JP3166585B2 - 耐熱性、耐食性に優れたNb基合金およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性、耐食性に優れたNb基合金およびその製造方法

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正彦 森永
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豊橋技術科学大学長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Nb基合金、特に耐
熱性、耐食性に優れ、例えば高温液体Li取扱用構造
材、航空宇宙用エンジン部材、Li取扱技術開発のため
の各種試験装置用構造材、発電用高温ガスタービン材、
Li冷却高速炉用構造材、その他各種高温用部材、さら
には可搬型炉用構造材としてその使用が期待されるNb基
合金とその製造方法に関する。本発明にかかるNb基合金
はそのような多くの分野での用途を備えているが、以下
にあっては高速炉およびその関連分野の構造材として用
いる例をもって本発明を説明する。
【0002】
【従来の技術】現在の高速炉の構造材に用いられている
材料は、オーステナイト系ステンレス鋼およびフェライ
ト鋼などのFe基合金である。今後、高速炉の高性能・高
効率化が進むにつれて構造材の高性能化、つまりその耐
熱、耐食性の向上が望まれる。高速炉の高効率化を目指
した場合、冷却材であるナトリウムの使用温度も高くな
る。特に、可搬型炉などのように一層の高効率化を目指
した原子炉の冷却材は、その使用温度が1200℃の高温に
なり、液体ナトリウムの代わりに液体リチウムが利用さ
れる。これらの技術進展には、これまで以上に厳しい環
境に耐えうる耐熱性の構造材が必要である。また、核燃
料サイクル施設などでも処理操作の高効率化などのため
には、材料の耐用温度の向上が必要である。しかしなが
ら、このような厳しい環境に耐えうる構造材はこれまで
になく、その開発が不可欠である。
【0003】さらに、これまで超高温用の合金は粉末冶
金で製造されていることが多い。粉末冶金の場合、内部
に欠陥等が残留して諸特性に悪影響を及ぼす場合があ
る。そのため、構造材として使用する場合は溶解によっ
て製造する材料が望ましい。
【0004】これらの過酷な環境に耐え得る材料とし
て、高融点金属であるNb (ニオブ) が候補として挙げら
れる。Nbは融点が2469℃と高く、高温強度は高いもの
の、純金属のNbでは高温でのクリープ特性と液体リチウ
ムに対する耐食性が不十分である。これまで、米国にお
いてNb−1wt%Zr合金が液体リチウム用の構造材として
実用化されているが、1200℃の高温ではクリープ特性な
どの耐熱性に依然問題があることが分かっている。さら
に、1200℃の液体リチウム中の腐食試験では表面にクラ
ックが発生し耐食性にも問題がある。
【0005】これらのことから、1200℃でも優れた耐熱
性および耐食性を持ち、液体リチウムとの共存性に優れ
た合金を開発する必要がある。また、航空宇宙産業や発
電などのエネルギー関連産業においても高効率化を目指
し、機器の高性能化が望まれている。高性能化の実現の
ためには、これまでよりも優れた耐熱性、耐食性を有す
る超耐熱合金の開発が不可欠である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の目的
は、1200℃の高温でも優れた耐熱性などの機械的特性を
備え、常温での加工性に富み、さらに液体リチウム中で
優れた耐食性を有するNb基合金とその製造方法を提供す
ることである。
【0007】より具体的には、本発明の目的は、従来の
ように粉末冶金法によってではなく、溶解法により製造
が可能な合金であって、さらに上述のような特性を備え
たNb基合金とその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
前述の課題を解決する手段として、高温での耐熱性と常
温での加工性に優れ、高温液体アルカリ金属中での優れ
た耐食性を有するNb基合金に着目した。そこで、最初に
1200℃の高温での耐熱性、次いで加工性を重点におき
らに液体リチウムに対する耐食性を考慮して以下の手法
での合金の製造方法、つまり設計方法を検討し、本発明
を完成した。
【0009】ここに、本発明は、体心立方晶のNb基合金
を製造する際に、配合すべき1種類または2種類以上の
合金元素について、まず、DV−Xαクラスター法によ
ってNb との結合次数 (Bo)およびd軌道エネルギーレ
ベル (Md)を求め、次いで、下記の(1) 式、(2) 式によ
って組成平均の結合次数 (平均Bo)およびd軌道エネル
ギーレベル差 (平均ΔMd) を求め、それぞれの値を
熱性およびリチウム耐食性に応じて予め決定された範囲
内にくるように、添加すべき合金元素の種類および含有
量を定めることを特徴とする、液体リチウムに対する耐
食性に優れたNb基合金の製造方法である。
【0010】 平均Bo =ΣBo i ・Ci ・・・(1) 平均ΔMd=Σ|Mdi −MdNb|・Ci ・・・(2) ただし、B0i はi元素の結合次数、C i はi元素の原
子分率、Mdi はi元素のMd、MdNbはNbのMdである。
【0011】また、別の面からは、本発明は、DV−X
αクラスター法によって求められたNb との結合次数
(Bo)およびd軌道エネルギーレベル (Md)から、下記
の(1)式、(2) 式によって求めた組成平均の結合次数
(平均Bo)およびd軌道エネルギーレベル差 (平均ΔM
d) が下記(3) 式および(4) 式の範囲内にくるように選
んだ種類、含有量の1種類または2種類以上の合金元素
を含むことを特徴とする、耐熱性、液体リチウムに対す
る耐食性に優れたNb基合金の設計方法である。
【0012】 5.865 ≦Bo ≦5.890 ・・・(3) 0<平均ΔMd≦0.05 ・・・(4) ただし、Taは含まず、またZrが添加される場合には、そ
の添加量を1at%未満とする。
【0013】本発明は、その好適態様によれば、原子%
で、W:0〜10.9%以下、Hf:6.6%以下、Nb:残部お
よび不可避的不純物元素から成る組成を有する耐熱性、
耐食性に優れ溶製されたNb基合金である。本発明の上記
好適態様にあっては、さらに、原子%で、Yおよび/ま
たはZrを合計量で0.01〜0.9 %含有させることもある。
【0014】
【発明の実施の形態】このように、本発明の最大の特徴
は、分子軌道計算法の一つであるDV−Xαクラスター
法を用いて体心立方格子 (以下、BCCと記す) のNb基
合金中の各種元素の合金パラメータを導出し、その合金
パラメータにより、合金元素の特徴を解明して、所望の
特性を持つNb基合金にふさわしい合金元素およびその含
有量の選定を行うことにある。また、上記のパラメータ
を用いれば、Nb基合金の理論的な評価が可能であり、そ
の評価結果を新しいNb基合金の開発に役立てることがで
きる。なお、以下の説明にあっては、合金の「所望特
性」として耐熱性、加工性、液体リチウムに対する耐食
を挙げて、それにもとづいて合金設計を行う場合を例
にとっている。本発明方法の基本原理について順次説明
する。
【0015】(I) 分子軌道計算法によるNb基合金の合
金パラメータの決定 図1は本発明においてBCCNb基合金の電子構造の計算
に用いたクラスターモデルを示す模式図である。このモ
デルでは、中心にある合金元素Mがその第1および第2
近接位置にある14個のNb原子に囲まれた構造になってい
る。クラスター内の原子間距離を純Nbの格子定数0.3306
6 nmを基に設定し、中心の原子を各種合金元素Mに置き
換えたときの電子構造を分子軌道計算法の一つであるD
V−Xαクラスター法(Discrete-Variational-Xαクラ
スター法、詳しくは、例えば、三共出版「量子材料化学
入門」参照) により計算した。
【0016】表1に各種合金元素について上述の計算に
よって得られた2つの合金パラメータ (Bo 、Md)の値
を示す。本発明にあっては、これらの合金パラメータの
うちの一つは、Nb−X原子間の電子雲の重なり度合いを
表す結合次数 (Bond Order: Bo と略記する) である。
このBo が大きいほど原子間の結合は強い。
【0017】もう一つは、合金元素Mのd軌道エネルギ
ーレベル (Mdと略記する) である。分子軌道はクラス
ターを構成する各原子の原子軌道で構成される。分子軌
道の中でも合金元素Mのd軌道を主成分とするものは、
フェルミレベルの近傍にいくつか現れる。この合金パラ
メータMdは、合金元素Mのd軌道により構成されてい
る分子軌道のエネルギーの重み付き平均の値である。詳
しくは、J.Phys.; Condens. Matter. 6(1994)5081-509
6. を参考にされたい。このMdは、電気陰性度や原子
半径と相関のあるパラメータである。Mdの単位はエレ
クトロン・ボルト(eV) であるが、簡単のため以下の
説明では単位を省略する。
【0018】なお、表1中に記載されていない元素のB
o およびMdはともにNbの値と同一とする。以下に、こ
れらのパラメータを用いてNb基合金を設計する本発明方
法を説明する。
【0019】(II)合金パラメータによるNb基合金の設
計と製造方法 一般に合金の融点が高いほど、良好なクリープ破断寿命
を示すことが知られている。そこで、本発明者らはNb基
合金の融点を制御することを目的として、組成平均につ
いて電子構造の計算から得られるパラメータであるBo
を用いて、Nb基合金の融点を整理したところ、予想外に
もうまくゆくことを知った。
【0020】その結果を図2に示す。合金の平均Bo
は、前述の(1) 式を用いて組成平均から求められる。な
お、本明細書にあって合金の平均Bo を計算する場合、
小数点4桁以下は切り捨てとする。
【0021】図2の結果より、合金の融点と結合次数の
間には正の相関があり、平均Bo が高ければ原子間の結
合力が強くなり、合金の融点が高くなると考えられる。
すなわち、Nb基合金の融点を上昇させるには平均Bo を
増加させることが有効であることがわかった。
【0022】この結果から得られたNb基合金の融点
(℃) の予測式を下記(5) 式に示す。 Tm(℃) =−3.8741×104 +7024.9×平均Bo ・・・ (5) これらのことから、合金の高温でのクリープ破断寿命を
向上させるには、平均Bo を増加させればよいといえ
る。
【0023】ところで、合金の再結晶温度近傍あるいは
それ以下を使用温度 (1200℃) であるとすると、本発明
が目標とする合金の融点は、2460℃から2632℃に設定す
ればよいといえる。2460℃および2632℃のときの合金の
平均Bo は、それぞれ5.865、5.890 である。
【0024】したがって、本発明においてNb基合金の耐
熱性を改善するには、その合金の平均Bo を5.865 以
上、5.890 以下の値とすればよいことが分かる。ただ
し、純Nbは平均Bo が5.867 であり、この範囲に入って
しまうが、本発明にあっては純Nbは除く。ただし、ここ
で云う純Nbは、不可避的不純物元素を含むものも含むも
のとする。
【0025】以上のことから、1200℃という高温で優れ
たクリープ破断寿命を有するためには合金の平均Bo を
前述の式(3) を満足するように合金組成を設定する。 好ましくは、 5.865≦平均Bo ≦ 5.880 ・・・ (6) さらに、好ましくは下記式(7) とする。
【0026】 5.865 ≦平均Bo ≦5.873 ・・・ (7) Nb基合金の加工性も合金を選定するうえで重要な因子と
いえる。そこで、本発明にあってはNb基合金の電子構造
の計算から得られたパラメータ、d軌道エネルギーレベ
ル (Md) を用いた合金の平均ΔMdから合金の加工性
を評価した。平均ΔMdは前述の(2) 式で定義される組
成平均d軌道エネルギーレベル差を表わしたものであ
り、本明細書にあって合金の平均ΔMdを計算する場
合、少数点4桁以下は切り捨てとする。
【0027】その実験結果を図3にグラフにまとめて示
す。縦軸は3点曲げ試験の曲がり角度であり、この値が
大きいほど良好な加工性を示す。横軸には各合金の平均
ΔMdを示す。
【0028】この図から平均ΔMdが0.05を境界にして
加工性に明らかな違いが見られる。このことから、合金
の平均ΔMdを前述の式(4) を満足するように合金組成
を設定する。
【0029】ここで、純Nbの平均ΔMdは0であるた
め、平均ΔMdは0を含まないものとする。ただし、こ
こで云う純Nbは不可避的不純物元素を含むものも包含す
るものとする。以上のことから、優れた加工性を有する
ためには、Nb基合金の平均ΔMdを式(4) の範囲に設定
する。
【0030】以上のことから、本発明にあっては高温で
の耐熱性および常温での加工性に優れた合金を設計する
に当たって前述の式(3) および(4) の条件を満足する範
囲に平均Bo 、平均ΔMdを有する合金元素の組合せを
選ぶのである。
【0031】ここで、本発明にかかる合金の範囲を図4
の平均Bo −平均ΔMd図上に示す。縦軸には融点を併
せて示す。黒く全体を網がけした領域が本発明にかかる
Nb基合金の範囲である。なお、参考までに他の従来合金
で本発明に近い組成割合をもつものをR1 (特開平2−
190435号公報) 、R2 (特開平2−200752号公報) とし
て同図中に示す。
【0032】図5には実用合金と共に本発明にかかる合
金の組成範囲を平均Bo 、平均ΔMdに整理して詳細に
示す。図中で前述の式(3) 、(4) の条件を満足する範囲
は、四角形ABCDである。ただし、本発明にあって
は、Zr (ジルコニウム) の添加は一般に排除され、Zrを
添加する場合その含有量が1at%未満であり、かつTa
(タンタル) を含まない合金を考える。
【0033】ここで、ZrはNbに対する固溶限ならびに後
述する理由により、1at%未満が適当であり、Taは耐食
性を著しく低下させる元素であるため除くのである。好
ましい範囲は四角形ABEFで囲まれた領域である。さ
らに好ましい範囲は四角形ABGHで囲まれた領域であ
る。
【0034】(III) 合金の組成範囲 次に、本発明にあっては、具体的合金組成として原子%
で、W:0〜10.9%、Hf:6.6 %以下、さらに、必要に
より、Yおよび/またはZrを合計量で0.01〜0.9 %、N
b:残部および不可避的不純物元素からなる耐熱性、耐
食性に優れたNb基合金を規定するが、以下においてその
組成の限定理由を説明する。
【0035】Nb基合金の融点を効果的に上昇させる元素
として結合次数 (平均Bo)の大きいW (タングステン)
が挙げられる。このWを添加することにより、Nb基合金
の平均Bo が増加し融点を上昇させ、高温でのクリープ
強度を向上できる。しかしながら、多量のW添加は平均
ΔMdを増加させ、合金の加工性を低下させる。そこ
で、合金の平均ΔMdが0.05以下で、単独で添加できる
W量は10.9at%未満となる。
【0036】6種類のNb基2元系合金について液体リチ
ウム中での耐食性を評価するために、1200℃の液体リチ
ウム中腐食試験を行った。その結果を図6にグラフで示
す。この結果より、Hf (ハフニウム) 添加合金は、液体
リチウム中での重量変化が最も小さいことがわかった。
このことより、Hf添加は液体リチウム中での耐食性を著
しく向上させることがわかった。しかしながら、多量の
Hf添加は平均ΔMdを増加させ、合金の加工性を低下さ
せる。そこで、合金の平均ΔMdが0.05以下で、単独で
最大添加できるHf量は6.6 at%以下とする。
【0037】以上から、本発明にあっては、高温での耐
熱性と加工性およびリチウム中耐食性に優れたNb基合金
の合金組成を、W:0〜10.9at%、Wが配合される場合
好ましくは2〜5at%、Hf:6.6 at%以下、好ましくは
2〜4at%、Nb:残部および不可避的不純物元素とする
のである。
【0038】さらに、W添加による耐熱性、Hf添加によ
る耐食性の効果をより一層得るために、Y (イットリウ
ム) および/またはZr (ジルコニウム) を微量添加する
こともある。このYまたはZr添加により、Nb基合金中の
不純物元素 (酸素、窒素、炭素) がYまたはZrにスキャ
ベンジングされ、WおよびHf添加の効果がより明瞭に得
られる。さらに、YまたはZrはスキャベンジングした酸
素でY2O3またはZrO2の酸化物やZrC の炭化物を生成し、
その酸化物の分散強化により機械的特性を向上させる。
また、溶接などの加工中に混入する不純物元素について
も同様にYまたはZrによりスキャベンジングされるとい
える。YまたはZrはスキャベンジング効果を主な目的と
して添加しているため、添加量は、その効果が現れる0.
01at%から、多くても0.9 at%とする。
【0039】以上のことから、さらに高温の耐熱性、加
工性および液体リチウム中で耐食性に優れたNb基合金の
最適合金組成の範囲は、W:0〜10at%、好ましくは2
〜5at%、Hf:6.6 at%以下、好ましくは2〜4at%、
Yおよび/またはZr:合計量で0.01〜0.9 at%、Nb:残
部および不可避的不純物元素から成る。
【0040】図7はNb基合金の好適組成範囲で設計した
合金を平均Bo−平均ΔMd図上に示す。いずれの合金
も図1で規定した平均Bo−平均ΔMd図上の四角形A
BGHの領域内にある。さらに、それらの合金の実施例
を以下に述べる。
【0041】
【実施例】本発明にしたがって合金設計したNb−W−Hf
系合金の6種の合金について溶製法で調製するととも
に、それぞれについて融点、曲がり角度そして1200℃の
リチウム溶液中に300 時間浸漬したときの腐食量を求め
た。
【0042】これらの結果を表2に示す。参考までに従
来合金としてNb−1wt%Zr合金についての特性も併せて
示す。これらの結果より、本発明にかかる合金は実用合
金であるNb−1wt%Zrと同等の加工性を持ちながら、よ
り高い融点、優れた加工性を有しており、さらに、優れ
た液体Li耐食性を備えていることが分かる。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によるNb基合金は1200℃という高
温での耐熱性に優れ、常温での加工性に富んだ合金であ
る。さらに、液体リチウム中で構造材料として、耐食性
に優れた合金である。本合金は原子力分野のみならず、
航空宇宙産業や他のエネルギー産業への応用も期待でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてBCCNb基合金の電子構造の計
算に用いたクラスターモデルを示す模式図である。
【図2】合金の結合次数 (平均Bo)と融点 (Tm)の関係
を示すグラフである。
【図3】Nb基合金の曲がり角度と平均ΔMdの関係を示
すグラフである。
【図4】平均Bo −Md図上での本発明にかかる合金の
範囲を示す図である。
【図5】平均Bo −平均ΔMd図上での本発明にかかる
合金の範囲を示す図である。
【図6】Nb基2元系合金の液体リチウム腐食試験による
重量変化を示すグラフである。
【図7】平均Bo −平均ΔMd図上での本発明にかかる
合金の範囲を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 舘 義昭 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター 内 (72)発明者 加納 茂機 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 動力 炉・核燃料開発事業団大洗工学センター 内 (72)発明者 森永 正彦 愛知県豊橋市天伯町雲雀ケ丘1−1 豊 橋技術科学大学内 (72)発明者 村田 純教 愛知県豊橋市天伯町雲雀ケ丘1−1 豊 橋技術科学大学内 (72)発明者 井上 聡 愛知県豊橋市天伯町雲雀ケ丘1−1 豊 橋技術科学大学内 (72)発明者 古井 光明 愛知県豊橋市天伯町雲雀ケ丘1−1 豊 橋技術科学大学内 (56)参考文献 特開 昭56−65961(JP,A) 特開 平9−118940(JP,A) 特公 平5−40806(JP,B2) 特公 昭42−24735(JP,B1) 特公 昭42−22133(JP,B1) 特許2574497(JP,B2) 特許2887871(JP,B2) 井上ら”原子力システム用超耐熱ニオ ブ基合金の設計”日本金属学会誌,第58 巻第7号(1994)P.826−834 加藤ら”原子力システム用超耐熱モリ ブデン基合金の設計”日本金属学会誌, 第57巻第2号(1993)P.233−240 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/02 C22C 27/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体心立方晶のNb基合金を製造する際に、
    配合すべき1種類または2種類以上の合金元素につい
    て、まず、DV−Xαクラスター法によってNb との結
    合次数 (Bo)およびd軌道エネルギーレベル (Md)を求
    め、次いで、下記の(1) 式、(2) 式によって組成平均の
    結合次数 (平均Bo)およびd軌道エネルギーレベル差
    (平均ΔMd) を求め、それぞれの値を耐熱性およびリ
    チウム耐食性に応じて予め決定された範囲内にくるよう
    に、添加すべき合金元素の種類および含有量を定めるこ
    とを特徴とする、液体リチウムに対する耐食性に優れた
    Nb基合金の製造方法。 平均Bo =ΣBo i ・Ci ・・・(1) 平均ΔMd=Σ|Mdi −MdNb|・Ci ・・・ (2) ただし、Bo i はi元素の結合次数、Ci はi元素の原
    子分率、Mdi はi元素のMd、MdNbはNbのMdで
    ある。
  2. 【請求項2】 DV−Xαクラスター法によって求めら
    れたNb との結合次数 (Bo)およびd軌道エネルギーレ
    ベル (Md)から、下記の(1) 式、(2) 式によって求めた
    組成平均の結合次数 (平均Bo)およびd軌道エネルギー
    レベル差 (平均ΔMd) が下記(3) 式および(4) 式の範
    囲内にくるように選んだ種類、含有量の1種類または2
    種類以上の合金元素を含むことを特徴とする、耐熱性、
    液体リチウムに対する耐食性に優れたNb基合金の設計方
    法。 平均Bo =ΣBo i ・Ci ・・・(1) 平均ΔMd=Σ|Mdi −MdNb|・Ci ・・・(2) 5.865≦平均Bo ≦5.890 ・・・(3) 0<平均ΔMd≦0.05 ・・・(4) ただし、Taは含まず、またZrが添加される場合には、そ
    の添加量を1at%未満とする。また、Boi はi元素の
    結合次数、Ci はi元素の前項の(3) 、(4) の条件を満
    たし原子分率、Mdi はi元素のMd、MdNbはNbの
    Mdである。
  3. 【請求項3】 DV−Xαクラスター法によって求めら
    れたNb との結合次数 (Bo)およびd軌道エネルギーレ
    ベル (Md)から、下記の(1) 式、(2) 式によって求めた
    組成平均の結合次数 (平均Bo)およびd軌道エネルギー
    レベル差 (平均ΔMd) が下記(3) 式および(4) 式の範
    囲内にくる、原子%で、Hf:6.6 %以下、Nb:残部およ
    び不可避的不純物元素からなる耐熱性、液体リチウムに
    対する耐食性に優れ溶製されたNb基合金。 平均Bo =ΣBo i ・Ci ・・・(1) 平均ΔMd=Σ|Mdi −MdNb|・Ci ・・・(2) 5.865≦平均Bo ≦5.890 ・・・(3) 0<平均ΔMd≦0.05 ・・・(4)
  4. 【請求項4】 DV−Xαクラスター法によって求めら
    れたNb との結合次数 (Bo)およびd軌道エネルギーレ
    ベル (Md)から、下記の(1) 式、(2) 式によって求めた
    組成平均の結合次数 (平均Bo)およびd軌道エネルギー
    レベル差 (平均ΔMd) が下記(3) 式および(4) 式の範
    囲内にくる、原子%で、W:10.9%以下、Hf:6.6 %以
    下、Nb:残部および不可避的不純物元素からなる耐熱
    性、液体リチウムに対する耐食性に優れ溶製されたNb基
    合金。 平均Bo =ΣBo i ・Ci ・・・(1) 平均ΔMd=Σ|Mdi −MdNb|・Ci ・・・(2) 5.865≦平均Bo ≦5.890 ・・・(3) 0<平均ΔMd≦0.05 ・・・(4)
  5. 【請求項5】 DV−Xαクラスター法によって求めら
    れたNb との結合次数 (Bo)およびd軌道エネルギーレ
    ベル (Md)から、下記の(1) 式、(2) 式によって求めた
    組成平均の結合次数 (平均Bo)およびd軌道エネルギー
    レベル差 (平均ΔMd) が下記(3) 式および(4) 式の範
    囲内にくる、原子%で、さらに、Yおよび/またはZrを
    合計量で0.01〜0.9 %含有する請求項3または4に記載
    のNb基合金。 平均Bo =ΣBo i ・Ci ・・・(1) 平均ΔMd=Σ|Mdi −MdNb|・Ci ・・・(2) 5.865≦平均Bo ≦5.890 ・・・(3) 0<平均ΔMd≦0.05 ・・・(4)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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井上ら"原子力システム用超耐熱ニオブ基合金の設計"日本金属学会誌,第58巻第7号(1994)P.826−834
加藤ら"原子力システム用超耐熱モリブデン基合金の設計"日本金属学会誌,第57巻第2号(1993)P.233−240

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