JP3166597B2 - 左心室性頻拍の治療に用いる誘導導入器システム - Google Patents
左心室性頻拍の治療に用いる誘導導入器システムInfo
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Description
導入器システム(guiding introducer system) に関す
る。より詳しくは、本発明は、左心室性頻拍の治療のた
めに左心室内で使用するための、内部誘導導入器と外部
誘導導入器とからなる二重管式の誘導導入器システムに
関する。
用されてきた。例えば、その使用目的の1つは、電気刺
激を体内の特定部位に伝達することである。別の使用目
的は、体内での診断のために監視と測定を行うことであ
る。カテーテルは、それ以外の方法ではより侵襲性の高
い処置を行わなければ接近不可能な体内部位 (例えば、
心臓) にも到達させることができるので、カテーテルを
このような接近困難な体内の特定部位に位置させてお
き、その間に医師はカテーテルを用いて検査、診断およ
び治療を行うことができる。使用の際、カテーテルは体
表面に近い主要な静脈または動脈に挿入しうる。その
後、カテーテルは、これを挿入した体内の動脈または静
脈を通してカテーテルを操作することにより、検査、診
断または治療のための所定部位まで誘導される。
カテーテルの有用性は増してきている。しかし、このよ
うなカテーテルの利用は、カテーテルの先端を体内の所
定部位に正確に配置 (位置決め) する必要があることか
ら往々にして制限される。
位置決めを得ることは、カテーテルの固有の構造から困
難である。慣用のカテーテルの本体は長い管状体であ
る。カテーテルの動きを十分に制御するためには、その
構造がある程度の剛性 (堅さ)を持つ必要がある。しか
し、カテーテルを所望の特定部位に到達するように静
脈、動脈、または他の体内部分を通して動かすには、カ
テーテルの屈曲が必要であり、カテーテルの剛性はその
屈曲を妨げるほど高くてはならない。さらに、カテーテ
ルは、これが体内を動いている間に静脈や動脈を傷つけ
るほど剛性が高くてはならない。
が高くないことが重要である一方で、トルク (回転力)
の制御、即ち、カテーテルの長さ方向にねじり力を伝達
する能力、に見合った十分な剛性をカテーテルが持つこ
とも重要である。十分なトルク制御により、カテーテル
の近接 (手前側) 端部に加えたねじり力がカテーテルに
沿ってその遠方端部(先端部)に伝わることにより、カ
テーテルの制御された操縦が可能となる。より大きなト
ルク制御の必要性は、血管の傷つきを防止するための剛
性の低下の必要性と相いれないことが多い。
にますます使われるようになっている。このような処置
では、カテーテルを一般に静脈または動脈を通して心臓
に到達させた後、心臓内の所定部位に位置させる。典型
的には、カテーテルを患者の脚部、頸部、上胸部または
腕部の動脈または静脈に挿入し、しばしばガイドワイヤ
ーや導入器を利用して、さまざまな動脈または静脈内を
通過させ、カテーテルの先端が心臓内の所望部位に到達
するまで前進させる。
遠方端部を、予め所望のカーブ形状に湾曲させておくこ
とがある。それにより、カテーテルをその軸線(長軸)
を回転軸として回転させることで、心臓内または心臓に
付随する動脈または静脈内の所望部位にカテーテルを操
縦することができる。
の右心室での特定の処置に使用するためにその遠方端部
が複雑に湾曲しているカテーテルが開示されている。米
国特許第5,231,994 号には、冠動脈拡張用のバルーンカ
テーテルを誘導するための誘導カテーテルが開示されて
いる。米国特許第4,117,836 号には、左冠動脈の選択的
冠動脈血管造影法のためのカテーテルが開示され、米国
特許第5,215,540 号、5,016,640 号および4,883,058 号
には、右冠動脈の選択的冠動脈血管造影法のためのカテ
ーテルが開示されている。
(アブレーション)処置用の偏向可能なカテーテルを開
示している。米国特許第4,033,031 号も参照。さらに、
米国特許第4,898,591 号には、ブレード編みされた部分
を持つ内層と外層からなるカテーテルが開示されてい
る。この米国特許は、血管内カテーテルの多様な曲線形
状についても開示している。
連する特定の医療処置に使用するために考えられた所定
形状のカテーテルを開示している多くの文献がある。心
臓および血管系の生理機能が精密であるため、使用する
カテーテルまたは導入器は、人の心臓および血管系内で
の所定の使用目的に合わせて正確に設計された形状を持
つことがますます重要になる。
て、米国特許第4,581,017 号には、冠動脈処置用のバル
ーンカテーテルに使用するための内部と外部 (番号138
および132)の二重管式誘導カテーテルが開示されてい
る。米国特許第5,267,982 号には、内部カテーテル(50)
と外部カテーテル(52)とを組合わせて左右の冠動脈血管
造影法に使用する、冠動脈のカテーテル処置用のカテー
テル・アセンブリと処置法が開示されている。類似の装
置を開示している米国特許第4,935,017 号も参照。米国
特許第5,290,229 号は、心臓内で使用するためのまっす
ぐな外部鞘と予め形状付与された内部カテーテルとを開
示している。米国特許第5,304,131 号、第5,120,323
号、第4,810,244 号および第5,279,546 号も参照。
横断(transseptal) または後退(retrograde)接近による
付属経路のカテーテル・アブレーションは、Saul, J.P.
ら,「若年患者の付属房室経路のカテーテル・アブレー
ション:長い管鞘を用いた中隔横断接近及び後退左後方
並行接近」J. Amer. Coll. Card., vol. 21, No. 3,pp.
571-583 (1993. 3. 1)に検討されている。Swartz, J.
F.ら, 「付属房室経路心房挿入部位の高周波心臓内カテ
ーテル・アブレーション」Circulation, Vol.87, No.
2, pp. 487-499 (1993年2月) も参照。
不整脈の治療への高周波エネルギーの使用が開示されて
いる。心臓組織のアブレーションへの高周波エネルギー
の使用については米国特許第5,246,438 号および第4,94
5,912 号も参照。さらに、多数の論文に、エネルギー、
特に高周波エネルギーを用いた心臓内の特定部位のアブ
レーションが開示されている。例えば、Gallagher, J.
J. ら「房室伝導系の閉胸アブレーションのカテーテル
技術」N. Engl. J. Med., Vol. 306, pp. 194-200 (198
2); Horowitz, L.N.「最新不整脈管理」pp. 373-378 (1
991); Falk, R.H.ら「心房細動の機構と管理」pp. 359-
374 (1992); およびSinger, I.「電気生理学の臨床マニ
ュアル」pp. 421-431 (1993)を参照。
室性頻拍部位の位置確定とアブレーションのための一般
的な方法が開示されている。米国特許第5,222,501 号お
よび5,242,441 号も参照。
フ−パーキンソン−ホワイト(Wolff-Parkinson-White)
症候群の治療に高周波アブレーション・エネルギーを用
いることが、Swartz, J.F.ら「付属房室経路心房挿入部
位の高周波心臓内カテーテル・アブレーション」Circul
ation, Vol. 87, No. 2, pp. 487-499 (1993) に開示さ
れている。Tracey, C.N.「整調 (paced)活性化連続マッ
ピングを用いた異所性心房頻拍の高周波カテーテル・ア
ブレーション」J. Am. Coll. Cardiol., Vol.21, pp. 9
10-917 (1993)も参照。
室内での特定の医療処置用の誘導導入器システムを提供
することである。本発明の別の目的は、左心室内での特
定の電気生理学的処置に用いる誘導導入器システムを提
供することである。
アブレーション処置に用いる誘導導入器システムを提供
することである。本発明のさらに別の目的は、左心室性
頻拍の治療のために左心室の特定のアブレーション部位
に用いる誘導導入器システムを提供することである。
された誘導導入器系の設計によって達成できる。
(e) からなる左心室内で心室性頻拍を治療する方法であ
る。 (a) 内部誘導導入器と外部誘導導入器とからなり、各誘
導導入器が長手方向に伸びた管腔と近接端部および遠方
端部とを持つ、二重管式の誘導導入器システムを左心室
内に導入し; (b) 外部誘導導入器の管腔内に内部誘導導入器を導入
し; (c) 内部誘導導入器の管腔内に、近接端部と遠方端部を
持ち、遠方端部またはその付近に配置された1もしくは
2以上の電極を備えたアブレーションまたはマッピング
用カテーテルを導入し; (d) このカテーテルを、前記誘導導入器システムを用い
て、左心室内の所定位置に誘導し;そして (e) カテーテルの電極を用いて左心室内の所定位置をマ
ッピングまたはアブレーションする。
左心室で用いる、内部誘導導入器と外部誘導導入器とか
らなる二重管式の誘導導入器システムである。内部およ
び外部の各誘導導入器は、いずれも第1領域と第2領域
とからなる。内部誘導導入器は外部誘導導入器より長く
することが好ましく、それにより内部誘導導入器を外部
誘導導入器の管腔から突き出させて、誘導導入器システ
ム全体に多様な湾曲と形状を作り出すことができる。
室、および左心房を持っている。右心房は上大静脈と下
大静脈とに流体連通している。房室中隔によって心房と
心室とが仕切られている。房室中隔内にある三尖弁によ
り、右心房と右心室とが連通している。房室中隔内にあ
る僧帽弁により左心房と左心室とが連通している。左心
房と接する部分の右心房の内壁に凹んだ箇所があり、こ
れが卵円窩である。卵円窩と三尖弁の間には冠静脈洞へ
の開口部または口があいている。冠静脈洞は、心筋層か
ら右心房に排出される静脈血の大部分を収容する大きな
心臓外静脈である。
弛緩は規則正しく起こり、これは電気化学信号が、ヒス
・パーキンジェ(His-Purkinje)系を含む決まった経路を
経て心筋層内を心房組織から心室組織に順に流れる結果
として起こる。最初の電気刺激は洞房(SA)結節で発生
し、房室(AV)結節に伝達される。AV結節は右心房の心房
中隔内の冠静脈洞の開口部付近にある。ヒス・パーキン
ジェ系はAV結節から始まり、膜状の心房中隔に沿って三
尖弁に向かって進み、房室中隔を通って膜状の心室中隔
内に達する。心室中隔のほぼ中間で、ヒス・パーキンジ
ェ系は左右に枝分かれし、心室中隔の筋肉部の頂部をま
たいでいる。
に起こる。たとえば、ウルフ−パーキンソン−ホワイト
症候群と診断された患者は不整脈を起こす。この不整脈
の原因は、心房筋組織を心室筋組織に直接つなぐ、即
ち、正常なヒス・パーキンジェ系を迂回するバイパスと
なる、1または2以上の異常な伝導経路の存在にあると
考えられている。これらの異常伝導経路は、心房と心室
をつなぐ繊維組織に通常は位置する。
性頻拍は、心臓の正常な規則的な収縮が変動する心臓病
である。この病気自体の症状は一般に極めて複雑である
が、心拍数が非常に速くなることが多い。心室性頻拍
は、心筋梗塞症に続いて起こることが特に多い。一般に
心臓発作と呼ばれる心筋梗塞症は、心臓のある部位に血
液が流れなくなる結果、その部位の心筋組織が壊死し、
代わりに心筋梗塞 (部)と呼ばれる瘢痕組織の領域が形
成される病気である。心筋梗塞部は左心室に存在するこ
とが多い。
気刺激を伝達する循環経路(再入回路)がしばしば形成
される。この再入(reentry) 回路により、心臓の電気刺
激は心筋梗塞部の周囲をぐるぐる回るようになるため、
不規則で時には加速された心臓の拍動を生ずることが多
い。このような再入回路は、弁などの心臓の独立要素の
周囲で生ずることもある。また、再入回路は、時には心
筋梗塞部と心臓の独立要素の両方の周囲に生じることも
ある。
ンおよびプロカインアミドといった薬を用いて治療され
てきた。最近では、β−ブロッキング薬が治療に使われ
ている。薬剤療法で効果が無かった場合には、不整脈の
原因となる組織を切除する外科的処置が用いられてき
た。この治療は、ジェラール・ギラドンの完全包囲心臓
内心室切開(Gerard Guiradon's Full Encircling Endoc
ardial Ventriculotomy,FEEV)、切除 (電気的に異常な
心臓内組織の除去) 、および剥離 (健全な組織のみが露
出するまで異常な心臓内組織の層を削り取る) といった
処置の組合わせのいずれかを含む。明らかに、かかる処
置は危険度が高く、長期の入院および回復期間を必要と
することが多い。このような処置に代わるものとして、
カテーテルによるマッピング(mapping) およびアブレー
ション(ablation)が、特に心室性頻拍を含む心臓不整脈
の診断と治療に使用されるようになった。例えば、米国
特許第5,222,501 号を参照。
ーを個々に適用しても、再入回路の破壊が不成功に終わ
ることが多く、エネルギーの適用を数回反復しなければ
ならないこともある。その原因の1つとして考えられる
のは、アブレーション用カテーテルの先端の電極がエネ
ルギー適用の開始時に正しい位置にないか、またはアブ
レーションを試みた間に動いてしまうことである。別の
考えられる原因は、この先端の電極が正しい位置にあっ
ても、心臓内組織と電極との間の接触圧が、この組織に
適正に作用するのに十分な電流が組織内に容易に流れる
ようにするには不足していることである。この問題は心
室内のアブレーションでは特にあてはまる。なぜなら、
心室組織は非常に厚いため、損傷を受けた組織が心筋の
深層にまで達していたり、さらには心臓外まで達するこ
とがあるからである。アブレーション処置に非常に時間
がかかることもある。また、欠陥があるか、選択が不適
切であったカテーテルを取り替えるため、カテーテルの
交換が必要となることもある。
血管を通して大動脈弓から左心室内に進めて、適切な位
置を見出すためにマッピングするのは非常に困難であ
る。心室組織を効果的にアブレーションするには、アブ
レーション用カテーテルを心室内の所定位置に正しく配
置し、エネルギーを適用する間ずっと心室組織と接触状
態に保持しなければならない。かかる処置では、アブレ
ーション用カテーテルのアブレーション電極を、場合に
よっては優に1分を超えるような長時間、心室組織と接
触したままに保持する必要がある。これは、アブレーシ
ョン処置の間中、心臓が拍動し続け、時には不規則に拍
動することから、特に困難である。従って、アブレーシ
ョン電極を所望の位置に保持し、エネルギーを適用して
いる間ずっと切除すべき組織に対して動かないように拘
束しておくことが重要である。
ン用カテーテルを左心室内に配置するための現在最も普
通の接近方法は、標準的な誘導導入器を用いてカテーテ
ルを大腿動脈に導入し、大動脈に入れてその中を進め、
大動脈弁を通過させて左心室内に入れた後、カテーテル
の電極を再入回路付近の左心室の壁に接するように配置
するものである。これは普通「後退(retrograde)」接近
法と呼ばれる。心室組織のマッピングまたはアブレーシ
ョンに選択される具体的な位置としては、側方自由壁(l
ateral freewall)、後方自由壁(posterior freewall)、
中隔壁(septalwall) および前方自由壁(anterior freew
all) が挙げられる。
およびマッピング用カテーテルを単に導入しただけで
は、再入回路のアブレーション処理を効果的かつ効率的
に行うには十分でない。一般に、医療従事者は、カテー
テルの導入とその血管系内での前進状況をX線透視装置
によって監視する。このようなX線透視装置は、一般に
心臓の具体的形態、特に決定的に重要な左心室の構造を
容易には識別することができないので、アブレーション
電極の配置 (位置決め) は困難となる。この位置決め
は、拍動する心臓が常に動いているため特に困難であ
る。さらに、処置の間ずっと心臓から血液がポンプ作用
により送りだされているため、カテーテルは左心室内で
常に動いている。また、大動脈弁が開閉し続けるため、
カテーテルにはさらに歪みと圧力が加わる。その上、カ
テーテルを適正に配置することが難しいため、X線透視
装置への露出時間が長くなりがちである。しかし、その
ような過剰なX線照射は当然望ましくない。
この問題に対処して、これを解決するものである。以
下、本発明を図2A、2B、3Aおよび3Bを参照して
具体的に説明する。
する本発明の誘導導入器システムは、内部誘導導入器と
外部誘導導入器とからなる。好ましくは、内部誘導導入
器を外部誘導導入器より長くする。それにより、内部誘
導導入器の先端 (遠方端部)を外部誘導導入器の先端か
ら突き出させて、多様な湾曲および形状を作りだすこと
ができる。使用に際して、内部誘導導入器の先端が外部
誘導導入器の先端から突き出るまで、内部誘導導入器を
外部誘導導入器の管腔の中に挿入する。
れも、一般に2つの領域からなる。但し、各領域は、別
々に分離した領域ではなく、誘導導入器全体が一体とな
るように一体に構成することが好ましい。しかし、各誘
導導入器を2つの別個の領域に区分して説明する方が、
その全体形状をよりよく説明することができる。
も2つの図面で示す。解析を容易にするため、各図面に
おいて、内部と外部の各誘導導入器は、これを慣用のサ
イドポート管(side port tubing)およびストップコック
(停止栓) に取り付けるためのバルブに装着された状態
で示してある。このような各配置において、内部と外部
の各誘導導入器の形状は、各誘導導入器の近接端部をサ
イドポート管に装着した時のサイドポートおよびサイド
ポート管に対する位置関係で説明する。最初の図面 (図
2Aおよび3A) では、サイドポート管は一般に内部ま
たは外部誘導導入器の第1領域の後ろ側に見えている。
残りの図面 (図2Bおよび3B) は、内部および外部誘
導導入器を、その第1領域を軸として、各誘導導入器の
近接端部(手前側) から見て時計回りに回転させた後
の、内部および外部誘導導入器を示す。
1領域は、普通のほぼまっすぐな細長い中空領域であっ
て、患者への導入と、挿入地点から心臓内の特定の所望
位置への操縦とに十分な長さを持つ。なお、図示の第1
領域の全長は、見やすいように短かくしてある。
ながるのが第2領域であり、これはほぼ平面的に (平面
内で) 、図2Aに示す位置で左方に滑らかに湾曲した湾
曲領域である。この湾曲の半径は約 0.5〜1.5 in(1.3〜
3.8 cm) 、好ましくは約 0.7〜1.3 in(1.
8〜3.3 cm) 、さらに好ましくは 0.8〜1.2 in(2.0〜3.
0 cm) である。この湾曲の円弧角度の大きさは約45〜13
5 °、好ましくは約60〜120 °であり、第2領域の最後
が内部誘導導入器の先端 (遠方端部) になる。
が好ましいが、代わりに、互いに曲率 (円弧角度) およ
び半径が同一または異なる2以上の別個の曲線部分を組
合わせて全体の湾曲領域を構成したものも使用できる。
その場合、これらの2以上の曲線部分にさらに1または
2以上の直線部分を組合わせてもよい。なお、別個の曲
線部分またはこれと直線部分との組合わせは、こうして
作り出される湾曲した第2領域の全体の曲率 (全円弧角
度) が上記と同じ、即ち、約45〜135 °、好ましくは約
60〜120 °とする。内部誘導導入器の第1領域と第2領
域は、好ましくは実質的に同一平面上 (同一平面から約
15°以内) にある。
左心室内での左心室性頻拍の治療において内部誘導導入
器と一緒に使用するためのものである。外部誘導導入器
も2領域に区分される。外部誘導導入器の第1領域は、
普通のほぼまっすぐな細長い中空領域であって、患者へ
の導入と、挿入地点から心臓内の特定の所望位置への操
縦とに十分な長さを持つ。なお、図示の第1領域の全長
は、見やすいように短かくしてある。
ながるのが第2領域であり、これはほぼ平面的に (平面
内で) 、図3Aに示す位置で左方に滑らかに湾曲した湾
曲領域である。この湾曲の半径は約 1.0〜2.0 in(2.5〜
5.1 cm) 、好ましくは約 1.3〜1.7 in(3.3〜4.3 cm) で
ある。この湾曲の円弧角度の大きさは約 135〜225 °、
好ましくは約 160〜200 °であって、第2領域の最後が
外部誘導導入器の先端(遠方端部) になる。
の第2領域の湾曲も好ましくは単純曲線であるが、代わ
りに、互いに曲率および半径が同一または異なる2以上
の別個の曲線部分を、場合により1または2以上の直線
部分を組合わせて、第2領域を構成することもできる。
その場合、これらの別個の湾曲、半径および直線部分の
組合わせは、こうして作り出される第2領域の全体の曲
率 (全円弧角度) が上記と同じ、即ち、約 135〜225
°、好ましくは約 160〜200 °とする。外部誘導導入器
の第1領域と第2領域も、好ましくは実質的に同一平面
上 (同一平面から約15°以内) にある。
端部) には、拡張器との移行がうまくいくようにテーパ
ーをつけてもよく、好ましくはそのようにする。このテ
ーパーは10°未満が好ましく、より好ましくは約4〜7
°である。内部および外部誘導導入器は好ましくは、そ
れらの先端付近に1または複数の放射線不透過性のチッ
プマーカーバンドを有していてもよい。
たは複数個、好ましくは3個または4個の小孔 (ベン
ト) を、それら導入器の先端付近に有することが好まし
い。これらの小孔は、好ましくは内部および外部誘導導
入器の先端から約1.00 in(2.54cm)以内、より好ましく
は約0.10〜1.00 in(0.25〜2.54 cm)の位置に設ける。こ
れらの小孔の大きさは、直径が約0.04〜0.06 in(0.10〜
0.15 cm)の範囲内となるようにすべきである。
部誘導導入器の遠方端部が閉塞した場合に、内部誘導導
入器の中に挿入されていたカテーテルの引き抜きにより
起こる空気の誘導導入器システム内への侵入を防止する
ためのものである。例えば、これらの誘導導入器の一方
の先端が心筋層にあたるように位置している時に、内部
誘導導入器内に挿入されていたカテーテルを引き抜く
と、小孔を設けていなければ誘導導入器システム内が減
圧状態となることがある。このような減圧状態になる
と、内部誘導導入器の管腔内にカテーテルを再挿入した
時に誘導導入器システム内に空気が逆流して流れ込むこ
とがある。このような空気の流入は、卒中や心臓発作の
可能性その他の、空気塞栓症で普通に起こりうる問題を
含む重篤な問題を患者に引き起こすことがある。内部お
よび外部誘導導入器の遠方端部の付近に小孔を設けてお
くと、カテーテルが内部誘導導入器から引き抜かれると
すぐに、内部および外部誘導導入器の管腔の中に流体
(恐らく血液) が引き込まれて上記の減圧状態になるこ
とが避けられる結果、誘導導入器システムへの空気流入
を生ずる減圧の発生を防ぐことができる。
元形状からの変形およびこの形状への実質的な復帰を可
能にする形状記憶性を持った、人体内での使用に適合し
た任意の素材から作製しうる。制限ではなく例示のため
に具体的寸法を示すと、内部および外部誘導導入器の内
径は約6〜12フレンチ (1フレンチは1/3 mm) の範囲で
よい。そのような内部および外部誘導導入器 (即ち、誘
導導入器システム) は拡張器と適当なガイドワイヤーと
を受け入れることができる。より大きいか、または小さ
い拡張器またはカテーテルを本発明の誘導導入器システ
ムに組合わせて使用する場合には、内部および外部の誘
導導入器の寸法と形状に変更を加えることができること
は当然である。
状の変更は小児科での使用を包含するためにも必要であ
るが、本発明の誘導導入器システムは大人の心臓に使用
する方が好ましい。周知のように、小児科用の場合、内
部および外部誘導導入器の各領域、特に第1領域の寸法
を縮小する必要があるが、これらの各誘導導入器の形状
または湾曲には著しい変更を加える必要がない。また、
内部および外部誘導導入器の寸法または形状の変更は、
肥大または回転した心臓を持つ患者に時に見られる特殊
な状況に使用する場合にも必要となることがある。
先端から突き出させ、かつ外部誘導導入器に対して内部
誘導導入器を回転させることにより、対象となる左心室
内の位置の方にマッピングおよび/またはアブレーショ
ン用カテーテルを向けるのに役立つ多様な全体形状が誘
導導入器システムに形成される。これらの多様な全体形
状により、左心室内でのアブレーション処置を、例え
ば、側方自由壁、後方自由壁、中隔自由壁、および前方
自由壁の位置で行うことが可能となる。図1Aおよび図
1Bを参照。
出させて異なる全体形状を作りだし、および/または内
部誘導導入器を外部誘導導入器に対して回転させること
により、多様な位置を処置することができる。また、外
部誘導導入器の中で内部誘導導入器を操作することによ
り、左心室内でさらに処置を行うことができる。外部誘
導導入器内での内部誘導導入器の突出 (突き出し) と回
転の両方が可能であるため、多様な全体形状を作り出す
ことができ、これは特に医療従事者にとって有益であ
る。医療従事者は、内部および外部の両方の誘導導入器
の先端付近に設けたチップマーカーにより、内部誘導導
入器と外部誘導導入器との相対的な位置を決定すること
ができる。
入器の相対的な直径は、外部誘導導入器の内部で内部誘
導導入器にトルクまたは回転を、かかる動きを過度に制
限せずに付与できるようにするのに十分なものとする。
好ましくは、内部誘導導入器と外部誘導導入器との直径
の差は少なくとも約3フレンチとすべきである。例え
ば、1好適態様において、外部誘導導入器の寸法は11フ
レンチで、内部誘導導入器の寸法は8フレンチである。
直径にこのような差があると、内部誘導導入器の外面と
外部誘導導入器の内面との間におよそ1フレンチ単位の
空間が生ずる。
この空間に、塩類溶液 (好ましくはヘパリン添加塩類溶
液) などの生適合性の溶液を満たすことが望ましい。こ
の塩類溶液はまた、内部および外部誘導導入器に潤滑性
も付与し、外部誘導導入器の内部で内部誘導導入器に対
してより正確にトルクを付与することができる。また、
内外の両方の誘導導入器の構造は、外部誘導導入器に対
する内部誘導導入器の回転と突出により作り出される多
様な形状を完全に利用することができるように、ねじり
定数(torsional constant)の高いものとすることが好ま
しい。この高ねじり定数を実現するため、1好適態様に
おいては、内部誘導導入器をブレード編み構造として、
さらに高い強度と構造安定性を付与する。
挿入には修正セルディンガー法が普通採用される。ま
ず、針の穿刺により適当な血管にアクセスする。次い
で、適当な寸法のガイドワイヤーの柔軟な先端を、この
針を通して針より少し先まで、血管内に挿入する。ガイ
ドワイヤーをその位置にしっかり保持したまま針を取り
出す。次いでガイドワイヤーを動脈を通して大動脈まで
進めた後、大動脈弁を横断して左心室内に入れる。ガイ
ドワイヤーをその位置に保持したまま、次いで拡張器を
ガイドワイヤーの周りに配置し、この拡張器の周りに本
発明の誘導導入器システムを配置する。拡張器と誘導導
入器システムは、一般に組立体 (アセンブリ) を形成
し、一緒にガイドワイヤーに沿って左心室内まで進め
る。この組立体を左心室内に挿入した後、ガイドワイヤ
ーと拡張器を引き抜く。次に、左心室性頻拍の治療に用
いるカテーテルを、内部誘導導入器の管腔を通して進
め、左心室内の適切な位置に配置し、所望の処置を行
う。
を突き出させ、もしくは引っ込め、かつ外部誘導導入器
の内部で内部誘導導入器を回転させることにより、本発
明の誘導導入器システムの全体形状および配置を大きく
変化させることができる。
外部誘導導入器の内部で内部誘導導入器を動かすことに
より、外部誘導導入器の先端を操縦して、内部誘導導入
器の管腔内に配置したカテーテルの先端を、左心室の特
定の内面に向けることができる。また、十分な剛性を付
与することにより、内部誘導導入器の先端を心臓内構造
のその固定位置または表面位置に保持し、適当な所定の
処置を行うことが可能となる。感知処置も含まれる場合
には、誘導導入器システムを所望位置に配置する。その
地点で、その位置に固有の心臓の電気的活動を、誘導導
入器システム内に配置した電気生理学的カテーテルを用
いて正確に測定することができる。
テーテルの正確な配置が可能であるので、例えば、高周
波、熱、レーザー、直流電流 (低エネルギー直流電流、
高エネルギー直流電流、もしくはフルグトロナイゼーシ
ョン処置) 等のエネルギーを用いた心臓組織の破壊のた
めの正確な位置にアブレーション用カテーテルを配置す
ることができる。アブレーション処置用のエネルギーと
しては高周波エネルギーを使用することが好ましい。
確な配置は重要である。なぜなら、アブレーション用カ
テーテルの常に動いている電極により非集束のエネルギ
ーが心臓室の全体に消散して循環血液内に失われること
による供給エネルギーの希釈が起こらないからである。
そのため、本発明の誘導導入器システムは、著しく少な
い量のエネルギーを適用しながら、なお効率的なアブレ
ーションを達成することが可能となる。さらに、処置の
遂行に必要な時間が、誘導導入器を使用しない場合の処
置に比べて大幅に短縮される。この時間の短縮により、
アブレーション処置に必要なX線透視の照射量も低減さ
れる。左心室内にアブレーション用カテーテルを正確に
配置することは、左心室性頻拍のアブレーションに伴う
前述した難点のために特に重要である。
ション処置は、左心室の壁が心臓の他の組織より著しく
厚いため、著しく長い時間を必要とすることがある。左
心室組織のアブレーションには、平面的な二次元アブレ
ーションだけでなく、内部までの三次元アブレーション
も必要であるため、アブレーションの遂行に必要な時間
が実質的に長くなることが経験されてきた。そのため、
アブレーション電極の正確な配置が必要となるだけでは
なく、アブレーション電極を左心室と常に接触させてお
くことも必要となる。場合によっては、効率的かつ効果
的なアブレーションを達成するため、アブレーション用
カテーテルの電極の寸法または長さを大きくする必要が
出てくる。さらに、左心室内の所定位置の切除に必要な
広範なアブレーションのために、高周波以外の他の種類
のエネルギーが必要となることもある。
よび説明したが、本発明の範囲内で各種の変更が可能で
あることは以上より明らかである。
処置用カテーテルを支持する本発明の誘導導入器システ
ムを示す心臓の破断図であり、図1Bは、左心室の側方
壁でのアブレーション処置用の本発明の誘導導入器シス
テムを示す心臓の破断図である。
するための内部誘導導入器を、その近接端部に取り付け
たサイドポート管がこの誘導導入器の第1領域の真後ろ
にくるように位置させた時の、該内部誘導導入器の側面
図であり、図2Bは、この内部誘導導入器を、サイドポ
ート管がこの誘導導入器の左側にくるように、その近接
端部の方から見て図2Aの位置から時計回りに90°回転
させた時のその側面図である。
するための外部誘導導入器を、その近接端部に取り付け
たサイドポート管がこの誘導導入器の第1領域の真後ろ
にくるように位置させた時の、該外部誘導導入器の側面
図であり、図3Bは、この外部誘導導入器を、サイドポ
ート管がこの誘導導入器の左側にくるように、その近接
端部の方から見て図3Aの位置から時計回りに90°回転
させた時のその側面図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 いずれも長手方向に伸びた管腔と近接端
部および遠方端部とを持つ内部誘導導入器と外部誘導導
入器とからなり、内部誘導導入器および外部誘導導入器
がそれぞれ第1領域および第2領域からなり、該第1領
域が患者への導入と挿入地点から心臓内の所望位置まで
の操縦とに十分な長さの、ほぼまっすぐな細長い中空領
域であり、該第2領域が湾曲した領域であり、ガイドワ
イヤに沿って血管内を案内される左心室内で心室性頻拍
を治療するためのアブレーション用カテーテルに使用す
るための誘導導入器システム。 - 【請求項2】 内部誘導導入器の第2領域が、全半径
0.5〜1.5 in(1.3〜3.8 cm) 、全円弧角度45〜135 °の
概ね湾曲した領域である、請求項1記載の誘導導入器シ
ステム。 - 【請求項3】 内部誘導導入器の第2領域が、半径 0.8
〜1.2 in(2.0〜3.0cm) 、円弧角度60〜120 °の湾曲領
域である、請求項1記載の誘導導入器システム。 - 【請求項4】 内部誘導導入器の第2領域が、1または
2以上の別個の湾曲部を持つ複合円弧からなる湾曲領域
であり、この湾曲領域の全円弧角度が45〜135 °であ
る、請求項1記載の誘導導入器システム。 - 【請求項5】 前記湾曲領域の1または2以上の別個の
湾曲部に1または2以上のほぼまっすぐな直線部が組み
込まれている、請求項4記載の誘導導入器システム。 - 【請求項6】 外部誘導導入器の第2領域が、全半径
1.0〜2.0 in(2.5〜5.1cm)、全円弧角度 135〜225 °の
概ね湾曲した領域である、請求項1ないし5のいずれか
に記載の誘導導入器システム。 - 【請求項7】 外部誘導導入器の第2領域が、半径 1.3
〜1.7 in(3.3〜4.3cm) 、円弧角度 160〜200 °の湾曲
領域である、請求項1ないし5のいずれかに記載の誘導
導入器システム。 - 【請求項8】 外部誘導導入器の第2領域が1または2
以上の別個の湾曲部を持つ複合円弧からなる湾曲領域で
あり、この湾曲領域の全円弧角度が 135〜225 °であ
る、請求項1ないし5のいずれかに記載の誘導導入器シ
ステム。 - 【請求項9】 前記湾曲領域の1または2以上の別個の
湾曲部に1または2以上のほぼまっすぐな直線部が組み
込まれている、請求項8記載の誘導導入器システム。
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