JP3161380B2 - 輻射放熱体およびそれを備えたマイクロ波管 - Google Patents

輻射放熱体およびそれを備えたマイクロ波管

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JP3161380B2 JP25539497A JP25539497A JP3161380B2 JP 3161380 B2 JP3161380 B2 JP 3161380B2 JP 25539497 A JP25539497 A JP 25539497A JP 25539497 A JP25539497 A JP 25539497A JP 3161380 B2 JP3161380 B2 JP 3161380B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱発生機器の輻射
冷却用放熱体構造に関するものであり、特に、衛星搭載
用進行波管等の用途に好適な輻射冷却用放熱体構造に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】進行波管は、電子を高電圧で加速し、電
子の運動エネルギーを電磁波のエネルギーに変換して電
磁波を増幅するデバイスである。
【0003】図10は進行波管の断面の概略図である。
進行波管は大きく分けて、電子銃部7、回路部8、コレ
クタ部9より構成される。
【0004】陽極12は陰極10に対して高い電圧が印
加される。陽極10から放出された電子13は、陽極1
2によって加速される。11はビーム成形電極であり、
4は絶縁セラミックである。
【0005】回路部8の電位はほぼ陽極12と同電位で
あるので、大きな運動エネルギーを得た電子13は、遅
波回路16を通過する。電子ビーム集束用同期磁界は、
電子ビーム集束用永久磁石14と磁極15により構成さ
れる。一方、入力窓17aより、入力した信号は、遅波
回路16を通って出力窓17bから出力される。
【0006】遅波回路16では、17aからの入力信号
と電子13とが相互作用し、電子13の運動エネルギー
の一部が入力信号の電磁エネルギーに変換される。その
結果、電子の運動エネルギーが減少し、入力信号が増幅
される。増幅された信号は出力窓17bから出力され
る。
【0007】運動エネルギーの一部を失った電子13
は、コレクタ部9を構成する多段コレクタ電極群5に回
収される。電子ビーム入力側に位置する第1コレクタ電
極5aには比較的高い電圧が印加されるが、電子ビーム
終端側に行くほど電圧が低くなり、第4コレクタ電極5
dでは陰極10に近い電圧が印加される。これにより、
速度の遅い電子は第1コレクタ電極5aに、速い電子は
第4コレクタ電極5dに回収される。
【0008】しかしながら、電子13はコレクタ電極群
5に速度0で衝突するわけではないので、必ずコレクタ
電極群5上で発熱を生じる。この発熱を効率よく放熱
し、コレクタ温度をできる限り低く押さえることが、進
行波管の安定動作の上で必要である。
【0009】特に、衛星搭載用進行波管では、輻射放熱
により、熱を直接宇宙空間へ放熱し、できるだけ衛星内
に伝えないことが必要である。このような衛星搭載用進
行波管の輻射による放熱効果は、放熱構体の構造と放熱
構体表面の輻射率εに深く依存する。
【0010】また、衛星上で複数の管球を隣接配置する
ので、互いの管球の熱干渉を極力押さえるため、放熱指
向性を有する構造が重要になってきている。
【0011】図11、12は「スペース(SPAC
E)」、(1994年11〜12合併号))の18〜2
0頁に開示された輻射放熱体の一例を示す。図11
(a)、(b)に正面図および側面図を、図12に外観
斜視図を示す。この輻射放熱体は円筒形状部分18と放
熱フィン19からなり、コレクタが円筒部分18の中に
挿入される。
【0012】コレクタ電極から輻射放熱体の円筒部分1
8に流入した熱は、伝導により放熱フィン19に伝わ
り、放熱フィン19から輻射により輻射放熱体の外部に
放出される。しかし、この例では、コレクタの中心軸に
対して放射状に、放熱フィン19を設けているため、
レクタの円周方向への放熱には指向性がない。熱放出に
指向性をもたせた輻射放熱体の例が特開平5−8203
0号公報に開示されており、それを図13に示す。
【0013】この輻射放熱体は、2つの漏斗形状(すな
わち円錐台形筒状)部分20と一つの円環形状部分26
を有しており、前の例と同じに、円筒形状部分3の内部
にコレクタが挿入される。コレクタ電極から円筒形状部
分3に流入した熱は、熱伝導により、漏斗形状部分20
に伝わり、漏斗形状部分20から輻射放熱される。これ
により、電子コレクタに到来する電子ビームの方向への
放熱指向性を有している。2つの漏斗形状部分20のそ
れぞれの両面とリング円板形状部分26の漏斗形状部分
20側の表面は高い輻射率を有し、リング円板形状部分
26の進行波管回路側の表面は、わずかな輻射率に設定
することが開示されている。これは進行波管側への輻射
を制限しようとしているものと推測される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】衛星上での進行波管
は、図14に示すように衛星21からコレクタ部22
(輻射放熱体を含む)を宇宙空間に突き出して一列に隣
接して並べられる。このように配置することにより、多
数の進行波管が衛星上に実装され、かつコレクタの発生
熱を直接宇宙空間に放熱することにより、衛星の冷却を
効率化している。しかし、コレクタから隣接方向へ放熱
された熱は、隣の進行波管のコレクタが吸収し、熱干渉
を生じる。これによって、輻射冷却の効率が低下する。
図13の例でも隣接方向への輻射は抑制されていないの
で同様の問題がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の輻射放熱体は、
管状部材の外周にその管状部材と交差する面を有する放
熱部材を備えた輻射放熱体において、前記放熱部材の前
記管状部材の管軸に平行な向きに切った断面形状が前記
管軸の一方の向きに対して凹状であり、かつ、前記断面
の垂直方向に長さを持つ略半筒形状であることを特徴と
する。
【0016】また、この略半筒形状の断面の凹部は、2
次曲線の一部からなる連続曲線、もしくは、直線の組み
合わせにて構成されることを特徴とする。
【0017】さらに略半筒形状の軸に垂直な1つ以上の
放熱平面板を有していても良い。
【0018】さらに好ましくは、略半筒形状凹部側の内
面を輻射面加工し、凸部側の外面を反射面加工する。こ
の構造において、凸部側の略半筒形状の軸に垂直な方向
外面中央部のみを輻射面加工しても良い。また、反射
面加工には、TiN皮膜による鏡面皮膜を有しかつ輻射
加工面には、所定の膜厚を有する陽極酸化皮膜を具備す
るとともに、所定の最大表面粗さを有する構造とするの
が望ましい。
【0019】また、本発明の輻射放熱体をマイクロ波管
等の熱発生機器の放熱部、特に、衛星搭載用進行波管の
コレクタ部に装着することが好ましい。その際、複数の
進行波管を併置する場合には、熱干渉を抑制するために
隣接するコレクタ部に装着された輻射放熱体の略半筒形
状の延在方向(軸方向)が互いに平行になるように配置
するのが望ましい。
【0020】図12および図13に示す従来例では、コ
レクタの円周方向の放熱は角度によらず均一であり、
レクタの円周方向には指向性が無いが、本発明では、円
周方向においても、放熱指向性を有するように形状を工
夫したり反射面加工を工夫している。
【0021】とくに隣接管球側への放熱を制限するよう
に工夫している。また、衛星側への放熱も当然制限され
る。しかし、それ以外については、制限されない。従っ
て、コレクタ後方(宇宙空間側)および、管球のない
(もしくは遠い)方向については、指向性の制限を受け
ず、自由に放熱できる。本発明の輻射放熱体は、このよ
うに管軸方向と円周方向の両方に指向性を有しているた
め、有効輻射面積を大きくとれ、その結果、高い冷却性
能を有する。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態および
実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本
発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。この輻射
放熱体は、進行波管のコレクタ電極の周りに取り付けら
れる。
【0023】この輻射放熱体は、アルミニウム合金から
なり断面が凹状で断面の垂直方向に長さを持つ1つ以上
の略半筒状放熱体1と1つ以上の平面放熱板2および円
筒放熱体3とを有している。この例では、2つの半筒状
放熱体1a,1bと2枚の平面放熱板2a,2bを有し
ている。円筒放熱体3の内部に、コレクタが挿入され
る。
【0024】半筒状放熱体1a,1bは、半筒の縁の面
1ae,1beにより、円筒放熱体3からの放熱を抑制
し、半筒の軸方向への熱抑制はない。また、半筒の中央
の壁面に対して垂直の方向に対しても放熱の抑制はな
い。
【0025】さらに、半筒状放熱体1a,1bの凸状の
外面に反射面加工することによって、管球側および、隣
接管球への輻射放熱を抑制することができ、より好まし
い。
【0026】一方、平面放熱板2a,2bは、コレクタ
の中心軸を通り、半筒の軸に垂直な平面上に設置されて
いる。これら平面放熱板2a,2bは、半筒の軸方向へ
主たる輻射放熱するが、半筒の軸に垂直な方向へは、ほ
とんど輻射放熱しない。
【0027】また、円筒放熱体3は、コレクタ後部に設
置された円筒形状の放熱体も含んでいる。
【0028】図2は、本発明の放熱体の断面図である。
この例では、2つの半筒状放熱体1a,1bおよび円筒
放熱体3により構成されている。平面放熱体2は、この
断面図では円筒放熱体にさえぎられて見えない。図中の
および5は管球のコレクタ部分であり、4は絶縁体、
5はコレクタ電極群である。
【0029】コレクタ後方(宇宙側、すなわち図面上向
かって右側)の半筒状放熱体1bは、衛星側(管球側、
すなわち図面上向かって左側)の半筒状放熱体1aより
も面積が小さい。
【0030】コレクタ後方の半筒状放熱体1bは、多段
コレクタ電極の最も奥(宇宙側)の電極5d上に配置さ
れ、この電極からの熱を受けて、半筒1bに熱伝導で熱
を伝え、半筒内面より宇宙空間へ輻射放熱する。
【0031】回路側の半筒状放熱体1aは、多段コレク
タ電極の最も奥(宇宙側)の電極5d以外の電極5a〜
5cの近傍に設けられる。この半筒状放熱体1aは、こ
れらの電極からの熱を熱伝導で半筒状放熱体1a内部に
伝え、半筒内面(凹面)から宇宙空間へ放熱する。
【0032】コレクタ後方(宇宙空間側)の半筒状放熱
体1bの裏面(凸面)1bb反射面加工することによ
り、半筒状放熱体1aからの輻射熱は吸収せず反射する
ことができ、放熱効率を向上させることができる。
【0033】従って、回路側半筒状放熱体1aは、宇宙
空間側の半筒状放熱体1bよりも大きなサイズとし、1
aで輻射されたエネルギーが1bで遮へいされる領域を
小さくして、できるだけ宇宙空間へ直接放熱するように
している。
【0034】回路側半筒状放熱体1aの裏面(凸面)1
abも反射面加工することにより、回路側への輻射放熱
を抑制できる。
【0035】このように半筒状放熱体1a,1bの裏面
(凸面)を、反射面加工すれば、この面からの輻射放熱
は非常に少ない。従って、この面から隣接管球へ輻射放
熱することはほとんどなく、また隣接管球からの輻射が
あったとしても、この面では吸収せずに、反射する。
【0036】半筒状放熱体1a,1bの付け根の部分
は、コレクタ電極からの熱をできるだけ多く、半筒状放
熱体内部に伝えるため、肉厚になっている。
【0037】また、図1の平面放熱板2a,2bへはす
べてのコレクタ電極から熱が流入する。
【0038】平面放熱板2a,2bの根本の部分も肉厚
になっており、熱伝導で熱を平面放熱板2a,2b自身
の内部に伝え、輻射により半筒状放熱体1a,1bの軸
方向へ主たる輻射放熱をする。衛星搭載用の進行波管の
放熱構体の反射面には、好ましくは太陽吸収率αs<
0.10である。太陽光吸収率は、熱の吸収率を評価す
るパラメータの一つであり、太陽光吸収率が低いという
ことは、反射率が高いことを表している。すなわち、放
熱指向性を実現する上においては、90%以上を反射で
きることを表す太陽光吸収率αs<0.10がより望ま
れる。図15に、本実施形態の断面図と表面処理仕様と
の関係を示す。半筒状放熱体1a,1bの凸状の外面
は、例えば、表面処理研磨加工を施した後、イオンプレ
ーティングにより、TiN皮膜(27)を有した反射面
加工面を有する構造によって、管球側および隣接管球へ
の輻射放熱を抑制している。TiN皮膜(27)の鏡面
皮膜は、イオンプレーティングにより以下のように実施
している。
【0039】まず、JIS6061アルミニウム合金基
板表面の平滑性を得るために、機械的な表面研磨加工を
施し、最大表面粗さRmax0.1μm以下の鏡面加工
を形成する。脱脂処理後、真空中で、アルゴンガスを導
入し、アルゴンイオンのスパッタリングを行い、表面の
清浄度を高めた後に、TiN膜のイオンプレーティング
を実施する。成膜条件は、0.01〜0.002Tor
rという、比較的高い圧力領域で行うため、Tiの蒸発
原子が窒素ガス分子に衝突して、散乱し、さらにイオン
が電解方向に加速されるので、回り込みが良好になる。
【0040】このようなイオンプレーティングによるT
iN膜は、下地基板の表面形状そのままに被覆すること
ができたので、最大表面粗さ0.1μm以下の鏡面状態
の TiN膜を得ることができる。このような反射面加
工されたTiN膜は、鏡面膜を得られることから反射率
が90%以上を有するほど高く、すなわち吸収率はαs
<0.1、10%以下であることから、この凸状外面
の輻射は抑制されるのである。なお、TiN皮膜の成膜
方法のイオンプレーティングの方式は、反応性イオンプ
レーティング、アーク方式イオンプレーティング、スパ
ッタ方式イオンプレーティング、ホローカソード方式イ
オンプレーティング等があるが、特に限定されるもので
はない。
【0041】なお、イオンプレーティングによる皮膜
は、メッキに代表される湿式による皮膜に比して、表面
の微小な凹凸についても、レベリング効果すなわち表面
の平滑性を一定にさせる作用があることが知られてい
る。
【0042】また、本願の目的の用途は、宇宙空間にて
作動することから、ガス放出等の懸念についても、真空
状態にて、皮膜を得るイオンプレーティングの方式は、
適しているのである。一方、放熱体の輻射放熱面(半筒
状放熱体1a,1bの凹面、平板放熱板2の両面、円筒
放熱体3の外面)は、輻射加工されることが望まし
い。
【0043】本願出願人の独自研究においても、衛星搭
載用の進行波管の高出力化に伴い、輻射率εとしては、
0.90以上が長期間の安定動作には必要であることが
判明している。このことは、すでに出願した特願平7−
286743号により詳細に記載してある。すなわちJ
IS5052アルミニウム合金の板材を用いて、種々の
実験を行い、陽極酸化層の膜厚を45μm以上とするこ
とにより輻射率を0.90以上にできることを全く新し
く見い出している。
【0044】とくに、陽極酸化処理による効果の上限に
ついて、本願出願人の研究によると、以下に述べる最大
表面粗さ18〜20ミクロン、封孔処理を施した陽極酸
化皮膜の膜厚60ミクロンにて、最大輻射効率0.93
を実現している。
【0045】なお、陽極酸化皮膜の膜厚が65ミクロン
を越えると、マイクロクラックが生じることがあり、高
信頼性を求められる上では、60ミクロンが限界であ
る。
【0046】また、陽極酸化皮膜の膜厚および表面粗度
によらず、封孔処理を施すことにより、輻射率特性が
0.02ないし0.03上昇する。封孔処理を施した陽
極酸化皮膜は、表面の微細な封孔が成長することによっ
て、表面状態が微細な針状になり、陽極酸化皮膜が45
μm程度でも輻射率特性ε≧0.90を満足することが
できる。封孔処理を実施しない場合は陽極酸化皮膜を5
0μm以上とすることにより輻射率特性ε≧0.90を
達成できる。
【0047】より具体的に述べると、JISA6061
アルミニウム合金からなる半円筒状凹部の内面すなわち
放熱面について、輻射率特性を向上させる施策として、
放熱面の表面上に、アルミナ粉末と水の混濁液を使用
し、プラスト処理することにより、最大表面粗さRma
x12μm〜14μmした後、陽極酸化処理を実施し、
陽極酸化皮膜50μmを有し、かつ該陽極酸化皮膜の最
大表面粗さを12μm以上を有する構造とした。
【0048】ここで、陽極酸化皮膜50ミクロンにおけ
る最大表面粗さと輻射率の関係を図16に示す。すなわ
ち、最大表面粗さを12ミクロン以上を有する構造によ
って、所定の陽極酸化皮膜を兼ね備えた場合において、
輻射効率90%の効率を実現できるのである。
【0049】次に、陽極酸化処理技術について述べる。
【0050】陽極酸化処理は、硫酸法により行われ、容
積比10%硫酸水浴、0℃で実施した。電解条件は、電
流5A、処理時間30分にて行った。
【0051】本例による輻射面の輻射率特性はε=0.
92を達成し、衛星搭載用進行波管の輻射率特性を満た
すことができた。
【0052】図16は、極酸化皮膜50ミクロンにおけ
る最大表面粗さと輻射率の関係を示したものである。こ
こで、最大表面粗さRmaxが12μm以上としたの
は、図16に示すように、陽極酸化皮膜の最大表面粗さ
が12μm未満においては、50μmの陽極酸化皮膜を
有していても、輻射率がε≧0.90以上という特性を
満足できないことが判明したためである。以上述べたよ
うに、本発明の輻射放熱体の半筒状放熱体構造が平行に
なるように管球を配置することにより、衛星上で隣接す
る管球への熱輻射がなくなり、管球相互の熱干渉が防止
される。
【0053】また、半筒状放熱体1a,1bの断面形状
は、円、楕円、放物線等の2次曲線の一部で構成されて
いても良いが、折れ線により構成されていても良い。そ
のような例を図3の半筒断面図で示す。図3(a)
(b)(c)は、それぞれ、放物線の一部、円の一部、
折れ線で構成されている。
【0054】本発明の輻射放熱体は、衛星打ち上げ時の
振動に耐えるように、進行波管のケース基板にしっかり
と固定される必要がある。しかし、輻射放熱体の高温部
を広い面積で支え、ケース基板に取り付けると、輻射放
熱体から進行波管へ熱が流れ、冷却効率が低下する。こ
の対策としては、半筒状放熱体1a、もしくは平面放熱
体2a,2bのコレクタより遠く離れた部分(例えば、
図1の半筒状放熱体1aの進行波管回路側の面(凸面)
の4隅)を支持体で支持することにより、管球の基板に
固定すればよい。輻射放熱体の温度の比較的低い部分を
小さい接触面積で支持体に固定することにより、コレク
タの発生熱が管球へ戻るのを防止できる。
【0055】次に本発明の参考例について述べる。
【0056】図4、図5の参考例では、半筒状放熱体1
a、1bの両端部に、半筒状の軸に対して角度を持って
庇(ひさし)状に反射板6取り付けられている。この
反射板6の両面はTiN皮膜等により、反射面加工され
ている。図4は、断面図であり、図5は外観図である。
【0057】これにより、半筒軸方向にも別の管球が隣
接したとしても、半筒軸方向の輻射エネルギーは、両面
反射板6で宇宙空間へ反射されるため、その隣接管球と
熱干渉は、抑制される。
【0058】また、平面放熱板2を半筒状放熱体1a部
分と1b部分で分離し、半筒状放熱体1aおよび1a部
分の平面放熱板をもとに90度管の軸に対して回転さ
せ、さらに、1aに両面反射板6を取り付けた構成で
も、図4、図5と同様な効果が得られる。
【0059】第の実施の形態を図6に示す。半筒状放
熱体1a,1bの4隅の部分1ac,1bcは、温度が
比較的低く、輻射放熱も少ない。また、隣の管球への輻
射を防止するのに対して、半筒状放熱体の4隅の部分は
あまり寄与しない。そこで、4隅をカットして丸めるこ
とにより、放熱体の重量を低減している。
【0060】図7は、第の実施の形態による半筒状放
熱体の断面である。半筒面に傾斜を付けることにより、
熱が半筒1aと1bの間にこもりにくくし、輻射放熱効
果を増大している。
【0061】図8は、第の実施の形態を示すもので、
半筒状放熱体1a,1bと平面放熱体2を、管球軸に対
して傾斜するように回転させている。これによって、放
熱指向性の向きを任意に制御することができる。
【0062】また、さらに第の実施例の形態によれ
ば、宇宙空間の半筒状放熱体1bの凸面すべてを金メッ
キ等の反射面加工するのではなく、凸面の一部のみを反
射面加工することが考えられる。図9は、半筒状放熱体
1bの断面図である。前述の実施形態例では、凸面全部
を全部反射面加工していたが、この実施形態例では、端
の部分23のみを反射面加工し、中央部分24を輻射面
加工している。凹面25は、他の実施形態例と同じく、
全面を輻射面加工している。中央部分24の領域は円筒
放熱体3とオーバーラップする領域とするのが望まし
い。とくに両者のオーバーラップ部分には熱がこもりや
すいので、大きな半筒状放熱体1aの凸面の中央部を輻
射面加工する場合には小さな半筒状放熱体1bとオーバ
ーラップする領域に限定するのが、放熱効率を高める上
で好ましい。換言すれば、部分反射領域は上記オーバー
ラップしない領域に対応させて選択的に設けることが望
ましい。
【0063】RF出力時には、回路側半筒状放熱体1a
が高温になるが、このようにすることにより、1aの熱
を輻射によって、1bに伝え、1bの凹面25から輻射
により宇宙空間に放熱できる。また、放熱指向性は部分
的な反射面23により保たれる。
【0064】以上の説明は、進行波管用の輻射放熱体に
ついて行っているが、本発明は進行波管以外の輻射放熱
体にも適用できる。
【0065】
【発明の効果】第1の効果は、大きな放熱指向性が得ら
れるということである。その理由は、放熱体形状を半筒
状とし、かつ半筒裏面(凸面)を吸収率αs<0.1
のTiN皮膜を有した反射面加工をすることにより、
きな放熱指向性が得られる
【0066】第2の効果は、高性能な輻射冷却効果が得
られるということである。その第1の理由は、実施例で
詳述したように、半筒状凹部の内面を厚さ50μm以上
の陽極酸化皮膜層を有しかつその陽極酸化層膜の最大表
面粗さが12μm以上である構造により、輻射率特性ε
≧0.90を満足でき、輻射により効率良く放熱できる
からである。
【0067】第2の理由は、許される放熱方向を可能な
限り広く取り、管軸方向およびコレクタの円周方向を有
効に使って放熱することにより、放熱体に再吸収される
ことなく輻射放熱できる広い有効面積が得られためで
ある。
【0068】第3の効果はコンパクトな輻射冷却構造と
なることである。その理由は、許される放熱方向を有効
に利用して放熱しているため、従来の輻射放熱体構造
りも、狭い空間の中に大きな放熱有効面積を得られるた
めである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輻射放熱体の第1の実施の形態による
斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による輻射放熱体を
コレクタに装着した場合の断面図。
【図3】本発明の半筒状放熱体部分の変形例を示す、筒
軸に垂直な図であり、(a)は放物線の一部、(b)は
円状の一部、(c)は折れ線状の一部をそれぞれ示す。
【図4】本発明の参考例による放熱体の断面図。
【図5】図4の外観斜視図。
【図6】本発明の第の実施の形態による放熱体を示す
外観斜視図。
【図7】本発明の第の実施の形態による本発明を示す
断面図。
【図8】本発明の第の実施の形態による本発明を示す
断面図。
【図9】本発明の第の実施の形態による半筒状放熱体
を示す断面図であり、(a)は放物線断面、(b)は円
上断面、(c)は折れ線状断面図をそれぞれ示す。
【図10】本発明の放熱体が装着される進行波管の断面
図。
【図11】従来技術による輻射放熱冷却の例を示し、
(a)はその正面図、(b)は側面図を示す。
【図12】図11の放熱体の斜視図。
【図13】従来技術による他の輻射放熱体の断面図。
【図14】衛星上での進行波管の実施例を示す斜視図。
【図15】本発明の輻射面加工、反射面加工の実施例を
示す断面図。
【図16】陽極酸化皮膜50μm(封孔処理無し)にお
ける最大表面粗さと輻射率の関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 筒状放熱体 1a 回路側半筒状放熱体 1b 宇宙空間側半筒状放熱体 1ae 半筒状放熱体1aの縁 1be 半筒状放熱体1aの縁 2,2a,2b 平面放熱板 3 円筒放熱体 1ab 回路側の半筒状放熱体1aの裏面(凸面) 1bb 宇宙空間側の半筒状放熱1bの裏面(凸面) 4 絶縁体 5 コレクタ電極 5a 第1コレクタ電極 5b 第2コレクタ電極 5c 第3コレクタ電極 5d 第4コレクタ電極 1ac 半筒状放熱体1aの4隅 1bc 半筒状放熱体1aの4隅 6 両面反射板 7 電子銃 8 回路 9 コレクタ 10 陰極 11 ビーム成形電極 12 陽極 13 電子 14 永久磁石 15 磁極 16 遅波の回路 17a 入力窓 17b 出力窓 18 円筒形状部分 19 放熱フィン 20 放熱体の漏斗形状部分 21 衛星 22 進行波管コレクタ部および輻射放熱体 23 反射面加工された凸面端部 24 輻射面加工された凸面端部 25 輻射面加工された凹面部 26 放熱体の円環形状部分 27 TiN皮膜 1ac 回路側半筒状放熱体1aの表面(凹面) 1bc 宇宙空間側半筒状放熱体1bの表面(凹面)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管状部材の外周にその管状部材と交差す
    る面を有する放熱部材を備えた輻射放熱体において、前
    記放熱部材の前記管状部材の管軸に平行な向きに切った
    断面形状が前記管軸の一方の向きに対して凹状であり、
    かつ、前記断面の垂直方向に長さを持つ略半筒形状であ
    ることを特徴とする輻射放熱体。
  2. 【請求項2】 前記放熱部材が前記管軸方向に沿って複
    数配置され、かつそれぞれの凹部が同一方向を向いてい
    ることを特徴とする請求項1記載の輻射放熱体。
  3. 【請求項3】 前記複数の放熱部材はそれぞれ寸法が異
    なり、かつ少なくとも凸面の頂部から離れた両側面領域
    が反射面加工されていることを特徴とする請求項2記載
    の輻射放熱体。
  4. 【請求項4】 前記略半筒形状の断面の凹部は、2次曲
    線の一部からなる連続曲線、もしくは直線の組み合わせ
    にて構成されることを特徴とする請求項記載の輻射放
    熱体。
  5. 【請求項5】 前記略半筒形状の軸に垂直な一つ以上の
    放熱平面板が、前記管状部材の管軸を通る面に管状部材
    の外周面と連続して形成されていることを特徴とする請
    求項記載の輻射放熱体。
  6. 【請求項6】 前記略半筒形状凹部側の内面が輻射面加
    工され、凸部側の外面の少なくとも半筒軸に沿った端部
    近傍領域が反射面加工されていることを特徴とする請求
    記載の輻射放熱体。
  7. 【請求項7】 前記放熱部材が前記管軸方向に沿って複
    数配置され、前記略半筒形状凹部側の内面、および凸部
    側の前記略半筒形状の軸に垂直な方向の外面中央部が輻
    射面加工され、外面両側部が反射面加工されていること
    を特徴とする請求項記載の輻射放熱体。
  8. 【請求項8】 前記放熱部材が前記管軸方向に沿って複
    数配置され、輻射面加工された前記凸部側の前記略半筒
    形状の軸に垂直な方向の外面中央部は複数の前記略半筒
    形状部の重なりあう領域に相当することを特徴とする請
    求項記載の輻射放熱体。
  9. 【請求項9】 請求項記載の輻射放熱体をマイクロ波
    管の発熱部に装着したことを特徴とするマイクロ波管。
  10. 【請求項10】 請求項記載のマイクロ波管を前記断
    面方向に複数本並置したことを特徴とするマイクロ波管
    搭載装置。
  11. 【請求項11】 前記輻射面加工には、輻射率特性に応
    じて所定の膜厚を有する陽極酸化皮膜を具備し、かつ該
    陽極酸化皮膜が所定の最大表面粗さを有するとともにか
    つ、前記反射面加工には、TiN皮膜を有した鏡面皮膜
    であることを特徴とする請求項記載の輻射放熱体
  12. 【請求項12】 管状部材の外周にその管状部材と交差
    する面を有する放熱部材を備えた輻射放熱体において、
    前記放熱部材の前記管状部材の管軸に平行な向きに切っ
    た断面形状が前記管軸の一方の向きに対して凹状であ
    り、かつ、前記放熱部材は前記断面と垂直な長さ方向に
    その端部まで直線上に延伸していることを特徴とする輻
    射放熱体。
  13. 【請求項13】 管状部材の外周にその管状部材と交差
    する面を有する放熱部材を備えた輻射放熱体において、
    前記放熱部材の前記管状部材の管軸に平行な向きに切っ
    た断面形状が前記管軸の一方の向きに対して凹状であ
    り、かつ、前記断面と交差する方向に長さを持つ略半筒
    形状であることを特徴とする輻射放熱体。
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