JP3163902U - 圧力容器 - Google Patents

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重治 赤塚
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Abstract

【課題】本考案の目的は、ボルトなどの固定具を使用せずに内筒を外筒に固定し、白金族金属からなるフランジの大きさを必要最低限とした圧力容器を提供することである。【解決手段】本考案に係る圧力容器901は、耐圧耐熱合金からなる外筒81,91と外筒81,91内に配置される白金族金属又は白金族金属合金からなる内筒83,93とを備える圧力容器において、内筒が、外筒の内表面を被覆する被覆部86,96と被覆部の端部から全周にわたって遠心方向に延設したフランジ84,94とを有し、かつ、少なくともフランジで外筒に固定されており、外筒の内表面のうち、内筒を固定する部分の表面が、白金族金属を含有する皮膜70で被覆されており、内筒の外筒への固定が、内筒の白金族金属元素と皮膜の白金族金属元素とが拡散した拡散接合だけによる固定であり、固定具を使用しない。【選択図】図1

Description

本考案は、ボルトなどの固定具を使用せずに内筒を外筒に固定する圧力容器に関する。
水熱合成法及び安熱合成法は、高温高圧の溶媒中で溶解、分解、結晶成長などの化学反応を行なう方法である。水熱合成法は、溶媒として水、アルカリ水溶液又は酸水溶液を用いる方法である。安熱合成法は、溶媒としてアンモニア(塩化アンモニウム)を用いる方法である。これらの方法には、オートクレーブと呼ばれる圧力容器が使用される。
水熱合成法及び安熱合成法は、反応効率の向上、難分解物質又は難溶解物質の反応を目的として、臨界点近傍の100〜400℃及び100〜300気圧程度で行なわれることがある。近年、水熱合成法及び安熱合成法は、更なる反応効率の向上、臨界点近傍では分解又は溶解ができなかった物質の反応を目的として、臨界点を遥かに超えた超高温超高圧条件、例えば、800℃及び4000気圧での実験が行なわれており、その条件は更に過酷になることが予想される。このような条件においては、圧力容器には、例えば、室温から1000℃の超高温及び1〜5000気圧の超高圧での使用に耐えることが求められる。
圧力容器を用いて合成される単結晶は、水熱合成法では、例えば、人工水晶、酸化亜鉛であり、安熱合成法では、例えば、窒化ガリウムである。これらの単結晶は、各種光学、電子素子などの用途に利用され、高い純度が要求される。したがって、圧力容器の内表面は、超高温超高圧状態で不純物が溶出しないことが求められる。そこで、外筒と該外筒の内部に設ける耐食性に優れた白金族金属、金などの貴金属からなる内筒とを備えた2層構造の圧力容器が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2006−193355号公報
図6は、従来の圧力容器の一例を示す断面図である。図6に示すように、圧力容器100は、本体10と蓋20とを有する。本体10は、一端が開口した有底筒状であり、外筒11(以降、下外筒という。)と内筒(以降、下内筒という。)13との2層構造である。下内筒13は、白金族金属、金などの貴金属からなり、本体の内面を被覆する被覆部(以降、下被覆部という。)16と本体の開口部外周縁全周に設けられたフランジ(以降、下フランジという。)14とを有する。蓋20は、本体10の開口部を閉鎖できる形状であり、外筒(以降、上外筒という。)21と内筒(以降、上内筒という。)23との2層構造である。上内筒23は、白金族金属、金などの貴金属からなり、蓋の内面を被覆する被覆部(以降、上被覆部という。)26と下フランジ14に対応する位置に設けられた肉厚部(以降、上フランジという。)24とを有する。下フランジ14と上フランジ24とは、環状のガスケット71を介して、ナット、クランプなどの締結具72によって固定して開口部を密封する構造となっている。圧力容器密封時のシール部を構成する下フランジ14及び上フランジ24には、大きな圧力がかかるため、肉厚に形成されている。
前述のとおり、下フランジ14又は上フランジ24は、貴金属で肉厚に形成されているため、非常に高額であり、必要最低限の大きさで形成して、その金額を抑えることが望まれている。図7は、図6に示す圧力容器のシール部を示す部分拡大断面図であり、(a)は断面図、(b)は開口時における(a)のA‐A方向から見た下フランジの平面図である。図7に示すように、従来、下内筒13は、下フランジ14で、ボルトなどの固定具40を用いて下外筒11に固定されている。上内筒23も同様に、上フランジ24で、ボルトなどの固定具40を用いて上外筒21に固定されている。したがって、従来の固定方法では、下フランジ14又は上フランジ24の大きさは、シールを行うのに最低限必要な部分の他に、ボルト穴を設けるための糊代部分Eを拡大せざるを得ない。
本考案の目的は、ボルトなどの固定具を使用せずに内筒を外筒に固定し、白金族金属からなるフランジの大きさを必要最低限とした圧力容器を提供することである。
本考案に係る圧力容器は、耐圧耐熱合金からなる外筒と該外筒内に配置される白金族金属又は白金族金属合金からなる内筒とを備える圧力容器において、前記内筒が、前記外筒の内表面を被覆する被覆部と該被覆部の端部から全周にわたって遠心方向に延設したフランジとを有し、かつ、少なくとも前記フランジで前記外筒に固定されており、前記外筒の内表面のうち、前記内筒を固定する部分の表面が、白金族金属を含有する皮膜で被覆されており、前記内筒の前記外筒への固定が、前記内筒の白金族金属元素と前記皮膜の金属元素とが拡散した拡散接合だけによる固定であり、固定具を使用しないことを特徴とする。
本考案に係る圧力容器では、前記内筒が、前記被覆部となる有底筒状部品と前記フランジとなる環状部品とが接合した構造であり、前記有底筒状部品は、白金からなり、前記環状部品は、イリジウム、ルテニウム又はイリジウム若しくはルテニウムの少なくとも1種を含む合金からなり、前記環状部品の前記外筒に固定される部分の表面が、白金表面を有し、前記皮膜が、白金皮膜であることが好ましい。接合をより確実に行うことができる。
本考案は、ボルトなどの固定具を使用せずに内筒を外筒に固定し、白金族金属からなるフランジの大きさを必要最低限とした圧力容器を提供することができる。
第一形態の圧力容器を示す断面図である。 図1に示す第一形態の圧力容器のシール部を示す部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は開口時における(a)のB‐B方向から見た下フランジの平面図である。 第二形態の圧力容器のシール部を示す部分拡大断面図である。 第三形態の圧力容器のシール部を示す部分拡大断面図であり、(a)は接合後の状態、(b)は接合前の状態を示す。 接合前のシール部の状態を示す図であり、(a)は第四形態の圧力容器であり、(b)は第五形態の圧力容器である。 従来の圧力容器の一例を示す断面図である。 図6に示す圧力容器のシール部を示す部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は開口時における(a)のA‐A方向から見た下フランジの平面図である。
次に本考案について実施形態を示して詳細に説明するが本考案はこれらの記載に限定して解釈されない。本考案の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
図1は、第一形態の圧力容器を示す断面図である。本考案に係る圧力容器901は、耐圧耐熱合金からなる外筒81,91と外筒81,91内に配置される白金族金属又は白金族金属合金からなる内筒83,93とを備える圧力容器において、内筒83,93が、外筒81,91の内表面を被覆する被覆部86,96と被覆部86,96の端部から全周にわたって遠心方向に延設したフランジ84,94とを有し、かつ、少なくともフランジ84,94で外筒81,91に固定されており、外筒81,91の内表面のうち、内筒83,93を固定する部分の表面が、白金族金属を含有する皮膜70で被覆されており、内筒83,93の外筒81,91への固定が、内筒83,93の白金族金属元素と皮膜70の白金族金属元素とが拡散した拡散接合だけによる固定であり、固定具を使用しない。
圧力容器901は、例えば、合成、分解、単結晶育成などの化学反応用容器として使用される。圧力容器901の基本的な構成は次のとおりである。図1において、圧力容器901は、本体80と蓋90とを有し、本体80と蓋90とをナット、クランプなどの締結具72で固定して内部を密封可能な構造を有する。本体80は、その外周部に配置したヒータ(不図示)によって加熱される。本体80は、一端が開口した有底筒状であり、下外筒81と下外筒81の内表面及び開口部外周縁にわたって配置する下内筒83との2層構造である。蓋90は、本体80の開口部を封止可能な形状を有し、上外筒91と上外筒91の内表面に配置する上内筒93との2層構造である。下外筒81及び上外筒91は、耐圧耐熱合金からなり、圧力容器の物理的強度を保持する。耐圧耐熱合金は、例えば、低合金鋼、ニッケル基合金である。
下内筒83は、下外筒81の内表面に密着又は接着する下被覆部86と下被覆部86の上端部から全周にわたって、遠心方向に延設した環状の下フランジ84とを有する。下フランジ84は、圧力容器901の開口部の外周縁に配置する。上内筒93は、上外筒91の内壁を被覆する上被覆部96と上被覆部96の端部から全周にわたって、遠心方向に延設した環状の上フランジ94とを有する。上フランジ94は、圧力容器密封時に下フランジ84と対応する位置に配置する。上被覆部96は、上フランジ94の内周面よりも内側の範囲を被覆する。下内筒83及び上内筒93の内表面は、圧力容器の使用時に、容器内に露出するが、下内筒83及び上内筒93は、白金族金属又は白金族金属合金からなるため、耐食性に優れ、不純物の溶出を抑制することができる。下フランジ84と上フランジ94とは、ガスケット71を介して線又は面で当接して、圧力容器901を密封する時のシール部を構成している(以降、該当接部分をシール箇所Sという。)。前述のとおり、下フランジ84及び上フランジ94は、高い耐圧性を要するため、下被覆部86及び上被覆部96よりも肉厚に形成することが好ましい。下被覆部86及び上被覆部96の厚さは、例えば、0.2〜5mmである。
白金族金属は、例えば、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウムである。白金族金属合金は、白金族金属と白金族金属と合金を形成する金属との合金である。白金合金は、例えば、白金−イリジウム合金、白金−ルテニウム合金、白金−ロジウム合金、白金−金合金、白金−レニウム合金である。イリジウム合金は、例えば、イリジウム−ルテニウム合金、イリジウム−白金合金、イリジウム−ロジウム合金、イリジウム−金合金、イリジウム−レニウム合金である。ルテニウム合金は、例えば、ルテニウム−イリジウム合金、ルテニウム−白金合金、ルテニウム−ロジウム合金、ルテニウム−金合金、ルテニウム−レニウム合金である。ロジウム合金は、例えば、ロジウム−イリジウム合金、ロジウム−白金合金、ロジウム−ルテニウム合金、ロジウム−金合金、ロジウム−レニウム合金である。白金族金属合金は、合金中の白金族金属の含有量が70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上である。70質量%未満では、耐食性に劣る場合がある。
ここから、図2を用いて下内筒83及び下外筒81を例にとって、下内筒83の下外筒81への固定について説明する。なお、上内筒93及び上外筒91については、上フランジ94を下フランジ84と、上被覆部96を下被覆部86と、更に上外筒91を下外筒81と置き換えて、同様に説明できる。図2は、図1に示す第一形態の圧力容器のシール部を示す部分拡大図であり、(a)は断面図、(b)は開口時における(a)のB‐B方向から見た下フランジの平面図である。
図3は、第二形態の圧力容器のシール部を示す部分拡大断面図である。図3は、下外筒81へ下内筒83を固定する部分が、下フランジ84及び下被覆部86である形態を示す。図2(a)は、下外筒81へ下内筒83を固定する部分が、下フランジ84だけである形態を示したが、本実施形態では、図3に示すように、下外筒81へ下内筒83を固定する部分が、下フランジ84及び下被覆部86の全面であることがより好ましい。図2及び図3に示すように下外筒81の内表面のうち、下内筒83を固定する部分の表面を、白金族金属を含有する皮膜70が被覆している。皮膜70が含有する白金族金属は、前記の白金族金属である。その中で、白金とすることがより好ましい。
皮膜70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、熱分解法である。熱分解法は、例えば、下外筒81の内表面のうち、下内筒83を固定する部分の表面を清浄化した後、白金族金属化合物を含有する塗布液を塗布して乾燥させて塗布層を形成し、該塗布層を熱分解して白金族金属を含有する皮膜70を形成する方法である。塗布液が含有する白金族金属化合物は、例えば、白金化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、ロジウム化合物、金化合物、レニウム化合物である。白金化合物は、例えば、塩化白金酸、ジニトロジアンミン白金である。イリジウム化合物は、例えば、塩化イリジウム、硝酸イリジウム、塩化イリジウム酸、イリジウムブトキシドなどである。ルテニウム化合物は、例えば、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ルテニウム酸、ルテニウムブトキシドなどである。ロジウム化合物は、例えば、塩化ロジウム、硝酸ロジウムである。金化合物は、例えば、塩化金酸、塩化金、シアン化金である。レニウム化合物は、例えば、塩化レニウム、硝酸レニウムである。溶媒は、特に限定されず、例えば、水、硝酸水、塩化水素水、アルコール、テレビン油などであり、又それらの混合液である。塗布液に含有させる化合物の種類は、後に行なわれる熱分解によって白金族金属を含有する皮膜70を形成できればよく、本実施形態では特に限定されない。
皮膜70の厚さは、0.1〜10μmとすることが好ましい。より好ましくは、0.3〜3μmである。当該厚さになるまで塗布層の塗布及び熱分解を複数回繰り返すことが好ましい。ポアが少なく、均一な皮膜を得ることができる。特に、下フランジ84を固定する部分には、塗布層の塗布及び熱分解を複数回繰り返すことで、より均一で、かつ、より緻密な皮膜70を形成することが好ましい。
下内筒83の下外筒81への固定は、下内筒83の白金族金属元素と皮膜70の白金族金属元素とが拡散した拡散接合だけによる固定であり、固定具を使用しない。したがって、ボルト止めの作業を省略できる。さらに、ボルトの締め付け度合いの調整が不要となり、作業性が向上することができる。また、固定具を使用して固定する従来の形態では、図7(a)及び(b)に示すように、ボルトなどの固定具40で固定するための糊代部分Eの分、下フランジ14が大きくなるところ、本実施形態に係る圧力容器901,902では、図2(a)に示すように、糊代部分Eが不要であるため、下フランジ84の小型化が可能である。
皮膜70と下内筒83とは、同じ白金族金属で形成するか、又は異なる白金族金属で形成してもよい。両者を異なる白金族金属で形成した形態として、図2及び図3には、皮膜70と下内筒83との間に境界線を表したが、皮膜70と下内筒83とを同じ白金族金属で形成した場合には、皮膜70の白金族金属元素と下内筒83の白金族金属元素とが拡散して一体化すると、皮膜70と下内筒83との境界は、見た目上消失する。
拡散接合の方法は、特に限定されないが、例えば、10〜10Paで加圧しながら900〜1500℃で加熱する。加圧方法は、均一に加圧できる方法であればよく、例えば、熱間静水圧プレス法(Hot Isostatic Pressing、HIP)、ホットプレス法、万力などを用いる方法であるが、下外筒81に皮膜70を形成した後、下内筒83を下外筒81の内部に配置し、実際に圧力容器を運転することによって、加圧及び加熱して拡散接合を行うことが、作業性をより向上できる点で、好ましい。
図4は、第三形態の圧力容器のシール部を示す部分拡大断面図であり、(a)は接合後の状態、(b)は接合前の状態を示す。第一形態の圧力容器901及び第二形態の圧力容器902は、下被覆部86と下フランジ84とが一体に加工され、接合部分をもたない形態であるが、本実施形態では、この形態に限定されない。図4(b)に示すように、下被覆部56と下フランジ54とをそれぞれ異なる材料で加工して、接合する形態であることが好ましい。すなわち、圧力容器903では、下内筒53が、下被覆部56となる有底筒状部品56´と下フランジ54となる環状部品54´とが接合した構造であり、有底筒状部品56´は、白金からなり、環状部品54´は、イリジウム、ルテニウム又はイリジウム若しくはルテニウムの少なくとも1種を含む合金からなり、環状部品54´の下外筒51に固定される部分の表面が、白金表面54aを有し、皮膜70が、白金皮膜であることが好ましい。
下被覆部56は、温度上昇によって下外筒51と下被覆部56との間で生じる膨張差に起因する下被覆部56の損傷を防止するため、白金族金属の中で特に延性が大きい白金からなることが好ましい。一方、下フランジ54には、前述のとおり、大きな圧力がかかるため、変形を防止するため、白金族金属の中でも表面硬度が高いイリジウム、ルテニウム又はイリジウム若しくはルテニウムの少なくとも1種を含む合金からなることが好ましい。したがって、下被覆部56となる有底筒状部品56´と下フランジ54となる環状部品54´とを異なる材料でそれぞれ加工し、両者を接合することで、より耐圧性に優れた圧力容器とすることができる。また、繰り返し使用しても下フランジ54の変形が少ないため、シール部の調整及び整備の頻度が少なくなり、かつ、下内筒53が長寿命となり、メンテナンスに割かれる時間及び労力を軽減できる。
イリジウムを含む合金(以降、イリジウム合金という。)は、例えば、イリジウム‐ルテニウム合金、イリジウム‐白金合金、イリジウム‐ロジウム合金、イリジウム‐金合金、イリジウム‐レニウム合金、イリジウム‐白金‐ロジウム合金、イリジウム‐白金‐レニウム合金、イリジウム‐ルテニウム‐ロジウム合金、イリジウム‐ルテニウム‐レニウム合金、イリジウム‐ルテニウム‐ロジウム‐白金合金である。ルテニウムを含む合金(以降、ルテニウム合金という。)は、例えば、ルテニウム‐イリジウム合金、ルテニウム‐白金合金、ルテニウム‐ロジウム合金、ルテニウム‐金合金、ルテニウム‐レニウム合金、ルテニウム‐白金‐ロジウム合金、ルテニウム‐白金‐レニウム合金、ルテニウム‐イリジウム‐ロジウム合金、ルテニウム‐イリジウム‐レニウム合金、ルテニウム‐イリジウム‐ロジウム‐白金合金である。イリジウム合金又はルテニウム合金は、合金中のイリジウム含有量又はルテニウム含有量が60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上である。60質量%未満では、耐圧性に劣る場合がある。
有底筒状部品56´と環状部品54´とを接合する方法は、特に限定されないが、例えば、図4(b)に示すように、有底筒状部品56´をフランジ状に延伸したフランジ取付部56aを設け、そこに環状部品54´を取り付けて、フランジ取付部56aと環状部品54´とを溶接又は拡散によって接合する方法であることが好ましい。フランジ取付部56aを設けることで、有底筒状部品56´と環状部品54´とを突合せ溶接するよりも、接合部の面積が大きくなり、より強固な接合が可能となる。
さらに、環状部品54´の下外筒51に固定される部分の表面を白金表面54aとし、かつ、皮膜70が含有する白金族金属を白金とすることが好ましい。このように構成することで、下内筒53の下外筒51への固定が、白金同士の相互拡散による接合となり、下内筒53と皮膜70との境界31は、見た目上消失するため、より確実に、かつ、より短時間で接合を行うことができる。白金表面54aを形成する方法は、特に限定されない。例えば、図4(b)では、熱分解法によって白金からなる被覆層30を形成して、環状部品54´の表面を実質的に白金表面54aとしている。熱分解法は、皮膜70の形成方法で説明した方法において、塗布液に含有させる化合物に白金化合物を選択することで、白金表面を形成することができる。
図5は、接合前のシール部の状態を示す図であり、(a)は第四形態の圧力容器であり、(b)は第五形態の圧力容器である。図5(a)は、図4(b)と同様に被覆層30を形成して、白金表面54aを形成する形態であるが、図5(a)では、被覆層30を下外筒51に取り付ける部分及びフランジ取付部56aに取り付ける部分に亘って形成しているため、環状部品54´とフランジ取付部56aとの接合をより確実に、かつ、より効率的に行うことができる。また、白金表面54aを形成する方法の別の例として、図5(b)では、有底筒状部品56´を延伸したフランジ取付部56aを、環状部品54´の下外筒51に固定される部分の白金表面54aの全域に亘って更に延伸することで、環状部品54´の表面を実質的に白金表面54aとしている。
なお、図4(a)において、上被覆部66及び上フランジ64も、下被覆部56及び下フランジ54と同様に、それぞれ異なる材料で加工して、接合する形態であることが好ましい。さらに、上被覆部66は、白金からなり、上フランジ64は、イリジウム、ルテニウム又はイリジウム若しくはルテニウムの少なくとも1種を含む合金からなり、上フランジ64の上外筒61に固定される部分の表面が、白金表面64aを有し、皮膜70が、白金皮膜であることが好ましい。
以下、実施例を示しながら本考案についてさらに詳細に説明するが、本考案は実施例に限定して解釈されない。
(実施例1)
<皮膜の形成>
ニッケル基合金(商品名インコネル625、スペシャルメタル社製)からなる下外筒の内表面を表面研磨によってバリ及び付着物を除去し、中性洗剤で洗浄し、更にアセトンで洗浄して油分を除去して清浄化した。清浄化した下外筒の内表面の全面に塗布液としてジニトロジアンミン白金のアルコール溶液を塗布し、60℃で15分間静置して乾燥させ、塗布層を形成した。下内筒の内部にヒータを配置して、熱放射によって、塗布層の熱分解を行った。塗布液の塗布及び熱分解を4回繰り返して、厚さが0.5μmの白金からなる皮膜を得た。特に、下フランジを取り付ける部分は、塗布液の塗布及び熱分解の繰り返し回数を6回として、厚さが0.5μmの白金からなる皮膜を形成することで、より均一で、かつ、より緻密な皮膜とした。また、上外筒も、下外筒と同様にニッケル基合金(商品名インコネル625、スペシャルメタル社製)からなり、皮膜を形成した。
<内筒の作製>
有底筒状の下被覆部と環状の下フランジとを白金で一体に加工して下内筒を作製した。また、上被覆部と上フランジとを白金で一体に加工して上内筒を作製した。下被覆部及び上被覆部の最も厚い部分の厚さは、0.2mmとし、下フランジ及び上フランジの最も厚い部分の厚さは、2.0mmとした。なお、下フランジ及び上フランジは、ボルト穴をもたない小型化した形状とした。
<拡散接合処理>
下内筒を下外筒の内部に挿入し、上内筒を上外筒の内部に配置した。次いで、本体と蓋とを袋ナットで固定して、圧力容器を封止し、圧力容器の内側から加圧して、下内筒を下外筒の内表面に密着させると同時に上内筒を上外筒の内表面に密着させた。次いで、圧力10Paで加圧しながら、下内筒及び上内筒の内表面の温度が600〜750℃となるように1時間加熱して拡散処理を行った。処理後、圧力をかけたまま放冷した。
<接合状態の確認>
放冷後、下外筒と下内筒との接合及び上外筒と上内筒との接合の状態を確認したところ、いずれも十分に固着しており、超臨界条件での使用に耐える圧力容器とすることができた。
(実施例2)
<皮膜の形成>
ニッケル基合金(商品名インコネル625、スペシャルメタル社製)からなる下外筒の内表面を表面研磨によってバリ及び付着物を除去し、中性洗剤で洗浄し、更にアセトンで洗浄して油分を除去して清浄化した。清浄化した下外筒の内表面のうち、下フランジを固定する部分の表面だけに塗布液としてジニトロジアンミン白金のアルコール溶液を塗布し、60℃で15分間静置して乾燥させ、塗布層を形成した。塗布層を樹脂溶接用の高温熱風器(熱風器温度700℃)で加熱し、熱分解を行った。塗布液の塗布及び熱分解を4回繰り返して、厚さが0.5μmの白金からなる皮膜を得た。また、上外筒も、下外筒と同様にニッケル基合金(商品名インコネル625、スペシャルメタル社製)からなり、皮膜を形成した。
<内筒の作製>
白金からなる有底筒状部品とイリジウムからなる環状部品とを作製した。有底筒状部品は、下フランジを取り付けるためのフランジ取付部を有し、フランジ取付部上に環状部品を溶接によって取り付けて下内筒を作製した。環状部品の下外筒に固定する部分の表面には、ジニトロジアンミン白金のアルコール溶液を塗布し、40℃で20分間静置して乾燥させ、樹脂溶接用の高温熱風器(熱風器温度700℃)で加熱し、熱分解を行い、白金からなる被覆層とした。被覆層の厚さは、塗布液の塗布及び熱分解を4回繰り返して、0.5μmとした。また、白金からなり、上外筒に密着可能な円盤状に形成した部品とイリジウムからなり、白金からなる被覆層を有する環状部品とを接合して、下内筒と同様に上内筒を作製した。下被覆部及び上被覆部の最も厚い部分の厚さは、0.2mmとし、下フランジ及び上フランジの最も厚い部分の厚さは、0.5mmとした。なお、下フランジ及び上フランジは、ボルト穴をもたない小型化した形状とした。
<拡散接合処理>
下内筒を下外筒の内部に挿入し、上内筒を上外筒の内部に配置した。次いで、本体と蓋とを袋ナットで固定して、圧力容器を封止し、圧力容器の内側から加圧して、下内筒を下外筒の内表面に密着させると同時に上内筒を上外筒の内表面に密着させた。次いで、圧力10Paで加圧しながら、下フランジ及び上フランジの内表面の温度が600〜750℃となるように1時間加熱して拡散処理を行った。処理後、圧力をかけたまま放冷した。
<接合状態の確認>
放冷後、下外筒と下フランジとの接合及び上外筒と上フランジとの接合の状態を確認したところ、いずれも十分に固着しており、超臨界条件での使用に耐える圧力容器とすることができた。
本考案に係る圧力容器は、ボルトなどの固定具を使用せずに内筒を外筒に固定することができるため、超臨界条件下で使用する圧力容器として適している。また、白金族金属からなるフランジの大きさを必要最低限とすることができ、コストを抑えた圧力容器を提供することができる。
10 本体
11 下外筒
13 下内筒
14 下フランジ
16 下被覆部
20 蓋
21 上外筒
23 上内筒
24 上フランジ
26 上被覆部
30 被覆層
31 下内筒と皮膜との境界
40 固定具
51 下外筒
53 下内筒
54 下フランジ
54´ 環状部品
54a 白金表面
56 下被覆部
56´ 有底筒状部品
56a フランジ取付部
61 上外筒
64 上フランジ
64a 白金表面
66 上被覆部
70 皮膜
71 ガスケット
72 締結具
80 本体
81 下外筒
83 下内筒
84 下フランジ
86 下被覆部
90 蓋
91 上外筒
93 上内筒
94 上フランジ
96 上被覆部
100 圧力容器
901 第一形態の圧力容器
902 第二形態の圧力容器
903 第三形態の圧力容器
E 糊代部分
S シール箇所

Claims (2)

  1. 耐圧耐熱合金からなる外筒と該外筒内に配置される白金族金属又は白金族金属合金からなる内筒とを備える圧力容器において、
    前記内筒が、前記外筒の内表面を被覆する被覆部と該被覆部の端部から全周にわたって遠心方向に延設したフランジとを有し、かつ、少なくとも前記フランジで前記外筒に固定されており、
    前記外筒の内表面のうち、前記内筒を固定する部分の表面が、白金族金属を含有する皮膜で被覆されており、
    前記内筒の前記外筒への固定が、前記内筒の白金族金属元素と前記皮膜の金属元素とが拡散した拡散接合だけによる固定であり、固定具を使用しないことを特徴とする圧力容器。
  2. 前記内筒が、前記被覆部となる有底筒状部品と前記フランジとなる環状部品とが接合した構造であり、
    前記有底筒状部品は、白金からなり、
    前記環状部品は、イリジウム、ルテニウム又はイリジウム若しくはルテニウムの少なくとも1種を含む合金からなり、
    前記環状部品の前記外筒に固定される部分の表面が、白金表面を有し、
    前記皮膜が、白金皮膜であることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器。

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