JP3169751B2 - 熱機関の油浸入防止装置 - Google Patents

熱機関の油浸入防止装置

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JP3169751B2
JP3169751B2 JP20223393A JP20223393A JP3169751B2 JP 3169751 B2 JP3169751 B2 JP 3169751B2 JP 20223393 A JP20223393 A JP 20223393A JP 20223393 A JP20223393 A JP 20223393A JP 3169751 B2 JP3169751 B2 JP 3169751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、作動空間を無潤滑状
態に維持することを要求されるスターリング機関やヴィ
ルミエ機関のような熱駆動機関、無潤滑圧縮機などの熱
機関の油浸入防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図23は例えば特開平1−305156
号公報に示された従来の熱機関の一種であるスターリン
グエンジンの断面図であり、図において、1はクランク
ケース、2はクランクケース1に加工された穴にボルト
等締結部品で固定されたフランジ、3はフランジ2と同
様にクランクケース1に固定された軸受ハウジング、4
は軸受ハウジング3に固定されたフランジ、5は軸受ハ
ウジング3に固定された軸受、6はフランジ2に固定さ
れた軸受、7はクランク軸であり、このクランク軸7は
軸受5と軸受6で回転自在に保持されていてスターリン
グエンジンが発生した動力を外部に伝達する。8はクラ
ンク軸7を取り付けられたメカニカルシールであり、こ
のメカニカルシール8はクランクケース1内の高圧ガス
を封入する機能がある。9,10はクランク軸7の軸受
に固定されている回転釣り合いのためのバランスウエイ
ト、11,12はクランク軸7に軸受を介して連結され
ている動力ピストン用コンロッド、13はコンロッド1
1,12と連結されているクロスヘッドであり、このク
ロスヘッド13にはピストン用ロッド14を介して動力
ピストン15が連結されている。
【0003】また、クロスヘッド13はシリンダ16内
に往復摺動可能に嵌合されている。17はクロスヘッド
13と動力ピストン15の間の空間(以下、ディスタン
ス空間と呼ぶ)28に備えられた油吸収体であり、この
油吸収体17はクロスヘッド13側から飛散した油ミス
トを吸収して動力ピストン15側への飛散を防御する。
24はクロスヘッド13の上端部に設けられた油飛散防
止手段であり、この油飛散防止手段24はクロスヘッド
13の摺動面より飛散する油を抑制する効果がある。1
9はクランク軸7と軸受で回転自在に結合されているデ
ィスペレーサ用コンロッド、20はピストンピン、21
はディスプレーサロッド(ロッド部材)であり、ディス
プレーサロッド21はピストンピン20を接点としてデ
ィスプレーサ用コンロッド19と結合され、また、クロ
スヘッド13、動力ピストン15を貫通してディスプレ
ーサピストン22と固定されている。23はクランクケ
ース1の底部に溜まったスターリングエンジンの運動部
分を潤滑する潤滑油、29はクランクケース1内部のバ
ッファ空間である。
【0004】図24は図23の油飛散防止手段24の構
成例を示す。図24において、30はクロスヘッド13
に固定されて、多孔質体からなる油飛散防止板、31は
クロスヘッド13上部に設けられ、かつシリンダ16内
壁に接触して摺動し、油飛散防止板30とクロスヘッド
13に挟み込んで締結したスポンジ等を材料とする油吸
収体、32は油吸収体31の内径側に設けられたスペー
サである。33はクロスヘッド13の上方に設けられ、
油吸収体31を支持する油吸収体支持板、40はピスト
ンリング、41はバッファ空間29とディスタンス空間
28とを連結する連通管、42は連通管41中に設けら
れた油分離器、43は逆止弁である。クロスヘッド13
とシリンダ16の隙間には潤滑油23が介在している
が、クロスヘッド13の往復運動により摺動面を油吸収
体31が接触し、摺動面の油膜は油吸収体31に吸い取
られて油膜厚さが薄くなる。
【0005】また、特開平1−305156号公報に示
されているように、逆止弁43と連通管41を通りクロ
スヘッド13上部のディスタンス空間28へ下部のバッ
ファ空間29からガスが流れ込み、ディスタンス空間2
8はバッファ空間29の圧力より平均的に高くなる(図
25参照)。図25中Pdis はディスタンス空間圧力、
Pb はバッファ空間圧力である。図25に示すように逆
止弁43の効果により、Pdis >Pb なる時間帯がPdi
s <Pb なる時間帯より多くなる。このため、油吸収体
31やクロスヘッド13の外周部隙間に存在する油は、
バッファ空間29から浸入する量よりクロスヘッド13
上から下へ押し戻される量が多くなる。これにより、潤
滑油23のディスタンス空間28への浸入を抑制するこ
とができ、スターリングエンジンの作動空間側への油ミ
スト飛散を防御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のスターリングエ
ンジンは以上のように構成されているので、スターリン
グエンジンを長時間にわたって高性能に運転を行う場
合、すなわち、機関の運転信頼性を高めるためには、油
浸入防止特性をより向上し、作動空間への油の浸入を現
状以上に低減する必要がある。そのため、以下の問題点
があった。
【0007】まず第1の問題点について説明する。クロ
スヘッド13の往復運動により、このクロスヘッド13
上端部に浸入する潤滑油の浸入量は、図25のPdis <
Pbの場合にバッファ空間29から浸入する油量と、Pd
is >Pb の場合にバッファ空間29に戻される油量と
の差と考えられる。後者の油量を前者の油量より大とす
ることがディスタンス空間28への油へ浸入を抑制する
ための必要条件であるが、クロスヘッド13に装着され
た従来のピストンリング40では油の戻し量を増加する
ことができないなどの問題点がある。
【0008】次に第2の問題点について説明する。シリ
ンダ内周とピストンリング40の構成部品であるプレー
ンリング外周の密着性が悪く隙間が存在する場合には、
シリンダ内周に油膜が残留し、結果的にクロスヘッド1
3上への潤滑油の浸入量が増加するなどの問題点があ
る。
【0009】次いで第3の問題点について説明する。図
26は従来の熱機関の油浸入防止装置の油吸収体31の
クロスヘッド13の往復運動による変形を説明した図で
ある。図26(a)はクロスヘッド13が下向きに運動
する場合であり、油吸収体31の外周部はシリンダ16
との接触面で上方に僅かに変形し、クロスヘッド13が
上向きに運動する場合(図26(b))はクロスヘッド
13上面に押さえられる。したがって、クロスヘッド1
3が往復運動するとスポンジなどで構成された油吸収体
31は接触面で上下の変形を繰り返す。従って、摺動面
に介在し、又は油吸収体31に含まれた潤滑油23がこ
の変形現象ではね飛ばされる。これにより、はね飛ばさ
れた潤滑油23は微粒化(ミスト化)してディスタンス
空間28に浸入するので、油浸入防止機能が低下するな
どの問題点がある。
【0010】続いて第4の問題点について説明する。従
来の油吸収体31を押さえる油吸収体固定部材は平板状
に形成されているので、高さが低く、図18に示すよう
に油吸収体固定部材77の上表面に潤滑油が流れ込む。
油吸収体固定部材77は金属部材で形成されていて油を
吸収しないので、厚い油膜が生成される。このように、
油膜厚さが厚くなった場合、クロスヘッド13の往復運
動で潤滑油23が跳びはね、その結果、油ミストが発生
する。これにより、ディスタンス空間28の方向に油成
分が浸入して油浸入防止機能が低下するなどの問題点が
ある。
【0011】最後に第5の問題点について説明する。例
えば図27は、クロスヘッド13上部の油吸収体支持板
33のシリンダ16内周の隙間部においてガス吹き上げ
がある場合を説明した説明図であり、矢印はガスの吹き
上げの流れを示す。この状態は、図25のPb (バッフ
ァ空間圧力)>Pdis (ディスタンス空間圧力)の状態
に対応する。そして、油吸収体支持板33とシリンダ1
6の隙間が狭い場合には、油吸収体31表面に潤滑油2
3が浮いた状態37(図27参照)となり、クロスヘッ
ド13の往復運動により第4の問題点と同様に油粒子が
生成して飛散しやすい状態となる。したがって、油浸入
防止機能が低下するなどの問題点がある。
【0012】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、バッファ空間への潤滑油の戻し
量を増加させることができる熱機関の油浸入防止装置を
提供することを目的とする。
【0013】また、この発明は、油吸収体の変形による
潤滑油のミスト化を抑制することができる熱機関の油浸
入防止装置を提供することを目的とする。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る熱
機関の油浸入防止装置は、ピストンリングユニットがバ
ッファ空間側のリング溝壁に押圧された時、外側合い口
と内側合い口とを連通させ、ピストンリングユニットが
ディスタンス空間側のリング溝壁に押圧された時外側合
い口と内側合い口の連通が閉塞されるようにピストンリ
ングユニットのバッファ空間側に外側合い口と内側合い
口とを連通する連通溝を設けたものである。
【0018】請求項2の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、テンションリングのバッファ空間側の外周端部
を加工してピストンリングユニットのバッファ空間側に
外側合い口と内側合い口とを連通する連通溝を形成した
ものである。
【0019】請求項3の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、プレーンリングのバッファ空間側の内周端部を
加工してピストンリングユニットのバッファ空間側に外
側合い口と内側合い口とを連通する連通溝を形成したも
のである。
【0020】請求項4の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、連通溝の流路抵抗に比べてピストンリングユニ
ットとリング溝で形成された隙間の流路抵抗、外側合い
口の流路抵抗及び内側合い口の流路抵抗を小さく設定し
たものである。
【0021】請求項5の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、プレーンリングの合い口をステップカット形状
とし、ディスタンス空間側の合い口の間隔をバッファ空
間側の合い口の間隔より小さく設定したものである。
【0022】請求項6の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、プレーンリングの合い口部をステップカット形
状とし、プレーンリングのバッファ空間側の合い口の間
隔長さと連通溝の高さとの積を、連通溝の断面積の2倍
より大きく設定したものである。
【0023】請求項7の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、テンションリングの合い口の隙間長さと連通溝
の高さとの積を、連通溝の断面積の2倍より大きく設定
したものである。
【0024】請求項8の発明に係る熱機関の油浸入防止
装置は、複数段数の油吸収体を密着して配置し、ディス
タンス空間側の油吸収体を密度が高く、かつ弾性率が大
きい多孔質体で形成し、クロスヘッド側の油吸収体を密
度が低く、かつ弾性率が小さい多孔質体で形成したもの
である。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【作用】請求項1の発明における熱機関の油浸入防止装
置は、ピストンリングユニットのバッファ空間側に外側
合い口と内側合い口とを連通する連通溝を設けてピスト
ンリングユニットがバッファ空間側のリング溝壁に押圧
された時外側合い口と内側合い口とを連通することによ
り、クロスヘッドがディスタンス側に移動するとディス
タンス空間に浸入した潤滑油が内側合い口、連通溝及び
外側合い口を経てバッファ空間に戻される。一方、クロ
スヘッドがバッファ空間側に移動すると外側合い口と内
側合い口が閉塞されるのでバッファ空間の潤滑油がディ
スタンス空間に浸入することを抑制する。
【0032】請求項2の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、テンションリングのバッファ空間側の外周端
部を加工等して連通溝を形成することにより、請求項1
と同様にバッファ空間の潤滑油がディスタンス空間に浸
入することを抑制することができる。
【0033】請求項3の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、プレーンリングのバッファ空間側の内周端部
を加工等して連通溝を形成することにより、請求項1と
同様にバッファ空間の潤滑油がディスタンス空間に浸入
することを抑制する。
【0034】請求項4の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、連通溝の流路抵抗よりテンションリングやプ
レーンリングの合い口等の流路抵抗を小さく設定するこ
とによりディスタンス空間に浸入した潤滑油を確実にバ
ッファ空間に戻してバッファ空間への潤滑油の戻り量を
増加し、ディスタンス空間への潤滑油の浸入を抑制す
る。
【0035】請求項5の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、プレーンリングの合い口部をステップカット
形状とし、ディスタンス空間側の合い口部の間隙をバッ
ファ空間側の合い口部の間隙より小さく設定することに
よりディスタンス空間に浸入した潤滑油を確実にバッフ
ァ空間に戻してバッファ空間への潤滑油の戻り量を増加
し、ディスタンス空間への潤滑油の浸入を抑制する。
【0036】請求項6の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、プレーンリングの合い口部をステップカット
形状とし、ディスタンス空間側の合い口部の間隔長さと
連通溝の高さの積を連通溝の断面積の2倍より大きく設
定することにより、請求項5と同様にディスタンス空間
に浸入した潤滑油を確実にバッファ空間に戻してバッフ
ァ空間への潤滑油の戻り量を増加し、ディスタンス空間
への潤滑油の浸入を抑制する。
【0037】請求項7の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、テンションリングの合い口部の間隔長さと連
通溝の高さの積を連通溝の断面積の2倍より大きく設定
することにより請求項6と同様にディスタンス空間に浸
入した潤滑油を確実にバッファ空間に戻してバッファ空
間への潤滑油の戻り量を増加する。
【0038】請求項8の発明における熱機関の油浸入防
止装置は、ディスタンス空間側の油吸収体を密度が高
く、かつ弾性率が大きい多孔質体で形成し、クロスヘッ
ド側の油吸収体を密度が低く、かつ弾性率狩り委細多孔
質体で形成することにより、油吸収体の変形が防止され
て、該油吸収体に含まれた潤滑油がはね飛ばされること
はなく、潤滑油のミスト化が抑制される。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明
する。図1はこの発明の熱機関の油浸入防止装置を示す
断面図であり、図1において、45はクロスヘッド13
に装着するピストンリング組立体(ピストンリングユニ
ット)、46はピストンリング組立体45を構成し、シ
リンダ内面を摺動するプレーンリング、47はプレーン
リング46をシリンダ16内面に押圧するテンションリ
ングである。70は第1の油吸収体、71は第2の油吸
収体、72は第1の油吸収体70、第2の油吸収体71
の高さを規制するためのスペーサ、73は第1の油吸収
体70、第2の油吸収体71を押さえるために設置され
た油吸収体固定部材、74はこれらを固定するためのネ
ジである。79はクロスヘッド13の外周隙間に存在す
る潤滑油であり、この潤滑油79は全円周隙間内に介在
している。
【0046】図2は請求項1及び請求項3の発明の一実
施例による潤滑油の流れを示す説明図であり、図におい
て、13Aはクロスヘッド13に加工されたピストンリ
ング溝(リング溝)、47Bはテンションリング47の
下面外周部に全周にわたり加工された外周溝(連通溝)
であり、一例として断面が三角形状の面取りを施した外
周溝47Bを示した。Xは連通溝の幅、Yは連通溝の高
さである。図2(a)には、ピストンリング組立体45
がピストンリング溝13Aの下面(バッファ空間29
側)に押圧されている状態が示されていて、図2(b)
には、ピストンリング組立体45がピストンリング溝1
3Aの上面(ディスタンス空間28側)に押圧されてい
る状態が示されている。図において、矢印はディスタン
ス空間28側のクロスヘッド13とシリンダ16の隙間
48に存在する潤滑油のバッファ空間29への流れを示
し、また、48〜51は潤滑油が流れる隙間を示す。
【0047】図3はピストンリング組立体45の斜視図
である。図において、46Aはディスタンス空間28側
(上側)に位置するプレーンリングの合い口部、46B
はバッファ空間29側(下側)に位置するプレーンリン
グの合い口部、47Aはテンションリングの合い口部で
あり、通常、両合い口46A,46Bと47Aはほぼ1
80度ずれた位置関係になるように組立てられる。Uは
テンションリング47の合い口47Aの合い口の間隔、
Vはプレーンリング46下側合い口46Bの合い口の間
隔、Wはプレーンリング46の高さ寸法であり、Wの高
さ寸法はテンションリング47の高さと同等である。
【0048】次に動作について説明する。まず、潤滑油
の流れについて図1〜図5に基づいて説明する。図2,
図4及び図5は請求項2の発明の一実施例及び他の実施
例の要部拡大図であり、図において、矢印で示すように
潤滑油はクロスヘッド13の往復運動によってかきあげ
られて、クロスヘッド13上部のディスタンス空間28
に浸入した潤滑油はディスタンス空間28とバッファ空
間29の差圧によってバッファ空間側に戻る。なお、従
来の技術の欄で説明したように、この差圧はバッファ空
間29に発生する周期的な圧力変動を逆止弁43の作用
によって誘起される。図2(a)に示すように、クロス
ヘッド13とシリンダ16の隙間48にある潤滑油は、
プレーンリング46の上側端面の隙間49を経て、テン
ションリング47の内径部とクロスヘッド13との隙間
50に導びかれる。さらに潤滑油は図4に示すように、
合い口47A、テンションリング47の外周溝47Bを
経て、図5に示すように合い口46Bに導びかれる。そ
して、合い口46Bに導びかれた潤滑油はさらに図2
(a)に示すように合い口46Bからピストンリング組
立体45下部のクロスヘッド13外周部の隙間51を介
してバッファ空間29に戻る。
【0049】図2(b)に示すように、クロスヘッド1
3とシリンダ16の隙間51にある潤滑油は、プレーン
リング46の下側端面の隙間65を経てテンションリン
グ47の内径部とクロスヘッド13との隙間50に導び
かれる。さらに潤滑油は、図4に示す合い口47Aに導
びかれるが、この場合、合い口47Aはテンションリン
グ47の外径面とプレーンリング46の内径面の接触面
で閉塞される。すなわち、図2(a)に示すピストンリ
ング組立体45がピストンリング溝下部(バッファ空間
29側)に押圧されている状態のディスタンス空間28
からバッファ空間29の漏れ通路の流路抵抗は、図2
(b)に示すピストンリング組立体45がピストンリン
グ溝上部(ディスタンス空間28側)に押圧されている
状態のバッファ空間29からディスタンス空間28への
流路抵抗より相対的に小さくなる。
【0050】次に、請求項1〜3に関する従来の欠点に
ついて説明する。図6は従来のテンションリング形状の
合い口部形状を説明する要部拡大図であり、図において
52はテンションリングである。従来、ピストンリング
組立体45はガスのシール性をよくするために、テンシ
ョンリングは図6に示すように外周部には潤滑油の通路
となる面取り部や切り欠き部が形成されていない。その
ため、潤滑油がディスタンス空間28からバッファ空間
29に戻る通路が形成されていない。したがって、潤滑
油がクロスヘッド13上部に残留しやすく、熱機関の油
浸入防止性能に悪影響があった。
【0051】しかしながら、この発明の熱機関の油浸入
防止装置によれば、図1乃至図5に示すように、ディス
タンス空間28の圧力がバッファ空間29より高い場合
に、潤滑油がピストンリング組立体45周りの漏れ隙間
を経て、バッファ空間29に効率よく戻される。従っ
て、結果的にディスタンス空間28への潤滑油の浸入が
抑制でき、熱機関の油浸入防止性能が向上する。
【0052】なお、ディスタンス空間28の圧力がバッ
ファ空間29より低い場合には、図2(b)に示すよう
に、ピストンリング組立体45がピストンリング溝13
Aの上部(ディスタンス空間29側)に押圧される。こ
の場合は、図2(a)と比較して漏れ通路の面積が狭く
なるので、流路抵抗が相対的に大きくなる。したがっ
て、この状態ではバッファ空間29からディスタンス空
間28へのガスや油の流入が抑制される。
【0053】すなわち、クロスヘッド13に装着される
ピストンリング組立体45を図1乃至図5に示すように
加工すると、ガスや油の漏れ方向にディスタンス空間2
8からバッファ空間29へは油やガスが流れやすく、そ
の逆方向の流れは相対的に少なくなり、いわゆる逆止弁
に類似した作用を有する。
【0054】実施例2.図7,図8には請求項2の他の
実施例のテンションリングが示されていて、図におい
て、53Aはテンションリング53の外周溝(連通溝)
で、バッファ空間29側(下部)に形成されたR形状の
面取部であり、54Aはテンションリング54の外周溝
(連通溝)で、バッファ空間29側(下部)に形成され
た四角形の面取り部である。この場合も潤滑油が通過で
きる通路となり、実施例1の三角状面取り形状と同等な
効果を得ることができる。
【0055】実施例3.実施例3を図9に基づいて説明
する。図9は請求項3の一実施例を示した要部拡大図で
あり、図9にはプレーンリングの一部を切断した状態が
示されており、図において、55はプレーンリング、5
5Aはプレーンリング55のバッファ空間29側(下
部)の内周全面に設けた面取り部(連通溝)である。こ
のように、バッファ空間29側に油通路となる溝を設け
た場合も実施例2と同様に、潤滑油が通過する溝を形成
する。従って、図9の溝形状は、実施例2で示した面取
り形状と同等な効果を得ることができる。すなわち、実
施例2,3に示したようにプレーンリングあるいはテン
ションリングの一方又は両方の下面に溝部を設けること
により、油を効果的にバッファ空間29側に戻すことが
できる。
【0056】実施例4.実施例4は実施例1〜3で説明
した油戻り通路の面積の大きさを規定する場合について
説明する。図10には請求項5のプレーンリングが示さ
れていて、図において、56はプレーンリング、56A
はディスタンス空間28側(上側)に位置する合い口、
56Bはバッファ空間29側(下側)に位置する合い口
部である。ここで、合い口部(下側)56Bの合い口の
間隔Vは合い口56Aの合い口の間隔V1 より大きく設
定されている。また、Zはカット部の重なり部寸法、S
はプレーンリング合い口56Bの高さである。
【0057】実施例5.次に実施例5について説明す
る。通常、熱機関や圧縮機に使用されるピストンリング
の合い口はガスの漏れを少なくするため、合い口部寸法
は熱膨張や加工誤差を考慮してできるだけ小さく設計す
る。しかしながら上述したように本発明においては、プ
レーンリング合い口56Bが潤滑油の戻し通路となって
いるので、適切な通路面積を確保する必要があり、極端
に小さくはできない。すなわち、このようなステップカ
ット型の合い口を有するプレーンリングでは、その下側
の合い口56Bの合い口寸法(面積)をある程度大きく
設定する必要がある。一方、上側の合い口56Aはバッ
ファ空間29からディスタンス空間28への漏れ通路の
流路抵抗を大きくする必要があるので、必要以上に合い
口寸法を大きくすることは無意味である。例えば、図1
1に示すように、機関の運転時のプレーンリング材料の
熱膨張により、合い口56Aがほとんど隙間がない状態
や必要量より小さくなった場合においても合い口56B
は適切な隙間を有する必要がある。このように、実施例
5のように潤滑油の戻り通路となるバッファ空間29側
(下側)に位置するプレーンリング合い口56Bの合い
口の間隔Vをディスタンス空間28側(上側)に位置す
るプレーンリング合い口56Aの合い口の間隔V1 より
大きくすることで、油戻りとなる通路を確実に確保し、
クロスヘッド13上部にかきあげられた潤滑油を効果的
にバッファ空間29側に戻す作用を実現することができ
る。
【0058】実施例6.次に実施例6について説明す
る。実施例6は、図2(a)に示したテンションリング
外周のバッファ空間29側(下面)に加工した外周溝4
7Bの断面積(X×Y/2)の2倍の断面積(X×Y)
を図10に示したプレーンリング合い口(下側)56B
と外周溝部47Bの高さYで作られる断面積(V×Y)
より小さくするものである。
【0059】実施例7.次に実施例7について説明す
る。実施例7は、図2に示したテンションリング外周の
バッファ空間29側(下面)の外周溝47Bの断面積
(X×Y/2)の2倍の断面積(X×Y)を図3に示し
たテンションリング合い口47Aと外周溝部47Bの高
さYで作られる断面積(U×Y)より小さくするもので
ある。
【0060】次に実施例6,7の動作を説明する。実施
例2,3で説明したように、テンションリングの合い口
47A,プレーンリングの合い口46Bは、外周溝47
Bに通じる油戻し通路となっている。従って、合い口4
7A,46Bが閉塞されたり縮小されると、潤滑油の流
れが制限される。このように、テンションリングの合い
口47Aやプレーンリングの合い口46Bは潤滑油の重
要な戻り通路となっているが、熱膨張による合い口面積
の縮小や加工精度不良による合い口隙間の縮小など、潤
滑油の戻り量に対する不安定要素を持った部分であり、
油浸入防止機能の不安定要因となるものである。そこ
で、このような不具合を解消するために、実施例2や実
施例3の外周溝47Bの断面積に比べ、テンションリン
グの合い口47A、プレーンリングの合い口46Bの断
面積を相対的に大きく設定し、流路抵抗を十分に小さく
して、潤滑油を流れやすくすることが効果的である。
【0061】このように、実施例4〜7によれば、潤滑
油が戻る通路として十分な面積となるようにプレーンリ
ング下側の合い口面積,テンションリングの合い口面積
および外周溝を形成することで、効果的に潤滑油がバッ
ファ空間29側に戻り、熱機関の長時間の運転において
も支障のないピストンリング組立体45の構成が可能と
なる。すなわち、ディスタンス28空間からプレーンリ
ング上面とピストンリンク溝間の隙間の流路抵抗,テン
ションリング上面とピストンリング溝間の隙間の流路抵
抗,テンションリング内径とピストンリング溝外径隙間
の流路抵抗,テンションリングの合い口隙間の流路抵抗
及びプレーンリング合い口隙間の各々の流路抵抗が、テ
ンションリング外径とプレーンリング内径との溝部の漏
れ通路の流路抵抗より小さく設定されたことにより上記
効果を得ることができる。
【0062】実施例8.次に実施例8について説明す
る。先ず、実施例8に関する従来の欠点について説明す
る。図12にはプレーンリングの外周部に、例えば加工
の誤差などによってシリンダ16内面との間に隙間が生
じた状態が示されている。図において、16Aはシリン
ダ16の内面、46Cはプレーンリングの凹部、57,
58はシリンダ内面16Aに残留する潤滑油を示す。例
えば、クロスヘッド13が下降する場合に図12(a)
に示すように凹部46Cに潤滑油57が柱状に残留し、
クロスヘッド13の上昇時には図12(b)に示すよう
に潤滑油58が広がる。従って、クロスヘッド13の往
復運動にともなって潤滑油がディスタンス空間28(図
23参照)に残留する。これにより油浸入防止性能が低
下する。
【0063】つぎに、テンションリング外周部に凹部隙
間が生じた場合を説明する。図3に示すように、ピスト
ンリング組立体45がプレーンリング46とテンション
リング47で構成されている場合、プレーンリング46
の材質は例えば耐摩耗性樹脂で、テンションリング47
は例えば金属で構成される。図13(a)はテンション
リング47の一部が凹部状態となり、隙間59、隙間6
0が生じた場合を示す従来のピストンリング組立体の平
面図であり、図13(b)はその側面図である。図にお
いて、47Cはテンションリング47の変形部であり、
例えば曲げ加工では完全な円形に加工できないので、局
所的にバネ力が作用せず、このような状態となる。この
ようにテンションリング47に変形があった場合、この
変形部47Cの位置ではプレーンリング46を押しつけ
ることができないので、プレーンリング46とシリンダ
16(図23参照)内面にも接触不良の部分ができ、隙
間59,60が生じる。実施例8は上記の欠点を解消す
ることを目的としたものであり、図14(a)は実施例
8のピストンリング組立体の平面図、図14(b)はそ
の側面図である。図において、61はプレーンリング4
6とテンションリング47の間に組み込まれた弾性体で
ある。すなわち、実施例8は半径方向にバネの機能を有
するテンションリング47と同様にバネの機能を有する
弾性体61を組み込んで2段構成にし、テンションリン
グ47のバネ力不足の部分を補うものである。これによ
り、プレーンリング46が均一に半径方向に押圧され
る。したがって、図13に示すプレーンリング46の外
周部の隙間を解消することができる。尚、弾性体61
は、たとえばゴム板状の部材で形成されている。
【0064】以上のように、プレーンリング46とテン
ションリング47の間に弾性体61を挟み込むことで、
テンションリング47の円筒度(真円度)が悪く、凹部
隙間47Cがある場合でもプレーンリング46とシール
6内面の接触不良が解消でき、プレーンリング46はシ
リンダ16の内面に密着するため、潤滑油のディスタン
ス空間28への浸入を抑制できる。
【0065】実施例9.図15はこの発明の実施例9による 熱機関の油浸入防止
装置を示す要部拡大断面図であり、図において、D
油吸収体固定部材73の外周部の外径、Dはスペーサ
72の外径、DCHはクロスヘッド13の円筒径部の外
径寸法、Dはシリンダ16の内径寸法を示し、Aは油
吸収固定部材73の外周部の高さ、Bはスペーサ72
の高さ(厚さ)、Tは油吸収体が収納される部分の径方
向の厚さを示す。なお、クロスヘッド13の外周部隙間
は軸受作用を有する摺動隙間であり、直径隙間寸法とし
て(D−DCH)なる寸法を有する。
【0066】第1の油吸収体70の材料は従来と同様な
スポンジなど多孔質体で油の吸収性がある材料を採用す
るが、第2の油吸収体71の材質は、第1の油吸収体7
0の材質より相対的に密度が高く、弾性率が大きい多孔
質体(いわゆる、硬い材料)で、クロスヘッド13の往
復運動で接触面が変形しないかまたは変形がより少ない
材質で構成される。また、油吸収体固定部材73の外径
A はクロスヘッド13の外径DC よりわずかに小さな
直径に設定される。
【0067】図16は図15中の油吸収体の拡大断面図
であり、図に示すように第1の油吸収体70,第2の油
吸収体71は中空円筒形に形成されている。図中、D
C1は油吸収体70,71の自由状態の外径寸法、D
B1は自由状態の内径寸法、Bは自由状態の高さ(厚
さ)寸法、Tは自由状態の径方向厚さ寸法である。
尚、油吸収体70,71は多孔質体で製作されるため、
単体寸法としては、DC1,はそれぞれD,Bよ
りやや大きく、また、DB1はDよりやや小さい寸法
関係にある。
【0068】次に動作について説明する。第2の油吸収
体71は、従来と同様な吸油特性がある材料であるが、
比較的密度の高い、弾性率の大きい(硬度の高い)材質
であるため、シリンダ16(図23参照)の内面と接触
した場合でも図26に示すような変形の発生を抑制また
は防止できる。また、従来と同様に油の吸収性のよい密
度の小さい油吸収材料を用いた第1の油吸収体70を第
2の油吸収体71の下に設けたので、クロスヘッド13
の下方向への移動時に、クロスヘッド13とシリンダ1
6の隙間にある潤滑油79が第1の油吸収体70に吸収
され、シリンダ16内面に薄く塗布される。従って、第
2の油吸収体71には少量の潤滑油しか供給されない。
【0069】ここで、油吸収体を密度の高い材料だけで
構成した場合の欠点について述べる。第2の油吸収体7
1に用いられる比較的密度の高い油吸収材料は、一般的
に材料の空隙部分の割合が少(空隙率小)ないので、材
料体積の割には油の吸収容量が少なく、吸収性が悪い。
油吸収体として、油吸収性が悪い材料を用いた場合の不
都合点は、油吸収体の材料表面上には、吸収されずに残
留する油の油膜厚さが大きくなる。例えば図17(a)
は、密度の高い油吸収体75だけで構成した場合の例で
あるが、一般的に密度の高い油吸収体は、第2の油吸収
体71と同様に密度の低い油吸収体に比べ油の吸収性が
悪い。従って、図17(b)に示すように材料の表面に
油膜76が生成され、油が浮いた状態となる。その結
果、クロスヘッド13の往復運動で、油膜76から発生
する油の微粒化量が増加し、ディスタンス空間28への
潤滑油の浸入量が増加する。
【0070】実施例10. 次に実施例10について述べる。実施例9で説明したよ
うに、油吸収体を密度の高い材料だけで構成した場合は
油の吸収性が悪い。しかし、材料の密度が大きく油の吸
収特性が悪い材料でも、硬度が高い材料は、往復運動の
摩擦で発生する摺動部の変形を抑制することができる。
この特徴を利用した構成では、硬度の高い材料を用いる
第2の油吸収体71の下部に第1の油吸収体70が設け
られているので、潤滑油が少量しか供給されない。従っ
て、第2の油吸収体71の上表面には潤滑油の膜が生成
することがなく、結果的に油がミスト化する量を少なく
できるのでディスタンス空間28への油成分の浸入
防止できる効果がある。すなわち、この発明は、油の吸
収性の良好な材料と摺動部での変形少ない材料の両者
の特徴を合成した多段吸収体を使用したことが要点であ
る。
【0071】具体的な材料についての具体例を説明す
る。例えば第1の油吸収体70はウレタンスポンジのよ
うな油の吸収性の良好な多孔質体で構成し、第2の油吸
収体71はフエルト材のような油の吸収性はスポンジ材
より若干劣るが、比較的密度の高い、弾性率が大きい材
料で構成する。
【0072】実施例10は第1,第2の油吸収体70,
71をそれぞれ1段づつで構成した場合であるが、例え
ば第1の油吸収体70を2段とするなど全構成を多段吸
収体の構成とした場合も上記と同様な機能,効果を得る
ことができる。
【0073】実施例11.次に実施例11について説明
する。図15の油吸収体固定部材73は、外周部の外径
A をシリンダ16の内径DC よりわずかに小さく設定
している。DA が非常に小さく隙間が相対的に大の場合
は、弾性体である油吸収体がシリンダ16の内壁面との
接触,摩擦により変形するが、DA がDC よりわずかに
小さい場合は油吸収体固定部材73がシリンダ内壁面と
の接触部近傍で第1,第2の油吸収体70,71を圧
迫、固定するので、クロスヘッド13の上下往復運動に
よるシリンダ16内面との接触,摩擦による接触部に於
ける第1,第2の油吸収体70,71の変形を抑制でき
る。その結果、油の微粒化を防止することができ、ディ
スタンス空間28への油成分の浸入を防止する効果があ
る。
【0074】なお、外径DA が内径DC と接近しすぎた
場合は、シリンダ16内壁面に付着した油膜76Aに油
吸収体固定部材73Aの外周面が接触し、油浸入防止効
果に悪影響があるため、油吸収体固定部材73の外周部
の外径DA は適切な数値を選択する必要がある。
【0075】このように、実施例9に記述したようにク
ロスヘッド13上部にシリンダ16内周壁面と接触,摺
動するように油吸収体を設け、この油吸収体を油吸収性
があり、圧縮性のある複数の多孔質体材で構成し、この
油吸収体のシリンダ16内周壁面との接触部がクロスヘ
ッド13の往復運動による接触部の変形を実施例10や
11の手段により防止,抑制することにより、油の微粒
化を防止することができ、結果としてディスタンス空間
28への油成分の浸入を防止する効果がある。
【0076】実施例12.次に実施例12について説明
する。この発明は油吸収体固定部材73の外周部の高さ
A(図17(b)参照)を高くし、クロスヘッド13の
往復によってシリンダ16内壁面に付着した潤滑油が飛
散した場合に、潤滑油がクロスヘッド13の上平面部に
飛散し、落下して蓄積されることを防止することができ
る。以下、実施例12の詳細を説明する。まず、油吸収
体固定部材73の外周部高さAが低い場合の欠点につい
て述べる。例えば図18は従来の熱機関の油浸入防止装
置の要部拡大図を示すが、図のように、油吸収体固定部
材77の高さEが低く、平面の場合は、スターリングエ
ンジンを長時間運転した時に、油吸収体固定部材77の
上表面の内径側に潤滑油が浸透して油膜78が形成され
る。そして、さらに長時間運転した場合には、油膜78
の厚さCが大きくなるため、クロスヘッド13の往復運
動で油膜78が粒子状Fとなり跳ね上がり、結果的には
油がミスト化する。また、潤滑油がシリンダ16内壁部
のD部近辺に在る場合には、その潤滑油はディスタンス
空間28とバッファ空間29の圧力差でクロスヘッド1
3外周部の摺動隙間を経てバッファ空間29側に押し戻
される。しかし、油吸収体固定部材77の内径側に浸透
した潤滑油は油吸収体にも浸透せず、バッファ空間29
側に戻すことが困難になる。これにより、潤滑油のミス
ト化を助長することとなり、その結果、ディスタンス空
間28に多くの油成分が存在する。従って、油吸収体固
定部材77の外周部高さAが低い場合は、油浸入防止機
能の低下が発生して機関の信頼性低下の原因となる。
【0077】次に外周部高さAの高さが高い場合につい
て述べる。図17(b)に示す油吸収体固定部材73の
外周部の高さAは、クロスヘッド13の下死点にある場
合でも油吸収体固定部材73の上端部がシリンダ16の
内壁の油膜が付着する部分76Aより高く設定されてい
る。これにより、シリンダ16内壁面の油膜付着部がデ
ィスタンス空間28に直接露出することを防止すること
ができる。図17(b)において、シリンダ16内壁面
に付着した潤滑油膜76Aの上端部T.D.Cはクロス
ヘッド13が上死点にある場合を、また、その下端部
B.D.Cはクロスヘッド13が下死点にある場合を示
す。なお、図17(b)はクロスヘッド13が下死点に
ある場合を示している。ここで、T.D.CとB.D.
Cの差がクロスヘッド13の運動軌跡であるから、実施
例12の要点は油吸収体固定部材73の外周部の高さA
をクロスヘッド13の往復運動距離S程度またはS以上
(A≧S)に設定することを意味する。なお、図17
(b)は油吸収体として油吸収性が悪い場合の図である
が、76Aのようにシリンダ16の内壁面に付着する現
象は、油吸収性の良好な実施例9,10,11の場合で
も顕在する状態である。
【0078】次に動作について説明する。先ず、従来の
作用を図18に基づいて説明する。油吸収体固定部材7
3の外周部高さAが低く、シリンダ16内壁の油膜部7
6aがクロスヘッド13上面に露出した場合、シリンダ
16の内壁面に付着する油膜がディスタンス空間28に
飛散し、飛散した潤滑油の飛沫がクロスヘッド13上面
に付着して蓄積されると、油膜78のようにクロスヘッ
ド13上面に厚い油膜となる。この油膜はクロスヘッド
13の往復運動加速度で油粒となり、再度飛散する。つ
まり、クロスヘッド13の摺動隙間を経た油成分はクラ
ンクケース側バッファ空間29に戻されることはない。
しかし、実施例12の場合はクランクケース13にA≧
S相当の高さを有する油吸収体固定部材73が組み込ま
れているので、潤滑油膜76Aから飛散した油粒子は油
吸収体固定部材73の外周部73Aに付着する。油吸収
体固定部材の外周部73Aに付着した油は、ある程度の
量以上になると落下し、第1,第2の油吸収体71,7
2に吸収されてバッファ空間29に戻される。これによ
り、クロスヘッド13上部に潤滑油ミストが飛散する可
能性が少なくなる。
【0079】このように外周部高さAが低い場合には、
油浸入防止機能の低下の原因となるが、実施例12のよ
うに、外周部の高さA(図15参照)を高くすることに
よってクロスヘッド13上面への油の飛散を抑制でき、
その結果、機関の作動空間への油成分の浸入が防止でき
る。
【0080】次に、油吸収体固定部材73の外周部高さ
Aの制限について述べる。油吸収体固定部材73の外周
部高さAは必ずしもストローク相当にする必要はなく、
それよりもやや低い高さの場合でも同様の効果を得るこ
とができる。
【0081】実施例13.次に実施例13について説明
する。実施例13はクロスヘッド13上部に装着する油
吸収体の寸法に関するものである。図16に示すよう
に、第1,第2の油吸収体70,71を中空円筒型に形
成して、第1,第2の油吸収体70,71をクロスヘッ
ド13の上部に固定する。第1,第2の油吸収体70,
71が装着される空間は、図15に示すシリンダ16内
径DC とスペーサ72の高さB、スペーサ72の外径D
B で形成される。そして、径方向の厚さT((DC −D
B )/2)はスペーサ72の高さBと同程度に選択す
る。
【0082】次に動作について説明する。まず、図19
(a)に示すように、第1,第2の油吸収体70,71
の径方向の厚さTがスペーサ72の高さBと比較して小
である場合を想定する。この場合、クロスヘッド13と
シリンダ16内壁面の間に介在する潤滑油76Bは第
1,第2の油吸収体70,71に吸収されるが、第1,
第2の油吸収体70,71の体積が小さいので吸収容量
が少く、また、断面積(π/4×(DC 2 −DB 2 ))
も小さい。この状態で、図25に示すPb >Pdis の時
間帯に生じるバッファ空間29からディスタンス空間2
8へのガス流れを考えると、相対的にガスが通過する断
面積が小であり、第1,第2の油吸収体70,71を通
過する平均ガス流速が速くなる。その結果、図19
(b)に示す図19(a)の要部拡大図に示すように、
潤滑油76Bがガスの流れの影響を受け、第1,第2の
油吸収体70,71の表面や表面直下に含有されている
潤滑油76Cが押し出され、油膜が浮いた状態となり、
クロスヘッド13の往復運動で油粒がはね飛ばされる。
次に図20に示すように第1,第2の油吸収体70,7
1の厚さTがスペーサ72の高さBと比較して大きい場
合を想定する。この場合、油吸収体70,71の体積が
大きいので、体積に比例して油吸収体70,71に含ま
れる総潤滑油量が多くなるが、油吸収体70,71に含
まれる油量の大部分は摺動部隙間の近傍に存在しなくな
る。しかしながら、バッファ空間29へ潤滑油が戻され
るためには、潤滑油がクロスヘッド13の摺動隙間上部
に存在することが必要である。すなわち、油吸収体7
0,71の中央部(図20(b)のI部近傍)に存在す
る潤滑油はガス流れの影響を受けないので、中央部吸い
込まれた潤滑油はこの部分で澱んだ状態となる。従っ
て、I部に在る潤滑油はバッファ空間29側へはもどさ
れない。作動空間への油浸入防止機能上は図20の場合
でも致命的な問題はないが、無駄な空間であり、この空
間があることにより、無駄な油吸収体70,71を装着
することになる。結局、油吸収体70,71の容積は適
切な容積を確保することが必要である。油吸収体70,
71が吸収される部分の形状は、径方向の厚さTを高さ
B程度に設定すると油吸収体70,71を通過する流速
も小さく抑えることができ、かつ無駄な体積を占有する
ことがないので最適な形状となる。
【0083】実施例14. 次に実施例14について説明する。実施例14は、クロ
スヘッド上部の外径の隙間を大きく設定して隙間部から
のガスの吹き上げ流速を低下させ、これにともなう潤滑
油のミスト化を防止して油浸入防止性能を向上させるも
のである。図21はこの発明の実施例14による熱機関
の油浸入防止装置を示す要部断面図であり、図に示すよ
うにクロスヘッド80の上部分の外周部に摺動部隙間
より大きな隙間が形成されている。また、クロスヘッド
80は上端部80が摺動部の直径DCHより小さい直
径をDに設定されている。
【0084】そして、バッファ空間29とディスタンス
空間28の圧力の関係がPb >Pdis である場合、クロ
スヘッド80の摺動部隙間の下方から上方へガスの吹き
上げが発生するが、その流速はガスの吹き出し部のガス
通過断面積に逆比例の関係にある。すなわち、ガスが通
過する部分の断面積が相対的に大きければ、吹き出し流
速が相対的に小さくなる。従来のようにクロスヘッド摺
動部隙間が小さい場合は、クロスヘッド80の上端部の
ガスの吹き出し速度が速いので、クロスヘッド80の上
平面に装着された油吸収体70,71に高速流が衝突す
る。これにより、油吸収体70,71中に含有される潤
滑油が図18に示すように吹き飛ばされる。吹き飛ばさ
れてミスト状となった潤滑油はディスタンス空間28に
浸入して作動空間に油成分が浸入する原因となる。
【0085】従って、実施例13と合わせて実施例14
で油吸収体70,71に衝突するガス流速を低下させる
ことが必要である。これを実現するため、図21に示す
ように、クロスヘッド80の上端部80Aのガス吹き上
げ部の断面積を大きくする形状を採用することが重要と
なる。図21(b)に示すようにクロスヘッド80の上
端部80Aの外径寸法DE を油吸収体固定部材73の外
径寸法DA 程度に設定して、クロスヘッド80の上端部
80Aとシリンダ16の隙間を従来の摺動部隙間より大
きくする。この摺動部隙間は通常数十μm程度、油吸収
体固定部材73の外径寸法DA とシリンダ内径DC との
差は数mm程度の大きさに設定されるため、このような構
造を採用することで油吸収体70,71に衝突するガス
の吹き上げ速度は従来の数十分の一となる。この結果、
油吸収体70,71に含有される潤滑油は吹き飛ばされ
ることなく、油吸収体70,71に含有された状態が維
持されるので、潤滑油のミスト化が防止されて油浸入防
止性能が向上する。
【0086】クロスヘッド上端部80Aの外径寸法DE
が必要以上に小である場合は、実施例3で説明したよう
にクロスヘッド80の往復運動による油吸収体の変形が
発生し、油浸入防止性能の機能低下の原因となる。その
ため、クロスヘッド80の上端部80aの外径寸法DE
は、上述したように油吸収体固定部材73の外径寸法D
A 程度とすることが有効である。
【0087】以上記述したように、クロスヘッド80の
上端部80aの外径の隙間を大きく設定して、バッファ
空間29とディスタンス空間28の圧力の関係がPb >
Pdis である場合に生じるクロスヘッド80の上端部8
0aの隙間からのガスの吹き上げ流速を低下させて油吸
収体70,71へのガス衝突速度を低下させることによ
り、潤滑油のミスト化を防止して油浸入防止性能の向上
を図ることができる。
【0088】図21においてはクロスヘッド80の上端
部80を小径に形成して隙間を大きくしたが、例えば
図22に示すようにクロスヘッド80の上端部を斜面状
に面取り加工してガス吹き上げ部の断面積を大きくする
ことも有効な方法である。
【0089】実施例1乃至実施例14はスターリングエ
ンジンにこの発明を適用した場合について説明したが、
これに限らず、類似した構成のヴィルミエ機関や往復動
型の無潤滑圧縮機にこの発明を適用しても同様な効果を
得ることができる。
【0090】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、ディスタンス空間に浸入した潤滑油を効果的にバッ
ファ空間に戻す連通溝をピストンリングユニットに形成
するように構成したので、ディスタンス空間に浸入した
潤滑油を確実にバッファ空間に戻し、かつその逆方向に
流れる潤滑油を抑制することにより、バッファ空間への
潤滑油の戻り量が増加してディスタンス空間への潤滑油
の浸入を抑制することができ、熱機関の長時間運転を支
障なく行うことができる高い信頼性が得られる効果があ
る。
【0091】請求項2の発明によれば、テンションリン
グのバッファ空間側の外周端部を面取り加工等して連通
溝をピストンリングユニットに形成するように構成した
ので、請求項1と同様にバッファ空間ヘの潤滑油の戻り
量が増加してディスタンス空間への潤滑油の浸入を抑制
することができ、熱機関の長時間運転を支障なく行うこ
とができる高い信頼性が得られる効果がある。
【0092】請求項3の発明によれば、プレーンリング
のバッファ空間側の内周端部を面取り加工等して連通溝
をピストンリングユニットに形成するように構成したの
で、請求項1と同様にバッファ空間への潤滑油の戻り量
が増加してディスタンス空間への油の浸入を抑制するこ
とができ、熱機関の長時間運転を支障なく行うことがで
きる高い信頼性が得られる効果がある。
【0093】請求項4の発明によれば、ピストンリング
ユニットの連通溝の流路抵抗に比べてテンションリング
やプレーンリングの合い口等の流路抵抗が小さくなるよ
うに構成したので、バッファ空間への潤滑油の戻り量を
増加してディスタンス空間への油の浸入を抑制すること
ができ、熱機関の長時間運転を支障なく行うことができ
る高い信頼性が得られる効果がある。
【0094】請求項5の発明によれば、ステップカット
されたプレーンリングのバッファ空間側の合い口部の間
隔をディスタンス空間側の合い口部の間隔より大きくな
るように構成したので、バッファ空間への潤滑油の戻り
量を増加してディスタンス空間への油の浸入を抑制する
ことができ、熱機関の長時間運転を支障なく行うことが
でき、高い信頼性が得られる効果がある。
【0095】請求項6の発明によれば、ステップカット
されたプレーンリングのディスタンス空間側の合い口部
の間隔長さと連通溝の高さの積を連通溝の断面積の2倍
より大きくなるように構成したので、請求項5と同様に
バッファ空間への潤滑油の戻り量が増加してディスタン
ス空間への油の浸入を抑制することができ、熱機関の長
時間運転を支障なく行うことができ高い信頼性が得られ
る効果がある。
【0096】請求項7の発明によればテンションリング
の合い口部の間隔長さと連通溝の高さの積を連通溝の断
面積の2倍より大きくなるように構成したので、請求項
6と同様にバッファ空間への潤滑油の戻り量が増加して
熱機関の長時間運転を支障なく行うことができ高い信頼
性が得られる効果がある。
【0097】請求項8の発明によれば、密度や弾性率の
異なる複数の多孔質体で形成した油吸収体を多段状に設
けて油吸収体の変形を防止するように構成したので、油
吸収体の変形が防止されて油吸収体に含まれた油がはね
飛ばされず、潤滑油のミスト化が抑制され、油浸入防止
性能の向上を図ることができる効果がある。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による熱機関の油浸入防止
装置を示す断面図である。
【図2】図1の要部での潤滑油の流れを示す説明図であ
る。
【図3】図1中のピストンリング組立体を示す拡大斜視
図である。
【図4】図3のピストンリング組立体要部拡大斜視
である。
【図5】図3のピストンリング組立体における図4とは
異なった要部を示す拡大斜視図である。
【図6】従来のテンションリングを示す要部拡大図であ
る。
【図7】この発明の実施例2によるテンションリングを
示す要部拡大図である。
【図8】図7のテンションリングの変形例を示す要部拡
大図である。
【図9】この発明の実施例3によるプレーンリングを示
す要部拡大図である。
【図10】図10(a)はこの発明の実施例4による
レーンリングを示す平面図であり、図10(b)はその
正面図である。
【図11】従来のプレーンリングを示す正面図である。
【図12】従来技術の説明図である。
【図13】従来技術の説明図である。
【図14】図14(a)はこの発明の実施例8による
ストンリングを示す平面図であり、図14(b)はその
一部断面図である。
【図15】この発明の実施例9による熱機関の油浸入防
止装置を示す断面図である。
【図16】図15中の油吸収体の拡大断面図である。
【図17】この発明の他の実施の形態による熱機関の油
浸入防止装置を示す要部断面図である。
【図18】従来の熱機関の代表的なスターリングエンジ
ンの油浸入防止装置を示す要部拡大図である。
【図19】この発明の実施例による油吸収体の径方向の
厚さがスペーサの高さよりも小である場合を想定した際
説明図である。
【図20】この発明の実施例による油吸収体の径方向の
厚さがスペーサの高さよりも大である場合を想定した際
説明図である。
【図21】図21(a)はこの発明の実施例14による
熱機関の油浸入防止装置を示す断面図、図21(b)は
図21(a)の要部拡大断面図である。
【図22】図21の変形例を示す断面図である。
【図23】従来の熱機関の代表的なスターリングエンジ
ンを示す断面図である。
【図24】従来の熱機関の代表的なスターリングエンジ
ンの油浸入防止装置を示す要部拡大図である。
【図25】スターリングエンジンの運転時のバッファ空
間とディスタンス空間の圧力を説明するためのグラフ図
である。
【図26】従来の熱機関の代表的なスターリングエンジ
ンの油浸入防止装置の油吸収体の運転時の変形を示す説
明図である。
【図27】従来の熱機関の代表的なスターリングエンジ
ンの油浸入防止装置の油吸収体構造部の欠点を示す説明
図である。
【符号の説明】
13 クロスヘッド 13A ピストンリング溝(リング溝) 15 動力ピストン(ピストン) 16 シリンダ 21 ディスプレーサロッド(ロッド部材) 28 ディスタンス空間 29 バッファ空間 45 ピストンリング組立体(ピストンリングユニッ
ト) 46,55,56 プレーンリング 46A,46B,47A,56A,56B 合い口 47,53,54 テンションリング 47B,53A,54A 外周溝(連通溝) 55A 面取部(連通溝) 61 弾性体 70,71,75 油吸収体 80,81 クロスヘッド U,V,V 合い口の間隔 X 連通溝の幅 Y 連通溝の高さ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−305156(JP,A) 特開 平2−298655(JP,A) 実公 昭57−12769(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02G 1/053 F16J 9/06 F25B 9/14 510

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダと共に機関の作動空間を形成す
    るピストンにロッド部材を介して連結され、一方にディ
    スタンス空間を形成すると共に他方にバッファ空間を形
    成し、前記ディスタンス空間を平均して前記バッファ空
    間より高圧状態に保持するクロスヘッドと、該クロスヘ
    ッド外周に環状に形成されたリング溝に嵌合されると共
    に前記シリンダの内周に接触し、一方の端部と他方の端
    部で外側合い口が形成されたプレーンリング及び該プレ
    ーンリング内周に接触状態に設けられると共にプレーン
    リングを半径外側方向に付勢し、一方の端部と他方の端
    部で内側合い口が形成されたテンションリングから成
    り、前記バッファ空間側の表面に前記外側合い口と内側
    合い口とに連通する連通溝が形成され、前記バッファ空
    間側の前記リング溝壁に押圧された時前記連通溝が前記
    外側合い口と前記内側合い口を連通し、前記ディスタン
    ス空間側の前記リング溝壁に押圧された時前記外側合い
    口と前記内側合い口の連通が閉塞されるピストンリング
    ユニットとを備えた熱機関の油浸入防止装置。
  2. 【請求項2】 シリンダと共に機関の作動空間を形成す
    るピストンにロッド部材を介して連結され、一方にディ
    スタンス空間を形成すると共に他方にバッファ空間を形
    成し、前記ディスタンス空間を平均して前記バッファ空
    間より高圧状態に保持するクロスヘッドと、該クロスヘ
    ッド外周に環状に形成されたリング溝に嵌合されると共
    に前記シリンダの内周に接触し、一方の端部と他方の端
    部で外側合い口が形成されたプレーンリング及び該プレ
    ーンリング内周に接触状態に設けられると共にプレーン
    リングを半径外側方向に付勢し、一方の端部と他方の端
    部で内側合い口が形成される共に前記バッファ空間側
    の外周端部が加工されたテンションリングから成り、前
    記バッファ空間側の表面に前記外側合い口と内側合い口
    とに連通する連通溝が形成され、前記バッファ空間側の
    前記リング溝壁に押圧された時前記連通溝が前記外側合
    い口と前記内側合い口を連通し、前記ディスタンス空間
    側の前記リング溝壁に押圧された時前記外側合い口と前
    記内側合い口の連通が閉塞されるピストンリングユニッ
    トとを備えた熱機関の油浸入防止装置。
  3. 【請求項3】 シリンダと共に機関の作動空間を形成す
    るピストンにロッド部材を介して連結され、一方にディ
    スタンス空間を形成すると共に他方にバッファ空間を形
    成し、前記ディスタンス空間を平均して前記バッファ空
    間より高圧状態に保持するクロスヘッドと、該クロスヘ
    ッド外周に環状に形成されたリング溝に嵌合されると共
    に前記シリンダの内周に接触し、一方の端部と他方の端
    部で外側合い口が形成されると共に前記バッファ空間側
    の内周端部が加工されたプレーンリング及び該プレーン
    リング内周に接触状態に設けられると共にプレーンリン
    グを半径外側方向に付勢し、一方の端部と他方の端部で
    内側合い口が形成されたテンションリングから成り、前
    記バッファ空間側の表面に前記外側合い口と内側合い口
    とに連通する連通溝が形成され、前記バッファ空間側の
    前記リング溝壁に押圧された時前記連通溝が前記外側合
    い口と前記内側合い口を連通し、前記ディスタンス空間
    側の前記リング溝壁に押圧された時前記外側合い口と前
    記内側合い口の連通が閉塞されるピストンリングユニッ
    トとを備えた熱機関の油浸入防止装置。
  4. 【請求項4】 前記連通溝の流路抵抗に比べて前記ピス
    トンリングユニットと前記リング溝で形成された隙間の
    流路抵抗、前記外側合い口の流路抵抗及び前記内側合い
    口の流路抵抗が小さいことを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれか1項に記載の熱機関の油浸入防止装
    置。
  5. 【請求項5】 前記プレーンリングの外側合い口をステ
    ップカット形状とし、前記バッファ空間側の外側合い口
    の間隙を前記ディスタンス空間側の外側合い口の間隙よ
    り大きく設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項
    3のいずれか1項に記載の熱機関の油浸入防止装置。
  6. 【請求項6】 前記プレーンリングの外側合い口をステ
    ップカット形状とし、前記バッファ空間側の外側合い口
    の間隔長さと前記連通溝の高さとの積を前記連通溝の断
    面積の2倍の値より大きく設定したことを特徴とする請
    求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱機関の油
    浸入防止装置。
  7. 【請求項7】 前記テンションリングの合い口の間隔長
    さと前記連通溝の高さとの積を前記連通溝の断面積の2
    倍の値より大きく設定したことを特徴とする請求項1乃
    至請求項3のいずれか1項に記載の熱機関の油浸入防止
    装置。
  8. 【請求項8】 シリンダと共に機関の作動空間を形成す
    るピストンにロッド部材を介して連結され、一方にディ
    スタンス空間を形成すると共に他方にバッファ空間を形
    成し、前記ディスタンス空間を平均して前記バッファ空
    間より高圧状態に保持するクロスヘッドと、前記クロス
    ヘッドの前記ディスタンス空間側の端部に油吸収体が複
    数段密着して設けられると共に、前記シリンダ内周に接
    触した状態で摺動自在に支持され、前記ディスタンス空
    間側の前記油吸収体を密度が高くかつ弾性率が大きい多
    孔質体で形成し、前記クロスヘッド側の前記油吸収体を
    密度が低くかつ弾性率が小さい多孔質体で形成した多段
    の油吸収体とを備えた熱機関の油浸入防止装置。
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