JP3149239U - 片手で操作可能な注射器、注射器用補助具及び注射器セット - Google Patents

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【課題】特に、第7頚椎の前面に存在する星状神経節ブロックの医療的施術又は手技をするのに好適な、片手で操作可能な注射器、注射器用補助具及び注射器セットを提供する。【解決手段】注射シリンダ2に嵌着される半円筒状部材の両側に中指と人差し指を差込むリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダ2の翼部3に係止する係止片を設けた指固定具7を着脱自在にシリンダ2後部に嵌着すると共に、ピストン5の軸端部と円盤状の端面間に、円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度を有して連結された親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材8を着脱自在に取着し、指固定具7のリング体に中指と人差し指を差し込み、押し込み部材8に差し込んだ親指で円盤状の端面を押してシリンダ2を移動させ、親指で大リングを後方へ引いてピストン5を後方に移動させることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本考案は、片手で操作可能な注射器、注射器用補助具及び注射器セット、特に、第7頚椎の前面に存在する星状神経節ブロックの医療的施術又は手技をするのに好適な、片手で操作可能な注射器、注射器用補助具及び注射器セットに関するものである。
従来より、脳卒中後の肩手症候群、頭痛、頚腕症候群、首・肩こり、むちうち損傷、肩関節周囲炎、肩峰下石灰沈着症、上腕骨外側上果炎、肘関節痛、腱鞘炎、慢性関節リウマチ、首・肩上肢部の筋肉痛、レイノー病、自律神経失調症等の症状に対する治療として、第7頚椎の前面に存在する星状神経節ブロックの施術又は手技が良好であることが知られている。
これらの施術又は手技として、前記星状神経節ブロックに対する注射法が一般であったが、この星状神経節ブロック周辺には、内頚動脈、椎骨動脈、反回神経、腕神経叢、肺尖部、脊髄神経など複雑な解剖学的交差点を形成しているため、注射法による場合、針先がそれぞれの臓器に誤って刺入された場合、発声困難、上腕神経麻痺、血腫全身痙攣、呼吸停止、気胸、ショックなどを生ずるため細心の注意を払わないと患者の身体に関する重大事件にも発展すること等、危険性を伴っていた。星状神経節ブロックの合併症は反回神経麻痺などの小規模なものから、血管内注入による全身麻痺や硬膜外ブロックなど重大なものまであり、更には遅発性の重篤な頚部縦隔血腫も10万例に1〜2件とまれではあるが報告されている。手技上の過ちをいかに少なくするかが重要である。
注射法で針を体内の所定位置に正確に刺して薬剤を注入して神経の伝導をブロックするには、例えば星状神経節ブロックでは、術者が患者の頭側に立ち、両上肢で患者の頭頚部を抱えるような姿勢で、左手にて内頸動脈などの軟部組織を外側に圧排する操作を行った後、注射器を左手で保持しなおし、右手で血液の逆流のないことを確認して注射する。
しかしこのような従来の手技は、針先の固定が不安定となり、合併症は減らしようがないのが実態である。両手作業では注射器の微妙な刺入角度の調整と操作中の患者の反応、特に顔の表情が十分に観察できないため、注射器の片手使用の利便性が非常に重視されている。従来の注射器を片手で使用しようとすると図1に示すように、示指、中指をシリンダ2の翼部3に掛け、親指でピストン5を押し込み注射を完了する。注射完了後は、示指、中指でピストン5の後端面を押さえ、親指でシリンダ後端に設けられた翼部3を押し、ピストンをシリンダ後方に引き込む。
しかしながら、翼部3の両側は外側へと張り出し、中央は内側に収縮しているため、指で押す時、両側の翼部3を正確に押さなければならない。そのため時にはシリンダ2を回転し、角度を変える必要も生じる。注射器を片手で操作する場合、シリンダ翼部3の方向性に制限があるため非常に使用しづらいという問題があった。注射時に両手を使用すれば上記問題点は解決するが両手が塞がれているときに、患者の予期せぬ動きによって、注射針で患者を傷つける危険がある。特に星状神経節ブロックに対する注射法では、操作中に患者の反応を十分に観察しながら注射針の微妙な刺入角度の調節を行うため、両手がふさがれることは極めて危険であった。
上記の問題点を解決するため、片手だけで操作可能な種々の注射器や、既成の注射器に補助具を取り付けて片手で操作する注射器が提案されている。例えば特表2004−516909には、2つの主要部を備えており、第1要部すなわちシリンダは一端で座面を形成し、第2要部すなわち軸棒はブッシュ要素を備え、上記シリンダに挿入される。この注射器は、片手だけで用いることができ、手の指の位置を変更することによって、吸引および排出の両方の注射行為を行うことができる(特許文献1参照)。
特表2004−516909号公報
上記提案の注射器は、片手で使用可能な注射器として優れた構造であるが、構造が複雑なため使用時に故障が生ずる恐れがある。また特定の形状に成型された2つの主要部を組合わせて使用するため、シリンダの容量ごとに大きさの異なる多数の注射器を用意する必要があり、価格アップが避けられない。また図1に示す既存の注射器には適用できないという問題があった。
本考案は、
したがって、本考案の目的は、従来の片手で使用可能な注射器の問題点を解決し、注射部位の軟部組織(特に総頚動脈)を左手で圧排操作をしながら安全にブロックすることのできる、構造が簡単で安価な、片手で操作可能な注射器を提供することである。
更に本考案の目的は、既存の注射器に適用して、片手で操作可能にするための注射器用補助具を提供することである。
本考案の目的は、星状神経節ブロックの医療的施術又は手技をするのに好適な、片手で操作可能な注射器、注射器用補助具および注射器セットを提供することである。
すなわち、本考案の片手で操作可能な注射器は、シリンダ、該シリンダの後端に設けられた翼部、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド、該シリンダ内部に収容されたピストン及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面からなる注射器の、該シリンダに嵌着される半円筒状部材の両側に中指と示指を差込む2つのリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダの翼部に係止する係止片を設けた指固定具を着脱自在にシリンダ後部に嵌着すると共に、該ピストンの軸端部と軸端に設けられた円盤状の端面間に、円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度をなして連結された、親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材を着脱自在に取着し、指固定具の2つのリング体に中指と示指を差し込み、押し込み部材に差し込んだ親指で円盤状の端面を押してシリンダを移動させ、親指で大リングを後方へ引いてピストンを後方に移動させるよう構成したことを特徴とする片手で操作可能な注射器である。
更に、本考案の片手で操作可能な注射器用補助具は、シリンダ、該シリンダの後端に設けられた翼部、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド及び該シリンダ内部に収容されたピストン及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面からなる注射器を片手で操作可能な注射器とするための注射器用補助具であって、シリンダに嵌着される半円筒状部材の両側に中指と示指を差込む2つのリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダの翼部に係止する係止片を設けた指固定具と、該ピストンの軸端部と円盤状の端面間に着脱自在に嵌着され、かつ円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度をなして連結された親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材からなり、指固定具の2つのリング体に中指と示指を差し込み、押し込み部材に差し込んだ親指で円盤状の端面を押してシリンダを前方に移動させ、親指で大リングを後方へ引いてピストンを後方に移動させるよう構成したことを特徴とする片手で操作可能な注射器用補助具である。
である。
本考案の注射器セットは、シリンダ、該シリンダの後端に設けられた翼部、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド及び該シリンダ内部に収容されたピストン及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面からなる注射器と、該シリンダに嵌着される半円筒状部材の両側に中指と示指を差込む2つのリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダの翼部に係止する係止片を設けた指固定具及び該ピストンの軸端部と円盤状の端面間に着脱自在に嵌着され、かつ円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度をなして連結された親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材からなる片手で操作可能な注射器セットである。
該指固定具及び押し込み部材がステンレス材料からなる片手で操作可能な注射器、注射器用補助具及び注射器セットである。
本考案の注射器は、堅牢で弾力を有する特殊金属板(通常ステンレスが使用される)でU字溝状に曲げた構造の指固定具を注射器のシリンダにしっかりとはめ込み固定する。この状態でU字溝の両外側に水平に取り付けられた2個のリング体に右手示指と中指を入れる。またピストンの根元に金属製のひょうたん型の大小のリングからなる押し込み部材をはめ込み、大リングに右親指を入れることでピストンを移動させて注射器を吸引する。本考案の注射器は、既成の注射器に簡単に取り付けることで右手だけで注射器を確実に保持でき、針先の不安定さを解消して血液の逆流確認と薬液の安全な注入が可能となる。左右の頚動脈ブロックの際にもそれぞれの患者のブロックする側に立つことで、注射器での施術が困難であった星状神経節ブロックの医療的施術又は手技を安全、かつ確実に行うことが可能となった。
本考案の注射器用補助具を既成の注射器のシリンダとピストンに取り付けると両手で使用する注射器を簡単に片手で使用できる注射器として使用することができる。また、注射器用補助具は既成の注射器に簡単に取り付けることができ、滅菌すれば再使用も可能である。
次に本考案の片手で操作可能な注射器の一実施例を図面にて説明する。図2は本考案の片手で操作可能な注射器の斜視図である。シリンダ2、該シリンダの後端に設けられた翼部3、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド4及び該シリンダ内部に収容されたピストン5及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面6からなる注射器1のシリンダ2の端に指固定具7及びピストン5の端部と円盤状の端面6との間に押し込み部材8が夫々着脱自在に取り付けられている。
指固定具7は図3に示すようにシリンダ2に嵌着される半円筒状の部材9と、その両側に設けられた中指と人差し指を引っ掛けるリング体10、11及び半円筒状部材9の端部にシリンダの翼部3に係止する係止片12が設けられている。半円筒状部材9はシリンダ2に着脱自在に嵌着される。そのためシリンダに嵌着する開口部は弾力性を有していることが好ました。また指固定具7は一枚の金属板から裁断して折り曲げ加工により製作すると外観を良くし、しかも強度を向上させることができて好ましい。
図4のように裁断された裁断片の長方体9’を7矢印方向に折り曲げて、円筒状部9を成形し、2つの細片10’、11’はリング状に折り曲げられ、細片の端は円筒状部9に溶接されている。また円筒状部9の開口端部は強度及び弾性を上げるために端を折り曲げて二重構造にしている。
長方体9’の中心に突出する少片12’は、折り曲げられてシリンダの翼部3に係止する係止片12となる。かかる指固定具は通常厚さ1〜1.6mmのステンレス等の耐食性の金属板が使用される。鉄板等を使用する場合はアルコール等の消毒液で錆びないよう成形後に金、銀などのめっきを施す必要がある。
図5は注射器1のシリンダ2の端に指固定具7及びピストン5の端部とピストン5の端に設けられた円盤状の端面6との間着脱自在に取り付けられる押し込み部材8であり、円盤状の端面6より小径の小リング13と該小リングと角度を有して連結された親指が差し込み可能な大リング14を有する。かかる部材8は通常直径2〜3mmのステンレスの丸棒を曲げ加工したものが使用され、両端は溶接で一体化されている。鉄棒を使用する場合は、消毒液で錆びないように金、銀などのめっきを施す必要がある。小リング13と大リング14とはシリンダの押し込みが安定に行われるように45〜60度の角度を設けることが好ましい。通常60度前後の角度が設けられている。
本考案の注射器は予め、シリンダ2の端に指固定具7及びピストン5の端部とピストン5の端に設けられた円盤状の端面6との間着脱自在に取り付けられる押し込み部材8が取り付けられており、使用時にシリンダ内に薬液を吸引して使用する注射器のかたちであっても、或いは使用時に既成の注射器に指固定具7及び押し込み部材8からなる注射器用補助具を取り付けて使用するタイプでもよい。また商品形態として注射器1、指固定具7及び押し込み部材8がセットとしては販売されるケースがある。その場合注射器のシリンダ内に予め薬剤を収容しておけば緊急時に直ちに使用が可能である。
本考案の注射器を使用するときには、左手の中指と示指を指固定具7の二つのリング体に掛け、親指を押し込み部材8の大リングに掛け、親指でピストン5の端に設けられた円盤状の端面6を押す。こうしてピストン5を押して注射を行う。注射する際は、例えば左星状神経節ブロックでは、術者が患者の左の頭側に立ち、両上肢で患者の頭頚部を抱えるような姿勢で、左の示指、中指による周囲組織の圧排、横突起の触知をする。その際右手に持つ注射器の傾きが頭側から見れることにより、注射時に微妙な刺入角度の調整と操作中の患者の反応、特に顔の表情を十分に観察しながら注射器を使用する。
注射の完了時には、中指と示指を指固定具7に掛けて、シリンダを固定し、次に親指を押し込み部材8の大リングに掛けて後方に引く。こうして、ピストン5はシリンダに相対して移動し、後方へと引くことができる。
以上のように本考案の注射器は、従来両手で注射しなければならなかった第7頚椎の前面に存在する星状神経節ブロックの医療的施術又は手技を、左の示指、中指による周囲組織の圧排、横突起の触知しながら、右手に持つ注射器の傾きを頭側から見ることにより、血液の逆流確認と薬液の安全な注入が可能となると共に、微妙な刺入角度の調整と操作中の患者の反応、特に顔の表情が十分に観察できるため安全に施術又は手技をすることができるという効果を奏する。
既成の注射器の斜視図である。 本考案の片手で操作可能な注射器の斜視図である。 指固定具の斜視図である。 指固定具用の金属板の態を示す平面図である。 押し込み部材の斜視図である。
符号の説明
1・・・注射器
2・・・シリンダ
3・・・翼部
4・・・針ヘッド
5・・・ピストン
6・・・円盤状の端面
7・・・指固定具
8・・・押し込み部材
9・・・半円筒状の部材
10、11・・リング体
12・・係止片
13・・少リング
14・・大リング

Claims (4)

  1. シリンダ、該シリンダの後端に設けられた翼部、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド、該シリンダ内部に収容されたピストン及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面からなる注射器の、該シリンダに嵌着される半円筒状部材の両側に中指と示指を差込む2つのリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダの翼部に係止する係止片を設けた指固定具を着脱自在にシリンダ後部に嵌着すると共に、該ピストンの軸端部と軸端に設けられた円盤状の端面間に、円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度をなして連結された、親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材を着脱自在に取着し、指固定具の2つのリング体に中指と示指を差し込み、押し込み部材に差し込んだ親指で円盤状の端面を押してシリンダを移動させ、親指で大リングを後方へ引いてピストンを後方に移動させるよう構成したことを特徴とする片手で操作可能な注射器。
  2. シリンダ、該シリンダの後端に設けられた翼部、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド及び該シリンダ内部に収容されたピストン及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面からなる注射器を片手で操作可能な注射器とするための注射器用補助具であって、シリンダに嵌着される半円筒状部材の両側に中指と示指を差込む2つのリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダの翼部に係止する係止片を設けた指固定具と、該ピストンの軸端部と円盤状の端面間に着脱自在に嵌着され、かつ円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度をなして連結された親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材からなり、指固定具の2つのリング体に中指と示指を差し込み、押し込み部材に差し込んだ親指で円盤状の端面を押してシリンダを前方に移動させ、親指で大リングを後方へ引いてピストンを後方に移動させるよう構成したことを特徴とする片手で操作可能な注射器用補助具。
  3. シリンダ、該シリンダの後端に設けられた翼部、該シリンダの前端に設けられた針ヘッド及び該シリンダ内部に収容されたピストン及び該ピストンの後端に設けられた円盤状の端面からなる注射器と、該シリンダに嵌着される半円筒状部材の両側に中指と示指を差込む2つのリング体を取着し、該半円筒状部材の端部にシリンダの翼部に係止する係止片を設けた指固定具及び該ピストンの軸端部と円盤状の端面間に着脱自在に嵌着され、かつ円盤状の端面より小径の小リングと該小リングと角度をなして連結された親指が差し込み可能な大リングを有する押し込み部材からなる片手で操作可能な注射器セット。
  4. 該指固定具及び押し込み部材がステンレス材料からなる請求項1乃至3記載の片手で操作可能な注射器、注射器用補助具及び注射器セット。
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