JP3155625B2 - 体温計 - Google Patents

体温計

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は鼓膜を対象とした検温に
用いる体温計に関し、特に熱輻射を利用した体温計に関
するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来から行われてきた体温計は接触式の
腋下検温や口腔検温が主流であった。しかし、必ずしも
中核温を反映しているとはいえず、また検温時には時間
的な拘や安静状態で行うなど煩わしさがあった。１９６
０年代より、鼓膜温は、生体調整機能を司る視床下部の
温度を反映するものであるとして注目され始めた。しか
し、当時の方法は熱電対やサーミスタを鼓膜に押し当て
るもので、鼓膜穿孔の危険があり、また不快感や苦痛を
伴うものであり、鼓膜温の測定は、生理学的研究の域を
でることはなかった。
【０００３】近年、鼓膜より放射される赤外線を検出す
ることにより、非接触で鼓膜温を短時間で測定する試み
として、特開昭61-117422 に見られるような、米国Inte
lligent Medical Systems の「First Temp」（登録商
標）という非接触式鼓膜温計が商品化されて、鼓膜を対
象とした一般的な検温が可能となった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記体
温計の赤外線センサは主に、中核温を反映している鼓膜
及び鼓膜近傍の外耳道からの赤外線放射だけを受けるこ
とが望ましいが、従来の前記体温計は外耳道に検温のた
めに挿入されるプローブの外筒の材質がハード系であ
り、また、構造的にも自由度のない構造であったため、
複雑で個人差の大きい外耳道の形状に、常に対応し、鼓
膜及び鼓膜近傍の外耳道の赤外線放射を受けることがで
きず、鼓膜近傍より外側の外耳道からの赤外線放射を受
けてしまう。
【０００５】しかし、鼓膜近傍より外側の外耳道は中核
温を反映しておらず、また外気やプローブ挿入により、
外耳道の温度が変化してしまうため、安定な正しい体温
検温になっていないという問題点があった。本発明は、
前記の問題点による個人差や検温方法のバラツキ等によ
る検温誤差をなくし、常に安定して正しい体温検温をで
きるようにした体温計を提供することを目的とする。
【０００６】また、本発明の目的は、プローブの変形に
応じて赤外線を受けるセンサーの指向性が追従できる電
子体温計を提案することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するため、外耳道および、または鼓膜からの赤外線
放射を受け、該赤外線放射による温度変化を電気信号と
して検出する赤外線センサを備える体温計において、該
赤外線センサは外耳道に挿入されるプローブ先端部に設
けられ、該プローブ先端部は、外耳道に挿入されると
き、外耳道の形状に応じて変形して該赤外線センサの指
向方向を変化させる部分と実質的に変形しない部分とか
らなることを特徴とする。
【０００８】本発明において、自由度とは、材質的に得
られるものと、構造的に得られるものとがあり、たとえ
ば、屈曲、伸縮、可塑、前後移動等による変化等を示
す。
【０００９】
【作用】以上の構成において、外耳道に検温のために挿
入されるプローブの形状に自由度のある手段を備えるこ
とで、外耳道にプローブを挿入した際、複雑で個人差の
大きい外耳道の形状や検温毎の挿入角度の違い等によら
ず複雑で個人差の大きい外耳道の形状に常にフィット
し、外耳道の軸方向にプローブ先端を誘導することがで
き、プローブの変形に応じて、赤外線を受けるセンサー
の指向方向が追従するので、鼓膜方向に向けられ鼓膜及
び鼓膜近傍の外耳道の赤外線放射を受けることができ、
個人差や検温方法のバラツキ等による検温誤差をなく
し、常に安定して正しい体温検温をできる。
【００１０】また、外耳道にプローブを挿入する際、プ
ローブに自由度（左右、前後等）があるため、外耳道内
壁への衝撃が少ないので、被検者の苦痛、違和感を緩和
することができる。
【００１１】
【実施例】図１は、参考例の一つである体温計の外耳道
１０に検温のために挿入されるプローブ２０の使用状態
を示す断面図である。同図において、計測部位は外耳道
を含む鼓膜４０であり、プローブ２０は材質が肉厚のホ
ルダー部分２２と先端である外筒３０からなる。外筒３
０の先端に外耳道を含む鼓膜から放射された赤外線を通
過させる孔や窓３２が形成されている。外筒の３０の内
部には、外耳道を含む鼓膜から放射された赤外線を受け
る小型の赤外線センサ３４を備えている。
【００１２】図２は、本発明の参考例である体温計の外
耳道に検温のために挿入されるプローブ２０の外観図で
ある。プローブ２０の外筒３０を形成する材質として
は、屈曲性のある材質、あるいは、伸縮性のある材質、
あるいは、可塑性（体温で）のある材質等が挙げられ
る。たとえば、軟質塩ビ、ゴム、スポンジ等が使用でき
る。また、これらの材質により自由度を増すために円周
方向にスリットを入れたり、ジャバラにする等の細工を
施すことが好適である。
【００１３】図３は本発明の実施例を示すもので、図２
と異なるのはプローブの外筒を形成する材質が硬質であ
り、その一部を屈曲性のある材質、伸縮性の材質、ある
いは可塑性（体温計で）のある材質３６等で構成する。
図４はプローブ２０の外筒３０が可撓性のある材質で作
成されているので、外筒３０が撓んだとき、赤外線セン
サー３４も鼓膜を指向しなければならない。このため、
赤外線センサーの熱容量を増すため支持棒３８に支持さ
れている赤外線センサ３４が鼓膜４０を向くようにバネ
３９で赤外線センサを支持し、外筒の曲がりに追従し
て、センサー３４が鼓膜を指向する構成とした。なお、
このバネ３９の代わりに、ボールジョイントや、自在継
手を使用してもよい。
【００１４】図５及び図６のプローブは、他の参考例
で、比較的可撓性のない外筒３０の基端に鍔３１形成
し、この鍔３１が脱落防止用に先端が内部に収束してい
るプローブのホルダー部分２２揺動自在に嵌着されてい
る。したがって、外筒３０は３６０度の方向に揺動自在
である。かつ外耳道から取り出されると、バネ受け部材
３３に支持されたスプリング３５によって外筒３０は初
期位置にリセットされる。また、このスプリング３５に
よって、外筒３０は軸方向に縮むこともできる。
【００１５】図５の外筒には窓３２から赤外線センサー
まで延びる導光管３７が設けられ、窓３２に照射する赤
外線をセンサー３４まで案内する。導光管３７は外筒３
０と一体であるので、外筒の向きにしたがって鼓膜方向
を向くように調整される。このため、窓３２から鼓膜の
温度を表す赤外線の入射が期待できる。図６に示すよう
に、導光管に代わる支持棒３８によりセンサー３４を窓
３２に近接させて設けることもできる。
【００１６】
【発明の効果】以上、記述したように、本発明はプロー
ブを正しく外耳に挿入でき、挿入されたプローブ先端の
赤外線センサーが正しく鼓膜を指向するので、検温方法
のバラツキ等による検温誤差をなくし、常に安定して正
しい体温検温をできる。また、外耳道にプローブを挿入
する際、プローブに自由度（左右、前後等）が増すた
め、外耳道内壁への衝撃が少ないので、被検者の苦痛、
違和感を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の参考例である体温計の主要部の使用状
態を示す断面図である。
【図２】本発明の参考例の体温計のプローブ部分の主要
部の外観図である。
【図３】本発明の実施例の体温計のプローブ部分の主要
部の外観図である。
【図４】本発明の実施例の体温計のプローブ部分の断面
図である。
【図５】本発明の他の参考例の体温計のプローブ部分の
断面図である。
【図６】本発明の更に他の参考例の体温計のプローブ部
分の断面図である。
【符号の説明】
１０ 外耳道 ２０ プローブ ２２ ホルダー部分 ３０ 外筒 ３２ 孔、窓 ３４ 赤外線センサ ３７ 導光管 ３８ 支持棒 ３９ バネ ４０ 鼓膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A61B 5/00 G01J 5/00 - 5/62 実用ファイル（ＰＡＴＯＬＩＳ) 特許ファイル（ＰＡＴＯＬＩＳ)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 外耳道および、または鼓膜からの赤外線
    放射を受け、該赤外線放射による温度変化を電気信号と
    して検出する赤外線センサを備える体温計において、 該赤外線センサは外耳道に挿入されるプローブ先端部に
    設けられ、該プローブ先端部は、外耳道に挿入されるとき、外耳道
    の形状に応じて変形して該赤外線センサの指向方向を変
    化させる部分と実質的に変形しない部分とからなる こと
    を特徴とする体温計。
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