JP3158251B2 - 常温舗装用アスファルト舗装材 - Google Patents

常温舗装用アスファルト舗装材

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JP3158251B2 JP35641298A JP35641298A JP3158251B2 JP 3158251 B2 JP3158251 B2 JP 3158251B2 JP 35641298 A JP35641298 A JP 35641298A JP 35641298 A JP35641298 A JP 35641298A JP 3158251 B2 JP3158251 B2 JP 3158251B2
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光司 喜多川
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は常温でアスファルト
舗装の施工が可能な常温舗装用アスファルト舗装材に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来においても新規骨材を使用し、また
は新規骨材とアスファルトコンクリート廃材とを混合し
たものを使用し、常温で舗装の施工ができるようにした
アスファルト舗装材が提案されている。しかしこれらは
加熱した新規骨材に熱アスファルトを加えて加熱混合物
を得、または新規骨材とアスファルトコンクリート廃材
とを混合したものに熱アスファルトを加えて加熱混合物
を得、これに重油、軽油、灯油などの揮発性軽質油を加
えてアスファルトを軟化させ、これを常温にもどしても
すぐには固化しないようにしたものである。
【0003】しかしこのような揮発性軽質油を使用した
場合、舗装施工直後から軽質油が外気に放出されること
になり、環境保全の点から極めて悪いばかりでなく、施
工直後に十分な強度が得られず、十分な強度となるには
長い期間が必要となる。また施工直後から十分な強度が
得られるようにするために揮発性軽質油の添加量を少な
くすると、保存中にこの揮発性軽質油がほとんど蒸発し
てしまうため、アスファルト舗装材が固化してしまうの
で、長期にわたる保存が困難となる。
【0004】一方アスファルトコンクリート廃材の破砕
物を原料とし、これに難揮発性の油を加えて混練するこ
とにより、常温で舗装の施工が可能なアスファルト舗装
材が本発明者によって別途提案されている(特許第29
76104号公報参照。)。これによれば前記したアス
ファルト舗装材が持っている欠点を解消することがで
き、極めて有利であるが、反面以下のような不利なこと
がある。
【0005】すなわちこの種のアスファルトコンクリー
ト廃材は路盤の表面から剥ぎとってくるものであるか
ら、ともすれば劣質のものが供給されることがある。こ
のような劣質の廃材を使用したアスファルト舗装材では
十分な強度を保証することができない。またこの廃材は
これまでの使用によって過度に酸化され、セメント舗装
材に近い剛性を帯びていることもあり、アスファルト舗
装材に要求される弾力性が乏しい欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アスファル
トコンクリート廃材の破砕物を利用するアスファルト舗
装材において、常温での舗装施工が可能であり、長期に
わたって保存することができるとともに、前記廃材の破
砕物を利用した場合の舗装材の質的低下を改善すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、アスファルト
コンクリート廃材の破砕物に、新規骨材及びアスファル
トを混合してなるアスファルト混合物に、アスファルト
に対して相溶性であって、かつ難揮発性の油を、前記ア
スファルトコンクリート廃材の破砕物及び新規骨材の各
表面に付着しているアスファルトが常温で強圧された際
にのみ変形して相互に接着する程度に膨潤させるように
添加混合してなることを特徴とする。
【0008】アスファルトコンクリート廃材の破砕物
(以下単に再生材という。)に加熱されている新規骨材
を混合し、これに加熱されたアスファルトの必要量を加
えて混練すると、新規骨材及び粉粒状態にある再生材の
各表面に熱間のアスファルトが付着する。この状態にお
いて難揮発性の油を添加して更に混練すると、これによ
り骨材及び再生材の各表面に付着しているアスファルト
は更に軟化する。
【0009】この混合物を常温にもどすと、骨材及び再
生材の各表面のアスファルトは、これが加熱されていな
い当初のアスファルトに比較して膨潤した状態にある。
そのためこのように膨潤しているアスファルトを含む粉
粒状の混合物を常温で強圧すると、混合物を強固な塊状
とすることが可能となる。
【0010】なお前記の説明では新規骨材と再生材とを
混合して、これに熱アスファルトを添加するようにした
が、これに代えて最初に新規骨材と熱アスファルトとを
混合したのち、これに常温の再生材を加えて混練するよ
うにしてもよい。この混練のあと難揮発性の油を添加し
て更に混練する。この混合物を常温にもどすと、骨材な
らびに再生材の各表面のアスファルトは、添加された添
加油によって膨潤した状態にある。
【0011】ここに添加すべき油として本発明では、ア
スファルトに対して相溶性であってかつ難揮発性の油
(以下単に添加油という。)を使用する。この添加油は
アスファルトに対して相溶性であるので、骨材の表面に
付着しているアスファルトを容易に膨潤させる。そして
前記添加油は難揮発性であることにより、長期にわたっ
てアスファルトの膨潤状態が保持されることになる。な
おこの添加油としてはその引火点が200℃以上のもの
が好ましい。
【0012】前記のように添加油によって骨材及び再生
材の各表面に付着しているアスファルトは膨潤するが、
その膨潤はそのアスファルトが強圧された際にのみ変形
して相互に接着される程度とする。したがって舗装施工
に際して添加油により膨潤したアスファルトを含有する
粉粒状の混合物を、道路表面に散布して常温下で強圧す
ると、骨材が圧密されて骨材間の空隙が減少するととも
に、骨材表面のアスファルトは変形して接着し、骨材同
士を繋ぎ合わせるバインダーとして働く。かくして舗装
施工の当初から十分な強度をもつ舗装面が得られること
になる。
【0013】そして劣質のアスファルトコンクリート廃
材が供給された場合でも、これに新規骨材、新規アスフ
ァルトを適当量混入することにより、その品質を改善す
ることができる。また供給された廃材に弾力性が欠如し
ていたとしても、前記のように新規骨材、新規アスファ
ルトの適当量の混入によって、最終製品の舗装材は、ア
スファルト舗装材に要求される弾力性を十分満足するよ
うになる。
【0014】本発明において使用する添加油としては、
石油系炭化水素、動植物系油脂、合成炭化水素または合
成エステル系の油が利用できる。ただし動植物系油脂は
変質し易い難点があり、合成炭化水素またはエステル系
の油は価格の点で問題があり、これらの観点からすれば
石油系炭化水素がもっとも好ましい。
【0015】添加油はこれを混合する際の難易からすれ
ば粘度の小さい方が好ましいが、施工された舗装の強度
の観点からすれば粘度の大きいものが望ましい。また添
加油の粘度はアスファルトの膨潤状態に影響する。した
がってこれらを総合すると動粘度(40℃:cSt.)
が20〜200程度のものがよく、特に40〜120程
度のものがもっとも好ましい。なお冬季には低粘度のも
のを、夏季には高粘度のものを選ぶとよい。
【0016】添加油の添加量は、再生材、骨材の表面に
付着するアスファルトの量によって決める。付着してい
るアスファルトの量に対して添加油の量が多すぎると、
アスファルトが膨潤し過ぎて軟化の状態になり、十分な
接着力が得られない。反対に添加量が不足すると膨潤が
不十分になるので、強圧しても十分な接着力は生じな
い。これらの理由からアスファルトの量に対する添加油
の量の比(添加油量/アスファルト量)が0.15〜
0.50の範囲にあることがよく、特に0.20〜0.
35の範囲が望ましい。
【0017】再生材に加える新規骨材の量は、再生材の
需給状況並びに舗装材に要求される性能によっても異な
る。また再生材が良質のもの(アスファルト含有量が5
重量%程度のもの)であるときは、これに加える新規骨
材の量は少なくてもよいが、再生材が劣質のものである
ときは、これに加える新規骨材の量を多くする必要があ
る。これらの点からすれば、全体に対する新規骨材を2
0重量%〜70重量%の範囲で選択するのが好ましく、
特に30重量%〜50重量%の範囲で選択するのが最適
である。
【0018】ここに使用する新規骨材として、粗骨材
(砕石)と、細骨材(砂)とを混合したもの、または細
骨材のみを用いる。新規骨材の配合割合が多くなると、
新規アスファルトの量も多く必要とされる。またここに
使用するアスファルト(石油アスファルト)としては、
その針入度(25℃)(1/10mm)は、新規骨材の
配合割合によって適宜選択されるが、具体的には20を
超え80以下のものがよく、新規骨材の配合割合が大き
いほど、低針入度のアスファルトを使用するとよい。
【0019】本発明に従って製造される常温舗装用アス
ファルト舗装材の性能は、これに添加されるアスファル
トの量に支配される。アスファルトの量が過少である
と、施工されたアスファルト道路の強度が不十分(脆
い)になり、逆にアスファルトの量が過大であっても施
工されたアスファルト道路の強度が不十分(過流動性)
になる。
【0020】再生材にはアスファルトが付着しており、
このアスファルトと新たに加える新規アスファルトの合
量が最終製品のアスファルト含有量となる。したがって
新規アスファルトの量は、再生材に含まれているアスフ
ァルトの量に応じ、かつ製品に要求される性能に応じて
設定すれば良い。具体的にはたとえば新規アスファルト
の量を、新規骨材に対して5.0重量%〜6.0重量%
とし、最終製品に含まれる全アスファルトの量が4.0
重量%〜6.0重量%の範囲にあるようにするとよい。
【0021】フイラーを添加する場合、そのフイラーと
して炭酸カルシューム(CaCO)粉を使用するとよい。
このフイラーは骨材の間隙を充填するので、施工後にお
ける転圧による強度を高めるとともに、保管状態におけ
るアスファルト舗装材の塊状化を防止するのに有効であ
る。なおこの炭酸カルシュームの混入量は、3.0重量
%〜10.0重量%がよく、特に5.0重量%〜7.0
重量%が望ましい。
【0022】
【0023】本発明によって得たアスファルト舗装材に
ついて、マーシャル(Marshall)安定度試験(ASTM
D 1559−71)に準じた試験を行った結果を示
したのが表1である。この試験は試料約1Kgをマーシ
ャル法が規定する突き固め方法(片面50回、両面で1
00回)で突き固め、その突き固められた試験片の強度
を測定するものである。マーシャル法の規定では試験片
を60℃に温めて強度を測定することになっているが、
本発明の場合はすべて常温施工するという特異性に鑑
み、アスファルト舗装材を常温で突き固め、即座に常温
で強度を測定した。比較のために再生材のみによるもの
についても併せて表1に示してある。
【0024】なお表1において、A1は再生材に含まれ
ているアスファルト量の、再生材の量に対する重量%を
示す。A2は添加する新規アスファルト量の全体量に対
する重量%を、A3は最終製品に含まれる全アスファル
ト量の重量%を示す。A2の欄の括弧内の数字は、新規
骨材の量に対する新規アスファルトの重量%を示す。ま
た再生材、新規骨材、添加油、炭酸カルシュームの各値
はいずれも重量%を示す。比とは(添加油の量/全アス
ファルトの量)を示す。また安定度とはマーシャル試験
での安定度であって、その単位は(Kg/cm)であ
る。
【0025】
【表1】
【0026】この表1における試料番号1のものは良質
の再生材のみを使用したものであって、その安定度は6
00以上となっている。この程度の安定度を呈するもの
は、恒久的な舗装に十分使用できる。これに対し本発明
に基づく試料番号2、3のものは、再生材に新規骨材を
28重量%加えたものであるが、新規アスファルトの量
が少々異なることがあっても、安定度には大きな差はな
く、いずれも常温施工のアスファルト舗装材として十分
な強度を維持している。
【0027】試料番号4のものは、再生材に新規骨材を
再生材と同量加えたものである。安定度に若干の低下が
見られるが、従来から市販されている常温施工アスファ
ルト舗装材に比較して劣るものではない。
【0028】試料番号5、6のものは、アスファルト含
有量が、4.3重量%といった少ない劣質の再生材を使
用したものである。このような再生材のみを使用した場
合は、試料番号5のもののように安定度は小さく、十分
な強度を保証することはできない。
【0029】しかし試料番号6のもののように、同じ再
生材に本発明にしたがって新規骨材を加えたものは、常
温施工のアスファルト舗装材として利用できる。ここで
は新規骨材にアスファルトを加えて混練し、これがなお
流動状態にある間に再生材を添加して混合しながら添加
油を加えた。なおここに使用した新規アスファルトの針
入度は試料番号6のものについては20〜40程度のも
のを使用するとよい。
【0030】前記のように本発明にしたがって製造した
アスファルト舗装材について、これを実際に車両が日常
的に走行する路面に舗装施工した。これを従来の加熱ア
スファルト混合物による場合、すなわち加熱アスファル
ト合材を使用し、加熱した状態で舗装施工したものと比
較すると、ほとんど同じ破壊強度となることが確認でき
た。
【0031】前記のように製造された各アスファルト混
合物の保存状態を試験するために、製造直後の各混合物
30Kgを紙袋に詰め、その10袋を積み重ねて常温で
放置したが、6ケ月を経過しても、袋の中の粉粒状の混
合物はいずれも接着することはなく、固まっていなかっ
た。そしてこれを突き固めたものは、製造直後に突き固
めたものと同等の安定度を示した。これに対し、添加油
として揮発性軽質油を使用した既提案のものについてそ
れぞれ同様の保存試験を行ったところ、そのほとんどの
ものが1〜3ケ月以内で固まってしまっており、舗装施
工には使用できない状態となっていた。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、再
生材に新規骨材、アスファルトを混合したアスファルト
混合物に、難揮発性の油を添加するようにしたので、再
生材のみによる場合の品質の低下を回避することがで
き、しかも舗装施工後に外気に放出される揮発物の量は
従来のものに比較して皆無といってよいから、環境保全
上有利であるばかりでなく、施工直後から十分な強度が
得られるとともに、長期にわたって保存しても施工に必
要な流動性を保持することができる効果を奏する。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスファルトコンクリート廃材の破砕物
    に、新規骨材を、前記アスファルトコンクリート廃材の
    破砕物と前記新規骨材とを加えた全体に対して20重量
    %〜70重量%、並びに新規アスファルトを、前記新規
    骨材に対して5.0重量%〜6.0重量%それぞれ混合
    してなるアスファルト混合物に、アスファルトに対して
    相溶性であって、動粘度(40℃:cSt.)が20〜
    200、引火点が200℃以上である石油系炭化水素、
    動植物系油脂、合成炭化水素または合成エステル系の
    揮発性の油を、前記アスファルトコンクリート廃材の破
    砕物および前記新規骨材の表面に付着しているアスフ
    ァルトが常温で強圧された際にのみ変形して相互に接着
    する程度に膨潤するように、全アスファルトの量に対す
    る比が0.15〜0.50となる量だけ添加混合してな
    る常温舗装用アスファルト舗装材。
JP35641298A 1998-04-28 1998-12-15 常温舗装用アスファルト舗装材 Expired - Lifetime JP3158251B2 (ja)

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