しかしながら、特許文献1のエプロンのように腕を袖に通してエプロン本体を被着し背面側等でボタン等を止める構造では、障害者等自身でボタン等を留めたり、紐を結んだりすることは困難であり1人で装着することは困難であった。さらに、介護者が障害者等にエプロンを装着させる場合でも、ボタン等を留める作業は面倒であるとともに、障害者等が体を動かしたりする場合には装着させにくく、時間がかかったり、適切な装着位置からずれたりする問題があった。さらに、腕を自由に曲げ伸ばしできない病状の障害者等は、腕を袖に通すことができないためエプロンを装着できない場合があった。また、障害者等が食べこぼしたものがテーブル上に落ちる場合も多く、食事後のテーブル拭き掃除等も煩雑な作業となっていた。また、エプロンの首周り部分から食べこぼした物が内部に入ってしまい装着者の着衣等を汚してしまうおそれがあった。
本考案は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、障害者等自身で簡単に着脱操作、又は介護者が障害者等に対して簡単に着脱操作でき、構造も極めてシンプルであるエプロンを提供することにある。さらに、他の目的は、食べこぼした物によりテーブルを汚してしまうのを防止できるエプロンを提供することにある。さらに、他の目的は、エプロン内部に首部から食べこぼした物が入り込むのを防止できるエプロンを提供することにある。
上記課題を解決するために本考案は、展開時に一方向に長い被覆体からなるエプロンであり、装着者Mの肩から前部側を覆うように垂下する第1の垂下部12と、第1の垂下部12に一体的に接続され、装着者Mの肩から背部側を覆うように垂下した第2の垂下部14と、第1の垂下部12と第2の垂下部14との中間接続部分に設けられ、装着者Mの頭部を挿入させてエプロン全体を被着させる首孔16と、装着時に振り分け仕様となるように装着者Mの肩先から脇の下にかけて開放する開放部18と、を備えていることを特徴とするエプロン10(10a、10b、10c)から構成される。
また、第1の垂下部12は少なくとも装着者Mの腹部より長い長さで形成され、第2の垂下部14は第1の垂下部12の長さよりも短く形成されたこととしてもよい。
また、第1の垂下部12の丈L1と、第2の垂下部14の丈L2と、の長さ比率が2:1程度に設けられたこととしてもよい。
また、第1の垂下部12は装着者Mの膝部近傍まで覆う長さに、第2の垂下部は装着者Mの腰部近傍まで覆う長さにそれぞれ設定されたこととしてもよい。
また、第1の垂下部12の下部側は、食事の際に食器Dの下に敷かれるようにテーブルT上に広げられる延長下敷部24が設けられたこととしてもよい。
また、首孔16の縁から立ち上がって、装着者Mの首部を略密着状に覆う首カバー部26が設けられたこととしてもよい。
また、首カバー部26は伸縮性素材で形成されたこととしてもよい。
また、第1、第2の垂下部は、正面視で略上半部20の横幅W1が略下半部22の横幅W2よりも幅狭く形成されたこととしてもよい。
また、第1の垂下部12の下部側を2つ折りにして複数箇所で折り返し部222と本体221とを着脱自在に接続させ、上方を開口したポケットを構成させる着脱機構32が設けられたこととしてもよい。
また、第1の垂下部12及び/又は第2の垂下部14には、装着操作の際に手を引っ掛けるための環状部28が設けられたこととしてもよい。環状部28は、装着者M自身が1人で装着する際に操作しやすいように設計してもよいし、介護者等が装着者に装着させる際に操作しやすいように設計してもよい。
本考案のエプロンによれば、展開時に一方向に長い被覆体からなるエプロンであり、装着者の肩から前部側を覆うように垂下する第1の垂下部と、第1の垂下部に一体的に接続され、装着者の肩から背部側を覆うように垂下した第2の垂下部と、第1の垂下部と第2の垂下部との中間接続部分に設けられ、装着者の頭部を挿入させてエプロン全体を被着させる首孔と、装着時に振り分け仕様となるように装着者の肩先から脇の下にかけて開放する開放部と、を備えていることから、例えば、ボタンを留めたり紐を結んだり等の面倒な作業を行う必要が無く、上方側から覆い被せながら首孔から頭部を挿入又は離脱させるだけで簡単にエプロンの着脱操作を行える。さらに、開放部を介してエプロンの内外に自在に腕を出し入れさせることができるので、腕を袖や孔に通したりする必要がないとともに、腕の位置や動き、又は病状等に左右されずに着脱操作を行える。また、第1の垂下部または第2の垂下部のある程度広い部分を手で持って容易に扱うことができるので、着脱操作性が良い。その結果、例えば、病状の重い障害者等に介護者等がエプロンを着脱させる際に簡単かつ短時間で着脱させることができるとともに、病状の軽い障害者等が自身でエプロンを着脱する場合にも簡単に1人で着脱操作を行える。また、エプロンを装着した状態では、第1の垂下部、第2の垂下部が装着者の前後にある程度の長さで垂下するので、装着者が動いたり、エプロンが食べこぼし等を受けた際等に比較的ずれにくく良好な装着状態を保持できる。さらに、エプロン全体の構造は極めてシンプルで低コストで製造できる。
また、第1の垂下部は少なくとも装着者の腹部より長い長さで形成され、第2の垂下部は第1の垂下部の長さよりも短く形成された構成とすることにより、第1の垂下部が比較的長く形成されるので、食事やその他作業の際等必要な場合に、第1の垂下部の腹部よりも長い部分をテーブル等の上に敷く敷物として機能することができ、テーブルが汚れるのを防止できる。
また、第1の垂下部の丈と、第2の垂下部の丈と、の長さ比率が2:1程度に設けられた構成とすることにより、第1の垂下部の長さを十分に確保できる。さらに、エプロンとして独特な意匠感を生じることができ商品価値の向上に寄与できる。
また、第1の垂下部は装着者の膝部近傍まで覆う長さに、第2の垂下部は装着者の腰部近傍まで覆う長さにそれぞれ設定された構成とすることにより、第1の垂下部の長さを十分に確保できると同時に、テーブル上に広げず膝にかけた場合でも下衣が汚れるのを防止できる。さらに、エプロンを装着した際にずれにくい。また、第2の垂下部を装着者の前部側を覆うように反転して装着した際にも装着者の胸部を覆うことができるのでエプロンとして実用的に機能させることができ、必要に応じて前後の向きを反転させて装着態様を変化させながら利用できる。
また、第1の垂下部の下部側には、食事の際に食器の下に敷かれるようにテーブル上に広げられる延長下敷部が設けられた構成とすることにより、エプロンの一部を食器の下に敷く敷物として機能させることができ、食べこぼした物が直接テーブル上に触れず、テーブルが汚れるのを防止できる。同時に、装着者とテーブルとの間から食べこぼした物が床に落下するのを防止できる。
また、首孔の縁から立ち上がって、装着者の首部を略密着状に覆う首カバー部が設けられた構成とすることにより、首カバー部により装着者の首部と首孔との間の隙間を塞ぎ、首孔からエプロン内部に食べ物が入り込むのを確実に防止できる。また、エプロンとして独特な意匠感を生じることができ、商品価値の向上に寄与できる。
また、首カバー部は伸縮性素材で形成された構成とすることにより、エプロンを着脱する際には首カバー部が伸縮するので、頭部を通しやすくスムーズに着脱することができる。
また、第1、第2の垂下部は、正面視で略上半部の横幅が略下半部の横幅よりも幅狭く形成された構成とすることにより、装着時にエプロンの肩部分がぶかぶかになるのを防止でき、フィット感や見栄えがよい。さらに、エプロンを装着した状態でもジャケット等の上着を着ることができる。
また、第1の垂下部の下部側を2つ折りにして複数箇所で折り返し部と本体とを着脱自在に接続させ、上方を開口したポケットを構成させる着脱機構が設けられた構成とすることにより、必要に応じてエプロンの前面側にポケットを形成して、所持品等を収納したり、食べこぼした物を捕捉したりすることができ、使い勝手を向上できる。ポケットが不要な際には折り返し部を展開して使用できる。
また、第1の垂下部及び/又は第2の垂下部には、装着操作の際に手を引っ掛けるための環状部が設けられた構成とすることにより、例えば、介護者等が障害者等にエプロンを着脱させる際や、障害者等が1人で装着する際に、環状部を手で握って操作できるので操作性を向上できる。
以下、添付図面を参照しつつ本考案のエプロンの実施の形態について説明する。本考案のエプロンは、例えば、障害者や高齢者等の肢体不自由者、又は子供等が食事をする際等に装着して、食べこぼし等により体や着衣等が汚れるのを防止するものである。図1ないし図7は、本考案に係るエプロンの第1の実施形態を示している。図1、図2、図3に示すように、本実施形態において、エプロン10は、展開時に一方向に長い長布等で形成された被覆体からなるエプロンであり、第1の垂下部12と、第1の垂下部12に接続された第2の垂下部14と、首孔16と、開放部18と、を備えている。
第1の垂下部12は、装着者の肩から前部側を覆うように垂下した前部側被覆部分である。第1の垂下部12は、例えば、ポリエステル系やナイロン等の化学繊維からなる薄布で形成されている。なお、第1の垂下部12の素材は、例えば、天然素材や、撥水、防水加工したもの、複数の素材をラミネートした構造等、不織布その他任意の素材でもよい。図1、図2、図6に示すように、第1の垂下部12は、全体的に縦長に形成されている。具体的には、横幅は、例えば、肩口側から下方に装着者Mの胴部幅と略同じかやや大きい程度の一定の幅W1で形成され、縦方向の中間位置で若干(幅G分)左右に拡大されつつその下方側は一定の幅W2で形成されている。一方、縦方向の長さ(丈)L1は、例えば、装着者の肩から膝部近傍までを覆う長さで設けられている。すなわち、第1の垂下部12の略上半部20が肩から胸部、腹部近傍までを面状に覆うようになっており、略下半部22が腹部近傍から膝部近傍までを面状に覆うようになっている。同時に、略上半部20の横幅W1は略下半部22の横幅W2よりも左右両側から幅Gずつ幅狭く形成されている。略下半部22は、図7に示すように、例えば、エプロンを装着した状態でテーブルT上に広げて敷くことができる延長下敷部24を構成する。延長下敷部24は、食事の際に食器Dの下に敷かれて敷物として機能させることができ、食べこぼしSによりテーブルTが汚れるのを防止できる。さらに、第1の垂下部12は、装着者の前面を覆っている略上半部20とテーブル上に広げた延長下敷部24(略下半部22)とが連続しているので、食べこぼした物SがテーブルTと装着者Mとの間から床に落下して床を汚すのを防止できる。図2にも示すように、延長下敷部24の左右の縁は平行状に直線的に形成されている。よって、延長下敷部24をテーブルT上に広げた際には該延長下敷部が隣の人の邪魔にならないようになっている。
第2の垂下部14は、装着者Mの肩から背部側を覆うように垂下する後部側被覆部分である。図1、図4に示すように、第2の垂下部14は、第1の垂下部12に対して装着者の左右肩部側でのみ縫着等により接続されて一体化されている。よって、第1の垂下部12と第2の垂下部14とはそれぞれの下端側を自由端として肩側から前後に垂下されて展開自在になっているとともに、展開時の長手方向に向けて第1の垂下部12と第2の垂下部14とが直列状に配置されるようになっている。これらの第1の垂下部12と第2の垂下部14との一体的な接続被覆体がエプロン本体を構成する。第2の垂下部14は、第1の垂下部12と同様の素材で、例えば、ポリエステル系やナイロン等の化学繊維からなる薄布で形成されている。図3にも示すように、第2の垂下部14は、例えば、横幅と縦幅とが略同じ長さに形成されて隅丸四角形状に垂下されている。第2の垂下部14の横幅については、第1の垂下部12の略上半部20の横幅と略同じ程度W1で設けられている。一方、縦方向の長さ(丈)L2は肩から腰部近傍までを覆う長さに設定され(図6参照)、第1の垂下部12に対しておよそ半分程度の長さとなっている。すなわち、本実施形態では、第1の垂下部12の丈L1と、第2の垂下部14の丈L2と、の長さ比率が約2:1になっている。なお、第1の垂下部12の丈L1と第2の垂下部14の丈L2との長さ比率は厳密に2:1でなくてもよく、例えば、第1の垂下部12の丈L1と第2の垂下部14の丈L2との長さ比率が1.5:1〜2.5:1程度の範囲内で設定してもよい。
図1、図4、図6に示すように、上述のように第1の垂下部12と第2の垂下部14とが肩側でのみ接続されており、本実施形態では、装着時に装着者Mの肩部から前後に振り分け仕様となるように該第1の垂下部12と第2の垂下部14との間を開放する開放部18が構成されている。開放部18は、第1の垂下部12と第2の垂下部14との間の左右側方を肩先から脇の下方まで体側に沿って連続的に全て開放している。また、第1の垂下部12と第2の垂下部14とは装着者への装着状態でほぼ逆J字状に構成されているといえる。さらに、本実施形態では、第1の垂下部12と第2の垂下部14との間の左右側方側において、それらを連結する紐やベルト、ボタン、ホック等の留め具等は一切設けられておらず、常時開放状態となっている。このような開放部18を備えるので、装着者は自在に腕を第1の垂下部12と第2の垂下部14との間から内外に出し入れでき、エプロンの装着操作を行ないやすいとともに、腕を曲げ伸ばし等できない障害者等であっても円滑に装着することができる。なお、本実施形態では留め具等を設けない構成としたが、例えば、開放部18により開放している左右両側において、第1の垂下部12と第2の垂下部14とを任意の接続部材等を介して着脱自在に接続できるようにしてもよい。接続部材としては、例えば、第2の垂下部14の下端側にフック部材を取付け、第1の垂下部12の中間位置にフック部材を受けるフック受部を形成した構造等その他任意の構成でもよい。この場合、エプロンの着脱操作を行なう際にはフック等の接続部材を外してスムーズな着脱操作を行えるとともに、装着した状態では接続部材を接続することで、風が吹いたりしても第1、第2の垂下部どうしが離れず、装着状態を良好に保持できる。
図1に示すように、第1の垂下部12と第2の垂下部14とが接続されている左右中間部分には首孔16が設けられている。首穴16は、装着者の頭部を挿入させてエプロン全体を被着させる貫通孔であり、装着した状態で首部が通される。本実施形態では、首孔16には、装着者の首部を略密着状に覆う首カバー部26が設けられている。
首カバー部26は、伸縮性素材、例えば、リブ編み又はメリヤス編み、テレコ編み、鹿の子編み等のいずれかの編み方或いはその他伸縮性のある編み方で編んだ薄布からなる。首カバー部26は、例えば、首孔16の縁から略丸筒状に上方に立ち上がって、装着者Mの首部の略全体を覆うように高く形成されている。そしてエプロンを装着した状態では、装着者Mの首部に略密着するので首部と首孔16との間の隙間を塞ぎ、首孔16からエプロン内部に食べ物が入り込むのを防止できる。エプロンを着脱する際には、首カバー部26は伸縮するので、頭部を通しやすくスムーズに着脱することができる。なお、首カバー部26は、例えば、防水性及び/又は透湿性のあるビニル樹脂等の合成樹脂製の素材や天然素材等その他任意の素材で形成してもよい。
図5に示すように、例えば、介護者(図示せず)が障害者等(M)にエプロン10を着用させる場合には、エプロン10を装着者の上方側から覆い被せながら首孔16から頭部を挿入させるだけで装着できる。この際、第1の垂下部12と第2の垂下部14と自在に展開できるとともに、ある程度広い部分を手で持って扱えるので、確実にかつスムーズに装着操作を行なうことができる。さらに、腕を孔や袖に通したり、ボタン等を留めたり、紐を結んだり等の煩雑な作業を行う必要が一切ないとともに、開放部18を介して腕を自在にエプロン内外に出し入れできるので、障害者等が動いたり腕を曲げ伸ばしできない病状等であっても簡単かつ短時間で確実にエプロンの装着操作を行なうことができる。また、病状の軽い障害者等が自身でエプロンを装着する際も比較的簡単に装着できる。そして、図6に示すように、エプロンを装着した状態では、第1の垂下部12、第2の垂下部14が装着者の前後にある程度の長さで垂下するので、単に紐等で首周りのみに係止させる構造に比べてずれにくく、良好な装着状態を保持できる。また、第1の垂下部の略上半部の横幅は略下半部の横幅よりも幅狭く形成されているので、エプロンの特に肩部周りの部分が大きくなりすぎず違和感が少ないとともに、エプロンを装着した状態でジャケット等を羽織ることができる。図7に示すように、食事する際には、第1の垂下部12の延長下敷部24をテーブルTの上に広げて食器Dの下に敷く敷物として兼用させることができる。これにより、食べこぼした物Sでテーブルが汚れるのを防止できると同時に、装着者とテーブルとの間から食べこぼした物が床に落下して床を汚すのを防止できる。さらに、首カバー部26により食べこぼした物が首孔16からエプロン内部に入り込むのを確実に防止できる。なお、延長下敷部24をテーブルTの上に広げずに膝に掛けて使用しても良い。この際、第1の垂下部12の丈L1は膝部近傍まで覆う長さなので、食べこぼした物でズボンやスカート等の下衣が汚れるのを防止できる。基本的には、上述のように第1の垂下部12を装着者の前面側にした状態で着用されるが、必要に応じて前後を反転し第2の垂下部14を前面側として着用して使用することもできる。食事の後には、エプロン10を首孔16から頭部を離脱させるだけで簡単にエプロンを取り外すことができる。使用後にはエプロンを洗濯して再び利用することができる。なお、エプロンは、障害者や高齢者等の肢体不自由者等に限らず、子供又は一般成人、健常者等誰でも装着して利用してもよい。また、利用場面は食事に限らず、様々な作業等の際に着用することとしてもよい。エプロンは、体格等に応じて種々のサイズや形状で製造される。
また、第1の垂下部12と第2の垂下部14は、例えば、一枚の薄布材を中間位置から2つ折りして構成してもよい。また、第1の垂下部12は、肩から膝近傍まで同じ幅で形成されていてもよい。また、第1の垂下部12の丈と第2の垂下部14の丈とは同じ長さに形成してもよく、上記実施形態とは逆に第2の垂下部14の丈を第1の垂下部より長く形成してもよい。また、第1の垂下部12又は第2の垂下部14のいずれか又は両方に、通気性のよいメッシュ部を形成し、あるいは、透湿性の良い素材を用いてもよい。また、第1の垂下部12及び第2の垂下部14は、上記した素材に限らず、エプロンとして体を被覆保護できるような任意の素材で形成してもよく、その素材の厚みも任意の厚さで形成してよい。
次に、図8を参照しつつ本考案に係るエプロンの第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図8に示すように、本実施形態に係るエプロン10aは、第1実施形態と略同じ構成であるが、首カバー部26が設けられていない点で異なっている。本実施形態では、首カバー部による食べこぼした物をエプロン内部へ侵入を防止する機能はないが、第1実施形態と同様に、着脱操作を行ないやすい、装着状態でずれにくい、食器の下に敷いてテーブル等を保護できる等の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態のものと比べて部材点数が少ないとともに製造工程も少なくてすみ、低コストで製造することができる。
次に、図9を参照しつつ、本考案に係るエプロンの第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図9に示すように、本実施形態に係るエプロン10bでは、第1の実施形態と略同じ構成であるが、第2の垂下部14の下方側に手を引っ掛けるための環状部28が設けられている点が異なっている。本実施形態では、環状部28は、例えば、第2の垂下部14の裾の左右両側に配置される2個1対の紐状部材30からなり、該紐状部材の両端が第2の垂下部14の裾に縫い付けられている。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、着脱操作を行ないやすい、装着状態でずれにくい、延長下敷部を食器の下に敷いてテーブル等を保護できる等の作用効果を奏することができる。加えて、環状部28を設けたことにより、例えば、介護者が障害者等にエプロン10bを装着させる際に該環状部28に手を引っ掛けて、確実に把持して着脱操作を行なうことができ、操作性を向上できる。なお、環状部28は、第2の垂下部14を構成する薄布地の一部を切り抜いて形成してもよい。また、環状部28は2個に限らず1個又は3個以上の複数個設けてもよく、設ける位置も任意の位置でもよい。また、第1の垂下部12のみに環状部28を設けても良いし、第1の垂下部12と第2の垂下部14の両方に環状部28を設けても良い。また、環状部28は、障害者等自身が1人で装着する際に手を掛けて操作しやすいような構成で設けることとしてもよい。例えば、第2の垂下部14の下部側の被覆面上にベルトや帯状部材を斜めに角度をつけて取り付けて環状部28を形成してもよい。環状部の取付位置や角度は、装着者自身が操作しやすいような位置、角度で適宜設計変更されるとよい。
次に、図10を参照しつつ、本考案に係るエプロンの第4の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図10に示すように、本実施形態に係るエプロン10cでは、第1の実施形態と略同じ構成であるが、第1の垂下部12の略下半部22を上下に2つ折りして折り返し部222と本体221とを接続させてポケットを構成させるための着脱機構32が設けられた点が異なっている。本実施形態では、例えば、第1の垂下部12の略下半部22は、図10上に示す横向きの一点鎖線を折り線Vとして上下に2つ折りされるようになっており、下端側の折り返し部222が本体221に重ねられる。着脱機構32は、例えば、折り返し部222側に設けられた雄スナップボタン34と、本体221側に設けられた雌スナップボタン35と、を含み、雄スナップボタン34と雌スナップボタン35とは折り線Vを挟んで対向して略下半部22の左右両縁側に複数対配置されている。雌雄スナップボタン34、35により、重ねられた折り返し部222と本体221とを左右両縁側の複数箇所で着脱自在に接続することにより、下方と左右両辺の3辺を閉鎖しつつ上方側を開口したポケットが構成される。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、着脱操作を行ないやすい、装着状態でずれにくい、延長下敷部を食器の下に敷いてテーブル等を保護できる等の作用効果を奏することができる。加えて、着脱機構32が設けられたことにより、必要に応じてポケットを構成して、所持品等を収納したり、食べこぼし物の捕捉ポケット等として利用できる。また、ポケットが不要な場合には、雌雄スナップボタン34、35の接続を解除させて自在に略下半部を展開することができる。なお、着脱機構は、スナップボタンに限らず、掛けボタン、線ファスナ、面ファスナ等その他任意の構造でもよい。
以上説明した本考案のエプロンは、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した本考案の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。