JP3161204B2 - 筒内噴射式火花点火機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火機関

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JP3161204B2
JP3161204B2 JP00853794A JP853794A JP3161204B2 JP 3161204 B2 JP3161204 B2 JP 3161204B2 JP 00853794 A JP00853794 A JP 00853794A JP 853794 A JP853794 A JP 853794A JP 3161204 B2 JP3161204 B2 JP 3161204B2
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fuel
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intake
cylinder
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裕昭 仁平
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に均一燃焼を意図す
る筒内噴射式火花点火機関に関する。
【0002】
【従来の技術】気筒内へ直接燃料を噴射することによ
り、機関過渡運転時においても必要量の燃料を確実に気
筒内へ供給することができる筒内噴射式火花点火機関が
公知である。このような筒内噴射式火花点火機関におけ
る燃料噴射弁の取り付け位置は、一般的に点火栓が気筒
上部中心に設けられるために、気筒上部周囲とされ、特
に、高温度に維持される排気弁側を避けて気筒上部周囲
の吸気弁側が選択されている。
【0003】この内燃機関によって均一燃焼を実行する
場合、良好な均一混合気形成には燃料噴射終了時点から
点火までの時間が長い方が良く、それにより、燃料噴射
は吸気行程初期から開始されることが好ましい。また、
燃料噴射量が少ない時には、吸気行程中期以降に燃料噴
射を開始しても燃料噴射終了時から点火までにある程度
の時間がとれるが、機関高速高負荷時は、多量の燃料を
噴射しなければならないことに加えて、単位時間当たり
のクランク角度が大きいために、燃料噴射に必要なクラ
ンク角度はかなり大きくなり、遅くとも吸気行程末期に
燃料噴射を終了するためには、吸気行程初期から燃料噴
射を開始しなければならない。
【0004】燃料噴射弁は、一般的に、均一混合気形成
に有利なように燃料を円錐状に微粒化して噴射するもの
が使用される。このような燃料噴射弁において、機関高
速高負荷時においても噴射された燃料が直接気筒壁面に
付着して未燃炭化水素として排出されることを防止する
ために、その噴射方向は吸気行程末期のピストン頂面に
向けられている。前述したように、燃料噴射開始時期は
少なくとも機関高速高負荷時において吸気行程初期とさ
れ、この時に噴射される燃料は、燃料噴射弁の噴口とピ
ストン頂面との距離が小さいために、噴口のほぼ真下、
すなわちピストン頂面の吸気弁側にほぼ垂直に衝突し、
多くがその位置に液体状態で付着する。
【0005】この液状燃料はピストン熱によって点火ま
でにある程度は気化されるが、比較的多く残留して燃焼
せずに未燃燃料として排出され、排気エミッションを悪
化させる。
【0006】この問題を改良するために、実開平1−1
24040号公報には、前述のようにピストン頂面に衝
突する燃料をその慣性力を利用してシリンダヘッド方向
に向かわせるように、ピストン頂面に溝を形成した筒内
噴射式火花点火機関が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述の筒内噴射式火花
点火機関により、確かにピストン頂面に付着する燃料量
が減少し、点火時点におけるピストン頂面上の液状燃料
を減少させることができるが、吸気行程初期にシリンダ
ヘッド方向に向かわせた燃料は、ピストン頂面とシリン
ダヘッドとの間の距離が小さいために、液状のままシリ
ンダヘッド及び点火栓等に付着する可能性があり、この
付着燃料がやはり未燃燃料として排出され、それほど排
気エミッションを改善することにはならない。また、点
火栓に液状燃料が付着すると着火性がかなり悪化し、失
火の原因となる。
【0008】従って、本発明の目的は、少なくとも特定
機関運転状態の時に吸気行程初期から燃料噴射が開始さ
れる筒内噴射式火花点火機関において、この時に噴射さ
れる燃料をシリンダヘッド方向に向かわせることなく、
ピストン熱又は一般に気筒内に生成される縦スワールを
さらに有効に利用して点火時点においてピストン頂面に
留まる液状燃料をかなり減少させ、排気エミッションを
十分に改善することができる筒内噴射式火花点火機関を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による第一の筒内
噴射式火花点火機関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に
配置され、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気
行程末期のピストン頂面に向けられている燃料噴射弁
と、吸気通路とを具備し、前記燃料噴射弁による燃料噴
射は少なくとも特定機関運転状態において吸気行程初期
から開始され、前記吸気通路は、吸気行程初期に噴射さ
れた燃料が衝突するピストン頂面位置近傍に吸気の一部
を導く副吸気通路を有していることを特徴とする。
【0010】また、本発明による第二の筒内噴射式火花
点火機関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、
燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末期の
ピストン頂面に向けられている燃料噴射弁と、排気弁側
において前記ピストン頂面方向に下降する縦スワールを
気筒内に生成するように形成された吸気通路とを具備
し、前記燃料噴射弁による燃料噴射は少なくとも特定機
関運転状態において吸気行程初期から開始され、前記ピ
ストン頂面には略中央に段差部が形成され吸気弁側頂面
に比較して排気弁側頂面が低くなっており、前記吸気弁
側頂面は前記段差部近傍に位置し前記排気弁側頂面と略
平行な第1部分と前記第1部分に滑らかに接続され前記
燃料噴射弁側方向が高く傾斜する第2部分とを有するこ
とを特徴とする。
【0011】また、本発明による第三の筒内噴射式火花
点火機関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、
燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末期の
ピストン頂面に向けられている燃料噴射弁を具備し、前
記燃料噴射弁による燃料噴射は全ての機関運転状態にお
いて吸気行程初期から開始され、前記ピストンの頂面に
は、所定クランク角度までに噴射される燃料の全てが衝
突する程度の面積を有し、ピストン材料に比較して熱伝
導度の低い低伝熱層が形成され、機関運転状態毎に必要
燃料噴射量及び機関回転数を考慮して、前記低伝熱層に
可能な限り多量の燃料が可能な限り広範囲に衝突するよ
うに、前記燃料噴射弁による燃料噴射圧力及び燃料噴射
開始時期が制御されることを特徴とする。
【0012】また、本発明による第四の筒内噴射式火花
点火機関は、前述の第三の筒内噴射式火花点火機関にお
いて、機関冷間時及び/又は機関極軽負荷時には、前記
低伝熱層への燃料衝突範囲が低減されることを特徴とす
る。
【0013】また、本発明による第五の筒内噴射式火花
点火機関は、前述の第三の筒内噴射式火花点火機関にお
いて、複数の前記燃料噴射弁が設けられ、前記ピストン
頂面には前記複数の燃料噴射弁それぞれに対応する複数
の前記低伝熱層が形成され、機関冷間時及び/又は機関
極軽負荷時には、内燃機関サイクル毎に順次前記燃料噴
射弁の一つを使用して燃料噴射を実行することを特徴と
する。
【0014】また、本発明による第六の筒内噴射式火花
点火機関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、
燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程前期の
ピストン頂面に向けられている第1燃料噴射弁と、気筒
上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を円錐状に噴
射し、その噴射方向が吸気行程後期のピストン頂面に向
けられている第2燃料噴射弁とを具備し、前記第1燃料
噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を使用して機関運転状態
に基づく必要燃料噴射量を吸気行程前期及び吸気行程後
期に分けて噴射することを特徴とする。
【0015】
【作用】前述の第一の筒内噴射式火花点火機関は、気筒
上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を円錐状に噴
射し、その噴射方向が吸気行程末期のピストン頂面に向
けられている燃料噴射弁と、吸気通路とを具備し、燃料
噴射弁による燃料噴射は少なくとも特定機関運転状態に
おいて吸気行程初期から開始され、吸気通路は吸気の一
部だけを吸気行程初期における燃料のピストン頂面衝突
位置に向かわせる副吸気通路を有しているために、吸気
行程初期に噴射されピストン頂面に付着する燃料は、副
吸気通路を通る吸気によって十分に気化される。
【0016】また、前述の第二の筒内噴射式火花点火機
関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を
円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末期のピスト
ン頂面に向けられている燃料噴射弁と、排気弁側におい
てピストン頂面方向に下降する縦スワールを気筒内に生
成するように形成された吸気通路とを具備し、燃料噴射
弁による燃料噴射は少なくとも特定機関運転状態におい
て吸気行程初期から開始され、ピストン頂面には略中央
に段差部が形成され吸気弁側頂面に比較して排気弁側頂
面が低くなっており、吸気弁側頂面は段差部近傍に位置
し前記排気弁側頂面と略平行な第1部分と第1部分に滑
らかに接続され燃料噴射弁側方向が高く傾斜する第2部
分とを有するために、吸気行程初期に噴射される燃料
は、ピストンの吸気弁側頂面の第2部分に衝突し、その
衝突角度が小さくなり、衝突位置に留まることなくこの
時に発生する慣性力によってピストン頂面上を排気弁側
に進行する。この燃料は、吸気弁側頂面の第2部分を通
過する際に段差部によって排気弁側頂面上を飛行し、縦
スワールによって容易に霧化される。
【0017】また、前述の第三の筒内噴射式火花点火機
関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を
円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末期のピスト
ン頂面に向けられている燃料噴射弁と、ピストンとを具
備し、燃料噴射弁による燃料噴射は全ての機関運転状態
において吸気行程初期から開始され、ピストンの頂面に
は、燃料噴射開始から所定クランク角度までに噴射され
る燃料の全てが衝突する程度の面積を有し、ピストン材
料に比較して熱伝導度の低い低伝熱層が形成され、機関
運転状態毎に必要燃料噴射量及び機関回転数を考慮し
て、低伝熱層に可能な限り多量の燃料が可能な限り広範
囲に衝突するように燃料噴射弁による燃料噴射圧力及び
燃料噴射開始時期が制御されるために、吸気行程初期に
噴射される燃料は、燃焼熱により高温度に維持される低
伝熱層に衝突し、その熱を有効に利用して十分に気化さ
れる。
【0018】また、前述の第四の筒内噴射式火花点火機
関は、前述の第三の筒内噴射式火花点火機関において、
さらに、機関冷間時及び/又は機関極軽負荷時には、低
伝熱層への燃料衝突範囲が低減されるために、低伝熱層
の熱吸収が不十分となる機関冷間時及び/又は燃焼温度
が低い機関極軽負荷時において、低伝熱層から奪われる
燃料の気化熱は少なくなり、低伝熱層の温度が徐々に下
がりついには付着燃料が全く気化されないことを防止す
ることができる。
【0019】また、前述の第五の筒内噴射式火花点火機
関は、前述の第三の筒内噴射式火花点火機関において、
複数の同様な燃料噴射弁が設けられ、ピストン頂面には
複数の燃料噴射弁それぞれに対応する複数の同様な低伝
熱層が形成され、機関冷間時及び/又は機関極軽負荷時
には、内燃機関サイクル毎に順次燃料噴射弁の一つを使
用して燃料噴射を実行するために、低伝熱層の熱吸収が
不十分となるこのような時において、各低伝熱層は、燃
料が衝突しない内燃機関サイクルで良好に熱吸収するこ
とができ、前述の低伝熱層の温度低下を防止すると共
に、燃料が衝突する内燃機関サイクル時における燃料の
気化を良好なものとすることができる。
【0020】また、前述の第六の筒内噴射式火花点火機
関は、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を
円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程前期のピスト
ン頂面に向けられている第1燃料噴射弁と、気筒上部周
囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を円錐状に噴射し、
その噴射方向が吸気行程後期のピストン頂面に向けられ
ている第2燃料噴射弁とを具備し、第1燃料噴射弁及び
第2燃料噴射弁を使用して機関運転状態に基づく必要燃
料噴射量を吸気行程前期及び吸気行程後期に分けて噴射
するために、吸気行程前期に噴射される燃料は、ピスト
ン頂面全体に付着してピストン全体の熱を利用して十分
に気化することができ、吸気行程後期に噴射され十分な
吸気により霧化混合される燃料と共に良好な均一混合気
を気筒内に形成することができる。
【0021】
【実施例】図1は、本発明による筒内噴射式火花点火機
関の第一実施例を示す縦断面図であり、図2はその概略
平面図である。これらの図において、1は吸気弁2を介
して気筒内へ通じる吸気通路、3は排気弁4を介して気
筒内へ通じる排気通路である。本実施例は四弁式であ
り、各二つの吸気通路1及び排気通路3が設けられてい
る。5は火炎伝播を良好にするために気筒上部略中心に
設けられた点火栓であり、その周囲に互いに隣接して二
つの吸気弁2及び二つの排気弁4が配置されている。6
は気筒内へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁であり、7は
ピストンである。
【0022】燃料噴射弁6は、気筒上部周囲の二つの吸
気弁2の間に設置されている。この設置位置は、常時高
温度に維持される排気弁4側に比較して吸気の通過によ
り冷却されるために、燃料噴射弁6内での燃料の気化防
止に有利である。本実施例の内燃機関は、高出力が得ら
れる均一燃焼を機関運転状態にかかわらず実行するもの
であり、燃料噴射弁6は、その均一混合気形成に有利な
ように燃料を円錐状に微粒化して噴射するものである。
【0023】本実施例において、燃料噴射弁6による燃
料噴射開始時期は、噴射終了時から点火までの時間を長
くするために、常時、吸気行程初期に開始されるように
なっている。また、その燃料噴射方向は、単位時間当た
りのクランク角度が大きく多量の燃料を必要とする機関
高速高負荷時を考慮して、吸気行程末期のピストン7頂
面に向けられている。それにより、吸気行程末期の図4
(B)に示すように、円錐状に噴射された燃料は、いず
れのピストン7位置においても気筒壁面に付着すること
はなく、未燃燃料として排出されるこの燃料付着は防止
される。
【0024】このような燃料噴射弁6により吸気行程初
期に噴射される燃料は、吸気行程初期の図4(A)に示
すようにピストン7頂面の吸気弁側端部に衝突し、吸気
行程中期以降に噴射される燃料は、この時、気筒内には
十分な量の吸気により縦スワールが生成されており、ま
た燃料噴射弁6の噴口からピストン7頂面までの距離が
比較的大きいために、ピストン7頂面に衝突する以前に
吸気と霧化混合される。吸気行程初期においてピストン
7頂面に衝突する燃料は、この衝突方向が略水平なピス
トン7頂面に対してほぼ垂直であるために、その多くは
衝突位置に付着する。一部の燃料がピストン7頂面上を
放射状に進行するために、ピストン7頂面には、この液
状燃料が気筒壁面に達することがないように、全体的に
浅い凹み7aが形成されている。
【0025】このようにピストン7頂面に付着する燃料
は、ピストン熱を利用してある程度気化されるが、吸気
行程中に生成される縦スワールとは接触しにくい位置で
あるために、点火時点においても液状燃料として比較的
多量にこの位置に留まり、この液状燃料が未燃燃料とし
て排出される。
【0026】本実施例の筒内噴射式火花点火機関は、図
1のA−A断面図である図3に示すように、吸気の一部
を吸気行程初期に噴射される燃料のピストン7頂面衝突
位置近傍に導くために、各吸気通路1の気筒近傍におい
て、燃料噴射弁6側の内壁の一部を半円状に凹ませるこ
とによって副吸気通路1aが形成されいる。従って、吸
気行程初期に噴射されピストン7頂面の吸気弁側端部に
付着する燃料は、この副吸気通路1aにより導かれる吸
気Pによって良好に気化される。また、吸気行程初期に
噴射される燃料の一部は、この吸気流れに取り込まれる
ために、ピストン7頂面に付着する燃料量自身も低減さ
れ、従来に比較して点火時点において液状のままピスト
ン7頂面に留まる燃料量をかなり減少させることがで
き、排出される未燃燃料を十分に低減することが可能と
なる。さらに、副吸気通路1aを通過する吸気Pは、図
1に示すように気化させた燃料及び取り込んだ燃料と共
に縦スワールSと衝突するために、その後噴射される燃
料を含み燃料と吸気との混合が促進され良好な均一混合
気を形成することができる。
【0027】図5は本発明による筒内噴射式火花点火機
関の第二実施例を示すピストン部の縦断面図である。第
一実施例との違いについてのみ以下に説明する。ピスト
ン71の頂面には、その略中央に段差部71aが形成さ
れ、浅く凹む吸気弁側頂面71bと深く凹む排気弁側頂
面71cとが形成されている。排気弁側頂面71cは略
水平であり、段差部71a近傍の拡大図である図6に示
すように、吸気弁側頂面71bは、段差部71a近傍の
略水平な第1部分と、この第1部分に滑らかに接続され
燃料噴射弁6側方向が高く傾斜する第2部分と有してい
る。
【0028】ピストン71頂面がこのように形成されて
いると、燃料噴射弁6により吸気行程初期に噴射された
燃料は、吸気弁側頂面71bの第2部分に衝突し、この
第2部分が前述のような傾斜面であるために、衝突角度
が小さくなり、第一実施例のように衝突位置に留まるこ
となくこの時に発生する慣性力によってピストン頂面上
を排気弁側に進行する。
【0029】このように進行する液状燃料は、図6に示
すように、ピストン71頂面の熱によって徐々に気化さ
れ、残りの液状燃料が慣性力によって段差部71aから
排気弁側頂面71c上を略水平方向に飛行し、この時に
生成されている縦スワールSによって取り込まれ良好に
気化される。このように、本実施例においても点火時点
において液状のままピストン頂面に留まる液状量をかな
り減少させることができ、排出される未燃燃料を十分に
低減することが可能となる。本実施例において、第一実
施例で説明した副吸気通路は形成されていないが、もち
ろん二つの実施例を組み合わせることで、さらにピスト
ン頂面上の液状燃料の気化が促進され、未燃燃料の排出
量をさらに低減することが可能となる。
【0030】図7は本発明による筒内噴射式火花点火機
関の第三実施例を示す縦断面図であり、図8はピストン
の平面図である。第一実施例との違いについてのみ以下
に説明する。図7には、各クランク角度におけるピスト
ン72の位置が示されており、ピストン72の頂面には
浅い凹み72aが形成され、この凹み72aにおけるク
ランク角度が0°から60°の間に所定燃料圧力P1で
燃料噴射弁6により噴射される燃料が衝突する位置だけ
にセラミック等の熱伝導度の低い材料が溶射され、低伝
熱層72bが形成されている。この低伝熱層72bは、
機関燃焼熱により加熱され高温度に維持される。
【0031】本実施例における燃料噴射時期及び燃料噴
射圧力の制御は、図9に示す第1フローチャートに従っ
て実行される。まず、ステップ110において、吸気通
路のスロットル弁上流に配置されたエアフローメータに
よって現在の吸入空気重量Gaが測定される。次に、ス
テップ120において、各気筒への吸入空気重量Ga’
が所望の空燃比A/Fで割られ、燃料噴射量Qfが算出
され、ステップ130に進む。
【0032】ステップ130において、回転センサによ
り現在の機関回転数Neが測定され、ステップ140に
おいて、この機関回転数Neと燃料噴射量Qfとを基に
図10に示す第1マップにより燃料噴射圧力Pが決定さ
れる。このマップにおいて、燃料噴射圧力Pは、その制
御を簡単化するために、通常の燃料圧力P1とそれより
低い燃料圧力P2のいずれか一方が選択されるようにな
っている。
【0033】次にステップ150に進み、決定された燃
料噴射圧力Pが通常の燃料圧力P1であるかどうかが判
断され、この判断が肯定される時にはステップ160に
進み、この燃料圧力P1での燃料噴射量Qfに対する燃
料噴射弁6の開弁時間Tiが算出され、ステップ180
に進む。一方、ステップ150における判断が否定され
る時、すなわち、決定された燃料噴射圧力Pが通常の燃
料圧力P1より低い燃料圧力P2である時には、ステッ
プ170に進み、この燃料圧力P2での燃料噴射量Qf
に対する燃料噴射弁6の開弁時間Tiが算出され、ステ
ップ180に進む。もちろん、同量の燃料噴射量に対す
る開弁時間は、低い燃料圧力P2が選択されている方が
長くなる。
【0034】ステップ180において、燃料噴射弁6の
開弁時間Tiと機関回転数Neとを基に燃料噴射期間T
p、すわなち燃料噴射に必要なクランク角度範囲が算出
され、次にステップ190に進み、この燃料噴射期間T
pを基に図11に示す第2マップにより燃料噴射開始時
期SOIと燃料噴射終了時期EOIとが決定される。
【0035】第2マップにおいて、燃料噴射開始時期S
OIを示す線と燃料噴射終了時期EOIを示す線との間
が燃料噴射期間Tpとなっている。燃料噴射期間Tpが
60°クランク角度範囲より大きい時には、燃料噴射開
始時期SOIはクランク角度0°、すなわち吸気上死点
に固定され、燃料噴射終了時期EOIが必要に応じて遅
らされる。
【0036】また、燃料噴射期間Tpが30°から60
°のクランク角度範囲である時には、燃料噴射終了時期
EOIはクランク角度60°に固定され、燃料噴射開始
時期SOIが必要に応じて遅らされる。また燃料噴射期
間Tpが30°クランク角度範囲より小さい時には、必
要に応じて燃料噴射開始時期SOIが遅らされると同時
に燃料噴射終了時期EOIが早められる。
【0037】このように燃料噴射期間Tpに対して燃料
噴射開始時期SOI及び燃料噴射終了時期EOIが決定
されることにより、いずれの機関運転状態においても吸
気行程初期から燃料噴射が開始され、特に燃料噴射量が
それほど多くない機関運転状態において、燃料噴射終了
時点から点火までに十分な時間を持たせることができ均
一混合気形成に有利であると共に、燃料噴射期間が60
°クランク角度範囲より大きい時には、低伝熱層72b
全体に燃料が付着し、この吸気行程初期に噴射される比
較的多量の燃料を低伝熱層72bの熱によって良好に気
化させることができる。また、燃料噴射期間が60°ク
ランク角度範囲より小さい時には、燃料噴霧が低伝熱層
72b内において十分に広がるクランク角度60°近傍
で必ず噴射され、その噴射開始時期SOIが必要に応じ
て遅らされるために、噴射される燃料は可能な限り広範
囲に低伝熱層72bに付着し、その熱を燃料の気化に有
効に利用することができる。さらに、前述した第2マッ
プは、機関回転数Neが低くなると同量の燃料噴射量Q
fに対する燃料噴射期間Tpが小さくなることを考慮し
て、燃料噴射圧力Pを通常の燃料圧力P1とすると燃料
噴射期間Tpが60°クランク角度範囲を下回り、燃料
圧力をP2とすると丁度、燃料噴射期間Tpが60°ク
ランク角度範囲となる機関回転数Neに対する燃料噴射
量Qfによって二つの燃料圧力の境界が決定されてい
る。従って、境界より下側の領域において低い燃料圧力
P2が使用されることにより、通常の燃料圧力P1が使
用される場合に比較して燃料噴射期間Tpを60°クラ
ンク角度範囲に近づけることができ。
【0038】燃料噴射弁6に燃料噴射は、前述したよう
に燃料を円錐状に噴射するものであり、その中心部には
燃料があまり存在せず、すなわち、瞬間に噴射された燃
料はドーナツ状に低伝熱層72bに付着する。従って、
前述のように、燃料噴射圧力を下げて燃料噴射期間Tp
を60°クランク角度範囲に近づけるように大きくする
ことにより、燃料をより広範囲に低伝熱層72bに付着
させることができ、低伝熱層72bの熱をさらに有効に
利用して燃料を気化させることが可能となる。燃料噴射
圧力Pを決定する第1マップは、境界線とほぼ平行な線
を使用して低い燃料圧力P2の領域をさらに細分化し、
それぞれに適当な圧力を設定するようにすることで、こ
の領域の機関運転状態に対して、常に燃料噴射機関Tp
を60°近傍とすることも可能である。
【0039】図12は、第四実施例における燃料噴射時
期及び燃料噴射圧力の制御を示す第2フローチャートで
ある。第三実施例との違いについてのみ以下に説明す
る。第1フローチャートと同様にステップ240におい
て燃料噴射圧力Pが第1マップにより決定された後、ス
テップ241において機関冷却水温THWが機関暖機後
を示す温度T0未満であるかどうかが判断され、次にス
テップ242においてアイドルスイッチがオンとなって
いるかどうかが判断される。アイドルスイッチは、アク
セルペダルが開放されている時にオンとなり、すなわち
機関アイドル運転状態を検出するものである。これら二
つの判断がいずれも否定される時には、ステップ250
に進み、第1フローチャートと同様に燃料噴射圧力Pが
通常の燃料圧力P1であるかどうかの判断が実行される
が、これら二つの判断の少なくとも一方が肯定される時
には、ステップ253において燃料噴射圧力Pは通常に
燃料圧力P1とされ、ステップ250に進む。
【0040】このように、本実施例によれば、機関暖機
以前及び/又は機関アイドル運転時には機関回転数Ne
及び燃料噴射量Qfにかかわらず燃料噴射圧力Pは通常
の燃料圧力P1が使用される。機関暖機以前、すなわち
機関冷間時は気筒内の温度が低く低伝熱層72bの加熱
が十分でなく、また機関アイドル運転時等の機関極軽負
荷時には、燃焼温度が低いために、やはり低伝熱層72
bの加熱が不十分となる。このような時に、前述したよ
うに燃料噴射圧力を下げて燃料噴射期間を大きくし、低
伝熱層72bのできる限り広範囲に燃料を付着させる
と、燃料の気化により低伝熱層72bの温度は徐々に下
がり、ここに付着する燃料を全く気化させることが不可
能となるために、このような時には、燃料噴射圧力Pは
通常の燃料圧力P1に固定し、吸気行程初期に噴射され
る燃料は、ある程度広範囲に低伝熱層72bに付着さ
せ、ある程度の燃料の気化を維持する一方で、低伝熱層
72bの温度が低下することを防止する。
【0041】図13は本発明による筒内噴射式火花点火
機関の第五実施例を示す図8に相当する概略平面図であ
る。以下第三実施例との違いについてのみ説明する。本
実施例は、気筒上部周囲の吸気弁側に燃料を円錐状に噴
射する二つの燃料噴射弁6が設けられ、これらの燃料噴
射弁6の燃料噴射方向は、前述同様、吸気行程末期のピ
ストン73頂面に向けられている。ピストン73頂面に
は、各燃料噴射弁6に対してクランク角度が0°から6
0°の間に所定燃料圧力P1で噴射される燃料が衝突す
る位置だけにセラミック等の熱伝導度の低い材料からな
る低伝熱層73b,73cが設けられている。
【0042】第四実施例において説明したように、機関
冷間時及び機関極軽負荷時は低伝熱層73bの加熱が不
十分となり、第四実施例では、このような時に低伝熱層
における燃料付着範囲をある程度低下させ、ある程度の
燃料の気化を維持すると共に、低伝熱層の温度低下を防
止するようにしたが、本実施例は、このような時にもさ
らに良好に燃料を気化させることを可能にするものであ
る。
【0043】二つの燃料噴射弁6による燃料噴射時期及
び燃料噴射圧力の制御は、図9に示す第1フローチャー
トと同様な考え方に従って行われる。ただし、図14に
示す第3マップが使用され、現在の機関運転状態が燃焼
温度の低い機関低速低負荷時であることが判断された時
には機関サイクル毎に二つの燃料噴射弁6を交互に利用
して燃料噴射を実行させようになっている。従って、燃
料噴射時期及び燃料噴射圧力が制御され、一方の低伝熱
層73bにできる限り多量の燃料をできる限り広範囲に
噴射する時には、他方の低伝熱層73cには燃料が付着
しないために気化熱を奪われることはなく、この時の燃
焼熱を利用して十分に加熱され、次回のサイクルにおい
て、この低伝熱層73cに付着する多量の燃料を良好に
気化させることができる。
【0044】前述した第3マップは、機関温度を示す機
関冷却水温が低くなると同じ機関運転状態における低伝
熱層73b,73cの加熱が悪化するために、燃料噴射
弁6の交互噴射を実行する領域が徐々に拡大されるよう
になっている。このように、本実施例は、低伝熱層73
b,73cの加熱が不十分となる運転状態の時において
も、低伝熱層73b,73cの温度低下を防止すること
ができると共に、吸気行程初期においてそこに付着する
燃料を十分に気化させることが可能となる。この運転状
態以外の時には、必要な燃料噴射量を二つの燃料噴射弁
6を利用して二分割して同時に噴射するようになってお
り、それにより、燃料噴射終了時から点火までの時間が
長くなり、さらに良好な均一混合気を形成することがで
きる。
【0045】図15は本発明による筒内噴射式火花点火
機関の第六実施例を示す概略平面図であり、(A)は吸
気行程初期の状態、(B)は吸気行程中期以降を示して
いる。図16はその概略縦断面図であり、(A)はP−
P断面図、(B)はQ−Q断面図である。本実施例は、
気筒上部周囲の吸気弁側に燃料を円錐状に噴射する二つ
の燃料噴射弁6a,6bが設けられ、第1燃料噴射弁6
aは、その燃料噴射方向がクランク角度60°のピスト
ン7頂面に向けられ、この時にピストン7頂面に最も広
範囲に燃料が衝突するようになっている。また、第2燃
料噴射弁6bは、その燃料噴射方向が吸気下死点のピス
トン7頂面に向けられ、いずれのピストン7位置におい
ても噴射された燃料が気筒内壁に付着しないようになっ
ている。ピストン7頂面には、前述した全ての実施例同
様に、全体的な浅い凹み7aが形成されている。
【0046】このように構成された第六実施例は、図1
7に示す第3フローチャートに従って燃料噴射開始及び
終了時期が制御される。まずステップ310において、
エアフローメータにより吸入空気重量Gaが測定され、
ステップ320において、各気筒の吸入空気重量Ga’
が所望の空燃比A/Fで割られ燃料噴射量Qfが算出さ
れる。次にステップ330において回転センサにより機
関回転数Neが測定され、ステップ340に進む。
【0047】ステップ340において、燃料噴射量Qf
から第2燃料噴射弁6bによる最小燃料噴射量Q2mi
nが引かれ第1燃料噴射弁6aによる燃料噴射量Q1が
算出される。最小燃料噴射量Q2minとは、第2燃料
噴射弁6bの特性により定まる噴射可能な最小限の燃料
噴射量である。次にステップ350に進み、燃料噴射量
Q1が、第1燃料噴射弁6aによりクランク角度60°
までに噴射可能な最大燃料噴射量Q1max(Ne)以
下であるかどうかが判断される。この最大燃料噴射量Q
1max(Ne)は、機関回転数毎に定まる値であり、
現在の機関回転数Neが考慮され決定される。
【0048】ステップ350における判断が肯定される
時はそのまま、また否定される時はステップ360にお
いて第1燃料噴射弁6aの燃料噴射量Q1をQ1max
(Ne)としてステップ370に進む。ステップ370
において、全体の燃料噴射量Qfから第1燃料噴射弁6
aによる燃料噴射量Q1が引かれ第2燃料噴射弁6bの
燃料噴射量Q2が算出される。次にステップ380にお
いて、各燃料噴射量Q1,Q2を基に第1及び第2燃料
噴射弁6a,6bの開弁時間Tinj1及びTinj2
が算出され、ステップ390に進む。
【0049】ステップ390において、現在の機関回転
数Neと各開弁時間Tinj1,Tinj2を基に第1
及び第2燃料噴射弁6a,6bの燃料噴射期間、すなわ
ち燃料噴射に必要なクランク角度範囲TCRNK1及び
TCRNK2が算出される。次にステップ400におい
て、燃料噴射期間TCRNK1を基に第1燃料噴射弁6
aの燃料噴射開始時期SOI1及び燃料噴射終了時期E
OI1が決定され、燃料噴射期間TCRNK2を基に第
2燃料噴射弁6bの燃料噴射終了時期EOI2が決定さ
れる。この決定には図18に示す第4マップが使用さ
れ、実線は特定機関回転数の場合を示している。第2燃
料噴射弁6bの燃料噴射開始時期SOI2は、クランク
角度60°に固定されている。
【0050】第1燃料噴射弁6aにより噴射される燃料
は、その噴射終了時期EOI1がクランク角度60°以
前とされ、気筒内壁には付着することなくピストン7頂
面上に比較的広範囲に薄く付着するために、ピストン7
の熱を有効に利用して良好に気化される。また、第2燃
料噴射弁6bにより噴射される燃料は、その噴射開始時
期SOI2が吸気行程初期が終了するクランク角度60
°に固定されているために、噴口からピストン7頂面ま
での距離が比較的大きく、すでに比較的多量の吸気が供
給されており、この吸気によって良好に霧化混合される
と共に、この時の燃料噴射量は、第1燃料噴射弁6aで
の燃料噴射が行われるために比較的少なく、噴射終了時
点から点火までに十分な時間を確保することができ、第
1燃料噴射弁により噴射される燃料と共に良好な均一混
合気を形成することができる。
【0051】前述したように、第1燃料噴射弁6aによ
りクランク角度60°までに噴射される燃料は、ピスト
ン7の熱により良好に気化するために、できる限り多量
の燃料を第1燃料噴射弁により噴射することが好ましい
が、第2燃料噴射弁6bの燃料噴射を中止すると、燃料
噴射によるそれ自身の冷却が行われないために、燃焼熱
による加熱によって噴口にデポジットが生成されたり、
それ内の燃料通路において燃料が気化し、所望量の燃料
噴射ができなくなる可能性があり、これを防止するため
に、最小燃料噴射量Q2minだけは常時噴射するよう
になっている。従って、全体の燃料噴射量Qfが比較的
少ない時には、第1燃料噴射弁6aの燃料噴射量Q1は
この時の機関回転数Neに対応する最大燃料噴射量Q1
max(Ne)より少なくされ、その分、第1燃料噴射
弁6aの燃料噴射開始時期SOI1は吸気上死点から遅
らされると共に燃料噴射終了時期EOI1は早められ
る。
【0052】燃料噴射量Qfが比較的多くなると、第1
燃料噴射弁6aに噴射できない残りの量が第2燃料噴射
弁6bを使用して噴射され、必要に応じてその燃料噴射
終了時期EOI2が遅らされる。機関回転数が高くなる
と、第1燃料噴射弁6aの最大燃料噴射量Q1max
(Ne)が少なくなり、第2燃料噴射弁6bによる燃料
噴射量Q2が増加するために、第1燃料噴射弁6aの燃
料噴射開始及び終了時期SOI1,EOI1と、第2燃
料噴射弁6bの燃料噴射終了時期EOI2は、図18に
一点鎖線で示すように変化し、また機関回転数が低くな
ると、逆に点線で示すように変化する。
【0053】このように、本実施例によっても点火時点
においてピストン頂面に付着する液状燃料は十分に低減
されると共に良好な均一混合気が形成され、排気エミッ
ションの良好な燃焼が実現される。
【0054】これまで説明した各実施例において、燃料
噴射期間を表すクランク角度範囲や燃料噴射の開始時期
及び終了時期を表すクランク角度として使用した数値
は、理解を容易にするための例であり、本発明を限定す
るものではない。また、特に第一及び第二実施例におい
て、燃料噴射は常時吸気行程初期から開始される必要は
なく、少なくとも機関高速高負荷時等に吸気行程初期か
ら開始されれば、この時に噴射されピストン頂面に付着
する燃料を良好に気化させることができ、従来に比較し
てこの時の排気エミッションを改善することが可能であ
る。
【0055】
【発明の効果】このように、本発明による第一の筒内噴
射式火花点火機関によれば、気筒上部周囲近傍の吸気弁
側に配置され、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が
吸気行程末期のピストン頂面に向けられている燃料噴射
弁と、吸気通路とを具備し、燃料噴射弁による燃料噴射
は少なくとも特定機関運転状態において吸気行程初期か
ら開始され、吸気通路は吸気の一部だけを吸気行程初期
における燃料のピストン頂面衝突位置に向かわせる副吸
気通路を有しているために、吸気行程初期に噴射されピ
ストン頂面に付着する燃料は、副吸気通路を通る吸気に
よって十分に気化され、点火時点においてピストン頂面
に留まる液状燃料がかなり低減され、この時の排気エミ
ッションを十分に改善することができる。
【0056】また、本発明による第二の筒内噴射式火花
点火機関によれば、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置
され、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程
末期のピストン頂面に向けられている燃料噴射弁と、排
気弁側においてピストン頂面方向に下降する縦スワール
を気筒内に生成するように形成された吸気通路とを具備
し、燃料噴射弁による燃料噴射は少なくとも特定機関運
転状態において吸気行程初期から開始され、ピストン頂
面には略中央に段差部が形成され吸気弁側頂面に比較し
て排気弁側頂面が低くなっており、吸気弁側頂面は段差
部近傍に位置し前記排気弁側頂面と略平行な第1部分と
第1部分に滑らかに接続され燃料噴射弁側方向が高く傾
斜する第2部分とを有するために、吸気行程初期に噴射
される燃料は、ピストンの吸気弁側頂面の第2部分に衝
突し、その衝突角度が小さくなり、衝突位置に留まるこ
となくこの時に発生する慣性力によってピストン頂面上
を排気弁側に進行する。この燃料は、吸気弁側頂面の第
2部分を通過する際に段差部によって排気弁側頂面上を
飛行し、縦スワールによって容易に霧化されるために、
点火時点においてピストン頂面に留まる液状燃料がかな
り低減され、この時の排気エミッションを十分に改善す
ることができる。
【0057】また、本発明による第三の筒内噴射式火花
点火機関によれば、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置
され、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程
末期のピストン頂面に向けられている燃料噴射弁と、ピ
ストンとを具備し、燃料噴射弁による燃料噴射は全ての
機関運転状態において吸気行程初期から開始され、ピス
トンの頂面には、燃料噴射開始から所定クランク角度ま
でに噴射される燃料の全てが衝突する程度の面積を有
し、ピストン材料に比較して熱伝導度の低い低伝熱層が
形成され、機関運転状態毎に必要燃料噴射量及び機関回
転数を考慮して、低伝熱層に可能な限り多量の燃料が可
能な限り広範囲に衝突するように燃料噴射弁による燃料
噴射圧力及び燃料噴射開始時期が制御されるために、吸
気行程初期に噴射される燃料は、燃焼熱により高温度に
維持される低伝熱層に衝突し、その熱を有効に利用して
十分に気化され、点火時点においてピストン頂面に留ま
る液状燃料がかなり低減され、この時の排気エミッショ
ンを十分に改善することができる。
【0058】また、本発明による第四の筒内噴射式火花
点火機関によれば、前述の第三の筒内噴射式火花点火機
関の効果に加えて、機関冷間時及び/又は機関極軽負荷
時には、低伝熱層への燃料衝突範囲が低減されるため
に、低伝熱層の熱吸収が不十分となる機関冷間時及び/
又は燃焼温度が低い機関極軽負荷時において、低伝熱層
から奪われる燃料の気化熱が減少し、低伝熱層の温度が
徐々に下がりついには付着燃料を気化不能になることを
防止することができる。
【0059】また、本発明による第五の筒内噴射式火花
点火機関によれば、前述の第三の筒内噴射式火花点火機
関の効果に加えて、複数の同様な燃料噴射弁が設けら
れ、ピストン頂面には複数の燃料噴射弁それぞれに対応
する複数の同様な低伝熱層が形成され、機関冷間時及び
/又は機関極軽負荷時には、内燃機関サイクル毎に順次
燃料噴射弁の一つを使用して燃料噴射を実行するため
に、各低伝熱層は、燃料が衝突しない内燃機関サイクル
で良好に熱吸収することができ、低伝熱層の加熱が不十
分となるこのような時においても、低伝熱層の温度が徐
々に下がりついには付着燃料を気化不能になることを防
止することができと共に、各低伝熱層はそこに衝突付着
する燃料を良好に気化させることができる。
【0060】また、本発明による第六の筒内噴射式火花
点火機関によれば、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置
され、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程
前期のピストン頂面に向けられている第1燃料噴射弁
と、気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を円
錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程後期のピストン
頂面に向けられている第2燃料噴射弁とを具備し、第1
燃料噴射弁及び第2燃料噴射弁を使用して機関運転状態
に基づく必要燃料噴射量を吸気行程前期及び吸気行程後
期に分けて噴射するために、吸気行程前期に噴射される
燃料は、ピストン頂面全体に付着してピストン全体の熱
を利用して十分に気化することができ、吸気行程後期に
噴射され十分な吸気により霧化混合される燃料と共に良
好な均一混合気を気筒内に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火機関の第一実
施例を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の概略平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1の筒内噴射式火花点火機関の燃料噴射を説
明する図であり、(A)は吸気行程初期、(B)は吸気
行程末期を示している。
【図5】本発明による筒内噴射式火花点火機関の第二実
施例を示すピストン部の縦断面図である。
【図6】図5のR部拡大図である。
【図7】本発明による筒内噴射式火花点火機関の第三実
施例を示す概略縦断面図である。
【図8】図7のピストン平面図である。
【図9】燃料噴射時期及び燃料噴射圧力の制御のために
第1フローチャートである。
【図10】燃料噴射圧力決定のための第1マップであ
る。
【図11】燃料噴射開始時期及び終了時期を決定するた
めの第2マップである。
【図12】本発明による筒内噴射式火花点火機関の第四
実施例を示す燃料噴射時期及び燃料噴射圧力の制御のた
めの第2フローチャートである。
【図13】本発明による筒内噴射式火花点火機関の第五
実施例を示す概略平面図である。
【図14】燃焼温度の低い機関運転状態を判断するため
の第3マップである。
【図15】本発明による筒内噴射式火花点火機関の第六
実施例を示す概略平面図であり、(A)は吸気行程初期
の状態、(B)は吸気行程中期以降の状態を示してい
る。
【図16】図15の概略縦断面図であり、(A)はP−
P断面図、(B)はQ−Q断面図を示している。
【図17】燃料噴射開始及び終了時期を制御するための
第3フローチャートである。
【図18】第3フローチャートに使用される第4マップ
である。
【符号の説明】
1…吸気通路 2…吸気弁 3…排気通路 4…排気弁 5…点火栓 6,6a,6b…燃料噴射弁 7,71,72,73…ピストン 7a,72a,73a…浅い凹み 71a…段差部 71b…吸気弁側頂面 71c…排気弁側頂面 72b,73b,73c…低伝熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 41/04 345 F02D 41/04 345C 41/06 335 41/06 335Z 41/34 41/34 C F02F 3/00 302 F02F 3/00 302A 3/26 3/26 D (56)参考文献 特開 平7−102976(JP,A) 特開 平5−240056(JP,A) 特開 平7−293259(JP,A) 特開 平5−240047(JP,A) 特開 平5−248244(JP,A) 特開 平5−280339(JP,A) 特開 平5−71350(JP,A) 特開 平4−228850(JP,A) 実開 平1−124040(JP,U) 実開 平3−89936(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02B 23/10 F02B 17/00 F02B 31/00 F02D 41/00 - 41/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置さ
    れ、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末
    期のピストン頂面に向けられている燃料噴射弁と、吸気
    通路とを具備し、前記燃料噴射弁による燃料噴射は少な
    くとも特定機関運転状態において吸気行程初期から開始
    され、前記吸気通路は、吸気行程初期に噴射された燃料
    が衝突するピストン頂面位置近傍に吸気の一部を導く副
    吸気通路を有していることを特徴とする筒内噴射式火花
    点火機関。
  2. 【請求項2】 気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置さ
    れ、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末
    期のピストン頂面に向けられている燃料噴射弁と、排気
    弁側において前記ピストン頂面方向に下降する縦スワー
    ルを気筒内に生成するように形成された吸気通路とを具
    備し、前記燃料噴射弁による燃料噴射は少なくとも特定
    機関運転状態において吸気行程初期から開始され、前記
    ピストン頂面には略中央に段差部が形成され吸気弁側頂
    面に比較して排気弁側頂面が低くなっており、前記吸気
    弁側頂面は、前記段差部近傍に位置し前記排気弁側頂面
    と略平行な第1部分と、前記第1部分に滑らかに接続さ
    れ前記燃料噴射弁側方向が高く傾斜する第2部分とを有
    することを特徴とする筒内噴射式火花点火機関。
  3. 【請求項3】 気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置さ
    れ、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程末
    期のピストン頂面に向けられている燃料噴射弁を具備
    し、前記燃料噴射弁による燃料噴射は全ての機関運転状
    態において吸気行程初期から開始され、前記ピストンの
    頂面には、所定クランク角度までに噴射される燃料の全
    てが衝突する程度の面積を有し、ピストン材料に比較し
    て熱伝導度の低い低伝熱層が形成され、機関運転状態毎
    に必要燃料噴射量及び機関回転数を考慮して、前記低伝
    熱層に可能な限り多量の燃料が可能な限り広範囲に衝突
    するように、前記燃料噴射弁による燃料噴射圧力及び燃
    料噴射開始時期が制御されることを特徴とする筒内噴射
    式火花点火機関。
  4. 【請求項4】 機関冷間時及び/又は機関極軽負荷時に
    は、前記低伝熱層への燃料衝突範囲が低減されることを
    特徴とする請求項3に記載の筒内噴射式火花点火機関。
  5. 【請求項5】 複数の前記燃料噴射弁が設けられ、前記
    ピストン頂面には前記複数の燃料噴射弁それぞれに対応
    する複数の前記低伝熱層が形成され、機関冷間時及び/
    又は機関極軽負荷時には、内燃機関サイクル毎に順次前
    記燃料噴射弁の一つを使用して燃料噴射を実行すること
    を特徴とする請求項3に記載の筒内噴射式火花点火機
    関。
  6. 【請求項6】 気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置さ
    れ、燃料を円錐状に噴射し、その噴射方向が吸気行程前
    期のピストン頂面に向けられている第1燃料噴射弁と、
    気筒上部周囲近傍の吸気弁側に配置され、燃料を円錐状
    に噴射し、その噴射方向が吸気行程後期のピストン頂面
    に向けられている第2燃料噴射弁とを具備し、前記第1
    燃料噴射弁及び前記第2燃料噴射弁を使用して機関運転
    状態に基づく必要燃料噴射量を吸気行程前期及び吸気行
    程後期に分けて噴射することを特徴とする筒内噴射式火
    花点火機関。
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