JP3157353B2 - 新規な徐放性フィブリンゲル医薬品組成物 - Google Patents

新規な徐放性フィブリンゲル医薬品組成物

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JP3157353B2 JP14681193A JP14681193A JP3157353B2 JP 3157353 B2 JP3157353 B2 JP 3157353B2 JP 14681193 A JP14681193 A JP 14681193A JP 14681193 A JP14681193 A JP 14681193A JP 3157353 B2 JP3157353 B2 JP 3157353B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な徐放性医薬品組成
物に関する。詳しくは、本発明は新規なフィブリンゲル
構造を有する徐放性医薬品組成物に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明はアニオン性界面活
性剤とフィブリンとから形成される新規なフィブリンゲ
ル構造中に薬物が包埋されてなる徐放性医薬品組成物に
関する。
【0003】
【従来の技術】フィブリノーゲンは分子量約34万の線
維タンパク質である。このフィブリノーゲンは、血漿タ
ンパクの約7%を占めるトロンビン、Factor XI
IIa、Ca2+等と反応すると重合・架橋反応によりゲル
状の塊(以下、フィブリンという)となる。このフィブ
リンは、生体適合性が良好で、生分解性であり、毒性も
なく、さらに生体付着性に優れている。そのためフィブ
リンは生体組織接着剤として主に外科領域で組織の接
着、閉鎖及び創傷治癒促進等の目的で既に使用されてい
る。
【0004】このような性質に加えて、(1)フィブリ
ノーゲンは、それ単独で体内に投与しても、もともと体
内にあるトロンビン、F.XIIIa、Ca2+等により体内
でフィブリンに転換しうること、あるいは(2)フィブ
リノーゲンとトロンビン等を体内で接触させて、その場
でフィブリンに速やかに転換しうること、またさらに
(3)反応条件によってフィブリンを微粒子状の形態に
成型しうること等の特徴を有することから、徐放性製剤
の放出制御材料として注目されている(Senderoff, R.
I. ら、J.Parent, Sci. Tech., 45 (1), 2, 1991.な
ど)。
【0005】実際、薬物をフィブリンにそのまま封入し
た製剤としてMondenらの報告(Cancer, 69 (3), 636, 1
992.)及びYamamotoらの報告(Medical Postgraduates,
23(7), 411, 1985. )によれば、制癌剤封入フィブリ
ンを腫瘍内へ投与したところ薬物の単独投与と比較して
高い治療効果が認められている。また、Sugitachi らの
報告(癌と化学療法、18 (11), 1817, 1991))によれ
ば、制癌剤封入フィブリンを担癌マウスに腹腔内投与し
たところ薬物の単独投与と比較して生存日数の延長が認
められている。
【0006】これら従来の薬物封入フィブリンからの薬
物の放出性について、前述のSenderoff らは、デキサメ
タゾン含有フィブリン微粒子からのin vitroで
のトリス緩衝液(pH=7.5、37℃)への放出性を
検討し、約5時間で含有されたデキサメタゾンの80%
以上が放出されてしまうことを報告している(J. Paren
t. Sci. Tech., 45 (1), 2, 1991)。
【0007】さらに前述のMondenら、Yamamotoら及びSu
gitachi らの報告では、その薬物の薬理効果についての
記載はあるが、実際に薬物がどれだけの期間、どれだけ
の量フィブリン内に保持され、また放出され続けたかに
ついては全く触れられていない。
【0008】一方、宮崎らはフィブリン膜からのプレド
ニゾロンの放出性を検討し、3時間でほぼ100%近く
が放出されることを明らかにしている(Chem. Pharm. B
ull., 28 (7),2261, 1980 )。更に宮崎らはピロカルピ
ン含有フィブリン膜を家兎の下瞼に挿入してピロカルピ
ンの縮瞳効果を調べたが、薬物単独では縮瞳効果は4〜
5時間で消失するのに対し、フィブリン膜を適用した場
合8時間持続することを報告している(Chem. Pharm. B
ull., 30 (9), 3405, 1982)。即ち、これら従来の報告
の何れの場合もフィブリンからの薬物放出性は比較的速
いと考えられる。
【0009】ところで、本発明者らは、ラット皮下にフ
ィブリンを形成せしめた後、経時的に形成場所に残存す
るフィブリンの重量を測定した結果、約28日後にほぼ
フィブリンは消失することを観測している。フィブリン
の生体内での消失は主にプラスミノーゲンによる酵素分
解(fibrinolysis)とマクロファージ等による貧食(ph
agocytosis)によるものと理解されているが(Senderof
f, R.I. ら、前掲)、上記観察の結果は、一般的にフィ
ブリン内に薬物が包含されていれば、その薬物の最大放
出持続期間はフィブリン本体の消失時間に一致するこ
と、例えば上記のラット皮下に投与されたフィブリンに
包含された薬物の最大放出持続期間は約28日であるこ
とを示している。
【0010】しかしながら現実には、分子量の異なる各
種薬物をフィブリン中に包含させ、次いでin vit
roにおけるフィブリンからでトリス緩衝液(pH7.
4)中への薬物の放出性を本発明者らが検討したとこ
ろ、100%放出するのに要する時間は分子量246.
2のFUdRで約4時間、分子量12,500のチトク
ローム(CYTOCHROME)cで約24時間であった(参考例
1を参照のこと)。つまり通常使用される薬物の分子量
の範囲ではフィブリンからの薬物の放出速度は極めて大
であり、薬物は速やかに拡散して比較的短時間で放出さ
れてしまうことが認められた。即ち、フィブリンが生体
内で発揮しうる徐放性製剤としての最大放出持続期間で
ある約28日の経過前に、フィブリンに包含されたほと
んどの薬物は拡散によりフィブリンより放出されてしま
いフィブリンの放出制御材料としてのポテンシャルは十
分に利用されていないことが明らかとなった。
【0011】従って、フィブリンからの薬物の拡散、放
出を制御し、薬物の放出性をフィブリンの生分解性と一
致させることが、フィブリンの徐放性材料としてのポテ
ンシャルを最大限発揮させることとして望まれている。
【0012】一方、本発明者らは、フィブリンの網目構
造の網目径を電顕的に解析した結果、フィブリンの網目
構造のすき間を水が埋めているハイドロゲルであること
を知見した(参考図1を参照のこと)。
【0013】フィブリンゲル生成時に共存する薬物は、
生成するフィブリン繊維の間を埋める水に溶解あるいは
分散された形でフィブリンゲルの包含されている。前述
の本発明者らの参考例1で調べられた各種の薬物もこの
フィブリン繊維間を埋める水に溶解・分散しており、外
界と接した時、該薬物はこの水中を拡散して速やかにゲ
ルから放出されてしまったと解釈される。従って、この
薬物の拡散を遅延させ、可能であれば該フィブリンゲル
のフィブリン繊維の網目に薬物を捕捉すれば、薬物のフ
ィブリンゲルからの消失がフィブリンゲル自身の消失に
一致すると考察した。
【0014】本発明者らはこの考察にもとづき薬物を網
目に捕捉するためにフィブリンゲルのフィブリン繊維の
網目を小さくする方法につき検討を進めた。その結果、
フィブリン生成の種々の反応条件、例えばフィブリノー
ゲン濃度、トロンビン濃度、pH、イオン強度等を変動
させても網目構造を変化させることはできなかったが、
驚くべきことにフィブリン生成時にアニオン性界面活性
剤が共存すると、該アニオン性界面活性剤とフィブリン
繊維が複合して太い繊維状形態を京成市(参考図2を参
照のこと)、更に驚くべきことには、この複合した太い
繊維状形態物中に同じく共存する脂溶性薬物がとりこま
れ包埋されること、そしてこのように包埋された薬物は
フィブリンゲルが体液にさらされても拡散により放出さ
れずゲル中にどとまり、主にフィブリンゲルの消失によ
ってゲルから放出されることを発見し本発明に到達し
た。
【0015】なお、フィブリンゲル内に脂溶性薬物を均
一に分散させるにはフィブリノーゲンにトロンビンを作
用させる時に脂溶性薬物を界面活性剤で分散させた分散
液を共存させればよい。しかるに該界面活性剤が非イオ
ン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油、ポリオキシエチレンシルビタンモノオレエート(T
ween 80(登録商標))等、カチオン性界面活性
剤、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム
等、あるいは両性イオン性界面活性剤、例えばCHAP
Sの場合に生成するフィブリンゲルのゲル構造は通常の
フィブリノーゲンとトロンビンから生成されるフィブリ
ンと同様の構造であり、非イオン性界面活性剤やカチオ
ン性界面活性剤はフィブリンゲル構造に何ら影響を与え
ず、脂溶性薬物は該界面活性剤によりミセル化された状
態でフィブリン繊維間を埋める水中に均一に分散されて
いる。
【0016】フィブリンゲルの生成過程については多く
の研究が実施されてきたが(例えばWeisel J.W. et a
l., Biophys. J.,63,111,1922参照)、アニ
オン性界面活性剤が共存すると、ゲル構造が変化してフ
ィブリン繊維と該アニオン性界面活性剤とが複合した太
い繊維状形態を形成することはこれまで全く知られてい
ない。まして、この複合形態が共存する薬物をも包埋さ
せて該薬物の該ゲルからの放出を著しく遅延させるとい
う本発明の新規性は明らかである。しかして本発明の目
的は新規な、長期間の薬物持続放出を可能とする徐放性
医薬品組成物を提供するものである。
【0017】さらに、本発明の目的は新規なフィブリン
ゲル構造を有する徐放性医薬品組成物を提供するもので
ある。
【0018】さらにまた、本発明の目的は、アニオン性
界面活性剤とフィブリンとから形成される新規なフィブ
リンゲル構造中に薬物が包埋されてなる徐放性医薬品組
成物を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、フィブリ
ノーゲンおよび/又はフィブリン、アニオン性界面活性
剤、及び薬物を含んでなる徐放性医薬品組成物である。
【0020】本発明で用いられるフィブリノーゲンは、
分子量約34万の可溶性線維性の糖タンパクであり、血
漿タンパク質の約7%を占める、哺乳動物、例えばヒト
又はウシの血液からエタノール又は硫酸アンモニウム分
画沈殿法など公知の方法を用いて製造されるものをい
う。あるいは他の技術、例えば、組換えDNAの技術に
よって調製されたものでもよい。
【0021】本発明で用いられるフィブリンは、フィブ
リノーゲンにトロンビンが作用し、更にF.XIIIa、C
2+が作用することにより生成される物理的、化学的に
堅固で安定な半固形状のフィブリンが生成されるものを
いい、通常フィブリノーゲン80mgに対してトロンビ
ン30〜500単位を添加して形成される。
【0022】本発明で用いられるアニオン性界面活性剤
は分子内に、体液中でマイナスに荷電する基と、疎水性
基(例えばアルキル基あるいはアルケニル基など)とを
含んでなる化合物であり、そのような化合物の例として
は、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスフ
ァチジルイノシトール、ポリエチレングリコール化レシ
チン、ドデシル硫酸ナトリウム、ジアセチルリン酸、コ
ール酸、デオキシコール酸、デカンスルホン酸、N―ラ
ウロイルサルコシン等があげられる。これらの中でもホ
スファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジ
ルイノシトール、ポリエチレングリコール化レシチン、
ドデシル硫酸ナトリウム、ジアセチル硫酸が好ましい。
【0023】本発明の徐放性薬品組成物は、均一で流動
性のある液状分散物あるいは均一な微粒子状固型分散物
として生体に投与される。前者の液状分散物の場合、薬
物をアニオン性界面活性剤で水中に分散した分散液にフ
ィブリノーゲンを溶解した均一な分散液を生体に投与
し、生体内にもともと存在するトロンビン、FXIII
a、Ca++等により生体内でゲル構造を形成させること
ができる()。また、上記の均一な分散液とトロンビ
ンを含む液とを投与時に2液混合して生体に投与するこ
ともできる()。混合すると速やかにゲルが形成され
ることから、通常2液混合型の注射針を使用し同時に2
液を速やかに投与して注射針内でのゲル形成による固化
を防ぐように注意する必要がある。なお、前記、の
場合必要に応じて凍結乾燥して固体として保存し、用時
水で溶解して使用してもよい。一方、後者の微粒子状固
型分散物の場合、薬物をアニオン性界面活性剤で水中に
分散した分散液にフィブリノーゲンを溶解した均一な分
散液を、界面活性剤を含む綿実油中でホモジナイズし、
その後約90℃に加温することにより微粒子状に成型
し、該成型物を単離洗浄後公知の分散剤により水中に均
一に分散させることによりフィブリノーゲン微粒子状固
型分散物とするか、あるいは薬物をアニオン性界面活性
剤で水中に分散した分散液に、フィブリノーゲンを溶解
した均一な分散液にトロンビンを作用させてフィブリン
微粒子を製し、次いでこの微粒子を公知の分散剤により
水中に分散させることによりフィブリン微粒子状固型分
散物とすることにより生体に投与される。微粒子状固型
分散物の場合、微粒子の粒径は10〜100μmが好ま
しい。なお、フィブリノーゲン微粒子として投与された
場合、体内でトロンビン等と反応することによりフィブ
リンが生成し、その際共存するアニオン性界面活性剤に
より本発明の新規なゲル構造が形成されていることは本
発明者らの実験により明らかとなっている。
【0024】前述の通り本発明の徐放性医薬品組成物
は、液状分散物あるいは微粒子状固型分散物として生体
に投与されるが、ゲルを形成する組成物が生分解性であ
ることから、直接皮下あるいは筋肉内、又は皮膚上、粘
膜上に投与される。従って、本発明で用いられる薬物は
活性の面からは投与部位の近傍で局所的に、あるいは血
流に移行して全身的に作用する薬物が望ましい。
【0025】また、本発明で用いられる薬物は、物性の
面からはフィブリノーゲンからフィブリンが形成される
際にアニオン性界面活性剤が共存すると生成するフィブ
リンとアニオン性界面活性剤が複合した太い繊維状形態
にとりこまれ包埋される薬物であれば何でもよいが、効
率よく該複合繊維状形態物にとりこまれる薬物として
は、脂溶性が高い薬物であり、より詳しくは、オクタノ
ール/水分配率が10以上の薬物が望ましい。
【0026】そのような薬物の例をあげると、ステロイ
ド類としては、デキサメサゾン、デキサメサゾンパルミ
テート、デキサメサゾンステアレート、デキサメサゾン
ミリステート、ハイドロコーチゾンパルミテート、ハイ
ドロコーチゾンステアレート、ハイドロコーチゾンミリ
ステート、プレドニゾロン、プレドニゾロンパルミテー
ト、プレドニゾロンステアレート、プレドニゾロンミリ
ステート、プロゲステロン等がある。
【0027】プロスタグランジン類としては、プロスタ
グランジンA1 、プロスタグランジンE1 、プロスタグ
ランジンE2 、プロスタグランジンF1 α、プロスタグ
ランジンF2 α、プロスタグランジンI2 およびそれら
の誘導体等が、例えば9(O)―メタノ―Δ6(9a) ―プ
ロスタグランジンI1 (イソカルバサイクリン)、9
(O)―メタノ―Δ6(9a) ―プロスタグランジンI1
チルエステル、20―メチル―9(O)―メタノ―Δ
6(9a) ―プロスタグランジンI1 、16―メチル―9
(O)―メタノ―Δ6(9a) ―プロスタグランジンI1
6―オキソプロスタグランジンE1 、15―メチル―プ
ロスタグランジンE2 、7―チアプロスタグランジンE
1 メチルエステル、17,20―ジメチル―7―チアプ
ロスタグランジンE1 メチルエステル、17,20―ジ
メチル―6―オキソプロスタグランジンE1 メチルエス
テル、18,18,19,19―テトラデヒドロ―16
―メチル―9(O)―メタノ―Δ6(9a) ―プロスタグラ
ンジンI1 、18,18,19,19―テトラデヒドロ
―16,20―ジメチル―9(O)―メタノ―Δ6(9a)
―プロスタグランジンI1 等が挙げられる。
【0028】脂溶性ビタミン類としては、ビタミン
1 、ビタミンA2 、ビタミンA3 、ビタミンA1 パル
ミテート、ビタミンD1 、ビタミンD2 、ビタミン
3 、ビタミンD4 、α―トコフェロール、β―トコフ
ェロール、γ―トコフェロール、δ―トコフェロール、
ビタミンK1 、ビタミンK2 、ビタミンK3 、ビタミン
4 、ビタミンK5 、ビタミンK6 およびそれらの誘導
体等がある。
【0029】特にビタミンD3 の誘導体としては、活性
化型ビタミン類が挙げられ、例えば1α―ヒドロキシコ
レカルシフェロール(1α―OH―D3 )、1α,25
―ジヒドロキシコレカルシフェロール(1α,25―
(OH)2 ―D3 )、1α,24―ジヒドロキシコレカ
ルシフェロール(1α,24―(OH)2 ―D3 )、1
α,24,25―トリヒドロキシコレカルシフェロール
(1α,24,25―(OH)3 ―D3 )、1α―ヒド
ロキシ―24―オキソコレカルシフェロール、1α,2
5―ジヒドロキシ―24―オキソコレカルシフェロー
ル、1α,25―ジヒドロキシ―26,25―ラクト
ン、1α,25―ジヒドロキシコレカルシフェロール―
26,23―パーオキシラクトン、26,26,26,
27,27,27―ヘキサフルオロ―1α,25―ジヒ
ドロキシコレカルシフェロールなどの1α位に水酸基を
有する活性型ビタミンD3 類;あるいは25―ヒドロキ
シコレカルシフェロール(25―OH―D3 )、24―
ヒドロキシコレカルシフェロール(24―OH―
3 )、24―オキソコレカルシフェロール、24,2
5―ジヒドロキシコレカルシフェロール(24,25―
(OH)2 ―D3 )、25―ヒドロキシ―24―オキソ
コレカルシフェロール、25―ヒドロキシコレカルシフ
ェロール―26,23―ラクトン、25―ヒドロキシコ
レカルシフェロール―26,23―パーオキシラクトン
などの1α位に水酸基を有しない活性型ビタミンD3
等が挙げられる。
【0030】抗炎症薬としては、イブプロフェン、フル
フェナム酸、ケトプロフェン、インドメサシンおよびそ
れらの誘導体等がある。
【0031】抗生物質としては、カビや原虫に作用する
ものとしてはアムホテリシンBおよびその誘導体等があ
る。
【0032】制癌剤としては、ヘキサメチルメラミン、
ダウノルビシン、ドキソルビミン、ダウノマイシン、フ
トラフール、5―FU、ブレオマイシン、メトトレキセ
ート、アクチノマイシンD、マイトマイシンCおよびそ
れらの誘導体等がある。
【0033】血管拡張剤としては、オキシフェドリン、
カルボクロメン、ジピリダモール等がある。
【0034】カルシウム拮抗剤としては、ニフェジピ
ン、ニカルジピンおよびそれらの誘導体等がある。
【0035】骨形成促進剤としては、2―クロロ―4―
ヒドロキシ―4―(4―フェノキシブチル)―5―
(4,7―ジヒドロキシ―2―ヘプテニリデン)―2―
シクロペンテノン、4―ヒドロキシ―4―(4―フェノ
キシブチル)―5―(4―メトキシカルボニルフェニル
メチレン)―2―シクロペンテノン、2―(1―メチル
―2―イミダゾリルチオ)―4―ヒドロキシ―4―(4
―フェノキシブチル)―5―(4―ジメチルアミノフェ
ニルメチレン)―2―シクロペンテノン等があげられ
る。
【0036】本発明の徐放性医薬品組成物は、主に皮下
あるいは筋肉内、又は皮膚、粘膜上に投与されるが、該
組成物以外の通常使用される添加物と配合されて徐放性
医薬品組成物となり臨床の場に供給される。このような
通常使用される添加物としては、溶液のpHを一定範囲
に保つ緩衝剤として、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩等
が、溶液の浸透圧を体液と等しくするための等張化剤と
して食塩、ブドウ糖等が、製剤の化学的分解、物理的変
化を抑制するための安定剤として、L―アスコルビン
酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA等が、微生物によ
る製剤の汚染・分解を阻止するための保存剤として、安
息香酸、安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、
塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0037】本発明により新規で安全な長期間の薬物放
出を可能とする徐放性医薬品組成物が提供され、その臨
床的価値は大きい。
【0038】
【実施例】以下、実施例、参考例により本発明を詳述す
るが、本発明を限定するものではない。
【0039】
【参考例1】 フィブリンからの各種薬物の放出性 フィブリノーゲン(F.XIIIaを含む)20mgに適量
の図1に記載の11種の薬物を溶解させたTrisバッ
ファー(pH7.4)250μlを加えてフィブリノー
ゲンを溶解させた。この溶液にトロンビン溶液250μ
l(62.5IU)を加えて、薬物含有フィブリン(5
00μl)を得た。この得られたフィブリンを10ml
のTrisバッファー(pH7.4)中に入れ、37℃
で振盪させ、経時的にTrisバッファー中の薬物濃度
を測定し、以下の式によって拡散定数(K値)を求め
た。
【0040】
【数1】
【0041】各種薬物の拡散定数(K値)と分子量との
関係を図1に示した。図1から、例えば分子量246.
2であるFUdRのK値は約100(h-1/2)、チトク
ロームcのK値は約30(h-1/2)であり、フィブリン
からのこれらの薬物の放出性について、前者は約4時
間、後者は約24時間で各々フィブリンから完全放出さ
れることが判る。
【0042】
【実施例1】デキサメタゾン(Sigma社)0.5m
gおよびホスファチジン酸(Sigma社)1.5mg
をとり、蒸留水1mlに加え、ホモジナイザーで乳化し
て均一な分散液(A)を得た。一方、フィブリノーゲン
(Sigma社、人血漿由来)80mgをとり、蒸留水
0.5mlに加え溶解し、均一な溶液(B)を得た。分
散液(A)と溶液(B)を混合し均一な流動性の本発明
の組成物(実施例1)を得た。
【0043】実施例1のホスファチジン酸のかわりに、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO―60(登録
商標):日光ケミカルズ(株)製)を用いたもの(対照
例1)、実施例1のホスファチジン酸のかわりに塩化ベ
ンザルコニウム(Sigma社製)を用いたもの(対照
例2)あるいは実施例1のホスファチジン酸のかわりに
CHAPS(Sigma社製)を用いたもの(対照例
3)についても実施例1と同様の組成物を得た。
【0044】これらの組成物(実施例1、対照例1、対
照例2および対照例3)の各々500μlを注射器を用
いてddY系マウス(♂5週令、体重25〜30g)の
背部皮下に注入した。投与1日後、7日後、14日後、
21日後および28日後に各4匹ずつのマウスを屠殺
し、背部皮下に残存するデキサメタゾンの量をHPLC
を用いて定量した。投与量に対する残存率(%)を算出
し表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【実施例2】9(O)―メタノ―Δ6(9a) ―プロスタグ
ランジンI1 (TEI―9090:帝人(株))10μ
gおよびホスファチジルセリン(Sigma社)1.5
mgをとり蒸留水1mlに加えホモジナイザーで乳化し
て均一な分散液(C)を得た。一方、フィブリノーゲン
(Sigma社、人血漿由来)80mgをとり、蒸留水
0.5mlに加え溶解し均一な溶液(D)を得た。分散
液(C)と溶液(D)を混合し、均一な流動性の本発明
の組成物(実施例2)を得た。
【0047】実施例2のホスファチジルセリンのかわり
にポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tw
een80、Sigma社)を用いたもの(対照例4)
あるいは実施例2のホスファチジルセリンのかわりに塩
化ベンゼトニウム(Sigma社)を用いたもの(対照
例5)についても実施例2と同様の組成物を得た。
【0048】これらの組成物(実施例2、対照例4およ
び対照例5)の各々500μlを注射器を用いてddY
系マウス(♂5週令、体重25〜30g)の背部皮下に
注入した。投与1日後、7日後、14日後、21日後お
よび28日後に各4匹ずつのマウスを屠殺し、背部皮下
に残存するデキサメタゾンの量をHPLCを用いて定量
した。投与量に対する残存率を算出し表2に示した。
【0049】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考実験1における薬物の分子量と拡散
定数(K)との関係を示す。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 嘉樹 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平7−41432(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/42,47/24,47/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブリノーゲンおよび/又はフィブリ
    ン、アニオン性界面活性剤、及び薬物を含んでなる徐放
    性医薬品組成物。
  2. 【請求項2】 アニオン性界面活性剤が、ホスファチジ
    ン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシト
    ール、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコー
    ル化レシチン、ジアセチルリン酸からなる群から選ばれ
    る一種以上の化合物である請求項1記載の徐放性医薬品
    組成物。
  3. 【請求項3】 薬物が、オクタノール/水分配率が10
    以上の脂溶性薬物である請求項1記載の徐放性医薬品組
    成物。
  4. 【請求項4】 フィブリノーゲン、アニオン性界面活性
    剤、および薬物が均一に分散された流動性の組成物であ
    る請求項1記載の徐放性医薬品組成物。
  5. 【請求項5】 フィブリノーゲン、アニオン性界面活性
    剤、および薬物が均一に分散された微粒子状の組成物で
    ある請求項1記載の徐放性医薬品組成物。
  6. 【請求項6】 フィブリン、アニオン性界面活性剤、お
    よび薬物が均一に分散された微粒子状の組成物である請
    求項1記載の徐放性医薬品組成物。
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