JP3154601B2 - 耐吸湿性に優れた溶接材料用低水分セシウム原料 - Google Patents
耐吸湿性に優れた溶接材料用低水分セシウム原料Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接材料用のセシウム原
料に関し、特に耐吸湿性に優れた低水分の溶接材料用セ
シウム原料に関する。
料に関し、特に耐吸湿性に優れた低水分の溶接材料用セ
シウム原料に関する。
【0002】
【従来の技術】アーク溶接において、作業時に発生する
ヒューム量を低減させることは、溶接作業の3K職場か
らの脱却、近年関心の高まっている環境保護等の面か
ら、クリアしなければならない課題の一つである。
ヒューム量を低減させることは、溶接作業の3K職場か
らの脱却、近年関心の高まっている環境保護等の面か
ら、クリアしなければならない課題の一つである。
【0003】一方、近年、溶接業界においては、従来主
流であった被覆アーク溶接棒(SMAW)から、半自動溶
接が主流になりつつある。SMAWに関しては、特公昭
55−42672号に示されるとおり被覆剤(フラック
ス)により低ヒューム化が図られているが、半自動ワイ
ヤ、特にヒューム発生量が多いフラックス入りワイヤ
(FCW)に関しては、特公昭59−44158号に示さ
れるとおりフープの成分調整による低ヒューム化技術は
確立されているものの、フラックスの面からの低ヒュー
ム化技術は確立されておらず、FCWの問題点の一つと
なっていた。
流であった被覆アーク溶接棒(SMAW)から、半自動溶
接が主流になりつつある。SMAWに関しては、特公昭
55−42672号に示されるとおり被覆剤(フラック
ス)により低ヒューム化が図られているが、半自動ワイ
ヤ、特にヒューム発生量が多いフラックス入りワイヤ
(FCW)に関しては、特公昭59−44158号に示さ
れるとおりフープの成分調整による低ヒューム化技術は
確立されているものの、フラックスの面からの低ヒュー
ム化技術は確立されておらず、FCWの問題点の一つと
なっていた。
【0004】ヒュームは、高温蒸気が急冷されるときに
酸化され、凝集することにより発生し、発生場所として
は主に、溶融池、懸垂溶滴、アーク柱、スパッタ等が挙
げられる。前述の特公昭59−44158号に示される
とおりヒューム量を低減させる一手段として、アークを
安定させることにより、溶融池及び懸垂溶滴の乱れを極
力低減させる(結果としてスパッタも減少する)方法があ
るが、このことから、強力なアーク安定剤を添加するこ
とによって、ヒューム量が低減することが容易に推定で
きる。
酸化され、凝集することにより発生し、発生場所として
は主に、溶融池、懸垂溶滴、アーク柱、スパッタ等が挙
げられる。前述の特公昭59−44158号に示される
とおりヒューム量を低減させる一手段として、アークを
安定させることにより、溶融池及び懸垂溶滴の乱れを極
力低減させる(結果としてスパッタも減少する)方法があ
るが、このことから、強力なアーク安定剤を添加するこ
とによって、ヒューム量が低減することが容易に推定で
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、強力なアーク安
定剤としては、特公平3−166000号に示されると
おり天然に存在するアルカリ金属の中で最も電離電圧が
低いセシウム(Cs)が考えられるが、特公平3−166
000号に述べられているチタン酸セシウム、クロム酸
セシウム、炭酸セシウム等では、原料水分が高いこと及
び耐吸湿性が劣っていること等の問題点が存在する。
定剤としては、特公平3−166000号に示されると
おり天然に存在するアルカリ金属の中で最も電離電圧が
低いセシウム(Cs)が考えられるが、特公平3−166
000号に述べられているチタン酸セシウム、クロム酸
セシウム、炭酸セシウム等では、原料水分が高いこと及
び耐吸湿性が劣っていること等の問題点が存在する。
【0006】特に、継ぎ目あり(シームあり)FCWで
は、溶接前に大気に曝されることが多いことから、耐吸
湿性が問題になる。ワイヤ中の水分が高くなると、溶接
金属中に欠陥が生じることは当然であるが、それが許容
できる範囲であっても、溶接時に急激にワイヤ中の水分
が沸騰し、アークの吹き出しが強くなり、ヒューム量の
増加作用を及ぼす。特公平3−166000号に述べら
れているCs原料では、アークは安定するものの、ワイ
ヤ中の水分が高いために、ヒューム量がかえって増加す
るという問題点があった。
は、溶接前に大気に曝されることが多いことから、耐吸
湿性が問題になる。ワイヤ中の水分が高くなると、溶接
金属中に欠陥が生じることは当然であるが、それが許容
できる範囲であっても、溶接時に急激にワイヤ中の水分
が沸騰し、アークの吹き出しが強くなり、ヒューム量の
増加作用を及ぼす。特公平3−166000号に述べら
れているCs原料では、アークは安定するものの、ワイ
ヤ中の水分が高いために、ヒューム量がかえって増加す
るという問題点があった。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点を解決し
て、アーク溶接において溶接時に発生するヒューム量を
低減させるために、耐吸湿性に優れ低水分のセシウム原
料を提供することを目的としている。
て、アーク溶接において溶接時に発生するヒューム量を
低減させるために、耐吸湿性に優れ低水分のセシウム原
料を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、比較的低価格で入手が容易な炭酸セ
シウム及びセシウム原鉱石に着目し、これらの原料につ
いて数多くの調査・検討を重ねた結果、合成セシウム原
料を見い出し、ここに本発明をなしたものである。
を解決するために、比較的低価格で入手が容易な炭酸セ
シウム及びセシウム原鉱石に着目し、これらの原料につ
いて数多くの調査・検討を重ねた結果、合成セシウム原
料を見い出し、ここに本発明をなしたものである。
【0009】すなわち、本発明は、 セシウム(Cs2O換算量):1〜25%、 リチウム、ナトリウム、カリウム及びルビジウムから
なる群から選ばれた少なくとも一種類以上のアルカリ金
属(それぞれの酸化物換算量):1%以上、 TiO2:40〜50% SiO2:30%以上 総アルカリ金属酸化物和量:2〜27%、を含有する
化学成分値からなることを特徴とする耐吸湿性に優れた
溶接材料用低水分セシウム原料を要旨としている。
なる群から選ばれた少なくとも一種類以上のアルカリ金
属(それぞれの酸化物換算量):1%以上、 TiO2:40〜50% SiO2:30%以上 総アルカリ金属酸化物和量:2〜27%、を含有する
化学成分値からなることを特徴とする耐吸湿性に優れた
溶接材料用低水分セシウム原料を要旨としている。
【0010】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0011】炭酸セシウムは、耐吸湿性が著しく悪く、
溶接材料用原料として使用できないという問題点があ
り、溶接材料用原料として用いるには改良が必要であ
る。耐吸湿性を向上させる一方法として、ガラス化した
セシウム原料(セシウム−SiO2複合酸化物)を合成し溶
接材料用原料として用いる方法、及びチタン酸セシウム
等の別原料の検討が考えられるが、いずれの原料も充分
な耐吸湿性を有しているとは言えない。
溶接材料用原料として使用できないという問題点があ
り、溶接材料用原料として用いるには改良が必要であ
る。耐吸湿性を向上させる一方法として、ガラス化した
セシウム原料(セシウム−SiO2複合酸化物)を合成し溶
接材料用原料として用いる方法、及びチタン酸セシウム
等の別原料の検討が考えられるが、いずれの原料も充分
な耐吸湿性を有しているとは言えない。
【0012】そこで数多くの調査・検討の結果、SiO2
とTiO2とを適切な含有比率とし且つセシウム及び他の
アルカリ金属を適当な含有比率にした時、セシウム複合
酸化物の耐吸湿性が著しく向上することが判った。
とTiO2とを適切な含有比率とし且つセシウム及び他の
アルカリ金属を適当な含有比率にした時、セシウム複合
酸化物の耐吸湿性が著しく向上することが判った。
【0013】具体的には、複合酸化物中のSiO2を30
%以上、TiO2を40%以上50%以下、Cs(CsO2換
算量)を1%以上25%以下、A2O(A=Li、Na、
K、Rbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上
のアルカリ金属のそれぞれの酸化物換算量)を1%以上と
し、且つ総アルカリ金属の酸化物量を2%以上27%以
下にした化学成分値である。
%以上、TiO2を40%以上50%以下、Cs(CsO2換
算量)を1%以上25%以下、A2O(A=Li、Na、
K、Rbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上
のアルカリ金属のそれぞれの酸化物換算量)を1%以上と
し、且つ総アルカリ金属の酸化物量を2%以上27%以
下にした化学成分値である。
【0014】すなわち、SiO2を30%以上にすること
は複合酸化物をガラス化するための必須条件である。ガ
ラス化することは、耐吸湿性を向上させるための必要条
件である。
は複合酸化物をガラス化するための必須条件である。ガ
ラス化することは、耐吸湿性を向上させるための必要条
件である。
【0015】TiO2が50%より多くなると、複合酸化
物中のSiO2及びアルカリ金属酸化物が低下し、それぞ
れ耐吸湿性が劣化したり、アーク安定剤(低ヒューム効
果剤)としての効果が低減してしまう。逆に、40%未
満になると、詳細な理由については不明であるが、より
ガラス化するにも拘らず、耐吸湿性が劣化してしまうこ
とが判明した。
物中のSiO2及びアルカリ金属酸化物が低下し、それぞ
れ耐吸湿性が劣化したり、アーク安定剤(低ヒューム効
果剤)としての効果が低減してしまう。逆に、40%未
満になると、詳細な理由については不明であるが、より
ガラス化するにも拘らず、耐吸湿性が劣化してしまうこ
とが判明した。
【0016】なお、TiO2はガラスのネット・ワーク・
フォーマー(以下、NWFと略す)の一種であるが、必要
に応じて、TiO2をTiO2以外のNWF(例えば、Al2
O3、ZrO2、Bi2O3等)に置き換えたり、若しくはTi
O2以外のNWFを微量添加(1〜3%)してもよい。い
ずれの場合においても、本発明の効果に特に影響のない
ことも発明者らは確認している。
フォーマー(以下、NWFと略す)の一種であるが、必要
に応じて、TiO2をTiO2以外のNWF(例えば、Al2
O3、ZrO2、Bi2O3等)に置き換えたり、若しくはTi
O2以外のNWFを微量添加(1〜3%)してもよい。い
ずれの場合においても、本発明の効果に特に影響のない
ことも発明者らは確認している。
【0017】Cs(Cs2O換算量)が1%未満になると強
力アーク安定剤としての効果、ひいては低ヒューム効果
の特性が発揮されなくなってしまう。逆に、25%より
多くなると、アルカリ金属中で最もイオン半径が大きい
Csが複合酸化物に増加する結果になり、ガラスの骨格
構造を破壊してしまい、耐吸湿性が悪くなってしまう。
アーク安定性(低ヒューム効果)、耐吸湿性を考慮した場
合、更に好ましいCs(Cs2O換算量)の範囲は、5%以
上23%以下である。
力アーク安定剤としての効果、ひいては低ヒューム効果
の特性が発揮されなくなってしまう。逆に、25%より
多くなると、アルカリ金属中で最もイオン半径が大きい
Csが複合酸化物に増加する結果になり、ガラスの骨格
構造を破壊してしまい、耐吸湿性が悪くなってしまう。
アーク安定性(低ヒューム効果)、耐吸湿性を考慮した場
合、更に好ましいCs(Cs2O換算量)の範囲は、5%以
上23%以下である。
【0018】A2O(Aの酸化物換算量)が1%以上必要
な理由は、複合酸化物中にアルカリ金属がCsのみであ
る時に比較して、Csイオンよりイオン半径が小さいL
i、Na、K、Rbが存在すると複合酸化物中のガラス骨
格構造を破壊する程度が小さくなり、複合酸化物の耐吸
湿性が向上するためである。
な理由は、複合酸化物中にアルカリ金属がCsのみであ
る時に比較して、Csイオンよりイオン半径が小さいL
i、Na、K、Rbが存在すると複合酸化物中のガラス骨
格構造を破壊する程度が小さくなり、複合酸化物の耐吸
湿性が向上するためである。
【0019】総アルカリ金属酸化物量は、耐吸湿性確保
のために27%以下にする。しかし、アーク安定剤とし
ての効果及び複合酸化物をガラス化する効果の確保のた
めに2%以上が必要である。
のために27%以下にする。しかし、アーク安定剤とし
ての効果及び複合酸化物をガラス化する効果の確保のた
めに2%以上が必要である。
【0020】本発明のセシウム原料(複合酸化物)は、耐
吸湿性に優れており、長時間放置しても殆ど水分を吸湿
せず、低水分のセシウム原料である。例えば、図1に吸
湿特性を示すように、30℃、80%(相対湿度)の雰囲
気中に168時間放置した場合、増量法による増加量が
2000ppm以下で、通常800ppm以下を維持し続ける
ことができる。従来の原料である炭酸セシウムはもとも
と水分量が多いうえに、放置時間の経過と共に水分を急
激に吸収して増加するのに比べ、本発明の合成セシムウ
原料は耐吸湿性が優れている。
吸湿性に優れており、長時間放置しても殆ど水分を吸湿
せず、低水分のセシウム原料である。例えば、図1に吸
湿特性を示すように、30℃、80%(相対湿度)の雰囲
気中に168時間放置した場合、増量法による増加量が
2000ppm以下で、通常800ppm以下を維持し続ける
ことができる。従来の原料である炭酸セシウムはもとも
と水分量が多いうえに、放置時間の経過と共に水分を急
激に吸収して増加するのに比べ、本発明の合成セシムウ
原料は耐吸湿性が優れている。
【0021】本発明のセシウム原料(複合酸化物)は、S
MAW(被覆アーク溶接棒)、FCW(フラックス入りワ
イヤ)等の溶接材料一般に通常粉体として使用すること
ができ、その粒度、添加量等は用途に応じて適宜決めら
れる。
MAW(被覆アーク溶接棒)、FCW(フラックス入りワ
イヤ)等の溶接材料一般に通常粉体として使用すること
ができ、その粒度、添加量等は用途に応じて適宜決めら
れる。
【0022】例えば、粒度は、48mesh以下(200mes
h以下を20〜80%含む)であることが望ましい。上記
範囲より粒度が大きくなると溶接材料中に複合酸化物が
均一に分散しにくくなり、溶接材料のアーク安定性が劣
ってしまう。逆に、複合酸化物の粒度が200mesh以下
が80%より多くなると、細かくなりすぎて、複合酸化
物の比表面積が増加して、耐吸湿性が悪くなってしま
う。
h以下を20〜80%含む)であることが望ましい。上記
範囲より粒度が大きくなると溶接材料中に複合酸化物が
均一に分散しにくくなり、溶接材料のアーク安定性が劣
ってしまう。逆に、複合酸化物の粒度が200mesh以下
が80%より多くなると、細かくなりすぎて、複合酸化
物の比表面積が増加して、耐吸湿性が悪くなってしま
う。
【0023】SMAW(被覆アーク溶接棒)、FCW(フ
ラックス入りワイヤ)等のフラックス中に添加される量
は0.01wt%以上10wt%以下が望ましい。0.01wt
%より少ないと低ヒュームとしての効果が見られず、1
0wt%より多く添加すると、スラグ量が多くなりすぎ
て、溶接時にスラグが先行し、スラグ巻込みの欠陥を生
じ易くなる。更に好ましい添加量の範囲は0.1wt%以
上5wt%以下である。
ラックス入りワイヤ)等のフラックス中に添加される量
は0.01wt%以上10wt%以下が望ましい。0.01wt
%より少ないと低ヒュームとしての効果が見られず、1
0wt%より多く添加すると、スラグ量が多くなりすぎ
て、溶接時にスラグが先行し、スラグ巻込みの欠陥を生
じ易くなる。更に好ましい添加量の範囲は0.1wt%以
上5wt%以下である。
【0024】フラックス組成の一例を表1に示す。この
ような組成のフラックスに本発明のセシウム原料(複合
酸化物)を添加し、スラグ形成剤で調整する。
ような組成のフラックスに本発明のセシウム原料(複合
酸化物)を添加し、スラグ形成剤で調整する。
【0025】
【表1】
【0026】次に本発明の一実施例を示す。
【0027】
【実施例】表3に示す化学成分値となるように各種フラ
ックス原料を秤量、配合、混合し、電気炉やアーク炉等
で溶解させ、凝固、粉砕、篩い分けを行なうことにより
セシウム原料を合成した。
ックス原料を秤量、配合、混合し、電気炉やアーク炉等
で溶解させ、凝固、粉砕、篩い分けを行なうことにより
セシウム原料を合成した。
【0028】セシウム原料を5wt%添加したFCW(フ
ラックス入りワイヤ)用のフラックスを、軟鋼フープ(表
2に示す化学成分、0.9mmt×13mmw)の場合はフラ
ックス率16±1wt%で、高合金鋼フープ(SUS30
4、0.4mmt×9mmw)の場合は22±1wt%で、それ
ぞれFCWワイヤ(ワイヤ径1.2mmφ)を作製した。
ラックス入りワイヤ)用のフラックスを、軟鋼フープ(表
2に示す化学成分、0.9mmt×13mmw)の場合はフラ
ックス率16±1wt%で、高合金鋼フープ(SUS30
4、0.4mmt×9mmw)の場合は22±1wt%で、それ
ぞれFCWワイヤ(ワイヤ径1.2mmφ)を作製した。
【0029】耐吸湿性は、フラックスを試料とし、図2
に示すような秤量瓶に試料高さ5mmになるようにサンプ
リングし、以下の条件にて吸湿後、試料の質量(吸湿量)
を測定した(風袋重量は予め測定済み)。その結果を表3
に示す。 ・予備乾燥:110℃×2時間 ・吸湿条件:30℃×80%×48時間 ・吸湿量測定:増量法 ・吸湿量の評価:◎(800ppm未満) ○(800ppm以上2000ppm以下) △(3000ppmより多く10000ppm未満) ×(10000ppm以上)
に示すような秤量瓶に試料高さ5mmになるようにサンプ
リングし、以下の条件にて吸湿後、試料の質量(吸湿量)
を測定した(風袋重量は予め測定済み)。その結果を表3
に示す。 ・予備乾燥:110℃×2時間 ・吸湿条件:30℃×80%×48時間 ・吸湿量測定:増量法 ・吸湿量の評価:◎(800ppm未満) ○(800ppm以上2000ppm以下) △(3000ppmより多く10000ppm未満) ×(10000ppm以上)
【0030】ヒューム量の測定は、JIS Z 3930
に規定される方法により行った。ヒューム量は下向き・
垂直姿勢で1分間アークを発生した時の重量(mg/min)
を測定した。ワイヤ径1.2mmφの各種のFCWを用
い、適正電流・適正電圧で溶接した。ヒューム量の評価
は、従来例のFCW(表3のNo.1)のヒューム量からの
減少率(%)で以下の基準により評価した。その結果を表
3に示す。 ◎:30%以上減 ○:25%減〜30%減(25%含む、30%含まず) △:10%減〜25%減(25%、10%は含まず) ×:10%減〜0%減
に規定される方法により行った。ヒューム量は下向き・
垂直姿勢で1分間アークを発生した時の重量(mg/min)
を測定した。ワイヤ径1.2mmφの各種のFCWを用
い、適正電流・適正電圧で溶接した。ヒューム量の評価
は、従来例のFCW(表3のNo.1)のヒューム量からの
減少率(%)で以下の基準により評価した。その結果を表
3に示す。 ◎:30%以上減 ○:25%減〜30%減(25%含む、30%含まず) △:10%減〜25%減(25%、10%は含まず) ×:10%減〜0%減
【0031】表3において、No.1は炭酸セシウム(Cs
2CO3)を使用した従来例であり、耐吸湿性が著しく悪
い。
2CO3)を使用した従来例であり、耐吸湿性が著しく悪
い。
【0032】比較例のNo.2はCs2Oを10%、SiO2
を90%含むセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。No.3はCs2Oを10%、SiO2を20%、TiO2
を70%含むセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。また、No.4はCs2Oを10%、SiO2を30%、
TiO2を60%含むセシウム原料を使用した例、No.5
はCs2Oを10%、SiO2を40%、TiO2を50%含
むセシウム原料を使用した例、No.6はCs2Oを10
%、SiO2を50%、TiO2を40%含むセシウム原料
を使用した例で、いずれも、耐吸湿性は改善されるが充
分でない。
を90%含むセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。No.3はCs2Oを10%、SiO2を20%、TiO2
を70%含むセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。また、No.4はCs2Oを10%、SiO2を30%、
TiO2を60%含むセシウム原料を使用した例、No.5
はCs2Oを10%、SiO2を40%、TiO2を50%含
むセシウム原料を使用した例、No.6はCs2Oを10
%、SiO2を50%、TiO2を40%含むセシウム原料
を使用した例で、いずれも、耐吸湿性は改善されるが充
分でない。
【0033】これらに対し、本発明例No.7は、No.6
の成分系に比べ、Cs以外のアルカリ金属を1%添加し
たセシウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であ
り、ヒューム量も減少している。また、本発明例No.8
は、No.6の成分系に比べ、Cs以外のアルカリ金属を
10%添加し、SiO2を40%含むセシウム原料を使用
した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒューム量も減少し
ている。しかし、比較例のNo.9は、No.6の成分系に
比べ、Cs以外のアルカリ金属を20%添加し、SiO2
を30%含むセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。
の成分系に比べ、Cs以外のアルカリ金属を1%添加し
たセシウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であ
り、ヒューム量も減少している。また、本発明例No.8
は、No.6の成分系に比べ、Cs以外のアルカリ金属を
10%添加し、SiO2を40%含むセシウム原料を使用
した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒューム量も減少し
ている。しかし、比較例のNo.9は、No.6の成分系に
比べ、Cs以外のアルカリ金属を20%添加し、SiO2
を30%含むセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。
【0034】また、本発明例No.10は、本発明例No.
8の成分系においてSiO2を30%、TiO2を50%に
したセシウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であ
り、ヒューム量も減少している。しかし、比較例No.1
1は、No.10の成分系に比べ、SiO2濃度を25%に
したセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪い。比較
例No.12は、No.10の成分系に比べ、Cs以外のア
ルカリ金属を6%、TiO2を54%にしたセシウム原料
を使用した例で耐吸湿性が悪い。
8の成分系においてSiO2を30%、TiO2を50%に
したセシウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であ
り、ヒューム量も減少している。しかし、比較例No.1
1は、No.10の成分系に比べ、SiO2濃度を25%に
したセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪い。比較
例No.12は、No.10の成分系に比べ、Cs以外のア
ルカリ金属を6%、TiO2を54%にしたセシウム原料
を使用した例で耐吸湿性が悪い。
【0035】本発明例No.13は、比較例No.9の成分
系に比べ、Cs2Oを5%、TiO2を45%にしたセシウ
ム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒュー
ム量も減少している。本発明例No.14は、No.9の成
分系に比べ、Cs2Oを1%、TiO2を49%にしたセシ
ウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒュ
ーム量も減少している。しかし、比較例No.15は、比
較例No.9の成分系に比べ、Cs2Oを0%、TiO2を4
8%にしたセシウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良
好であるが、ヒューム量低減が不充分である。
系に比べ、Cs2Oを5%、TiO2を45%にしたセシウ
ム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒュー
ム量も減少している。本発明例No.14は、No.9の成
分系に比べ、Cs2Oを1%、TiO2を49%にしたセシ
ウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒュ
ーム量も減少している。しかし、比較例No.15は、比
較例No.9の成分系に比べ、Cs2Oを0%、TiO2を4
8%にしたセシウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良
好であるが、ヒューム量低減が不充分である。
【0036】比較例No.16はCs2Oを26%、Cs以
外のアルカリ金属を1%、SiO2を33%、TiO2を4
0%にしたセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。比較例No.17はCs2Oを20%、Cs以外のアル
カリ金属を10%、SiO2を30%、TiO2を40%に
したセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪い。
外のアルカリ金属を1%、SiO2を33%、TiO2を4
0%にしたセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪
い。比較例No.17はCs2Oを20%、Cs以外のアル
カリ金属を10%、SiO2を30%、TiO2を40%に
したセシウム原料を使用した例で耐吸湿性が悪い。
【0037】本発明例No.18は、比較例No.17の成
分系に比べ、Cs以外のアルカリ金属を5%にしたセシ
ウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒュ
ーム量も減少している。しかし、比較例No.19はCs2
Oを10%、Cs以外のアルカリ金属を27%、SiO2
を33%、TiO2を23%にしたセシウム原料を使用し
た例で耐吸湿性が充分出ない。
分系に比べ、Cs以外のアルカリ金属を5%にしたセシ
ウム原料を使用した例で、耐吸湿性が良好であり、ヒュ
ーム量も減少している。しかし、比較例No.19はCs2
Oを10%、Cs以外のアルカリ金属を27%、SiO2
を33%、TiO2を23%にしたセシウム原料を使用し
た例で耐吸湿性が充分出ない。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
耐吸湿性に優れた低水分のセシウム原料を提供するの
で、アーク溶接時において発生するヒューム量を顕著に
低減できると共に、強力アーク安定剤としての使用効果
が大きい。
耐吸湿性に優れた低水分のセシウム原料を提供するの
で、アーク溶接時において発生するヒューム量を顕著に
低減できると共に、強力アーク安定剤としての使用効果
が大きい。
【図1】炭酸セシウムと本発明の合成セシウム原料の吸
湿特性を示す図である。
湿特性を示す図である。
【図2】吸湿試験方法を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/368 B23K 35/36 - 35/362 B23K 35/40
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、 セシウム(Cs2O換算量):1〜25%、 リチウム、ナトリウム、カリウム及びルビジウムから
なる群から選ばれた少なくとも1種類以上のアルカリ金
属(それぞれの酸化物換算量):1%以上、 TiO2:40〜50% SiO2:30%以上 総アルカリ金属酸化物和量:2〜27%、を含有する
化学成分値からなることを特徴とする耐吸湿性に優れた
溶接材料用低水分セシウム原料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26562793A JP3154601B2 (ja) | 1993-09-29 | 1993-09-29 | 耐吸湿性に優れた溶接材料用低水分セシウム原料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26562793A JP3154601B2 (ja) | 1993-09-29 | 1993-09-29 | 耐吸湿性に優れた溶接材料用低水分セシウム原料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0796393A JPH0796393A (ja) | 1995-04-11 |
JP3154601B2 true JP3154601B2 (ja) | 2001-04-09 |
Family
ID=17419764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26562793A Expired - Fee Related JP3154601B2 (ja) | 1993-09-29 | 1993-09-29 | 耐吸湿性に優れた溶接材料用低水分セシウム原料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3154601B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4819603B2 (ja) * | 2006-07-12 | 2011-11-24 | キヤノン株式会社 | 有機発光素子および該有機発光素子を用いた多色表示装置 |
CN104227270B (zh) * | 2014-10-08 | 2016-03-30 | 山东大学 | 一种增大熔深的活性绞线焊丝 |
-
1993
- 1993-09-29 JP JP26562793A patent/JP3154601B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0796393A (ja) | 1995-04-11 |
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