JP3168912U - ガス供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の供給量でガスを供給し続けることができるガス供給装置を提供する。【解決手段】本考案のガス供給装置では、監視部153が、ガス供給管12の入口側と出口側に取り付けられた第一温度センサ13及び第二温度センサ14により、常時、ガス供給管12の温度を監視している。そして、監視部153がガス供給管12に温度差ΔTが生じたことを検知すると、このΔTの情報を変化量算出部154に送り、変化量算出部154は監視部153から温度差ΔTの情報を受け取ると、記憶部151内のパラメータを参照し、ガス供給管12の配管容量の変化量ΔVを算出する。変化量算出部154で算出された配管容量の変化量ΔVの情報は流量算出部152に送られ、流量算出部152は標準状態の配管容量Vの代わりにV+ΔVを用いて必要な流量を再計算し、該流量でガスを送出するよう比例弁11に信号を送信する。【選択図】図1
Description
本考案は、流量を制御しつつ所定の供給先にガスを供給するガス供給装置に関する。
飛行時間型質量分析装置(Time of Flight Mass Spectrometer: TOFMS)では、通常、加速したイオンを電場及び磁場を有さない飛行空間内に導入し、イオン検出器に到達するまでの飛行時間に応じて各種イオンを質量(厳密には質量電荷比m/z)毎に分離する構成を有する。従来より、こうしたTOFMSのイオン源としてイオントラップ(Ion Trap: IT)を利用したイオントラップ飛行時間型質量分析装置(IT−TOFMS)が知られている。
典型的なイオントラップはいわゆる3次元四重極型であり、略円環状のリング電極及び該リング電極を挟んで両側に設けられた一対のエンドキャップ電極により構成される。通常、リング電極に高周波電圧を印加してイオントラップ内部のイオン捕捉空間に四重極電場を形成し、該電場によってイオンを捕捉して蓄積する。
イオントラップ内は、ターボ分子ポンプ等により常時、高真空状態まで真空排気されている(特許文献1)。その一方で、イオントラップ内にはArやHe等の不活性ガスが常時供給されている(特許文献2)。イオントラップでは、不活性ガスを供給することにより、内部圧力を変化させ、イオンの捕捉効率や選択性能を調整する。一般的には、圧力が高くなると捕捉効率が向上、選択性能が低下し、圧力が低くなると捕捉効率が低下、選択性能が向上する(特許文献2)。
上記のように、イオントラップでは、不活性ガスを供給することにより内部圧力を変化させ、イオンの捕捉効率や選択性能を調整するが、分析中は内部圧力を所定の値に一定のまま保つ必要がある。しかしながら、イオントラップにガスを供給するガス供給装置が同じ条件でガスを供給しても、供給量が異なっていたり、途中で変化してしまったりすることがある。このような場合、内部圧力が目的値と異なってしまうため、適切に分析を行うことができなくなる。
本考案が解決しようとする課題は、所定の供給量でガスを供給し続けることができるガス供給装置を提供することである。
TOFMSでは、分析が温度変化による影響を受けないようにするため、イオントラップ、フライトチューブ、リフレクトロン、検出器等から成る質量分析部を恒温槽内に設け、一定の温度に保つようにしていることが多い(特許文献1)。しかしながら、質量分析部を温調することで、イオントラップに接続されているガス供給管の出口側部分とその反対側の入口側部分の間で温度差が生じてしまう。ガス供給管は一般的に金属材料により構成されているため、温度差により熱膨張が生じる。この熱膨張による配管容量の変化がガスの供給量に影響を及ぼすことを本考案者は突き止めた。
すなわち、上記課題を解決するために成された本考案に係るガス供給装置は、
ガスを所定の供給先に送出するためのガス供給管と、前記ガス供給管に導入するガスの流量を調整する流量調整手段と、前記流量調整手段を制御する制御部と、を備えるガス供給装置であって、
前記ガス供給管の入口温度を検出するための入口温度検出手段と、
前記ガス供給管の出口温度を検出するための出口温度検出手段と、
を有し、前記制御部が、
前記入口温度検出手段及び前記出口温度検出手段により検出された入口温度及び出口温度から、熱膨張による前記ガス供給管の配管容量の変化量を算出する変化量算出手段と、
前記変化量算出手段が算出した配管容量の変化量に基づいて、前記流量調整手段が前記ガス供給管に導入するガスの流量を算出する流量算出手段と、
を有することを特徴とする。
ガスを所定の供給先に送出するためのガス供給管と、前記ガス供給管に導入するガスの流量を調整する流量調整手段と、前記流量調整手段を制御する制御部と、を備えるガス供給装置であって、
前記ガス供給管の入口温度を検出するための入口温度検出手段と、
前記ガス供給管の出口温度を検出するための出口温度検出手段と、
を有し、前記制御部が、
前記入口温度検出手段及び前記出口温度検出手段により検出された入口温度及び出口温度から、熱膨張による前記ガス供給管の配管容量の変化量を算出する変化量算出手段と、
前記変化量算出手段が算出した配管容量の変化量に基づいて、前記流量調整手段が前記ガス供給管に導入するガスの流量を算出する流量算出手段と、
を有することを特徴とする。
なお、前記変化量算出手段が算出する配管容量の変化量ΔVは、前記入口温度と前記出口温度との温度差ΔTと、予め与えられた変化前の管の外径D、内径d、長さL、及びガス供給管の構成材料によって定まる線膨張係数αとから、
ΔV=πα2ΔT2(2+αΔT)(D2−d2)L/4
によって算出することができる。
ΔV=πα2ΔT2(2+αΔT)(D2−d2)L/4
によって算出することができる。
本考案によれば、熱膨張によるガス供給管の容量の変化によらず、常に一定量のガスを供給先に供給することができる。なお、上記説明ではイオントラップを例にしたが、本考案はそれ以外にも、ガス供給管の入口側と出口側で温度差が生じるような状況でガスを供給する場合に有用である。
また、上記のようにイオントラップに本考案を使用する場合、ガス供給管の出口側は恒温槽内にあることが多い。このような場合、恒温槽内の温度とガス供給管の出口温度はほぼ同じであるため、例えば恒温槽内に設けられた温度センサを出口温度検出手段として用いることができる。
本考案のガス供給装置の一実施例の概略構成図を図1に示す。なお、この図1の例では、液体クロマトグラフ質量分析装置20内のイオントラップ21を本実施例のガス供給装置によるガスの供給先としているが、供給先が、例えばMSn分析を行う質量分析装置において、試料イオンを開裂させるために衝突誘起解離ガスが供給されるコリジョンセルであっても構わない。もちろん、供給先が質量分析装置以外であっても構わない。
本実施例のガス供給装置は、比例弁11と、ガス供給管12と、ガス供給管12の入口(ガスの上流)側における管温度を検出する第一温度センサ13と、ガス供給管12の出口(ガスの下流)側における管温度を検出する第二温度センサ14と、比例弁11を制御する制御部としてのパーソナルコンピュータ(PC)15と、を有し、第一温度センサ13及び第二温度センサ14とPC15の間、PC15と比例弁11の間はそれぞれ信号線16を介して接続されている。
比例弁11は、PC15からの入力信号に応じて開度を制御し、ガス供給管12に送出するガスの流量を調節する流量制御弁であり、本考案の流量調整手段に相当する。また、PC15は、本実施例において記憶部151、流量算出部152、監視部153、変化量算出部154として機能するものである。PC15は、ユーザからイオントラップ21内の圧力を指定されると、記憶部151に格納されたパラメータ、例えば熱膨張が生じていない基準状態での配管容量Vなどに基づいて、流量算出部152により必要な流量を算出し、それに応じた入力信号を比例弁11に送る。この流量算出部152による流量の算出は、従来と同様に行うことができるため、ここでは詳細について触れない。
記憶部151には、従来の流量算出に必要なパラメータの他、本考案の特徴である熱膨張による配管容量の変化量の算出に必要な、基準状態におけるガス供給管12の外径D、内径d、長さL、及びその構成材料によって定まる線膨張係数αのパラメータが記憶されている。
監視部153は、第一温度センサ13及び第二温度センサ14から送られてくる検出信号により、常時、ガス供給管12の温度状態を監視している。監視部153は、ガス供給管12の入口側と出口側の間で温度差が生じていない場合は特に何もしないが、これらの間で温度差ΔTが生じたことを検知すると、このΔTの情報を変化量算出部154に送る。
変化量算出部154は、監視部153から温度差ΔTの情報を受け取ると、記憶部151内に保持されたD、d、L、αの各パラメータを参照し、以下の式によってガス供給管12の配管容量の変化量ΔVを算出する。
ΔV=πα2ΔT2(2+αΔT)(D2−d2)L/4
ΔV=πα2ΔT2(2+αΔT)(D2−d2)L/4
変化量算出部154で算出された配管容量の変化量ΔVの情報は、流量算出部152に送られる。流量算出部152は、標準状態の配管容量Vの代わりにV+ΔVを用いて必要な流量を再計算し、該流量でガスを送出するよう比例弁11に信号を送信する。
以上の動作を一定時間間隔で行うことにより、本実施例のガス供給装置ではイオントラップ21内の圧力を常に一定に保ったまま、ガスを供給し続けることができる。
なお、上記実施例は本考案の一例にすぎないから、上記記載の点以外についても、本考案の趣旨の範囲で適宜に変更や修正を加えることができることは明らかである。
11…比例弁
12…ガス供給管
13…第一温度センサ
14…第二温度センサ
15…PC
151…記憶部
152…流量算出部
153…監視部
154…変化量算出部
16…信号線
20…液体クロマトグラフ質量分析装置
21…イオントラップ
12…ガス供給管
13…第一温度センサ
14…第二温度センサ
15…PC
151…記憶部
152…流量算出部
153…監視部
154…変化量算出部
16…信号線
20…液体クロマトグラフ質量分析装置
21…イオントラップ
Claims (2)
- ガスを所定の供給先に送出するためのガス供給管と、前記ガス供給管に導入するガスの流量を調整する流量調整手段と、前記流量調整手段を制御する制御部と、を備えるガス供給装置であって、
前記ガス供給管の入口温度を検出するための入口温度検出手段と、
前記ガス供給管の出口温度を検出するための出口温度検出手段と、
を有し、前記制御部が、
前記入口温度検出手段及び前記出口温度検出手段により検出された入口温度及び出口温度から、熱膨張による前記ガス供給管の配管容量の変化量を算出する変化量算出手段と、
前記変化量算出手段が算出した配管容量の変化量に基づいて、前記流量調整手段が前記ガス供給管に導入するガスの流量を算出する流量算出手段と、
を有することを特徴とするガス供給装置。 - 前記変化量算出手段が算出する配管容量の変化量ΔVを、前記入口温度と前記出口温度との温度差ΔTと、予め与えられた変化前の管の外径D、内径d、長さL、及び前記ガス供給管の構成材料によって定まる線膨張係数αとから、
ΔV=πα2ΔT2(2+αΔT)(D2−d2)L/4
によって算出することを特徴とする請求項1に記載のガス供給装置。
Priority Applications (1)
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JP3168912U true JP3168912U (ja) | 2011-07-07 |
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JP2011000768U Expired - Lifetime JP3168912U (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | ガス供給装置 |
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2011
- 2011-02-15 JP JP2011000768U patent/JP3168912U/ja not_active Expired - Lifetime
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