JP3156301B2 - 2‐ヘキセン‐1,6‐ジアールの製造方法 - Google Patents

2‐ヘキセン‐1,6‐ジアールの製造方法

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JP3156301B2 JP26084691A JP26084691A JP3156301B2 JP 3156301 B2 JP3156301 B2 JP 3156301B2 JP 26084691 A JP26084691 A JP 26084691A JP 26084691 A JP26084691 A JP 26084691A JP 3156301 B2 JP3156301 B2 JP 3156301B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2−ヘキセン−1,6
−ジアールの製造方法に関する。2−ヘキセン−1,6
−ジアールは、合成樹脂や、医薬、農薬をはじめとする
各種有機化合物の中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】2−ヘキセン−1,6−ジアールは、
1,3−シクロオクタジエンをオゾン及び硫化ジメチル
と反応させることによって得られることが報告されてい
る(T.Hudlicky etal., Journal of the American Chem
ical Society, vol.110, p.4735(1988))。しかしなが
ら、この方法では、高価な原料を極めて低い濃度で使用
し、−78℃でオゾン濃度を制御しつつ反応を行うもの
であり、工業的な製造方法として望ましいものではな
い。
【0003】一方、電子吸引性置換基を有するオレフィ
ン類を tail to tail で二量化する方法としては、一般
に、アクリル酸エステルを二量化してジヒドロムコン酸
ジメチルを得る際に、触媒としてルテニウムを用いる方
法(R.J.McKinney etal., Organometallics, vol.5, p.
1080 (1986) )、ルテニウムやパラジウム化合物を用い
る方法(米国特許3,013,066号公報)、ロジウ
ムを用いる方法(M.Brookhart etal., Journal of the
American Chemical Society,vol.133, p.2777(1991) )
が、また、アクリロニトリルを二量化して1,4−ジシ
アノ−1−ブテンを得る際に、ルテニウム化合物を用い
て反応させる方法(特開昭44−24585号公報)、
有機リン化合物を用いて反応させる方法(特開昭55−
98149号公報)などが知られている。
【0004】また、1−プロペン−3−アール(アクロ
レイン)の二量化反応については、無触媒で185〜1
95℃で反応させることにより、2,3−ジヒドロ−2
−ホルミルピランが得られることが知られている(特公
昭40−9264号公報)。また、ルテニウム化合物を
触媒として用いることによって、重合反応が進行するこ
とが報告されている(S.Komiya etal. Bulletin of the
Chemical Society ofJapan, vol.48, 101(1975) )
が、この論文には、1−プロペン−3−アールの二量体
生成に関する記載はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的な方法に適した2−ヘキセン−1,6−ジアールの新
規な製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、1−プロペン
−3−アールを二量化触媒の存在下に反応させて2−ヘ
キセン−1,6−ジアールを製造することを特徴とする
2−ヘキセン−1,6−ジアールの製造方法である。
【0007】(原料)原料の1−プロペン−3−アール
は、グリセリンを硫酸水素カリウム、硫酸マグネシウム
その他の脱水剤で脱水することにより工業的に製造され
ている。また、プロピレンを金属酸化物触媒の存在下に
気相で空気酸化することによっても定量的に製造するこ
とができる。1−プロペン−3−アールは空気中で容易
に酸化され、長期保存中に重合して樹脂状物質を生ずる
など、反応性が高い。
【0008】(二量化触媒)本発明の製造方法では、1
−プロペン−3−アールの二量化に際して、触媒を使用
する。二量化触媒としては、第8族金属元素のうち1種
以上を構成成分とする有機金属化合物が用いられる。第
8族金属としては、好ましくは、鉄、ルテニウム、オス
ミウムのうちの1種であり、さらに好ましくはルテニウ
ムである。上記の第8族金属は、可溶性の有機金属化合
物として使用することが好ましい。第8族金属に配位ま
たは結合する有機基としては、エテン、ブテン等のアル
ケン類、ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、
1,4−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジ
エン、1,5−シクロオクタジエン、2,5−ノルボル
ナン等のジエン類、1,3,5−シクロオクタトリエン
等のトリエン類、ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン等の
アレーン類などが挙げられる。第8族金属に対する有機
基の組成比は、モル比で1000000以下、好ましく
は100000以下の範囲である。
【0009】有機第8族金属化合物の例としては、(η
−シクロオクタジエン)(η−シクロオクタトリエン)
ルテニウム、(η−ベンゼン)(η−1,3−シクロヘ
キサジエン)ルテニウム、ビス(エテン)(η−ヘキサ
メチルベンゼン)ルテニウム、(η−シクロオクタジエ
ン)(η−ヘキサメチルベンゼン)ルテニウム、(η−
ベンゼン)(η−シクロオクタジエン)ルテニウム、
(η−ベンゼン)(η−ノルボルナジエン)ルテニウ
ム、(η−シクロオクタジエン)(η−1,3,5−ト
リメチルベンゼン)ルテニウム、(η−ノルボルナジエ
ン)(η−1,3,5−トリメチルベンゼン)ルテニウ
ム、(η−シクロオクタジエン)(η−トルエン)ルテ
ニウム、(η−シクロオクタジエン)(η−キシレン)
ルテニウム、(η−シクロオクタジエン)(η−シクロ
ヘプタトリエン)ルテニウム、(η−シクロヘプタジエ
ン)(η−シクロヘプタトリエン)ルテニウム、ビス
(シクロヘキサジエニル)ルテニウム、ビス(ヘキサメ
チルベンゼン)ルテニウム等が挙げられる。
【0010】触媒は、反応系内で有機第8族金属化合物
を生成させることによって調製することも可能である。
触媒の使用量は、原料の1−プロペン−3−アールに対
して、0.0000001〜1(モル比)、好ましくは
0.000001〜0.1(モル比)の範囲である。触
媒は、反応生成物から蒸留、抽出等の一般の方法で分離
され、繰り返し使用することができる。
【0011】(溶媒)本発明の反応は、特に溶媒を使用
せずに実施することができるが、必要に応じて、1−プ
ロペン−3−アールと反応しない適当な溶媒中で実施す
ることができる。これら溶媒としては、例えば、水;ヘ
キサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチル
エーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブ
チロラクトン等のエステル類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のア
ミド類;ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレ
ア等の尿素類;イソプロパノール、t−ブタノール等の
アルコール類などを挙げることができる。これらの溶媒
中の1−プロペン−3−アールの濃度は、1重量%以
上、好ましくは10重量%以上である。
【0012】(反応条件)反応は、室温以下でも十分に
進行するが、より反応速度を向上させるために、加熱下
で実施してもよい。反応温度は、0〜200℃、好まし
くは20〜150℃の範囲である。反応の圧力は、反応
温度によって異なるが、一般に1〜100バール、好ま
しくは5〜50バールの範囲である。反応時間は、反応
温度にもよるが、通常0.1〜200時間、好ましくは
0.5〜100時間の範囲である。反応は、触媒が変化
しない限り、空気中でも実施できるが、一般には脱酸素
雰囲気下に実施され、真空に脱気するか、または、窒
素、アルゴン等の不活性ガス等で置換して行う。
【0013】(反応生成物)本発明の製造方法により得
られる反応生成物は、2−ヘキセン−1,3−ジアール
である。また、同時に1−プロペン−3−アールの3量
体以上のオリゴマー等も生成することがある。触媒を含
む反応混合物からの目的物の分離は、蒸留、抽出、吸着
等の公知の方法で行うことができる。
【0014】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、1−プロペ
ン−3−アールを原料として2−ヘキセン−1,−ジ
アールを温和な反応条件で、工業的に有利に製造するこ
とができる。2−ヘキセン−1,6−ジアールは、水素
化、酸化、または還元的アミノ化によって、ポリエステ
ルやポリアミドの原料である1,6−ヘキサンジオー
ル、アジピン酸、及び1,6−ヘキサンジアミンへ誘導
することができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。実施例中、生成物は、未反応原料等の低沸物を
減圧留去した後、クーゲルロール蒸留によって二量化生
成物を単離し、一方、公知の方法である1,3−シクロ
ヘキサジエンのオゾン酸化によって2−ヘキセン−1,
6−ジアールを合成、単離して、両者のIR、NMR、
MSスペクトルを比較することによって、上記の二量化
生成物が2−ヘキセン−1,6−ジアールであることを
確認した。
【0016】また、生成物を、内部標準法によるガスク
ロマトグラフィーによって定量分析し、下式により転化
率及び選択率を求めた。 転化率(%)=100×(反応した原料のモル数/仕込
んだ原料のモル数) 選択率(%)=100×(生成物のモル数×2/反応し
た原料のモル数)
【0017】<参考例> (η−シクロオクタトリエン)(η−シクロオクタジエ
ン)ルテニウムの製造 以下の操作は、全て窒素気流中で行った。逆流冷却器、
滴下ロートを付した内容積100mlのガラス製フラスコ
の系内を窒素ガスで置換し、亜鉛粉末12g、1,5−
シクロオクタジエン25ml及びメタノール10mlを仕込
んだ。この反応器を70℃で超音波攪拌しつつ、滴下ロ
ートより三塩化ルテニウム三水和物のメタノール溶液1
0ml(三塩化ルテニウム三水和物として1.06g)を
1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに70℃で5時
間超音波攪拌した。反応器を室温に冷却し、内容物を濾
過して固形物を除いた後、減圧下にメタノール及び未反
応の1,5−シクロオクタジエンを留去した。残留した
固体をヘキサン8mlにより3回抽出し、アルミナカラム
に通じ、ヘキサンで黄色のバンドを回収した。回収液を
濃縮し、ドライアイス−メタノール浴で冷却することに
より、橙色針状結晶0.64gを得た(三塩化ルテニウ
ム三水和物に対する収率:50%)。
【0018】<実施例1>内容積5mlのガラス製アンプ
ルに、窒素気流下、攪拌子、(η−シクロオクタトリエ
ン)(η−シクロオクタジエン)ルテニウム61.2mg
(0.19mmol)、1−プロペン−3−アール2.14
g(38.17mmol)、及び反応液分析用の内部標準物
質としてジエチレングリコールジメチルエーテル0.2
2gを仕込み、封じた後、内容物を攪拌しつつ、室温で
90時間反応を行った。
【0019】その結果、1−プロペン−3−アール0.
837g(14.93mmol)、(Z)−2−ヘキセン−
1,6−ジアール0.184g(1.64mmol)が検出
された。その他、1−プロペン−3−アールの三量体以
上の重質物も生成していた。1−プロペン−3−アール
の転化率は61.0%であり、(Z)−2−ヘキセン−
1,6−ジアールの選択率は14.1%であった。
【0020】<実施例2>実施例1において、反応温度
70℃、反応時間3時間とした以外は、実施例1と同様
に反応を行った。その結果、1−プロペン−3−アール
0.517g(9.22mmol)、(Z)−2−ヘキセン
−1,6−ジアール0.324g(2.89mmol)が検
出された。その他、1−プロペン−3−アールの三量体
以上の重質物も生成していた。1−プロペン−3−アー
ルの転化率は75.8%であり、(Z)−2−ヘキセン
−1,6−ジアールの選択率は20.0%であった。
【0021】<実施例3>実施例2において、1−プロ
ペン−3−アールの量を0.936g(16.70mmo
l)、ジエチレングリコールジメチルエーテルの量を
0.085gとし、(η−シクロオクタトリエン)(η
−シクロオクタジエン)ルテニウムの代わりに(η−ベ
ンゼン)(η−シクロオクタジエン)ルテニウム24.
4mg(0.09mmol)を使用した以外は、実施例2と同
様に反応を行った。その結果、1−プロペン−3−アー
ル0.178g(3.17mmol)、(Z)−2−ヘキセ
ン−1,6−ジアール0.192g(1.71mmol)が
検出された。その他、1−プロペン−3−アールの三量
体以上の重質物も生成していた。1−プロペン−3−ア
ールの転化率は81.0%であり、(Z)−2−ヘキセ
ン−1,6−ジアールの選択率は25.3%であった。
【0022】<実施例4> 実施例2において、1−プロペン−3−アールの量を
0.931g(16.61mmol)、(η−シクロオクタ
トリエン)(η−シクロオクタジエン)ルテニウムの量
を27.2mg(0.09mmol)、ジエチレングリコール
ジメチルエーテルの量を0.097gとし、ヘキサメチ
ルベンゼン48mg(0.3mmol)を加えて反応を行った
以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、1
−プロペン−3−アール0.186g(3.32mmo
l)、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジアール0.1
41g(1.26mmol)が検出さた。その他、1−プ
ロペン−3−アールの三量体以上の重質物も生成してい
た。1−プロペン−3−アールの転化率は80.0%で
あり、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジアールの選択
率は19.0%であった。
【0023】<実施例5>実施例2において、1−プロ
ペン−3−アールの量を1.712g(30.54mmo
l)、(η−シクロオクタトリエン)(η−シクロオク
タジエン)ルテニウムの量を30.0mg(0.10mmo
l)、ジエチレングリコールジメチルエーテルの量を
0.17gとし、トルエン0.86mlを加えて反応を行
った以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結
果、1−プロペン−3−アール0.762g(13.5
9mmol)、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジアール
0.189g(1.69mmol)が検出された。その他、
1−プロペン−3−アールの三量体以上の重質物も生成
していた。1−プロペン−3−アールの転化率は55.
5%であり、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジアール
の選択率は19.9%であった。
【0024】<実施例6>実施例2において、1−プロ
ペン−3−アールの量を1.178g(21.01mmo
l)、(η−シクロオクタトリエン)(η−シクロオク
タジエン)ルテニウムの量を30.9mg(0.10mmo
l)、ジエチレングリコールジメチルエーテルの量を
0.13gとし、N−メチルピロリジノン0.6mlを加
えて反応を行った以外は、実施例2と同様に反応を行っ
た。その結果、1−プロペン−3−アール0.082g
(1.46mmol)、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジ
アール0.208g(1.86mmol)が検出された。そ
の他、1−プロペン−3−アールの三量体以上の重質物
も生成していた。1−プロペン−3−アールの転化率は
93.1%であり、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジ
アールの選択率は19.0%であった。
【0025】<実施例7>実施例2において、1−プロ
ペン−3−アールの量を0.691g(12.33mmo
l)、(η−シクロオクタトリエン)(η−シクロオク
タジエン)ルテニウムの量を20.2mg(0.06mmo
l)、ジエチレングリコールジメチルエーテルの量を
0.07gとし、イソプロパノール1mlを加えて反応を
行った以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結
果、1−プロペン−3−アール0.191g(3.41
mmol)、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジアール0.
103g(0.92mmol)が検出された。その他、1−
プロペン−3−アールの三量体以上の重質物も生成して
いた。1−プロペン−3−アールの転化率は72.3%
であり、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジアールの選
択率は20.6%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特表 昭60−500282(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 47/21 C07C 45/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1−プロペン−3−アールを可溶性のル
    テニウム化合物の存在下に反応させて2−ヘキセン−
    1,6−ジアールを製造することを特徴とする2−ヘキ
    セン−1,6−ジアールの製造方法。
  2. 【請求項2】 可溶性のルテニウム化合物が、ルテニウ
    ムにアルケン類、ジエン類、トリエン類及びアレーン類
    から選ばれる有機基が配位した化合物であることを特徴
    とする請求項1に記載の製造方法。
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