(W)がワイヤー収容空間外へ容易に抜け出る)ことのないものとなる。
(一時開口状態と略閉口状態)
上記構成において、架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する際には、この挿入端部(2B)が、係止部(2C)の前記特定の外周部分から架設ワイヤーのワイヤー径以上離間するまで弾性変形することでワイヤー挿入口(20)が一時的に開口した一時開口状態となる。
また、架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容した後には、この挿入端部(2B)が再び係止部(2C)の前記特定の外周部分にまで接触乃至近接するまで弾性復帰することでワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じた略閉口状態となる。架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する前後の通常状態では、略閉口状態を維持している。
上記構成において、架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する際には、この挿入端部(2B)が、係止部(2C)の前記特定の外周部分から架設ワイヤーのワイヤー径以上離間するまで弾性変形することでワイヤー挿入口(20)が一時的に開口した一時開口状態となる。
また、架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容した後には、この挿入端部(2B)が再び係止部(2C)の前記特定の外周部分にまで接触乃至近接するまで弾性復帰することでワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じた略閉口状態となる。架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する前後の通常状態では、略閉口状態を維持している。
(軸部2A)
なお上記構成において、軸部(2A)は架設ワイヤーの上部または上方を移動する軸構造を有していればよい。例えば、横幅方向全体に連なって伸長する1本の軸棒からなり、架設ワイヤー上を連続的に跨ぐ軸部(2A)であってもよい。また他に、滑車輪(1)やスリーブ材(3)の片側又は両側から部分挿入される複数本の軸棒からなり、架設ワイヤー上を間欠して跨ぐ軸部(2A)であってもよい。
なお上記構成において、軸部(2A)は架設ワイヤーの上部または上方を移動する軸構造を有していればよい。例えば、横幅方向全体に連なって伸長する1本の軸棒からなり、架設ワイヤー上を連続的に跨ぐ軸部(2A)であってもよい。また他に、滑車輪(1)やスリーブ材(3)の片側又は両側から部分挿入される複数本の軸棒からなり、架設ワイヤー上を間欠して跨ぐ軸部(2A)であってもよい。
(スリーブ材又は/及び滑車輪)
1本または複数本のいずれかの軸部(2A)のどちらの場合でも、架設ワイヤーを跨ぐ幅方向の軸部(2A)の周囲には、軸周りを略円筒状に覆うスリーブ材(3)、或いは、軸周りを軸孔で囲うと共に架設ワイヤー上を転動する滑車輪(1)の少なくともいずれかが覆設されることが好ましい。架設ワイヤー(W)に取り付けられた吊設体(2)は、吊り部品(4)を係止した状態でも、このスリーブ材(3)又は滑車輪(1)が架設ワイヤーを跨いだ吊り下げ姿勢を保ったまま走行する。
ここで略円筒状に覆うとは、円筒体又は円筒体の一部が欠落した部分円筒体で覆うか、或いは螺旋状に旋回した線状体によって円筒領域で覆うことをいう。また、上記スリーブ材(3)は内面又は外面の少なくともいずれかに滑面を有する円筒体のことであり、軸部、架設ワイヤーW、又は滑車輪の軸孔のいずれかに対して滑動することで架設ワイヤー上を移動する。また滑車輪(1)は、架設ワイヤーW上を跨ぐと共に回転軸周りに回転体の周部が周設され、その回転軸周りに転動可能な車輪のことであり、回転体の周部が架設ワイヤーW上に接触した状態のまま、回転体が回転軸周りに転動することで架設ワイヤーW上を走行する。以下、各実施例の形態につき詳述する。
1本または複数本のいずれかの軸部(2A)のどちらの場合でも、架設ワイヤーを跨ぐ幅方向の軸部(2A)の周囲には、軸周りを略円筒状に覆うスリーブ材(3)、或いは、軸周りを軸孔で囲うと共に架設ワイヤー上を転動する滑車輪(1)の少なくともいずれかが覆設されることが好ましい。架設ワイヤー(W)に取り付けられた吊設体(2)は、吊り部品(4)を係止した状態でも、このスリーブ材(3)又は滑車輪(1)が架設ワイヤーを跨いだ吊り下げ姿勢を保ったまま走行する。
ここで略円筒状に覆うとは、円筒体又は円筒体の一部が欠落した部分円筒体で覆うか、或いは螺旋状に旋回した線状体によって円筒領域で覆うことをいう。また、上記スリーブ材(3)は内面又は外面の少なくともいずれかに滑面を有する円筒体のことであり、軸部、架設ワイヤーW、又は滑車輪の軸孔のいずれかに対して滑動することで架設ワイヤー上を移動する。また滑車輪(1)は、架設ワイヤーW上を跨ぐと共に回転軸周りに回転体の周部が周設され、その回転軸周りに転動可能な車輪のことであり、回転体の周部が架設ワイヤーW上に接触した状態のまま、回転体が回転軸周りに転動することで架設ワイヤーW上を走行する。以下、各実施例の形態につき詳述する。
図1〜3、図5b、図7aに示す実施例1の走行式吊り具は、略水平方向の軸孔(1H)を有すると共にこの軸孔中心を回転軸として架設ワイヤー(W)上を転動し得る滑車輪(1)と、
滑車輪(1)の両側部の軸孔(1H)内を貫通すると共にその両端からそれぞれ下方に亘って内部にループ状のワイヤー収容空間を有すると共に、吊り部品(4)を係止させる係止部(2C)を有する吊設体(2)と、
軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲に覆設されると共に軸孔(1H)内に収容された、弾性材からなるスリーブ材(3)と、を具備してなる。
そして、前記係止部(2C)の内部又は係止部(2C)との外接触部に、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)を形成してなる。
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容することで、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨いで各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲い、バランスのとれた吊り下げ姿勢(図3参照)を保つことができる。
滑車輪(1)の両側部の軸孔(1H)内を貫通すると共にその両端からそれぞれ下方に亘って内部にループ状のワイヤー収容空間を有すると共に、吊り部品(4)を係止させる係止部(2C)を有する吊設体(2)と、
軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲に覆設されると共に軸孔(1H)内に収容された、弾性材からなるスリーブ材(3)と、を具備してなる。
そして、前記係止部(2C)の内部又は係止部(2C)との外接触部に、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)を形成してなる。
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容することで、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨いで各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲い、バランスのとれた吊り下げ姿勢(図3参照)を保つことができる。
(吊り下げ姿勢)
吊り下げ姿勢では、軸部2Aが横方向を向いて架設ワイヤー上を跨ぎ、側枠部21,22が縦方向を向いて軸部2Aから下方を向いて架設ワイヤーの側部を囲ってバランスが取れた状態となる(図3参照)。吊り下げ姿勢の時、ワイヤー収容空間は空間内上部に架設ワイヤーを収容して、縦方向に拡がる。係止部で吊り部品(4)を係止させたとき、この吊り下げ姿勢のまま架設ワイヤーに沿って走行可能となる。本考案は、図3のように、係止部2Cによって吊り部品(4)を係止することで、さらに安定して吊り下げ姿勢を自律して保つことを特徴とする。
吊り下げ姿勢では、軸部2Aが横方向を向いて架設ワイヤー上を跨ぎ、側枠部21,22が縦方向を向いて軸部2Aから下方を向いて架設ワイヤーの側部を囲ってバランスが取れた状態となる(図3参照)。吊り下げ姿勢の時、ワイヤー収容空間は空間内上部に架設ワイヤーを収容して、縦方向に拡がる。係止部で吊り部品(4)を係止させたとき、この吊り下げ姿勢のまま架設ワイヤーに沿って走行可能となる。本考案は、図3のように、係止部2Cによって吊り部品(4)を係止することで、さらに安定して吊り下げ姿勢を自律して保つことを特徴とする。
(ワイヤー挿入口(20))
ワイヤー挿入口(20)は、係止部(2C)の外側部と、係止部(2C)に接触乃至近接する弾性線材からなる挿入端部(2B)との間に形成され、挿入端部(2B)が弾性変形することで架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間に収容し得ることが好ましい。
ワイヤー挿入口(20)は、係止部(2C)の外側部と、係止部(2C)に接触乃至近接する弾性線材からなる挿入端部(2B)との間に形成され、挿入端部(2B)が弾性変形することで架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間に収容し得ることが好ましい。
少なくともワイヤー収容空間のうちのワイヤー挿入口(20)部分を弾性線材で構成し、またワイヤー挿入口を前記弾性線材の挿入端部と係止部との間に形成している。これにより、簡易な機構でありながらワイヤー挿入操作を行いやすく、かつ、ワイヤー挿入後に架設ワイヤー(W)から容易に外れる(ワイヤー収容空間内の架設ワイヤー(W)がワイヤー収容空間外へ容易に抜け出る)ことのないものとなる。
特に吊設体(2)に、弾性材の挿入端部(2B)からなるワイヤー挿入口(20)を設けたワイヤー収容空間を形成しているため、挿入端部(2B)の弾性変形を利用して走行式吊り具のワイヤー収容空間内に架設ワイヤー(W)を入れるだけで、走行式吊り具の取り付けを容易に行うことができるものとなった。取り付け状態では、滑車輪(1)の凹部が架設ワイヤー(W)上に嵌まり、吊設体(2)が滑車輪の下部に吊設された吊り下げ状態を保つ。このとき、架設ワイヤー(W)を含む滑車輪の下部に、側方へ開口したワイヤー収容空間が形成される。吊り下げ状態で、係止部(2C)は架設ワイヤー(W)の下部に位置しており、カーテンフック、カーテンループ等の吊り部材を係止保持する。
(滑車輪(1))
滑車輪(1)は軸孔(1H)を有すると共にこの軸孔(1H)を中心とする回転体形状で構成され、軸方向中央に側面視半円形の凹部が周設されると共に軸両端部に向かって湾曲拡径する張り出し部が形成されてなる。表面滑りがよく耐摩擦性の大きい樹脂製又は金属製の一体成型滑車が好ましく、樹脂製の場合には例えばポリアセタールやポリアミド樹脂を主剤とする樹脂材が用いられる。
滑車輪(1)は軸孔(1H)を有すると共にこの軸孔(1H)を中心とする回転体形状で構成され、軸方向中央に側面視半円形の凹部が周設されると共に軸両端部に向かって湾曲拡径する張り出し部が形成されてなる。表面滑りがよく耐摩擦性の大きい樹脂製又は金属製の一体成型滑車が好ましく、樹脂製の場合には例えばポリアセタールやポリアミド樹脂を主剤とする樹脂材が用いられる。
図5bに示すように、側面視における軸方向凹部中央(最小外形部)から凹部によって形成される張出し部の端部(最大外径部)までの径方向長さであるスカート長1Sは、実施例1ではワイヤーの径Dよりも長いものとなっている。スカート長1Sは軸中央部の凹部の深さと同値であり、このスカート長1Sがワイヤー径Dよりも大きいことで、取り付けた状態の滑車輪の凹部はワイヤーの半周部を必ず囲う形状となり、また凹部の両端である張り出し端部は、多少の振動や衝撃を受けた場合でも、ワイヤー中心よりも下部に形成されることとなる(図5b参照)。
(吊設体(2))
吊設体(2)は、全体が1本の弾性線材たるバネ線材からなり、バネ線材を曲げ成形することで、横方向に伸長する軸部と、軸部の両端から屈曲又は湾曲して縦方向に伸長する側枠部とが連なって形成される。線材にはバネ用ステンレス鋼線等の金属線やピアノ線、オイルテンパー線のほか、特殊線材も含まれる。曲げ成形加工は、機械加工のフォーミング加工によるものとすることができる。吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。
吊設体(2)は、全体が1本の弾性線材たるバネ線材からなり、バネ線材を曲げ成形することで、横方向に伸長する軸部と、軸部の両端から屈曲又は湾曲して縦方向に伸長する側枠部とが連なって形成される。線材にはバネ用ステンレス鋼線等の金属線やピアノ線、オイルテンパー線のほか、特殊線材も含まれる。曲げ成形加工は、機械加工のフォーミング加工によるものとすることができる。吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。
吊設体(2)の弾性線材は、
前記軸孔(1H)内を挿通する軸部(2A)と、
軸部の一方の片端から屈曲して伸長し、その先に形成された環状又は破断環状の係止部(2C)と、
軸部の他方の片端から屈曲して伸長し、その先に屈曲又は湾曲形成された挿入端部(2B)と、を有するように曲げ成形によって一体構成される。
これら係止部、軸部、挿入端部、及び係止部乃至挿入端部までの伸長部が一体的に連なることによって、内部のワイヤー収容空間を形成する。
吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。
(軸部(2A))軸部(2A)は架設ワイヤー上を直線状に亘る円柱棒材からなり、直線の伸長部分全体に亘ってスリーブ材3が隙間を有して遊挿設されると共に、スリーブ3が覆設された状態のままスリーブ材3と共に軸孔1H内に遊挿入される。
前記軸孔(1H)内を挿通する軸部(2A)と、
軸部の一方の片端から屈曲して伸長し、その先に形成された環状又は破断環状の係止部(2C)と、
軸部の他方の片端から屈曲して伸長し、その先に屈曲又は湾曲形成された挿入端部(2B)と、を有するように曲げ成形によって一体構成される。
これら係止部、軸部、挿入端部、及び係止部乃至挿入端部までの伸長部が一体的に連なることによって、内部のワイヤー収容空間を形成する。
吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。
(軸部(2A))軸部(2A)は架設ワイヤー上を直線状に亘る円柱棒材からなり、直線の伸長部分全体に亘ってスリーブ材3が隙間を有して遊挿設されると共に、スリーブ3が覆設された状態のままスリーブ材3と共に軸孔1H内に遊挿入される。
(スリーブ材(3))
軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲には螺旋状に巻き形成されたコイルばね状の弾性材からなるスリーブ材(3)が覆設され、このスリーブ材(3)の内面又は外面が軸部又は軸孔に対して擦動すると共に、コイルばねの巻き線方向の弾性によって振動や衝撃を吸収ないし緩衝し、架設ワイヤーから外れにくい安定した走行を可能とする。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
実施例1のスリーブ材(3)はらせん状に成形された弾性スプリングからなり、滑車の軸孔内面又は軸部外面に対し、らせん状のスプリング面で分散接触することで、衝撃荷重を分散している。またスプリングの全長が滑車輪の軸孔よりもわずかに長く形成される。
軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲には螺旋状に巻き形成されたコイルばね状の弾性材からなるスリーブ材(3)が覆設され、このスリーブ材(3)の内面又は外面が軸部又は軸孔に対して擦動すると共に、コイルばねの巻き線方向の弾性によって振動や衝撃を吸収ないし緩衝し、架設ワイヤーから外れにくい安定した走行を可能とする。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
実施例1のスリーブ材(3)はらせん状に成形された弾性スプリングからなり、滑車の軸孔内面又は軸部外面に対し、らせん状のスプリング面で分散接触することで、衝撃荷重を分散している。またスプリングの全長が滑車輪の軸孔よりもわずかに長く形成される。
(係止部(2C))
係止部(2C)は軸部の片端から屈曲して伸長する一方の側枠部の先に形成された、環状部又は破断環状部である。この環状部又は破断環状部は他方の側枠部に向かって湾曲し、一重又は多重に巻き構成された多重巻きの成形線材からなる。係止部のうち横方向に湾曲形成された部分がワイヤー収容空間の下部縁を構成する。
実施例1では、1重に巻き線加工された巻き線材が一方の側枠部21の下端から内側へ一定の曲率で湾曲形成され、先部が側枠部と並行に下方へ突出した状態になっている。
係止部(2C)は軸部の片端から屈曲して伸長する一方の側枠部の先に形成された、環状部又は破断環状部である。この環状部又は破断環状部は他方の側枠部に向かって湾曲し、一重又は多重に巻き構成された多重巻きの成形線材からなる。係止部のうち横方向に湾曲形成された部分がワイヤー収容空間の下部縁を構成する。
実施例1では、1重に巻き線加工された巻き線材が一方の側枠部21の下端から内側へ一定の曲率で湾曲形成され、先部が側枠部と並行に下方へ突出した状態になっている。
(操作片(23))
挿入端部(2B)は、係止部(2C)との接触部又は最近接部にて外方へ屈曲又は湾曲し、屈曲又は湾曲した先に棒状の操作片(23)を有する。操作片(23)によって架設ワイヤー(W)の挿入操作をより行いやすく、また設置後の架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間外に出して走行式吊り具を取り外す取り外し操作を行いやすいものとなる。
挿入端部(2B)は、係止部(2C)との接触部又は最近接部にて外方へ屈曲又は湾曲し、屈曲又は湾曲した先に棒状の操作片(23)を有する。操作片(23)によって架設ワイヤー(W)の挿入操作をより行いやすく、また設置後の架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間外に出して走行式吊り具を取り外す取り外し操作を行いやすいものとなる。
(カバー材5)
実施例1では縦方向の化粧プレートを有したカバー材5を、一方の側枠部21の下方伸長部に取り外し可能に嵌め込み固定できるものとなっている。化粧プレートをはめ込み架設ワイヤーに取り付けた状態では、化粧プレートが滑車輪1の片側部上端から係止部の中央部までを上下に覆って囲う化粧状態となる。この状態では隣り合う吊り具同士が近接したときに化粧プレート同士が接触するため、ワイヤー収容空間同士の干渉や係止部同士の絡み合いを防ぐことができる。化粧プレートの裏面中央部には左右一対の弾性湾曲爪が固設されており、この一対の弾性湾曲爪で一方の側枠部21の下方伸長部を挟み込むように嵌め込み固定される(図1〜図3)。化粧プレートの外面に識別符号を表示したり着色を施したりすることで、多数の吊り具を装着したときの識別が可能となる。
実施例1では縦方向の化粧プレートを有したカバー材5を、一方の側枠部21の下方伸長部に取り外し可能に嵌め込み固定できるものとなっている。化粧プレートをはめ込み架設ワイヤーに取り付けた状態では、化粧プレートが滑車輪1の片側部上端から係止部の中央部までを上下に覆って囲う化粧状態となる。この状態では隣り合う吊り具同士が近接したときに化粧プレート同士が接触するため、ワイヤー収容空間同士の干渉や係止部同士の絡み合いを防ぐことができる。化粧プレートの裏面中央部には左右一対の弾性湾曲爪が固設されており、この一対の弾性湾曲爪で一方の側枠部21の下方伸長部を挟み込むように嵌め込み固定される(図1〜図3)。化粧プレートの外面に識別符号を表示したり着色を施したりすることで、多数の吊り具を装着したときの識別が可能となる。
(ワイヤーの収容)
前記走行式吊り具において、ワイヤー挿入口(20)は、係止部(2C)の外側部と、係止部(2C)に接触乃至近接する弾性線材からなる挿入端部(2B)との間に形成される。ワイヤーの収容時には、挿入端部(2B)を外方へ弾性変形させることで架設ワイヤー(W)を収容可能な一時開口状態として、ワイヤ−収容空間内に収容する(図3)。収容後は略閉口状態となることで、ワイヤーが滑車輪の凹部から外れたときも容易にワイヤー収容空間から抜け出ないようになっている。
前記走行式吊り具において、ワイヤー挿入口(20)は、係止部(2C)の外側部と、係止部(2C)に接触乃至近接する弾性線材からなる挿入端部(2B)との間に形成される。ワイヤーの収容時には、挿入端部(2B)を外方へ弾性変形させることで架設ワイヤー(W)を収容可能な一時開口状態として、ワイヤ−収容空間内に収容する(図3)。収容後は略閉口状態となることで、ワイヤーが滑車輪の凹部から外れたときも容易にワイヤー収容空間から抜け出ないようになっている。
実施例2の走行式吊り具においては、筒状のスリーブ材3を有し、また係止部2Cに回転リングフック6が取り付けられる。回転リングフック6は取り付け孔を有した支持部の下に、環状のアームを有する係止環部が360度回転自在に吊るして取り付けられる(図4)。
実施例2の前記走行式吊り具において、軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲には略円筒状に成形された弾性材からなるスリーブ材(3)が覆設され、このスリーブ材(3)の内面又は外面が軸部又は軸孔に対して擦動する。
実施例2のスリーブ材(3)は略円筒状に成形されると共に周部の一部分が円筒長方向に沿って切り取られた一側部切欠きの円筒体で形成される。この円筒体は切欠きされた一側部から車軸2Aを収容するように取付、取り付け後は車軸2Aの周囲の大部分を覆う状態になる。発泡ウレタン、天然ゴムまたは合成ゴム材の一体成型品を用いることができる。このスリーブ材の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝して衝撃音や摩擦音を低減する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
実施例2では図5aに示すように、側面視における軸方向凹部中央(最小外形部)から凹部によって形成される張出し部の端部(最大外径部)までの径方向長さであるスカート長1Sは、ワイヤーの半径1/2Dよりも長いものとなっている。スカート長1Sは軸中央部の凹部の深さと同値であり、このスカート長1Sがワイヤー半径1/2Dよりも大きいことで、取り付けた状態の滑車輪の凹部はワイヤーの半周部を安定的に覆う形状となる(図5a参照)。
実施例2のスリーブ材(3)は略円筒状に成形されると共に周部の一部分が円筒長方向に沿って切り取られた一側部切欠きの円筒体で形成される。この円筒体は切欠きされた一側部から車軸2Aを収容するように取付、取り付け後は車軸2Aの周囲の大部分を覆う状態になる。発泡ウレタン、天然ゴムまたは合成ゴム材の一体成型品を用いることができる。このスリーブ材の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝して衝撃音や摩擦音を低減する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
実施例2では図5aに示すように、側面視における軸方向凹部中央(最小外形部)から凹部によって形成される張出し部の端部(最大外径部)までの径方向長さであるスカート長1Sは、ワイヤーの半径1/2Dよりも長いものとなっている。スカート長1Sは軸中央部の凹部の深さと同値であり、このスカート長1Sがワイヤー半径1/2Dよりも大きいことで、取り付けた状態の滑車輪の凹部はワイヤーの半周部を安定的に覆う形状となる(図5a参照)。
実施例3の走行式吊り具は、後述の実施例3のように滑車輪1を有さず、吊設体2とスリーブ3のみを具備した形態からなる。この場合には、吊設体の軸部2Aを囲うスリーブ3が架設ワイヤーW上に接した状態で吊り下げ状態となり、この状態のままスリーブ3が架設ワイヤー上を滑動ないし転動することで、走行式吊り具が走行する。
本実施例の吊り下げ姿勢では、軸部2Aが横方向を向いて架設ワイヤー上を跨ぎ、側枠部21,22が縦方向を向いて軸部2Aから下方を向いて架設ワイヤーの側部を囲ってバランスが取れた状態となる。吊り下げ姿勢の時、ワイヤー収容空間は空間内上部に架設ワイヤーを収容して、縦方向に拡がる。係止部で吊り部品(4)を係止させたとき、この吊り下げ姿勢のまま架設ワイヤーに沿って走行可能となる。前記係止部によって吊り部品(4)を係止することで、さらに安定して吊り下げ姿勢を保つことができる。
実施例3では走行時にスリーブ材3自体は回転せず、架設ワイヤー上に接したまま滑り動くものとなっている。ただし、吊り部品(4)の吊り状態や走行速度といった外的条件によって、滑動ないし転動のいずれかが起こることもあり得る。例えば、走行時にスリーブ材3自体が軸部2Aに対して回転しながらスリーブ材3が架設ワイヤー上を滑動する場合もある。なお上記形態のほか、少なくとも吊設体(2)を具備してなり、スリーブ材を有さない形態とすることもできる。
また図7bに示すように、実施例3の係止部2Cとして三重巻きの環状線材が内側を向いて固定形成される。多重巻きの線材内に吊り具を係止した実施例3の係止部は、一重の環材と比べ、吊り具の自由回転範囲が制限される。これにより、多数の走行式吊り具でそれぞれ吊り具を吊設したとき、各吊り具が大きくほぼ同方向をむくように吊設できるため、体裁の良いものとなる。
<実施例4〜6>
実施例4〜6では操作片の先端に球状71、コイルばね状72、段付き円柱状73の膨出部(7)が固定される(図8)。膨出部(7)の形成壁が外部接触することで、他の走行式吊り具のワイヤー収容空間内、及び他の係止部へ係止することを阻害する。特に架設ワイヤーから取り外した状態で複数の走行式吊り具を保管する際に、走行式吊り具同士の不要な絡みつきを防止する。図8に示すような膨出部(7)の先端取り付けによって、外部との接触によって操作片からワイヤー収容空間内への不要な部品の侵入を防ぐことができる。
実施例4〜6では操作片の先端に球状71、コイルばね状72、段付き円柱状73の膨出部(7)が固定される(図8)。膨出部(7)の形成壁が外部接触することで、他の走行式吊り具のワイヤー収容空間内、及び他の係止部へ係止することを阻害する。特に架設ワイヤーから取り外した状態で複数の走行式吊り具を保管する際に、走行式吊り具同士の不要な絡みつきを防止する。図8に示すような膨出部(7)の先端取り付けによって、外部との接触によって操作片からワイヤー収容空間内への不要な部品の侵入を防ぐことができる。
上記構成の吊り具は、以下の特長と作用効果を有する。これら特長は互いに組み合わせ構成され、或いは抽出して部分構成したり部品構成したりすることが可能である。
(ワイヤー挿入口20)ワイヤー挿入口20は、係止部(2C)の特定の外周部分と、挿入端部2Bとの間に形成される。挿入端部(2B)が弾性変形することで、架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に挿入し得るだけのワイヤー挿入口20が、一次開口状態として形成される。挿入端部(2B)が弾性復帰することで、ワイヤー挿入口20が前記一次開口状態よりも閉じて、そのままでは架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に挿入し得ない略閉口状態となる。なおここでいう略閉口状態には、一次開口状態よりも小さい開口の状態、及び完全に閉じた状態のどちらも含まれる。
(ワイヤー挿入口20)ワイヤー挿入口20は、係止部(2C)の特定の外周部分と、挿入端部2Bとの間に形成される。挿入端部(2B)が弾性変形することで、架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に挿入し得るだけのワイヤー挿入口20が、一次開口状態として形成される。挿入端部(2B)が弾性復帰することで、ワイヤー挿入口20が前記一次開口状態よりも閉じて、そのままでは架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に挿入し得ない略閉口状態となる。なおここでいう略閉口状態には、一次開口状態よりも小さい開口の状態、及び完全に閉じた状態のどちらも含まれる。
ここで略閉口状態とは、ワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じて、挿入端部と係止部とが接触しているか、或いは挿入端部と係止部との最近接距離が架設ワイヤーのワイヤー径よりも小さくなった状態をいう。略閉口状態では、ワイヤー挿入口(20)ワイヤー収容空間が完全な閉空間として形成されるか、或いは完全には閉じていないが架設ワイヤーが遊挿脱しない程度まで閉じた準閉空間として形成される。
少なくともワイヤー収容空間のうちのワイヤー挿入口(20)部分を弾性線材で構成し、またワイヤー挿入口を前記弾性線材の挿入端部と係止部との間に形成している。これにより、簡易な機構でありながらワイヤー挿入操作を行いやすく、かつ、ワイヤー挿入後に架設ワイヤー(W)から容易に外れる(ワイヤー収容空間内の架設ワイヤー(W)がワイヤー収容空間外へ容易に抜け出る)ことのないものとなる。
吊設体(2)は全体が1本の弾性線材からなり、弾性線材を曲げ成形することで、横方向に伸長する軸部と、軸部の両端から屈曲又は湾曲して縦方向に伸長する側枠部とが連なって形成される。吊設体(2)全体が弾性材によって一体構成されることで、耐久性に富み、また、設置後の振動や位置ずれにも変形対応して吊設状態を保つことのできる走行式吊り具となる。(係止部(2C))係止部(2C)は、軸部の片端から屈曲して伸長する一方の側枠部の先に形成された、環状部又は破断環状部である。この環状部又は破断環状部は他方の側枠部に向かって湾曲し、一重又は多重に巻き構成された多重巻きの成形線材からなる。係止部のうち横方向に湾曲形成された部分がワイヤー収容空間の下部縁を構成する。
(挿入端部(2B))挿入端部(2B)は、軸部の片端から屈曲して伸長する他方の側枠部の先から、前記係止部の特定の外周部分へ接触又は近接するように伸長した、弾性線材からなる伸長部分である。挿入端部(2B)は係止部への接触又は近接部分にて外方に屈曲又は湾曲形成される。また、挿入端部のさらに先側へは、棒状の操作片(23)が延長形成される。
操作片(23)によって架設ワイヤー(W)の挿入操作をより行いやすく、また設置後の架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間外に出して走行式吊り具を取り外す取り外し操作を行いやすいものとなる。
スリーブ材(3)の介設によって、滑車輪がスムーズに滑動すると共に、弾性変形ないし弾性復帰によって滑車輪又は吊設体からの外衝撃を緩衝する。またスリーブ材(3)が軸孔(1H)内の遊び空間を埋めることで、滑車輪の軸部からの不要なズレや脱落を防ぐことができる。
カバー材(5)によって側枠部を覆い、側枠部の外部への不要な接触を抑制して側枠部を保護すると共に、吊設体が架設ワイヤー以外の外部品と不要に絡まって、ワイヤー収容空間内乃至係止部内に架設ワイヤー以外の外部品が入ってしまうことを防ぐことができる。また化粧カバーとして構成することで、取り付けられた状態で体裁の良いものとなる。
1 滑車輪
1H 軸孔
2 吊設体
20 ワイヤー挿入口
21,22 側枠部
23 操作片
2A 軸部
2B 挿入端部
2C 係止部
3 スリーブ材
4 吊り部品
5 カバー材
7 膨出部
W 架設ワイヤー
1H 軸孔
2 吊設体
20 ワイヤー挿入口
21,22 側枠部
23 操作片
2A 軸部
2B 挿入端部
2C 係止部
3 スリーブ材
4 吊り部品
5 カバー材
7 膨出部
W 架設ワイヤー
Claims (10)
- 架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に取り付けられた状態で吊り部品(4)を吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、
架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸棒からなり、架設ワイヤー(W)上を滑動し得る軸部(2A)と、軸部(2A)の両側部からそれぞれ下方に亘る側枠部(21)(22)と、によって三方枠状に囲われたワイヤー収容空間を形成する吊設体(2)を具備してなり、
前記吊設体(2)は、このワイヤー収容空間の側部又は下部に設けられた、吊り部品(4)を係止させる周状又は部分周状の係止部(2C)と、
前記係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接して設けられた、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)とを有してなり、
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、軸部(2A)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする走行式吊り具。 - 軸部(2A)の周囲には軸周りを略円筒状に覆うスリーブ材(3)が覆設され、
吊り下げ姿勢ではこのスリーブ材3が架設ワイヤーを跨いだ状態となり、
このスリーブ材(3)の内面又は外面の少なくともいずれかが軸部又は架設ワイヤーWに対して滑動することで架設ワイヤー上を移動する、請求項1記載の走行式吊り具。 - 架設ワイヤー(W)に走行可能に取り付けられ、架設ワイヤー(W)に沿って吊り部品(4)を移動可能に吊設する走行式吊り具であって、少なくとも、
架設ワイヤー(W)を跨ぐ軸部(2A)廻りに転動可能に取り付けられた滑車輪(1)と、
滑車輪(1)の両側端からそれぞれ下方に亘る側枠部21,22を有し、側枠部21,22の少なくともいずれかの下部に、吊り部品(4)を係止させる係止部(2C)を有した吊設体(2)と、を具備してなる走行式吊り具であって、
前記吊設体(2)の内部には、滑車輪(1)の下側面と、その両側端から縦方向に伸びる側枠部21,22の各内側面と、吊設体(2)の外周面とを包囲縁とした、ワイヤー収容空間が形成され、
このワイヤー収容空間の下部であって、係止部(2C)の内周部又は外周部の一部分に接した部分に、架設ワイヤー(W)が挿通可能なワイヤー挿入口(20)を有してなり、
このワイヤー挿入口(20)から架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容し、滑車輪(1)を架設ワイヤー(W)上に設置することで、滑車輪(1)が架設ワイヤー(W)上を移動可能に跨ぎ各側枠部(21)(22)が架設ワイヤー(W)の各側部を囲った吊り下げ姿勢を保ち得ることを特徴とする走行式吊り具。 - 前記両側枠部のうちいずれか一方の側枠部の先部には、前記係止部(2C)の特定の外周部分に接触乃至近接するように伸長した、弾性線材からなる挿入端部(2B)が形成され、
架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容する際には、この挿入端部(2B)が、係止部(2C)の前記特定の外周部分から架設ワイヤーのワイヤー径以上離間するまで弾性変形することでワイヤー挿入口(20)が一時的に開口した一時開口状態となり、
架設ワイヤー(W)をワイヤー収容空間内に収容した後には、この挿入端部(2B)が再び係止部(2C)の前記特定の外周部分にまで接触乃至近接するまで弾性復帰することでワイヤー挿入口(20)が前記一時開口状態よりも閉じた略閉口状態となる請求項1、2又は3のいずれか記載の走行式吊り具。 - 滑車輪(1)は横方向の軸孔(1H)を有すると共にこの軸孔(1H)を中心とする回転体形状で構成され、
吊設体(2)は、
前記軸孔(1H)内の少なくとも両孔端それぞれに横方向に挿通する軸部(2A)と、
前記軸孔(1H)の両端の軸部(2A)それぞれから縦方向に曲げ形成された左右の側枠部(21,22)と、
左右の側枠部(21,22)のうちいずれか一方の下部先端から内側方向に環状又は部分環状に曲げ形成された係止部(2C)と、
左右の側枠部(21,22)のうちいずれか他方の下部先端から伸長し、前記係止部(2C)の曲げ形成された特定の外周部の一部に接触又は近接する挿入端部(2B)と、
を有した弾性線材によって一体構成され、
これら軸部、両側枠部、及び係止部乃至挿入端部が一体的に連なることで、内部のワイヤー収容空間が形成される請求項3又は4記載の走行式吊り具。 - 軸孔(1H)内の軸部(2A)の周囲には弾性材からなるスリーブ材(3)が覆設され、
このスリーブ材(3)の内面又は外面が軸部又は軸孔に対して擦動する請求項3、4又は5のいずれか記載の走行式吊り具。 - 前記係止部(2C)は、多重に巻き構成された多重巻きの成形線材からなる請求項1ないし6のいずれか記載の走行式吊り具。
- 前記挿入端部(2B)は、係止部(2C)との接触部又は最近接部にて外方へ屈曲又は湾曲し、この屈曲又は湾曲した先に棒状の操作片(23)を有する請求項1ないし7のいずれか記載の走行式吊り具。
- 操作片(23)の先端に、操作片(23)の棒の径を膨出させた膨出部(7)が形成され、この膨出部(7)によって、操作片(23)の架設ワイヤー以外のものへの侵入及び係止を阻害する請求項8記載の走行式吊り具。
- 前記両側枠部のうち少なくともいずれかの側枠部には、枠形成方向に沿ってカバー材(5)が嵌め込み固定される請求項1ないし9のいずれか記載の走行式吊り具。
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JP2013002482U JP3184800U (ja) | 2013-05-05 | 2013-05-05 | 走行式吊り具 |
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JP2017528196A (ja) * | 2014-08-19 | 2017-09-28 | サイレント グリス インターナショナル アーゲー | カーテン装置用の吊り下げユニット |
-
2013
- 2013-05-05 JP JP2013002482U patent/JP3184800U/ja not_active Expired - Fee Related
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