JP3156408B2 - 酵素反応を利用した測定方法 - Google Patents

酵素反応を利用した測定方法

Info

Publication number
JP3156408B2
JP3156408B2 JP34731092A JP34731092A JP3156408B2 JP 3156408 B2 JP3156408 B2 JP 3156408B2 JP 34731092 A JP34731092 A JP 34731092A JP 34731092 A JP34731092 A JP 34731092A JP 3156408 B2 JP3156408 B2 JP 3156408B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yred
reaction
measuring
lactic acid
dehydrogenase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34731092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06229981A (ja
Inventor
幸枝 井上
直子 松矢
隆造 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP34731092A priority Critical patent/JP3156408B2/ja
Publication of JPH06229981A publication Critical patent/JPH06229981A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3156408B2 publication Critical patent/JP3156408B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素反応を利用した測
定方法に関し、特にグルタミン酸等各種の物質を測定す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素試薬を用いた測定法は、化学反応を
用いる検出法に比較して、酸、塩基や有機溶剤等の危険
な試薬を使用せず、加熱、抽出等の繁雑な反応操作を行
うことがなく、また廃液の処理等もほとんど考慮する必
要が無い等、安全で環境にもやさしい分析方法である。
また酵素は基質特異性が高く選択性に優れ、反応条件も
穏やかであるという利点がある。
【0003】そのため従来より酵素反応を利用した各種
の分析方法が知られている。例えば、基質と酸素より酸
化酵素の作用で基質酸化体と過酸化水素が生成する反応
を利用して減少した酸素や増加した過酸化水素を電極法
で検知する方法や、生成した過酸化水素を比色法で定量
する方法が一般的である。また、脱水素酵素を用いた測
定法では、基質に補酵素を添加し脱水素酵素の作用で基
質と補酵素間の酸化還元反応が起こるのを利用して増減
する補酵素を比色法で検出する方法が一般的である。こ
れらの方法のうち最終検出手段が比色法による場合は、
試料の濁り、着色が正確な測定を妨げたり、これらの除
去のため繁雑な前処理が必要となる等の問題があった。
【0004】また、酸化酵素を用いて電極で検出する測
定法は、濁りや着色物質による影響を受けないが、実用
に適する充分な活性を有する酸化酵素の種類が限定され
ているので、多様な測定要求に応えることができなかっ
た。脱水素酵素に関しては、例えば、アルコール脱水素
酵素はエタノールに比べメタノールにはあまり作用しな
いので、メタノールの混在する系でエタノールの測定す
る場合に用いられる。しかし、脱水素酵素の補酵素とし
て利用されるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(以下NADと略す)等を再現性よく電極法で測定する
ことは困難であり、単純に脱水素酵素を利用することは
できない。
【0005】また、L−グルタミン酸は食品のうまみ成
分として良く知られているアミノ酸であり、各種の食品
に添加されており、多くの測定対象のなかでも、L−グ
ルタミン酸に対する測定要求は高い。グルタミン酸の測
定は、アミノ酸分析計での測定や、ピログルタミン酸に
変換したのち有機溶媒で抽出し化学的に定量する方法
や、比色法等が多く用いられてきたが、前処理が面倒で
ある等の問題が残っている。
【0006】またL−グルタミン酸に作用する酸化酵素
としてL−グルタミン酸酸化酵素が知られている。この
酵素は、L−グルタミン酸と酸素より、α−ケトグルタ
ル酸とアンモニアと過酸化水素を生成する。この酸化酵
素と電極を組み合せるとL−グルタミン酸の測定が可能
となるはずである。しかし、L−グルタミン酸酸化酵素
の比活性は低く充分な感度を得ることは困難である。ま
た、基質濃度と生成する過酸化水素もしくは減少する酸
素の量に比例関係が成立する範囲が狭く、実試料の希釈
率が大きくなり、実用に適さないという問題もあった。
【0007】一方、L−乳酸はみそ、しょうゆ、乳製品
等の発酵工程により製造される食品に多く含まれており
グルタミン酸と同時に測定する必要性が高い。しかし、
従来はL−グルタミン酸とL−乳酸の測定は独立して行
われており、連続して簡便に測定する方法はなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の酸化
酵素のみを利用した電気化学的測定では充分な活性を有
する酵素の種類が少なく、測定対象が限られていた等、
上記の問題を解決し、様々な物質を測定出来る方法を提
供することを目的とする。また、多様な測定物質を精度
良く簡便に測定することができる方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の各構成
に要約することができるが、これらに限定されるもので
はない。
【0010】(1) a.基質還元体Xred を含み得る
試料、Xred と補酵素酸化体Coxより基質酸化体Xoxと
補酵素還元体Cred を生成する反応を触媒する第1の脱
水素酵素E1 、補酵素酸化体Cox、補酵素還元体Cred
と第2の基質酸化体Yoxより第2の基質還元体Yred と
Coxを生成する第2の脱水素酵素E2 、及び第2の基質
酸化体Yoxを含む反応系で、第2の基質還元体Yred を
生成させる工程、b.生成したYred を測定する工程、
を有する試料中のXred 量を求める測定方法。
【0011】(2) b.生成したYred を測定する工
程が、Yred を、Yred の酸化反応を触媒する酸化酵素
E3 の固定化体に接触させ、減少または増加する電極活
性物質の変化量を電気化学的に検出することによる
(1)記載の測定方法。
【0012】(3) 酸化酵素E3 の反応により減少ま
たは増加する物質が酸素または過酸化水素である(2)
の測定方法。
【0013】(4) c.更に試料中のYred 量を測定
する工程を有し、前記b.工程で求めたYred の測定値
を、c.工程で求めた試料中に元来存在していたYred
量で補正する(1)記載の測定方法。
【0014】(5) (1)において、Xred がL−グ
ルタミン酸であり、E1 がL−グルタミン酸脱水素酵素
であり、Coxがニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
酸化型であり、E2 がL−乳酸脱水素酵素であり、Yox
がピルビン酸であり、Yred がL−乳酸であるL−グル
タミン酸測定方法。
【0015】(6)(2)において、Yred がL−乳酸
であり、E3がL−乳酸酸化酵素であるL−グルタミン
酸測定方法。
【0016】
【作用】図2に本発明の酵素反応を示す。本発明のa.
工程では、第1の脱水素酵素E1反応と第2の脱水素酵
素E2反応を複合させて、試料中のXred量に対応した
量のYredを生成させるが、まず脱水素酵素E1が測定
対象物である基質還元体Xred を酸化する反応を説明す
る。一般的な脱水素酵素E1の反応式は以下のように示
される。ただし、基質還元体をXred 、補酵素酸化体を
Coxとし、基質酸化体をXox、補酵素還元体をCred と
する。 E1: Xred +Cox→Xox+Cred
【0017】この反応は可逆的であるが反応の平衡はほ
とんどの場合、Xred とCoxが生成する方向に偏ってい
る。そのため、E1 を単独で用いXred とCoxを作用さ
せても、ほとんどXred はXoxに変化しないので、生成
してきたXoxもしくはCredを別の物質に変換し平衡を
ずらして反応を進行させる必要がある。またこのXoxも
しくはCred の消費反応はE1 の反応と同時に行わなけ
れば効果が無いので、同様の条件で反応させることがで
きる酵素を使用した反応が考えられる。そして、本発明
ではE1 の反応に利用される補酵素Cを共有する第2の
脱水素酵素E2を利用することに特徴を有する。還元さ
れた補酵素Cred を再酸化する反応を組み合せて、補酵
素をリサイクルし、高価な補酵素の使用量を少量で反応
を行うことにより、分析コストを低減させることができ
る。
【0018】また、脱水素酵素であれば反応の平衡状態
が、ほとんどの場合基質還元体Yredと補酵素酸化体Co
xが生成する方向へ偏っているので使用することが出来
る。上記のE1の反応系に更に第2の脱水素酵素E2 と
第2の基質酸化体Yoxを添加し、下記E2の反応を複合
させる。 E2 : Cred +Yox→Cox+Yred 本発明ではXred と当mole以上のYoxを添加するもので
あり、1moleのXred より1moleのYred が生成させる
ことができる。次にb.工程として、生成したYred を
測定すれば、試料中のXred 量を求めることができる。
【0019】Yred の定量にはYred に特異的に作用す
る酸化酵素E3を使用する方法が好ましい。E3 の代表
的な反応は下記に例示されている。 E3: Yred +O2 →Zox+H2 2 この酸化酵素の例では酸素より過酸化水素を生成する一
方向の反応であり、Zoxが共存していても反応には影響
がなく、またNAD(P)、NAD(P)Hが共存して
いても影響がない。E1 及びE2の酵素はE3の反応を
阻害したり、E3 の反応によって阻害されないので失活
させる必要はない。E3反応の検出方法は電気化学的検
出等があるが、これについては後に記載する。
【0020】本発明において補酵素酸化体Coxが脱水素
酵素E1 で還元されCred になり、さらにE2 で酸化さ
れCoxに戻る。このため見かけ上はCoxは反応に関与し
ていないかのようであるが、電子伝達体としてリサイク
ルしている。したがって、本発明ではE1反応系にCox
を添加するが、たとえCox量が試料中のXred 量より少
ない場合でもXred を完全にYred に変換することがで
きる。測定を行う上でXredとYredの間の変換係数は必
ずしも100%である必要はなく、予め決められた係数
に従って計算ができる。つまり、100%反応が終了す
るまでに反応を停止させ、速度論的にXred濃度を求め
ることもできる。ただし、反応を完結させることにより
正確な反応時間の制御が不必要となるため実用的に好ま
しい。
【0021】このような反応条件を達成するためには、
反応系に加えるYoxの量は試料Xred 量より多くなくて
は、すべてのXred を酸化させることはできない。試料
がXred 以外にYred を含む場合は、工程c.として試
料中のYred 量をまず測定しておき、次に試料中のXre
d からYred への変換反応を行なった後のYred を測定
し、両者の差からYredの増加量を求めて、Xred の量
を求める必要がある。
【0022】脱水素酵素E1、E2の反応は同時に進行
させるが、酸化酵素E3の反応は別段階で行うのでYre
d の酸化により生成するZoxはYoxと同一であっても構
わない。また、Xred は反応系に補酵素酸化体Coxを添
加するので酸化酵素E3により生成するZoxとは反応し
ない。このためXred のリサイクルは起こらない。本発
明において測定できる基質還元体Xred と、測定に用い
る酵素の組み合わせの例を表1から表3に示す。
【0023】表1はCoxの存在下で脱水素酵素E1によ
り基質還元体Xred を酸化し、基質酸化体Xoxを生成す
る反応を例示したものである。
【0024】
【表1】
【0025】表2は生成したCredの存在下で第2の基
質酸化体であるYoxを添加し、第2の脱水素酵素E2を
作用させて、第2の基質還元体Yred を生成させるa.
工程を示す。またYred を酸化する酸化酵素E3を作用
させて、Zoxを生成させる反応の組み合わせを例示して
いる。このE3の反応を利用してYredの定量を行うこ
とが出来る(b.工程)。
【0026】
【表2】
【0027】さらに、本発明では、酵素E0により基質
還元体Xred を生成する物質を測定することもできる。
例えば測定物を酵素E0により基質還元体Xred に分解
する工程を行い、次にXredの定量を行えば、測定対象
物質を拡げることも出来る。
【0028】
【表3】
【0029】測定する物質は、脱水素酵素E1 およびE
2 の組み合せにより自由に変えることができる。表1に
示したようにE1として各種の脱水素酵素を使用するこ
とができる。
【0030】例えば、グルタミン酸脱水素酵素を使用し
たグルタミン酸の測定、グリセロール脱水素酵素を使用
したグリセロールの測定、L−乳酸脱水素酵素を使用し
たL−乳酸の測定、アルコール脱水素酵素を使用したア
ルコールの測定、グルコース脱水素酵素を使用したグル
コースの測定、D−乳酸脱水素酵素を使用したD−乳酸
の測定等を例示できる。
【0031】また、表2に示したようにE1の反応系に
ピルビン酸とL−乳酸脱水素酵素を添加し、生成したL
−乳酸をL−乳酸酸化酵素を用いて測定することができ
る。またE1の反応系にアセトアルデヒドとアルコール
脱水素酵素を添加し、生成したエタノールをアルコール
酸化酵素を用いて測定することができる。更にE1反応
系にD−グルコノ−δ−ラクトンとD−グルコース脱水
素酵素を添加し、生成したD−グルコースをD−グルコ
ース酸化酵素を用いて測定することが出来る。
【0032】尚、E1反応に組み合わせるE2反応は、
補酵素が一致するものを選ぶ。E2の要求する補酵素は
E1と共通していれば、NADでもNADP(ニコチン
アミドアデニンジヌクレオチドリン酸)でもよい。即
ち、試料に添加する補酵素がNADの場合、E2 とE1
はNAD応答性の脱水素酵素、補酵素がNADPの場合
はNADP応答性の脱水素酵素でなければならない。
【0033】次に、E2反応により生成したYred をE
3反応を利用して定量する工程を具体的に説明する
(b.工程)。勿論試料中に元来存在していたYredを
測定するc.工程も手法としては同じである。酸化酵素
E3の反応で生成した過酸化水素の定量は、例えば、パ
ーオキシダーゼと2,2’−アジノ−ジ(3−エチルベ
ンツチアゾリン)−6−スルホン酸または4−アミノア
ンチピリンをもちいた方法(トリンダー法)等により、
可視部の吸光度を測定することにより測定できる。可視
部の吸光度測定は補酵素の定量に使用する紫外部の吸光
度測定に比べ、濁りの影響を受けにくい。しかし、分光
光度計をもちいる測定は試料の濁りや、着色物質を含ん
でいる場合には正確な測定が困難であり、そのために前
処理を必要とする。
【0034】この方法に比較して、減少した酸素、また
は生成した過酸化水素を電極によって電流値に変換して
測定する電気化学的測定法は操作が簡単で濁りや着色物
質の影響を受けにくく優れた検出手段である。消費され
た酸素を測定する酸素電極は、ガルバニ型、クラーク型
等各種公知のものを利用できる。
【0035】生成する過酸化水素を測定する過酸化水素
電極としては、アノード基体に炭素、白金、ニッケル、
パラジウム等を用い、カソード側に銀等を用いた公知の
ものを利用できる。一般にアノードとしては、過電圧が
低く高感度が得られるという理由から白金を用いること
が多い。そして電極表面にポリシロキサン膜、アクリル
樹脂膜、蛋白膜、アセチルセルロース膜、アルブミン膜
等の選択透過膜を有している形式の電極が妨害物除去の
観点から望ましい。また、ジクロロインドフェノール、
フェリシアン化カリウム、ベンゾキゾン等の電子伝達
体、所謂メディエーター等を介在させた電極で測定する
ことも出来る。電極系は作用電極、対極より構成される
2電極の過酸化水素電極や酸素電極が利用できるが、安
定性、精度の点から作用電極、参照電極、対極より構成
される3電極のものがより望ましい。
【0036】尚、溶液状の酸化酵素E3を利用すること
もできるが、酸化酵素E3 を固定化して用いていると酵
素の繰り返し利用が可能となり、酵素の反応条件を規定
し易い等の利点がある。また、酸化酵素E3 固定化体
を、増減する酸素または過酸化水素等の変化量を検出す
る電極と組み合せて使用するとYred の検出を1段階で
短時間に行うことができ、好ましい。
【0037】酵素の固定化法は、特に限定されず、吸着
法、化学結合法、包括法等を用いることが出来る。中で
も強固な固定化体を作成できる化学結合法が望ましい。
固定化にもちいる担体にはケイソウ土、シリカゲル、ガ
ラスビーズ、アルミナ、セラミック、カーボン、活性
炭、モレキュラーシーブ、シリコンゴム、セルロース、
アガロース、アミノ酸系ポリマー等が使用できる。化学
結合法としては、担体表面にアミノシラン化試薬でアミ
ノ基を導入し、さらにグルタルアルデヒド等の多官能性
アルデヒドを用いてホルミル化を行った後、酵素を接触
させて固定化する方法が好適な例として挙げられる。固
定化酵素の形態は、担体に固定化しカラム等のリアクタ
ーに充填する方法が考えられる。
【0038】また、L−乳酸酸化酵素をグルタルアルデ
ヒド、ホルムアルデヒド、サクシニルアデヒド等の架橋
剤で固定した膜を電極に取りつけて使用することもでき
る。膜状に固定化する際にはアルブミン、グロブリン、
ゼラチン等の他のタンパク質を添加してL−乳酸酸化酵
素を架橋することもできる。測定に使用する緩衝液は酸
化酵素E3に適したpHで緩衝能があり、電極に電気化
学的な影響を及ぼさないものならよい。
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の内容をさら
に詳細に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0039】実施例1 試料としてL−グルタミン酸試料及びL−グルタミン酸
とL−乳酸の混合物試料を用い、それぞれの試料にNA
D、グルタミン酸脱水素酵素、L−乳酸脱水素酵素、ピ
ルビン酸を接触させ一定時間反応させた後に(a.工
程)、L−乳酸濃度を測定した(b.工程)。
【0040】L−乳酸酸化酵素固定化体を用い、L−乳
酸が酸化される際に生成した過酸化水素を白金電極で測
定する方法でL−乳酸濃度測定を行った。 (1)L−乳酸酸化酵素固定化カラムの製造 焼成したケイソウ土である耐火レンガ(30〜60メッ
シュ)150mgをよく乾燥し、10%γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシランの無水トルエン溶液に1時間浸
漬した後、よくトルエンで洗浄し、乾燥する。こうして
アミノシラン化処理した担体を5%グルタルアルデヒド
に1時間浸漬した後、よく蒸留水で洗浄し、最後にpH
7.0、100mMのリン酸ナトリウム緩衝液で置き換
え、この緩衝液をできるだけ除いておく。このホルミル
化した耐火レンガにpH7.0、100mMリン酸ナト
リウム緩衝液にL−乳酸酸化酵素(シグマ社製、ペディ
オコッカス由来)50ユニット/mlの濃度で溶解した
溶液200μlを接触させ、0〜4℃で1日放置し固定
化する。この酵素固定化担体を内径3.5mm、長さ3
0mmのアクリル製のカラムに充填しL−乳酸酸化酵素
固定化カラムとした。
【0041】(2)過酸化水素電極の製造 直径2mmの白金線の側面を熱収縮テフロンで被覆し、
その線の一端をやすりおよび1500番のエメリー紙で
平滑に仕上げる。この白金線を作用極、1cm角型白金
板を対極、飽和カロメル電極を参照極として、0.1M
硫酸中、+2.0Vで10分間の電解処理を行う。その
後白金線をよく水洗した後、40℃で10分間乾燥し、
10%γ−アミノプロピルトリエトキシシランの無水ト
ルエン溶液に1時間浸漬後、洗浄する。牛血清アルブミ
ン(シグマ社製、Fraction V)20mgを蒸
留水1mlに溶解し、その中にグルタルアルデヒドを
0.2%になるように加える。この混合液を手早く先に
用意した白金線上に5μlのせ、40℃で15分間乾燥
硬化して選択透過膜を形成し、これを過酸化水素電極と
した。また参照電極としてはAg/AgCl参照電極を
用い、対極には導電性の配管を用いた。
【0042】(3)L−乳酸測定装置 フロー型L−乳酸測定装置を図1に示す。緩衝液槽
(1)より緩衝液をポンプ(2)により送液し、サンプ
ラ(3)より試料5μlを注入する。試料中のL−乳酸
が、恒温槽(4)中のL−乳酸酸化酵素固定化カラム
(5)内に送液されると過酸化水素が生成し、過酸化水
素電極(6)により電流値の変化が捕らえられ検出器
(7)により検出される。さらに信号をパーソナルコン
ピュータ(10)に送ることもできる。緩衝液の組成は
100mMリン酸ナトリウム、50mM塩化カリウム、
1mMアジ化ナトリウムを含みpH7.0である。
【0043】(4)測定方法 L−グルタミン酸試料及びL−乳酸とL−グルタミン酸
の混合液試料について、〔A〕試料をそのまま(c.工
程)、及び〔B〕L−グルタミン酸の酸化が完了しピル
ビン酸が還元された状態の反応液の2点について上記の
L−乳酸測定装置を用いてL−乳酸濃度を測定した。
〔B〕の反応系では、濃度がNAD5mM、ピルビン酸
10mM、グルタミン酸脱水素酵素(ベーリンガー社
製、ウシ肝臓由来)100ユニット/ml、L−乳酸脱
水素酵素(ベーリンガー社製、ブタ筋肉由来)100ユ
ニット/ml、リン酸ナトリウムを含みpH7.5とし
た液を25℃の室温で、約10分間反応させた。
【0044】試料としては、L−グルタミン酸1m
M、L−グルタミン酸2mM、L−乳酸1mM、L
−グルタミン酸1mM、L−乳酸1mM、L−グルタ
ミン酸2mMを使用した。 (5)結果 それぞれの10分後のL−乳酸の生成量は表4のように
なった。
【0045】反応前〔A〕の測定結果は、各試料中のL
−乳酸測定値を示す(c.工程)。反応後〔B〕はL−
グルタミン酸の酸化が完了し、ピルビン酸が還元され生
成したL−乳酸と、反応前から試料中に存在していたL
−乳酸の総量値を示している(b.工程)。試料中のL
−グルタミン酸の量は、反応後のL−乳酸測定値から反
応前のL−乳酸測定値を差し引いて求めた。
【0046】
【表4】
【0047】実施例2 実施例1と同様のL−乳酸酸化酵素固定化カラムと過酸
化水素電極を有するL−乳酸測定装置を用いて食品試料
中のL−乳酸およびL−グルタミン酸を測定した。
【0048】(1)測定方法 漬物用調味料である試料(中埜酢店製:「朝づけさ
ん」しそ風味)、(中埜酢店製:「朝づけさん」生姜
風味)について、それぞれ250倍に希釈してL−乳酸
濃度測定した(c.工程)。更に試料、の250倍
希釈液を用い、反応系の濃度をNAD5mM、ピルビン
酸10mM、グルタミン酸脱水素酵素(ベーリンガー社
製、ウシ肝臓由来)20ユニット/ml、L−乳酸脱水
素酵素(ベーリンガー社製、ブタ筋肉由来)20ユニッ
ト/ml、リン酸ナトリウムを含みpH7.5とした液
を25℃で1時間反応させ(a.工程)、次にL−乳酸
濃度を測定した(b工程)。試料中のL−グルタミン酸
濃度、L−乳酸濃度は元の試料の重量に対する%(W/
W)で示した。 (2)結果 それぞれの試料のL−乳酸とL−グルタミン酸濃度は表
5のようになった。
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】本発明の酵素反応を用いることにより、
脱水素酵素E1の基質還元体Xredとなりうる物質を
簡便に、精度よく定量することが可能となった。また、
第2の基質還元体Yredも連続して測定することが出来
る。また、本発明により酸化酵素の基質特異性、Km値
(測定範囲)、耐熱性、比活性、pH等が実用的でない
測定対象物でも測定できる。例えば、L−グルタミン
酸、グリセロール等を容易に測定することができる。ま
た、L−グルタミン酸とL−乳酸の2成分を連続して簡
便に測定することが可能になり、食品中の代表的なアミ
ノ酸と有機酸を測定することができる。実施例に示した
ようにYredの測定装置だけを利用してXredとYredの
2成分の測定が出来る等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で使用したフロー方式のL−乳酸
測定装置を示す。
【図2】図2は本発明の酵素反応を示す。
【符号の説明】
1 緩衝液槽 2 ポンプ 3 サンプラ 4 恒温槽 5 L−乳酸酸化酵素固定化カラム 6 過酸化水素電極 7 検出器 8 シングルボードコンピュータ 9 RS232Cコード 10 パーソナルコンピュータ 11 サンプラ制御信号 12 送液ポンプ制御信号 13 廃液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−35050(JP,A) 特開 昭60−12998(JP,A) 特開 昭55−13860(JP,A) 特開 昭57−120853(JP,A) 特開 昭56−35051(JP,A) 特開 平1−239448(JP,A) 特開 平4−121656(JP,A) 特開 昭60−119459(JP,A) 特開 平6−169798(JP,A) 特開 昭62−14799(JP,A) 特開 平1−174399(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 C12Q 1/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a.基質還元体Xred を含み得る試料、
    Xred と補酵素酸化体Coxより基質酸化体Xoxと補酵素
    還元体Cred を生成する反応を触媒する第1の脱水素酵
    素E1 、補酵素酸化体Cox、補酵素還元体Cred と第2
    の基質酸化体Yoxより第2の基質還元体Yred とCoxを
    生成する第2の脱水素酵素E2 、及び第2の基質酸化体
    Yoxを含む反応系で、第2の基質還元体Yred を生成さ
    せる工程、 b.生成したYred を測定する工程、を有する試料中の
    Xred 量を求める測定方法。
  2. 【請求項2】 b.生成したYred を測定する工程が、
    Yred を、Yred の酸化反応を触媒する酸化酵素E3 の
    固定化体に接触させ、減少または増加する電極活性物質
    の変化量を電気化学的に検出することによる請求項1記
    載の測定方法。
  3. 【請求項3】 酸化酵素E3 の反応により減少または増
    加する物質が酸素または過酸化水素である請求項2記載
    の測定方法。
  4. 【請求項4】 c.更に試料中のYred 量を測定する工
    程を有し、前記b.工程で求めたYred の測定値を、
    c.工程で求めた試料中に元来存在していたYred量で
    補正する請求項1記載の測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、Xred がL−グルタ
    ミン酸であり、E1 がL−グルタミン酸脱水素酵素であ
    り、Coxがニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化
    型であり、E2 がL−乳酸脱水素酵素であり、Yoxがピ
    ルビン酸であり、Yred がL−乳酸であるL−グルタミ
    ン酸測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項2において、Yred がL−乳酸で
    あり、E3がL−乳酸酸化酵素であるL−グルタミン酸
    測定方法。
JP34731092A 1992-12-25 1992-12-25 酵素反応を利用した測定方法 Expired - Fee Related JP3156408B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34731092A JP3156408B2 (ja) 1992-12-25 1992-12-25 酵素反応を利用した測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34731092A JP3156408B2 (ja) 1992-12-25 1992-12-25 酵素反応を利用した測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06229981A JPH06229981A (ja) 1994-08-19
JP3156408B2 true JP3156408B2 (ja) 2001-04-16

Family

ID=18389357

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34731092A Expired - Fee Related JP3156408B2 (ja) 1992-12-25 1992-12-25 酵素反応を利用した測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3156408B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06229981A (ja) 1994-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Scheller et al. Second generation biosensors
Nanjo et al. Amperometric determination of alcohols, aldehydes and carboxylic acids with an immobilized alcohol oxidase enzyme electrode
Mizutani et al. Amperometric determination of pyruvate, phosphate and urea using enzyme electrodes based on pyruvate oxidase-containing poly (vinyl alcohol)/polyion complex-bilayer membrane
Gülce et al. A new amperometric enzyme electrode for alcohol determination
Pei et al. Xanthine and hypoxanthine sensors based on xanthine oxidase immobilized on a CuPtCl6 chemically modified electrode and liquid chromatography electrochemical detection
KR100490762B1 (ko) 기질의 정량방법 및 바이오센서
Mizutani et al. L-Malate-sensing electrode based on malate dehydrogenase and NADH oxidase
Casero et al. Peroxidase enzyme electrodes as nitric oxide biosensors
US5306413A (en) Assay apparatus and assay method
Laurinavicius et al. Amperometric glyceride biosensor
Kitagawa et al. Alcohol sensor based on membrane-bound alcohol dehydrogenase
JP2009244013A (ja) 中性脂肪測定用バイオセンサ
Mieliauskiene et al. Amperometric determination of acetate with a tri-enzyme based sensor
Arai et al. Pyruvate sensor based on pyruvate oxidase immobilized in a poly (mercapto-p-benzoquinone) film
JP2005118014A (ja) 分析方法およびそれに用いる試薬
Yao et al. Electroanalytical properties of aldehyde biosensors with a hybrid-membrane composed of an enzyme film and a redox Os-polymer film
JP3156408B2 (ja) 酵素反応を利用した測定方法
JP4702341B2 (ja) フェニルアラニンセンサ及びフェニルアラニン測定方法
JP3362509B2 (ja) マンニトール測定方法
Yao et al. Highly sensitive determination of l‐lactate and pyruvate by liquid chromatography and amperometric detection with lactate oxidase‐lactate dehydrogenase coimmobilized reactor involving amplification by substrate recycling
JP3451720B2 (ja) ソルビトール測定方法
JP3319008B2 (ja) 測定装置および測定方法
Qi et al. Determination of lactate or oxalate using injected lactate oxidase and peroxidase by capillary electrophoresis with UV detection
JP3367162B2 (ja) 測定装置及びその活性化方法
JP3104445B2 (ja) 乳酸の測定装置及び測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090209

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090209

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100209

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees