JP3154029B2 - シールドトンネルの覆工方法 - Google Patents

シールドトンネルの覆工方法

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JP3154029B2 JP18308793A JP18308793A JP3154029B2 JP 3154029 B2 JP3154029 B2 JP 3154029B2 JP 18308793 A JP18308793 A JP 18308793A JP 18308793 A JP18308793 A JP 18308793A JP 3154029 B2 JP3154029 B2 JP 3154029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシールドトンネルの覆工
方法に係わり、特に、場所打ちコンクリート等の覆工材
料により、シールドトンネルの覆工を行なう施工方法に
適用して好適なシールドトンネルの覆工方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】かかるシールドトンネルの覆工方法とし
て、本願出願人は、特願平2−283643号に示すも
のを提案している。
【0003】すなわち、このものは、外形円筒状のシー
ルド機を用い、このシールド機の前面に設けられたカッ
ター装置で地盤を掘削しつつ、掘進されたトンネルの周
壁を所定の間隔を空けて型枠によって覆い、この型枠と
前記周壁との間に鉄筋を配置し、型枠と周壁との間にコ
ンクリートを打設して、順次シールド機を前進させるも
のであり、
【0004】前記シールド機のスキンプレートのテール
部を、外筒と内筒とにより二重に形成するとともに、こ
のテール部の外筒と内筒との間にスキンプレートの半径
方向に延びる隔壁を複数形成して押出しピストンが収ま
る複数のコンクリートピストン室を設けておき、
【0005】前記内筒の内側において鉄筋を配置し、鉄
筋の内方に型枠を組む際に、鉄筋の配置とともに内筒と
型枠との間を閉塞する主妻枠を、その外側端が内筒の内
面に接するようにセットするとともに、妻枠にかかるコ
ンクリート圧力を鉄筋を連結することによりセパレータ
代わりとして受けもたせ、前記主妻枠の内側端と型枠の
外面との間の隙間を、型枠の内側から補助妻枠を突出さ
せて塞いだ後、内筒、型枠、妻枠により囲まれてなる鉄
筋組立室に覆工材料を打設する一方、コンクリートピス
トン室から型枠と地山との間に覆工材料を打設し、前記
鉄筋組立室の覆工材料の圧力と外部覆工材料の圧力と等
しい時点で、後部の補助妻枠を取り出して鉄筋組立室内
の覆工材料と外部覆工材料とを一体化させ、この後は、
前記コンクリートピストン室のみからから覆工材料を供
給するように切り換え、
【0006】前記圧力保持ジャッキによりコンクリート
ピストン室内の押出しピストンを覆工材料の圧力が地山
の土圧、水圧よりも高い圧力になるように押圧しつつシ
ールド機を掘進させるものであります。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のシールドトンネルの覆工方法では、次のような問題
がある。
【0008】すなわち、前記覆工方法では、最初に覆工
材料であるコンクリートを鉄筋組立室内に打設するよう
にしているが、この時のコンクリートの圧力管理が困難
であり、コンクリートが鉄筋組立室内に充満したとき
に、コンクリート圧送ポンプの強力な圧力が型枠に作用
するおそれあり、この強大な圧力に耐えられるように型
枠等を必要以上に堅固にする必要があり、このため、型
枠の製造費用が増大するといった問題がある。
【0009】また、前記覆工方法では、鉄筋組立室の覆
工材料の圧力と外部覆工材料の圧力とが等しい時点で、
後部の補助妻枠を取り出して鉄筋組立室内の覆工材料と
外部覆工材料とを一体化させ、この後は、前記コンクリ
ートピストン室のみからから覆工材料を供給するように
切り換える必要があり、施工作業の作業性を低下させる
といった問題がある。
【0010】本発明は前記事情に鑑みて提案されたもの
で、その目的とするところは、覆工材料の圧力を常に地
山の土圧・水圧より高く保ちながら、鉄筋の組立て、コ
ンクリートの打設を実施し得て、高品質な覆工を行なう
ことができ、しかも、型枠等を必要以上に堅固する必要
がなく製造費用を節減することができ、さらに、覆工材
料の打設作業を簡素化でき、施工作業の作業性を向上さ
せることができるシールドトンネルの覆工方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明は、シールド機先端のカッター装置により地
山を掘削しつつ掘削されたトンネルの周壁を所定の間隔
を空けて型枠によって覆い、この型枠と前記周壁との間
に鉄筋を配置するとともに覆工材料を供給し、トンネル
内面を覆工するようにしたシールドトンネルの覆工方法
であって、シールド機のスキンプレートのテール部を、
外筒と内筒とにより二重に形成するとともに、このテー
ル部の外筒と内筒との間にスキンプレートの半径方向に
延びる隔壁を複数形成して押出しピストンが収まる複数
のコンクリートピストン室を設けておき、前記内筒の内
側において鉄筋を配置し、鉄筋の内方に型枠を組む際
に、鉄筋の配置とともに内筒と型枠との間を閉塞する主
妻枠を、その外側端が内筒の内面に接するようにセット
するとともに、妻枠にかかるコンクリート圧力を鉄筋を
連結することによりセパレータ代わりとして受けもた
せ、前記主妻枠の内側端と型枠の外面との間の隙間を、
型枠の内側から補助妻枠を突出させて塞いだ後、内筒、
型枠、妻枠により囲まれてなる鉄筋組立室に覆工材料を
打設し、前記鉄筋組立室の覆工材料の圧力が鉄筋組立室
の外部の圧力よりも大きくなった時点で前記主妻枠又は
補助妻枠に設けられた逆止弁を開いて、この逆止弁から
型枠と地山との間に覆工材料を供給し、前記圧力保持ジ
ャッキによりコンクリートピストン室内の押出しピスト
ンを覆工材料の圧力が地山の土圧、水圧よりも高い圧力
になるように押圧しつつシールド機を掘進させることを
特徴とするものである。
【0012】また、同様の目的を達成するために本発明
は、前記シールドトンネルの覆工方法において、覆工材
料の供給圧力が圧力保持ジャッキの設定保持圧力よりも
大きくなった時に、覆工材料の供給圧力により、押出し
ピストンをシールド機の前方へ移動させることを特徴と
するものである。
【0013】
【作用】本発明によるシールドトンネルの覆工方法によ
れば、テール部に形成された複数のコンクリートピスト
ン室内の押出しピストンの圧力を圧力保持ジャッキによ
り個々に制御することにより、各室の覆工材料の圧力の
管理を個々に行なえることから、高さによる地山圧力の
違いに容易に対応させることができ、覆工材料の圧力を
常に地山の土圧・水圧よりも高く保持することが可能に
なる。また、このような作用により、テールボイドへの
覆工材料の充填が確実に行なわれ、沈下のおそれがなく
なる。
【0014】また、鉄筋を組む際に、シールド機の内筒
の内面に接して主妻枠を配置し、この主妻枠に連続して
型枠内側から補助妻枠を連結して、型枠とシールド機の
内筒との空間を閉塞するようにしているので、シールド
機の蛇行により内筒と型枠外周との隙間の大きさが変化
しても、補助妻枠の長さを調整することにより、前記蛇
行に対応し得て、覆工材料の圧力の保持を確実に行なう
ことができる。
【0015】そして、鉄筋組立室の覆工材料の覆工材料
の圧力が鉄筋組立室の外部の覆工材料の圧力よりも大き
くなった時点で前記主妻枠又は補助妻枠に設けられた逆
止弁を開いて、この逆止弁から型枠と地山との間に覆工
材料を供給するようにしているので、鉄筋組立室内が覆
工材料で充満されて覆工材料の圧力が急激に増大しよう
としたときでも、逆止弁の解放により急激な圧力上昇が
抑制され、したがって、型枠等の強度を必要以上に大き
く設計する必要がなく、型枠等の製造費用を節減するこ
とができる。
【0016】また、逆止弁を開くことにより鉄筋組立室
内に打設された覆工材料を型枠と地山との間に供給する
ようにしているので、通常の施工状態では覆工材料を鉄
筋組立室に供給すればよく、従来のような鉄筋組立室へ
の打設からコンクリートピストン室内への打設に切り換
える必要がなく、円滑な打設を行うことができ、これに
より、施工作業の作業性を向上させることができる。
【0017】さらに、覆工材料の供給圧力が圧力保持ジ
ャッキの設定保持圧力よりも大きくなった時に、覆工材
料の供給圧力により、押出しピストンをシールド機の前
方へ移動させるように構成されているので、押出しピス
トンは覆工材料を押し出す時にはシールド機の後方へ、
またピストン室に覆工材料を入れる時には前方へ移動
し、コンクリートピストン室内の圧力が覆工材料の供給
時にもほぼ一定に保つことが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0019】図1は本発明により施工途中にあるトンネ
ルの切羽近傍を示したものである。本図中、符号10は
シールド機であり、このシールド機10は、その前部に
設けられたカッター装置12により紙面に対して左側に
トンネルTを掘削しつつ、シールド機10の後方に形成
されたトンネルTの周壁を所定の間隔を空けて型枠1に
よって覆い、この型枠1と前記周壁との間に鉄筋Uを配
置するとともに、覆工材料を供給し、トンネル内面に覆
工壁Wを構築するように構成されている。なお、前記型
枠1は、面板1aとこの面板1aを支持する支持枠1b
とを主体として構成されており、また、一部の型枠(上
部型枠)の面板1aには型枠の外側に覆工材料を打設す
る打設パイプ2を接続するジョイント部1cが設けられ
るとともに、後述する補助妻枠51を出没自在に収納す
る収納溝1dが設けられている。なお、前記ジョイント
部1cにはこのジョイント部1cの充填口を開閉するシ
ャッター機構3が設けられている(図4参照)。
【0020】次に、本発明に係るトンネルの覆工方法を
実施するためのシールド機について、より具体的に説明
すると、これは外殻をなす円筒状のスキンプレート11
と、このスキンプレート11の前端部に備えられ図示せ
ぬ駆動手段によって回転せしめられて地山を掘削するカ
ッター装置12と、スキンプレート11の内部に形成さ
れた仕切板11aに基端が連結された推進ジャッキ13
とを設備した基本構造となっている。
【0021】前記スキンプレート11のテール部は、ス
キンプレート11と同径でスキンプレート11の一部を
構成する外筒20と、この外筒20より小径に形成され
た内筒21とにより二重に形成されており、またこれら
外筒20と内筒21は、図2及び図3に示すように、ス
キンプレート11の半径方向に延びる複数の隔壁22に
より連結されている。そして、外筒20と内筒21との
間には、複数(図示例では4室)のコンクリートピスト
ン室23が設けられ、それぞれのコンクリートピストン
室23に押出しピストン24がスライド自在に収納され
ている。この押出しピストン24は、図2ないし図4に
詳細に示すように、コンクリートピストン室23の内部
形状に合わせてコンクリートピストン室23内に緊密に
収まる大きさに形成されており、前記仕切板11aに基
端が取り付けられた複数の圧力保持ジャッキ25によっ
て前後にスライドするように構成されている。
【0022】なお、この押出しピストン24を作動させ
る圧力保持ジャッキ25には、リリーフ弁が備えられて
おり、覆工材料の打設圧力がジャッキの保持圧力よりも
大きくなった時に、ジャッキが縮むような構成となって
いる。
【0023】また、前記押出しピストン24の外周には
複数(実施例では2条)のシール部材26が取り付けら
れるとともに、押出しピストン24の中央部にはスキン
プレート11の内部とコンクリートピストン室23の内
部とを連通する覆工材料の充填孔24aが形成され、さ
らに、押出しピストン24の内面には、前記充填孔24
aに連通しかつ覆工材料の打設パイプ30と連結される
ジョイント部27が設けられている(図4参照)。
【0024】なお、実施例では、前記充填孔24aを押
出しピストン24の中央部に配設しているが、本発明
は、この実施例に限定されるものではない。
【0025】また、前記充填孔24aには、充填孔24
aを開閉する遮断機構28が付設され(図4参照)、必
要に応じて充填孔24aを開閉することができるように
なっている。なお、この遮断機構28は、具体的には、
シャッター、バルブなどにより構成されるが、充填孔2
4aを開閉することができるものであれば、他の構成で
あっても良い。
【0026】また、図1中、符号30は覆工材料の打設
パイプを示し、この打設パイプ30は、覆工材料の供給
ポンプ31の供給配管32に接続された分岐バルブ33
に一端が接続されており、また、打設パイプ自身はフレ
キシブル管もしくは伸縮自在管により構成されて押出し
ピストン24の移動に対応できるようになっている。
【0027】さらに、図中、符号50は内筒21と型枠
1との間を閉塞する主妻枠であり、この主妻枠50は、
図2に示すように、内筒21の内面の曲率に対応して湾
曲した複数の板体50aをその長手方向にリング状に組
合わせてなる基本構成となっている。
【0028】さらに、前記主妻枠50の内側端50b
は、その外側端と同心円となるように加工されており、
また、内側端50bと型枠1の外周との隙間G(図5参
照)はシールド機の蛇行によりその大きさが変化するの
で、蛇行量よりも大きめに隙間の大きさが設定され、主
妻枠50が覆工材料の内側に露出しないように配慮され
ていることは言うまでもない。
【0029】また、図2及び図4に示すように、主妻枠
50には、1個(図2では6個)以上の逆止弁60が設
けられている。この逆止弁60は、図10に示すよう
に、主妻枠50に形成された円形の貫通孔63を覆うよ
うに、板状の弁体61をその上部に設けたヒンジ部62
で主妻枠50に開閉自在に取り付けたものである。この
逆止弁60は、ヒンジ部62が上方に位置させてあるの
で、通常の状態では、弁体61が自重によりヒンジ部6
2を中心として回転して前記貫通孔63を閉塞するよう
になっている。このようにヒンジ部62が常に上方に位
置させるには、例えば、主妻枠50のそれぞれにNO.
1〜NO.7の番号を振り(図2参照)、その番号毎に
逆止弁60のヒンジ部62が上方になるように、工場で
逆止弁60を取り付けておき、現場では決められた番号
順に主妻枠50を組み立てるようにすればよい。この方
法によれば、簡単にかつ確実に逆止弁60のヒンジ部6
2を上方に位置させることができる。
【0030】そして、型枠1と主妻枠50との隙間には
この隙間を塞ぐ補助妻枠51がセットされるようになっ
ている。
【0031】この補助妻枠51の外側端には主妻枠50
に嵌合する切り込み51b(図5参照)が設けられてお
り、主妻枠50とのセット時には、この切り込み51b
をあわせることにより、覆工材料の打設圧力を主妻枠5
0に伝達できるようになっている。また補助妻枠51は
型枠に直接ボルト止めすることにより取付けても良い
し、内部から押しつけるようにしても良い。ちなみに、
この補助妻枠51も、基本的には主妻枠50と同様に、
複数の板体51aを周方向に組合わせてリングを形成す
るようになっており、図示例では、上下左右の4枚の板
体51aの接合部にテーパ面が形成されて内筒21の内
側からリング状に補助妻枠51を組立てることができる
ようになっている(図2参照)。
【0032】次に、前記の如く構成されたシールド機を
適用して本発明に係るシールドトンネルの覆工方法を実
施する場合について、図4ないし図9を参照して工程順
に説明する。
【0033】(i)鉄筋及び型枠の組立 図4に示すように、推進ジャッキ13を引いた状態で、
内筒21の内側において、鉄筋Uを組立てるとともに、
この鉄筋Uの内側に例えばエレクターを使用して型枠1
を円筒状に組み立てる。一方、鉄筋Uの組立とともに内
筒21と型枠1との間を閉塞する主妻枠50を、その外
側端50cが内筒21の内面に接するようにセットし、
前記主妻枠50の内側端50bと型枠1の外面との間の
隙間を、型枠1の内側から補助妻枠51を突出させて塞
ぐとともに、主妻枠50には、覆工材料の圧力に対抗さ
せるため、鉄筋Uをセパレータとして必要な数だけナッ
トJを介して繋いでおき、これに主妻枠50にかかる圧
力を受け持たせるようにしておく。
【0034】なお、この際、推進ジャッキ13を型枠1
に当接するまで延ばし、型枠1に推進ジャッキ13の反
力が取れるようにセットしておく。
【0035】前記鉄筋Uは、組立て時の施工性を向上す
るために、内筒21の内面に設けた係止金具55により
先端を止めておくことが好ましく、また、主妻枠50と
鉄筋Uとを工場等で一体化させておけば、組立て作業性
を増すことができるので、好ましい。
【0036】なお、前記において、妻枠50、51にか
かる圧力を受け持たせるようにするため、主妻枠50に
突っ張り用の金物を設ける構成としてもよい。また、前
記セパレータとして用いる鉄筋Uは、ジョイント金物J
により途中を突き合わせて接続しておくが、ジョイント
金物Jとしては鉄筋Uの一部をラップさせた状態で固定
する並列ジョイントや、溶接その他の接続手段などを用
いることができ、さらに、セパレータ兼用の鉄筋以外は
ラップジョイントにより接合しておくものとする。
【0037】また、前記において、主妻枠50の外側端
50cは内筒21の曲率にあわせた加工がなされている
ので、外側端50cを内筒21の内面を接合することに
より、この部分の密閉性を確保することができるが、密
閉性をより確実にするため、シール材を主妻枠の外側端
50cと内筒21との間に挟み入れるようにしても良
い。
【0038】(ii)鉄筋組立室へのコンクリートの打
設 鉄筋U、型枠1、主妻枠50、補助妻枠51などのセッ
ト完了後、打設配管2を通して型枠1のジョイント部1
cより覆工材料(例えばコンクリート)Cを、図6に示
すように、内筒21、妻枠50、51、型枠1によって
囲まれてなる鉄筋組立室Rに打設する。図6、図7及び
図11に示すように、鉄筋組立室Rへのコンクリートの
打設完了後、鉄筋組立室Rのコンクリートの圧力Pr
が、外部コンクリートの圧力Poより大きくなれば、逆
止弁60の弁体61が上方に向かって開き(図11
(b)参照)、コンクリートが鉄筋組立室Rから右側の
コンクリート部に移動する。これにより、図7及び図8
中の矢印で示すように、鉄筋組立室R内のコンクリート
の圧力が極端に大きくなることを防止することができ
る。この結果、型枠1等を必要以上の強度をもたせる必
要がなくなり、製造費用を節減することができる。な
お、この時点あるいは更に遅い時期に、補助妻枠51を
取り出す。
【0039】配管2から逆止弁60を通してコンクリー
トを打設すると、押出しピストン24は、コンクリート
の供給圧力により、圧力保持ジャッキ25の押圧力に抗
する方向に力を受けるが、押出しピストン24を押圧す
る圧力保持ジャッキ25には、設定圧力よりも大きな圧
力を受けたときにジャッキが縮むようなリリーフ弁が設
けられているため、押出しピストン24は、図8中の矢
印に示すように、コンクリートの供給とともにシールド
機10の前方に移動し、コンクリートの打設が阻害され
ることがない。また、コンクリートの供給が止ると、圧
力保持ジャッキ25の押圧力が押出しピストン24に再
び作用し、シールド機10の進行とともに後方へ移動す
ることとなる。
【0040】(iii)打設準備 外部へのコンクリート打設を実施するにあたっては、圧
力保持ジャッキ25の押出し圧力を高さによる地山圧力
の違いに対応させて、打設したコンクリートが常に地山
の圧力よりも大きい圧力を加えることができるように大
きさに設定する。また、覆工材料としては遅延型のコン
クリートなどを適用し、圧力を後方へ伝達させるように
設定しておく。
【0041】なお、コンクリートピストン室23は、あ
らかじめ工場において高精度に製作しておき、シール部
材26が高圧にも耐えるように形成しておくことは言う
までもない。
【0042】(iv)シールド機の掘進 次に、コンクリートピストン室23のコンクリートを後
方へ押出しながら、スキンプレート11前端のカッター
装置12で地山を掘削し、型枠1に反力をとって推進ジ
ャッキ13を駆動させることでシールド機10を掘進さ
せる。この際、コンクリート圧力Poは、地山圧力Pj
よりも大きいので、漏水等の心配がない。
【0043】掘進完了後、図9に示すように、シャッタ
ー3を締め、推進ジャッキ13を縮め、鉄筋、型枠等の
セットを前記手順で行ない、このような工程を繰り返す
ことにより、作業を進めていく。
【0044】なお、掘進完了後においても圧力保持ジャ
ッキ25によりコンクリートピストン室23内の圧力を
一定に保持しておくことは言うまでもない。
【0045】(v)休日明けのコンクリート固化後の開
始作業 休日明けでシールド機の後方に位置する打設されたコン
クリートが固化している場合には、押出しピストン24
のジョイント部27に打設パイプ30を連結し、押出し
ピストン24の充填口24aを通してコンクリートピス
トン室23内に覆工材料を供給できるようにセットす
る。
【0046】コンクリートの打設準備完了後、コンクリ
ートを供給ポンプ31より打設パイプ30に送り、この
打設パイプ30を通して押出しピストン24の充填口2
4aよりコンクリートをコンクリートピストン室23へ
打設する。
【0047】より具体的には、シールド機10のコンク
リートピストン室23に備えられた押出しピストン24
の圧力保持ジャッキ25の押圧力を調整して、押出しピ
ストン24の作用によって生じるコンクリート圧力Po
を地山圧力Pjよりも高く保持しておき、打設パイプ3
0よりコンクリートをコンクリートピストン室23に向
けて圧力保持ジャッキ25の圧力よりも大きい圧力で供
給して、コンクリートピストン室23内にコンクリート
を打設していく。これと同時に、配管2を通して鉄筋組
立室Rにもコンクリートを供給し、シールド機を前進さ
せていくことにより、鉄筋組立室Rとコンクリートピス
トン室23とが連通したらコンクリートピストン室23
へのコンクリートの供給を停止し、以下作業中は配管2
からのみコンクリートを供給する。
【0048】なお、前記工程中、押出しピストン24の
シール部材26の交換が必要になった場合は、コンクリ
ートの硬化後に、押出しピストン24をコンクリートピ
ストン室23より抜き出し、シール部材26の交換作業
を行なえばよい。この作業は、コンクリート硬化後に押
出しピストン24を圧力保持ジャッキ25を使って抜き
出し、その外周のシール部材26を交換する単純作業で
あり、またその交換作業はコンクリート硬化後に行なわ
れるので、安全に現場で行なうことができる。またコン
クリート配管の清掃作業が必要となった場合には、押出
しピストン24に付設された遮断機構28を使って、充
填口24aを塞ぎ、打設パイプ30を取り外して、清掃
すれば良い。この作業は、遮断機構28によって、充填
孔からのコンクリートの流出を防止することができるの
で、コンクリートピストン室23内のコンクリートに圧
力を加えたまま行なうことができ、トンネル覆工時の作
業性が損なわれることがない。
【0049】前記実施例では、シールド機10のテール
部を二重にし、その内部に複数のコンクリートピストン
室23を設け、このコンクリートピストン室23内に押
出しピストン24を設けて、この押出しピストン24を
圧力保持ジャッキ25によって、各コンクリートピスト
ン室23内の圧力を調整するようにしているので、地山
圧力の変化(通常は深度が深いほど圧力が高くなる)に
対応して各室のコンクリートの圧力の管理を個々に行な
うことができ、コンクリート圧力が常に地山圧力より高
く保持することが、確実かつ容易にできる。
【0050】また、実施例では、シールド機のテール部
内にコンクリートピストン室23を設け、あらかじめ工
場において、コンクリートピストン室23に押出しピス
トン24をシールした状態でスライド自在に配設してあ
るため、押出しピストン24のシール部の精度を、シー
ルド機のカッター等可動部のシールと同等に保持するこ
とができ、シールド機の対応可能な地山にはほとんどす
べて対応することができる。
【0051】さらに、実施例では、このようなコンクリ
ートの圧力保持に重要なシールの交換を安全かつ容易に
実施することができるので、長距離掘進時にもシール交
換を行なうことで、常にコンクリート圧力の保持が可能
であるといった利点がある。また、実施例では、コンク
リートの供給に伴って、押出しピストン24を前方に移
動させ、コンクリートを押し出す時には、シールド機の
後方へ移動させるようにしているので、コンクリートピ
ストン室内の圧力がコンクリートの供給時にもほぼ一定
に保つことが可能になり、この結果、地山や型枠に過度
の圧力を与えることがなく、地山を押し上げることもな
く、また型枠を必要以上に頑丈にする必要がなくなると
いった効果を奏する。
【0052】また前記により、実施例では、コンクリー
トピストン室23内の圧力を常に、地山の土圧・水圧よ
りも高く保つことが可能になるので、漏水がなく、高強
度の高品質のコンクリートの打設が可能であるといった
利点があり、また、テールボイドへの充填が確実に行な
えるので、地盤沈下のおそれもないといった長所があ
る。
【0053】さらに、実施例では、押出しピストン24
により常に、コンクリートを押圧するように構成してい
るので、硬化時間の長いコンクリートの使用が可能にな
り、1リング毎の配管などの清掃が不要になるといった
効果もある。
【0054】さらに、実施例では妻枠に鉄筋Uを取り付
けてセパレータ兼用として使用しているので、妻枠のジ
ャッキが不要になり、また妻枠にジャッキを設けた場合
にも必要に応じて外すことが可能になるといった利点が
ある。
【0055】また、実施例では、内筒21と型枠1との
間を主妻枠50とこの主妻枠50に接合される補助妻枠
51により塞ぎ、補助妻枠51の出没を調整することに
より、シールド機の蛇行を調整するようにしているの
で、作業性を向上できるといった利点がある。
【0056】次に、図12〜図14に、本発明の他の実
施例のシールドトンネルの覆工方法に使用される装置を
示す。このものは、前記実施例においては逆止弁60を
主妻枠50に設けるようにしているので対して、同様な
構造の逆止弁60を補助妻枠51に設けるようにしたも
のである。補助妻枠51は、収納溝1d内をスライドさ
せるものであるので、ヒンジ部62を補助妻枠51の板
厚方向内側に位置させてあり、弁体61の厚さを補助妻
枠51の厚さと略同一寸法としてある。これにより、弁
体61を補助妻枠51に沿わせた状態として、補助妻枠
51を型枠1の内側に挿入したり型枠1内から取り外し
たりすることが自在となっている。
【0057】前記実施例では、埋め殺しとなる主妻枠5
0に逆止弁60を設けるようにしていたので、多数の逆
止弁60を製作しなければならず、製作費用が増大する
といった問題があったが、本実施例では、逆止弁60は
繰り返し使用される補助妻枠51に設けられているの
で、逆止弁60を繰り返し使用することができ、製作費
用を大幅に節減することができる。
【0058】図15に、本発明の更に他の実施例のシー
ルドトンネルの覆工方法に使用される装置を示す。この
ものは、主妻枠50に取り付けられた弁体61に止め金
具70を取り付ける一方、主妻枠50の下部に止め金具
71が取り付けられ、弁体61が貫通孔63を閉塞した
状態で、これらの止め金具70と止め金具71とを引張
強度の弱い針金72で連係したものである。
【0059】このものでは、ヒンジ部62が弁体61の
下方や横に位置していても、針金72で弁体61と主妻
枠50とが連係されているので、弁体61は常に閉じた
状態となる。ここで、前記したように、逆止弁60の左
側の室(鉄筋組立室R)にコンクリートが打設され左側
の室が満杯となると、コンクリートの圧力が弁体61に
作用する。この圧力による押圧力が連係している針金7
2に作用して針金72の連係部分から解けるか切断し、
弁体61の拘束が解除されて開き、コンクリートは右側
の室に供給される。
【0060】なお、針金72の強度は、通常の固定に耐
えられるだけの強度をもち、コンクリートの圧力が作用
したときに切断されるようなものとする。
【0061】また、主妻枠50の近傍に配置される鉄筋
を前記止め金具71の代用とすることができる。針金7
2の代わりにゴムやバネを使用することもできる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような優れた効果を奏することができる。
【0063】(1)請求項1記載のシールドトンネルの
覆工方法は、シールド機先端のカッター装置により地山
を掘削しつつ掘削されたトンネルの周壁を所定の間隔を
空けて型枠によって覆い、この型枠と前記周壁との間に
鉄筋を配置するとともに覆工材料を供給し、トンネル内
面を覆工するようにしたシールドトンネルの覆工方法で
あって、シールド機のスキンプレートのテール部を、外
筒と内筒とにより二重に形成するとともに、このテール
部の外筒と内筒との間にスキンプレートの半径方向に延
びる隔壁を複数形成して押出しピストンが収まる複数の
コンクリートピストン室を設けておき、前記内筒の内側
において鉄筋を配置し、鉄筋の内方に型枠を組む際に、
鉄筋の配置とともに内筒と型枠との間を閉塞する主妻枠
を、その外側端が内筒の内面に接するようにセットする
とともに、妻枠にかかるコンクリート圧力を鉄筋を連結
することによりセパレータ代わりとして受けもたせ、前
記主妻枠の内側端と型枠の外面との間の隙間を、型枠の
内側から補助妻枠を突出させて塞いだ後、内筒、型枠、
妻枠により囲まれてなる鉄筋組立室に覆工材料を打設
し、前記鉄筋組立室の覆工材料の圧力が鉄筋組立室の外
部の圧力よりも大きくなった時点で前記主妻枠又は補助
妻枠に設けられた逆止弁を開いて、この逆止弁から型枠
と地山との間に覆工材料を供給し、前記圧力保持ジャッ
キによりコンクリートピストン室内の押出しピストンを
覆工材料の圧力が地山の土圧、水圧よりも高い圧力にな
るように押圧しつつシールド機を掘進させることを特徴
とするものであるから、圧力の保持を十分に実施し得て
圧力の低下を確実に防止することができるとともに、漏
水がなく、高強度の高品質の覆工材料の打設が可能にな
り、しかも、型枠等を必要以上に堅固する必要がなく製
造費用を節減することができ、さらに、覆工材料の打設
作業を簡素化でき、施工作業の作業性を向上させること
ができるといった優れた効果を奏する。
【0064】また前記により、シールドトンネルの施工
を迅速かつ安全に行なうことができるといった効果もあ
る。
【0065】(2)請求項2記載のシールドトンネルの
覆工方法は、前記シールドトンネルの覆工方法におい
て、覆工材料の供給圧力が圧力保持ジャッキの設定保持
圧力よりも大きくなった時に、覆工材料の供給圧力によ
り、押出しピストンをシールド機の前方へ移動させるこ
とを特徴とするものであるから、前記と同様の効果を得
ることができ、またコンクリートピストン室の覆工材料
の圧力が覆工材料の供給時においても、ほぼ一定に保つ
ことが可能になり、地山や型枠に過度の圧力を与えるこ
とがなく、地山を押し上げることもなく、また型枠を必
要以上に頑丈にする必要もないといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシールドトンネルの覆工方法において
シールド機が地山を掘削している状態を示すトンネルの
側断面図である。
【図2】図1中のIIーII線に沿う矢視断面図である。
【図3】図1中のIIIーIII線に沿う矢視断面図である。
【図4】本発明の方法を具体的に説明するために示した
工程図である。
【図5】本発明の方法を具体的に説明するために示した
工程図である。
【図6】本発明の方法を具体的に説明するために示した
工程図である。
【図7】本発明の方法を具体的に説明するために示した
工程図である。
【図8】本発明の方法を具体的に説明するために示した
工程図である。
【図9】本発明の方法を具体的に説明するために示した
工程図である。
【図10】本発明の方法に使用される逆止弁を示す図で
ある。
【図11】本発明の方法の作用を示す図である。
【図12】本発明の方法の他の実施例に使用される装置
の一部分を示す図である。
【図13】図12の一部を示す図である。
【図14】図12中のイ矢視図である。
【図15】本発明の方法の更に他の実施例に使用される
装置の一部分を示す図である。
【符号の説明】
T トンネル 1 型枠 10 シールド機 11 スキンプレート 12 カッター装置 13 推進ジャッキ 22 隔壁 23 コンクリートピストン室 24 押出しピストン 25 圧力保持ジャッキ 50 主妻枠 51 補助妻枠 60 逆止弁 61 弁体 62 ヒンジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 房男 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 川口 博行 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 今井 実 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 荒砥 太吉 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 大塚 正幸 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−161599(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/10 E21D 9/06 301

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シールド機先端のカッター装置により地
    山を掘削しつつ掘削されたトンネルの周壁を所定の間隔
    を空けて型枠によって覆い、この型枠と前記周壁との間
    に鉄筋を配置するとともに覆工材料を供給し、トンネル
    内面を覆工するようにしたシールドトンネルの覆工方法
    であって、 シールド機のスキンプレートのテール部を、外筒と内筒
    とにより二重に形成するとともに、このテール部の外筒
    と内筒との間にスキンプレートの半径方向に延びる隔壁
    を複数形成して押出しピストンが収まる複数のコンクリ
    ートピストン室を設けておき、 前記内筒の内側において鉄筋を配置し、鉄筋の内方に型
    枠を組む際に、鉄筋の配置とともに内筒と型枠との間を
    閉塞する主妻枠を、その外側端が内筒の内面に接するよ
    うにセットするとともに、妻枠にかかるコンクリート圧
    力を鉄筋を連結することによりセパレータ代わりとして
    受けもたせ、前記主妻枠の内側端と型枠の外面との間の
    隙間を、型枠の内側から補助妻枠を突出させて塞いだ
    後、内筒、型枠、妻枠により囲まれてなる鉄筋組立室に
    覆工材料を打設し、前記鉄筋組立室の覆工材料の圧力が
    鉄筋組立室の外部の圧力よりも大きくなった時点で前記
    主妻枠又は補助妻枠に設けられた逆止弁を開いて、この
    逆止弁から型枠と地山との間に覆工材料を供給し、前記
    圧力保持ジャッキによりコンクリートピストン室内の押
    出しピストンを覆工材料の圧力が地山の土圧、水圧より
    も高い圧力になるように押圧しつつシールド機を掘進さ
    せることを特徴とするシールドトンネルの覆工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシールドトンネルの覆工
    方法において、覆工材料の供給圧力が圧力保持ジャッキ
    の設定保持圧力よりも大きくなった時に、覆工材料の供
    給圧力により、押出しピストンをシールド機の前方へ移
    動させることを特徴とするシールドトンネルの覆工方
    法。
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CN102879553B (zh) * 2012-09-21 2015-04-08 中铁工程装备集团有限公司 混凝土挤压衬砌试验装置
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