JP3168287U - 廃棄物パッキングカセット用の薄型フィルム - Google Patents

Abstract

【課題】表面あたりの重量が少なく，且つ機械特性及び臭気に対するバリア性に優れたフィルムの提供【解決手段】１５ｇ／ｍ２未満の重量を有する多層フィルムであって，酸素バリア材料を含んでなる層を含み，外側層がポリロピレン・コポリマーを含んでなり，内側層がエチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなり，酸素バリア材料を含んでなる層がエチレン・ビニルエステル・コポリマー鹸化物を含んでなり，それらの間の中間層が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含んでなるものである，フィルム。【選択図】図１

Description

本考案は，悪臭のある廃棄物をパックすることのできる，臭気バリア材料を含んでなるポリマーフィルムに関する。

廃棄物の多くが，環境にとって厄介な臭気を発する。例として，腐敗した食物，子供のおむつ，及びネコのトイレ砂などが挙げられる。

先行技術には，悪臭からの防護に用いようとすればできるであろう多くのフィルムがある。当該分野においてよく知られているように，ＥＶＯＨ，ＰＶＤＣ，ポリアクリロニトリルの使用は，容器（バッグその他の構成のもの）から悪臭が漏れ出て不快な雰囲気を作り出さないようにするために推奨されている。

ある長さ（例えば，２０ｍ）のフィルムを圧縮された形態に（例えば，カセット内等に）パックする構成のものが数多く知られている。代表的なカセットの例が，米国特許第４９３４５２９号（特許文献１）及び米国特許第３３５６１９２号（特許文献２）に示されている。

一般に，カセットは，管状のコア，ケーシング壁及びカセット底部を含んでなる。フィルムは，カセットの蓋とケーシング壁の間の領域を通して引き出される。可撓性のチューブが，カセットから小出しにされる。悪臭のある物品（例えば，おむつ）がバッグ内に投入された後，廃棄物と環境領域とを可能な限り気密的に遮断するよう，コアが回され，可撓性のチューブが捩じられる。

次のおむつを捨てるためには，ユーザーは，フィルムの次の部分を押す。直前の気密的に閉じ込められたおむつは，下方へと押し遣られ，新たなおむつが新しい形にパックされる。これらの異なったパックの全てが，定期的に空にされるゴミ入れに貯蔵される。

一つのパックと他のパックとの分離は，種々の手段で行うことができる。回転ナイフが好ましい。

〔フィルムの特徴〕
先行技術において，単層又は多層の，可能なフィルム構成のものが数多く提案されてきた。本件において使用されるためにフィルムが備えていなければならない基本的な特徴は，次のとおりである。
１．臭気に対するバリア
２．カセット内に効率的に圧縮されるよう，適切なデッドフォールド（deadfold：）性（所定の折重ね状態を維持する性質：非弾性）を有すること。
３．十分な機械特性（例えば，引っ張り強度，延性）。

米国特許第４９３４５２９号公報 米国特許第３３５６１９２号公報

本考案が解決しようとする課題は，上記のような従来のフィルムに比して，表面あたりの重量が少なく，且つ機械特性及び臭気に対するバリア性に優れたフィルムを提供することである。

我々は，驚くべきことに，これら全ての特徴が，１５グラム／平方メートル未満という，非常に軽量の多層フィルムにより達成できることを見出した。このことは，諸々の多層フィルムは，面あたりこれ程に軽量に生産するのは極めて困難であることから，環境上極めて有益である。先行技術のフィルムは，面あたりの重量が１５グラム／平方メートルより大であることにより特徴づけられ，しばしば２０グラム／平方メートルより大である。

本考案は，悪臭のある物品のパッケージングに用いる１５グラム／平方メートル未満の重量の多層フィルムに関し，このフィルムは，少なくとも１つの層においてポリプロピレンを，及び少なくとも他の層において酸素バリア材料を含んでなるものである。

すなわち本考案は以下のものを提供する。
（１）悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，１５ｇ／ｍ^２未満の重量を有する多層フィルムであって，少なくとも，ポリプロピレンを含んでなる層と，酸素バリア材料を含んでなる層とを含んでなるものである，フィルム。
（２）重量が１４ｇ／ｍ^２未満又は１３ｇ／ｍ^２未満である，上記１のフィルム。
（３）該ポリプロピレンを含んでなる層が外側層及び／又は内側層である，上記１又は２のフィルム。
（４）次の構造：
外側層／虐待層／中間層／酸素バリア材料を含んでなる層／中間層／虐待層／内側層
を含んでなる，上記１ないし３の何れかのフィルム。
（５）次の構造：
外側層／中間層／酸素バリア材料を含んでなる層／中間層／内側層
を含んでなる，上記１ないし３の何れかのフィルム。
（６）該外側層がポリプロピレンを含んでなるものである，上記４のフィルム。
（７）酸素バリア材料を含んでなる層が，ポリアミド及び／又はＥＶＯＨを含んでなるものである，上記１ないし６の何れかのフィルム。
（８）該内側層がポリオレフィンを含んでなるものである，上記４又は５のフィルム。
（９）該内側層がエチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなるものである，上記８のフィルム。
（１０）該内側層が実質的に非弾性の材料を含んでなるものである，上記４，５，８又は９のフィルム。
（１１）該外側層がポリプロピレンを含んでなるものである，上記５，８ないし１０の何れかのフィルム。
（１２）該内側層がポリオレフィンを含んでなるものである，上記５，８ないし１１の何れかのフィルム。
（１３）該内側層が，エチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなるものである，上記１２のフィルム。
（１４）該内側層が実質的に非弾性の材料を含んでなるものである，上記５，８ないし１３の何れかのフィルム。
（１５）該酸素バリア材料を含んでなる層が，エチレン・ビニルエステル・コポリマー鹸化物を含んでなるものである，上記５，８ないし１４の何れかのフィルム。
（１６）該中間層が，無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含んでなるものである，上記５ないし１５の何れかのフィルム。
（１７）該外側層が，ポリロピレン・コポリマーである，上記５ないし１６の何れかのフィルム。
（１８）該外側層がポリロピレン・コポリマーを含んでなり，該中間層が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含んでなり，該酸素バリア材料を含んでなる層がエチレン・ビニルエステル・コポリマー鹸化物を含んでなり，そして該内側層がエチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなるものである，上記４又は５のフィルム。
（１９）該エチレン・アルファオレフィン・コポリマーがエチレン・オクテン・コポリマーである，上記１８のフィルム。
（２０）該内側層が，実質的に非弾性の材料を含んでなるものである，上記１８又は１９のフィルム。
（２１）該実質的に非弾性の材料が，該内側層の重量あたり少なくとも１０％含まれているものである，上記２０のフィルム。

本考案によれば，従来のフィルムに比して，表面あたりの重量が少なく，且つ機械特性及び臭気に対するバリア性に優れたフィルムを提供することができる。

図１は，実施例１及び２のフィルムの断面の構成を示す概要図である。 図２は，更なる層を追加したフィルムの断面の構成を示す概要図である。

好ましい一具体例において，フィルムは，少なくとも２つのフィルム層を含んでなる：すなわち
１．酸素バリア層。
２．ポリプロピレンを含んでなる層（当該ポリプロピレンは，好ましくはフィルムの外側層及び／又は内側層に含まれている）。

本考案のフィルムは，引っ張り強さ及び延性に関して優れた結果を示す。更には，本考案のフィルムは，市販のフィルムに比べ，臭気試験において優れていた。

〔定義〕
本明細書においては，以下の定義が用いられる。

「フィルム」の語は，熱可塑性材料からなる平たい又はチューブ状の，可撓性の構造物をいう。

「熱収縮チューブ」の語は，９０℃で４秒間加熱したとき長手方向及び横断方向の少なくとも何れかに，少なくとも１０％収縮するフィルムをいう。収縮性は，ＡＳＴＭ ２７３２に従って水中で測定される。１００℃又はこれより高い温度のためには，参照液体としてグリセリンが使用される。

「総熱収縮性」の語は，ＭＤ方向における熱収縮性とＴＤ方向における熱収縮性との和をいう。全ての場合において，収縮性の測定には，ＡＳＴＭ ２７３２が用いられる。

「多層」の語は，２以上の層を有するフィルムをいう。

「長手方向」，又は本明細書において「ＭＤ」と略される「機械方向」の語は，フィルムの長手に沿った方向をいう。

「外側層」の語は，外部環境（大気）に直接に接することになるフィルム層をいう。

「内側層」の語は，パックされた内容物に直接に接することになるフィルム層をいう。これはまた，「シール層」とも呼ばれるが，空気の侵入から当該物を防護するためには，この層が気密シールされなければならないからである。

本明細書において，「ホモポリマー」の語は，単一のモノマーの重合により得られるポリマーをいう。

本明細書において，「コポリマー」の語は，少なくとも２種の異なったモノマーの重合により得られるポリマーをいう。

本明細書において，「ターポリマー（terpolymer）」の語は，３種の異なったモノマーより得られるポリマーをいう。

本明細書において，「ポリマー」の語は，上記の何れのタイプのものも包含する。

本明細書において，「ポリオレフィン」の語は，如何なるポリマー化したオレフィンをもいい，それらは直鎖状の，分枝鎖状の，環状の，脂肪族の，置換された又は無置換のものであってよい。より具体的には，ポリオレフィンの語には，オレフィンのホモポリマー，オレフィンのコポリマー，オレフィンと非オレフィン性のコモノマーとのコポリマー（例えば，エステル）等が包含される。

具体的な実施例は，ポリエチレン・ホモポリマー，ポリプロピレン・ホモポリマー，ポリブテン・ホモポリマー，エチレン・アルファオレフィン・コポリマー，プロピレン・アルファオレフィン・コポリマー，ブテン・アルファオレフィン・コポリマー，イオノマー，エチレン・エステル・コポリマー等を含む。

本明細書において，「ポリエチレン」の語は，本質的にエチレン反復単位よりなるポリマーを指す。０．９４０より高い密度を有するものは，高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）と呼ばれ，０．９４０より低い密度を有するものは，低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）である。

本明細書において，「エチレン・アルファオレフィン・コポリマー」の語は，直鎖状の低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ），中密度ポリエチレン（ＭＤＰＥ），極低密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ），超低密度ポリエチレン（ＵＬＤＰＥ），メタロセン触媒ポリマー及びポリエチレンプラストマー及びエラストマー等のポリマーをいう。

本明細書において，「均質なエチレン・アルファオレフィン・コポリマー」の語は，ＧＰＣ（ゲル濾過クロマトグラフィー）により測定したとき２．７より小さい分子量分布を有する，エチレン・アルファオレフィン・コポリマーをいう。それらのコポリマーの典型例は，ＤＯＷ社のＡＦＦＩＮＩＴＹ又はＥｘｘｏｎ社のＥｘａｃｔである。

本明細書において，「スチレンポリマー」の語は，ポリスチレン等のようなスチレン・ホモポリマー，及びスチレン・ブタジエン・コポリマー，スチレン・ブタジエン・スチレン・コポリマー，スチレン・イソプレン・スチレン・コポリマー，スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン・コポリマー，エチレン・スチレン・コポリマー等のような，スチレン・コポリマーをいう。

本明細書において，「エチレン・メタクリレート・コポリマー」の語は，エチレンとメタクリレートモノマーとからなるコポリマーをいう。当該モノマーの含量は，４０％未満である。

本明細書において，「エチレン・ビニルアセテート・コポリマー」又はＥＶＡの語は，エチレンとビニルアセテートとのコポリマーをいう。

本明細書において，「エチレン・エステル・コポリマー」の語は，エチレンとエステルモノマーとから作られる如何なるポリマーをも包含する。この語がＥＶＡ類，ＥＭＡ類その他のポリマーを包含することは明らかである。

本明細書において，「酸素バリアポリマー」の語は，ポリマーを含んでなるフィルム又は層を介した酸素の通過を制限する性質を有するポリマーをいう。通常の材料はＥＶＯＨ，ＰＶＤＣ又はポリアミドである。

本明細書において，ＥＶＯＨなる語は，エチレン・ビニルエステル・コポリマー鹸化物をいう。エチレンの含量は，典型的には，モルあたり２５〜５０％の範囲にある。以下，ＥＶＯＨのエチレン含量についての全ての言及は，モルあたりの％で示されよう。

本明細書において，ＰＶＤＣなる語は，塩化ビニリデン・コポリマーをいい，コポリマーのうちの主な割合は塩化ビニリデンからなり，そしてコポリマーのうちの従たる割合は，塩化ビニル及び／又はアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル等のような，一種又は２種以上のモノマーからなる。

本明細書において，「ポリアミド」の語は、アミド基−ＣＯＮＨの存在によって特徴づけられるホモポリマー及びコポリマーをいう。ポリアミド６，ポリアミド６６，ポリアミド１２，ポリアミド６／６６，ポリアミド６／１２，ポリアミドエラストマー，ＭＸＤポリアミドその他のコポリマーが，本考案に特に有用である。本明細書において，この語は，脂肪族及び芳香族ポリアミドを包含する。また，結晶性，半結晶性及びアモルファスの各グレードのものも含まれる。

本明細書において，「ポリエステル」の語は，テレフタル酸エステル単位を含んでなるポリマーをいう。ポリエステルの例としては，ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート），ＰＢＴ（ポリブチレンテレフタレート），ポリエステルエラストマー（エステル又はエーテル単位を含んでなるブロックコポリマー），ＰＴＴその他の類似のポリマーが挙げられる。

本明細書において，「アイオノマー」の語は，エチレン及びメタクリル酸又はアクリル酸のコポリマーで金属により中和されているものをいう。そのような材料の例としては，Ｄｕｐｏｎ社のＳｕｒｌｙｎが挙げられる。

本明細書において，「ポリプロピレン」の語は，プロピレン構造単位を含んでなるポリマーをいう。それらの例としては，ホモポリプロピレン，プロピレンとエチレンとのランダムコポリマー，プロピレンとエチレンとのブロックコポリマー，プロピレンとゴムとのコポリマー又はブレンド（例えば，ポリプロピレンとエチレン・プロピレンゴムとのブレンド），プロピレン・エチレン・アルファオレフィン・ターポリマーその他が挙げられる。

これらのポリマーは，アイソタクティック，シンジオタクティック又はアタクティックの何れでもよい。アイソタクティックの構造のものが好ましい。

本明細書において，「実質的に非弾性の材料」の語は，少なくとも４０重量％の無機物，例えば炭酸カルシウム，二酸化チタン，ウォラストナイト，雲母，ガラス繊維，ドロマイト及びこれらの混合物その他を含んでなる材料又はその複合材料をいう。残余の重量％分は，ポリエチレン，ポリプロピレン，スチレンポリマーその他の熱可塑性の材料であることができる。

本明細書において，全ての測定方法は，当業者に直ちに入手可能である。それらは，例えば米国国立標準規格協会（American National Standards Institute）から次のアドレスにおいて入手可能である：www.webstore.ansi.org 。

全てのパーセント表示は，別に特記しない限り，重量対重量の比率に基づく。

「グラム／平方メートル」表示は，ｇ／ｍ^２と同じである。双方とも，表面に対する重量の比率を表している。

第１の面によれば，本考案は，悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，表面に対する重量の比が１５ｇ／ｍ^２未満の多層フィルムに向けられており，当該フィルムは，少なくとも，ポリプロピレンを含んでなる層と，酸素バリア材料を含んでなる層とを含んでなる。

更なる面によれば，本考案は，悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，表面に対する重量の比が１４ｇ／ｍ^２未満の多層フィルムに向けられており，当該フィルムは，ポリプロピレンを含んでなる層と酸素バリア材料を含んでなる層とを含んでなる。

更なる面によれば，本考案は，悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，表面に対する重量の比が１３ｇ／ｍ^２未満の多層フィルムに向けられており，当該フィルムは，ポリプロピレンを含んでなる層と，酸素バリア材料を含んでなる層とを含んでなる。

更なる好ましい具体例においては，本考案の一面は，悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，表面に対する重量の比が１３ｇ／ｍ^２未満の多層フィルムに向けられており，当該フィルムは，ポリプロピレンを含んでなる層と，酸素バリア材料を含んでなる層と，エチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなる内側層とを含んでなる。

更なる好ましい具体例においては，本考案は，悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，表面に対する重量の比が１３ｇ／ｍ^２未満の多層フィルムに向けられており，当該フィルムは，ポリプロピレンを含んでなる層と，酸素バリア材料を含んでなる層と，上述の定義による実質的に非弾性の材料を含んでなる内側層とを含んでなる。

更なる好ましい具体例においては，フィルムは次の構造を含んでなる。
外側層／虐待層／中間層／バリア層／中間層／虐待層／内側層

別の好ましい具体例においては，フィルムは次の構造を含んでなる。
外側層／中間層／バリア層／中間層／内側層

〔各層の詳細な記述〕
＜バリア層＞
本考案の好ましい一具体例においては，酸素バリア材料は，ＥＶＯＨである。用いられるＥＶＯＨは，エチレン含量が，好ましくは４８％未満，より好ましくは４４％未満，更により好ましくは３８％未満，一層好ましくは２７〜３２％のものである。

別の好ましい一具体例においては，酸素バリア材料は，ポリアミドか，又は，ポリアミド類のブレンドを含んでなるものである。

酸素バリア材料は，３ｇ／ｍ^２未満，より好ましくは２ｇ／ｍ^２未満，そして尚も好ましくは１．５ｇ／ｍ^２未満の重量を有する。

＜外側層＞
好ましい一具体例においては，外側層は，ポリプロピレンを含んでなる。

更なる好ましい一具体例においては，外側層の重量は，６ｇ／ｍ^２未満，より好ましくは５ｇ／ｍ^２未満である。

更なる好ましい一具体例においては，ポリプロピレンはコポリマー，すなわち異なるモノマーのブレンド，又はポリマー構造物のブレンドである。ブレンドは，重合に際して又はそれより後の段階で起こってよい。

別の可能な具体例においては，外側層は，ポリオレフィンを含んでなり，例えば，低密度ポリエチレン，エチレン・アルファオレフィン・コポリマー，高密度ポリエチレン，又はＥＶＡ等のようなエチレン・エステル・コポリマーである。

＜内側層＞
内側層のための好ましい材料は，ポリオレフィンであり，例えば，低密度ポリエチレン，高密度ポリエチレン，エチレン・エステル・コポリマー，エチレン・アルファオレフィン・コポリマー，及びポリプロピレンである。アイオノマー及びスチレンコポリマーもまた可能である。エチレン・アルファオレフィン・コポリマーが，特に好ましい。

更なる具体例によれば，本考案は，内側層が「実質的に非弾性の材料」（ＳＮＲ）を含んでなる，上記と同じ構成のものである。

本考案の好ましい態様においては，ＳＮＲ材料は，内側層の重量あたり，少なくとも１０％，好ましくは少なくとも２０％，好ましくは少なくとも３０％である。

＜中間層＞
中間層（隣接層ともいう）においては，無水マレイン酸変性ポリオレフィン等のような，典型的な接着性樹脂が用いられてよい。典型例は，Ｄｕｐｏｎｔ社のＢＹＮＥＬ（登録商標）及びＡｒｋｅｍａ社のＯＲＥＶＡＣ（登録商標）である。

本考案の好ましい別の一態様においては，ポリアミドを，中間層として用いることができよう。

＜全般＞
当該分野で周知の添加剤を，本考案の１又は２以上の層において使用してよい。スリップ剤，ブロッキング防止剤，曇り防止剤，ポリマー加工助剤を，適切な場合には使用してよい。抗菌添加剤もまた，微生物の繁殖を阻害するために１つ又は２つ以上の層において使用してよい。好ましくは，抗菌剤は，廃棄物が直接に近接する側に添加される。

機械的特性を高める目的で，フィルムは次の方法の何れかで架橋してもよい。すなわち：
電子ビーム放射，ガンマ線照射，シラングラフト化合物を用いた湿式架橋，パーオキサイド架橋。

フィルムは，チューブ形態，又は縁部でシールされたもの，又は単一のシートの形態であってよい。中央で折った形態もまた可能である。

フィルムための好ましい製造方法は，ホットブローフィルム成形法であり，これは当該分野において周知である。平たいキャスト・ダイからの押出し法等のような他の方法もまた可能である。

〔実施例１〕
商業用のホットブローフィルムラインで，次の構成になる５層フィルムを製造した。
・内側層 ：８０％ＥＡＯ１＋１５％ＳＮＲ１＋５％添加剤
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・バリア層：ＥＶＯＨ１
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・外側層 ：ＰＰ１
上記略号は，表１に説明されている。
得られた構造体の厚みは，内側層から外側層への順に，５／１．５／１．５／１．５／４．５μｍである。

上記フィルムの表面に対する重量の比は，１３．４ｇ／ｍ^２である。

〔実施例２〕
商業用のホットブローフィルムラインで，次の構成になる５層フィルムを製造した。
・内側層 ：８０％ＥＡＯ１＋１５％ＳＮＲ１＋５％添加剤
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・バリア層：ＥＶＯＨ２
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・外側層 ：ＰＰ１
得られた構造体の厚みは，内側層から外側層への順に，５／１．５／１．５／１．５／３μｍである。
この構造体の表面に対する重量の比は，１２．１６ｇ／ｍ^２である。

〔試験〕
１．引っ張り強さ及び延性についての試験は，ＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って実施。
２．臭気試験は，以下の記載のとおりに実施。

〔試験１〕
引っ張り強さと延性とをＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って実施する。
ＭＤは「機械方向」を表し，ＴＤは「横断方向」を，それぞれ表す。

〔臭気試験〕
本考案のフィルム内及び市販のフィルム内に，それぞれ，１０個の汚れたおむつを入れた。当該市販のフィルムは，高密度ポリエチレンよりなる単層のものと信ずる。

評価期間中に臭気が漏れ出ることがないよう，それらのパックを，ＰＶＤＣよりなるバッグ内に入れた。

おむつを汚した時から３日後に，５名からなるパネルにより臭気を評価した。

実施例１及び２のフィルムで作製したパックは，市販のフィルムで作製したパックに比べ，臭気が実質的に弱かった。１から５までの任意ランク（１は無臭であることを，そして５はひどい臭気であることを示す）で，２つの実施例のランクは，実施例１については０．８，実施例２では１．２であったのに対し，市販のフィルムのものでは３．５であった。

〔比較例１〕
商業用のホットブローフィルムラインで，次の構成になる５層フィルムを製造した。
・内側層 ：８０％ＥＡＯ１＋１５％ＳＮＲ１＋５％添加剤
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・バリア層：８０％ＰＡ１＋２０％ＰＡ２
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・外側層 ：内側層と同じ
得られた構造体の厚みは，内側層から外側層への順に，５／１．５／１．５／１．５／５μｍである。
この材料の表面に対する重量の比は，１４．３ｇ／ｍ^２である。

〔比較例２〕
商業用のホットブローフィルムラインで，次の構成になる５層フィルムを製造した。
・内側層 ：８０％ＥＡＯ１＋１５％ＳＮＲ１＋５％添加剤
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・バリア層：ＥＶＯＨ１
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・外側層 ：内側層と同じ
表３を参照のこと。
得られた構造体の厚みは，内側層から外側層への順に，５／１．５／１．５／１．５／５μｍである。
この材料の表面に対する重量の比は，１４．３７ｇ／ｍ^２である。

〔比較例３〕
商業用のホットブローフィルムラインで，次の構成になる５層フィルムを製造した。
・内側層 ：８０％ＥＡＯ１＋１５％ＳＮＲ１＋５％添加剤
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・バリア層：ＥＶＯＨ１
・隣接層 ：１００％ＡＤＨ１
・外側層 ：内側層と同じ
得られた構造体の厚みは，内側層から外側層への順に，５／１．５／１．５／１．５／５μｍである。
この材料の表面に対する重量の比は，１４．２５ｇ／ｍ^２である。
用いた樹脂に関する情報については，表３を参照のこと。

比較例３のフィルムは，本件の用途にはもろ過ぎると判断したため，却下した。更には，製造の過程において，加工上，皺等のような明らかな欠陥に繋がる多くの問題があった。

引っ張り強さ及び延性は，ＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って試験した。

〔試験１〕
引っ張り強さ及び延性は，ＡＳＴＭ Ｄ８８２により測定した。ＭＤは「機械方向」を，ＴＤは「横断方向」を，それぞれ表す。

表に見られるように，比較例のフィルムは，引っ張り強さ及び延性に関し，劣った結果を示している。更には，本考案のフィルムは，比較例１に較べ，臭気試験において優れていた。

本考案は，従来のフィルムに比し，表面あたりの重量が少なく，且つ機械特性及び臭気に対するバリア性に優れたフィルムとして，有用である。

１＝内側層
２＝隣接層（中間層）
３＝バリア層
４＝隣接層（中間層）
５＝外側層
１１＝内側層
１２＝虐待層
１３＝中間層
１４＝バリア層
１５＝中間層
１６＝虐待層
１７＝外側層

Claims (21)

1. 悪臭のある物品をパッケージするのに使用するための，１５ｇ／ｍ^２未満の重量を有する多層フィルムであって，少なくとも，ポリプロピレンを含んでなる層と，酸素バリア材料を含んでなる層とを含んでなるものである，フィルム。
2. 重量が１４ｇ／ｍ^２未満又は１３ｇ／ｍ^２未満である，請求項１のフィルム。
3. 該ポリプロピレンを含んでなる層が外側層及び／又は内側層である，請求項１又は２のフィルム。
4. 次の構造：
   外側層／虐待層／中間層／酸素バリア材料を含んでなる層／中間層／虐待層／内側層
   を含んでなる，請求項１ないし３の何れかのフィルム。
5. 次の構造：
   外側層／中間層／酸素バリア材料を含んでなる層／中間層／内側層
   を含んでなる，請求項１ないし３の何れかのフィルム。
6. 該外側層がポリプロピレンを含んでなるものである，請求項４のフィルム。
7. 酸素バリア材料を含んでなる層が，ポリアミド及び／又はＥＶＯＨを含んでなるものである，請求項１ないし６の何れかのフィルム。
8. 該内側層がポリオレフィンを含んでなるものである，請求項４又は５のフィルム。
9. 該内側層がエチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなるものである，請求項８のフィルム。
10. 該内側層が実質的に非弾性の材料を含んでなるものである，請求項４，５，８又は９のフィルム。
11. 該外側層がポリプロピレンを含んでなるものである，請求項５，８ないし１０の何れかのフィルム。
12. 該内側層がポリオレフィンを含んでなるものである，請求項５，８ないし１１の何れかのフィルム。
13. 該内側層が，エチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなるものである，請求項１２のフィルム。
14. 該内側層が実質的に非弾性の材料を含んでなるものである，請求項５，８ないし１３の何れかのフィルム。
15. 該酸素バリア材料を含んでなる層が，エチレン・ビニルエステル・コポリマー鹸化物を含んでなるものである，請求項５，８ないし１４の何れかのフィルム。
16. 該中間層が，無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含んでなるものである，請求項５ないし１５の何れかのフィルム。
17. 該外側層が，ポリロピレン・コポリマーである，請求項５ないし１６の何れかのフィルム。
18. 該外側層がポリロピレン・コポリマーを含んでなり，該中間層が無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含んでなり，該酸素バリア材料を含んでなる層がエチレン・ビニルエステル・コポリマー鹸化物を含んでなり，そして該内側層がエチレン・アルファオレフィン・コポリマーを含んでなるものである，請求項４又は５のフィルム。
19. 該エチレン・アルファオレフィン・コポリマーがエチレン・オクテン・コポリマーである，請求項１８のフィルム。
20. 該内側層が，実質的に非弾性の材料を含んでなるものである，請求項１８又は１９のフィルム。
21. 該実質的に非弾性の材料が，該内側層の重量あたり少なくとも１０％含まれているものである，請求項２０のフィルム。
    

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