JP3179879B2 - 正特性サーミスタ - Google Patents

正特性サーミスタ

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JP3179879B2 JP24581292A JP24581292A JP3179879B2 JP 3179879 B2 JP3179879 B2 JP 3179879B2 JP 24581292 A JP24581292 A JP 24581292A JP 24581292 A JP24581292 A JP 24581292A JP 3179879 B2 JP3179879 B2 JP 3179879B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性を有する正特性
サーミスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】正特性サーミスタ〔以下、PTC(Posi
tive Teperature Coefficient)サーミスタという〕と
は、正の抵抗−温度係数、つまり温度の上昇に伴って抵
抗値が上昇する素子である。
【0003】そのような正の温度特性、すなわちPTC
特性には、例えば図5に示すように、緩やかに抵抗値が
増加するA特性と、所定の温度を越えると急峻に抵抗値
が上昇するB特性とがある。A特性は主に温度補償用と
して、一方、B特性は主にスイッチング素子として広く
用いられている。
【0004】従来より、上記のPTCサーミスタとして
は、チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とするセラミ
ックスが知られている。上記のセラミックスは、絶縁体
であるチタン酸バリウム粒子に、少量( 0.5モル%以
下)の半導体化剤粒子、例えば希土類元素の酸化物粒子
を添加して成形後、焼成して製造されている。
【0005】このように上記セラミックスは、添加する
半導体化剤粒子が微量なため、秤量誤差等によりPTC
特性が大きく変化し易いからPTC特性の制御が難し
く、また、絶縁体に微量の半導体化剤粒子を添加するか
ら室温抵抗値の低い物を作成することが困難であるとい
う問題を生じていた。
【0006】そこで、上記の各問題を回避するために、
カーボン等の導電性物質が分散混入されたポリエステル
樹脂等の有機高分子が、高分子PTCサーミスタとして
提案されている(特開昭62−232902号公報)。このよう
な高分子PTCサーミスタは、カーボン等の導電性粒子
を広範囲で添加できるため、室温抵抗値を低く作成で
き、また、導電性物質を多く混入できるから秤量誤差も
低減できてPTC特性を制御し易いという特性を有して
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
高分子PTCサーミスタは、有機高分子が耐熱性に劣る
ため、高温で使用できないという問題点を有している。
【0008】そこで、本発明の目的は、PTC特性の制
御が容易で、かつ、耐熱性に優れたPTCサーミスタを
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のPTCサーミス
タは、以上の課題を解決するために、種々の素材につい
て鋭意検討した結果、有機高分子と比べて耐熱性を有す
る塩化ナトリウム粒子等のイオン結晶からなる電気絶縁
性粒子炭素等の導電性物質の粒子とからなる成形品
がPTC特性を発揮することを発見して、本発明を完成
するに至った。
【0010】すなわち、本発明の請求項1記載のPTC
サーミスタは、イオン結晶からなる電気絶縁性粒子と、
この電気絶縁性粒子より熱膨張率が小さい導電性粒子と
を混合して加圧成形するに際して、体積分率で導電性粒
子を1〜50%、電気絶縁性粒子を50〜99%の割合
で混合したことを特徴としている。
【0011】また、本発明の請求項2記載のPTCサー
ミスタは、請求項1記載の正特性サーミスタにおいて、
上記電気絶縁性粒子は塩化ナトリウム粒子であり、上記
導電性粒子はカーボン粒子であることを特徴としてい
る。
【0012】上記の電気絶縁性粒子に用いられる素材と
しては、電気絶縁性を備え、かつ、熱膨張率(3〜5×
10-5/deg) が大きければ特に限定されないが、塩化ナト
リウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、臭化カリウム
(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2) 、ヨウ化カリウム(K
I)、臭化ナトリウム(NaBr)等のイオン結晶を用いること
ができ、特に、取り扱いの容易で入手し易い塩化ナトリ
ウムが好ましい。
【0013】上記の導電性粒子の素材としては、導電性
および耐熱性を備え、かつ、上記電気絶縁性粒子より熱
膨張率(<1×10-5/deg) が小さいものであれば特に限
定されないが、比較的容易に入手できるから無定形カー
ボンが望ましい。
【0014】
【作用】上記の請求項1記載の構成によると、イオン結
晶からなる電気絶縁性粒子を体積分率で50%以上含む
電気絶縁性粒子間に導電性粒子を介在させることがで
き、かつ、各導電性粒子を隣接させて導通させることが
可能であるから、導電性を備えることができ、一方、温
度の上昇に伴って電気絶縁性粒子が膨張した際、導電性
粒子の熱膨張率が電気絶縁性粒子に対して小さいから、
電気絶縁性粒子間の導電性粒子の厚さを減少、または、
電気絶縁性粒子間の一部に導電性粒子の不在区間を増加
させることができ、よって、温度上昇に伴って抵抗値が
上昇するPTC特性を備えることが可能となる。
【0015】その上、イオン結晶からなる電気絶縁性粒
子の融点が、従来の耐熱性に劣る有機高分子の溶融点よ
り高いから、耐熱性を高めることができ、高温での使用
が可能になると共に、温度特性を制御する導電性粒子
を、従来のセラミックスPTCサーミスタにおける半導
体化剤粒子より多く配合できるから、秤量誤差等による
PTC特性の制御不良を改善できる。
【0016】また、上記の請求項2記載の構成による
、電気絶縁性粒子に塩化ナトリウム粒子を、導電性粒
子にカーボン粒子を用いたから、それらを容易に入手で
きて、迅速に正特性サーミスタを得ることができる。
【0017】
【実施例】本発明の一実施例を実施例1として図1ない
し図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。 〔実施例1〕本発明の正特性サーミスタ(以下、PTC
サーミスタという)について、まず、その製造方法を説
明すると、原料の作成では、電気絶縁性粒子としての塩
化ナトリウム(NaCl)(和光純薬社製、純度99.5%)
(融点、 800.4℃)を、一方の原料としてジルコニアボ
ールと共に樹脂製容器に投入し、1週間ボールミルによ
り粉砕した後、ふるいで分級して平均粒径50μm(粒径
範囲38〜75μm)の塩化ナトリウム粒子を得た。なお、
塩化ナトリウムの熱膨張率は 4.4×10-5/degである。
【0018】他方の原料として、導電性粒子として、図
2に示すカーボン粒子(日本カーボン社製、カーボンマ
イクロビーズPC系、平均粒径5μm、粒径範囲4〜7
μm、比表面積≦2m2/g、嵩比重0.80〜0.90、真比重1.
40〜1.57、形状は略球状)を用いた。なお、上記のカー
ボン粒子は無定形カーボン(Amorphous Carbon)からな
っており、その熱膨張率は0.54×10-5/deg(40℃)であ
る。
【0019】次に、上記塩化ナトリウム粒子に対するカ
ーボン粒子の体積分率(%)を 8.5%、10%、30%とな
るようにそれぞれ秤量し、続いて、上記のように秤量さ
れた塩化ナトリウム粒子およびカーボン粒子を、湿式混
合の際の溶媒としての2−プロパノール中に投入し湿式
で均一に混合して混合物を得た後、その混合物をロータ
リーエバポレータに投入し、攪拌混合しながら上記溶媒
を留去して混合粉末を得た。
【0020】そのようにして得られた混合粉末を、直径
10mmの丸型成形器に充填した後、90秒間一軸方向に加圧
成形して、塩化ナトリウム粒子に対するカーボン粒子の
配合量の異なる円柱状の成形品をそれぞれ得た。なお、
成形圧は2トン/cm2 であり、また、得られた各成形品
の平均相対密度は95%であった。
【0021】次に、上記で得られた各成形品の軸方向両
端面に、図示しないが、銀ペースト(デュポン社製)を
塗布した後、赤外線ランプにて加熱して銀ペースト中の
溶媒を除去し、両端面に電極をそれぞれ形成して各検体
とした。続いて、上記の各検体は、それらの各電極にリ
ード線として銀線(0.3mm) を接続して加電したところ、
通電し、導電性を示した。
【0022】それは、図1(a)に示すように、上記の
成形品1が、塩化ナトリウム粒子2間にカーボン粒子3
が介在しており、その上、隣接して導通するカーボン粒
子2が存在していると想定された。
【0023】次に、上記の塩化ナトリウム粒子2に対す
るカーボン粒子3の体積分率(%)が 8.5%、10%、30
%となる各成形品1の抵抗率−温度特性を経時的にそれ
ぞれ測定し、それらの結果を図3に合わせて示した。な
お、測定は2端子法で 0.1V定電圧、昇降温速度7℃/
min にて行った。
【0024】また、 500℃以上に検体の温度を上げる
と、カーボン粒子3のTG(熱重量)測定によりカーボ
ン粒子3の酸化が観察されたため、 400℃以上に加温す
る時は窒素(N2)ガス雰囲気中で抵抗率−温度特性を測
定した。また、使用した測定機器は下記の通りである。
【0025】 電流計 : ADVANTEST社製、DISITAL ELECTROMET
ER TR8652 直流定電圧電源: HIOKI社製、7005 PROGRAMMABLE DC S
TANDARD コントローラー: CHINO社製、KPシリーズ デジタルプ
ログラム調節計 電気炉 :石塚電気製作所社製、開閉式電気炉 レコーダー :日本電気三栄社製、HYBRID RECORDER
RD3218 図3から明らかなように、上記実施例1の各構成は室温
にて導電性を示し、温度上昇に伴い抵抗値が上昇するP
TC(Positive Temperature Coefficient)特性を備え
ていることが判った。特に、 8.5%のカーボン配合量で
は急峻なPTC特性を示した。
【0026】それは、図1(b)に示すように、カーボ
ン粒子3に対する塩化ナトリウム粒子2の熱膨張率が大
きく、温度上昇に伴って、各塩化ナトリウム粒子2が膨
張して、各塩化ナトリウム粒子2の周囲にあって隣接し
ていた各カーボン粒子3を離間させるため、導通してい
た各カーボン粒子3が不通状態となるためと想定され
た。
【0027】本発明の他の実施例を実施例2として図
1、図4および図5に基づいて説明すれば、以下の通り
である。 〔実施例2〕本発明のPTCサーミスタの製造方法につ
いてまず説明すると、一方の原料として塩化ナトリウム
(NaCl、和光純薬社製、純度99.5%)(融点、 80
0.4℃)をジルコニアボールと共に樹脂製容器に投入
し、1週間ボールミルにより粉砕した後、ふるいで分級
して平均粒径 250μm(粒径範囲 150〜350 μm)の塩
化ナトリウム粒子と得た。他方の原料として、前記実施
例1に示したカーボン粒子を用いた。
【0028】次に、上記の塩化ナトリウム粒子およびカ
ーボン粒子を、塩化ナトリウム粒子に対するカーボン粒
子の体積分率(%)が4%、5%、10%となるようにそ
れぞれ秤量した。
【0029】以下の操作は前記実施例1と同様に行い、
塩化ナトリウム粒子に対するカーボン粒子の異なる成形
品をそれぞれ得た。なお、上記の成形品の粒子構造を示
すために、塩化ナトリウム粒子に対するカーボン粒子の
体積分率(%)が10%とした成形品1の破断面の一例を
図4に示した。
【0030】これにより、図1(a)に示すように、塩
化ナトリウム粒子2間に、略球状のカーボン粒子3が連
なっており、隣接しているカーボン粒子3が存在してい
ることが判る。このようにカーボン粒子の体積分率
(%)が異なる各成形品1を、上記実施例1と同様にし
て抵抗率−温度特性をそれぞれ測定し、それらの結果を
図5に合わせて示した。
【0031】図5から明らかなように、上記実施例2の
各構成は室温にて導電性を示し、温度上昇に伴い抵抗値
が上昇するPTC特性を備えていることが判った。特
に、5%のカーボン配合量では、温度上昇に伴い6桁の
抵抗値の上昇が観察され、急峻なPTC特性を示した。
【0032】次に、本発明のさらに他の実施例を実施例
3として、塩化ナトリウム粒子とカーボン粒子との平均
粒径比が異なり、かつ、種々なカーボン配合体積分率の
成形品を、実施例1と同様にして作成し、抵抗率−温度
特性をそれぞれ測定した結果について図1、図6、およ
び図7を参照しながら説明する。なお、特に指定しない
限り、用いた原料および製造方法は前記実施例1と同様
である。
【0033】〔実施例3〕 イ.塩化ナトリウム粒子(平均粒径25μm、粒径範囲15
〜38μm)、カーボン粒子(PC系、平均粒径50μm、
粒径範囲45〜60μm)、カーボン粒子の体積分率(10
%、20%、25%、30%、40%)、成形圧2トン/cm2、加
圧時間90秒。
【0034】ロ.塩化ナトリウム粒子(平均粒径50μ
m、粒径範囲38〜75μm)、カーボン粒子(PC系、平
均粒径50μm、粒径範囲45〜60μm)、カーボン粒子の
体積分率(5%、10%、20%、23%、25%、30%、40
%、50%)、成形圧2トン/cm2、加圧時間90秒。
【0035】ハ.塩化ナトリウム粒子(平均粒径50μ
m、粒径範囲範囲38〜75μm)、カーボン粒子(PC
系、平均粒径20μm、粒径範囲16〜26μm)、カーボン
粒子の体積分率(5%、10%、15%、17%、20%、25
%、40%)、成形圧2トン/cm2,加圧時間90秒。
【0036】このように平均粒径が、前記実施例1およ
び2と異なる塩化ナトリウム粒子およびカーボン粒子を
用い、また、カーボン体積分率の異なる各構成をそれぞ
れ作成した。上記の各構成について、前記実施例1と同
様に抵抗率−温度特性をそれぞれ調べたところ、図示し
ないが、温度上昇に伴って抵抗値が上昇するPTC特性
を示した。しかしながら、室温での抵抗値が大きいた
め、PTCサーミスタとしての使用に限りがあることが
判った。
【0037】なお、上記の各構成の粒子構造を示すため
に、例として、上記の塩化ナトリウム粒子(平均粒径50
μm)、カーボン粒子(PC系、平均粒径50μm)、カ
ーボン粒子の体積分率10%の成形品の破断面を、走査型
電子顕微鏡にて観察して図6に示し、また、上記の塩化
ナトリウム粒子(平均粒径50μm)、カーボン粒子(P
C系、平均粒径50μm)、カーボン粒子の体積分率40%
の成形品の破断面を、走査型電子顕微鏡にて観察して図
7に示した。
【0038】このことからも、図1(a)に示すよう
に、得られた成形品1は、塩化ナトリウム粒子2の周囲
に、略球状のカーボン粒子3が連なっており、隣接して
いるカーボン粒子3を備えていることが判る。
【0039】次に、本発明のさらに他の実施例を、実施
例4として図1および図8を参照しながら説明する。 〔実施例4〕実施例2におけるPC系のカーボン粒子に
代えて、図8に示すMC系のカーボン粒子(平均粒径5
μm、粒径範囲4〜7μm、比表面積≦10m2/g、嵩比重
0.60〜0.80、真比重1.37〜1.39、形状は略球状)を用
い、上記のカーボン粒子の体積分率(1%、 1.3%、
1.5%、2%、3%、5%、 7.5%、10%)とし、他の
製造方法は、前記実施例1と同様にして、図1に示すよ
うな成形品1をそれぞれ得た。
【0040】なお、上記のMC系のカーボン粒子は、カ
ーボン粒子の表面にカーボンブラック微粒子をコーティ
ングして表面に凹凸を備えており、比表面積(m2/g)
が、≦10というように前記のPC系より5〜10倍大きい
ものである。
【0041】上記のようにカーボン粒子の体積分率の異
なる各構成について抵抗率−温度特性を前記実施例1と
同様にそれぞれ調べたところ、図示しないが、上記各構
成では、温度上昇に伴う急峻な抵抗値上昇は見られない
が、室温から 500℃に至るまでの広い温度範囲の温度上
昇において、ほぼ一定の抵抗値上昇率をそれぞれ示し
た。これにより、上記各構成は、広い温度範囲、特に高
温度領域での温度補償用等に好適に用いることができ
る。
【0042】次に、本発明のさらに他の実施例を、実施
例5として図1にもとづいて説明する。 〔実施例5〕前記の実施例1において用いた各カーボン
体積分率に代えて、カーボン体積分率を15%とし、成形
圧(トン/cm2)を 0.5、1、 1.5、2をそれぞれ用い、
他は上記実施例1と同様にして、図1(a)に示すよう
に、成形品1をそれぞれ作成した。
【0043】このような各成形品1について抵抗率−温
度特性を前記実施例1と同様にそれぞれ調べたところ、
上記各成形品1はPTC特性をそれぞれ示した。その
上、2トン/cm2の成形圧で成形された成形品1では、温
度上昇に伴い緩慢な抵抗値の上昇が観察され、一方、
0.5トン/cm2の成形圧で成形された成形品1では、温度
上昇に伴い、七桁の急峻な抵抗値の上昇が観察された。
このことから、上記各構成は、成形圧を制御することに
より、PTC特性を調整できることが示された。
【0044】このように前記各実施例の構成は、塩化ナ
トリウム粒子2とカーボン粒子3とを混合して加圧成形
してなるから、図1(a)に示すように、塩化ナトリウ
ム粒子2間に導電性のカーボン粒子3を介在させ、各カ
ーボン粒子3…を相互に隣接させることができて導電性
を備えることが可能である。
【0045】一方、上記各構成は、温度の上昇に伴っ
て、図1(b)に示すように、塩化ナトリウム粒子2が
膨張して塩化ナトリウム粒子2間におけるカーボン粒子
3の不在区間が増加したり、塩化ナトリウム粒子2間の
カーボン粒子3の厚さが減少したりすることにより、抵
抗率が上昇して、温度上昇に伴って抵抗率が上昇するP
TC特性を備えることが可能となる。
【0046】このとき、カーボン粒子3の熱膨張率が、
前述したように、塩化ナトリウム粒子2の熱膨張率に対
して、約1/8であるので、塩化ナトリウム粒子2の膨
張を阻害することがなく、また、カーボン粒子3が柔ら
かく、容易に弾性的に変形可能であるから、上記のよう
に塩化ナトリウム粒子2間におけるカーボン粒子3の不
在区間が増加したり、塩化ナトリウム粒子2間のカーボ
ン粒子3の厚さが減少したりできるのである。
【0047】その上、上記各構成は、塩化ナトリウムの
融点が、従来の有機高分子の溶融点もしくは軟化点より
高いから耐熱性を高めることができ、さらに、従来のセ
ラミックスPTCサーミスタにおける半導体化剤粒子の
ような微量( 0.5モル%以下)な配合量と異なり、PT
C特性を制御するカーボン粒子3を4〜30(V/V)%と多
く配合できるから、秤量誤差等によるPTC特性の制御
不良を改善できる。
【0048】また、上記各構成は、カーボン粒子3の配
合量の使用範囲が、セラミックスPTCサーミスタと比
べて広く、広い範囲の抵抗値を実現できて、室温抵抗値
を低く設定することもできるから、従来のセラミックス
PTCサーミスタに比べて電源電圧等の適用範囲を広げ
ることが可能である。
【0049】一方、上記各構成は、混合して加圧成形す
ればよいから、従来のセラミックスPTCサーミスタに
おける焼成工程を省くことができて、製造時間の短縮化
を図ることが可能である。なお、上記の構成は、吸湿に
より電気絶縁性が変化することがあるから、使用時に防
水コート等の防水処理を施す方が好ましい。
【0050】なお、上記各実施例では、湿式混合の際の
溶媒として、2−プロパノールを用いた例を挙げたが、
混合時の温度で揮発性が低くなるように沸点が高く、か
つ、混合し易いように粘度が高くなければ、特に上記に
限定されるものではなく、他のアルコール類、例えば1
−プロパノールやブタノールを用いることができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の正特性サーミス
タは、以上のように、イオン結晶からなる電気絶縁性粒
子と、この電気絶縁性粒子より熱膨張率が小さい導電性
粒子とを混合して加圧成形するに際して、体積分率で導
電性粒子を1〜50%、電気絶縁性粒子を50〜99%
の割合で混合したことを特徴とする構成である。
【0052】それゆえ、上記構成は、温度の上昇に伴っ
て抵抗値が上昇するPTC特性を備えることができる。
その上、温度特性を制御する導電性粒子が、従来のセラ
ミックスPTCサーミスタにおける半導体化剤粒子のよ
うに微量な配合量と比べて多く配合できるから、秤量誤
差等による温度特性の制御不良を改善できるという効果
を奏する。
【0053】その上、上記構成は、イオン結晶からなる
電気絶縁性粒子と、この電気絶縁性粒子より熱膨張率の
小さい導電性粒子とを混合して用いることにより耐熱性
を従来の有機高分子より高めることができるから、適用
範囲を広げることができるという効果も奏する。
【0054】本発明の請求項2記載の正特性サーミスタ
は、請求項1記載の正特性サーミスタにおいて、上記電
気絶縁性粒子は塩化ナトリウム粒子であり、上記導電性
粒子はカーボン粒子である構成である。
【0055】それゆえ、上記構成は、上記請求項1記載
の発明の効果に加えて、電気絶縁性粒子に塩化ナトリウ
ム粒子を、導電性粒子にカーボン粒子を用いたから、そ
れらが容易に入手できて、迅速に正特性サーミスタを得
ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の正特性サーミスタの粒子構造を示す模
式断面図であって、(a)は室温時の模式断面図であ
り、(b)は温度上昇時の模式要部断面図である。
【図2】本発明の実施例1における正特性サーミスタに
用いたカーボン粒子の粒子構造を走査型電子顕微鏡を用
いて示す図面代用写真である。
【図3】本発明の実施例1における各正特性サーミスタ
の抵抗率−温度特性をそれぞれ示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2における一正特性サーミスタ
の粒子構造を走査型電子顕微鏡を用いて示す図面代用写
真である。
【図5】本発明の実施例2における各正特性サーミスタ
の抵抗率−温度特性をそれぞれ示すグラフである。
【図6】本発明の実施例3における一正特性サーミスタ
の粒子構造を走査型電子顕微鏡を用いて示す図面代用写
真である。
【図7】本発明の実施例3における他の正特性サーミス
タの粒子構造を走査型電子顕微鏡を用いて示す図面代用
写真である。
【図8】本発明の実施例4において用いたカーボン粒子
の粒子構造を走査型電子顕微鏡を用いて示す図面代用写
真である。
【図9】従来の正特性サーミスタの抵抗率−温度特性例
を示すグラフである。
【符号の説明】
2 電気絶縁性粒子(塩化ナトリウム粒子) 3 導電性粒子(カーボン粒子)
フロントページの続き (72)発明者 宮山 勝 神奈川県川崎市多摩区中野島6丁目29番 地 (72)発明者 尾原 佳信 奈良県奈良市大宮町4−273−1−512 (56)参考文献 特開 平3−132001(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン結晶からなる電気絶縁性粒子と、こ
    の電気絶縁性粒子より熱膨張率が小さい導電性粒子とを
    混合して加圧成形するに際して、体積分率で導電性粒子
    を1〜50%、電気絶縁性粒子を50〜99%の割合で
    混合したことを特徴とする正特性サーミスタ。
  2. 【請求項2】上記電気絶縁性粒子は塩化ナトリウム粒子
    であり、上記導電性粒子はカーボン粒子であることを特
    徴とする請求項1記載の正特性サーミスタ。
JP24581292A 1992-08-21 1992-08-21 正特性サーミスタ Expired - Fee Related JP3179879B2 (ja)

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