JP3177643U - 蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置 - Google Patents

蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置 Download PDF

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啓祐 板倉
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Abstract

【課題】消費エネルギーを削減できると共に分離効率性及び分離性能を向上し、かつ、設備をコンパクト化できる液体混合物の分離装置を提供する。
【解決手段】液体混合物を分離する蒸留手段100と、この蒸留手段の塔頂部から留出する混合蒸気を膜分離法により分離する膜分離手段200とからなる分離装置であって、蒸留手段は、充填物10を充填した蒸留塔1と、蒸留塔の塔頂に設けた分縮器2とを備え、膜分離手段は、蒸気分離処理室31及び処理室内に設けた分離膜32を有する分離膜モジュール3a…3dと、処理室内を加熱する加熱手段4とを備える。分縮器を通過して留出する混合蒸気を膜モジュールへ供給して処理室内で加熱し、膜分離する。
【選択図】図1

Description

本考案は、複数成分の液体混合物の分離装置に関する。さらに詳しくは、蒸留法により分離する蒸留手段と膜分離法により分離する膜分離手段を組み合わせた分離装置に関する。
液体混合物の成分を分離する代表的な一つの分離法として蒸留法がある。蒸留法は蒸留塔を用いて実施するものであるが、通常の蒸発法(蒸留操作)により共沸混合物や沸点が近接して比揮発度が小さい液体混合物を成分分離する場合、次のような問題を有している。
共沸混合物の蒸留においては分離濃度に限界がある。例えば、エタノールと水系混合液は、エタノール濃度89モル%(95.6重量%)に共沸点があるため、通常の蒸留法では95.6重量%を超えてエタノールの濃縮ができない。そのため、共沸混合物を蒸留する際には、例えば、混合物に他の成分をエントレーナとして添加して別の共沸混合物をつくり、エントレーナとともに蒸留する共沸蒸留法が採用されている。しかし、この方法は共沸蒸留塔及びエントレーナの再生塔等の増設が必要となり、設備が大型化すると共に消費エネルギーが大になる。
また、沸点が近接して比揮発度が小さい液体混合物を蒸留法により分離する際には、蒸留塔の理論段数を非常に多くする必要があるので、蒸留塔の高さが高くなり、設備が大型化し、消費エネルギーも大になる。
液体混合物の他の成分分離法として膜分離法がある。膜分離法は分離膜を用いて液体混合物の成分を分離するもので、例えばパーベーパレーション法(PV法)やベーパーパーミエーション法(VP法)などがある。PV法は、液体混合物を分離膜の片側(供給側=1次側)に接触させて、反対側(透過側=2次側)を減圧することにより、特定の液体(透過物質)を気化させて分離する膜分離法(浸透気化法)である。一方、VP法は、液体混合物を気化(蒸気化)して蒸気状態で供給して分離膜に接触させて、透過側(2次側)を減圧して特定の蒸気を透過(分離)する膜分離法(蒸気透過法)である。このような膜分離方法は、従来、簡単な方法では分離できなかった液体混合物、即ち、上述した共沸混合物や沸点が接近して比揮発度が小さい液体混合物を分離ないし濃縮する新しい方法として注目されている。なお、前記PV法においても、通常の場合、液体混合物を加熱し、この加熱した液体を分離膜に接触させて分離する方法を一般に採用する。
前記膜分離法により液体混合物を成分分離する場合、被分離物(液体又は気体)を可及的濃縮し、これを膜分離装置へ供給した方が、分離効率性を向上することができる。そこで、蒸留法と膜分離法を併用して分離する方法が試みられている。この併用法の一例として、液体混合物を蒸留塔で蒸留し、留出する混合蒸気を凝縮器で液化して回収した後、この回収した混合液を加熱して気化(蒸気化)し、この蒸気を膜分離装置へ供給して分離する方法が採用されている。この方法によれば、共沸混合物や沸点が近い液体混合物を高濃度に濃縮ないし分離することが可能になる。
しかし、上記併用法は、蒸留塔から留出する混合蒸気を液化して回収した後、この液体を再度加熱蒸気化して膜分離装置へ供給するものであるため、消費エネルギーが大になる問題を有している。
蒸留法と膜分離法を併用する他の分離方法として、共沸蒸留法と膜分離法を組み合わせ、共沸蒸留塔頂部からエントレーナを、また、共沸蒸留塔底部からエチル第三ブチルエーテルを集め、共沸蒸留塔の中段側面からエタノールに富んだ混合液を抜き取って膜分離装置に送り、膜分離法によりエタノールを分離する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1は共沸蒸留法を採用しているため、設備が大型化する等、上述した問題を有している。
特開平7−278035号公報
本考案は上記のような実情に鑑み、消費エネルギーを削減できると共に分離効率性及び分離性能を向上し、かつ、設備をコンパクトにできる液体混合物の分離装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本考案のうち1つの考案(第1の考案)は、液体混合物を分離する蒸留手段と、前記蒸留手段の塔頂部から留出する混合蒸気を膜分離法により分離する膜分離手段とからなる分離装置であって、
前記蒸留手段は、充填物を充填した蒸留塔と、前記蒸留塔の塔頂に設けた分縮器とを備え、
前記膜分離手段は、蒸気分離処理室及び前記処理室内に設けた分離膜を有する分離膜モジュールと、前記処理室内を加熱する加熱手段とを備え、
前記分縮器を通過して前記分留器の留出口から留出する混合蒸気を管路を介して前記膜モジュールへ導入して前記処理室内で加熱しながら膜分離するように構成したことを特徴とする。なお、本考案において「分縮器」は、一種のパーシャルコンデンサ(Partial
Condenser)のような作用(機能)を有する冷熱用の熱交換器を意味する用語として用いられている。
本考案のように構成すると、蒸留手段において、液体混合物の混合蒸気は充填物と接触しながら蒸留塔内を上昇する。この上昇過程において充填物との接触で熱交換され、沸点の高い成分は液化して充填物に付着し、沸点の低い成分は液化しないで、そのまま上昇し、分縮器へ導入される。このように、混合蒸気は蒸留塔内を上昇中、充填物と接触して熱交換され、高沸点の成分は塔内の途中で液化して流下して塔底部へ還流し、これにより、混合蒸気は蒸留塔内で成分分離処理(一次処理)される。
一方、蒸留塔内で液化しないで分縮器へ導入された蒸気(一次処理された混合蒸気)は、分縮器を通過中に冷熱で熱交換され、前記蒸気中における高沸点の成分は液化して蒸留塔内へ還流し、低沸点の成分は液化しないで気体(蒸気)状態を維持して分縮器を通過して器外へ留出し、膜分離手段へ供給される。このように、蒸留塔内で分離処理(一次処理)された混合蒸気は分縮器で再び細密に成分分離処理(二次処理)されるので、液体混合物は高濃度に濃縮された留出蒸気となる。
蒸留手段から供給される前記留出蒸気は、分離膜モジュールの蒸気分離処理室内へ導入され、この蒸気は加熱手段により前記処理室内で加熱されながら、膜分離法によって成分分離処理される。
本考案のうち、他の1つの考案(第2の考案)は、第1の考案の蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置において、前記分縮器の前記留出口の近傍に位置させて設け、前記留出口から留出する混合蒸気の温度を測定する温度センサと、一端を前記管路に接続して設けた分岐管路と、この分岐管路に介装して設けた開閉バルブとを備えていることを特徴とする。
本考案においては、前記膜分離手段は、前記膜モジュールを複数基備えた構成を採用することができる(第3の考案)。また、前記膜モジュールの分離膜は、ゼオライト膜で構成した分離膜を採用することができる(第4の考案)。
本考案によれば次のような効果を奏する。
(1)蒸留手段は充填物を充填した蒸留塔と、この塔の塔頂に設けた分縮器とを備えて構成されているので、蒸留手段により液体混合物を高濃度に濃縮することができると共に、設備をコンパクト化できる。
(2)蒸留手段の分縮器を通過して留出する留出蒸気を膜分離手段の分離膜モジュールへ供給して蒸気分離処理室内で加熱して膜分離するように構成したので、加熱に要する消費エネルギーを削減できると共に分離効率性及び分離性能を向上することができる。
(3)共沸混合物を共沸点以上の濃度に濃縮できると共に沸点が近接した液体混合物も高精度に濃縮することができる。
(4)第2の考案によれば、前記諸効果に加え、分離作業の効率性をさらに向上することが可能になる。
(5)第3の考案によれば、前記諸効果に加え、分離性能をさらに向上することができる。
(6)第4の考案によれば、前記諸効果に加え、耐熱性,耐溶剤性,耐酸性に優れた効果を奏する。
本考案の一実施の形態の分離装置の全体構成を示す系統図である。 分縮器の部分を拡大し、その構成を概略的に示す断面図である。 図1のA−A線拡大断面図である。 分離膜を拡大し、その構成を概略的に示す説明図である。 本考案の他の実施の形態の分離装置の要部の構成を概略的に示す説明図である。 本考案のさらに他の実施の形態の分離装置の要部の構成を概略的に示す説明図である。 本考案のさらに他の実施の形態の分離装置の要部示すものであって、同図(a)は分離膜モジュールの構成を概略的に示す説明図、同図(b)は同図(a)のB−B線拡大断面図である。 本考案の分離装置を実験用装置に適用した一例の構成を概略的に示す説明図である。
以下、図面を参照して本考案の実施の形態の一例を説明する。
図1〜図4は本考案の一実施の形態(実施の形態1)を示す。図1は分離装置の全体構成を概略的に示す説明図、図2は分縮器の部分を拡大し、その構成を概略的に示す断面図、図3は図1のA−A線拡大断面図、図4は分離膜を拡大し、その構成を概略的に示す説明図である。
上記図1〜図4において、本考案の分離装置は、液体混合物を分離する蒸留手段100と、蒸留手段100の塔頂部から留出する混合蒸気を膜分離法により分離する膜分離手段200とで構成されている。
蒸留手段100は、蒸留塔1と、この蒸留塔1の塔頂に設けた分縮器2とを備える。蒸留塔1の径や長さは適当に設定する。実施の形態1の蒸留塔1は円筒状に形成されているが、角筒状等に形成してもよい。
蒸留塔1内には充填物10が充填されて大きな気液接触面積が確保されている。充填物10は液体混合物の蒸気が流通可能であれば、特に限定されることなく、一般に使用されているものを任意に選択して採用できる。例えば、陶管,ガラス球,ステンレス線のコイルパックやシンングルターン,マクマホン,ヘリパック,スルザーパッキング等を挙げることができる。但し、上記に限定するものではなく、別に開発したもの等を使用できること勿論である。
分縮器2は蒸留塔1内で分離処理されて導入される混合蒸気を沸点差により再度分離処理するものである。実施の形態1の分縮器2は、図2の詳細に示すように、円筒状に形成され、側部に蒸気導入口21と留出口22を対向して設けた熱交換室20と、この室20内に配置して設けた熱交換用のコイル管23(パイプ製コイル)とを備える。
分縮器2の熱交換室20の大きさは蒸留塔1の大きさ等に対応して適当に決定する。実施の形態1の熱交換室20は両端(図1,図2において左右端)を閉塞した円筒状に形成されている。コイル管23の両端は気密性を保持させて熱交換室20外に突出させ、一端で熱交換用媒体(作動流体)の入口23aが、また、他端で出口23bが形成されている。熱交換用媒体は入口23aから供給され、コイル管23を循環させて出口23bから流出させる。分縮器2は前記導入口21を蒸留塔1の塔頂開口部10a(図2参照)と連通させ、気密性を保持して塔1の塔頂に連結して設けてある。
実施の形態1の蒸留手段100は、液体混合物81を貯留する貯槽11を備え、貯槽11は管路11aで蒸留塔1の中間部位と連結されている。管路11aにはポンプ12及びプレヒータ13が介装して配置され、貯槽11内の液体混合物は適当量宛づつ連続的又は間欠的にポンプ12で送給され、ヒータ13で加熱されて蒸留塔1内へ供給される。
蒸留塔1の塔底部側には循環管路14を備え、管路14に加熱部15(ボイラやヒータ等)が介装して設けてある。蒸留塔1内へ供給された液体混合物81は管路14を通り、加熱部15で加熱して蒸気化され、この蒸気化した混合蒸気は管路14を通して塔底部の適当な部位から塔1内へ連続的に導入される。
また、実施の形態1の蒸留手段100は、蒸留塔1の塔底に排出管16を備え、排出管16には開閉バルブ17が介装して設けてある。前記排出管16は所要時にバルブ17を開けて蒸留塔1内の液体を排出するために設けたものである。この場合において、前記バルブ17の開閉とポンプ12のON,OFFとを関連させて動作させるように構成してもよい。また、バルブ17の開閉は塔底の液体混合物の液レベルを感知してON,OFFさせるように構成することもできる。
熱交換用媒体としては、水道水や井戸水等の水(水温、例えば約5℃〜約35℃)、或いは所望温度(例えば約35℃〜約50℃)の湯等を採用することができる。前記媒体として水を使用する場合、水道水をそのまま使用してもよいが、クーリングタワーや冷却器等(図示せず)を装備し、水を循環して使用するように構成してもよい。前記媒体として湯を使用する場合は、例えば、媒体ライン中に加熱器(図示せず)を設置し、所望温度(例えば35℃〜50℃)に加熱した湯をコイル管に供給して循環させるように構成することができる。また、コイル管23の温度並びに室20内の雰囲気温度は、コイル管23内を流れる前記媒体の単位時間当たりの流量、コイル管の巻数、コイル径、管径、或いは供給圧力等により調整ないし変更することができる。
なお、実施の形態1では、上記したように分縮器2として、コイル型で構成した例を開示したが、シェルアンドチューブ型等の分縮器を採用することもできる。
膜分離手段200は、任意数(1又は複数)の分離膜モジュール、加熱手段4、真空ポンプ5及び濃縮蒸気凝縮器6等を備えている。実施の形態1は、第1〜第4の4基の分離膜モジュール3a…3dを並べて設けた例が開示されている。この場合、前記膜モジュールの数量は任意に増減可能である。
前記第1〜第4の各膜モジュール3a…3dは、蒸気分離処理室31と、この処理室31内に設けた分離膜32とを備えている。実施の形態1の前記処理室31は、一端(図1において下端)を閉塞すると共に他端(図1において上端)に透過蒸気室33(蒸気出口)を有する適当な径及び長さの円筒(管)状に形成されている。前記処理室31の径及び長さは分離膜の大きさ等(径及び長さ等)に応じて決定される。前記各処理室31は、一端側(図1において下端側)に蒸気入口34を、また、他端側(図1において上端側)に蒸気出口35を備えている。
前記第1の膜モジュール3aの前記処理室31の蒸気入口34は、管路36aにより分縮器2の留出口22と接続されている。前記第1と第2の膜モジュール3a,3b、第2と第3の膜モジュール3b,3c及び第3と第4の膜モジュール3c,3dの前記各処理室31は、前位側に位置する前記処理室31の蒸気出口35と後位側に位置する前記処理室31の蒸気入口34を管路36b,36c,36dにより、それぞれ接続されている。前記第4の膜モジュール36dの前記処理室31の蒸気出口35は、管路61により濃縮液回収タンク62と接続されている。前記濃縮蒸気凝縮器6は前記管路61に介装して設けてある。
実施の形態1では、前記管路36aの適当部に開閉バルブ26が介装して設けてある。また、前記管路36aの前記バルブ26と留出口22との間に位置させて、一端を前記管路36aに接続して設けた分岐管路27を有している。分岐管路27の他端は開口され、大気中に開放されている。前記分岐管路27には開閉バルブ28が介装して設けてある。
実施の形態1の第1〜第4の膜モジュール3a…3dは、前記各処理室31の底部(図1において下端)に、開閉バルブ37を有するドレーン38が設けてある。実施の形態1においては、分縮器2の留出口22と第1の膜モジュール3aの前記処理室31の蒸気入口34とを接続した管路36aに、この管路36aの外周面を被覆して設けたリボンヒータ39を備えている。また、前記管路36a内の留出口22の近傍に位置させて塔頂温度(留出口22部の温度)を測定する温度センサ24が設けてある。これにより、留出口22から留出する混合蒸気の温度は前記温度センサで測定することができる。前記センサ24は温度表示器等を有する制御部25と電気的に接続されている。前記管路36a…36dは、その外周面を断熱材等で被覆する等により断熱性を付与することが好ましい。なお、上記の場合において、前記リボンヒータ39に替え、前記管路36aを二重管で形成し、内側管と外側管との間隙部に熱媒体を循環させて内側管を加熱する構成等を採用することもできる。
前記分離膜32は、多孔質支持体の表面に分離膜を合成(成膜)して構成される。多孔質支持体としては、例えば、アルミナ,ジルコニア,チッ化ケイ素,炭化ケイ素等のセラミック、ステンレス,ニッケル,アルミニウム等の金属、ポリエチレン,ポリスルホン,ポリイミド等の有機高分子よりなる多孔質材料であって、その平均気孔径が0.05〜10μm程度、気孔率が10〜60%程度のものを用いることができる。分離膜は親水性膜と疎水性膜とに分類される。親水性膜としては、例えば、PVA(ポリビニールアルコール),キトサン,ゼオライト等が挙げられる。分離膜として使用されるゼオライトとしては、例えばA型,T型,X型,Y型等がある。また、疎水性膜としては、例えば、シリコン系等が挙げられる。本考案においては、前記例示したものから任意に選択して採用することができる。なお、前記材料は一例として挙げたもので、本考案の使用材料を限定するものではない。
実施の形態1の分離膜32は、図4に詳細に示すように、管状に形成した多孔質支持体32aの外表面にゼオライト膜32b(分離膜)を合成(成膜)し、一端を封止(図示せず)すると共に他端を開口32cした管状ゼオライト膜で構成されている。分離膜32は、開口端を透過蒸気室33(蒸気出口)と気密性を保持して接続し、前記各処理室31内にそれぞれ配設されている。これにより、処理室31内と蒸気出口33は分離膜により隔離した構成となっている。
多孔質支持体32aの寸法は特に限定しないが、例えば外径5〜100mm程度、肉厚0.2〜2mm程度、長さ100〜2000mm程度の範囲を挙げることができる。また、ゼオライト膜の膜厚としては、例えば10〜50μm程度の範囲を挙げることができる(但し、上記範囲内に限定するものではない)。
前記各膜モジュール3a…3dの各透過蒸気室33は、管路51により真空ポンプ5と接続されている。管路51中には透過蒸気凝縮器52及び透過液回収容器53が介装して設けてある。透過蒸気室33から排出される蒸気は凝縮器52で凝縮させて液化し、容器53に回収される。この場合、前記凝縮器52及び容器53は、両者を組み合わせたトラップで構成することもできる。
前記ポンプ5により各分離膜32内部及び透過蒸気室33を適当な真空度で減圧する。減圧する真空度は特に限定されないが、例えば、真空度13.0〜5000Pa、好ましくは130〜2600Pa(1〜20mmHg)程度を挙げることができる。
前記加熱手段4は、第1〜第4の膜モジュールの前記各蒸気分離処理室31内を所望温度に加熱するものである。実施の形態1の加熱手段4は、前記各処理室31に、処理室31の外周面との間に適当な空間部41(図3参照)を形成して包囲すると共に気密性を保持して設けた熱交換用の加熱室40を備える。各加熱室40は、一端側(図1において下端側)に熱媒(加熱媒体)入口42を、また、他端側(図1において上端側)に熱媒出口43を備えている。熱媒としては、例えば、油等を採用することができる。
第1の膜モジュール3aの加熱室40の熱媒入口42は、管路44により第4の膜モジュール3dの加熱室40の熱媒出口43と接続されている。第1と第2の膜モジュール3a,3b、第2と第3の膜モジュール3b,3cの前記各加熱室40は、前位側に位置する加熱室40の熱媒出口43と後位側に位置する加熱室40の熱媒入口42を管路45a,45b,45cにより、それぞれ接続されている。前記管路44中には、加熱部46(加熱釜やヒータ等)及び送給ポンプ47が介装して設けてある。これにより、熱媒は各加熱室40内(空間部41)を通って循環するように構成されている。
実施の形態1では、前記熱媒として油を採用している。但し、油に限定するものではない。熱媒の温度は、分離する液体混合物の種類等に応じて適当に決定するものであるが、例えば、80℃〜160℃程度、好ましくは100℃〜140℃程度の範囲を挙げることができる。
実施の形態1の分離装置は上記した構成を具備してなっている。次に分離する液体混合物81をエタノール水溶液として、その使用方法の一例及び作用効果等について説明する。蒸留塔1の開閉バルブ17、分岐管路27の開閉バルブ28、各膜モジュールの開閉バルブ37は閉じておく。プレヒータ13、リボンヒータ39、加熱部15,46、真空ポンプ5及び送給ポンプ47をONにする。また、分縮器2のコイル管23へ所望温度の冷媒(水道水等)を所望流量づつ連続的に供給して流通させる。この状態でポンプ12を稼動して貯槽11内のエタノール水溶液81を蒸留塔1内へ適当量供給する。所定量のエタノール水溶液を供給後、ポンプ12を停止する。貯槽から送られるエタノール水溶液はプレヒータ13で加熱されて蒸留塔内へ供給され、前記加熱により水溶液の一部は蒸気化し、この蒸気は塔1内を上昇するが、大部分の水溶液81aは塔底部に流下する。なお、管路36aの開閉バルブ26は開にする。
塔底部に流下した水溶液は管路14を通り、加熱部15で加熱されて蒸気化し、この蒸気(混合蒸気)は管路14を通じて蒸留塔1内へ順次供給され、充填物10と接触しながら塔1内を上昇する。この上昇過程において混合蒸気は充填物との接触で熱交換され、混合蒸気中、沸点の高い成分(水系成分)は液化して充填物に付着し、塔底部へ還流し、沸点の低い成分(エタノール系成分)は液化しないで、そのまま上昇し、分縮器2へ順次導入される。塔底部へ還流した液体は加熱部15で加熱されて再び蒸気化し、塔内へ供給され、塔内を上昇過程において上記と同様に気相と液相に分離される。
上記のように、混合蒸気は蒸留塔1内を上昇中、高沸点の成分は塔内の途中で液化して流下して塔底部へ還流し、これにより、混合蒸気は蒸留塔1内で成分分離処理(一次処理)される。
一方、蒸留塔内で液化しないで分縮器2の熱交換室20内へ導入された蒸気(一次処理された混合蒸気)は、コイル管23との接触で熱交換され、前記蒸気中における高沸点の成分(水系成分)は凝縮(液化)して蒸留塔1内へ還流し、低沸点の成分(エタノール系成分)は液化しないで気体(蒸気)状態を維持して上昇し、熱交換室20内を通過して留出口から室外へ留出し、管路36aを通って第1の膜モジュール3aの蒸気入口34から蒸気分離処理室31内へ供給される。
上記のように、蒸留塔1内で分離処理(一次処理)された混合蒸気は分縮器2で再び細密に成分分離処理(二次処理)されるので、液体混合物(エタノール水溶液)は高濃度に濃縮された留出蒸気となる。
分縮器2の留出口22から室外へ流出した留出蒸気は、リボンヒータ39で加温されながら管路36aを通って第1の膜モジュール3aの処理室31の蒸気入口34から室31内へ連続的に導入される。この導入された蒸気は加熱室40内の熱媒により加熱されると共に分離膜32(管状ゼオライト膜)の内部は適当な真空度で減圧されているので、処理室31内の混合蒸気中、主に親水性成分(主に水成分)が選択的に分離膜32(ゼオライト膜)の外側から内側へ透過する。
透過蒸気は分離膜32の内側を流れ、透過蒸気室33(蒸気出口)から排出され、管路51を通って真空ポンプで吸引され、透過蒸気凝縮器52により凝縮されて透過液回収容器53へ回収される。
上記のように第1の膜モジュール3aの処理室31内へ導入された混合蒸気は分離膜32によって脱水され、疎水性成分であるエタノールは分離膜を透過しないので、混合蒸気は濃縮される。前記のように濃縮された混合蒸気(一次濃縮蒸気)は処理室31の蒸気出口35から室外へ排出され、管路36bを通って第2の膜モジュール3bの処理室31の蒸気入口34から室31内へ導入される。そして、前記と同様に室31内において前記蒸気中の親水性成分が選択的に分離膜32を透過し、この透過蒸気は分離膜32内を流れ、管路51を通って前記容器53へ回収される。
上記のように第2の膜モジュール3bの処理室31内へ導入された混合蒸気は分離膜により脱水されて再度濃縮され、この濃縮された混合蒸気(二次濃縮蒸気)は、処理室31の蒸気出口35から室外へ排出され、管路36cを通って第3の膜モジュール3cの処理室31の蒸気入口34から室31内へ導入される。そして、前記と同様に室31内において分離膜32により脱水されて、更に濃縮され、透過蒸気は分離膜32内を流れ、管路51を通って前記容器53へ回収され、前記濃縮された混合蒸気(三次濃縮蒸気)は、処理室31の蒸気出口35から室外へ排出され、管路36dを通って第4の膜モジュール3dの処理室31の蒸気入口34から室31内へ導入される。
第4の膜モジュール3dの処理室31内へ導入された三次濃縮蒸気は、前記と同様に室31内において分離膜32により脱水されて、更に濃縮されて精製され、透過蒸気は管路51を通って前記容器53へ回収される。そして、前記濃縮、精製された蒸気(四次濃縮蒸気)は、処理室31の蒸気出口35から室外へ排出され、管路61を通り、濃縮蒸気凝縮器6で凝縮されて回収タンク62へ回収される。前記タンク62に回収された液体はエタノール水溶液の共沸濃度(95.6重量%)以上の濃度に濃縮・精製された溶液(エタノール)となり、例えば、バイオエタノールの製品とし、そのまま利用可能な製品が得られる。
一方、前記分離操作中において、分縮器2の上部に設けられている温度センサ24の測定温度(分縮器2の留出口22から留出する留出蒸気の温度)が所定温度以上、例えば約90℃になった時点で、加熱部15をOFFにすると共に管路36aのバルブ26を閉じ、分岐管27のバルブ28を開いて大気開放とする。そして、塔底部のバルブ17を開けて塔1内の水溶液(大部分は水)を塔外へ排出して回収する。混合蒸気中の水成分が多くなると蒸気の温度は蒸気中の水成分の混合割合に比例して高くなる。即ち、水溶液中のエタノール成分の配合比が少なくなると、これに伴って、蒸気中の水成分の配合比が多くなる。
そこで、前記温度が所定温度(例えば90℃程度)に達した時、上述したように、バルブ17を開けて塔1内の水溶液を排出し、排出した後、バルブ17を閉じる。そして、ポンプ12を稼動して貯槽11内のエタノール水溶液を蒸留塔1内へ適当量供給し、上記と同様に分離操作を再開する。前記塔底部から排出して回収した水溶液は、これを貯槽11へ戻す等、再利用してもよい。
前記第1〜第4の各膜モジュール3a…3dのドレーン38は、分離装置の運転休止時等、所要時にバルブ37を開けて各処理室31内に残溜している残溜液を排出するためのものであり、それ以外は閉じておく。前記排出した液体は再利用してもよい。
なお、貯槽11内のエタノール水溶液を適当量宛づつ連続的に蒸留塔1へ供給して分離操作するように構成することもできる。この構成を採用する場合には、例えば、ポンプ12のON,OFF操作機構及びバルブ17を電磁弁で構成し、上述した温度センサ24の測定温度に基づくバルブ17の開閉操作及びポンプ12のON,OFF(駆動、停止)操作を、制御部25で自動制御して行うように構成してもよい。
また、上述の実施の形態1では、液体混合物としてエタノール水溶液を成分分離する使用例について説明したが、液体混合物はこれに限定されるものではない。本考案の分離対象となる液体混合物としては、水とメタノール,プロパノールなどのアルコール類との液体混合物、水とアセトン,メチルエチルケトン等のケトン類との液体混合物、水と四塩化炭素,トリクロロエチレン等のハロゲン化炭水素などの有機液体との液体混合物等を例示することができる。但し、分離対象となる液体混合物は上記に限定するものではない。
さらにまた、実施の形態1では、分離膜モジュールを縦向きの姿勢で配置した例を開示したが、本考案においては、分離膜モジュールを横向き等の姿勢で配置する構成を採用できること勿論である。
図5は本考案の他の実施の形態(実施の形態2)の分離装置の要部の構成を概略的に示す説明図である。この実施の形態2及び以下に開示する各実施の形態の分離装置において、実施の形態1で既に説明した構成と共通する構成等には同一符号を付して説明を省略する。実施の形態2の分離装置は蒸留塔1の塔底部側の構成に特徴がある。
実施の形態2の分離装置の蒸留手段100は、蒸留塔1の塔底部側に、実施の形態1の排出管16に代え、循環管路70を備え、管路70にポンプ71が介装して設けてある。前記管路70の前記ポンプ71の上部側には、三方コック等の切換弁72を介して切換管路73が接続して設けてある。前記弁72は循環側に切り換えてあり、塔底部内の液体混合物(水溶液)をポンプ71により塔底部で循環させて混合させるように構成してある。そして、所要時、即ち、前記温度センサ24の測定温度が所定温度に達した時などに前記弁72を切換管路73側に切り換えて塔底部内の水溶液を塔外へ排出して回収するように構成してある。前記回収した水溶液は前記と同様に再利用してもよい。前記弁72の切り換え操作は手動又は自動制御により行われる。他の構成は実施の形態1と同様である。
実施の形態2の分離装置は上記のように構成され、実施の形態1の分離装置と同様に使用するものであり、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
図6は本考案のさらに他の実施の形態(実施の形態3)の分離装置の要部の構成を概略的に示す説明図である。実施の形態3の分離装置は分縮器2の蒸留塔1に対する取付け配置姿勢の構成に特徴がある。
実施の形態3の蒸留手段100の分縮器2は、円筒状に形成され、一端に蒸気導入口21aを設けると共に他端に留出口22aを設けた熱交換室20aと、この室20a内に配置して設けた熱交換用のコイル管23とを備えて構成されている。前記分縮器2は前記導入口21aを蒸留塔1の塔頂開口部10aと連通させ、気密性を保持して塔1の塔頂に連結して直列状に配置して設けてある。他の構成は実施の形態1と同様である。なお、蒸留塔1の塔底部側の構成については実施の形態2の構成を採用してもよい。
実施の形態3の分離装置は上記のように構成され、実施の形態1の分離装置と同様に使用するものであり、これにより、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
図7は本考案のさらに他の実施の形態(実施の形態4)の分離装置の要部を示すものであって、同図(a)は分離膜モジュールの構成を概略的に示す説明図、同図(b)は同図(a)のB−B線拡大断面図である。実施の形態4の分離装置は分離膜モジュールの構成に特徴がある。
実施の形態4の膜分離手段200の分離膜モジュール3Aは、蒸気分離処理室31Aと、この処理室31A内に設けた複数本(図示では4本)の分離膜32とを備えてなっている。前記処理室31Aは、一端(図7(a)において下端)を閉塞すると共に他端(図7(a)において上端)に透過蒸気室33(蒸気出口)を有する適当な径及び長さの円筒状に形成されている。
前記処理室31Aの径及び長さは室31A内に設ける分離膜32の本数等に応じて決定される。前記処理室31A内に設ける分離膜32の本数は任意に決定する。各分離膜32は、開口部を透過蒸気室33(蒸気出口)と気密性を保持して接続し、処理室31A内に配置して設けてある。これにより、処理室31A内と透過蒸気室33は各分離膜により隔離した構成となっている。
前記膜モジュール3Aは一基又は所望数の複数基設けられる。膜モジュールを一基設ける構成を採用する場合にあっては、処理室31Aの蒸気入口34を管路36aにより分縮器2の留出口22と接続すると共に処理室31Aの蒸気出口35を管路61により濃縮液回収タンク62と接続する。また、熱交換用の加熱室40の熱媒入口42と熱媒出口43を管路44により接続してセットされる。
膜モジュール3Aを複数基設ける構成を採用する場合には、任意の一基の膜モジュール3Aの処理室31Aの蒸気入口34を管路36aにより分縮器2の留出口22と接続する。その他の膜モジュール3Aは、実施の形態1と同様に、前位側に位置する処理室31Aの蒸気出口35と後位側に位置する処理室31Aの蒸気入口34を管路36b,36c,36dによりそれぞれ接続し、最後位に位置する処理室31Aの蒸気出口35を管路61により濃縮液回収タンク62と接続する。
また、前記蒸気入口34を前記留出口22と接続した膜モジュール3Aの加熱室40の熱媒入口42と最後位に位置する膜モジュール3Aの加熱室40の熱媒出口43を管路44により接続する。その他の膜モジュール3Aは、実施の形態1と同様に、前位側に位置する処理室31Aの加熱室40の熱媒出口43と後位側に位置する加熱室40の熱媒入口42を管路45a,45b,45cにより、それぞれ接続してセットされる。他の構成は実施の形態1と同様である。
なお、蒸留塔1の塔底部側の構成については実施の形態2の構成を採用してもよい。また、蒸留手段100の分縮器2については実施の形態3の構成の分縮器2を採用することもできる。
実施の形態4の分離装置は上記のように構成され、実施の形態1の分離装置と同様に使用するものであり、これにより、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。なお、実施の形態4の分離装置によれば、膜分離手段200による膜分離作用の効率性を一層向上する。
図8は本考案のさらに他の実施の形態(実施の形態5)の分離装置の全体構成を概略的に示す説明図である。実施の形態5は本考案の分離装置を実験用装置に適用した一例を示すものである。
実施の形態5の分離装置の蒸留手段100は、所望量の液体混合物81を収容して加熱蒸発させる所望容量の釜80を備える。釜80は底部側に循環管路82を備え、前記管路82にポンプ83及びパイプヒータ84が介装して設けてあり、釜80内の液体混合物81を所望温度に加熱して循環させるように構成してある。液体混合物81の加熱温度はヒータ84に印加する電圧により調整する。
前記釜80は、釜80内に挿入して設けた温度計85を備え、釜80内の液体混合物の温度を測定可能に構成してある。実施の形態5の蒸留塔1は塔底部が開口され、塔底部を釜80の上端口部80aに気密性を保持して着脱可能に連結して立設させるように構成してある。これにより、釜80内の液体混合物を加熱して蒸発させ、混合蒸気を塔1内へ供給して上昇させるように構成してある。
実施の形態5の蒸留塔1、分縮器2、釜80、膜モジュール3a…3dの蒸気分離処理室31、加熱手段4の熱交換用の加熱室40及び各管路等は耐熱ガラス等のガラス材で製造されている。他の構成は実施の形態1と同様である。なお、実施の形態5においては、一部の符号を省略してある。
実施の形態5の分離装置は上記のように構成され、釜80内の液体混合物81を加熱しながら循環させ、釜80内で蒸発させて成分分離するものである。これにより実施の形態1と同様の作用効果を発揮する。なお、実施の形態5において、前記釜80に代え、フラスコ等を採用し、マントルヒータその他の加熱器で加熱する等の構成に変更可能なこと勿論である。
なお、上記した各実施の形態の分離装置は一例として開示したもので、本考案は上記の実施の形態に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載の技術思想を越脱しない範囲内において任意に変更可能なものである。
次に本考案の実施の形態5の分離装置を用いて実施した実験例の一例について説明する。実験例はエタノール5重量%(wt%)水溶液を原料(液体混合物)とし、本考案と比較例とを比較して二種類の実験(実験例1と実験例2)について行った。実験例1は蒸留手段のみで実施、実験例2は蒸留手段と膜分離手段とを組み合わせて実施した。実験例1は蒸留手段と膜分離手段とを切り離し、留出口22に管路の一端を接続すると共に管路の他端に回収容器(いずれも図示せず)を接続し、留出口から留出する留出蒸気を前記管路に介装した凝縮器(図示せず)で凝縮して前記容器に回収し、この回収液を測定した。なお、前記管路には、留出口の近くに位置させて開閉コック(図示せず)が介装して設けてある。実験例2は、蒸留手段と膜分離手段とを組み合わせた本考案の実施の形態5の分離装置を用い、濃縮液回収タンク62に回収した回収液を測定した。
(実験例1)
まず、実験例1について説明する。
(実験装置…蒸留装置)
蒸留塔:外径70mmφ×高さ700mm。内部に充填物を充填。
分縮器:外径50mmφ×長さ150mm。
釜容量:10L。
(測定方法)
原料(エタノール5wt%水溶液)を釜に8000g(純分400g)収容し、パイプヒータの電圧を170Vに設定し、原料をポンプで循環しながら加熱して釜内で蒸発させ、全還流の状態とする。分縮器の熱交換用冷媒として水道水(20℃)を使用し、コイル管の入口を水道の蛇口に接続し、水道水の流量を適当に調整し、連続的に供給してコイル管を流通させる。
原料の加熱から所定時間(1時間)経過後、前記コックを開け、蒸留蒸気を留出口から流出させて回収し、この回収液の濃度(エタノール純度)及び回収率について測定し、その測定結果を表1に示す。比較例と本考案の相違点は、熱交換用媒体(水道水)の供給の有無のみである(比較例では水を供給しない)。なお、前記回収容器は測定時ごとに別の容器と交換し、前記測定は交換した容器内の回収液を用いて行った。
Figure 0003177643
表1の結果から、本考案によれば、エタノール純度は比較例に比べてはるかに高くなることが確認できた。エタノール回収率については、測定開始当初は比較例の方が高いが、後半から本考案の方が優勢となる。なお、表1には記載されていないが、処理時間60分の時点における本考案による全回収液の測定値は、エタノール純度86.0wt%、回収率95%であることを確認した。
(実験例2)
次に、実験例2について説明する。
(実験装置…膜分離装置)
分離膜モジュールの分離膜は、外径12mmφ、長さ400mmの管状ゼオライト膜(三井造船社製のゼオライト4A)を採用。熱媒は油を採用。蒸留装置は実験例1と同一である。
(測定方法)
真空ポンプによる真空度を3mmHg(400Pa)に調整し、熱媒の温度を105℃に調整した。原料の蒸留は実験例1と同一条件で実施し、留出口から留出する留出蒸気を第1の膜モジュールに供給し、処理室内で加熱して膜分離する。透過蒸気は透過液回収容器へ回収し、分離膜を透過しない蒸気(濃縮蒸気)を第4の膜モジュールの蒸気出口から排出させて濃縮液回収タンクへ回収する。この回収液の濃度(エタノール純度)及び回収率について測定し、その測定結果を表2に示す。比較例と本考案の相違点は、実験例1と同様に熱交換用媒体(水道水)の供給の有無のみである。塔頂温度(留出口の近くの留出蒸気の温度)についても測定(本考案のみ)した。
Figure 0003177643
表2の結果から明らかなとおり、本考案によれば、共沸濃度(95.6wt%)以上の濃度(99.5wt%)にまで精製されたエタノールが得られた。一方、比較例では、共沸濃度以上に達することはなかった。なお、エタノール回収率は、実験例1と同様に開始当初は比較例に比べて劣るが、後半から優勢となることも確認された。
上記のように本考案によれば、比較例に比べて分離性能及び分離効率性を大巾に向上することができた。この事実は予想し得ないことであった。
1 蒸留塔
2 分縮器
3a…3d 膜モジュール
4 加熱手段
10 充填物
31 蒸気分離処理室
32 分離膜
100 蒸留手段
200 膜分離手段

Claims (4)

  1. 液体混合物を分離する蒸留手段と、前記蒸留手段の塔頂部から留出する混合蒸気を膜分離法により分離する膜分離手段とからなる分離装置であって、
    前記蒸留手段は、充填物を充填した蒸留塔と、前記蒸留塔の塔頂に設けた分縮器とを備え、
    前記膜分離手段は、蒸気分離処理室及び前記処理室内に設けた分離膜を有する分離膜モジュールと、前記処理室内を加熱する加熱手段とを備え、
    前記分縮器を通過して前記分留器の留出口から留出する混合蒸気を管路を介して前記膜モジュールへ導入して前記処理室内で加熱しながら膜分離するように構成したことを特徴とする蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置。
  2. 請求項1に記載の蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置において、
    前記分縮器の前記留出口の近傍に位置させて設け、前記留出口から留出する混合蒸気の温度を測定する温度センサと、一端を前記管路に接続して設けた分岐管路と、この分岐管路に介装して設けた開閉バルブとを備えていることを特徴とする蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置。
  3. 前記膜分離手段は、前記膜モジュールを複数基備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置。
  4. 前記膜モジュールの前記分離膜がゼオライト膜で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸留と膜分離を組み合わせた分離装置。
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