JP3177968U - ナトリウム硫黄電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】単電池が破壊した場合にも火災発生に至ることのない安全性に優れたナトリウム硫黄電池モジュールを提供する。
【解決手段】単電池を直列接続したストリングを多数並列接続して構成されたブロックを、断熱容器の内部に複数ブロック収納し、各ブロック間を直列接続したナトリウム硫黄電池モジュールの、電流方向が逆方向となる隣接ブロック間に、短絡防止板を挿入する。短絡防止板はカーボンシートをマイカ板で挟んだ構造が好ましい。単電池から高温溶融物が流出しても、電位差の大きいブロック間で短絡することを防止できる。
【選択図】図2

Description

本考案は、単電池が破壊した場合にも火災発生に至ることのない安全性に優れたナトリウム硫黄電池モジュールに関するものである。
ナトリウム硫黄電池を用いた蓄電システムは、断熱容器の内部に多数の単電池を収納したナトリウム硫黄電池モジュールを、蓄電容量に応じて必要台数組み合わせて構成されている。その構造は、非特許文献1に詳細に開示されている。
ナトリウム硫黄電池モジュールは、図1に示すように、単電池を直列接続したストリング1を多数並列接続してブロック2を構成し、断熱容器3の内部に複数のブロック2を収納したものであり、各ブロック2,2間は図示のように直列接続されている。図1は4ブロックからなるナトリウム硫黄電池モジュールを示すが、8ブロックとするなどブロック数は任意である。
単電池は、一方に負極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には正極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナ固体電解質で隔離した構造であり、モジュール単位で300〜350℃に熱管理されている。このように高温条件下で作動する高温電池であるため、従来から様々な安全対策が講じられてきた。
しかし、その単電池が破壊されて高温の溶融物が断熱容器の内部に流出し、ブロック間にある砂層を越えて隣接するブロックに達し、そのブロック内の単電池との間で短絡し、短絡電流による発熱で多数の単電池が破壊され、モジュール全体に延焼する可能性が残っている。
NGKレビュー第60号(平成16年3月号)、10〜24頁、「NAS単電池及びモジュール電池の開発」
従って本考案の目的は上記した問題点を解決し、何らかの原因で単電池が破壊され、高温の溶融物が流出した場合にも、火災発生に至ることのない安全性に優れたナトリウム硫黄電池モジュールを提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本考案は、単電池を直列接続したストリングを多数並列接続して構成されたブロックを、断熱容器の内部に複数ブロック収納し、各ブロック間を直列接続したナトリウム硫黄電池モジュールであって、電流方向が逆方向となる隣接ブロック間に、短絡防止板を挿入したことを特徴とするものである。
なお請求項2のように、短絡防止板がカーボンシートをマイカ板で挟んだ耐熱構造のものであることが好ましい。
また請求項3のように、各ブロックの各ストリングが、ストリングの中央部及び端部に、短絡電流遮断用のヒューズを備えたものであることが好ましい。
本考案のナトリウム硫黄電池モジュールは、断熱容器内部の電流方向が逆方向となる隣接ブロック間に短絡防止板を挿入したものであるから、単電池が破壊された場合にも、高温の溶融物が電流方向が逆方向となる隣接ブロックに達することがない。なお、電流方向が同一方向の隣接ブロック間では電位差が小さいため仮に溶融物による短絡が発生しても火災発生の恐れはないが、電流方向が逆方向の隣接ブロック間では電位差が大きくなるので、短絡電流も大きくなって火災発生の可能性がある。本考案はこの可能性をなくしたものである。
請求項2のように、この短絡防止板としてカーボンシートをマイカ板で挟んだ耐熱構造を採用すれば、耐熱性、高温条件下における絶縁性、耐熱衝撃性を兼ね備えることができる。また大型の硫黄電池モジュールにも対応することができる。
請求項3のように、各ブロックの各ストリングが、ストリングの中央部及び端部に短絡電流遮断用のヒューズを備えたものとしておけば、溶融物による意図しない短絡経路が構成された場合にも、確実に短絡電流を遮断し、火災発生を防止することができる。
従来のナトリウム硫黄電池モジュールのブロック構成を示す回路図である。 実施形態のブロック構成を示す回路図である。 短絡ループの説明図である。 他の実施形態の説明図である。
以下に本考案の好ましい実施形態を示す。
図2は本考案の実施形態を示す回路図であり、ナトリウム硫黄の単電池を8個直列に接続してストリング11を構成し、このストリング11を多数(図2では8個であるが、個数は任意である)並列に接続してブロック12を構成し、大型の断熱容器13の内部に複数のブロック12を収納し、各ブロック12間を直列に接続してナトリウム硫黄電池モジュールとしたことは従来と同様である。
単電池は前述したように、一方に負極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には正極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナ固体電解質で隔離した構造であり、固体電解質であるベータアルミナ管の壁面をナトリウムイオンが移動することによって、充放電が行われる。
ブロック12は正極端子14側からブロック1、ブロック2、ブロック3、ブロック4、負極端子15の順で直列に接続されている。単電池の起電力は約2Vであるから、ブロック12の端子間電圧は約16Vであり、4つのブロックを直列接続したナトリウム硫黄電池モジュールの正極端子14と負極端子15との端子間電圧は約64Vとなる。
図2に示すように4つのブロック12を断熱容器13の内部に収納すると、ブロック1、ブロック2からなる右側部分では電流は図面の上向きに流れ、ブロック3、ブロック4からなる左側部分では電流は図面の下向きに流れることとなり、電流方向が逆方向となる。このため、仮にブロック1とブロック2との間が溶融物により電気的に接続されたとしても電位差がないため問題はないが、図2中にAで示すブロック2とブロック3との間が溶融物により電気的に接続されてループが形成されると、その間の電位差は32Vとなり、図2中にBで示すブロック1とブロック4との間が溶融物により電気的に接続されてループが形成されると、その間の電位差は64Vとなる。その様子を図3に示した。
そこで本考案では、電流方向が逆方向となる隣接ブロック間、すなわちブロック2,3間及びブロック1,4間に、短絡防止板16を挿入した。この短絡防止板16は軽量で電気絶縁性に優れ、ナトリウム硫黄電池の運転温度である300〜350℃において劣化したり亀裂を生じたりすることがなく、単電池が破壊された場合の急激な温度変化に耐えうる耐熱衝撃性があり、しかも大型の断熱容器13の内部を区画することができる長尺のものであること等の条件を満足する必要がある。
これらの条件を満たす絶縁材料としてマイカ板を挙げることができるが、マイカ板を単独で使用した場合には異常な高温となった場合の耐熱性に不安がある。そこで耐熱性に優れたカーボンシートの両面をマイカ板で挟んだ耐熱構造の短絡防止板16を用いることが好ましい。各層の厚みは、例えば両側のマイカ板が2mm、カーボンシートが2mmである。
このように電流方向が逆方向となる隣接ブロック間に、短絡防止板16を挿入した構造とすれば、仮に単電池が破壊されて高温の溶融物が流出したとしても、電位差の大きい隣接するブロック間でループが形成されることがなくなり、大きな短絡電流が流れ続けるおそれがない。このため他の単電池が損傷されることがなくなり、火災発生を防止することができる。
図2に示すように、4ブロックのナトリウム硫黄電池モジュールの場合には中央に1枚の短絡防止板16を挿入すればよいが、8ブロックの硫黄電池モジュールの場合には図4に示すように、電流方向の異なるブロック間に、3枚の短絡防止板16を挿入することとなる。
なお図2に示すように、本実施形態では、各ブロック12の各ストリング11の中央部及び一方の端部に、短絡電流遮断用のヒューズ17、18を設けた。この実施形態では負極に近い側の端部にヒューズ18を配置したが、正極側であっても差し支えない。
このように多数のヒューズ17を各ブロック12中に分散配置すれば、どの位置の単電池が破壊した場合にも、短絡電流を迅速に遮断することができるから、より確実に火災発生を防止することが可能となる。
以上に説明したように、本考案によれば、何らかの原因で単電池が破壊され、高温の溶融物が流出した場合にも、火災発生に至ることがない。
1 ストリング
2 ブロック
3 断熱容器
11 ストリング
12 ブロック
13 断熱容器
14 正極端子
15 負極端子
16 短絡防止板

Claims (3)

  1. 単電池を直列接続したストリングを多数並列接続して構成されたブロックを、断熱容器の内部に複数ブロック収納し、各ブロック間を直列接続したナトリウム硫黄電池モジュールであって、
    電流方向が逆方向となる隣接ブロック間に、短絡防止板を挿入したことを特徴とするナトリウム硫黄電池モジュール。
  2. 短絡防止板が、カーボンシートをマイカ板で挟んだ耐熱構造のものであることを特徴とする請求項1記載のナトリウム硫黄電池モジュール。
  3. 各ブロックの各ストリングが、ストリングの中央部及び端部に、短絡電流遮断用のヒューズを備えたものであることを特徴とする請求項1または2記載のナトリウム硫黄電池モジュール。
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