JP3149425B2 - 陰イオン汚染物の除去における濃度管理方法 - Google Patents

陰イオン汚染物の除去における濃度管理方法

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JP3149425B2 JP04818796A JP4818796A JP3149425B2 JP 3149425 B2 JP3149425 B2 JP 3149425B2 JP 04818796 A JP04818796 A JP 04818796A JP 4818796 A JP4818796 A JP 4818796A JP 3149425 B2 JP3149425 B2 JP 3149425B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CrO4 2-、Cr
2O7 2-、AsO4 3-、AsO3 3-、SeO4 2-、SeO3 2-、CN-、PbO2 2-
等の陰イオン汚染物を土壌内から除去する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】工場廃水、工場廃棄物、鉱山廃水などに
よって汚染された土壌には、カドミウム、鉛、銅、亜
鉛、砒素、セレン、ニッケル、クロム等の汚染物質が含
まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置
すると、かかる物質が地下水や生物サイクルを介して環
境に拡散する危険性がある。
【0003】そのため、汚染された土壌は、これを掘削
除去して所定の処理を施し、しかる後に管理型あるいは
遮断型の処分地に廃棄処分する一方、掘削された孔内に
は通常の土を客土して原状復帰するのが一般的である。
【0004】ところが、かかる方法では、掘削の際に汚
染土を攪乱して二次汚染のおそれがあるとともに、汚染
土を大量に搬出、運搬しなければならないという問題
や、既存建築物の近接部や直下では掘削除去自体が困難
になるという問題が生じる。そのため、最近では、原位
置で浄化する技術が研究され始めており、その一つとし
て通電により汚染物質を回収する方法が特開平5-59716
号公報に開示されている。
【0005】当該方法においては、まず、処理対象の地
盤範囲に止水壁を構築し、次いで、その地盤範囲に多数
の通水孔を有する中空管からなる陽極および陰極を挿入
し、次いで、当該地盤範囲に適宜散水してから電極間に
直流電圧を印加し、次いで、電気浸透現象によって陰極
側に集まった水を中空管を介して排水回収する。
【0006】かかる方法によれば、所定の汚染物質は、
電気浸透現象による水の流れに乗って陰極側に流れ込む
ので、これを排水回収することにより、当該汚染物質を
除去することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、クロム、砒素、
セレン、シアン、鉛などは、それぞれCrO4 2-、Cr
2O7 2-、AsO4 3-、AsO3 3-、SeO4 2-、SeO3 2-、CN-、PbO2 2-
等の陰イオンの形で土壌に含まれている。そして、こ
れら陰イオン汚染物は、通電を行うと、陰極に移動する
水の流れに逆らいながら電気泳動によって陽極方向に力
を受けるので、陰極側ではほとんど回収できないことが
本出願人が行った実験で判明した。そのため、陰イオン
汚染物を回収するには、陽極付近に集まったものを土と
ともに除去するしかないが、土の掘削、運搬、客土など
一連の作業が必要となり、その除去効率はきわめて悪
い。
【0008】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、陰イオン汚染物を効率よく土壌内から回収可
能な陰イオン汚染物の除去における濃度管理方法を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の陰イオン汚染物の除去における濃度管理方
法は請求項1に記載したように、陰イオン汚染物を含む
土壌内に陽極および陰極を埋設し、次に前記土壌への給
水および前記陽極近傍からの排水を継続的に行いながら
前記陽極および前記陰極間に直流電圧を印加して通電を
行い、前記陽極側に集まった前記陰イオン汚染物の濃度
を測定して該測定濃度が所定の範囲内でない場合に前記
給排水の量を調整するものである。
【0010】また、本発明に係る陰イオン汚染物の除去
における濃度管理方法は、排水された水に含まれる前記
陰イオン汚染物の分離除去処理を酸性環境下で行い、そ
の処理水を給水用にリサイクルするものである。
【0011】本発明に係る陰イオン汚染物の除去におけ
る濃度管理方法においては、陰イオン汚染物を含む土壌
内に陽極および陰極を埋設し、次に前記土壌への給水お
よび前記陽極近傍からの排水を継続的に行いながら前記
陽極および前記陰極間に直流電圧を印加して通電を行う
が、通電中をはじめとして終始、陰極側では非排水と
し、電気浸透による陰極への水の移動を阻止しておく。
【0012】すると、陰イオン汚染物は、電気浸透によ
る陰極への水の移動にあえて逆らうことなく、電気泳動
によって自然に陽極に集まる。なお、陽極に近づくほど
酸性度が上昇して陰イオン汚染物の溶解度が高くなるの
で、より効率的に回収される。
【0013】一方、陽極側に集まった陰イオン汚染物の
濃度を測定監視し、該測定濃度が所定の範囲内でない場
合、給排水の量を調整し、陽極近傍の陰イオン汚染物の
濃度を一定に維持する。
【0014】ここで、排水された水に含まれる陰イオン
汚染物の分離除去処理を酸性環境下で行い、その処理水
を土壌に給水リサイクルすれば、土壌中の陰イオン汚染
物の溶解度が増大し、除去効率が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る陰イオン汚染
物の除去における濃度管理方法の実施の形態について、
添付図面を参照して説明する。
【0016】図1は、本実施形態に係る陰イオン汚染物
の除去における濃度管理方法の手順を示したフローチャ
ートである。本実施形態の除去における濃度管理方法に
おいては、まず図2(a) に示すように、CrO4 2-、Cr2O7
2-、AsO4 3-、AsO3 3-、SeO4 2-、SeO3 2-、CN-、PbO2 2-
の陰イオン汚染物を含む土壌1内に陽極2および陰極3
を埋設する(図1、ステップ101)。
【0017】ここで、陰極3は例えば鉄筋棒で構成する
のがよい。また、陽極2は、炭素棒等の導電性中空管に
多数の孔を設けて構成してあり、電極とストレーナ管と
を兼用させてある。そして、陽極2の中には、給水管5
およびポンプアップによる排水を行うための排水管6を
配設してあり、該給水管5、排水管6は、地上に設置さ
れた給排水ポンプ7に接続してある。
【0018】一方、陽極2の内部には陰イオン汚染物の
濃度を測定する濃度センサ8を設置してあり、地上に設
置されたコンピュータ9に随時計測データを転送するよ
うになっている。そして、コンピュータ9は、該データ
の大きさに応じて給排水ポンプ7の作動並びに停止を切
替制御するようになっている。
【0019】次に、同図に示すように、コンピュータ9
を操作して給排水ポンプ7を作動させ、給水管5および
陽極2を介して汚染土壌1に給水を行うとともに排水管
6を介して陽極2からの排水を行う。また、これらの給
排水を行いながら陽極2および陰極3の間に直流電圧を
印加して通電を行う(ステップ102)。
【0020】ここで、通電時間は、土質性状、陰イオン
汚染物の種類や濃度などによってさまざまであるが、例
えば数日間継続して行うのがよい。水の交換量について
も、通電量や土の性状に合わせて適宜設定すればよい。
【0021】また、陽極2付近の水位は、陰極3側の水
位が地表面に達することがない程度に適宜調整する。ま
た、陰極3側では、通電中をはじめ終始非排水とし、電
気浸透による陰極3への水の移動を阻止しておく。
【0022】すると、土壌1中の水は、電気浸透によっ
て陰極3へ移動しようとするが、陰極3側では排水され
ないため、陰極3へ移動しようとする力と陰極3付近の
水位の若干の上昇による圧力とが平衡し、水は移動しな
くなる。
【0023】かかる状態で通電を継続すれば、陰イオン
汚染物は、図2(b) に示すように電気浸透による陰極3
への水の移動にあえて逆らうことなく、電気泳動によっ
て自然に陽極2に集まる。しかも、陽極2に近づくほど
酸性度が上昇して陰イオン汚染物の溶解度が高くなるの
で、より効率的な回収が可能となる。
【0024】なお、陽極2から回収された水は、酸性環
境のままイオン交換樹脂等を用いて水処理を行い、該水
中の陰イオン汚染物を分離除去するとともに、陰イオン
汚染物が除去された後の処理水を給水用にリサイクルす
る。
【0025】陽極側で回収された水は酸性度が高い。し
たがって、これをアルカリにして一般的な水処理を行う
よりも、酸性環境をそのまま生かして陰イオン汚染物を
分離処理し、処理された後の処理水を給水用にリサイク
ルするようにすれば、陰イオン汚染物を溶解させやすい
水を土壌中に給水することができる。
【0026】一方、陽極2の側に集まってくる陰イオン
汚染物の濃度を濃度センサ8でリアルタイムで計測して
コンピュータ9に随時転送し(ステップ103)、測定
された陰イオン汚染物の濃度が所定の範囲内に収まって
いるかどうかをコンピュータ9で継続監視する(ステッ
プ104)。ここで、所定範囲の上限は、電気泳動の効
果が低下する限界を考慮して、500〜1000ppm
とするのがよい。
【0027】そして、測定濃度が所定の範囲内であれば
そのまま陰イオン汚染物の濃度の監視を続行し、測定濃
度が所定の範囲内に収まっていない場合には、陰イオン
汚染物の濃度が一定になるようにコンピュータ9で給排
水ポンプ7を駆動制御し、給排水量を適宜調整する(ス
テップ105)。
【0028】このような給排水の監視を土壌の洗浄が終
了するまで繰り返し、工事終了後は、陰イオン汚染物が
分離除去された排水をpH処理して下水に放流する。
【0029】以上説明したように、本実施形態に係る陰
イオン汚染物の除去における濃度管理方法によれば、陰
極側を非排水とし陽極側からのみ排水するようにしたの
で、CrO4 2-、Cr2O7 2-、AsO4 3-、AsO3 3-、SeO4 2-、SeO3
2-、CN-、PbO2 2-などの陰イオン汚染物は、電気浸透に
よる水の流れに邪魔されることなく、電気泳動によって
スムーズに陽極に到達し、かくして、陰イオン汚染物を
効率よく陽極に集めてこれを回収することが可能とな
る。
【0030】また、陽極に近づくほど陰イオン汚染物の
溶解度が高くなるので、陰極〜陽極間の広い範囲の土壌
を除染することができる。
【0031】また、陰極非排水としたことによって電気
浸透による水の移動がなくなり、その分、給排水の量や
位置によって土壌中の水の流れを制御できるようにな
る。
【0032】また、排水中の陰イオン汚染物の分離除去
処理を酸性状態のまま行い、該処理水を給水用にリサイ
クルするようにしたので、土壌中の陰イオン汚染物が溶
解しやすい状態となり、いったんアルカリに戻して分離
除去し、これを給水用にリサイクルするよりも土壌中の
陰イオン汚染物をより効率的に回収除去することが可能
となる。
【0033】また、陽極に集まった陰イオン汚染物の濃
度が一定となるように必要に応じて給排水量を調整する
ようにしたので、長期的な自動管理が可能になるととも
に、陽極から回収された陰イオン汚染物の濃度も常に一
定となり、後工程である分離除去処理がきわめてやりや
すくなる。
【0034】本実施形態では、炭素棒で構成した陽極を
ストレーナ管兼用としたが、陽極とストレーナ管とを別
体としてもよい。
【0035】また、本実施形態では、給水を陽極側から
行うようにしたが、給水位置については特に限定される
ものではなく、陽極側に加えてあるいはその代わりに電
極間の所望の位置で地表面から散水し、例えば電気分解
による損失分を補充するようにしてもよい。
【0036】また、本実施形態では、酸性環境のまま水
処理を行う方法として、イオン交換樹脂を用いた方法を
採用したが、かかる方法に代えて、例えば砒素やセレン
を鉄化合物に吸着させて除去を図る方法を採用してもよ
い。
【0037】また、本実施形態では、排水された水を酸
性環境のまま水処理するようにしたが、必ずしも酸性の
ままで処理する必要はなく、いったんアルカリ性にして
から陰イオン汚染物の分離除去水処理を行うようにして
もよいし、かかる場合、処理水を給水用にリサイクルし
なくてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の陰イオン汚
染物の除去における濃度管理方法は、陰イオン汚染物を
含む土壌内に陽極および陰極を埋設し、次に前記土壌へ
の給水および前記陽極近傍からの排水を継続的に行いな
がら前記陽極および前記陰極間に直流電圧を印加して通
電を行い、前記陽極側に集まった前記陰イオン汚染物の
濃度を測定して該測定濃度が所定の範囲内でない場合に
前記給排水の量を調整するので、陰イオン汚染物を効率
よく土壌内から回収することができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る陰イオン汚染物の除去におけ
る濃度管理方法の手順を示したフローチャート。
【図2】本実施形態に係る陰イオン汚染物の除去におけ
る濃度管理方法の作用を説明したものであり、(a)は通
電前の様子、(b)は通電中の様子を示した図。
【符号の説明】
1 汚染土壌 2 陽極(ストレーナ管) 3 陰極 5 給水管 6 排水管 7 給排水ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−297613(JP,A) 特開 平5−59716(JP,A) 特開 平9−47748(JP,A) 特開 平9−215974(JP,A) 特開 平9−215973(JP,A) 特表 平8−511990(JP,A) 特表 平10−500620(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09C 1/00 - 1/10 A62D 3/00 E02D 3/11 E21B 43/00 - 43/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰イオン汚染物を含む土壌内に陽極およ
    び陰極を埋設し、次に前記土壌への給水および前記陽極
    近傍からの排水を継続的に行いながら前記陽極および前
    記陰極間に直流電圧を印加して通電を行い、前記陽極側
    に集まった前記陰イオン汚染物の濃度を測定して該測定
    濃度が所定の範囲内でない場合に前記給排水の量を調整
    することを特徴とする陰イオン汚染物の除去における濃
    度管理方法。
  2. 【請求項2】 排水された水に含まれる前記陰イオン汚
    染物の分離除去処理を酸性環境下で行い、その処理水を
    給水用にリサイクルする請求項1記載の陰イオン汚染物
    の除去における濃度管理方法。
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