JP3151764B2 - ジョークラッシャー用歯板およびその製造方法 - Google Patents
ジョークラッシャー用歯板およびその製造方法Info
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- JP3151764B2 JP3151764B2 JP36950097A JP36950097A JP3151764B2 JP 3151764 B2 JP3151764 B2 JP 3151764B2 JP 36950097 A JP36950097 A JP 36950097A JP 36950097 A JP36950097 A JP 36950097A JP 3151764 B2 JP3151764 B2 JP 3151764B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジョークラッシャー
用歯板に係る。
用歯板に係る。
【0002】
【従来の技術】ジョークラッシャーは図4で例示するよ
うに動歯101と不動歯102とが相対して断面が逆三
角形状の粉砕室103を形成し、偏心軸104の回転を
受けて動歯が揺動する型式であり、粉砕室103の頂面
から投入された原石など被砕物を動歯と不動歯との間へ
噛み込んで衝撃的に挾圧して破砕する一次〜三次用クラ
ッシャーとして砕石業界で広範囲に使用されている。
うに動歯101と不動歯102とが相対して断面が逆三
角形状の粉砕室103を形成し、偏心軸104の回転を
受けて動歯が揺動する型式であり、粉砕室103の頂面
から投入された原石など被砕物を動歯と不動歯との間へ
噛み込んで衝撃的に挾圧して破砕する一次〜三次用クラ
ッシャーとして砕石業界で広範囲に使用されている。
【0003】岩石を破砕すると同時に動歯、不動歯の破
砕面も摩耗によって退入する。歯板の破砕面は山部と谷
部とが交互に繰り返す波形を形成しているが、摩耗の進
行と共に山部が特に退入して平面状に近づき、波形が消
滅に近づくにつれて被砕物の破砕効率も急速に低下を免
れないので新しい歯板と取り替えざるを得ないから、こ
の間は破砕機は停止し、歯板の耐用期間の長短がプラン
トの生産性を左右する重要な要素となる。
砕面も摩耗によって退入する。歯板の破砕面は山部と谷
部とが交互に繰り返す波形を形成しているが、摩耗の進
行と共に山部が特に退入して平面状に近づき、波形が消
滅に近づくにつれて被砕物の破砕効率も急速に低下を免
れないので新しい歯板と取り替えざるを得ないから、こ
の間は破砕機は停止し、歯板の耐用期間の長短がプラン
トの生産性を左右する重要な要素となる。
【0004】従来、ジョークラッシャー用歯板の材質と
しては高Mn鋳鋼が圧倒的に多く、特に12%Mn鋳鋼
(ハッドフィールド鋼)の加工硬化性を利用した歯板が
最も普及している。現在において、中型、小型の二次、
三次破砕機に使用される歯板については、耐用期間をよ
り延長して装置の稼働率を高めプラント全体の生産性を
向上するために種々の構造を試みる従来技術が認められ
る。
しては高Mn鋳鋼が圧倒的に多く、特に12%Mn鋳鋼
(ハッドフィールド鋼)の加工硬化性を利用した歯板が
最も普及している。現在において、中型、小型の二次、
三次破砕機に使用される歯板については、耐用期間をよ
り延長して装置の稼働率を高めプラント全体の生産性を
向上するために種々の構造を試みる従来技術が認められ
る。
【0005】歯板の耐用期間を延長するためには、高M
n鋳鋼よりもさらに耐摩耗性の高い材質に置換する方法
が最も直接的であり、単純に耐摩耗性だけを比較した場
合、高Mn鋳鋼の約3倍は高いレベルにある高Cr鋳鉄
が最も有効な材質として適用されるに至った。しかし、
耐摩耗性が高いという長所は、同時に脆性が大きいとい
う短所に繋がる。高Mn鋳鋼は水靱処理を施した完全オ
ーステナイト組織よりなり、伸びを約15%は具えてい
る上、摩耗面だけは被砕物との衝突によって結晶格子に
歪みを生じて硬化することが高い耐摩耗性の原因となる
という特殊なメカニズムがあるのに対し、高Cr鋳鉄は
全面が白銑組織(マルテンサイト)の基地に高硬度のC
r系炭化物が析出して内外共に極めて硬度の高い製品を
形成することが高い耐摩耗性の根源であり、伸びはほと
んど0%に等しくて衝撃力に遭えば簡単に割れ易いこと
は本質的に避けられない。
n鋳鋼よりもさらに耐摩耗性の高い材質に置換する方法
が最も直接的であり、単純に耐摩耗性だけを比較した場
合、高Mn鋳鋼の約3倍は高いレベルにある高Cr鋳鉄
が最も有効な材質として適用されるに至った。しかし、
耐摩耗性が高いという長所は、同時に脆性が大きいとい
う短所に繋がる。高Mn鋳鋼は水靱処理を施した完全オ
ーステナイト組織よりなり、伸びを約15%は具えてい
る上、摩耗面だけは被砕物との衝突によって結晶格子に
歪みを生じて硬化することが高い耐摩耗性の原因となる
という特殊なメカニズムがあるのに対し、高Cr鋳鉄は
全面が白銑組織(マルテンサイト)の基地に高硬度のC
r系炭化物が析出して内外共に極めて硬度の高い製品を
形成することが高い耐摩耗性の根源であり、伸びはほと
んど0%に等しくて衝撃力に遭えば簡単に割れ易いこと
は本質的に避けられない。
【0006】高Mn鋳鋼に代えて高Cr鋳鉄の耐摩耗性
を活用するには両者を組合わせた複合材とする考え方も
ある。たとえば、実公昭56−31322号の従来技術
では、歯の頂部を波形歯板の山の形状に合わせて成形す
ると共に、台板(高Mn鋳鋼)に埋め込まれる部分を断
面がほぼ蒲鉾状に成形した高硬度ブロック(高Cr鋳
鉄)を鋳型内にセットして鋳込んで溶着させるという耐
摩耗性を高め靱性も失わない構成を示している。
を活用するには両者を組合わせた複合材とする考え方も
ある。たとえば、実公昭56−31322号の従来技術
では、歯の頂部を波形歯板の山の形状に合わせて成形す
ると共に、台板(高Mn鋳鋼)に埋め込まれる部分を断
面がほぼ蒲鉾状に成形した高硬度ブロック(高Cr鋳
鉄)を鋳型内にセットして鋳込んで溶着させるという耐
摩耗性を高め靱性も失わない構成を示している。
【0007】実公昭57−36257号に係る従来技術
では、図5で3種類の実施例を示したように高Cr鋳鉄
製の歯板本体201の取り付け面側へ、全面に亘って硬
質ゴム層202を焼き付け固定し、一体化したジョーク
ラッシャー用歯板を提示している。この構造によって破
砕時の衝撃力は硬質ゴム層の弾性変形によって緩衝さ
れ、歯板全体を保護すると共に、万一、歯板本体にクラ
ックが発生した場合でもクラッシャーの機能を失わず連
続使用が可能であると謳っている。
では、図5で3種類の実施例を示したように高Cr鋳鉄
製の歯板本体201の取り付け面側へ、全面に亘って硬
質ゴム層202を焼き付け固定し、一体化したジョーク
ラッシャー用歯板を提示している。この構造によって破
砕時の衝撃力は硬質ゴム層の弾性変形によって緩衝さ
れ、歯板全体を保護すると共に、万一、歯板本体にクラ
ックが発生した場合でもクラッシャーの機能を失わず連
続使用が可能であると謳っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は高Cr鋳鉄
が本来具える耐摩耗性を利用しつつもその脆性による亀
裂、破損、破断などの危惧を、如何に防止するかに焦点
を絞ったものである。しかし、複合材による歯板は山部
を全て含むほどの大きなブロックを鋳型内にセットして
母材金属(高Mn鋳鋼)を注湯するという困難な鋳造条
件を強いられることとなり、鋳込み金(高Cr鋳鉄)と
母材(高Mn鋳鋼)の境界が融着しなかったり、ジョー
クラッシャーに取り付けた後、破砕衝撃を受けて亀裂が
走り、ときには部分的な剥離、離脱などのトラブルの発
生する危険性は否定できない。耐摩耗性を向上させるに
は、一定サイズ以上の高Cr鋳鉄のブロックが必要であ
るが、このため鋳込みの条件が難しくなって鋳込み材の
境界面から割れ易く、分断し易い状況となる。また高M
n鋳鋼は1000℃のオーステナイト領域から水靱処理
(水焼入)を行なうが、この急冷によって鋳込み金(高
Cr鋳鉄)自体や境界面から亀裂が入って分断すること
も予想される。さらに局部的に耐摩耗性が著しく異なる
破砕面を具えた状態で被砕物と衝突すれば、低い耐摩耗
面(高Mn鋳鋼)の摩耗が選択的に進行し、排出される
砕石製品の形状に好ましくない影響を及ぼすこともあり
得る。
が本来具える耐摩耗性を利用しつつもその脆性による亀
裂、破損、破断などの危惧を、如何に防止するかに焦点
を絞ったものである。しかし、複合材による歯板は山部
を全て含むほどの大きなブロックを鋳型内にセットして
母材金属(高Mn鋳鋼)を注湯するという困難な鋳造条
件を強いられることとなり、鋳込み金(高Cr鋳鉄)と
母材(高Mn鋳鋼)の境界が融着しなかったり、ジョー
クラッシャーに取り付けた後、破砕衝撃を受けて亀裂が
走り、ときには部分的な剥離、離脱などのトラブルの発
生する危険性は否定できない。耐摩耗性を向上させるに
は、一定サイズ以上の高Cr鋳鉄のブロックが必要であ
るが、このため鋳込みの条件が難しくなって鋳込み材の
境界面から割れ易く、分断し易い状況となる。また高M
n鋳鋼は1000℃のオーステナイト領域から水靱処理
(水焼入)を行なうが、この急冷によって鋳込み金(高
Cr鋳鉄)自体や境界面から亀裂が入って分断すること
も予想される。さらに局部的に耐摩耗性が著しく異なる
破砕面を具えた状態で被砕物と衝突すれば、低い耐摩耗
面(高Mn鋳鋼)の摩耗が選択的に進行し、排出される
砕石製品の形状に好ましくない影響を及ぼすこともあり
得る。
【0009】図5の従来技術は硬質ゴム層の弾性変形に
よって破砕時の衝撃を吸収し靱性の乏しい高Cr鋳鉄の
割れを防止するのであるが、ジョークラッシャーは本
来、動歯〜不動歯の間で被砕物を噛み砕くことを破砕原
理とするから、単に衝撃を吸収する弾性によって課題解
決の手段とすることは破砕機の効率自体を著しく損ね、
機能を大幅に減退する原因となる確率が極めて高い。折
角の機械的な衝撃力が被砕物に直接伝わらずに中途で減
衰させる技法は、装置全体の作業性を低下しエネルギー
の空費に繋がるという意味で好ましくない。
よって破砕時の衝撃を吸収し靱性の乏しい高Cr鋳鉄の
割れを防止するのであるが、ジョークラッシャーは本
来、動歯〜不動歯の間で被砕物を噛み砕くことを破砕原
理とするから、単に衝撃を吸収する弾性によって課題解
決の手段とすることは破砕機の効率自体を著しく損ね、
機能を大幅に減退する原因となる確率が極めて高い。折
角の機械的な衝撃力が被砕物に直接伝わらずに中途で減
衰させる技法は、装置全体の作業性を低下しエネルギー
の空費に繋がるという意味で好ましくない。
【0010】本発明は以上の課題を解決するために、高
Cr鋳鉄製歯板をジョークラッシャーに取り付けるに際
して単に衝撃を緩和して割れを防止するのではなく、歯
板の取り付け面や破砕機の取り付け面に不可避的に生じ
る歪みや変形を消滅し、衝撃力を歯板の取り付け面全体
で均等に分散して受けることによって、亀裂や破断を防
止することを目的とするものである。
Cr鋳鉄製歯板をジョークラッシャーに取り付けるに際
して単に衝撃を緩和して割れを防止するのではなく、歯
板の取り付け面や破砕機の取り付け面に不可避的に生じ
る歪みや変形を消滅し、衝撃力を歯板の取り付け面全体
で均等に分散して受けることによって、亀裂や破断を防
止することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るジョークラ
ッシャー用歯板は、高Cr鋳鉄で鋳造した歯板1の取り
付け面11側へ、下面21が該取り付け面11の鋳造歪
みに沿って密着し上面22が水平面よりなる樹脂系バッ
キング材2と、該上面22に密着して水平に調整した補
強鉄板3を積層し、該歯板1、樹脂系バッキング材2、
補強鉄板3を挿通する複数の鋳込み金12を溶着して一
体的に固定することによって前記の課題を解決した。ま
た積層材としては、樹脂系バッキング材に代えてホワイ
トメタルであってもよい。
ッシャー用歯板は、高Cr鋳鉄で鋳造した歯板1の取り
付け面11側へ、下面21が該取り付け面11の鋳造歪
みに沿って密着し上面22が水平面よりなる樹脂系バッ
キング材2と、該上面22に密着して水平に調整した補
強鉄板3を積層し、該歯板1、樹脂系バッキング材2、
補強鉄板3を挿通する複数の鋳込み金12を溶着して一
体的に固定することによって前記の課題を解決した。ま
た積層材としては、樹脂系バッキング材に代えてホワイ
トメタルであってもよい。
【0012】この構造の歯板を製造する方法としては、
歯板1の取り付け面11に相当する鋳型面へ複数の鋳込
み金12を立設して高Cr鋳鉄の溶湯を注湯し、鋳造歯
板を手入れ仕上げた後、鋳込み金12の位置と一致する
取り付け孔31を穿孔した補強鉄板3を重ね合せ、別に
補強鉄板3へ複数穿孔したタップ孔32、35へねじボ
ルト4を螺合して回動し、補強鉄板3の表面34を水平
となるように調整しつつ補強鉄板裏面33と歯板取り付
け面11との間に間隙Sを形成し、別に複数箇所の開口
部36から樹脂系バッキング材2を流し込んで充填し、
樹脂系バッキング材2が固化した後、前記鋳込み金12
と補強鉄板3の取り付け孔31の周囲とを溶着して歯板
1、樹脂系バッキング材2、補強鉄板3を一体的に固定
し、ボルト4を取り外すことによって取付け面の調整を
することで前記の課題を解決した。
歯板1の取り付け面11に相当する鋳型面へ複数の鋳込
み金12を立設して高Cr鋳鉄の溶湯を注湯し、鋳造歯
板を手入れ仕上げた後、鋳込み金12の位置と一致する
取り付け孔31を穿孔した補強鉄板3を重ね合せ、別に
補強鉄板3へ複数穿孔したタップ孔32、35へねじボ
ルト4を螺合して回動し、補強鉄板3の表面34を水平
となるように調整しつつ補強鉄板裏面33と歯板取り付
け面11との間に間隙Sを形成し、別に複数箇所の開口
部36から樹脂系バッキング材2を流し込んで充填し、
樹脂系バッキング材2が固化した後、前記鋳込み金12
と補強鉄板3の取り付け孔31の周囲とを溶着して歯板
1、樹脂系バッキング材2、補強鉄板3を一体的に固定
し、ボルト4を取り外すことによって取付け面の調整を
することで前記の課題を解決した。
【0013】歯板の鋳造には取り付け面に若干の反り、
歪み、捩れなどが生じることは止むを得ない。高Mn鋳
鋼製であれば油圧プレスなどで矯正できるが、伸び0%
に近い高Cr鋳鉄製では歪み直しが不可能である。本発
明では取り付け面11における鋳造歪みを、樹脂系バッ
キング材2の下面21が追随し上面22を水平面とし、
水平な上面22の上へ水平な補強鉄板3の裏面33を重
ね合わせ、水平な表面34を破砕機の取り付け面へ取り
付ける積層構造を形成することによって、吸収消滅し
た。この歯板1、樹脂系バッキング材2、補強鉄板3は
鋳込み金12で一体的に密着した重積層よりなるから、
被砕物の破砕時の反作用として加わる衝撃力は取り付け
面全面で均等に受け止めて結果的に単位面積当りの外力
を緩和する。
歪み、捩れなどが生じることは止むを得ない。高Mn鋳
鋼製であれば油圧プレスなどで矯正できるが、伸び0%
に近い高Cr鋳鉄製では歪み直しが不可能である。本発
明では取り付け面11における鋳造歪みを、樹脂系バッ
キング材2の下面21が追随し上面22を水平面とし、
水平な上面22の上へ水平な補強鉄板3の裏面33を重
ね合わせ、水平な表面34を破砕機の取り付け面へ取り
付ける積層構造を形成することによって、吸収消滅し
た。この歯板1、樹脂系バッキング材2、補強鉄板3は
鋳込み金12で一体的に密着した重積層よりなるから、
被砕物の破砕時の反作用として加わる衝撃力は取り付け
面全面で均等に受け止めて結果的に単位面積当りの外力
を緩和する。
【0014】高Cr鋳鉄の材質的特徴として衝撃力に耐
える靱性は乏しいが、抗圧力自体がさほど低いわけでは
ないから、受圧面を広く維持し全面で衝撃を受け止める
とその耐力は十分に確保できる。
える靱性は乏しいが、抗圧力自体がさほど低いわけでは
ないから、受圧面を広く維持し全面で衝撃を受け止める
とその耐力は十分に確保できる。
【0015】一方、破砕作業の継続と共に破砕機の歯板
取り付け面自体にも変形が生じるようになる。これはプ
ーリから受けた回転駆動力を偏心軸で伝え歯板の揺動運
動に転換する機構のため、破砕機本体側の歯板取付け面
が塑性変形するためである。この変形により歪みが生じ
た場合、塑性変形のできない高Cr鋳鉄はこれに追随で
きないが、軟鋼製の補強鉄板3は塑性変形するので局部
的変形に追随できる。従来は歯板取り付け面と破砕機取
り付け面との間に生じた部分的な間隙も、衝撃力を集中
的に受けた場合、歯板の割れや破損の原因となっていた
のであるが、本発明の場合は破砕機の取り付け面に歪み
が生じても添着した補強鉄板3が追随して取付け面に馴
染み、全面で均等に衝撃を分散受圧する作用変り亡く保
たれる。
取り付け面自体にも変形が生じるようになる。これはプ
ーリから受けた回転駆動力を偏心軸で伝え歯板の揺動運
動に転換する機構のため、破砕機本体側の歯板取付け面
が塑性変形するためである。この変形により歪みが生じ
た場合、塑性変形のできない高Cr鋳鉄はこれに追随で
きないが、軟鋼製の補強鉄板3は塑性変形するので局部
的変形に追随できる。従来は歯板取り付け面と破砕機取
り付け面との間に生じた部分的な間隙も、衝撃力を集中
的に受けた場合、歯板の割れや破損の原因となっていた
のであるが、本発明の場合は破砕機の取り付け面に歪み
が生じても添着した補強鉄板3が追随して取付け面に馴
染み、全面で均等に衝撃を分散受圧する作用変り亡く保
たれる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態を手順に
従って示す正面図または斜視図である。図(A)は歯板
1の斜視図であり、材質はたとえばASTM A532
クラスAの25%Cr(C:2.0〜3.3、Mn<
2.0、Si<1.5、Ni<2.5,Cr:23.0
〜30.0)、または高Cr鋳鉄を主な対象とするが、
材質をとくに限定する理由はなく、広義に解してニハー
ド系鋳鉄も含むものとする。歯板の寸法としてはとくに
大型の一次ジョークラッシャーを除けば制約されず、た
とえば取り付け面が1200×600mm程度で、従来
は高Cr鋳鉄の適用が難しかった中型の二次ジョークラ
ッシャーに対しても適用が可能である。
従って示す正面図または斜視図である。図(A)は歯板
1の斜視図であり、材質はたとえばASTM A532
クラスAの25%Cr(C:2.0〜3.3、Mn<
2.0、Si<1.5、Ni<2.5,Cr:23.0
〜30.0)、または高Cr鋳鉄を主な対象とするが、
材質をとくに限定する理由はなく、広義に解してニハー
ド系鋳鉄も含むものとする。歯板の寸法としてはとくに
大型の一次ジョークラッシャーを除けば制約されず、た
とえば取り付け面が1200×600mm程度で、従来
は高Cr鋳鉄の適用が難しかった中型の二次ジョークラ
ッシャーに対しても適用が可能である。
【0017】歯板の鋳造に際して鋳型内にあらかじめ軟
鋼棒の鋳込み金12を収容しておく。この鋳込み金の個
数と配置は歯板のサイズや破砕機の能力に応じて適宜決
定する。図(B)は歯板1の取り付け面11へ重ねる補
強鉄板3の斜視図であり、板厚は局部変形が濫りに起こ
らない程度の剛性を具える必要があり、たとえば前記の
取り付け面であれば12mm鋼板が適当である。補強鉄
板3には歯板の取り付け面から突出する鋳込み金12と
一致する位置に取り付け孔31を設け、均等に取り付け
面11と補強鉄板裏面33との間に間隙Sを設けるため
のタップ孔32、35を配置し、さらに取付け面の密着
を良くするために開口部36を設け、樹脂系バッキング
材の注入孔としても使用する。
鋼棒の鋳込み金12を収容しておく。この鋳込み金の個
数と配置は歯板のサイズや破砕機の能力に応じて適宜決
定する。図(B)は歯板1の取り付け面11へ重ねる補
強鉄板3の斜視図であり、板厚は局部変形が濫りに起こ
らない程度の剛性を具える必要があり、たとえば前記の
取り付け面であれば12mm鋼板が適当である。補強鉄
板3には歯板の取り付け面から突出する鋳込み金12と
一致する位置に取り付け孔31を設け、均等に取り付け
面11と補強鉄板裏面33との間に間隙Sを設けるため
のタップ孔32、35を配置し、さらに取付け面の密着
を良くするために開口部36を設け、樹脂系バッキング
材の注入孔としても使用する。
【0018】図(C)は歯板1の取り付け面11の上へ
補強鉄板3を重ね、補強鉄板3のタップ孔32、35へ
ねじボルト4を螺合して回動すればねじ作用によって補
強鉄板3は取り付け面上から離れて浮き上がる状態を示
し、ねじが進むにつれて間隔Sが形成するが、このとき
補強鉄板3の表面34が水平を維持するように各位置に
亘ってねじ調整を行なう。この間隙Sの寸法は歯板のサ
イズや取り付け面の歪みの総量を参酌して決定するが、
一般には数mmの単位で足りると考えられる。
補強鉄板3を重ね、補強鉄板3のタップ孔32、35へ
ねじボルト4を螺合して回動すればねじ作用によって補
強鉄板3は取り付け面上から離れて浮き上がる状態を示
し、ねじが進むにつれて間隔Sが形成するが、このとき
補強鉄板3の表面34が水平を維持するように各位置に
亘ってねじ調整を行なう。この間隙Sの寸法は歯板のサ
イズや取り付け面の歪みの総量を参酌して決定するが、
一般には数mmの単位で足りると考えられる。
【0019】図(D)は歯板の取り付け面11と浮き上
がった補強鉄板裏面33との間で形成する間隙を全て密
封するように周囲の側面に流出防止プレート5を立て並
べた後、補強鉄板3を貫通する複数の注入孔35から樹
脂系バッキング材を注入して間隙を充填する。樹脂系バ
ッキング材として最も好ましい例は、商品名ノードバッ
クと名付けて市販されているエポキシ系の熱硬化型樹脂
を主体とするバッキング材であるが、その他に低融点の
ホワイトメタルを代用してもよい。要はバッキング材と
して取り付け面の反り、歪みなどの変形を吸収して水平
面を形成し、衝撃力が加わったときも徒らに弾性変形し
て途中で衝撃力を空費するのではなく、全面で受け止め
るように適度の可塑性と若干の可撓性を具えた材料であ
ることが必要な要件である。
がった補強鉄板裏面33との間で形成する間隙を全て密
封するように周囲の側面に流出防止プレート5を立て並
べた後、補強鉄板3を貫通する複数の注入孔35から樹
脂系バッキング材を注入して間隙を充填する。樹脂系バ
ッキング材として最も好ましい例は、商品名ノードバッ
クと名付けて市販されているエポキシ系の熱硬化型樹脂
を主体とするバッキング材であるが、その他に低融点の
ホワイトメタルを代用してもよい。要はバッキング材と
して取り付け面の反り、歪みなどの変形を吸収して水平
面を形成し、衝撃力が加わったときも徒らに弾性変形し
て途中で衝撃力を空費するのではなく、全面で受け止め
るように適度の可塑性と若干の可撓性を具えた材料であ
ることが必要な要件である。
【0020】充填した樹脂系バッキング材が固化したの
ち、さらに鋳込み金12の頭部を補強鉄板の表面34の
レベルに合わせて全面溶接し、溶接後グラインダによっ
て平滑に仕上げ、全周に立て並べた流出防止プレート5
を取り外し、ねじボルト4を逆方向に回動して抜き取り
歯板として完成する。
ち、さらに鋳込み金12の頭部を補強鉄板の表面34の
レベルに合わせて全面溶接し、溶接後グラインダによっ
て平滑に仕上げ、全周に立て並べた流出防止プレート5
を取り外し、ねじボルト4を逆方向に回動して抜き取り
歯板として完成する。
【0021】図2は本発明に係る歯板の平面図(A)正
面図(B)側面図(C)をそれぞれ示し、歯板の取り付
け面11の両側面には破砕機の取り付け面への嵌まり込
みの突条13を配置し、中央と全周に亘って合計18箇
所に鋳込み金12を立設している。図3(A)は補強鉄
板の平面図であり、補強鉄板3は前記の突条13を避け
て切り欠いた厚さ12mmの鋼板で形成し、取り付け孔
31、タップ孔32、注入孔35をそれぞれ均等に案分
して要所に穿孔しているが、この場合には角形に切り抜
いた多数の角孔36から直接ノードバックを注入しても
よい。いずれにしてもノードバックは補強鉄板表面34
と同一面に達するまで注入する必要はなく、たとえば図
(B)のように角孔36内を数mm上昇したレベルで留
めてもよい。このときはノードバックの表面が、いわゆ
る「盗み」の状態となる。
面図(B)側面図(C)をそれぞれ示し、歯板の取り付
け面11の両側面には破砕機の取り付け面への嵌まり込
みの突条13を配置し、中央と全周に亘って合計18箇
所に鋳込み金12を立設している。図3(A)は補強鉄
板の平面図であり、補強鉄板3は前記の突条13を避け
て切り欠いた厚さ12mmの鋼板で形成し、取り付け孔
31、タップ孔32、注入孔35をそれぞれ均等に案分
して要所に穿孔しているが、この場合には角形に切り抜
いた多数の角孔36から直接ノードバックを注入しても
よい。いずれにしてもノードバックは補強鉄板表面34
と同一面に達するまで注入する必要はなく、たとえば図
(B)のように角孔36内を数mm上昇したレベルで留
めてもよい。このときはノードバックの表面が、いわゆ
る「盗み」の状態となる。
【0022】
【発明の効果】本発明は抜群の耐摩耗性を具えながらも
靱性が乏しいために使用範囲に制約のあった高Cr鋳鉄
製の歯板を従来よりも広範囲に使用できる構造に改めた
ため、プラント全体の稼働率、生産性の向上に大きく貢
献する効果がある。単に耐用期間が延長しただけでな
く、破砕効率も従来に比べると低下する度合いが著しく
鈍化し、長い間、高い破砕効率を持続できる。また脆性
の改善原理が弾性体による緩衝作用に依存するのではな
く、主として応力の均等な分散による局部集中の阻止に
あるから、破砕力の低下、エネルギーの空費などの悪影
響はほとんど見られず、この点も従来技術には認められ
ない特徴的な効果である。
靱性が乏しいために使用範囲に制約のあった高Cr鋳鉄
製の歯板を従来よりも広範囲に使用できる構造に改めた
ため、プラント全体の稼働率、生産性の向上に大きく貢
献する効果がある。単に耐用期間が延長しただけでな
く、破砕効率も従来に比べると低下する度合いが著しく
鈍化し、長い間、高い破砕効率を持続できる。また脆性
の改善原理が弾性体による緩衝作用に依存するのではな
く、主として応力の均等な分散による局部集中の阻止に
あるから、破砕力の低下、エネルギーの空費などの悪影
響はほとんど見られず、この点も従来技術には認められ
ない特徴的な効果である。
【図1】本発明の実施手順を示す歯板の斜視図(A)、
補強鉄板の斜視図(B)、両部材を重ね合わせた正面図
(C)、注入後の正面図(D)である。
補強鉄板の斜視図(B)、両部材を重ね合わせた正面図
(C)、注入後の正面図(D)である。
【図2】本発明における歯板の平面図(A)、正面図
(B)、側面図(C)である。
(B)、側面図(C)である。
【図3】本発明における補強鉄板の平面図(A)と完成
後の一部縦断正面図(B)である。
後の一部縦断正面図(B)である。
【図4】ジョークラッシャー全体を示す正面図である。
【図5】(A)(B)(C)によって従来技術の3種類
の実施例を示す。
の実施例を示す。
1 歯板 2 樹脂系バッキング材 3 補強鉄板 4 ねじボルト 5 流出防止プレート 11 取り付け面 12 鋳込み金 21 下面 22 上面 31 取り付け孔 32 タップ孔 33 裏面 34 表面 35 タップ孔 36 開口部 S 間隙
Claims (3)
- 【請求項1】 高Cr鋳鉄製のジョークラッシャー用歯
板において、歯板1の取り付け面11側へ下面21が該
取り付け面11の鋳造歪みに沿って密着し上面22が水
平面よりなる樹脂系バッキング材2と、該上面22に密
着して水平に調整した補強鉄板3を積層し、該歯板1、
樹脂系バッキング材2、補強鉄板3を挿通する複数の鋳
込み金12を溶着して一体的に固定したことを特徴とす
るジョークラッシャー用歯板。 - 【請求項2】 請求項1において、樹脂系バッキング材
に代えてホワイトメタルを積層したことを特徴とするジ
ョークラッシャー用歯板。 - 【請求項3】 歯板1の取り付け面11に相当する鋳型
面へ複数の鋳込み金12を立設して高Cr鋳鉄の溶湯を
注湯し、鋳造歯板を手入れ仕上げた後、鋳込み金12の
位置と一致する取り付け孔31を穿孔した補強鉄板3を
重ね合せ、別に補強鉄板3へ複数穿孔したタップ孔3
2、35へねじボルト4を螺合して回動し、補強鉄板3
の表面34が水平となるように調整しつつ補強鉄板裏面
33と歯板取り付け面11との間に間隙Sを形成し、別
に複数箇所に開口した注入孔35から樹脂系バッキング
材2を流し込んで充填し、樹脂系バッキング材2が固化
した後、前記鋳込み金12と取り付け孔31との周囲を
溶着して歯板1、樹脂系バッキング材2、補強鉄板3を
一体的に固定し、ねじボルト4を取り外すことにより取
付け面の調整をすることを特徴とするジョークラッシャ
ー用歯板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36950097A JP3151764B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | ジョークラッシャー用歯板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36950097A JP3151764B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | ジョークラッシャー用歯板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11188275A JPH11188275A (ja) | 1999-07-13 |
JP3151764B2 true JP3151764B2 (ja) | 2001-04-03 |
Family
ID=18494582
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36950097A Expired - Fee Related JP3151764B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | ジョークラッシャー用歯板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3151764B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111347015B (zh) * | 2020-03-09 | 2021-12-07 | 秦皇岛博硕光电设备股份有限公司 | 金属浇铸破碎一体机、所用的破碎颚板及所用的破碎装置 |
-
1997
- 1997-12-25 JP JP36950097A patent/JP3151764B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11188275A (ja) | 1999-07-13 |
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