JP3155465B2 - 液晶性化合物含有フィルム、その製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶性化合物含有フィルム、その製造方法及び液晶表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶セルの液晶層
等に使用することができる液晶性化合物含有フィルム、
その製造方法及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】デスクトップ型パーソナルコンピュータ
およびワードプロセッサ等のOA機器の表示装置として
は、CRT(cathode ray tube)がこれまで主に使用さ
れてきた。最近、液晶表示装置(以下LCDと称す)
が、薄型で、軽量、また消費電力が小さいことからCR
Tの代わりに使用されてきている。LCDは、一般に液
晶(例、ねじれネマティック液晶、強誘電液晶)の層が
一対の透明電極板(例、ITO)に封入された液晶セル
と、その両側に設けられた一対の偏光板からなる。
【0003】液晶層としてねじれネマティック液晶(T
N液晶)を用いたLCD(TN−LCD)は、広く使用
されている。TN−LCDは、通常その背後から照射さ
れるバックライトの光を二値制御して高コントラストが
得られるように設計されている。このようなTN−LC
Dは、液晶を配向させるために、その液晶をガラス基板
上に設けられた二層の配向膜(一般にラビング処理され
たポリマー膜)との間隙(ギャップ)に封入した構造を
有し、そしてその液晶の配向を利用して画像を表示す
る。間隙に封入された液晶の層は、種々の光学特性
(例、透過性、コントラスト)を満足するように高精度
に薄い層であることが要求される。この間隙を形成する
材料として、一対のガラス基板とその間隙を保持するた
めにスペーサが使用される。TN−LCD用液晶セルの
作製は、多くの工程(即ち、配向膜の形成、スペーサの
均一な配置)を必要とする。それ故、これらの工程を減
少させることが望まれている。
【0004】TN−LCD等のLCDの多くの電極用基
板には、表面の均一であることからガラス基板を使用し
ているので、耐衝撃性が充分でない。従って、ガラス基
板を使用しないことによって、高い耐衝撃性を有するL
CDを作製することが望まれている。このため、最近、
ガラス基板の代わりにプラスチック基板を使用すること
が提案されている。しかしながら、プラスチック基板を
使用すると、ガラス基板を使用した時に比べて、必要な
スペーサの数が、液晶層を均一な厚さに維持するために
遥かに多く使用しなければならない。このようなスペー
サを多数使用した場合、得られるLCDの光学特性が低
下する。
【0005】ガラス基板、バックライト及び偏光板もな
く、またラビング処理工程も必要としないLCDとし
て、反射型LCDが知られている。反射型LCDでは、
偏光板を必要としないので使用電力の削減も可能とな
る。さらに、このLCDは、人の目に優しい表示媒体で
ある紙の散乱と吸収に似た特性を持つように設計されて
いる。このようなLCDは、例えば、液晶層として多孔
性シートに液晶性化合物を含浸させて作成されたポリマ
ーマトリックスフィルム、あるいは樹脂マトリックス中
に液晶性化合物の微粒子あるいはマイクロカプセルを分
散させたフィルムを用いることにより作製されている。
このLCDは、電界印加の有無により生ずる液晶化合物
の光透過と光散乱を利用して画像を表示する。すなわ
ち、このLCDは、DSモード(Dynamic Scattering M
ode )に従って作動する。
【0006】反射型LCDとしては、下記の例が知られ
ている。特表昭58−501631号公報には、ポリビ
ニルアルコールでカプセル化されたネマティック液晶性
化合物を含むポリマーマトリックスフィルムを有するL
CDが記載されており、また特開昭60−252687
号公報には、種々のラテックスに分散されたネマティッ
ク液晶性化合物からなるポリマーマトリックスフィルム
を有するLCDが開示されている。更に、硬化されたポ
リマーのマトリックスフィルムを用いた反射型LCDの
例も知られている。特表昭61−502128号公報に
は、液晶性化合物をエポキシ樹脂中に分散させ、そのエ
ポキシ樹脂を硬化させることにより得られるポリマーマ
トリックスフィルムを有するLCDが記載されており、
また特開平3−58021号公報及び特開平4−558
15号公報には、液晶性化合物と重合性モノマーを一対
の透明電極付きガラス基板間に注入し、モノマーを硬化
させて得られる液晶セルを有するLCDを開示してい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の液晶性化合物を
含有するポリマーマトリックスフィルムが、偏光板やバ
ックライトを有するTN−LCDの液晶層として使用で
きるのであれば、配向膜の形成やスペーサの設置の必要
がないため、従来の方法に比べて遥かに簡単にTN−L
CDを製造することができるはずである。しかしなが
ら、本発明者の検討によれば、上記ポリマーマトリック
スフィルムをTN−LCDに組み込んでも、表示される
画像は満足なコントラストが得られず、またスペーサを
介してガラス基板間に注入された液晶層を用いた従来の
TN−LCDに比べて視認性についても劣っていること
が判明した。本発明者が更に検討した結果、通常のポリ
マーマトリックスの代わりに配向状態にあるポリマーマ
トリックスを使用することにより上記問題が解決できる
ことが明らかになった。
【0008】本発明の目的は、特に液晶セルの液晶層と
して有利に使用することができる液晶性化合物含有フィ
ルムを提供することにある。また、本発明の目的は、T
N−LCDの液晶層として使用することができるコント
ラストが向上した液晶性化合物含有フィルムを提供する
ことにある。さらに、本発明の目的は、上記液晶性化合
物含有フィルムの製造方法を提供することにある。ま
た、本発明の目的は、上記液晶性化合物含有フィルムを
有する液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、配向状態にあ
るディスコティック構造単位を持つポリマーマトリック
ス及びその中に含まれる液晶性化合物からなる液晶性化
合物含有フィルムにある。
【0010】上記本発明の液晶性化合物含有フィルムの
好ましい態様は、下記のとおりである。 1)配向状態のポリマーマトリックスが、重合性基を有
するディスコティック化合物の重合により得られるマト
リックスである。 2)上記1)のディスコティック化合物が、液晶性を有
する化合物である。 3)液晶性化合物が、重合性基を持たない化合物であ
る。 4)液晶性化合物が、スメクティック液晶性化合物、ネ
マティック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合
物、キラルネマティック液晶性化合物、強誘電性液晶性
化合物および反強誘電性液晶性化合物からなる群より選
ばれる少なくとも一種の化合物である。 5)配向状態のポリマーマトリックスが、光学異方性を
有する。 6)1)のディスコティック化合物が、下記の(1)〜
(6)の化学構造:
【0011】
【化3】 [但し、Zは−CH2 −、−O−、−S−又は−NR1
−(但し、R1 は炭素原子数1〜5のアルキルを表わ
す)を表わす。]
【0012】
【化4】 からなる群より選ばれる一個の化学構造を基本骨格とす
る化合物である。
【0013】本発明の液晶性化合物含有フィルムは、下
記の(1)〜(3)の工程: (1)重合性基を有するディスコティック化合物と液晶
性化合物との混合物からなる層を形成する工程、(2)
該混合物の層を加熱して該ディスコティック化合物を配
向させる工程、及び(3)該配向したディスコティック
化合物を光又は熱エネルギーを付与して重合させる工程
からなる製造方法により有利に得ることができる。
【0014】本発明の液晶性化合物含有フィルムは、下
記の(1)〜(4)の工程: (1)配向膜上に、重合性基を有するディスコティック
化合物と液晶性化合物との混合物からなる層を形成する
工程、(2)該混合物の層を加熱して該ディスコティッ
ク化合物を配向させる工程、(3)該配向したディスコ
ティック化合物を光又は熱エネルギーを付与して重合さ
せ、液晶性化合物を含有する重合したディスコティック
化合物の層を形成する工程、及び(4)重合したディス
コティック化合物の層を配向膜から分離する工程からな
る製造方法により特に有利に得ることができる。
【0015】さらに本発明は、一対の透明電極付きの基
板と、その基板間に挟持された前記本発明の液晶性化合
物含有フィルムからなる液晶セルからなる液晶表示装置
にもある。上記液晶表示装置において、液晶セルの両側
に一対の偏光板が設けられていることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の液晶性化合物含有フィル
ムは、配向状態のポリマーマトリックス及びその中に含
まれる液晶性化合物からなる。このポリマーマトリック
スは一般に重合性基を有する化合物の重合により形成す
ることが有利である。重合性基を有する化合物(好まし
くはディスコティック化合物)は一般に液晶性を有し、
そして得られるポリマーマトリックスは配向状態にあり
(通常光学異方性を有する)、液晶性化合物に配向性を
付与する機能を有する。配向状態のポリマーマトリック
ス中に含まれる液晶性化合物(単一化合物でも良いし、
二種以上からなるものでも良い)は、液晶性を有する限
り、どのような化合物でも使用することができる。
【0017】本発明のポリマーマトリックスは配向状態
にあることを特徴とする。このような配向したポリマー
マトリックスは、例えば、重合性基を有するディスコテ
ィック化合物の層を配向させ、そしてその層を重合させ
る(硬化させる)ことにより;または重合性基を有する
液晶性化合物の層を配向させ、そしてその層を重合させ
ることにより;あるいは液晶性ポリマーを配向させるこ
とにより、形成することができる。ディスコティック化
合物の重合により配向状態で形成されたポリマーマトリ
ックスにおいては、例えば、ポリマーマトリックスの円
盤面(ディスコティック構造単位の面)が配向してお
り、そしてマトリックス中に含まれる液晶性化合物は、
この円盤面に沿って配向している。液晶性化合物は、ポ
リマーマトリックス中に、分子としてあるいは多数の分
子からなる液滴(粒子)として存在している。液晶性化
合物は、マトリックス全体に存在する円盤面で規定され
る配向規制力の影響下にあり、このため液晶性化合物
は、従来のわずか二個(一対)の配向膜の配向規制力の
影響下にある液晶性化合物に比べて、容易に且つ安定に
円盤面に沿って配向することができる。液晶性化合物の
配向状態は、通常、TN−LCDモードにおける電圧オ
フ時の配列状態に対応する。液晶性化合物は上記のよう
に容易に配向するので、ポリマーマトリックスフィルム
に入射する光は、フィルムを効率よく通過する。従っ
て、このフィルムを有するLCDは表示画像のコントラ
ストを大いに改善することができる。
【0018】本発明で使用されるディスコティック化合
物は、液晶性を有するもの、及び液晶性を持たないもの
を含む。しかしながら、これらを構造で区別することは
困難である。
【0019】本発明のディスコティック(円盤状)化合
物の例としては、C.Destradeらの研究報告、
Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)
に記載されているベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導
体及びフタロシアニン誘導体;C.Destradeら
の研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁
(1985年)、Physics lett,A,78
巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘
導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Ch
em.96巻、70頁(1984年)に記載されたシク
ロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、
J.Chem.Commun.,1794頁(1985
年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Che
m.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記
載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マ
クロサイクルなどを挙げることができる。ディスコティ
ック液晶性化合物は、一般に上記化合物の基本骨格を分
子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、
置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射線状に
置換された構造を有する。更に、ディスコティック液晶
性化合物として、化学総説第22巻の液晶の化学(13
5頁、1994年、日本化学会編)に記載されている有
機金属錯体のディスコティック化合物を挙げることがで
きる。これらは、分子の中心にある金属原子と、その周
囲を同一表面上に囲むように配置された配位子からな
り、これによりディスコティック液晶性を示すと考えら
れる。
【0020】液晶性を持たない(非液晶性の)ディスコ
ティック化合物の例としては、日本化学会第69春季年
会講演予稿集IIの3A111,3A112,3A113
及び3A114に記載されているπ電子共役系分子、及
び同予稿集IIの1G241,1G242及び1G243
に記載されているシクロファン分子、カリックスアレー
ンを挙げることができる。
【0021】光または熱エネルギーの付与により重合し
得る基(重合性基)を少なくとも一個有する本発明のデ
ィスコティック化合物の重合性基としては、同種の基と
反応して、新しい結合を形成するものであるか、あるい
は異種の基と反応して新しい結合を形成するものであ
る。このような基の例は、S.R.サンドラーおよび
W.カロー(S.R.Sandler ,W.Karo)著、オーガ
ニック ファンクショナルグループ プレパレーション
ズ(Oganic Functional Group Preparations)第1巻
および第2巻(アカデミックプレス社、ニューヨーク、
ロンドン 1968年刊)に記載されている。それらの
うち、重合性基が好ましく、例えば、多重結合(例、炭
素炭素二重結合、炭素炭素三重結合)、オキシラン及び
アジリジンなどの複素小員環が好ましく、さらに、R.
A.M.Hikmet らの研究報告〔Macromolecules,25
巻,4194頁(1992)〕および〔Polymer ,34
巻,8号,1763頁(1993年)〕、D.J.Broe
r らの研究報告〔Macromolecules,26巻,1244頁
(1993)〕に記載されているような、二重結合すな
わちアクリル基、ビニルエーテル基およびオキシラニル
基(エポキシ基)が好ましい。
【0022】上記ディスコティック化合物は、下記の
(1)〜(6)の化学構造:
【0023】
【化5】 [但し、Zは−CH2 −、−O−、−S−又は−NR1
−(但し、R1 は炭素原子数1〜5のアルキルを表わ
す)を表わす。]
【0024】
【化6】 からなる群より選ばれる一個の化学構造を基本骨格とす
ることが好ましい。
【0025】上記ディスコティック化合物の例を下記に
示す。
【0026】
【化7】
【0027】一般式(A)のRの例を下記に示す。
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】一般式(B)のR及びZの例を下記に示
す。
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】一般式(C)のRの例を下記に示す。
【0034】
【化12】
【0035】一般式(C)の例を下記に示す。
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】一般式(D)のRの例を下記に示す。
【0039】
【化15】
【0040】一般式(D)の例を下記に示す。
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】一般式(E)のRの例を下記に示す。
【0044】
【化18】
【0045】一般式(E)の例を下記に示す。
【0046】
【化19】
【0047】
【化20】
【0048】一般式(F)のRの例を下記に示す。
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】一般式(G)のRの例を下記に示す。
【0052】
【化23】
【0053】上記ディスコティック化合物は液晶性相を
形成し得ることが好ましい。ディスコティック液晶性化
合物は一般に柱状相、ディスコテックネマティック相あ
るいはカイラル(キラル)ディスコテックネマティック
相を示すが、ディスコテックネマティック相を示すディ
スコティック液晶性化合物が、比較的大きい面積のモノ
ドメインを形成し易いので好ましい。好ましいディスコ
テック(液晶性)化合物の例を下記に示す。
【0054】
【化24】
【0055】一般式(G)のRの例を下記に示す。
【0056】
【化25】
【0057】
【化26】
【0058】
【化27】
【0059】一般式(H)のRの例を下記に示す。
【0060】
【化28】
【0061】
【化29】
【0062】
【化30】
【0063】一般式(J)のRの例を下記に示す。
【0064】
【化31】
【0065】
【化32】
【0066】
【化33】
【0067】一般式(K)のRの例を下記に示す。
【0068】
【化34】
【0069】
【化35】
【0070】
【化36】
【0071】一般式(L)のRの例を下記に示す。
【0072】
【化37】
【0073】
【化38】
【0074】一般式(M)のRの例を下記に示す。
【0075】
【化39】
【0076】
【化40】
【0077】一般式(N)のRの例を下記に示す。
【0078】
【化41】
【0079】
【化42】
【0080】一般式(O)のRの例を下記に示す。
【0081】
【化43】
【0082】本発明の液晶性化合物含有フィルムは、重
合性基を有するディスコティック化合物と液晶性化合物
の混合物からなる層を形成し、次いでその層を加熱して
ディスコティック化合物を配向させ、そしてその層に光
又は熱エネルギーを与えてディスコティック化合物を重
合させることにより作製することが好ましい。液晶性化
合物は、上記ディスコティック化合物が配向状態で形成
されたポリマーマトリックス中に低分子化合物として含
まれている。従って、液晶性化合物はディスコティック
化合物の重合中に重合してはならない。
【0083】液晶性化合物は、通常重合性基を持たな
い。しかしながら、液晶性化合物は、ディスコティック
化合物の重合中に重合しない重合性基を有していても良
い。例えば、液晶性化合物が、重合性基として三重結合
の基(例、エチニル基)を有し、ディスコティック化合
物が二重結合の基(例、アクリロイル基)を有する場合
を挙げることができる。
【0084】上記液晶性化合物の例として、スメクティ
ック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物、コレス
テリック液晶性化合物、キラルネマティック液晶性化合
物、強誘電性液晶性化合物および反強誘電性液晶性化合
物を挙げることができる。これらは、日本化学会編化学
総説第22巻「液晶の化学」(40頁以降、日本化学会
編、1994年)に記載されている。液晶性化合物の好
ましい例として、メルク社製の商品名E−8、ZLI−
4788、ZLI−1800−100及びEN−35等
の市販の液晶混合物を挙げることができる。上記液晶性
化合物の例として下記のものを挙げることができる。
【0085】
【化44】
【0086】一般式(P)のRの例を下記に示す。
【0087】
【化45】
【0088】上記液晶性化合物の例としてさらに下記の
ものを挙げることができる。
【0089】
【化46】
【0090】
【化47】
【0091】
【化48】
【0092】
【化49】
【0093】
【化50】
【0094】
【化51】
【0095】上記液晶性化合物と配向したポリマーマト
リックスの重量比は、5:95〜75:25(液晶性化
合物:マトリックス)の範囲が一般的であり、5:95
〜50:50の範囲が好ましく、特に5:95〜30:
70の範囲が好ましい。本発明のフィルムを形成するた
めの混合物(例、ディスコティック化合物と液晶性化合
物)は、ポリマー(例、液晶性ポリマー、非液晶性ポリ
マー)、重合性基を有するモノマー、紫外線硬化性樹脂
及び界面活性剤等の種々の化合物を含んでも良い。
【0096】上記ポリマーの例として、ポリメチルメタ
クリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチ
レン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール
及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロール
アクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合
体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロー
ス、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエス
テル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、
エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリカーボネート及びシリコーン樹脂などの
非液晶性ポリマー;及び公知の液晶性ポリマーを挙げる
ことができる。
【0097】上記重合性基を有するモノマーの例を下記
に示す。
【0098】
【化52】
【0099】
【化53】
【0100】
【化54】
【0101】上記界面活性剤の例としては、公知のカチ
オン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びノニオン
性界面活性剤を挙げることができる。
【0102】次に、本発明の液晶性化合物含有フィルム
の製造方法について説明する。製造方法は、たとえば、
下記のように行なう。重合性基を有するディスコティッ
ク化合物及び液晶性化合物、及び所望により上記ポリマ
ーやモノマー等の他の化合物を混合して、混合物を作製
する。この混合物を支持体又は支持体上に設けられた配
向膜の表面に塗布し、あるいは支持体又は配向膜の表面
に蒸着等により析出させ;薄膜(好ましい膜厚は0.1
〜10μm)を形成する。上記塗布の方法としては、ス
ピンコーティング法、ディップコーティング法、ロール
コーティング法、エクストルージョンコーティング法及
びバーコーティング法を挙げることができる。次いで、
得られた薄膜を加熱してディスコティック化合物を配向
させ(好ましくはディスコティックネマティック相等の
液晶性相を形成する温度に加熱して)、次いでその薄層
に光又は熱エネルギーを与えて薄層中のディスコティッ
ク化合物を重合させ、フィルム(配向したポリマーマト
リックス及び液晶性化合物からなる)を得る。上記混合
物の薄層を塗布で形成する場合、混合物は適当な溶剤を
含んでも良い。上記製造方法において、重合性基を有す
るディスコティック化合物の代わりに重合性基を有する
液晶性化合物を使用しても良い。
【0103】本発明のフィルムの作製は、次のように行
なうことが好ましい。配向膜上に上記混合物を塗布し、
その塗布層を乾燥し、ついで塗布層をディスコティック
ネマティック相又は一軸性の柱状相を形成する温度に加
熱して、これらのいずれかの相の薄層を形成し、次いで
その薄層に光又は熱エネルギーを与えて薄層中のディス
コティック化合物を重合(硬化)させた後、重合した層
を冷却する。続いて、得られた重合層を、支持体上の配
向膜から剥離して、本発明のフィルムを得る。得られた
フィルムは、室温で光学異方性を示し、またその光学異
方性は磁場、電界あるいは熱エネルギーの付与(あるい
は変化)により変わるものである。更に、上記フィルム
は、向上した耐熱性を示し、このためこのフィルムを通
常の液晶層の代わりに液晶セル中に導入した場合、その
液晶セルも優れた耐熱性を示す。
【0104】特に、前述の好ましい例に示されたディス
コティック化合物(G−13〜G−24、H−1〜H−
12、J−1〜J−12、K−1〜K−12、L−1〜
L−7、M−1〜M−7、N−1〜N−7及びO−1〜
O−7)を配向膜(例、ラビング処理したポリイミド
膜)上に塗布しそしてディスコティックネマティック相
又は一軸性の柱状相を形成する温度以上に加熱した場
合、ディスコティック化合物は容易に配向する。更に、
配向した層を冷却すると、その層はガラス状態に於てそ
の配向を維持することができる。ガラス状態の配向した
層では、ディスコティック化合物の円盤面は、その層の
屈折率異方性の測定から、配向膜のラビング方向に沿っ
て一様に傾斜して配向していると考えられる。即ち、デ
ィスコティック化合物の円盤面は、ラビング方向に配向
膜の表面に対して傾斜している。更に、配向状態(例、
チルト角)は、ディスコティック液晶性化合物に他の適
当な化合物を添加することにより制御することができ
る。このような本発明のフィルムは光学補償シートとし
ても当然有用である。
【0105】配向膜は、上述したように一般に支持体上
に設けられる。配向膜は、その上に設けられる(液晶
性)ディスコティック化合物の配向方向を規定するよう
に機能する。そしてこの配向が、支持体から傾いた光軸
を与える。配向膜は、ディスコティック化合物の層に配
向性を付与できるものであれば、どのような層でも良
い。配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好まし
くはポリマー)のラビング処理された層及び無機化合物
の斜方蒸着層を挙げることができる。
【0106】配向膜用の有機化合物の例としては、ポリ
イミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼ
ラチン、ポリビルアルコール及びアルキル基(炭素原子
数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビルア
ルコールを挙げることができる。これらのポリマーの層
を配向処理(例、ラビング処理)することにより得られ
る配向膜は、液晶性ディスコティック化合物を斜めに配
向させるのに特に有用である。さらに、シリル化剤で処
理したガラス基板、直接ラビング処理したカラス基板も
使用することができる。またポリビニルアルコールの薄
膜を、ラビングせずに4〜5倍延伸したフィルムも使用
することができる。
【0107】また、前記ラビング処理は、ポリマーの層
の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはポリア
ミド、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦るこ
とにより実施することができる。一般的には、長さ及び
太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数
回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0108】また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質として
は、SiOを代表とし、TiO2 、ZnO2 等の金属酸
化物、あるいやMgF2 等のフッ化物、さらにAu、A
l、等の金属が挙げられる。尚、金属酸化物は、高誘電
率のものであれば斜方蒸着物質として用いることがで
き、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜
は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム
(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィル
ムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸
着膜を形成することができる。
【0109】ディスコティック化合物の層(ディスコテ
ィック化合物と液晶化合物の混合物の層)を配向膜を使
用せずに配向させる方法として、支持体上のディスコテ
ィック化合物層を形成し得る温度に加熱しながら、電場
あるいは磁場を付与する方法を挙げることができる。
【0110】本発明のフィルムの製造方法において、デ
ィスコティック化合物の重合は、一般に、ディスコティ
ック化合物の層を配向膜上で加熱してその層を一軸配向
のモノドメイン状態に変えた後に行なわれる。即ち、モ
ノドメイン状態の層を光照射して重合させる(好ましく
は光重合開始剤を使用する)、あるいはその層を重合し
得る高温まで加熱する。例えば、エポキシ基を有するデ
ィスコティック化合物の層をモノドメイン状態を形成す
るように加熱し、そしてモノドメイン状態の層を光照射
してカチオン重合により重合させることができる。ある
いはモノドメイン状態の層を、モノドメイン状態を形成
する温度より数十度高い温度に加熱することにより重合
させることができる。
【0111】ディスコティック化合物の重合は、生産性
の点から、光照射(紫外線(UV)照射が好ましい)に
より、ラジカルあるいはカチオン重合によって行なわれ
ることが好ましい。ディスコティック化合物の層を重合
させるために、ディスコティック化合物と液晶化合物の
混合物に光重合開始剤または(熱)重合開始剤を含むこ
とが好ましい。このような重合において好ましい重合性
基は、ビニル基、アクリロイル基及びエポキシ基であ
る。
【0112】光重合開始剤の例としては、米国特許第
2,367,661号明細書及び米国特許第2,36
7,670号明細書に記載されているα−カルボニル化
合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載さ
れているアシロインエーテル、米国特許第2,722,
512号明細書に記載されているα−炭化水素で置換さ
れた芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,
127号明細書及び米国特許第2,951,758号明
細書に記載されている多核キノン化合物、米国特許第
3,549,367号明細書に記載されているトリアリ
ールイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトン
の組み合わせ、特開昭60−105667号公報及び米
国特許第4,239,850号明細書に記載されている
アクリジン及びフェナジン化合物、及び米国特許第4,
212,970号明細書に記載されているオキサジアゾ
ール化合物等を挙げることができる。
【0113】上記光重合開始剤は、上記混合物層(即ち
フィルム)中に、その合計固形分に対して0.01〜2
0重量%の量で含まれているのが一般的であり、0.1
〜5重量%が好ましく、特に0.5〜5重量%が好まし
い。光重合開始剤の過剰に含まれると、有効な光を不必
要に遮断するため好ましくない。
【0114】上記混合物層は更に有機アミン化合物を含
んでも良い。アミン化合物の例として、トリエタノール
アミン、ジエタノールアニリン、p−ジメチルアミノ安
息香酸エチルエステル及びミヒラーケトンを挙げること
ができる。有機アミン化合物は、上記光重合開始剤に対
して50〜200重量%の範囲で一般に使用される。さ
らに、必要に応じて、上記混合物層は水素供与性化合物
を含んでも良い。これにより光重合開始能力を高めるこ
とができる。上記化合物の例として、N−フェニルグリ
シン、2−メルカプトベンゾチアゾール、N,N−ジア
ルキルアミノ安息香酸アルキルエステル等を挙げること
ができる。また、酸素による重合阻害を抑制するため界
面活性剤を少量添加しても良い。
【0115】またエポキシ基を有する(ディスコティッ
ク)化合物の重合には、紫外線活性化カチオン触媒とし
て、アリルジアゾニウム塩(ヘキサフルオロフォスフェ
ート、テトラフルオロボラート)、ジアリルヨードニウ
ム塩、Vla 族アリロニウム塩(PF6 、AsF6 、Sb
6 のようなアニオンをもつアリルスルホニウム塩)が
一般に用いられる。
【0116】また光重合用の光線としては、電子線、紫
外線、可視光線、赤外線(熱線)を必要に応じて用いる
ことができるが、一般的には、紫外線が好ましい。紫外
線の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光
ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ
(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショー
トアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンラン
プ、水銀キセノンランプ)を挙げることができる。光源
の照射エネルギーは、20〜5000mJ/cm2 が一
般的で、100〜800mJ/cm2 が好ましい。
【0117】本発明において好ましく使用されるディス
コティック化合物である、ベンゾイルオキシトリフェニ
レン環の化合物の場合、270nm以下付近にλmax
有し、その分子吸光係数も大きいため、254nm付近
の短波長の紫外線は有効に用いられない場合がある。従
って、光重合開始剤も下記の近紫外に吸収帯を持つ化合
物が好ましく、光源も高圧水銀灯やメタルハライドラン
プ等の近紫外光を強く放射するものが好ましい。
【0118】上記光重合開始剤の好ましい例を下記に示
す。
【0119】
【化55】
【0120】
【化56】
【0121】また、熱エネルギーでディスコティック化
合物等の重合性化合物を重合させる場合は、重合が開始
する温度まで加熱すれば良いが、一般に50〜250℃
の範囲である。時間は、0.1〜60分が一般的であ
る。
【0122】ディスコティック化合物と液晶性化合物の
混合物は、一般に溶剤に溶解してフィルム形成のための
溶液を作製する。この溶液を、通常支持体又は配向膜に
塗布する。上記溶剤の例としては、N,N−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DM
SO)及びピリジン等の極性溶剤;ベンゼン及びヘキサ
ン等の無極性溶剤;クロロホルム及びジクロロメタン等
のアルキルハライド類;酢酸メチル及び酢酸ブチル等の
エステル類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケト
ン類;及びテトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシ
エタン等のエーテル類を挙げることができる。アルキル
ハライド類及びケトン類が好ましい。溶剤は単独でも、
組合わせて使用しても良い。
【0123】配向膜又は上記フィルムが形成される支持
体の材料としては、どのような材料でも良い。表面が均
一なものが好ましい。支持体は、トリアセチルセルロー
ス、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォ
ンまたはポリエーテルスルフォンから形成されたフィル
ムが好ましい。また金属フィルムが好ましい。
【0124】上記製造方法により得られる本発明の液晶
性化合物含有フィルムは、配向状態のポリマーマトリッ
クスとその中に含まれる液晶性化合物からなる。このフ
ィルムは、上記製造方法から明らかなように、ディスコ
ティック化合物の重合により形成されたポリマーマトリ
ックスとその中に含まれる液晶性化合物から構成される
ことが好ましい。フィルムを構成する配向状態のポリマ
ーマトリックスは、光学異方層であり、そして液晶性化
合物の配向を規制することができる性質(力)を有す
る。フィルムを構成する液晶性化合物は、ポリマーマト
リックスを構成するポリマー鎖の間の空隙(例、ポリマ
ーマトリックスの配向した円盤面の重なりと重なりとの
間の空隙)に含まれていることから、液晶性化合物は、
ポリマーマトリックスの配向規制力を受けて、本来の配
向性を維持しながらモノドメインの配向状態を示す。従
って、本発明のポリマーマトリックスは、三次元的に形
成された配向膜であり、一方従来の配向膜は平面層であ
る。このため、ポリマーマトリックスは、液晶性化合物
に対して配向規制力を三次元的に与えることができる。
【0125】液晶性化合物の配向(例えば、液晶セル中
の)は、一般に下記のように形成される。従来の配向膜
は、膜厚方向に減衰する平面的な配向規制力を有してい
る。この配向規制力と液晶性化合物の分子間力との総和
が、液晶性化合物の熱的ゆらぎのエネルギーに拮抗する
条件下で、液晶性化合物の配向は、起こると考えられ
る。従って、液晶セルに於て、液晶層の厚さ(即ち、ガ
ラス基板間のギャップ)は、配向膜の配向規制力の及ぶ
範囲内で設計される。一方、本発明の液晶性化合物含有
フィルムの厚さは、そのポリマーマトリックスによる配
向規制力はフィルム全体に及んでいるので、ほとんど制
限されることはない。しかしながら、ポリマーマトリッ
クスとその中の液晶性化合物からなる公知のフィルムに
おいては、そのポリマーマトリックスは液晶性を持たな
い通常のポリマーから構成されているため、液晶性化合
物に対して配向規制力を示すことはない。このようなポ
リマーマトリックスは、単に二枚のガラス基板のギャッ
プを保持するスペーサーの機能を果たしているに過ぎな
いと考えられる。
【0126】本発明の液晶表示装置の代表的な構成例を
図1に示す。図1において、透明電極14a,14bを
有する一対の基板13a,13bと基板間に挟持された
フィルム(配向したポリマーマトリックスと液晶性化合
物からなる)15からなる液晶セル、及び液晶セルの両
側に配置された一対の偏光板(シート)11a,11b
が組み合わされて、液晶表示装置を構成している。バッ
クライトは、一般に偏光板11aの下側に配置される。
【0127】図1に示される液晶表示装置は、液晶とし
てねじれネマチック液晶化合物を使用するTN−LCD
の代表的な構成である。図1の構成は、STN−LCD
(超ねじれネマチック液晶−LCD)等の種々の表示装
置に利用することができる。偏光板は、設けなくても良
く、偏光板を持たない液晶セルはDSモードのLCDに
使用される。本発明のフィルムは、液晶性化合物を適宜
変更することにより種々の液晶表示装置に使用すること
ができる。
【0128】上記液晶セルの支持体の材料としては、透
明性を有するものが好ましい。また光学的等方性を有す
るものが好ましい。従って、支持体は、ガラス基板、又
は固有複屈折率の小さいトリアセチルセルロース等のポ
リマーから得られるフィルムであることが好ましい。こ
のようなフィルムとしては、(例、ゼオネックス(日本
ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)
製)及びフジタック(富士写真フイルム(株)製))な
どの市販品を使用することができる。さらに、ポリカー
ボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエ
ーテルスルホンなどの固有複屈折率の大きい素材であっ
ても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、さらには縦、
横方向に延伸状検討を適宜設定することにより、光学的
に等方性のフィルムを得ることができる。
【0129】
【実施例】
【0130】[実施例1] (液晶性化合物含有フィルムの作製)ゼラチン薄膜
(0.1μm)を塗設した127μmの厚さを有するト
リアセチルセルロースのフィルム(富士タック、サイ
ズ: 100mm× 100mm、富士写真フイルム(株)製)上に
直鎖アルキル変性ポリビニルアルコールの溶液を塗布
し、乾燥させた後、ラビング装置を用いてラビング処理
を行い、配向膜を形成した。
【0131】液晶性を有するディスコティック化合物と
して前述の化合物G−14及び液晶組成物(商品名:E
−8、メルク社製)を重量比で9:1(G−14:E−
8)にて混合し、混合物を得た。更に、光重合開始剤と
してミヒラーケトンとベンゾフェノンを、それぞれ上記
混合物に対して0.5重量%づつ添加し、得られた混合
物をメチルエチルケトンに溶解して10重量%の塗布液
を作製した。上記塗布液を配向膜上に、スピンコーター
を用いて回転数1000rpmにて塗布し、ディスコテ
ィック化合物と液晶製化合物の混合物層を得た。上記混
合物層を、毎分10℃の昇温速度で加熱したところ、ほ
ぼ100℃でほとんどモノドメイン配向をしていること
が、偏光顕微鏡により観察された。そこで、この混合物
層を110℃で2分間放置した後、紫外線照射装置(U
VSL−58(16W)、ウルトラ−バイオレットプロ
ダクツ社製)を用いて、20分間露光し、次いで冷却し
て硬化したディスコティック化合物の層(液晶性化合物
含有フィルム)を得た。硬化したディスコティック化合
物の層を有する支持体を40℃の水に1時間浸漬し、乾
燥し、次いで硬化したディスコティック化合物の層を支
持体上の配向膜から、硬化したディスコティック化合物
の層の端部に貼られたセロファンテープを剥すことによ
り、剥離し、液晶性化合物含有フィルム(厚さ:2.2
μm)を得た。
【0132】(液晶表示装置の作製)液晶性化合物含有
フィルムを、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極を備
えた一対のガラス基板を透明電極が対向するように配置
し、そのガラス板の間に挟んで貼りつけ、液晶セルを作
製した。この液晶セルの両側に、一対の偏光板を、二つ
の偏光軸が直交するように貼りつけて、液晶表示装置を
作製した。
【0133】(液晶表示装置の評価)得られた液晶表示
装置の一方の配向板の側から光を照射した。表示装置を
もう一方の偏光板側から見た時、光が液晶表示装置内を
通過しているので向こう側が明瞭に見ることができた。
次いで、15Vの交流電圧を装置の透明電極に印加する
と、即座に暗(黒)の表示が得られた(即ち、光が液晶
表示装置内を通過しなくなったため、光を見ることがで
きなかった)。電圧の印加(オン)とオフを繰り返す
と、表示も同様に暗と明を繰り返した。従って、得られ
たフィルムは、液晶層の機能と、配向膜の機能、更にス
ペーサーの機能も有することが確認された。
【0134】[実施例2] (液晶性化合物含有フィルムの作製)実施例1と同様に
して液晶性化合物含有フィルムを得た。 (液晶表示装置の作製)実施例1において、液晶セルの
ガラス基板の代わりにトリアセチルセルロースフィルム
を用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作
製した。 (液晶表示装置の評価)得られた液晶表示装置の評価
は、実施例1と同様にして行なった。評価結果も実施例
1と同様であった。
【0135】
【発明の効果】本発明の液晶性化合物含有フィルムは、
配向状態のポリマーマトリックス(重合性基を有するデ
ィスコティック化合物の重合により形成されるポリマー
マトリックスが好ましい)とその中に含まれる液晶性化
合物からなる。マトリックスのポリマーは、マトリック
スの表面に平行にあるいはある角度で配向しているの
で、マトリックス中の液晶性化合物も容易にポリマー沿
って配向する。従って、このフィルムをLCDの液晶セ
ルの液晶層として使用すると、そのLCDは、配向膜を
必要としない。更に、フィルムは均一な厚さを有するの
で、スペーサーも必要としない。更にまた、表示画像
は、公知の液晶性化合物含有ポリマーマトリックスに比
べてコントラストが向上している。即ち、本発明のポリ
マーマトリックス中に含まれる液晶性化合物は、ポリマ
ーマトリックスが三次元の配向膜(即ち、平面方向のみ
ならず厚さ方向にも配向機能を有する膜)として機能し
ているので、容易に配向することができることから、フ
ィルムに入射した光を効率よく(迅速に)通過あるいは
遮断を行なうことができる。従って、本発明のフィルム
を備えた液晶表示装置は、表示画像のコントラストが顕
著に改善されている。通常、配向膜は、熱処理されて形
成される。本発明のフィルムを使用すれば配向膜を必要
としないことから、電極基板用の高耐熱性を有するガラ
スに代えてプラスチックを使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の代表的な構成例の断面
図である。
【符号の説明】
11a、11b 偏光板 13a、13b 基板 14a、14b 透明電極 15 フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 33/14 C08L 33/14 49/00 49/00 101/00 101/00 C09K 19/06 C09K 19/06 19/18 19/18 19/34 19/34 19/54 19/54 Z G02B 5/30 G02B 5/30 G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 C08F 20/36 C08F 38/00 C08G 59/04 C08L 29/10 C08L 33/14 C08L 49/00 C08L 101/00 C09K 19/06 C09K 19/18 C09K 19/34 C09K 19/54 G02B 5/30 G02F 1/1335 510

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向状態にあるディスコティック構造単
    位を持つポリマーマトリックス及びその中に含まれる液
    晶性化合物からなる液晶性化合物含有フィルム。
  2. 【請求項2】 該配向状態のポリマーマトリックスが、
    重合性基を有するディスコティック化合物の重合により
    得られたポリマーマトリックスである請求項1に記載の
    液晶性化合物含有フィルム。
  3. 【請求項3】 該ディスコティック化合物が、液晶性を
    有する化合物である請求項2に記載の液晶性化合物含有
    フィルム。
  4. 【請求項4】 該液晶性化合物が、重合性基を持たない
    化合物である請求項1に記載の液晶性化合物含有フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 該液晶性化合物が、スメクティック液晶
    性化合物、ネマティック液晶性化合物、コレステリック
    液晶性化合物、キラルネマティック液晶性化合物、強誘
    電性液晶性化合物および反強誘電性液晶性化合物からな
    る群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載
    の液晶性化合物含有フィルム。
  6. 【請求項6】 該配向状態のポリマーマトリックスが、
    光学異方性を有するポリマーマトリックスである請求項
    1に記載の液晶性化合物含有フィルム。
  7. 【請求項7】 該ディスコティック化合物が、下記の
    (1)〜(6)の化学構造: 【化1】 [但し、Zは−CH2 −、−O−、−S−又は−NR1
    −(但し、R1 は炭素原子数1〜5のアルキルを表わ
    す)を表わす。] 【化2】 からなる群より選ばれる一個の化学構造を基本骨格とす
    る化合物である請求項2に記載の液晶性化合物含有フィ
    ルム。
  8. 【請求項8】 下記の(1)〜(3)の工程: (1)重合性基を有するディスコティック化合物と液晶
    性化合物との混合物からなる層を形成する工程、 (2)該混合物の層を加熱して該ディスコティック化合
    物を配向させる工程、及び (3)該配向したディスコティック化合物を光又は熱エ
    ネルギーを付与して重合させる工程からなる請求項1に
    記載の液晶性化合物含有フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 下記の(1)〜(4)の工程: (1)配向膜上に、重合性基を有するディスコティック
    化合物と液晶性化合物との混合物からなる層を形成する
    工程、 (2)該混合物の層を加熱して該ディスコティック化合
    物を配向させる工程、 (3)該配向したディスコティック化合物を光又は熱エ
    ネルギーを付与して重合させ、液晶性化合物を含有する
    重合したディスコティック化合物の層を形成する工程、
    及び (4)重合したディスコティック化合物の層を配向膜か
    ら分離する工程からなる請求項1に記載の液晶性化合物
    含有フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 一対の透明電極付きの基板と、その基
    板間に挟持された請求項1に記載の液晶性化合物含有フ
    ィルムからなる液晶表示装置。
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