JP3149225B2 - バルクハウゼンノイズを用いた靭性の非破壊評価方法 - Google Patents

バルクハウゼンノイズを用いた靭性の非破壊評価方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金型やシャフト等の
材料の非破壊検査法に関するものであり、特にそれらの
材料の靭性をBHNと硬度及び焼入温度に基づき推定す
る非破壊評価法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製品の品質を保証すべき一つの特性とし
て靭性がある。靭性とは、脆性破壊に対する材料の強さ
をいう。脆性破壊としては切欠脆性、焼もどし脆性、低
温脆性破壊等が知られている。従って、一般に材料の切
欠脆性、焼もどし脆性、低温脆性破壊に対する安全性を
保証するためにはこれらに対する靭性を評価する必要が
ある。ここで靭性を評価するパラメーターとしてはシャ
ルピー衝撃値(kg・m/cm)、アイゾット衝撃値
(ft・lb)、吸収エネルギー、シェルフエネルギー
((upper)shelf energy)、脆性遷
移温度(エネルギー遷移温度、破面遷移温度、15ft
−1b遷移温度等)、破壊靭性(平面ひずみ破壊靭性
値、エネルギー開放率、弾塑性破壊靭性値)等がある。
【0003】例えば、金属材料等を熱間加工するときに
用いられる、いわゆる熱間金型においては、近年その形
状は大型化すると共に、使用環境はますます苛酷化して
きており、このような状況に対処していくために、熱処
理後の金型の品質保証(硬度と靭性)の重要性が改めて
見直されてきている。即ち、耐摩耗性等向上のための硬
度と割れ防止のための靭性が正確に非破壊評価できれ
ば、金型使用条件に応じて相反する両特性を最適な組み
合わせで確保することが可能となり、金型の品質保証及
び高寿命化を前進させることができる。しかし、現在、
硬度は測定されているものの、靭性については非破壊評
価する方法がなく、そのために金型の大型化等にともな
う焼入冷却速度の低下によって生じた靭性不足を正確に
把握できず、ときとして使用初期に大きな割れを引き起
こし問題となっている。
【0004】このような問題を解決するために、本発明
の発明者は、金型の靭性は熱処理組織と密接な関係があ
ることから、この組織変化を敏感に検出でき、かつ、非
破壊的な方法であるバルクハウゼンノイズ(BHN)法
に着目し、0.4C−5Cr−Mo−V熱間金型鋼の標
準焼入温度(1020℃)からの焼入焼もどし材を用い
て、BHN(磁化過程で発生する全BHNの出力電圧の
二乗和(Vp)の規格値(dVp))と硬度(H)およ
び靭性(シャルピー衝撃値(Ch))の関係を調べ、こ
れらの関係式(Ch=f(dVp,H))より靭性(C
h)を非破壊評価する方法を報告している(「鉄と鋼」
75年(1989)第5号P.833)。この報告に
よれば、Chは数3の様な形で表わされる。
【0005】
【数3】
【0006】したがって、dVpをBHN法にて求める
とともに、Hを硬度試験にて求めることにより、焼入温
度1020℃より焼入焼もどされた材料のChを非破壊
評価することができる。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】以上の本発明者らの報
告は、焼入温度(T)を用いた材料の標準焼入温度10
20℃に設定した場合の結果である。しかし、実際の金
型の焼入温度は、通常、靭性を優先する場合は1020
℃より低め(1015℃程度まで)に、又、強度を優先
する場合は1020℃より高め(1035℃程度まで)
に設定される。焼入温度が異なると焼もどし硬度(H)
が同じでもミクロ組織は異なり、一方、バルクハウゼン
ノイズ(BHN)や靭性(Ch)はミクロ組織に敏感で
あることから、焼入温度が異なった場合、dVpやCh
は異なると推定される。
【0008】従って、前述の本発明者等の報告で求めた
T=1020℃の場合のCh−dVp−Hの関係式を用
いて、焼入温度が1020℃と異なる場合のChを正確
に推定することはできず、Chを正確に推定するために
は、種々の焼入温度におけるCh−dVp−Hの関係を
個別に調べる必要がある。しかし、そのように種々の焼
入温度におけるCh−dVp−Hの関係を個別に調べる
ことは大変に煩雑であり、実際的ではない。したがっ
て、この発明は金型等の実用焼入温度範囲の種々の温度
から焼入れられた材料の靭性を正確に推定できるBHN
を用いた非破壊評価法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、まず、本発明者は実用焼入温度範囲でのCh−d
Vp−H−Tの総合的な関係を明らかにすべく、実用焼
入温度より広い範囲におけるこれら諸量の関係を調べ、
次に、この範囲において、ChをVp−H−Tの関数の
形[Ch=f(dVp,H,T)]で定量的かつ総合的
に表わすことによりChを非破壊評価する方法を検討し
た。その結果、実用焼入温度範囲において、焼入温度を
測定しBHN法と硬度試験を併用することにより、Ch
を定量的かつ総合的に非破壊評価できることを知見し、
本発明をなすにいたった。
【0010】すなわちこの発明によれば、バルクハウゼ
ンノイズ(V)と硬度(H)及び焼入温度(T)をパラ
メーターとし、これらの関数〔Ch=f(V、H、
T)〕として、材料の靭性(Ch)を推定する靭性の非
破壊評価方法が提供される。また、この発明によれば前
記BHN(V)として、磁化過程で発生する全BHNの
出力電圧の二乗和(Vp)を用いる靭性の非破壊評価方
法が提供される。加えてこの発明によれば、前記BHN
(V)として、BHNの瞬間出力電圧の最大値(Vh)
を用いる靭性の非破壊評価方法が提供される。
【0011】さらにこの発明によれば、前記Vpの代表
量として、Vpと最大磁化電圧(Vm)との直線関係を
利用し、両者の関係を数4で近似し、Vp=0VでのV
p、即ち、Vpを用いる靭性の非破壊評価方法が提供
される。
【0012】
【数4】
【0013】またさらにこの発明によれば、前記Vp*
として数5により規格化したdVp用いる靭性の非破
壊評価方法が提供される。
【0014】
【数5】 なお、基準材A、B:焼入温度、焼入冷却速度及び硬度
のいずれかが一つ以上異なる任意の材料
【0015】
【作用】次にこの発明の内容をその作用とともに更に詳
細に説明する。この発明によれば、材料の靭性(Ch)
を、BHN(V)と硬度(H)及び焼入温度(T)をパ
ラメーターとし、これら諸量の関数(Ch=f(V、
H、T))として推定する靭性の非破壊評価方法が提供
される。この発明は主として熱処理後の材料の切欠靭性
破壊に対する靭性の評価を行うものである。しかし、こ
の発明を適用することにより室温未満の低温下での材料
の低温脆性破壊や、不純物(p,S,As,Sb等)に
起因する焼もどし脆性破壊に対する靭性の評価を行うこ
とも検討され得る。
【0016】ここで、この発明が適用される材料として
は、SKD5,SKD6,SKD61,SKD62,S
KD7,SKD8等があり、熱処理組織の状態がBHN
に影響を及ぼす材料が対象となる。
【0017】さらにこの発明が適用される場合の焼入温
度(T)は特に限定されるものではなく、材料のオース
テナイト化状態を評価することを目的として、例えば炉
内雰囲気温度を熱電対で測定する等の手段により測定さ
れる。しかし、さらに正確にオーステナイト化状態を把
握するためには焼入温度のみならず保持時間も含めた焼
入パラメーターを用いるのが好ましい。
【0018】加えてこの発明を適用するにあたっての硬
度の測定方法は特に限定されるものではなく、「ブリネ
ル硬さ」、「ビッカース硬さ」、「ヌープ硬さ」、「ロ
ックエル硬さ」、「ショア硬さ」、「エコーチップ硬
さ」等種々の硬さパラメーターを用いることができる。
また対象材料の硬さは特に限定されるものではなく、例
えば熱間金型の場合は、ロックエル硬さでHRC43か
らHRC51程度となるが、冷間金型やハイスの場合は
HRC70程度となる場合もあり、一方、ローター材等
ではHRC43より低くなる場合もあり、いずれにして
もそれら全ての場合にこの発明を適用することができ
る。
【0019】この発明に用いられる諸量の総合的な関係
式Ch=f(V、H、T)は、この発明が適用されて材
料特性が評価される材料毎に決定される。ここでこの発
明に用いられるBHN(V)の特定方法は特に限られる
ものではないが、例えば磁化過程で発生するBHNの全
出力電圧を基礎とするパラメーター(全BHN出力電圧
の二乗和(Vp)やBHN出力電圧の平均出力電圧であ
る実効値(RMS)等)や、BHNの瞬間出力電圧を基
礎とするパラメーター(瞬間出力電圧の最大値(Vh)
等)及びBHNを周波数解析して得られるパラメーター
(スペクトラム)等を用いることができる。
【0020】なお、BHNは磁化過程のある時間範囲
(Δt)に集中して発生し、この発生範囲(Δt)は、
材料の化学成分が同じであっても磁化条件や熱処理後の
材質(硬度等)に依存して変化する。従って、Δtでの
BHN平均出力電圧であるRMSを求めるためには、予
め、Δtを定めておく必要がある。しかも、RMSはΔ
tの定め方に依存する。
【0021】一方、前記Vpは磁化過程での全BHN出
力電圧の二乗和であることからΔtを予め定める必要が
なく、しかも、Δtに依存しない。従って、この発明に
おいて材料の靭性を評価するBHNパラメーターとして
は、異なる磁化条件や異なる材質において求めた測定値
を相互比較する上で有利なVpを用いるのが好ましい。
【0022】また、Vpを求めるにあたってΔtが長す
ぎて一度に全BHNを測定できない場合には、Δtをあ
る時間長さに分割して、それぞれの時間範囲毎にBHN
出力電圧の二乗和を求め、次にそれらを合計することに
よってVpを求めることができる。この時、Δtを分割
したそれぞれの時間範囲毎にBHNのパワースペクトラ
ムのパワー値を測定し、次にそれらを合計してVpを求
めることもできる。さらにこの発明において前記Vとし
て前記Vpを用いる場合には、最大磁化電圧(Vm)と
の直線関係を利用して、両者の関係を数6で近似し、V
p=0VでのVp、即ち、Vpを代表量として用いる
ことが好ましい。
【0023】
【数6】 ここで、表1に示す0.4C−5Cr−Mo−V鋼を焼
入温度(T)を990、1050℃とし、焼入温度から
500℃までの焼入冷却時間すなわち半冷時間(Ht)
を3、45minとして熱処理した場合の各材料のVp
と最大磁化電圧(Vm)との関係をそれぞれ図1に示
す。
【0024】
【表1】
【0025】いずれのVpも、Vmの増加と共に急激に
増加し、最大値を示した後、直線的に緩やかに低下して
いることがわかる。このようにVpはVm依存性を有す
ることから、各種材料毎の測定値を相互比較する場合に
は、同一VmでのVpを用いて比較する必要がある。こ
の場合、図1に示されるようにVpがVmに直線時に依
存する関係を利用して、両者の関係を前記数6のように
一次式で近似し、Vm=0(V)でのVpを代表値(V
*)とすることができる。こうして求めたVp*は仮想
値ではあるが、複数のVpから決定されるパラメータで
あることから、単独のVmにおけるVpを用いるよりも
誤差が小さく、かつ、再現性の点で優れている。さらに
加えてこの発明によれば前記Vp* として数7により規
格化したdVp用いることができる。
【0026】
【数7】
【0027】このようにVpを規格化することによっ
て、測定装置の特性によりVpの測定値が異なって
も、材料特性を正確に評価することができる。なお、基
準材A、Bとしては、焼入温度、焼入冷却速度及び硬度
のいずれかが一つ以上異なる任意の材料を用いることが
でき、例えば基準材A、Bを次のように設定することが
できる。 A;T=1020℃,Ht=3min,H=HRC51.4材 B;T=1020℃,Ht=3min,H=HRC37.0材
【0028】一方前記の瞬間出力電圧の最大値(Vh)
は、例えば次のようにして求めることができる。すなわ
ち、まずBHNを繰り返し測定し、各サンプリング点に
おいて、サンプリングしたデータ(瞬間出力電圧)の中
からそれぞれ最大値を求め、次にこれら最大値を平滑化
処理して得られる曲線のピーク高さをVhとして用いる
ことができる。こうして求めたVhは、BHNを繰り返
し測定し、各測定毎の瞬間出力電圧の最大値を単純に平
均して求めた平均値をVhとするより再現性がよい。ま
た、この他に、BHNの瞬間出力電圧の振幅の最大値や
瞬間出力電圧の絶対値の最大値等をVhとして用いても
よい。
【0029】硬度の異なる材料のVhとVmとの関係を
図2に示す。いずれのVhもVmの増加と共に増加して
いる。このようにVhはVm依存性を有することから、
各種材料毎の測定値を相互比較する場合には、同一Vm
でのVhを用いて比較する必要がある。この場合、各V
h−Vm曲線はVh軸方向に平行移動すると重なること
から、基準材Cを定め、基準材CのVh−Vm曲線と各
材料IのVh−Vm曲線とが重なるまでに要するVh軸
方向の平行移動量(dVh)を(4)式の形で求める
ことができる。
【0030】
【数8】
【0031】こうして求めたVhは複数のVhから決定
されるパラメーターであることから、単独のVmにおけ
るVhを用いるよりも誤差が小さく、かつ、再現性の点
で優れている。さらに加えて、この発明によれば、もう
一つの基準材Dを定め、前記dVhを数9により規格
化したdVhとして用いることができる。
【0032】
【数9】
【0033】次に、表1に示す化学成分の0.4C−5
Cr−Mo−V鋼につき、T=990,1050℃から
焼入焼もどされた材料のChとdVp及びHの関係をシ
ャルピー試験により求めた結果を図3に示す。図3に示
されるように、ChはT=990、1050℃いずれの
場合も、定性的にはH及びdVpに依存しており、Hが
大きいほど、またdVpが大きいほどChは低下してい
る。このようなdVp−H−Chの関係は本発明者らが
既に報告している(「鉄と鋼」第75年(1989)第
5号 p.833−p.840)T=1020℃の場合
のこれら諸量の関係と定性的には同様である。しかし、
ChはdVp、Hに依存するのみならず、図4に示され
るようにTにも依存する。従って、T=1020℃以外
の場合のChを定量的に求めるためにはTを含めたCh
−dVp−H−Tの総合的かつ定量的関係を明らかにす
る必要がある。
【0034】そこでこの発明では表1に示す材料を用い
て焼入温度、焼入冷却速度及び焼もどし硬度の異なる種
々の試験片を準備し、前記dVpとChを測定し、dV
pとTと一定にしたときのCh−Tの関係に着目して、
実際の焼入温度範囲より広い範囲でのCh−dVp−H
−Tの総合的かつ定量的関係を検討した。その結果、こ
の発明によればCh−dVp−H−Tの関係をこれら諸
量の関数の形(Ch=f(dVp,H,T))で総合的
かつ定量的に表すことができることがわかった。このよ
うにこの発明によれば、靭性(Ch)をdVp−H−T
の関数の形で表すことにより、実際の焼入温度でのCh
−dVp−H−Tの関係式を個別に求めることなしに、
靭性(Ch)を非破壊評価できる。すなわち通常の焼入
温度から焼入焼もどした場合、焼入温度(T)と焼もど
し硬度(T)を測定し、前記バルクハウゼンパラメータ
ー(dVp)を求め、これら諸量をこの関数に代入する
ことによって、通常の焼入温度範囲において、材料の靭
性(Ch)を定量的かつ総合的に非破壊評価することが
できる。
【0035】
【実施例】次にこの発明の一実施例について説明する。1 供試材 供試材は、0.4C−5Cr−Mo−V鋼で、表1に
示される化学成分のものを用いた。この化学成分の0.
4C−5Cr−Mo−V鋼をアーク式電気炉で溶製し、
鍛錬成形比6以上に熱間成形した後、860℃で焼なま
し処理した。この試験片を、中心と隅角との中間位置か
ら、鍛伸方向に採取し、この発明の実施に供した。
【0036】2 試験片の形状と熱処理 BHN試験片とシャルピー試験片を次のように準備し
た。BHN試験片の寸法は3mm×24mm×62mm
で、熱処理後表面粗さを研磨紙320番で仕上げた。シ
ャルピー衝撃試験片は、2mm深さ、Uノッチ(R1m
m)を用いた。試験片の熱処理としては、実際に行われ
ている金型の熱処理温度を考慮しT=960、990、
1020、1050℃、1080℃に30min保持し
てオーステナイト化処理を行なった後、焼入温度から5
00℃までの冷却時間すなわち半冷時間(Ht)を3、
15、45、110の四段階に選びプログラムコントロ
ールによって等速冷却し、その後2回焼もどしを行なっ
た。
【0037】3 バルクハウゼンノイズ(BHN)測定
装置と磁化条件及び解析方法 次に本実施例におけるBHN測定装置と磁化条件およ
び解析方法につき説明する。図5にこの実施例に用いら
れたBHN測定装置の構成を概念的に示す。試験片1上
には、磁化コイルを巻回したMn−Znフェライトより
なる磁化コア2と、検出コイルを巻回したパーマロイ磁
気ヘッドよりなる検出コア3とにより構成される接触型
BHNセンサーが配置される。前記検出コア2に巻回さ
れた検出コイルは、増幅器4、フィルター(ハイパス、
ローパス)5を介してスペクトラムアナライザー6に接
続されている。
【0038】以上のBHN測定装置を用い表2に示す磁
化条件にて試験片を磁化し、生じた誘導起電圧を検出コ
ア3に巻回された検出コイルで検出後、増幅器4、フィ
ルター(ハイパス、ローパス)5を介してスペクトラム
アナライザー6で700〜10kHzの範囲のBHNを
解析した。
【0039】
【表2】
【0040】次に本実施例としてはVとしてVpを採用
した。まず、BHNの発生時間範囲(100〜200m
s)を、用いた装置で一度に測定できる時間長さ(40
ms)毎に分割して、それぞれの時間範囲毎にBHNの
パワースペクトラムのパワー値を測定し、それらを合計
してVpを求めた。次に、前記の式(2)を用いてVp
の規格値dVpを求めた。4.靭性(シャルピー衝撃値:Ch)の推定 次に、シャルピー試験を実施し、Ch−dVp−H−
Tの関係を求めた。この結果、これまでに明らかになっ
ていたT=1020℃の特別な場合のCh−dVp−H
の関係を数10に示すようにTを含む関数の形[Ch=
f(dVp,H,T)]で総合的かつ定量的に拡張して
表すことができた。
【0041】
【数10】
【0042】いろいろな熱処理を行った材料を用いて、
硬度試験よりHを求め、焼入温度(T)を炉内雰囲気温
度より求め、dVpをBHN法にて測定し、これら諸量
を式(6)に代入して求めた推定値(外1)と実際にシ
ャルピー試験で求めた実測値(Ch)を比較した結果を
図6に示す。
【0043】
【外1】
【0044】図6に示されるように推定値と実測値と
は、おおむね一致している。したがって、硬度(H)と
焼入温度(T)を測定するとともに、バルクハウゼンノ
イズパラメーター(dVp)をBHN法にて求め、これ
らの諸量を式(6)に代入することにより、本鋼の通常
焼入温度範囲(1015〜1035℃)において、Ch
を総合的かつ定量的に非破壊評価することができた。な
お、この実施例は室温でのシャルピー衝撃値(Ch)に
ついての結果であるが、室温以上550℃迄の場合でも
Ch−V−H−Tの関係式はこの実施例とは異なる形で
成立し、その場合でもこの発明により靭性を非破壊評価
することができる。
【0045】
【効果】以上のようにこの発明の靭性の非破壊評価方法
によれば、靭性(Ch)と焼入温度(T)、BHN
(V)及び硬度(H)との関係をCh=f(V,H,
T)という関数の形で総合的かつ定量的に表し、この関
係式にこれら諸量(V,H,T)を代入することにより
靭性を非破壊評価するようにしたので種々の焼入温度に
おけるV,Hと靭性(Ch)の関係を個別に調べる必要
がなく、工業的な適用が容易にできるという優れた効果
が奏される。特にこの発明によれば、実際に行われる金
型の焼入温度範囲で靭性を焼入温度の如何にかかわらず
正確に非破壊評価することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バルクハウゼンノイズの出力電圧の二乗和
(Vp)の最大磁化電圧(Vm)に対する依存関係を示
す図である。
【図2】 バルクハウゼンノイズの瞬間出力電圧の最大
値(Vh)の最大磁化電圧(Vm)に対する依存関係を
示す図である。
【図3】 シャルピー衝撃値(Ch)のバルクハウゼン
ノイズパラメーター(dVp)に対する依存関係を示す
図である。
【図4】 シャルピー衝撃値(Ch)の焼入温度(T)
に対する依存関係を示す図である。
【図5】 この発明の一実施例に用いられたバルクハウ
ゼンノイズ測定装置の構成を示す概略図である。
【図6】 この発明を実施して得られた靭性値の非破壊
評価式に、BHNパラメーター(dVp)、焼入温度
(T)及び硬度(H)を代入して求めた推定値(外2)
と実験により求めた実測値(Ch)とを比較した結果を
示す図である。
【外2】
【符合の説明】 1 試験片 2 磁化コイルを巻回した磁化コア 3 検出コイルを巻回した検出コア 4 増幅器 5 フィルター 6 スペクトラムアナライザー

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バルクハウゼンノイズ(以下、BHNと
    記す)(V)と焼もどし硬度(H)及び焼入温度(T)
    をパラメーターとし、これら諸量の関数〔Ch=f
    (V、H、T)〕として、材料の靭性(Ch)を推定す
    ることを特徴とする靭性の非破壊評価方法。
  2. 【請求項2】 前記BHN(V)として、磁化過程で発
    生する全BHNの出力電圧の二乗和(Vp)を用いる請
    求項1に記載した靭性の非破壊評価方法。
  3. 【請求項3】 前記BHN(V)として、BHNの瞬間
    出力電圧の最大値(Vh)を用いる請求項1に記載した
    靭性の非破壊評価方法。
  4. 【請求項4】 前記Vpの代表量として、Vpと最大磁
    化電圧(Vm)との直線関係を利用して、両者の関係を
    数1で近似し、Vp=0VでのVp、即ち、Vpを用
    いることを特徴とする請求項2に記載した靭性の非破壊
    評価方法。 【数1】
  5. 【請求項5】 前記Vp* として数2により規格化した
    dVp用いることを特徴とする請求項4に記載した靭
    性の非破壊評価方法。 【数2】 dVp={(Vp*−(Vp*/(Vp*−(Vp*} ここで (Vp*:基準材AのVp* (Vp*:基準材BのVp* (Vp*:各材料IのVp* なお、基準材A、B:焼入温度、焼入冷却速度及び硬度
    のいずれか一つ以上異なる任意の材料
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