JP3183780B2 - フィルタの製造方法、および該フィルタの製造方法を含んでなるインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

フィルタの製造方法、および該フィルタの製造方法を含んでなるインクジェットヘッドの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク滴を飛翔させて
記録媒体上に画像情報をプリントするインクジェット装
置に特に好適に使用される樹脂製フィルタの製造方法、
および該フィルタの製造方法を含んでなるインクジェッ
トヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリント技術は、微細な
ノズルからインクを吐出させて紙、布、プラスチックシ
ート等のプリント媒体に文字や画像等をプリントするも
のである。従来から、このようなインクジェットプリン
ト方式のインクジェットヘッドを持つインクジェット装
置は、複写機,ファクシミリ、ワードプロセッサ、ワー
クステーション等の出力端末としてのプリンタ、あるい
はパーソナルコンピュータ、ホストコンピュータ、光デ
ィスク装置、ビデオ装置等に具備されるハンデイタイプ
またはポータブルタイプのプリンタとしてこれらの情報
処理システムに利用されている。
【0003】インクジェットプリント方式に適用される
インクジェットヘッドの概略的構成は、インクが吐出さ
れるための吐出口と、この吐出口に供給するためのイン
クを貯える液室と、吐出口と液室とを連通させるインク
流路と、インク流路の一部に設けられ、かつ、インクを
吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素
子と、液室にヘッド外部からインクを供給するためのイ
ンク供給口とからなる。そして、インクジェットヘッド
にはインクタンクよりインク供給手段を介してインクが
供給される。該インク供給手段と前記インク供給口との
間あるいは、該インク供給手段と前記インクタンクとの
間にインク用のフィルターが設けられており、インクタ
ンクからインクジェットヘッドに供給されるインクはフ
ィルタを介して吐出ノズルに流入する。
【0004】ここで使用されるフィルタは次の機能を果
たすことが要求される。すなわち、 1)インク中に含まれるチリやインクのかたまり等から
なるコンタミによるノズルの目詰まりを防止して、不吐
出や吐出方向の偏位を防止すること、そして、 2)液室内への空気の混入を防止して、吐出エネルギー
減少による不安定吐出を防止することである。
【0005】インクジェットヘッドにおけるこのフィル
タを設ける位置としては、出来るだけノズル(吐出口)
に近いところに設置するのが好ましい。これはフィルタ
をインク供給系の上流部に設けた場合、インクタンク内
のインクの濾過は行えるもののフィルタからノズル(吐
出口)までの間で空気が混入するおそれがあるためであ
る。また、フィルタの流抵抗は出来るだけ少ない方が好
ましい。この理由としては特にインクジェットヘッドを
高速で駆動する場合、流抵抗が高くなるとインクのリフ
ィル速度が低下してしまい高速駆動に影響を及ぼすため
である。
【0006】従来、インクジェット装置における当該フ
ィルタはセラミックや細管、メッシュ、繊維、プラスチ
ック燒結体等で構成されている。これらの材料で構成さ
れるフィルタは、通常、インクジェットヘッド内の複雑
な部分に設けることが難しいためフィルタの設置部分を
わざわざ設けてそこにフィルタを設置していた。
【0007】代表的なそうした設置箇所としては、イン
クジェットヘッドの天板とインク供給管の接触部や、イ
ンク供給管の先端があげられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの場合
にあってもフィルタの設置面積はインクジェットヘッド
に設けられたインク供給口の大きさに支配されてしま
い、一般には余り大きくすることはできない。したがっ
て、フィルタも限られた狭い面積で上述の目的を果たせ
るようにフィルタの性能をよりシビアにする必要があ
る。また、このように設けられたフィルタ設置部にフィ
ルタを固定する場合には、インクジェットヘッドに、通
常接着剤で固定されるか、超音波や熱等による溶着によ
り固定される方法が採られる。ところが、いずれの場合
にあっても問題がある。すなわち、接着剤で固定する場
合、この接着剤の量が多いとフィルタの目詰まりを起こ
す虞があり、またその量が少ない場合は接着力が十分で
なくなる虞がある。また、上記溶着により固定する場合
にあっては、フィルタの設置箇所を溶着がしやすい形状
にする必要があることの他、インクジェットヘッドのフ
ィルタ設置部の材料について制約があるといった問題が
ある。
【0009】さらに燒結体等で構成されたフィルタを使
用することが知られているが、この場合にあっては、そ
の固定の際に上述の問題は発生しないものの流抵抗が予
測しにくいという問題がある他、燒結の際にヘッドを高
い温域中にさらす必要がありインク流路に悪影響を与え
る虞があるという問題がある。
【0010】こうしたことから、インクジェットヘッド
に使用されるフィルタについてはそれを別途作成して固
定することから上述した問題がある他、吐出口近傍の細
部に正確に設置することについてかなりの熟練を要する
という問題がある。
【0011】したがって、本発明は、上記従来技術の有
する課題に鑑みてなされたものであり、本発明者らは上
述の問題を解決すべく鋭意研究した結果、従来未知のフ
ィルタを得るに至った。本発明の主たる目的は各種デバ
イス等の複雑な構造体あるいは微細な構造体の場合であ
ってもそれら構造体の構成部材とを一体に精度良く形成
することができるフィルタの製造方法を提供することに
ある。
【0012】また、本発明の他の目的は、硬化された樹
脂層中に多数の空孔が形成されていてそれら空孔が、液
体が、該樹脂層を通過できるように連通しているフィル
タを備えた改善されたインクジェットヘッドの製造方法
を提供することにある。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明にもとづくフィルタの製造方法は、液体を濾
過するフィルタの製造方法であって、溶剤に可溶な樹脂
で構成されるシェルに包まれてなる多数のマイクロバル
ーンを活性エネルギー硬化性樹脂中に分散させた分散体
を形成し、該分散体を熱処理して上記マイクロバルーン
のそれぞれを膨張させ、ついで上記活性エネルギー硬化
性樹脂を硬化させ、マイクロバルーンのそれぞれのシェ
ルのみに対して選択溶解性を有する溶剤で上記分散体を
処理して、マイクロバルーンのそれぞれのシェルを除去
してマイクロバルーンの空孔を相互に連通せしめること
を特徴とする。
【0027】好ましくは、上記マイクロバルーンは、熱
可塑性樹脂を主成分とするシェルの中に常温より高い温
度で気化・膨張する物質をコアとして有するものであ
る。
【0028】好ましくは、上記コアを構成する物質はイ
ソブタンおよびイソブチレンからなる群から選択され
る。
【0029】好ましくは、上記熱可塑性樹脂がポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニル
共重合体、アクリルニトリル−塩化ビニル共重合体およ
び酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体からなる群から選択
される少なくとも一成分を主成分とする。
【0030】好ましくは、上記活性エネルギー硬化性樹
脂は、熱もしくは光で硬化する硬化性樹脂である。
【0031】好ましくは、上記フィルタは、液体供給方
向に平行な厚さが上記空孔の径の5倍以上である。
【0032】好ましくは、上記活性エネルギー硬化性樹
脂中の上記マイクロバルーンの含有量が20〜90wt
%である。
【0033】好ましくは、上記選択溶解性を有する溶剤
はアセトン、およびジメチルホルムアミドからなる群か
ら選ばれる。
【0034】好ましくは、上記フィルタは、インクジェ
ット装置のインク供給経路の一部に用いられるものであ
る。
【0035】また、本発明にもとづくインクジェットヘ
ッドの製造方法は、インクジェットヘッドの製造方法で
あって、該製造方法は、 a)インクを吐出させるための熱エネルギーを発生する
発熱抵抗体と該発熱抵抗体に電気的に接続され、上記熱
エネルギーを発生するための電気信号を上記発熱抵抗体
に供給するための配線とを有する電気熱変換体とが配さ
れたインクジェットヘッド用基板を作成する工程と、 b)該基板上にインク吐出口、インク流路、インク共通
液室およびインク供給口からなるインク流動経路系に相
当する部分に除去可能な固体層を設ける工程と、 c)上記基板および上記固体層を被覆する被覆材を積層
する工程と、 d)上記固体層を除去してインク流動経路系を形成する
工程と、 e)形成されたインク流動経路の少なくとも一部分に溶
剤に可溶な樹脂で構成されるシェルに包まれてなる多数
のマイクロバルーンを活性エネルギー硬化性(熱もしく
は光硬化性)樹脂中に分散させた分散体からなる層を形
成し、 f)上記e)の工程で形成した層を熱処理して上記マイ
クロバルーンのそれぞれを膨張させ、次いで上記活性エ
ネルギー硬化性樹脂を硬化せしめる工程、および g)マイクロバルーンのそれぞれのシェルのみに対して
選択溶解性を有する溶剤で上記f)で処理した分散体層
を処理して、マイクロバルーンのそれぞれのシェルを除
去してマイクロバルーンの空孔を相互に連通せしめるこ
とによりフィルタを形成することを特徴とする。
【0036】好ましくは、上記マイクロバルーンは、熱
可塑性樹脂を主成分とするシェルの中に常温より高い温
度で気化・膨張する物質をコアとして有する。
【0037】好ましくは、上記コアに用いられる物質は
イソブタンおよびイソブチレンからなる群から選択され
る成分からなる。
【0038】好ましくは、上記熱可塑性樹脂がポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニル
共重合体、アクリルニトリル−塩化ビニル共重合体およ
び酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体からなる群から選択
される少なくとも一成分を主成分とする。
【0039】好ましくは、上記活性エネルギー硬化性樹
脂は、熱もしくは光で硬化する硬化性樹脂である。
【0040】好ましくは、上記フィルタは、液体供給方
向に平行な厚さが上記空孔の径の5倍以上である。
【0041】好ましくは、上記活性エネルギー硬化性樹
脂中の上記マイクロバルーンの含有量が20〜90wt
%である。
【0042】好ましくは、上記選択溶解性を有する溶剤
はアセトン、ジメチルホルムアルデヒドからなる群から
選ばれる。
【0043】本発明の製造方法によれば、高品質のイン
クジェットヘッドを歩留良く、生産性良く、高精度に、
そして比較的安価に製造できる。
【0044】本発明にあっては、黒単色インクジェット
ヘッドはもとより、複雑な形状のカラーインクジェット
ヘッド、シリアルスキャンタイプのインクジェットヘッ
ドおよび、フルラインタイプのインクジェットヘッドの
いずれにあっても有効に適用できる。なお、上述したカ
ラーインクジェットヘッドやフルラインタイプのインク
ジェットヘッドについては、複数のインクジェットヘッ
ドを組み合わせることによって構成したもの、あるいは
一体的に形成された一個のインクジェットヘッドのどち
らであっても本発明は有効である。
【0045】本発明方法により得られるフィルタはイン
クジェットヘッドだけでなくインクジェット装置におけ
るインク供給経路の他の部分にも好適に用いることがで
きる。
【0046】
【作用および実施例】以下、本発明のフィルタの製造方
法について説明する。
【0047】本発明方法により得られるフィルタは、熱
可塑性樹脂を主成分としたシェルと、主として常温より
高い温度で加熱すると膨張・気化する成分からなるコア
とからなるマイクロカプセル(以下、マイクロバルー
ン、またはマイクロスフェアと称する)を熱もしくは光
硬化性の樹脂(すなわちバインダ樹脂)に分散させ、こ
れらのマイクロバルーンが形成する多数の空孔によって
形成されるフィルタの目を有するものである。
【0048】このマイクロバルーンについて説明する。
このマイクロバルーンは加熱することによってその体積
が膨張し、該マイクロバルーン中に微小中空球体を形成
するものである。すなわち、コア成分の発泡(気化)開
始からそのシェルは完全に加熱膨張し、得られた最高体
積は直に常温に戻せばそのままの状態にとどまるが、続
けて加熱すれば体積が低下する性質を有している。本発
明で使用するマイクロバルーンは、前述したように熱可
塑性樹脂を主成分としたシェルと、主として常温より高
い温度で加熱すると膨張・気化する成分からなるコアと
から構成される。シェルとなる熱可塑性樹脂としては、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩
化ビニル共重合体、アクリルニトリル−塩化ビニル共重
合体および酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体からなる群
から選択される少なくとも一成分を主成分とするのが好
ましい。コアは、常温より若干高い温度で気化し気化後
の気体が硬化性樹脂に影響を及ぼさないことが必要であ
る。こうしたことから、コアはイソブタンおよびイソブ
チレンからなる群から選択される成分からなるものが好
ましい。このようなマイクロバルーンは市販されてい
て、中でも例えばエクスパンセル551DU(商標名:
スウエーデン国エクスパンセル社製)を好ましいものと
して挙げることができる。
【0049】本発明方法により得られるフィルタはこう
したマイクロバルーンがもたらす空孔を利用して多孔質
(ポーラス状)の樹脂硬化物を形成し、これをフィルタ
に使用するものである。本発明のフィルタは、バインダ
樹脂自体が接着性を有するため、フィルタを設置する際
に接着剤を使用する必要がなく、このため従来技術に見
られるフィルタの目詰まりの問題は生じない。また、フ
ィルタの設置に溶着等をする必要もなくなりフィルタの
設置箇所や形状等に左右されない。さらに、フィルタを
形成するためのフィルタ材(すなわち、マイクロバルー
ンとバインダ樹脂とからなる分散体は未硬化のときには
液状であるので細かい部分や複雑な形状にも対応できる
ので、今までフィルタを設置できなかったような場所に
も好適なフィルタの形成を可能にする。そして形成され
るフィルタは、従来のフィルタに比べて性能についても
遜色のないものである。
【0050】マイクロバルーンを分散せしめるについて
使用するバインダ樹脂としては、前述した様に活性化エ
ネルギー(光や熱)で硬化する硬化性樹脂が用いられ
る。このような硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂およ
び光硬化性樹脂を挙げることができる。それらの具体例
としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ジグリコール
ジアルキルカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹
脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等である。中でも熱硬化
性樹脂としては、エポキシ樹脂、例えばオーデールSY
25(商標名:東京応化株式会社製)が好ましく、光硬
化性樹脂としては、アクリル樹脂、例えばニトロンT8
526(商標名:日東電工社製)といった樹脂が好まし
い。
【0051】本発明方法により得られるフィルタでは、
フィルタの流抵抗は主にマイクロバルーンで形成される
空孔により決まる。すなわち、フィルタの流抵抗の制御
は、このマイクロバルーンにより形成される空孔(微小
中空球体)の径とバインダ樹脂に対するマイクロバルー
ンの含有率を調節することに行うことができる。ここで
空孔の径の制御に関しては、1)前述のマイクロカプセ
ルの性質を利用して加熱温度を制御してマイクロバルー
ンの体積を所望の大きさにする方法と、2)未膨張のマ
イクロバルーンのコアの径を所望のものとする方法とが
ある。加熱によるコアの径の膨張は限界があるため、空
孔が所望の径となる様に上記方法1)および2)を適宜
これらを組み合わせて採用することが好ましい。
【0052】ところで、前述のマイクロバルーンを含有
するバインダ樹脂(熱もしくは光硬化性樹脂)がフィル
タとしての機能を果たすためにはマイクロバルーンによ
り形成された各空孔が連通している必要がある。各空孔
を連通させるためにはマイクロバルーンのシェル(熱可
塑性樹脂)をバインダ樹脂を硬化した後に溶剤で溶離す
ることが必要である。ここで、使用する溶剤は、硬化後
のバインダ樹脂に影響を与えずに、シェルのみを選択的
に溶離するものでなければならない。こうしたことから
使用する溶剤の好ましいものとしてはアセトン、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)を挙げることができる。もち
ろん、この条件の他、各マイクロバルーンが接触してい
ることが必要である。この条件は前述の流抵抗の制御と
同様の手段にて満たすことができる。
【0053】フィルタの形成をもたらす上記マイクロバ
ルーンを分散させたバインダ樹脂からなる分散体中のマ
イクロバルーンの含有量は、20〜90wt%の範囲と
するのが好ましい。分散体中のマイクロバルーンの含有
量が上記範囲の下限以下の場合は、マイクロバルーンの
相互接触、不十分になり、得られるものがフィルタの機
能を果たさないものとなることがある。逆に分散体中の
マイクロバルーンの含有量が上記範囲の上限を越える場
合は、得られるフィルタ自体の強度が低下して所望の流
抵抗を維持できなくなる虞がある。また、マイクロバル
ーンの相互接触を十分なものにするについては分散体の
熱処理温度を比較的高く設定する必要があるが、この場
合バインダ樹脂に悪影響を与える虞がある。所望のフィ
ルタを得るについてはこれらの点に留意して至適条件を
設定する必要がある。
【0054】ところで、インクジェットヘッドにおいて
は、フィルタは、主にごみ等によりインクを吐出するた
めの吐出口が目詰まりすることを防止することを目的と
して使用されるが、インクジェットヘッドの吐出口は一
般に25〜50μm程度の径であることから、基本的に
はこの値より大きいごみがフィルタで除去されれば良い
ことになる。したがって、インクジェットヘッドにおい
てフィルタにより除去すべきごみとしては30〜50μ
m径のものが想定される。この観点よりマイクロバルー
ンにより形成される空孔(微小中空球体)の径も30μ
m以下であることが好ましい。さらにインクジェットヘ
ッドにおいては、実際は複数個のゴミにより吐出口の目
詰まりが生じて不吐出をもたらす事があるため、この問
題の生起を防止するについてインクジェットヘッドに使
用される従来のメッシュフィルターの場合、8〜15μ
mの穴径のものが使用される。しかしながら、一般には
この穴径を小さくすればするほど、フィルタの流抵抗は
高くなってしまう。インクジェットヘッドにおいては、
フィルタを含めた流抵抗が水頭圧にして200mmAq
以上になると正常なインク吐出が行われなくなるとされ
ている。また、高速度で印字する場合においてはインク
供給効率を上げる必要があるため、フィルタの流抵抗に
ついてはそれをできるだけ低くすることが好ましい。本
発明のフィルタにおいては、形成される空孔径を小さく
することなく、インク中のゴミが十分に除去できるよう
にするについて、フィルタのインク供給方向に平行な方
向の厚さ(インク流路中に設けられた場合は流路に沿う
方向の厚さ)をマイクロバルーンによって形成された空
孔の径の5倍以上とするのが望ましい。
【0055】次に図1(A)ないし図1(C)を用いて
本発明のフィルタの製造方法について説明する。
【0056】図1(A)は、バインダ樹脂中に分散させ
た、マイクロバルーンからなる分散体で構成される層の
略断面図である。図1(B)は、図1(A)に示した分
散体層を熱処理してマイクロバルーンのコア成分を気化
させてシェル樹脂を膨張させた状態にある分散体層の略
断面図である。図1(C)は、図1(B)に示した分散
体層を選択溶剤を使用するエッチング処理にかけ、シェ
ル樹脂を溶解してマイクロバルーンの空孔を相互に連通
せしめた状態を示す略断面図である。
【0057】本発明方法によるフィルタの製造にあたっ
ては、まず、図1(A)に示すようにバインダ樹脂たる
硬化性樹脂51にマイクロバルーン52(コア成分とシ
ェルとからなる)を分散させる。この分散は一般に用い
られているホモジナイザー等で行うことができる。この
マイクロバルーン含有硬化性樹脂分散体をマイクロバル
ーンが所望の大きさになるよう適切な温度に加熱する。
加熱されたマイクロバルーンはコア53の気化性成分が
加熱により気化し、図1(B)のように膨張する。例え
ば前述のエクスパンセル551DU(商標名:エクスパ
ンセル社製)をマイクロバルーン52に使用して120
℃まで加熱した場合は、加熱前の平均粒径が7μmであ
ったマイクロバルーンが加熱による膨張で約20μmま
で径が膨張する。この後、そのままマイクロバルーンを
常温に戻してやればシェルである熱可塑性樹脂54が速
やかに冷却されて再び硬化するため膨張時の径を保持す
る。
【0058】次に、このようにマイクロバルーンを膨張
させた状態でバインダ樹脂54の硬化処理を行う。ここ
でバインダ樹脂たる硬化性樹脂が熱硬化型のものである
場合、マイクロバルーンを膨張させる際にバインダ樹脂
の硬化も行われる場合がある。したがって、マイクロバ
ルーン膨張時にはバインダ樹脂が未硬化であり、マイク
ロバルーンを所望状態に膨張させた後にあってバインダ
樹脂の硬化が行われるようにすることが必要である。
【0059】このように、マイクロバルーンが所望状態
に膨張した後にバインダ樹脂の硬化が行われるようにす
る条件について本発明者らはマイクロバルーンの膨張を
もたらすエネルギー量およびバインダ樹脂の硬化をもた
らすエネルギー量に着目して検討した。その結果、次の
ことが判明した。すなわち、バインダ樹脂たる熱硬化性
樹脂が硬化する条件は、ある一定量のエネルギー量が付
与されることであるが、これに対してマイクロバルーン
の膨張に関しては、付与される最高エネルギー量によっ
てその径が決定される。したがって、マイクロバルーン
含有熱硬化性樹脂をマイクロバルーンが所望の径に膨張
するための適正温度に急激に加熱してやることにより、
熱硬化性樹脂が硬化する前にマイクロバルーンを膨張さ
せることができる。これに対して、バインダ樹脂が光硬
化型のものである場合、加熱によっては硬化しないこと
から、加熱方法の制御は特に必要なく、マイクロバルー
ンの膨張工程後に光照射による硬化を行えば良く、より
容易にマイクロバルーンの径の制御を行うことができ
る。
【0060】次にバインダ樹脂の硬化が終了した後硬化
した状態にあるシェル樹脂をアセトン等の溶剤で溶離す
ることによりマイクロバルーンによる空孔55が形成さ
れフィルタの形成が完了する(図1(C)参照)。
【0061】なお、上述の方法では未膨張のマイクロバ
ルーンをバインダ樹脂中に分散しているが、すでに膨張
させてあるマイクロバルーンをバインダ樹脂中に分散さ
せるようにしても良い。この場合、バインダ樹脂が熱硬
化性のものであっても、低温で時間をかけてバインダ樹
脂の硬化を行うことによって良好なフィルタを作成する
ことができる。そして、バインダ樹脂中に含有されるマ
イクロバルーンの含有率を高くしたい場合は、マイクロ
バルーンを未膨張の状態で分散させるのが好ましい。
【0062】また、本発明において使用するバインダ樹
脂中にマイクロバルーンを分散させてなる分散体は未硬
化の状態では液状であることから塗布や注入といった方
法で設けることができる。この分散体層の形成工程は、
バインダ樹脂の硬化前であれば良い。つまりマイクロバ
ルーンの加熱工程は分散体層を形成した後であっても或
いはその形成前であってもよい。
【0063】以下に、本発明者らが本発明方法による
ィルタを完成するについて行った実験を述べる。
【0064】<実験1>この実験では、バインダ樹脂と
して感光性レジストたるオーデールSY25(商標名:
東京応化株式会社製)をベースとし、これに未膨張のマ
イクロバルーンであるエクスパンセル551DU(商標
名:エクスパンセル社製)を50wt%添加し、ホモジ
ナイザーにてホモジエナイズして分散体を得た。この分
散体をガラス基板上にポジ型レジストを積層して硬化・
可溶化したものの上にスクリーン印刷し分散体層を形成
後、60℃、2時間の乾燥を行った。この乾燥後の分散
体層の膜厚は、100μ±10μmであり、マイクロバ
ルーン50wt%添加による弊害(印刷時のはがれ、膜
厚精度、印刷にじみ等)は見られなかった。次に、乾燥
した分散体層を120℃まで加熱させた。この時分散体
層中のマイクロバルーンは膨張をし始め、3分間後には
分散体層は180μmの膜厚に達した。これにより60
μmの多数のポーラス空間が分散体層中に形成された。
この後分散体層を露光し、しかる後にマイクロバルーン
の硬化したシェル樹脂をアセトンにて溶離してポーラス
組織のフィルターを得た。本実験においては、分散体層
中のマイクロバルーンは、膨張前の体積平均粒径が7μ
mであり、膨張後のそれは約20μmであった。
【0065】<実験2>実験1におけるマイクロバルー
ンを、膨張済のマイクロバルーンであるエクスパンセル
55IDE−20マイクロバルーン(商標名:エクスパ
ンセル社製)としたこと、および、加熱工程を行わない
こと以外、実験1と同様にしてフィルタを作成した。
【0066】<実験3>バインダ樹脂として熱硬化性の
レジストであるニトロンT8526(商標名:日東電工
社製)に変えたこと、および露光工程を行わないこと以
外、実験1と同様にしてフィルタを作成した。
【0067】<実験4>バインダ樹脂として熱硬化性の
レジストであるニトロンT8526(商標名:日東電工
社製)に変えたこと、および露光工程を行わないこと以
外、実験2と同様にしてフィルタを作成した。
【0068】<実験5>フィルタ材の乾燥工程を行わな
いこと、および加熱工程において120℃まで急激に加
熱すること以外は実験3と同様にしてフィルタを作成し
た。
【0069】<実験6>溶剤をアセトンからエタノール
に変えた以外、実験1と同様にしてフィルタを作成し
た。
【0070】<実験7>マイクロバルーンの含有量を1
0wt%とした以外は実験1と同様にしてフィルタを作
成した。
【0071】<実験8>マイクロバルーンの含有量を2
0wt%とした以外は実験1と同様にしてフィルタを作
成した。
【0072】<実験9>マイクロバルーンの含有量を9
0wt%とした以外は実験1と同様にしてフィルタを作
成した。
【0073】<実験10>マイクロバルーンの含有量を
95wt%とした以外は実験1と同様にしてフィルタを
作成した。
【0074】以上、実験1〜10によって得られたフィ
ルタについて、以下の項目について評価を行った。その
結果を表1および表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】空孔径:金属顕微鏡にて形成された空孔の
径を測定し、測定結果に基づいて平均値を求め、得られ
た結果を上記表1および表2に示した。
【0078】分散体中のマイクロバルーンの分散状態:
金属顕微鏡にてマイクロバルーンの分散状態を観察し、
疎のものをL、好適のものをM、密のものをHとして上
記表1および表2に示した。
【0079】フィルタとしての流抵抗値:液体として水
を用いてマノメーターにより流抵抗値の測定を行い、得
られた測定結果を上記表1および表2に示した。
【0080】フィルタ性能:得られたフィルタに実際に
インクを通して30μm以上のごみが除去できるかどう
かを調べた。得られた結果を下記の基準に基づいて上記
表1および表2に示した。
【0081】○:フィルタとして十分機能するもの、
×:フィルタとして機能できないもの。
【0082】一般にフィルタとして用いられるためのフ
ィルタの流抵抗としては、除去すべきごみの径にもよる
が10〜100mmAqの範囲にあることが好ましい。
【0083】表1から明らかなように、本発明に属する
実験1、2、4、5、8および9によれば優れた性能を
有するフィルタを形成することができる。
【0084】しかしながら、実験3、6、7、10に関
してはフィルタとして十分な機能を果たすものではなか
った。この原因としては以下の理由が挙げられる。
【0085】実験3においては、マイクロバルーンが膨
張することなくバインダ樹脂が硬化してしまった。これ
は、マイクロバルーンが膨張を開始する温度より低い温
度で乾燥工程が行われたため、乾燥工程中にバインダ樹
脂たる熱硬化性樹脂が硬化してマイクロバルーンが膨張
できなくなってしまいフィルタの機能を奏する組織の形
成はなされなかった。
【0086】実験6においては、溶剤をエタノールとし
たことによりシェルが十分に溶出せず空孔が連通しなか
ったことからフィルタとしての機能を奏する組織の形成
はなされなかった。
【0087】実験7においては、マイクロバルーンの含
有量が少なすぎて、膨張後の各マイクロバルーンが十分
に接触しておらず、空孔を連通させることができなかっ
た。
【0088】実験10においては、マイクロバルーンの
含有量が多すぎたため、空孔が過度に多く形成されてし
まい、その結果十分な組織強度が確保されずフィルタと
しての機能を奏するものにはならなかった。
【0089】次に本発明方法により得られるフィルタを
インクジェット装置に適用する場合について説明する。
【0090】以下、図面を参照して本発明方法により得
られるフィルタを適用可能なインクジェット装置を詳細
に説明する。
【0091】図2および図4は本発明方法により得られ
フィルタを適用可能なインクジェットヘッドおよびイ
ンクジェットプリンタの構成例を示す。本図において、
IJHは熱エネルギーにより発生するバブルを使用して
インクを記録紙に吐出する方式のインクジェットヘッ
ド、IJC(11)はインクジェットヘッドIJH(1
0)と一体で該IJHへインクを供給するインクカート
リッジIC(12)を備え、装置に対して装着自在なイ
ンクジェットカートリッジ、およびIJAはインクジェ
ット装置本体である。
【0092】本例でのインクジェットカートリッジIJ
Cは、図2の斜視図でわかるようにインクカートリッジ
ICの前方面よりもわずかにインクジェットヘッドIJ
Hの先端部が突出した形状である。このインクジェット
ヘッドカートリッジIJCは、後述するインクジェット
装置本体IJAに載置されているキャリッジHCに固定
支持されると共に、このキャリッジHCに対して着脱可
能なディスポーザブルタイプのものである。
【0093】インクジェットヘッドIJHに供給される
インクを貯留したインクカートリッジIC(12)は、
インク吸収体と、このインク吸収体を挿入するための容
器と、これを封止する蓋部材(いずれも不図示)とで構
成されている。このインクカートリッジIC(12)内
には、インクが充填されており、インクの吐出に応じて
順次インクジェットヘッド側にインクを供給している。
【0094】このインクジェットカートリッジは、カラ
ー画像用のもので、ブラック(Bk),シアン(C),
マゼンダ(M)およびイエロー(Y)の各色のインクに
対応した4種類のインクカートリッジ(12a,12
b,12cおよび12d)が設けられており、またこれ
らのインクカートリッジは個別にインク供給パイプIP
(14)を介してインクジェットヘッドのディストリビ
ュータDB(13)へインクを供給する。ディストリビ
ュータDB(13)には上記したように4本のインク供
給ノズルIP(14)が設けられておりインクカートリ
ッジIC−B(12a)、IC−Y(12b)、IC−
M(12c)、IC−C(12d)と接続される。イン
クカートリッジはIC−Y、IC−C、IC−Mの3色
一体のものと3色がバラバラの物とがあり必要に応じて
使い分けることが可能である。インクカートリッジはユ
ーザーが取り替えることができるようになっており、イ
ンクが無くなった時は古いものを取りはずして新しい物
を取りつける。この際、インク供給ノズルとインクタン
クの間に生じたアワは装置本体IJAに備えられている
回復機能で回復することにより印字不良を防止すること
が出来る。ディストリビュータDB(13)の中には、
ゴミ流入を防止するためのフィルターが設けられており
インクタンクより流れてくるゴミからノズルや供給パイ
プを保護している。またインクカートリッジIC−Bと
連通しているノズルにはフィルター弁が設けられており
フィルター部に溜る泡が回復時に抜けやすいように配慮
されている。
【0095】本発明にもとづくインクジェットヘッドI
JHの構成をよりくわしく説明する。
【0096】図3において、100はSi基板303上
に複数の列状に配された電気熱変換体(吐出ヒーター)
102と、これに電力を供給するAl等の電気配線10
1とが成膜技術により形成されて成るヒーターボード
(吐出エレメント)である。200はヒーターボード1
00に対する配線基板でありヒーターボード100の配
線に対応する配線(例えばワイヤーボンデイング202
により接続される)と、この配線の端部に位置し本体装
置からの電気信号を受けるパット201とを有してい
る。300は複数のインク流路へインクを供給するイン
ク供給口301と夫々のインク供給口から供給されたイ
ンクを区分するための隔壁や各インク流路へインクを与
えるためにインクを収納するための共通液室302、さ
らにインク吐出のための複数のオリフィス104等の凹
部を備えた天板で、インクカートリッジICから供給さ
れるインクを受けて上述の共通液室302へ導入するイ
ンク供給口301からオリフィス104までの間にイン
ク流路を形成する。このような凹部を備える天板は、例
えば加工ガラス等で形成されている。これらの加工ガラ
スとしては硼硅酸ガラスが好ましいが、他のガラスある
いは成形用樹脂材料でも良い。天板300と吐出エレメ
ント100はエポキシ系の接着剤で接着される。この接
着剤には光硬化型接着剤、あるいは光と熱硬化の組み合
わせにより硬化するもの熱により硬化するものなどが用
いられる。吐出エレメント100はシリコン系あるいは
エポキシ系接着剤により接着される。接着剤は接着力を
持たせると共に吐出エレメントが発生させる熱を放熱す
るための熱伝導性の良いものが選ばれる。また支持体
(ベースプレート)400は、ディストリビュータDB
を3つの位置決め穴で位置決めし熱融着により融着保持
する。ディストリビュータDBと吐出エレメント100
との接続はインク供給部材とインク供給口30の間を二
液の封止剤でシールしており更に接続口の周りとワイヤ
ーボンデイングされた周辺等を同時に封止剤で封止して
いる。本例のインクジェットヘッドIJHは、インクジ
ェットヘッドIJHがキャリッジHCに固定されており
インクが無くなった時ユーザーはインクカートリッジの
交換のみ行うことにより交換による印字品位のばらつき
を回避可能としている。
【0097】図4は本発明が適用されるインクジェット
装置IJAの概略的構成を説明するための図で、駆動モ
ーター5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギヤー
5011,5009を介して回転するリードスクリュー
5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジ
HCはピン(不図示)を有し、所定の方向に往復移動さ
れる。500 2は紙押え板であり、キャリッジ移動方
向にわたって紙をプラテン5000に対して押圧する。
5007,5008はフォトカプラでキャリッジのレバ
ー5006のこの域での存在を確認してモーター501
3の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション
検知手段である。5016はインクジェットヘッドの前
面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材
で、5015はこのキャップ内を吸引する手段でキャッ
プ内開口5023を介してインクジェットヘッドの吸引
回復を行う。5017はクリーニングブレードで、50
19はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材で
あり、本体支持板5018にこれらは支持されている。
ブレードは、この形態でなく周知のクリーニングブレー
ドが本例に適用できることは言うまでもない。また、5
012は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、
キャリッジを係合するカム5020の移動に伴って移動
し、駆動モーターからの駆動力がクラッチ切り換え等の
公知の伝達手段で移動制御される。
【0098】これらのキャッピング、クリーニング、吸
引回復は、キャリッジがホームポジション側領域にきた
時にリードスクリュー5005の作用によってそれらの
対応位置で所望の処理が行える様に構成されているが、
周知のタイミングで所望の作動を行う様にすれば、本実
施例のみならず何れのインクジェットヘッドにも適用可
能であろう。
【0099】以下に、本発明方法によるフィルタをイン
クジェットヘッドに適用する場合の特に好適なインクジ
ェットヘッドの製造方法を説明する。
【0100】まず、従来のインクジェットヘッドの製造
方法としては以下のような3つの方法が知られている。
【0101】第1の方法は、エネルギー発生素子を含む
電気熱変換体を備えた基板を用意する工程、ガラスや金
属などからなる部材に切削やエッチング等の加工手段に
より吐出口、インク流路および液室を形成するための凹
部ならびに前記液室と外部とを連通するための供給口を
設けて天板を得る工程、前記基板に前記天板をエネルギ
ー発生素子と液流路との位置が合わせるようにして接着
剤により貼り合わせる工程、インク供給口にフィルター
を貼りつけインク供給部材をインク供給口に重ね合わせ
て密着させたのち該インク供給部材を固定してからイン
ク連絡通路の周りに封止材を流し込み固着させる工程、
からなる。
【0102】この第1のインクジェットヘッドの製造方
法では、天板に設けられたインク供給口とインク供給部
材とをインク用フィルターを挟んで密着させる際、天板
の厚みの精度及びインク供給部材の成形精度により、天
板とインク供給部材の間に隙間が発生することがある。
この隙間より封止材が流れ込んでフィルターの表面を汚
染したりして、インクの発泡を不安定にし、その結果印
字品位の低下を起こすなどの問題がある。
【0103】つぎに第2の方法は、エネルギー発生素子
を含む電気熱変換体を備えた基板を用意する工程、射出
成形により、インク吐出口、インク流路、およびインク
液室を一体に樹脂で形成した天板を用意する工程、前記
基板に前記天板をエネルギー発生素子と液流路との位置
が合わさるようにして、バネ等によりあらかじめ隙間を
持たせて圧接固定する工程と、インクタンクとの接合部
にフィルターが貼りつけられた片持ち構造になっている
インク供給部材と天板に射出成形時に形成されたインク
供給口とを密着させたのち、前記基板と前記天板との隙
間および前記インク供給部材と前記インク供給口の圧接
部分を数種類の封止材を流し込み同時に封止する工程、
からなる。
【0104】この第2のインクジェットヘッドの製造方
法では、基板と天板との間にあらかじめ設けられる隙間
の部分及び、射出成形により作られた天板のインク供給
口とモールドで作られたインク供給部材とを該インク供
給部材の弾性力を利用して密着させている部分、を同時
に封止する。この時天板とインク供給部材は天板に支配
されフィルターの有効面積が取れない。そこでインク供
給部材のインクタンク側に大面積の供給口を設け、そこ
にフィルターを溶着して共通液室内にゴミが侵入するの
を防いでいる。しかしながら基板と天板の間の接合部よ
り封止剤の混入がありエネルギー発生素子である発熱抵
抗体の表面を汚染したりして吐出口の詰まり、発泡の不
安定化をもたらして印字品位の低下を起こすなどの問題
がある。
【0105】こうした第1および第2の製造方法におけ
る問題点を解決するために、以下のような第3の方法が
知られている。
【0106】この方法は、エネルギー発生素子を含む電
気熱変換体を備えた基板にポジ型もしくはネガ型の感光
性ドライフィルムを貼り、感光性ドライフィルムのうち
インク吐出口、インク流路、およびインク液室に相当す
るパターンをマスクもしくは露出させて露光した後に現
像して吐出口、インク流路および液室に相当するパター
ンの固体層を第一の基板上に設ける工程、前記固体層及
び前記基板の上に活性エネルギー線により硬化する活性
エネルギー線硬化性材料を所定の厚さに塗布し、液室の
一部を形成するための凹部及びインク供給口が設けられ
た活性エネルギー線透過性の天板を前記活性エネルギー
線硬化材料の上に凹部を液室が形成される予定位置に合
わせて貼りつけて積層体を形成する工程、前記活性エネ
ルギー線硬化材料のうち液室が形成される予定部分を隠
すように天板をマスクして活性エネルギー線を該天板を
通して活性エネルギー線硬化材料に照射し硬化させる工
程、活性エネルギー線硬化性材料が硬化された前記積層
体を吐出口を形成する位置で切断して固体層の端面を露
出させたのち、固体層と未硬化の活性エネルギー線硬化
性材料とを溶解する溶剤中に浸漬し、積層体から固体層
及び未硬化の活性エネルギー線硬化性材料を溶解除去し
て、内部にインク流路及び液室を形成する空間を設ける
工程、インク供給部材の内部にインクフィルターを内蔵
したものをインク供給口に一定の隙間を持たせて重ね合
わせて固定しその周りに封止材を流し込む工程、からな
る(特開昭62−253457号公報参照)。
【0107】しかしながら、この第3のインクジェット
ヘッド製造方法においては、以下に述べるような問題点
がある。
【0108】すなわち、第三の方法は、天板に設ける液
室の一部を形成するための凹部を大きくする事により、
大きな液室を有するインクジェットヘッドを製造できる
という利点と、上記第一の方法に見られる様なの基板と
天板を貼り合わせる事で発生する問題点を解決できる利
点があるが、第一の方法と同様で工程が複雑で時間がか
かり量産性に乏しいという問題がある。さらにこの第3
の方法においては4色一体、3色一体など特殊な用途に
使われる場合、フィルターの取り付けが、混色問題及
び、構造上で惹起するという問題がある。
【0109】これらの問題点に鑑みて本発明者らは、本
発明のフィルタを適用した次のようなインクジェットヘ
ッドの製造方法を見いだした。すなわち、本発明のイン
クジェットヘッドの製造方法は、a)インクを吐出させ
るための熱エネルギーを発生する発熱抵抗体と該発熱抵
抗体に電気的に接続され前記熱エネルギーを発生するた
めの電気信号を前記発熱抵抗体に供給するための配線と
を有する電気熱変換体とが配されたインクジェットヘッ
ド用基板を作成する工程と、b)該基板上にインク吐出
口、インク流路、インク共通液室及びインク供給口から
なるインク流動経路系に相当する部分に除去可能な固体
層を設ける工程と、c)前記基板及び前記固体層を被覆
する被覆材を積層する工程とd)前記固体層を除去して
インク流動経路系を形成する工程と、e)形成されたイ
ンク流動経路の少なくとも一部分に溶剤に可溶な樹脂で
構成される殻(シェル)に包まれてなる多数の微小中空
球体(マイクロバルーン)を活性エネルギー硬化性(熱
もしくは光硬化性)樹脂中に分散させた分散体からなる
層を形成し、f)前記e)の工程で形成した層を熱処理
して前記マイクロバルーンのそれぞれを膨張させ、次い
で前記活性エネルギー硬化性(熱もしくは光硬化性)樹
脂を硬化せしめる工程、およびg)マイクロバルーンの
それぞれのシェルのみに対して選択溶解性を有する溶剤
で前記f)で処理した分散体層を処理して、マイクロバ
ルーンのそれぞれのシェルを除去してマイクロバルーン
の空孔を相互に連通せしめることによりフィルタを形成
することを特徴とする。
【0110】上記の構成からなる本発明のインクジェッ
トヘッドの製造方法について、以下に具体的に説明す
る。
【0111】すなわち、基板上に半導体技術で用いられ
ている薄膜形成技術により電気熱変換体を設ける。その
後、前記基板上であってインク吐出口、インク流路、イ
ンク液室、インク供給口が形成される予定の部分に、除
去可能な材料からなる固体層を形成する。ここで、固体
層としては、ポジ型の感光性レジストを用いてフォトリ
ソグラフィーによって形成することにより精度良く形成
することが可能である。
【0112】次に前記基板と前記基板上に形成された固
体層を覆うように硬化性樹脂で被覆する。更にこの被覆
材料が積層された基板にインク液室やインク供給口が形
成された天板を接合しても良い。
【0113】そしてこのような積層体より前記除去可能
な固体層を溶剤により除去することによって、インク吐
出口と、インク流路と、インク液室と、インク供給口と
を形成する。
【0114】このような工程により製造されるインクジ
ェットヘッドの製造工程中に、溶剤に可溶な樹脂で構成
される殻(シェル)に包まれてなる多数の微小中空球体
(マイクロバルーン)を活性エネルギー硬化性(熱もし
くは光硬化性)樹脂中に分散させた分散体からなる層を
形成し、前記活性エネルギー硬化性(熱もしくは光硬化
性)樹脂を硬化させた後、マイクロバルーンのそれぞれ
のシェルのみに対して選択溶解性を有する溶剤で分散体
層を処理して、マイクロバルーンのそれぞれのシェルを
除去してマイクロバルーンの空孔を相互に連通せしめる
ことによりフィルタを形成する。
【0115】マイクロバルーン含有硬化性樹脂分散体を
設ける工程は、インク液室が形成された後に設けられる
ことが好ましいが、固体層形成工程後であって、固体層
除去前であればいつでも良い。また、マイクロバルーン
のシェルを除去する工程は、固体層の除去と同時に行っ
ても良い。
【0116】マイクロバルーン含有硬化性樹脂分散体
は、液室の中にマイクロバルーン含有硬化性樹脂分散体
を注入後加熱することにより空孔を形成する方法と、マ
イクロバルーンをあらかじめ加熱してマイクロバルーン
を膨張させておいて、これをバインダ樹脂に分散して得
られたマイクロバルーン含有硬化性樹脂分散体を液室の
中に注入する方法がある。いずれを選択するかは、前記
液室の大きさ、インク供給口の大きさ及び前記液室の構
造により選択すればよい。マイクロバルーン含有硬化性
樹脂分散体の塗布方法は、スクリーン印刷、タンボ印
刷、ディスペンサー注入等で行うことが出来る。注入方
法は、マイクロバルーンの種類と膨張のさせ方により使
い分けられる。
【0117】マイクロバルーン含有硬化性樹脂分散体層
は、好ましくはインク共通液室の中に設けられるもの
で、また、インク共通液室の空間部分に、他の構成要素
とは異なる部材として設けてもよい。
【0118】基板は、インク吐出エネルギー発生素子が
配設されたものであることが好ましく、また、インク吐
出エネルギー発生素子は、電気熱変換素子であることが
好ましい。
【0119】このような特徴からなるインクジェットヘ
ッドは、インクジェット装置に具備されることによっ
て、従来のものにくらべてすぐれた記録動作を可能とす
る。
【0120】以下の実施例により本発明を更に詳しく説
明するが、本発明ではこれらの実施れにより限定される
ものではない。
【0121】<実施例1>図5は共通液室の中にバイン
ダ樹脂中にマイクロバルーンを分散させてなるフィルタ
形成用の分散体を注入した状態を示している。
【0122】また、図6は本発明に係るマイクロバルー
ンのシェル樹脂が除去された後のポーラス組織のバイン
ダ樹脂がフィルタの役割をしている状態を示している。
【0123】図5および図6において、符号1は電気熱
変換素子、2は基板、3は吐出口(オリフィス)、4は
インク流路、5は分散体層、6はインク供給口、7はレ
ジスト、8は第二基板、そして9は共通液室である。
【0124】まず、電気熱変換素子(材質HfB2 )を
形成したシリコン基板にポジ型ドライフィルムOZAT
EC R225(商標名:ヘキストジャパン(株)製)
からなる厚さ50μmの感光層をラミネーションによっ
て形成した。この感光層の液流路形成予定部分を除く部
分に紫外線照射を行なった後、1%のカセイソーダ水溶
液にてスプレー現像を行い、前記電気熱変換素子を含む
シリコン基板上の液流路形成予定部分に固体層(厚さ5
0μm)を形成した。次にこの固体層が形成された基板
上に熱硬化性材料としてのエポキシ樹脂であるアラルダ
イトCY230/HY956(商標名:チバガイギー社
製)をアプリケーターを用いて塗布した。その後基板を
30℃にて12時間放置し、基板上の前記硬化性材料を
完全に硬化させた。次にこの硬化性材料を積層した基板
に、液室形成予定部位に凹部を持ち、該凹部の中央にイ
ンク供給のための貫通口(インク供給口6)を持つ天板
としてのガラス基板を液室形成予定部位の位置を合わせ
て接合した。
【0125】次に、本発明のバインダ樹脂中にマイクロ
バルーンを分散させてなるフィルタ形成用の分散体を前
記液室形成予定部の前記固体層上に前記インク供給口6
からデイスペンサーにて注入した。ここで前記分散体と
しては感光性硬化性樹脂であるオーデールSY25(商
標名:東京応化株式会社製)をベースとし、エクスパン
セル55IDE−20マイクロバルーン(商標名:エク
スパンセル社製)を50wt%添加し、ホモジエナイズ
ドして得た分散体を用いた。ここではマイクロバルーン
の添加量を50%としたが、20〜90wt%の範囲で
適宜選択できる。
【0126】次に前記基板都前記天板の接合体に紫外線
を照射して前記固体層を可溶化させた。その後NaOH
水溶液中に浸漬し、超音波洗浄槽中にて約10分間前記
可溶化された固体層の溶解除去を行い純水で洗浄乾燥さ
せた。これによりインクジェットヘッドを完成させた。
【0127】本実施例で形成したフィルターの流抵抗値
は、10〜100mmAqの範囲でインクの流量との相
関関係が取れた。
【0128】また、本実施例で得られたインクジェット
ヘッドを10kHzの吐出周波数にてA4版7.5%デ
ューティ(duty)にて3000枚印字したところ、
印字品位は良好で文字のかすれや不吐出は見られなかっ
た。
【0129】<実施例2>図7は、本実施例におけるイ
ンクジェットヘッドの製造方法を説明するためのもので
ある。図7中符号2は基板、5はバインダ樹脂中にマイ
クロバルーンを分散させてなるフィルタ形成用の分散
体、そして7はレジスト(固体層)である。
【0130】実施例1では、膨張済のマイクロバルーン
をレジストに分散させ共通液室に注入したが、本実施例
では、マイクロバルーンとして未膨張のエクスパンセル
551DUを用いた以外は実施例1と同様にしてフィル
タ形成用の分散体を得、これをレジストパターン上にス
クリーン印刷により塗布した後、60℃、2時間の乾燥
を行った。この乾燥後の分散体層の膜厚は、100μ±
10μmであり、マイクロバルーン50wt%添加によ
る弊害(印刷時のはがれ、膜厚精度、印刷にじみ等)は
見られなかった。次に、天板を基板に接合するに先立っ
て、前記乾燥分散体層を120℃の温度で加熱処理し
た。この時バインダ樹脂中に分散されていたマイクロバ
ルーンが膨張をし始め、3分間後には180μmの膜厚
に達した。これにより、平均60μmの径の多数の空孔
が形成された。次に天板を基板に接合した後前記膨張し
たマイクロバルーンのシェル樹脂を溶剤を使用してエッ
チングすることにより前記空孔が相互に連通してなるフ
ィルターを得た。本実施例では、分散体層中のマイクロ
バルーンは、体積平均粒径が未膨張で7μmであり、膨
張処理後で約20μmであった。
【0131】また、本実施例で得られたインクジェット
ヘッドを10kHzの吐出周波数にてA4版7.5%デ
ューティ(duty)にて3000枚印字したところ、
印字品位は良好で文字のかすれや不吐出は見られなかっ
た。
【0132】このように本実施例1及び2においては、
固体層上の液室部に硬化性樹脂からなるフィルタを形成
することにより、インクジェットヘッド内の複雑な部分
においても一体的にフィルタを作成できるだけでなく、
フィルタ固定のための特別な処置、工程を必要とせず、
比較的広い面積のフィルタを作成することができる。さ
らに、組立工程のコストダウン、工程管理の低減、歩留
の向上等の効果が得られる。
【0133】したがって、本発明は高速印字が可能であ
り長期信頼性の高いインクジェットヘッドを安価に提供
できるものである。
【0134】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式のイン
クジェットヘッド、インクジェット装置において優れた
効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の
高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0135】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、インクジェットヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じ
させて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状
の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細
書,同第4345262号明細書に記載されているよう
なものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率
に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記
載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行
うことができる。
【0136】インクジェットヘッドの構成としては、上
述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電
気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流
路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構
成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国
特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に
含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対
して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする
構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エ
ネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構
成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた
構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、イ
ンクジェットヘッドの形態がどのようなものであって
も、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことがで
きるようになるからである。
【0137】さらに、インクジェット装置が記録できる
記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタ
イプのインクジェットヘッドに対しても本発明は有効に
適用できる。そのようなインクジェットヘッドとして
は、複数インクジェットヘッドの組合せによってその長
さを満たす構成や、一体的に形成された1個のインクジ
ェットヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0138】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定されたインクジェットヘッド、
あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気
的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交
換自在のチップタイプのインクジェットヘッド、あるい
はインクジェットヘッド自体に一体的にインクタンクが
設けられたカートリッジタイプのインクジェットヘッド
を用いた場合にも本発明は有効である。
【0139】また、本発明のインクジェット装置の構成
として、インクジェットヘッドの吐出回復手段、予備的
な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定
できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙
げれば、インクジェットヘッドに対してのキャッピング
手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変
換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせ
を用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を
行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0140】また、搭載されるインクジェットヘッドの
種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応
して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異
にする複数のインクに対応して複数個数設けられるもの
であってもよい。すなわち、例えばインクジェット装置
の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モード
だけではなく、インクジェットヘッドを一体的に構成す
るか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異
なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各
記録モードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は
極めて有効である。
【0141】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0142】さらに加えて、本発明インクジェット装置
の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像
出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せ
た複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ
装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0143】なお、本発明方法によるフィルタに関して
はインクジェット装置に適用するものとして説明した
が、本発明方法により得られるフィルタの用途はこれに
限られるものではなく、他の分野において適用しても本
発明方法によるフィルタの有する効果を十分に発揮でき
るものである。
【0144】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法により
得られるフィルタは、液体の濾過に用いられるフィルタ
であって、硬化された活性エネルギー硬化性樹脂層中に
マイクロバルーンにもとづく多数の空孔が形成されてお
り、該多数の空孔が液体が上記樹脂層を通過できるよう
に連通している。したがって、各種デバイス等の複雑な
構造体あるいは微細な構造体の場合であってもそれら構
造体の構成部材とを一体に精度良く形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルタの製造方法を説明する説明図
で、(A)はバインダ樹脂中に分散させた、マイクロバ
ルーンからなる分散体で構成される層の略断面図、
(B)は(A)に示した分散体層を熱処理してマイクロ
バルーンのコア成分を気化させてシェル樹脂を膨張させ
た状態にある分散体層の略断面図、(C)は(B)に示
した分散体層を選択溶剤を使用するエッチング処理にか
け、シェル樹脂を溶解してマイクロバルーンの空孔を相
互に連通せしめた状態を示す略断面図である。。
【図2】本発明にもとづくインクジェットヘッドとイン
クカートリッジとを有するインクジェットカートリッジ
の全体的構成を説明するための斜視図である。
【図3】本発明にもとづくインクジェットヘッドのイン
ク供給口周辺の詳細な構成を説明するための斜視図であ
る。
【図4】本発明にもとづくインクジェットカートリッジ
が装着されたインクジェット装置の要部を示す斜視図で
ある。
【図5】本発明にもとづくインクジェットヘッドの製造
方法の一実施例を説明するための図で、本発明に係るマ
イクロバルーンのシェルが除去された後のポーラス状硬
化性樹脂がフィルターの役割をしていることを示してい
る。
【図6】共通液室の中に微小中空球体含有硬化性樹脂を
注入した状態を説明するための図である。
【図7】本発明にもとづくインクジェットヘッドの製造
方法の他の実施例を説明するための図である。
【符号の説明】
51 硬化性樹脂 52 マイクロバルーン 53 コア 54 熱可塑性樹脂 55 空孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 39/00 - 39/20 C08J 9/38

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を濾過するフィルタの製造方法であ
    って、溶剤に可溶な樹脂で構成されるシェルに包まれて
    なる多数のマイクロバルーンを活性エネルギー硬化性樹
    脂中に分散させた分散体を形成し、該分散体を熱処理し
    て前記マイクロバルーンのそれぞれを膨張させ、ついで
    前記活性エネルギー硬化性樹脂を硬化させ、マイクロバ
    ルーンのそれぞれのシェルのみに対して選択溶解性を有
    する溶剤で前記分散体を処理して、マイクロバルーンの
    それぞれのシェルを除去してマイクロバルーンの空孔を
    相互に連通せしめることを特徴とするフィルタの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂
    を主成分とするシェルの中に常温より高い温度で気化・
    膨張する物質をコアとして有するものであることを特徴
    とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記コアを構成する物質はイソブタンお
    よびイソブチレンからなる群から選択されることを特徴
    とする請求項2に記載のフィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル、ポ
    リ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニル共重合体、
    アクリルニトリル−塩化ビニル共重合体および酢酸ビニ
    ル−塩化ビニル共重合体からなる群から選択される少な
    くとも一成分を主成分とすることを特徴とする請求項2
    に記載のフィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記活性エネルギー硬化性樹脂は、熱も
    しくは光で硬化する硬化性樹脂であることを特徴とする
    請求項1に記載のフィルタの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記フィルタは、液体供給方向に平行な
    厚さが前記空孔の径の5倍以上であることを特徴とする
    請求項1に記載のフィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記活性エネルギー硬化性樹脂中の前記
    マイクロバルーンの含有量が20〜90wt%であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記選択溶解性を有する溶剤はアセト
    ン、およびジメチルホルムアミドからなる群から選ばれ
    ことを特徴とするる請求項1に記載のフィルタの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記フィルタは、インクジェット装置の
    インク供給経路の一部に用いられるものであることを特
    徴とする請求項1に記載のフィルタの製造方法。
  10. 【請求項10】 インクジェットヘッドの製造方法であ
    って、該製造方法は、 a)インクを吐出させるための熱エネルギーを発生する
    発熱抵抗体と該発熱抵抗体に電気的に接続され、前記熱
    エネルギーを発生するための電気信号を前記発熱抵抗体
    に供給するための配線とを有する電気熱変換体とが配さ
    れたインクジェットヘッド用基板を作成する工程と、 b)該基板上にインク吐出口、インク流路、インク共通
    液室およびインク供給口からなるインク流動経路系に相
    当する部分に除去可能な固体層を設ける工程と、 c)前記基板および前記固体層を被覆する被覆材を積層
    する工程と、 d)前記固体層を除去してインク流動経路系を形成する
    工程と、 e)形成されたインク流動経路の少なくとも一部分に溶
    剤に可溶な樹脂で構成されるシェルに包まれてなる多数
    のマイクロバルーンを活性エネルギー硬化性(熱もしく
    は光硬化性)樹脂中に分散させた分散体からなる層を形
    成し、 f)前記e)の工程で形成した層を熱処理して前記マイ
    クロバルーンのそれぞれを膨張させ、次いで前記活性エ
    ネルギー硬化性樹脂を硬化せしめる工程、および g)マイクロバルーンのそれぞれのシェルのみに対して
    選択溶解性を有する溶剤で前記f)で処理した分散体層
    を処理して、マイクロバルーンのそれぞれのシェルを除
    去してマイクロバルーンの空孔を相互に連通せしめるこ
    とによりフィルタを形成することを特徴とするインクジ
    ェットヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記マイクロバルーンは、熱可塑性樹
    脂を主成分とするシェルの中に常温より高い温度で気化
    ・膨張する物質をコアとして有することを特徴とする請
    求項10に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記コアに用いられる物質はイソブタ
    ンおよびイソブチレンからなる群から選択される成分か
    らなることを特徴とする請求項11に記載のインクジェ
    ットヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニル、
    ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニル共重合
    体、アクリルニトリル−塩化ビニル共重合体および酢酸
    ビニル−塩化ビニル共重合体からなる群から選択される
    少なくとも一成分を主成分とすることを特徴とする請求
    項11に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記活性エネルギー硬化性樹脂は、熱
    もしくは光で硬化する硬化性樹脂であることを特徴とす
    る請求項10に記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記フィルタは、液体供給方向に平行
    な厚さが前記空孔の径の5倍以上であることを特徴とす
    る請求項10に記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記活性エネルギー硬化性樹脂中の前
    記マイクロバルーンの含有量が20〜90wt%である
    ことを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘ
    ッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記選択溶解性を有する溶剤はアセト
    ン、ジメチルホルムアルデヒドからなる群から選ばれる
    請求項10に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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