JP3166244B2 - 電動機の速度制御装置 - Google Patents
電動機の速度制御装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は速度検出器にパルスエ
ンコーダを用いた速度制御系の極低速域における電動機
の速度制御装置に関するものである。
ンコーダを用いた速度制御系の極低速域における電動機
の速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パルスエンコーダを用いた電動機の速度
制御系では極低速域において、エンコーダパルス間隔が
速度制御周期より長くなり、その速度制御周期において
正確な速度情報が得られなくなる。このため、極低速域
では速度制御系が以下に述べるように不安定になること
が知られている。
制御系では極低速域において、エンコーダパルス間隔が
速度制御周期より長くなり、その速度制御周期において
正確な速度情報が得られなくなる。このため、極低速域
では速度制御系が以下に述べるように不安定になること
が知られている。
【0003】電動機の回転軸に連結されたパルスエンコ
ーダは電動機の低速域で図8(c)に示すようなパルス
を発生する。すなわち、電動機の低速域での時間tに対
する回転速度nMは図8(a)に示すように直線的に変
化するが、時間tに対する位置θは図8(b)に示すよ
うに曲線的に変化する。従って、パルスエンコーダに得
られるパルスは時間tの経過とともにパルス間隔が図8
(c)のように狭くなってくる。図8(c)のパルス情
報からその情報が変化したときに、パルス間隔Tpjとパ
ルス変化量とによりパルス間隔Tpj間の平均速度nMjが
図8(d)に示すように求まる。このため、パルス間隔
Tpjが速度制御周期より長いと、この間の速度が検出で
きないため、前回値の平均速度nMj-1を使用する。その
ため真値速度nMとの偏差が大きくなり、速度制御が不
安定となる。
ーダは電動機の低速域で図8(c)に示すようなパルス
を発生する。すなわち、電動機の低速域での時間tに対
する回転速度nMは図8(a)に示すように直線的に変
化するが、時間tに対する位置θは図8(b)に示すよ
うに曲線的に変化する。従って、パルスエンコーダに得
られるパルスは時間tの経過とともにパルス間隔が図8
(c)のように狭くなってくる。図8(c)のパルス情
報からその情報が変化したときに、パルス間隔Tpjとパ
ルス変化量とによりパルス間隔Tpj間の平均速度nMjが
図8(d)に示すように求まる。このため、パルス間隔
Tpjが速度制御周期より長いと、この間の速度が検出で
きないため、前回値の平均速度nMj-1を使用する。その
ため真値速度nMとの偏差が大きくなり、速度制御が不
安定となる。
【0004】上記のような速度制御の不安定を改善する
手段として特開平2−307384号公報がある。
手段として特開平2−307384号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにパルスエ
ンコーダを用いた速度制御系では極低速域で速度制御系
が不安定になる。この問題は特にサーボ、エレベータ等
の位置決め精度が要求される用途では解決しなければな
らない。このため、従来ではレゾルバや高パルス出力の
エンコーダが用いられてきた。しかし、このような手段
ではエンコーダ等のコストが上昇する不具合がある。ま
た、特開平2−307384号公報に記載の負荷トルク
推定値を用いる手段は完全次元オブザーバ方式であるた
めにゲインの調整が極めてむずかしい問題がある。
ンコーダを用いた速度制御系では極低速域で速度制御系
が不安定になる。この問題は特にサーボ、エレベータ等
の位置決め精度が要求される用途では解決しなければな
らない。このため、従来ではレゾルバや高パルス出力の
エンコーダが用いられてきた。しかし、このような手段
ではエンコーダ等のコストが上昇する不具合がある。ま
た、特開平2−307384号公報に記載の負荷トルク
推定値を用いる手段は完全次元オブザーバ方式であるた
めにゲインの調整が極めてむずかしい問題がある。
【0006】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、低分解能のパルスエンコーダを用いて極低速域の
電動機の速度制御を円滑に行うことができるようにした
電動機の速度制御装置を提供することを目的とする。
ので、低分解能のパルスエンコーダを用いて極低速域の
電動機の速度制御を円滑に行うことができるようにした
電動機の速度制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するために、電動機と、この電動機の速度をパルス
出力として送出する速度検出器と、最小次元の負荷トル
ク推定値オブザーバを速度制御周期と速度検出周期とに
おける離散系モデルに変換し、前記速度検出器から出力
されるパルス間隔での速度を推定する速度推定オブザー
バとを備えた電動機の速度制御装置において、前記速度
推定オブザーバは、トルク指令と負荷トルク推定値との
偏差をオブザーバモデル機械時定数で積分したモデル出
力推定値を得る第1演算部と、この第1演算部で得られ
たモデル出力推定値からパルス間隔における平均値を得
る第2演算部と、この第2演算部の出力と速度検出器か
ら出力されるパルス変化時に求まる平均値速度との偏差
を算出する第1偏差部と、この第1偏差部に得られる偏
差値をオブザーバゲイン倍して前記負荷トルク推定値を
得るオブザーバゲイン部と、前記第1演算部のモデル出
力推定値と前記第1偏差部の偏差値との偏差を求める第
2偏差部と、この第2偏差部で求められた速度推定値と
速度設定値との偏差を求める第3偏差部と、この第3偏
差部で求められた偏差値が供給される速度アンプと、こ
の速度アンプの出力と前記オブザーバゲイン部の負荷ト
ルク推定値とを加算してトルク指令を得る加算部とから
なり、前記速度検出器から出力されるパルスが入力され
るまで速度制御周期毎に予測速度を演算する予測速度演
算部と、この演算部で演算された予測速度と前記第2偏
差部で求められた速度推定値が供給され、第2偏差部か
ら出力される速度推定値が予測速度より大きくなったと
き、オン出力を送出し、予測速度が速度推定値より大き
いか等しくなったとき、オフ出力を送出するコンパレー
タと、このコンパレータがオン出力を送出したときは、
予測速度を第3偏差部に供給し、コンパレータがオフ出
力を送出したときは、速度推定値を第3偏差部に供給す
る切換接点とを備えたものである。
達成するために、電動機と、この電動機の速度をパルス
出力として送出する速度検出器と、最小次元の負荷トル
ク推定値オブザーバを速度制御周期と速度検出周期とに
おける離散系モデルに変換し、前記速度検出器から出力
されるパルス間隔での速度を推定する速度推定オブザー
バとを備えた電動機の速度制御装置において、前記速度
推定オブザーバは、トルク指令と負荷トルク推定値との
偏差をオブザーバモデル機械時定数で積分したモデル出
力推定値を得る第1演算部と、この第1演算部で得られ
たモデル出力推定値からパルス間隔における平均値を得
る第2演算部と、この第2演算部の出力と速度検出器か
ら出力されるパルス変化時に求まる平均値速度との偏差
を算出する第1偏差部と、この第1偏差部に得られる偏
差値をオブザーバゲイン倍して前記負荷トルク推定値を
得るオブザーバゲイン部と、前記第1演算部のモデル出
力推定値と前記第1偏差部の偏差値との偏差を求める第
2偏差部と、この第2偏差部で求められた速度推定値と
速度設定値との偏差を求める第3偏差部と、この第3偏
差部で求められた偏差値が供給される速度アンプと、こ
の速度アンプの出力と前記オブザーバゲイン部の負荷ト
ルク推定値とを加算してトルク指令を得る加算部とから
なり、前記速度検出器から出力されるパルスが入力され
るまで速度制御周期毎に予測速度を演算する予測速度演
算部と、この演算部で演算された予測速度と前記第2偏
差部で求められた速度推定値が供給され、第2偏差部か
ら出力される速度推定値が予測速度より大きくなったと
き、オン出力を送出し、予測速度が速度推定値より大き
いか等しくなったとき、オフ出力を送出するコンパレー
タと、このコンパレータがオン出力を送出したときは、
予測速度を第3偏差部に供給し、コンパレータがオフ出
力を送出したときは、速度推定値を第3偏差部に供給す
る切換接点とを備えたものである。
【0008】
【作用】電動機速度が低速域になると、速度検出器から
のパルス間隔が速度制御周期より長くなって、正確な速
度情報が得られなくなる。このため、最小次元の負荷ト
ルク推定値オブザーバを用いてパルス間の速度を推定し
て速度推定値を得るとともに、この速度推定値が予測速
度より大きくなったとき、予測速度を速度情報として電
動機を極低速度で始動させる。
のパルス間隔が速度制御周期より長くなって、正確な速
度情報が得られなくなる。このため、最小次元の負荷ト
ルク推定値オブザーバを用いてパルス間の速度を推定し
て速度推定値を得るとともに、この速度推定値が予測速
度より大きくなったとき、予測速度を速度情報として電
動機を極低速度で始動させる。
【0009】
【実施例】以下この発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。まず、従来より用いられている負荷トルク推定
オブザーバ(最小次元オブザーバ)を用いた零速オブザ
ーバについて述べる。
明する。まず、従来より用いられている負荷トルク推定
オブザーバ(最小次元オブザーバ)を用いた零速オブザ
ーバについて述べる。
【0010】(A)速度推定の原理、最小次元オブザー
バによる負荷トルク推定オブザーバは図1に示すような
構成となっている。最小次元オブザーバではオブザーバ
ゲインgは比例要素のみとなるので、負荷トルクτLが
印加されるとモデル出力推定値と速度nMとに偏差が発
生する。偏差は次式(1)式、(2)式で表わされる。
バによる負荷トルク推定オブザーバは図1に示すような
構成となっている。最小次元オブザーバではオブザーバ
ゲインgは比例要素のみとなるので、負荷トルクτLが
印加されるとモデル出力推定値と速度nMとに偏差が発
生する。偏差は次式(1)式、(2)式で表わされる。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】完全次元オブザーバではオブザーバゲイン
gがPI要素となるので、定常状態ではモデル出力推定
値と速度nMは等しくなる。ただし、負荷急変時のよう
な過渡時には成立しない。完全次元オブザーバより調整
要素が少ない最小次元オブザーバを用いて速度推定を行
うには(2)式を変形すると速度は次式のようになる。
gがPI要素となるので、定常状態ではモデル出力推定
値と速度nMは等しくなる。ただし、負荷急変時のよう
な過渡時には成立しない。完全次元オブザーバより調整
要素が少ない最小次元オブザーバを用いて速度推定を行
うには(2)式を変形すると速度は次式のようになる。
【0014】
【数3】
【0015】(3)式の関係を図1に追加して速度を図
2のブロック図より推定する。
2のブロック図より推定する。
【0016】(B)零速域での速度推定、速度検出器と
してパルスエンコーダを用いると、極低速域では速度制
御周期よりもエンコーダパルス間隔の方が長くなる。図
3にその関係を示す。図3において、Tsは速度制御周
期、Tpはエンコーダパルスの周期、TdはTsとTp
との差である。エンコーダパルスが入力されると、その
パルス周期Tpより速度の平均値は次の(4)式から求
まる。
してパルスエンコーダを用いると、極低速域では速度制
御周期よりもエンコーダパルス間隔の方が長くなる。図
3にその関係を示す。図3において、Tsは速度制御周
期、Tpはエンコーダパルスの周期、TdはTsとTp
との差である。エンコーダパルスが入力されると、その
パルス周期Tpより速度の平均値は次の(4)式から求
まる。
【0017】
【数4】
【0018】速度検出値は平均値しか検出できないの
で、オブザーバの構成もこのことを考慮して図4のよう
な離散系で構成する。この図4の最小次元オブザーバに
よる零速オブザーバの構成図において、速度検出値は平
均値であるため、モデル出力推定値もこの間の平均値と
する。この平均値の偏差を用いて負荷トルク推定値を推
定する。パルス間隔における速度平均値は次の(5)式
で求める。
で、オブザーバの構成もこのことを考慮して図4のよう
な離散系で構成する。この図4の最小次元オブザーバに
よる零速オブザーバの構成図において、速度検出値は平
均値であるため、モデル出力推定値もこの間の平均値と
する。この平均値の偏差を用いて負荷トルク推定値を推
定する。パルス間隔における速度平均値は次の(5)式
で求める。
【0019】
【数5】
【0020】ここで図4に示した最小次元オブザーバに
よる零速オブザーバを用いたこの発明の実施例について
述べる。図5はこの発明の一実施例を示すもので、図4
に示した構成図に偏差器、速度アンプ、加算器、予測速
度演算部、カウンタ、コンパレータ、切換接点および立
上り検出部を設けたものである。
よる零速オブザーバを用いたこの発明の実施例について
述べる。図5はこの発明の一実施例を示すもので、図4
に示した構成図に偏差器、速度アンプ、加算器、予測速
度演算部、カウンタ、コンパレータ、切換接点および立
上り検出部を設けたものである。
【0021】図5において、トルク指令τM※(i)と
負荷トルク推定値は偏差器11に供給されて、その偏差
出力が第1演算部12に入力される。第1演算部12は
速度制御周期Tsをモデル機械時定数TM※で割算した
割算部12aと、この割算部12aの出力と積分器12
cの出力とを加算した加算器12bとから構成されてい
る。第1演算部12で演算されて得られたモデル出力推
定値はパルス間隔における平均値を得る第2演算部13
に入力される。第2演算部13で演算された出力(パル
ス間隔における平均値)は第1偏差部14のプラス入力
端に供給され、そのマイナス入力端にはパルスエンコー
ダ15により検出された速度検出出力の平均値が供給さ
れる。
負荷トルク推定値は偏差器11に供給されて、その偏差
出力が第1演算部12に入力される。第1演算部12は
速度制御周期Tsをモデル機械時定数TM※で割算した
割算部12aと、この割算部12aの出力と積分器12
cの出力とを加算した加算器12bとから構成されてい
る。第1演算部12で演算されて得られたモデル出力推
定値はパルス間隔における平均値を得る第2演算部13
に入力される。第2演算部13で演算された出力(パル
ス間隔における平均値)は第1偏差部14のプラス入力
端に供給され、そのマイナス入力端にはパルスエンコー
ダ15により検出された速度検出出力の平均値が供給さ
れる。
【0022】第1偏差部14の偏差出力はオブザーバゲ
イン部16に供給され、ここで所定倍されて出力に負荷
トルク推定値を得る。また、第1偏差部14の偏差出力
は第2偏差部17のマイナス入力端に供給される。第2
偏差部17のプラス入力端にはモデル出力推定値が供給
され、その出力には速度推定値が得られる。この速度推
定値は電動機の速度が極低速域にあるときに動作するコ
ンパレータ23の第1入力端に供給される。コンパレー
タ23の第2入力端には予測速度演算部24からの予測
速度が供給される。予測速度演算部24はカウンタ25
が計数するパルス(図示しない発振器等から送出され
る)の速度制御周期Ts毎に次の(6)式で予測速度の
演算を行うものである。
イン部16に供給され、ここで所定倍されて出力に負荷
トルク推定値を得る。また、第1偏差部14の偏差出力
は第2偏差部17のマイナス入力端に供給される。第2
偏差部17のプラス入力端にはモデル出力推定値が供給
され、その出力には速度推定値が得られる。この速度推
定値は電動機の速度が極低速域にあるときに動作するコ
ンパレータ23の第1入力端に供給される。コンパレー
タ23の第2入力端には予測速度演算部24からの予測
速度が供給される。予測速度演算部24はカウンタ25
が計数するパルス(図示しない発振器等から送出され
る)の速度制御周期Ts毎に次の(6)式で予測速度の
演算を行うものである。
【0023】
【数6】
【0024】カウンタ25はパルスエンコーダ15によ
り検出された速度検出パルス(周期Tp)の立上りを立
上り検出部26で検出し、その出力でリセットされる。
カウンタ25がリセットされると、上記(6)式の計算
値は無限大になり、後述のように切換接点27はオフに
なる。従って、カウンタ25はリセットされるまで予測
速度演算部24に出力を送る。演算部24で演算された
予測速度はコンパレータ23に供給される。コンパレー
タ23は予測速度と速度推定値とを比較し、速度推定値
が予測速度より大きいときに、コンパレータ23からリ
レーの切換接点27をオフ側からオン側に切換える出力
を送出し、速度推定値が予測速度より小さいときか、等
しいときに、リレーの切換接点27はオン側からオフ側
に切換えられる。このため、第3偏差部18のマイナス
入力端には電動機が極低速域にあるとき、切換接点27
を介して予測速度が供給される。一方、第3偏差部18
のプラス入力端には速度設定値nM※(i)が供給さ
れ、第3偏差部18の偏差出力が比例ゲインKWCの速度
アンプ19に供給される。速度アンプ19の出力と負荷
トルク推定値は加算器20で加算してトルク指令τM※
を得る。このトルク指令τM※は第4偏差部21で負荷
トルクとの偏差を取って電動機22に供給してそれの速
度制御を行う。なお、電動機22の高速域では(6)式
の予測速度が実速度より極めて大きくなるので、リレー
の切換接点はオフ側に切換わったままになる。
り検出された速度検出パルス(周期Tp)の立上りを立
上り検出部26で検出し、その出力でリセットされる。
カウンタ25がリセットされると、上記(6)式の計算
値は無限大になり、後述のように切換接点27はオフに
なる。従って、カウンタ25はリセットされるまで予測
速度演算部24に出力を送る。演算部24で演算された
予測速度はコンパレータ23に供給される。コンパレー
タ23は予測速度と速度推定値とを比較し、速度推定値
が予測速度より大きいときに、コンパレータ23からリ
レーの切換接点27をオフ側からオン側に切換える出力
を送出し、速度推定値が予測速度より小さいときか、等
しいときに、リレーの切換接点27はオン側からオフ側
に切換えられる。このため、第3偏差部18のマイナス
入力端には電動機が極低速域にあるとき、切換接点27
を介して予測速度が供給される。一方、第3偏差部18
のプラス入力端には速度設定値nM※(i)が供給さ
れ、第3偏差部18の偏差出力が比例ゲインKWCの速度
アンプ19に供給される。速度アンプ19の出力と負荷
トルク推定値は加算器20で加算してトルク指令τM※
を得る。このトルク指令τM※は第4偏差部21で負荷
トルクとの偏差を取って電動機22に供給してそれの速
度制御を行う。なお、電動機22の高速域では(6)式
の予測速度が実速度より極めて大きくなるので、リレー
の切換接点はオフ側に切換わったままになる。
【0025】上記のように構成された実施例において、
トルク指令τM※(i)と負荷トルク推定値との偏差を
オブザーバモデル機械時定数TM※で積分してモデル出
力推定値を得る。次にこの推定値からパルス間隔におけ
る平均値を求め、パルス変化時に求まる速度平均値との
偏差を算出する。この偏差をオブザーバゲイン(g)倍
して負荷トルク推定値を求める。その後、オブザーバモ
デル出力推定値と第1偏差部14の出力との偏差を第2
偏差部17で求めることによりパルス間の速度を推定し
て速度推定値を得る。
トルク指令τM※(i)と負荷トルク推定値との偏差を
オブザーバモデル機械時定数TM※で積分してモデル出
力推定値を得る。次にこの推定値からパルス間隔におけ
る平均値を求め、パルス変化時に求まる速度平均値との
偏差を算出する。この偏差をオブザーバゲイン(g)倍
して負荷トルク推定値を求める。その後、オブザーバモ
デル出力推定値と第1偏差部14の出力との偏差を第2
偏差部17で求めることによりパルス間の速度を推定し
て速度推定値を得る。
【0026】この速度推定値はコンパレータ23の第1
入力端に供給され、この速度推定値がコンパレータ23
の第2入力端に供給される予測速度演算部24の予測速
度より小なくなるか、等しくなるときに、リレーの切換
接点27はオン側からオフ側に切換わり、速度推定値が
予測速度より大きくなると、リレーの切換接点27は図
示とは異なる接点(ON側)に切換えられる。予測速度
は図6に示すように、(6)式からi回目まで演算され
ると、この予測速度は実速度nより大きくなる。すなわ
ち、実速度n<予測速度<速度推定値になると、その時
点でコンパレータ23からリレーの切換出力が送出され
て切換接点27は図示とは異なる接点(ON側)に切換
接続される。これにより、第3偏差部18のマイナス入
力端には速度推定値に替わって予測速度が供給される。
これを図示したものが、図7で、実線は速度推定値のカ
ーブで、点線が予測速度のカーブであり、一点鎖線は速
度予測値を変更したときのカーブである。従って、極低
速域では当初速度推定値のカーブに従って電動機は駆動
されるが、速度推定値が予測速度より大きく(時点
t1,t2)なると、電動機は図7の一点鎖線で示す速度
(予測速度と同じ)によって運転されるようになる。こ
のため、電動機は極めて円滑に始動されるようになる。
図7はこの様子を示す特性図で、速度検出周期Tpによ
りカウンタ25がリセットされるので、次第に電動機の
速度が増加して行くことを示したものである。
入力端に供給され、この速度推定値がコンパレータ23
の第2入力端に供給される予測速度演算部24の予測速
度より小なくなるか、等しくなるときに、リレーの切換
接点27はオン側からオフ側に切換わり、速度推定値が
予測速度より大きくなると、リレーの切換接点27は図
示とは異なる接点(ON側)に切換えられる。予測速度
は図6に示すように、(6)式からi回目まで演算され
ると、この予測速度は実速度nより大きくなる。すなわ
ち、実速度n<予測速度<速度推定値になると、その時
点でコンパレータ23からリレーの切換出力が送出され
て切換接点27は図示とは異なる接点(ON側)に切換
接続される。これにより、第3偏差部18のマイナス入
力端には速度推定値に替わって予測速度が供給される。
これを図示したものが、図7で、実線は速度推定値のカ
ーブで、点線が予測速度のカーブであり、一点鎖線は速
度予測値を変更したときのカーブである。従って、極低
速域では当初速度推定値のカーブに従って電動機は駆動
されるが、速度推定値が予測速度より大きく(時点
t1,t2)なると、電動機は図7の一点鎖線で示す速度
(予測速度と同じ)によって運転されるようになる。こ
のため、電動機は極めて円滑に始動されるようになる。
図7はこの様子を示す特性図で、速度検出周期Tpによ
りカウンタ25がリセットされるので、次第に電動機の
速度が増加して行くことを示したものである。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
速度設定値と速度推定値との見かけ上のつりあい状態を
無くすことにより、実速度の立つ上がりを速くするとと
もに電動機始動時の極低速域での速度制御が円滑にでき
るようにした。
速度設定値と速度推定値との見かけ上のつりあい状態を
無くすことにより、実速度の立つ上がりを速くするとと
もに電動機始動時の極低速域での速度制御が円滑にでき
るようにした。
【図1】速度推定の原理説明のブロック図、
【図2】速度推定の原理説明のブロック図、
【図3】エンコーダパルスと速度制御周期の関係を示す
説明図、
説明図、
【図4】最小次元オブザーバによる零速オブザーバの構
成図、
成図、
【図5】この発明の一実施例を示す構成説明図、
【図6】予測速度算出手段を述べるためのタイムチャー
ト、
ト、
【図7】図6により算出された予測速度で速度推定値を
補正したときの特性図、
補正したときの特性図、
【図8】(a)は時間対速度の関係を示す特性図、
(b)は時間対位置の関係を示す特性図、(c)は時間
対パルス数の関係を示す特性図、(d)は時間対速度平
均の検出値を示す特性図。
(b)は時間対位置の関係を示す特性図、(c)は時間
対パルス数の関係を示す特性図、(d)は時間対速度平
均の検出値を示す特性図。
12…第1演算部、13…第2演算部、14…第1偏差
部、15…パルスエンコーダ、16…オブザーバゲイ
ン、17…第2偏差部、18…第3偏差部、19…速度
アンプ、20…加算器、21…第4偏差部、22…電動
機、23…コンパレータ、24…予測速度演算部、25
…カウンタ、26…パルス立上り検出部、27…切換接
点。
部、15…パルスエンコーダ、16…オブザーバゲイ
ン、17…第2偏差部、18…第3偏差部、19…速度
アンプ、20…加算器、21…第4偏差部、22…電動
機、23…コンパレータ、24…予測速度演算部、25
…カウンタ、26…パルス立上り検出部、27…切換接
点。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−49281(JP,A) 特開 平2−307384(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/00 - 5/52
Claims (1)
- 【請求項1】 電動機と、この電動機の速度をパルス出
力として送出する速度検出器と、最小次元の負荷トルク
推定値オブザーバを速度制御周期と速度検出周期とにお
ける離散系モデルに変換し、前記速度検出器から出力さ
れるパルス間隔での速度を推定する速度推定オブザーバ
とを備えた電動機の速度制御装置において、 前記速度推定オブザーバは、トルク指令と負荷トルク推
定値との偏差をオブザーバモデル機械時定数で積分した
モデル出力推定値を得る第1演算部と、この第1演算部
で得られたモデル出力推定値からパルス間隔における平
均値を得る第2演算部と、この第2演算部の出力と速度
検出器から出力されるパルス変化時に求まる平均値速度
との偏差を算出する第1偏差部と、この第1偏差部に得
られる偏差値をオブザーバゲイン倍して前記負荷トルク
推定値を得るオブザーバゲイン部と、前記第1演算部の
モデル出力推定値と前記第1偏差部の偏差値との偏差を
速度推定値として求める第2偏差部とからなり、前記 第2偏差部で求められた速度推定値と速度設定値と
の偏差を求める第3偏差部と、この第3偏差部で求めら
れた偏差値が供給される速度アンプと、この速度アンプ
の出力と前記オブザーバゲイン部の負荷トルク推定値と
を加算してトルク指令を得る加算部と、前記速度検出器
から出力されるパルスが入力されるまで速度制御周期毎
に下記式で速度予測を行う予測速度演算部と、この演算
部で演算された予測速度と前記第2偏差部で求められた
速度推定値が供給され、第2偏差部から出力される速度
推定値が予測速度より大きくなったとき、オン出力を送
出し、速度推定値が予測速度より小さいか等しくなった
とき、オフ出力を送出するコンパレータと、このコンパ
レータがオン出力を送出したときは予測速度を、コンパ
レータがオフ出力を送出したときは、速度推定値を前記
第3偏差部のマイナス入力端に供給する切換接点とを備
え、電動機は極低速域では当初速度推定値で駆動され、
速度推定値が予測速度より大きくなると予測速度で運転
されることを特徴とする電動機の速度制御装置。 【数7】
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30579191A JP3166244B2 (ja) | 1991-11-21 | 1991-11-21 | 電動機の速度制御装置 |
TW81103905A TW221535B (ja) | 1991-05-20 | 1992-05-19 | |
EP19920108454 EP0514847B1 (en) | 1991-05-20 | 1992-05-19 | System and method for controlling speed of electric motor in extremely low speed range using rotary pulse encoder |
DE69218826T DE69218826T2 (de) | 1991-05-20 | 1992-05-19 | System und Verfahren zur Geschwindigkeitsregelung von elektrischen Motoren in extrem niedrigen Geschwindigkeitsbereichen unter Verwendung eines rotierenden Pulskodierers |
US07/885,763 US5325460A (en) | 1991-05-20 | 1992-05-20 | System and method for controlling the speed of an electric motor in an extremely low speed range using a rotary pulse encoder |
KR1019920008521A KR950014759B1 (ko) | 1991-05-20 | 1992-05-20 | 회전 펄스 인코더를 사용하여 극히 저속의 범위에서 전기 모터의 속도를 제어하기 위한 시스템 및 방법 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30579191A JP3166244B2 (ja) | 1991-11-21 | 1991-11-21 | 電動機の速度制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05146188A JPH05146188A (ja) | 1993-06-11 |
JP3166244B2 true JP3166244B2 (ja) | 2001-05-14 |
Family
ID=17949403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30579191A Expired - Fee Related JP3166244B2 (ja) | 1991-05-20 | 1991-11-21 | 電動機の速度制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3166244B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7733044B2 (en) | 2005-02-24 | 2010-06-08 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | IPM motor system and control method thereof |
-
1991
- 1991-11-21 JP JP30579191A patent/JP3166244B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05146188A (ja) | 1993-06-11 |
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