JP3178122B2 - 乳酸、ピルビン酸の測定方法 - Google Patents

乳酸、ピルビン酸の測定方法

Info

Publication number
JP3178122B2
JP3178122B2 JP29301592A JP29301592A JP3178122B2 JP 3178122 B2 JP3178122 B2 JP 3178122B2 JP 29301592 A JP29301592 A JP 29301592A JP 29301592 A JP29301592 A JP 29301592A JP 3178122 B2 JP3178122 B2 JP 3178122B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactic acid
sample
acid
ldh
measuring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29301592A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06133795A (ja
Inventor
幸枝 井上
隆造 林
直子 松矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP29301592A priority Critical patent/JP3178122B2/ja
Priority to US08/067,960 priority patent/US5510244A/en
Priority to DE4317958A priority patent/DE4317958C2/de
Priority to GB9311118A priority patent/GB2267343B/en
Publication of JPH06133795A publication Critical patent/JPH06133795A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3178122B2 publication Critical patent/JP3178122B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素反応を利用した迅
速かつ簡便な乳酸、ピルビン酸の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ピルビン酸は解糖系の中間代謝物で、乳
酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸をはじめ各種有機酸の出発
物質である。また解糖系のみならず、アミノ酸代謝や脂
肪酸代謝等でも重要な役割を果たしている。そのため体
液や血液中のピルビン酸濃度の測定、あるいは代謝系酵
素の活性測定の際の基質あるいは生成物としてピルビン
酸の定量価値は大きい。またアルコール発酵や乳酸発酵
等の発酵工程において発酵異常の際にピルビン酸が生成
する。
【0003】一方、乳酸は代謝系や乳酸発酵において、
ピルビン酸から乳酸脱水素酵素の作用で生成する。代謝
系においてはピルビン酸から生成する乳酸はL体のみで
あるが、乳酸発酵において、特に乳酸菌ではD体または
L体のみを生成するもの、D体とL体の混合物を生成す
るもの等が知られている。そのためL−乳酸、D−乳
酸、ピルビン酸を測定することは、発酵制御、コンタミ
ネーションの発見等に欠かせないものである。
【0004】従来、D−乳酸の測定は、D−乳酸脱水素
酵素(以下D−LDHと略す)と補酵素ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチド(以下NADと略す)をもちい
て、生成した還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド(以下NADHと略す)もしくはピルビン酸を吸光
光度法、蛍光強度法で測定していた。しかし、この測定
法では、D−LDHの性質より様々な問題があった。
【0005】第1に、反応効率が低いため、実用的なレ
ベルでは必要とする酵素量が多く、分析コストが高くな
る。用いる酵素量を減少させるためには、反応時間を長
くしたり、反応温度を調節するという手段が考えられる
が、さらに繁雑な操作や測定時間の延長等のマイナス要
因となっていた。第2点として、D−LDHの関与する
反応の平衡はNADHとピルビン酸からD−乳酸を生成
する方向に傾いているため、全てのD−乳酸が変化しつ
くす前に反応が停止してしまう。そのため生成したピル
ビン酸を、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
により消費する等の手段が必要であり、反応工程が複雑
化するとともに分析コストが上昇していた。
【0006】また、D−乳酸のみでなく、L−乳酸も測
定する場合には、D−乳酸と同様の測定をL−乳酸脱水
素酵素(以下L−LDHと略す)を用いて行い、その後
もう一回D−乳酸を分析する必要がある。そのため操作
は複雑となり、測定時間、コストが2倍になる。また、
ピルビン酸の測定方法には、このL−LDHとNADH
を用いる方法、あるいはピルビン酸酸化酵素を用いる方
法がある。L−LDHとNADHを用いる方法は、L−
乳酸の測定とは逆にNADHの減少量を吸光光度法によ
り測定するものである。しかし、D,L−乳酸とピルビ
ン酸の両方の値を求めるためには乳酸は別の測定法で測
定しなければならない。
【0007】このように乳酸脱水素酵素を用いる測定方
法では、その反応の一般的検出手段が反応により変化す
るNADもしくはNADHの紫外域における吸光度変化
であり、試料の濁りや着色物質の影響を受けやすいとい
う欠点があった。その他の方法としてピルビン酸酸化酵
素の反応を利用することもできる。この方法では補酵素
としてチアミンピロホスフェートとフラビンアデニンジ
ヌクレオチド、活性化因子としてマグネシウム、カルシ
ウム、コバルト、マンガン等の2価イオンを必要とす
る。そして無機リン酸と酸素よりアセチルリン酸、二酸
化炭素、過酸化水素を生成する。しかし、この酵素を用
いる方法は酵素の安定性が悪く、高価な補酵素を大量に
必要とするため実用的ではない。
【0008】一方、L−乳酸を測定する方法にはL−乳
酸酸化酵素(以下LODと略す)を用いる方法がある。
この方法ではL−乳酸と酸素より過酸化水素とピルビン
酸を生成する。この反応では補酵素は必要としない。こ
の反応で生成する過酸化水素の量を分光光度計で測定す
ればL−乳酸の測定ができるが、比色法は前述したよう
な問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】つまり、従来開示され
たL−乳酸とD−乳酸およびピルビン酸の測定方法で
は、充分実用的な測定方法とは言い難い。本発明は、酵
素反応して、L−乳酸、D−乳酸、ピルビン酸を短時間
で精度良く簡便に測定することができる測定方法を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)試料中のL−乳酸を測定する工程、 (b)試料中の乳酸をL−乳酸脱水素酵素、D−乳酸脱
水素酵素及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの
存在下でL−乳酸とD−乳酸の平衡状態とした後にL−
乳酸を測定し、このL−乳酸量よりL−乳酸とD−乳酸
の総量を求める工程、 を含む、L−およびD−乳酸を測定する測定方法であ
る。
【0011】 本発明は、においてL−乳酸を測定
する工程が、L−乳酸酸化酵素固定化体によりL−乳酸
を酸化し、増加または減少する電極活性物質を検出する
ことによるL−およびD−乳酸を測定する測定方法であ
る。
【0012】尚、上記の測定方法において、L−乳酸
脱水素酵素を水溶液ではなく、酵素固定化体として例え
ばカラムに充填して用いることもできる。ただし、L−
乳酸脱水素酵素を水溶液として利用する方が、測定装置
にL−乳酸酸化酵素固定化体のみを装着すれば良く、装
置の構成を単純化できる利点がある。
【0013】また、本発明は、(a)試料中のL−乳酸を測定する工程、 (b)試料中の乳酸をL−乳酸脱水素酵素、D−乳酸脱
水素酵素及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの
存在下でL−乳酸とD−乳酸の平衡状態とした後にL−
乳酸を測定し、このL−乳酸量よりL−乳酸とD−乳酸
の総量を求める工 程、 (c)試料中のピルビン酸を、L−乳酸脱水素酵素とニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド還元体の存在下で
L−乳酸へ変換し、変換により生じたL−乳酸と試料に
元来含まれていたL−乳酸との総量を測定する工程、を
含むL−乳酸、D−乳酸およびピルビン酸の測定方法で
ある。
【0014】
【作用】L−LDH、D−LDHの反応を次式に示す。
【0015】 L−LDH反応: L−乳酸+NAD→ピルビン酸+NADH D−LDH反応: D−乳酸+NAD→ピルビン酸+NADH
【0016】どちらの反応も可逆的であるが、どちらの
酵素も平衡は乳酸とNADが生成する方向に傾いてい
る。そのためL−LDHはNADHの存在下でピルビン
酸をほぼ100%L−乳酸に変換する。そして、L−L
DHはNADの存在下ではL−乳酸をほとんどピルビン
酸へ変換しない。D−LDHについても同様である。し
かし、本発明者等は乳酸にNADの存在下でL−LDH
とD−LDHを作用させると、D−乳酸とL−乳酸が略
1:1の平衡状態に達すること(ラセミ化)を見いだし
た。そのため、これらの反応とL−乳酸に特異的な検出
法を用いれば、試料のL−乳酸、D−乳酸、ピルビン酸
を測定することができる。
【0017】つまり、 (a)L−乳酸測定:試料をそのまま測定し、L−乳酸
の量を求める。 L−乳酸測定は、L−乳酸に選択的な方法で測定しなけ
ればならない。具体的にはLODを用いた測定法が利用
できる。 LODの反応を次式に示す。 L−乳酸+O2 →ピルビン酸+H22 この反応は、不可逆反応なのでピルビン酸が共存しても
測定値に影響は無い。また、D−乳酸、NAD、NAD
Hが共存していても影響されない。
【0018】LODを用いたL−乳酸の定量には、例え
ば減少した酸素または増加した過酸化水素等を検出すれ
ばよい。これには、酸素、過酸化水素の増減等を電極に
よって電流値に変換して測定する電気化学的測定法が分
光光度計を用いる測定と比較して試料の濁りや、着色物
質を含んでいても影響されず、操作が簡単であり好まし
い。LODによりL−乳酸を定量する際にLODと直接
電子移動を行えるフェリシアン化カリウム、ベンゾキノ
ン等のメディエーターを共存させ、このメディエーター
の酸化還元を測定することにより実施することもでき
る。
【0019】(c)D−乳酸測定:試料をL−LDHと
D−LDHとNADのもとで反応させ、略ラセミ化させ
た後L−乳酸を測定する。ラセミ化させた後のL−乳酸
量より試料中に含まれていた全乳酸量を求めることがで
きる。これからL−乳酸の値を差し引くとD−乳酸の値
が得られる。 (c)におけるラセミ化反応は、L−LDHとD−LD
Hの活性比にかかわらず広い範囲で可能である。D−L
DHに対するL−LDHの比率は、活性で表した場合略
1/10から略20倍まで用いることができるが、1/
2〜10倍の範囲が好ましく、より好ましくは1/2〜
5、更に好ましくは1〜5である。また、この反応の場
合NADは必要ではあるがリサイクルされるので、試料
の乳酸濃度の略1/20から略10倍まで用いることが
できる。1/10〜5倍の範囲が好ましく、より好まし
くは1/5〜4倍である。
【0020】ただしL−LDH、D−LDHの酵素活性
は、ピルビン酸から乳酸を生成する方向の活性で表され
る。これに対しLODの酵素活性はL−乳酸から過酸化
水素を生成する場合の活性である。上記反応でL−乳酸
とD−乳酸の比率は一定の値(略1:1)の平衡状態に
なるため、平衡状態になった後にL−乳酸の定量を行え
ば、全乳酸量が分かるのである。
【0021】尚、ラセミ化反応はL−LDHとD−LD
Hを架橋剤等で固定化して行うこともできる。ただし、
LDHの固定化体の反応速度は比較的遅いため、充分な
感度を得るためには固定化体と試料の接触時間を長くす
る必要がある。このことは1試料あたりの分析時間が長
くなることを意味し、大量の検体を一括処理するにはL
DHの水溶液を用いる方が便利である。
【0022】L−LDHの起源については、ウシ、ブ
タ、ウサギ、ニワトリ等の内臓や筋肉由来の各種の酵素
を用いることができる。またD−LDHの起源について
は、乳酸菌、細菌等の微生物由来の各種の酵素を用いる
ことができる。
【0023】(b)ピルビン酸測定:試料をL−LDH
とNADHのもとで反応させ、ピルビン酸をL−乳酸に
変換後、L−乳酸を測定する。測定値は試料中に存在し
ていたL−乳酸とピルビン酸より生成したL−乳酸を足
しあわせた量に相当するので、これから試料中に存在し
ていたL−乳酸の値を差し引いた値からピルビン酸量が
得られる。
【0024】ピルビン酸よりL−乳酸を生成させるL−
LDH反応においては(c)のラセミ化反応より反応が
進行し易いので、(c)のラセミ化反応で使用するL−
LDHの活性に比べ1/10程度の酵素量で充分であ
る。このL−LDH反応において生成するL−乳酸と同
モル量のNADHが消費されるので、試料中のピルビン
酸より多く、好ましくは2倍モル以上のNADHを使用
する。
【0025】本発明ではLODは固定化して使用する。
何故なら溶液で使用すると下記のような問題がある。第
1に溶液状態のLODとL−LDH、D−LDHとNA
Dを共存させるとL−乳酸のみがLODで消費されるの
で減少し、ラセミ化反応が起こり、D−乳酸がどんどん
L−乳酸へと変化する。そして最終的には全乳酸が過酸
化水素とピルビン酸になる。第2にLODとL−LDH
とNADHとを共存させると、L−乳酸より生成したピ
ルビン酸がNADHと反応しL−乳酸を生じるリサイク
ル反応が起こる。そしてNADHが無くなるまで過酸化
水素とピルビン酸を生成する。そしてこのような場合に
は正確なL−乳酸の測定が出来なくなる。そのため、あ
らかじめLDHを含む反応液のpHを変化させたり、加
熱したりして酵素を失活させねばならず煩雑な操作を伴
うため実用的でない。
【0026】このような問題は固定化体でも理論的には
予想される。しかし、LODの反応速度はL−LDH、
D−LDHに比べ速いので、固定化体を用いた場合であ
れば上記のようなリサイクル反応が影響しない時間で、
反応終了液とLOD固定化体を接触させることができ測
定が可能となる。この理由は試料に含まれるL−LD
H、D−LDHは緩衝液により希釈されてLOD固定化
体に接触するため、L−LDH、D−LDHの反応は無
視し得るためである。
【0027】LODの起源についてはペディオコッカス
由来の酵素が知られているが他の起源の酵素も用いるこ
とができる。LODの固定化方法は、特に限定されず吸
着法、化学結合法、包括法等の公知の方法が利用でき
る。固定化にもちいる担体にはケイソウ土、焼成したケ
イソウ土、シリカゲル、ガラスビーズ、アルミナ、セラ
ミック、カーボン、活性炭、モレキュラーシーブ、シリ
コンゴム、セルロース、アガロース、アミノ酸系ポリマ
ー等が使用できる。固定化酵素の形態は、例えば電極表
面に膜状に固定化する方法、担体に固定化しカラム等に
充填する方法等が考えられる。
【0028】消費された酸素を測定する酸素電極は、ガ
ルバニ型、クラーク型等各種公知のものを利用できる。
生成する過酸化水素を測定する過酸化水素電極として
は、アノード基体に炭素、白金、ニッケル、パラジウム
等を用い、カソード側に銀等を用いた公知のものを利用
できる。一般にアノードとしては、過電圧が低く高感度
が得られるという理由から白金を用いることが多い。そ
して電極表面にポリシロキサン、アクリル樹脂、蛋白
膜、アセチルセルロース膜等の選択透過膜を有している
形式が妨害物除去の観点から望ましい。
【0029】作用極と対極からなる2電極の過酸化水素
電極、酸素電極を形成してもよいが、安定性、精度の点
から作用極、対極と参照極からなる3電極のものがより
好ましい。
【0030】本発明ではこのようにして固定化したLO
Dと電極を用いてピルビン酸、L−乳酸、D−乳酸の測
定を行うことができる。具体的には(a)先ず、L−乳
酸またはL−乳酸の比率が明確な乳酸の標準液を用いて
検量線を作成する。得られたL−乳酸の検量線より試料
のL−乳酸濃度を求める。(c)次にL−LDH、D−
LDHとNADによるラセミ化反応を行い、反応液のL
−乳酸濃度より全乳酸量を求める。そして全乳酸量から
(a)で求めた試料中に元来存在していたL−乳酸量を
差し引いてD−乳酸量を求める。この際、例えば試料と
酵素試薬を1:1で混合した場合はラセミ化反応後の測
定値を2倍してL−乳酸量を出すことになる。更に、反
応液中の乳酸はD−乳酸:L−乳酸=1:1の平衡状態
になっているので全乳酸濃度はその2倍となる。従って
この場合はラセミ化反応後のL−乳酸測定値を4倍すれ
ば全乳酸量を求めることができる。
【0031】本発明における乳酸、ピルビン酸はそれぞ
れの遊離の酸およびその塩を示すが、標準液もまた遊離
の酸でも塩でも良い。なかでもリチウム塩は吸湿性等の
点から扱い易い。本発明の方法ではL−乳酸、D−乳
酸、ピルビン酸の3種を測定するにあたり、用意する標
準液はL−乳酸の標準液のみで良いので調製や測定に要
する時間が短縮できる。一般に有機酸は不安定であり溶
液での長期保存は難しい。また高純度の試薬は高価であ
り、特にD−乳酸リチウムは非常に高価である。またピ
ルビン酸リチウムは溶解し難く扱いにくい。本発明で
は、L−乳酸リチウムの標準液のみを使用すれば良いの
で操作が簡単でコスト的にも有利である。もちろん、各
々の標準液により検量線を作成しても良いが、1分子あ
たりの感度は同じになる。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の内容をさら
に詳細に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0033】実施例1 (1)LOD固定化カラムの製造方法 焼成した珪藻土よりなる耐火レンガ(30〜60メッシ
ュ)150mgをよく乾燥し、10%γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシランの無水トルエン溶液に1時間浸漬
した後、よくトルエンで洗浄し、乾燥する。こうしてア
ミノシラン化処理した担体を5%グルタルアルデヒドに
1時間浸漬した後、よく蒸留水で洗浄し、最後にpH
7.0、100mMのリン酸ナトリウム緩衝液で置き換
え、この緩衝液をできるだけ除いておく。このホルミル
化した耐火レンガに、pH7.0、100mMリン酸ナ
トリウム緩衝液にペディオコッカスのLOD50ユニッ
ト/mlの濃度で溶解した溶液200μlを接触させ、
0〜4℃で1日放置し固定化する。この酵素固定化担体
を内径3.5mm、長さ30mmのカラムに充填しLO
D固定化カラムとする。
【0034】(2)過酸化水素電極の製造方法 直径2mmの白金線の側面を熱収縮テフロンで被覆し、
その線の一端をやすりおよび1500番のエメリー紙で
平滑に仕上げる。この白金線を作用極、1cm角型白金
板を対極、飽和カロメル電極を参照極として、0.1M
硫酸中、+2.0Vで10分間の電解処理を行う。その
後白金線をよく水洗した後、40℃で10分間乾燥し、
10%γ−アミノプロピルトリエトキシシランの無水ト
ルエン溶液に1時間浸漬後、洗浄する。牛血清アルブミ
ン(シグマ社製、Fraction V)20mgを蒸
留水1mlに溶解し、その中にグルタルアルデヒドを
0.2%になるように加える。この混合液を手早く先に
用意した白金線上に5μlのせ、40℃で15分間乾燥
硬化させて、過酸化水素選択透過膜を白金線上に形成
し、これを過酸化水素電極とした。
【0035】また参照電極としてはAg/AgCl参照
電極を用い、対極には導電性の配管を用いた。
【0036】(3)測定装置 図1に示すフロー型測定装置によってL−乳酸の測定を
行う。緩衝液槽(1)より緩衝液をポンプ(2)により
送液し、サンプラ(3)により試料5μlを注入する。
注入された試料は30℃の恒温槽(4)中のLOD固定
化カラム(5)を通過し、L−乳酸より過酸化水素が生
成する。そして、過酸化水素電極(6)で電流値の変化
を検出する。電極での電流値の変化は検出器(7)によ
り検出される。さらに信号をパーソナルコンピュータ
(10)に送ることもできる。
【0037】緩衝液の組成は100mMリン酸ナトリウ
ム、50mM塩化カリウム、1mMアジ化ナトリウムを
含みpH7.0である。ポンプの流速は1.0ml/分
であった。
【0038】(4)L−乳酸、D−乳酸の測定 L−乳酸、D−乳酸、L−乳酸とD−乳酸の混合液につ
いて、試料をそのまま、D−LDH、L−LDHと
NADで反応させD−乳酸とL−乳酸の1:1の平衡状
態とした反応液の2点について測定した。ラセミ化反応
条件は、試料0.2mlにL−LDH50U/ml、D
−LDH20U/ml、NAD10mM、リン酸ナトリ
ウム200mMでpH7.5の試薬を0.2ml加え6
0分室温で放置した。標準液、試料を5μl注入し電流
値を得た。標準液には蒸留水をブランクに、1、2、5
mMのL−乳酸を用いた。標準液より検量線を求め、試
料の電流値をL−乳酸濃度(mM)として算出した。検
量線を検量線Aに示す。Xは試料中の乳酸濃度、Yは電
流値を示す。また結果を〔表1〕に示す。 検量線A L−乳酸検量線 Y=44.87X+0.5
【0039】
【表1】
【0040】〔表1〕のは試料中のL−乳酸を測定し
た結果であり、その電流値とL−乳酸測定値を示した。
はラセミ化反応後のL−乳酸による電流値とL−乳酸
測定値を示す。D−乳酸濃度の算出方法は、反応液のL
−乳酸濃度を(反応液は1:1で希釈されているので)
2倍し、さらにラセミ化後ではL−乳酸は全乳酸の1/
2であるので2倍して全乳酸量を求め、試料に元来含ま
れていたL−乳酸測定値を差し引いて求めた。
【0041】(5)L−乳酸、ピルビン酸の測定 L−乳酸、ピルビン酸、L−乳酸とピルビン酸の混合液
について、試料をそのまま、L−LDHとNADH
で反応させピルビン酸をL−乳酸に変換した後の2点に
ついて測定した。反応条件は、試料0.2mlにL−L
DH2U/ml、NADH10mM、リン酸ナトリウム
200mMでpH7.0の試薬を0.2ml加え30分
室温で放置した。標準液、試料を5μl注入し電流値を
得た。標準液には蒸留水をブランクに、1、2、5mM
のL−乳酸を用いた。標準液より検量線を求め、試料の
電流値をL−乳酸濃度(mM)として算出した。
【0042】検量線を検量線Bに示す。また結果を〔表
2〕に示す。 検量線B L−乳酸検量線 Y=41.21X+0.5
【0043】
【表2】
【0044】〔表2〕のは試料中のL−乳酸を測定し
た場合の電流値とL−乳酸測定値を示す。はピルビン
酸をL−乳酸に変換した後のL−乳酸測定値を示す。ピ
ルビン酸濃度の算出方法は、反応後のL−乳酸濃度を
(反応液は1:1で希釈されているので)2倍し、試料
のL−乳酸測定値を差し引いて求めた。検量線のYは電
流値(nA)、Xは試料中の乳酸濃度(mM)とする。
【0045】(4)と(5)のどちらも標準液の測定値
は理論どおりの値が得られ正確に測定できた。(4)と
(5)は測定日が異なるので若干検量線の勾配に差があ
るが、これは本質的な差ではない。
【0046】実施例2 (1)LOD固定化カラムの製造方法 実施例1と同様にLOD固定化カラムを作成した。 (2)過酸化水素電極の製造方法 実施例1と同様に過酸化水素電極を作成した。 (3)測定装置 実施例1と同様のL−乳酸測定装置を用いた。
【0047】(4)実試料の測定 市販の乳酸飲料7点について20〜40倍に希釈し実施
例1と同様に測定した。希釈液そのまま、希釈液
0.2mlにL−LDH50U/ml、D−LDH20
U/ml、NAD10mM、リン酸ナトリウム200m
MでpH7.5の試薬0.2ml、を加え60分室温で
放置後、及び希釈液0.2mlにL−LDH2U/m
l、NADH10mM、リン酸ナトリウム200mMで
pH7.0の試薬0.2mlを加え室温で30分放置し
た後にL−乳酸を測定した。標準液、試料を5μl注入
し電流値を得た。標準液には蒸留水をブランクに、1、
2、5mMのL−乳酸を用いた。標準液より検量線を求
め、試料の電流値をL−乳酸濃度(mM)として算出
し、試料中のL−乳酸、D−乳酸、ピルビン酸のそれぞ
れの濃度(%)を求め〔表3〕に示す。
【0048】
【表3】
【0049】 試料の明細 種類 製造販売 商品名 A 乳酸菌飲料 ヤクルト ヤクルト B 醗酵乳 ヤクルト ジョアプレーン C 醗酵乳 ヤクルト ジョアマンダリン D 乳酸菌飲料 サンライト マイサワー E ヨーグルト 雪印乳業 ヨグール F 醗酵乳 関西ルナ のむヨーグルト G ヨーグルト 明治乳業 ブルガリアヨーグルト また、この試料をそれぞれ遠心分離(20000rpm
20分)した後、FキットのD/L−乳酸測定系で測
定した値との相関は次のようになりよく一致した。
【0050】尚、Fキット(ベーリンガー・山之内社)
による測定は下記による。試料にNAD、グルタミン
酸、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼを加え
混和し、分光光度計により340nmの吸光度を測定
し、ブランクとした。さらに、D−LDHを加え混和
し、20分放置後吸光度を測定した。D−LDHによる
吸光度変化より試料中のD−乳酸濃度を算出した。
【0051】L−乳酸測定には、さらにこの反応液にL
−LDHを加え、混和し、20分放置後吸光度を測定し
た。L−LDHによる吸光度変化より、試料中のL−乳
酸濃度を算出した。
【0052】L−乳酸 Y=1.03X+0.01
(相関係数 0.999) D−乳酸 Y=1.02X−0.00 (相関係数
1.000) 式のYは本発明による測定結果、XはFキットによる測
定結果である。
【0053】本発明による方法では、濁りや着色物質の
影響を受けないので遠心分離等の前処理がいらない。ま
た使用する試薬の数が少なくピペット操作の回数が少な
いので操作が簡単である。また、L−乳酸とD−乳酸の
測定については、Fキット法ではD:Lの比が大きく異
なるときは測定に使用する試料の希釈率を変えねばなら
ないが、本発明の方法では、L−乳酸が測定できれば、
例えば全乳酸はその4倍濃度が同一感度で測定できるの
で未知試料の測定の際、やり直しが少なく精度良く測定
できる。
【0054】
【発明の効果】本発明の酵素反応を利用する測定方法を
用いることにより、L−乳酸とD−乳酸およびピルビン
酸の測定が短時間で正確に簡単にできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で用いたフロー型L−乳酸測定装
置の図である。
【符号の説明】
1 緩衝液槽 2 ポンプ 3 サンプラ 4 恒温槽 5 LOD固定化カラム 6 過酸化水素電極 7 検出器 8 シングルボードコンピュータ 9 RS232Cコード 10 パーソナルコンピュータ 11 サンプラ制御信号 12 送液ポンプ制御信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−239448(JP,A) 特開 平3−103224(JP,A) Analytica Chemica Acta,175(1985)p.301−304 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/00 - 1/66

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)試料中のL−乳酸を測定する工程、 (b)試料中の乳酸をL−乳酸脱水素酵素、D−乳酸脱
    水素酵素及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの
    存在下でL−乳酸とD−乳酸の平衡状態とした後にL−
    乳酸を測定し、このL−乳酸量よりL−乳酸とD−乳酸
    の総量を求める工程、 を含む、L−およびD−乳酸の測定方法。
  2. 【請求項2】L−乳酸を測定する工程が、L−乳酸酸化
    酵素固定化体によりL−乳酸を酸化し、増加または減少
    する電極活性物質を検出することによる請求項1記載の
    L−およびD−乳酸の測定方法。
  3. 【請求項3】(a)試料中のL−乳酸を測定する工程、 (b)試料中の乳酸をL−乳酸脱水素酵素、D−乳酸脱
    水素酵素及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの
    存在下でL−乳酸とD−乳酸の平衡状態とした後にL−
    乳酸を測定し、このL−乳酸量よりL−乳酸とD−乳酸
    の総量を求める工程、 (c)試料中のピルビン酸を、L−乳酸脱水素酵素とニ
    コチンアミドアデニンジヌクレオチド還元体の存在下で
    L−乳酸へ変換し、変換により生じたL−乳酸と試料に
    元来含まれていたL−乳酸との総量を測定する工程、 を含むL−乳酸、D−乳酸およびピルビン酸の測定方
    法。
JP29301592A 1992-01-30 1992-10-30 乳酸、ピルビン酸の測定方法 Expired - Fee Related JP3178122B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29301592A JP3178122B2 (ja) 1992-10-30 1992-10-30 乳酸、ピルビン酸の測定方法
US08/067,960 US5510244A (en) 1992-01-30 1993-05-27 Apparatus and method for assaying optical isomers
DE4317958A DE4317958C2 (de) 1992-05-29 1993-05-28 Vorrichtung und Verfahren zur Analyse von optischen Isomeren
GB9311118A GB2267343B (en) 1992-05-29 1993-05-28 An apparatus and method for assaying optical isomers

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29301592A JP3178122B2 (ja) 1992-10-30 1992-10-30 乳酸、ピルビン酸の測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06133795A JPH06133795A (ja) 1994-05-17
JP3178122B2 true JP3178122B2 (ja) 2001-06-18

Family

ID=17789379

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29301592A Expired - Fee Related JP3178122B2 (ja) 1992-01-30 1992-10-30 乳酸、ピルビン酸の測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3178122B2 (ja)

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Analytica Chemica Acta,175(1985)p.301−304

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06133795A (ja) 1994-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Nanjo et al. Enzyme electrode for L-amino acids and glucose
Wangsa et al. Fiber-optic biosensors based on the fluorometric detection of reduced nicotinamide adenine dinucleotide
Mizutani et al. Amperometric determination of pyruvate, phosphate and urea using enzyme electrodes based on pyruvate oxidase-containing poly (vinyl alcohol)/polyion complex-bilayer membrane
JP4721618B2 (ja) 酵素電極
Mizutani et al. L-Malate-sensing electrode based on malate dehydrogenase and NADH oxidase
US5306413A (en) Assay apparatus and assay method
Boujtita et al. Enzymatic electrode for the determination of L‐lactate
JP3178122B2 (ja) 乳酸、ピルビン酸の測定方法
US5510244A (en) Apparatus and method for assaying optical isomers
JP4702341B2 (ja) フェニルアラニンセンサ及びフェニルアラニン測定方法
Yao et al. Electroanalytical properties of aldehyde biosensors with a hybrid-membrane composed of an enzyme film and a redox Os-polymer film
JP3214156B2 (ja) 光学異性体の測定方法
JP3362509B2 (ja) マンニトール測定方法
JP3319008B2 (ja) 測定装置および測定方法
Yao et al. Highly sensitive detection of l‐lactate and pyruvate by amperometric flow‐injection analysis based on enzymatic substrate recycling and selective detection of hydrogen peroxide
Qi et al. Determination of lactate or oxalate using injected lactate oxidase and peroxidase by capillary electrophoresis with UV detection
Botrè et al. Determination of L-glutamate and L-glutamine in pharmaceutical formulations by amperometric L-glutamate oxidase based enzyme sensors
JP3104445B2 (ja) 乳酸の測定装置及び測定方法
JP3367162B2 (ja) 測定装置及びその活性化方法
JP3451720B2 (ja) ソルビトール測定方法
JP3156408B2 (ja) 酵素反応を利用した測定方法
JPH05196601A (ja) 新規な電気化学的測定法
Racek Lactate biosensor based on human erythrocytes
JP3275504B2 (ja) フロー型測定装置
JPH0739395A (ja) アンモニア測定方法及び測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090413

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090413

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100413

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120413

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees