JP3149224B2 - バルクハウゼンノイズを用いた焼入冷却速度の非破壊推定方法 - Google Patents

バルクハウゼンノイズを用いた焼入冷却速度の非破壊推定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金型やシャフト等の
材料の非破壊検査法に関するものであり、特にそれらの
材料の焼入冷却速度をBHNと焼もどし硬度及び焼入温
度に基づき推定する非破壊推定法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、金型やシャフト等の製品の形状は
大型化するとともに、使用環境は多様で苛酷化してきて
おり、このような状況に対処していくために、製品性能
は焼入焼もどしに大きく影響されることから、熱処理後
の製品の品質保証(硬度と靭性)の重要性が改めて見直
されてきている。
【0003】例えば、金属材料等を熱間加工するときに
用いられるいわゆる熱間金型においては、耐摩耗性を向
上する材料特性である硬度と、割れ防止に寄与する特性
である靭性とを正確に非破壊評価することができれば、
金型の使用条件に応じてこれらの相反する特性を最適な
組み合わせで確保することが可能となり、金型の品質保
証及び高寿命化を前進させることができる。しかし、現
在、硬度は測定されているものの、靭性については非破
壊評価する方法がなく、そのために金型の大型化に伴う
焼入冷却速度の低下によって生じた靭性不足を正確に把
握できず、ときとして使用初期に大きな割れを引き起こ
し問題となっている。
【0004】材料の靭性と熱処理に関する従来の研究に
よれば、靭性(Ch)は焼もどし硬度(H)と焼入冷却
速度(CR)及び焼入温度(T)に影響されることが定
性的に知られている。したがって、硬度と焼入温度を測
定するとともに、焼入冷却速度を非破壊的に推定するこ
とができれば、焼もどし後の材料の靭性を非破壊評価す
ることが可能になると思われる。現在これらの諸量のう
ち硬度(H)は従来法によって、また、焼入温度(T)
は炉内雰囲気温度から知ることができる。しかし、焼入
冷却速度については従来正確な測定法は報告されていな
い。従って、焼もどし後の材料の靭性を非破壊評価する
ためには、焼入冷却速度(CR)を定量的かつ非破壊的
に推定できる方法を開発する必要がある。以上の観点か
ら、本発明の発明者等は、焼もどし後の材料の組織が焼
入冷却速度に応じて変化することに着目し、この組織変
化を敏感に検出でき、かつ、非破壊的な方法であるバル
クハウゼンノイズ(BHN)法を用いて、0.4C−5
Cr−Mo−V熱間工具鋼の標準焼入湿度(1020
℃)からの焼入焼もどし材における、BHN(磁化過程
で発生する全BHNの出力電圧の二乗和の規格値(dV
p))と硬度(H)及び焼入冷却速度(焼入温度から5
00℃までの冷却時間(半冷時間(Ht))の関係を調
べ、これらの関係式(Ht=f(dVp、H))より焼
入冷却速度(Ht)を非破壊的に推定する方法を報告し
ている(「鉄と鋼」 第75年 第5号 1989 p
833−p840)。この報告によれば、Htは数3の
様な形で表わされる。
【0005】
【数3】 したがって、dVpをBHN法にて求めるとともに、H
を硬度試験にて求めることにより、焼入冷却速度として
のHtを推定することができる。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】以上の本発明者らの報
告は、焼入湿度(T)を標準温度1020℃に設定した
場合の結果である。しかし、実際の金型の焼入温度は、
通常、靭性を優先する場合は1020℃より低め(10
15℃程度まで)に、又、強度を優先する場合は102
0℃より高め(1035℃程度まで)に設定される。設
定焼入温度が異なるとHt、Hが同じでもミクロ組織は
異なり、ミクロ組織が変化するとBHNは変化すること
から、焼入温度が異なった場合、dVpは異なることと
なる。したがって、前述の本発明者らの報告で求めたT
=1020℃の場合のHt−H−dVpの関係式で、焼
入温度が1020℃と異なる場合のHtを正確に推定す
ることはできず、Htを正確に推定するためには、種々
の焼入温度におけるVp−H−Htの関係をその都度個
別に調べる必要がある。
【0007】しかし、そのように種々の焼入温度におけ
るdVp−H−Htの関係を個別に調べることは大変に
煩雑であり、実際的ではない。したがって、この発明の
目的は金型やシャフト等の実際に行われる焼入温度範囲
で焼入冷却速度を正確に推定できるBHN法を用いた非
破壊推定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、まず、本発明者は焼入温度が実用範囲でのdV
p、Ht、Hの関係を明らかにすべく、実用焼入温度よ
り広い範囲におけるこれら諸量の関係を調べ、次に、こ
の範囲において、HtをVp,H,Tの関数の形[Ht
=f(dVp.H,T)]で定量的かつ総合的に表わす
ことによりHtを推定する方法を検討した。その結果、
実用焼入温度範囲において、焼入温度を測定しBHN法
と硬度試験を併用することにより、Htを定量的かつ総
合的に推定できることを知見し、本発明をなすにいたっ
た。
【0009】すなわちこの発明によれば、BHN(V)
と硬度(H)及び焼入温度(T)をパラメーターとし
て、これらの関数[CR=f(V、H、T)]として材
料の焼入冷却速度(CR)を推定する焼入冷却速度の非
破壊推定方法が提供される。またこの発明によれば、前
記BHN(V)として、磁化過程で発生する全BHNの
出力電圧の二乗和(Vp)を用いる焼入冷却速度の非破
壊推定方法が提供される。さらにこの発明によれば、前
記BHN(V)として、BHNの瞬間出力電圧の最大値
(Vh)を用いる焼入冷却速度の非破壊推定方法が提供
される。加えてこの発明によれば前記Vpの代表量とし
て、Vpと最大磁化電圧(Vm)との直線関係を利用し
て、両者の関係を数4で近似し、Vp=0VでのVp、
即ち、Vpを用いる焼入冷却速度の非破壊推定方法が
提供される。
【0010】
【数4】Vp=Vp*+b・Vm またさらにこの発明によれば前記Vp* として数5によ
り規格化したdVp用いる焼入冷却速度の非破壊推定
方法が提供される。
【0011】
【数5】 なお、基準材A、B:焼入温度、焼入冷却速度及び硬度
のいずれかが一つ以上異なる任意の材料。
【0012】
【作用】つぎにこの発明の内容をその作用とともに更に
詳細に説明する。この発明が適用される材料としては、
SKD5,SKD6,SKD61,SKD62,SKD
7,SKD8等があり、焼入冷却速度による熱処理組織
の変化がBHNに影響を及ぼす材料が対象となる。また
この発明が適用される場合の焼入温度(T)は特に限定
されるものではなく、材料のオーステナイト化状態を評
価することを目的として、例えば炉内雰囲気温度を熱電
対で測定する等の手段により測定される。しかし、さら
に正確にオーステナイト化状態を把握するためには焼入
温度のみならず保持時間も含めた焼入パラメーターを用
いるのが好ましい。加えてこの発明を適用するにあたっ
ての硬度の測定方法は特に限定されるものではなく、
「ブリネル硬さ」、「ビッカース硬さ」、「ヌープ硬
さ」、「ロックエル硬さ」、「ショア硬さ」、「エコー
チップ硬さ」等種々の硬さパラメーターを用いることが
できる。また対象材料の硬さは特に限定されるものでは
なく、例えば熱間金型の場合は、ロックエル硬さでHR
C43からHRC51程度となるが、冷間金型やハイス
の場合はHRC70程度となる場合もあり、一方、ロー
ター材等ではHRC43より低くなる場合もあり、いず
れにしてもそれら全ての場合にこの発明を適用すること
ができる。
【0013】この発明に用いられるCRとV、H、Tと
の関係式CR=f(V、H、T)は、この発明が適用さ
れて材料の焼入冷却速度が非破壊推定される材料毎に決
定される。加えて、この発明における焼入冷却速度CR
としては、各種のパラメーターを選択することができる
が、例えば焼入温度から500℃までの冷却時間すなわ
ち半冷時間(Ht)を用いることができる。またその他
には、焼入温度から300℃までの冷却時間等を用いる
ことができる。ここでこの発明に用いられるBHN
(V)の特定方法は特に限られるものではないが、例え
ば磁化過程で発生するBHNの全出力電圧を基礎とする
パラメーター(全BHN出力電圧の二乗和(Vp)やB
HN出力電圧の平均出力電圧である実効値(RMS)
等)や、BHNの瞬間出力電圧を基礎とするパラメータ
ー(瞬間出力電圧の最大値(Vh)等)及びBHNを周
波数解析して得られるパラメーター(スペクトラム)等
を用いることができる。なお、BHNは磁化過程のある
時間範囲(Δt)に集中して発生し、この発生範囲(Δ
t)は、材料の化学成分が同じであっても磁化条件や熱
処理後の材質(硬度等)に依存して変化する。従って、
ΔtでのBHN平均出力電圧であるRMSを求めるため
には、予め、Δtを定めておく必要がある。しかも、R
MSはΔtの定め方に依存する。一方、前記Vpは磁化
過程での全BHN出力電圧の二乗和であることからΔt
を予め定める必要がなく、しかも、Δtに依存しない。
従って、この発明において材料の焼入冷却速度を推定す
るBHNパラメーターとしては、異なる磁化条件や異な
る材質において求めた測定値を相互比較する上で有利な
Vpを用いるのが好ましい。また、Vpを求めるにあた
ってΔtが長すぎて一度に全BHNを測定できない場合
には、Δtをある時間長さに分割して、それぞれの時間
範囲毎にBHN出力電圧の二乗和を求め、次にそれらを
合計することによってVpを求めることができる。この
時、Δtを分割したそれぞれの時間範囲毎にBHNのパ
ワースペクトラムのパワー値を測定し、次にそれらを合
計してVpを求めることもできる。さらにこの発明にお
いて前記Vとして前記Vpを用いる場合には、最大磁化
電圧(Vm)との直線関係を利用して、両者の関係を数
6で近似し、Vp=0VでのVp、即ち、Vpを代表
量として用いることが好ましい。
【0014】
【数6】
【0015】ここで、表1に示す0.4C−5Cr−M
o−V鋼を焼入温度(T)を990、1050℃とし、
焼入温度から500℃までの焼入冷却時間すなわち半冷
時間(Ht)を3、45minとして熱処理した場合の
各材料のVpと最大磁化電圧(Vm)との関係をそれぞ
れ図1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】いずれのVpも、Vmの増加と共に急激に
増加し、最大値を示した後、直線的に緩やかに低下して
いることがわかる。このようにVpはVm依存性を有す
ることから、各種材料毎の測定値を相互比較する場合に
は、同一VmでのVpを用いて比較する必要がある。こ
の場合、図1に示されるようにVpがVmに直線的に依
存する関係を利用して、両者の関係を数1のように一次
式で近似し、Vm=0(V)でのVpを代表値(V
)とすることができる。こうして求めたVpは仮
想値ではあるが、複数のVpから決定されるパラメータ
ーであることから、単独のVmにおけるVpを用いるよ
りも誤差が小さく、かつ、再現性の点で優れている。
【0018】さらに加えてこの発明によれば前記Vp*
として数7により規格化したdVp用いることができ
る。
【0019】
【数7】
【0020】このようにVpを規格化することによっ
て、測定装置の特性によりVpの測定値が異なって
も、材料特性を正確に評価することができる。なお、基
準材A、Bとしては、焼入温度、焼入冷却速度及び硬度
のいずれかが一つ以上異なる任意の材料を用いることが
でき、例えば基準材A、Bを次のように設定することが
できる。 A;T=1020℃,Ht=3min,H=HRC51.4材 B;T=1020℃,Ht=3min,H=HRC3730材
【0021】一方前記の瞬間出力電圧の最大値(Vh)
は、例えば次のようにして求めることができる。すなわ
ち、まずBHNを繰り返し測定し、各サンプリング点に
おいて、サンプリングしたデータ(瞬間出力電圧)の中
からそれぞれ最大値を求め、次にこれら最大値を平滑化
処理して得られる曲線のピーク高さをVhとして用いる
ことができる。こうして求めたVhは、BHNを繰り返
し測定し、各測定毎の瞬間出力電圧の最大値を単純に平
均して求めた平均値をVhとするより再現性がよい。ま
た、この他に、BHNの瞬間出力電圧の振幅の最大値や
瞬間出力電圧の絶対値の最大値等をVhとして用いても
よい。
【0022】硬度の異なる材料のVhとVmとの関係を
図2に示す。いずれのVhもVmの増加と共に増加して
いる。このようにVhはVm依存性を有することから、
各種材料毎の測定値を相互比較する場合には、同一Vm
でのVhを用いて比較する必要がある。この場合、各V
h−Vm曲線はVh軸方向に平行移動すると重なること
から、基準材Cを定め、基準材CのVh−Vm曲線と各
材料IのVh−Vm曲線とが重なるまでに要するVh軸
方向の平行移動量(dVh)を数8の形で求めること
ができる。
【0023】
【数8】
【0024】こうして求めたVhは複数のVhから決定
されるパラメーターであることから、単独のVmにおけ
るVhを用いるよりも誤差が小さく、かつ、再現性の点
で優れている。さらに加えて、この発明によれば、もう
一つの基準材Dを定め、前記dVhを数9により規格
化したdVhとして用いることができる。
【0025】
【数9】
【0026】表1に示す化学成分の0.4C−5Cr−
Mo−V鋼につき、990、1050℃から焼入れ、硬
度HRC43,47,51に焼もどされた材料のdVp
とHtの関係を図3、図4に示す。図3、図4に示され
るように、dVpはT=990,1050℃何れの場合
も、定性的にはH及びHtに依存しており、いずれのH
においてもHtの増加とともにdVpは増加している。
またいずれのHtにおいてもHの増加とともにdVpは
減少している。このようなHt−dVp−Hの関係は本
発明者らが既に報告している(「鉄と鋼」第75年(1
989)第5号p.833−p.840)T=1020
℃の場合のこれら諸量の関係と定性的には同様である。
しかし、図5に示されるようにdVpはTにも依存して
おり、Ht−dVp−Hの定量的な関係はTが異なると
異なる。従って、T=1020℃以外の場合のHtを定
量的に求めるためにはTを含むHt−dVp−H−Tの
総合的かつ定量的な関係を明らかにする必要がある。
【0027】そこで、この発明では表1に示す材料を用
いて焼入温度、焼入冷却速度及び焼もどし硬度の異なる
種々の試験片を準備し、BHN法にて前記dVpを測定
し、T,Htを一定にしたときのdVp−Hの関係、
T,Hを一定にしたときのdVp−Htの関係および
H,Htを一定としたときのdVp−Tの関係に着目し
て、実際の焼入温度範囲より広い範囲でのHt−dVp
−H−Tの総合的かつ定量的な関係を検討した。その結
果、実際の焼入温度範囲より広い範囲でのHt−dVp
−HTの総合的かつ定量的関係をこれら諸量の関数の形
[Ht=(dVp、H、T)]で表せることがわかっ
た。このようにこの発明によれば焼入冷却速度(CR)
をT,H,dVpの関数の形で表すことにより実際の焼
入温度範囲の任意の一定温度におけるCR−dVp−H
−Tの関係式を個別に求めることなしに、焼入冷却速度
(CR)を推定できる。
【0028】
【実施例】次にこの発明の一実施例について説明する。1 供試材 供試材は、0.4C−5Cr−Mo−V鋼で、表1に
示される化学成分のものを用いた。この化学成分の0.
4C−5Cr−Mo−V鋼をアーク式電気炉で溶製し、
鍛錬成形比6以上に熱間成形した後、860℃で焼なま
し処理した。この試験片を、中心と隅角との中間位置か
ら、鍛伸方向に採取し、この発明の実施に供した。
【0029】2 試験片の形状と熱処理 BHN試験片を次のように準備した。寸法は3mm×
24mm×62mmで、熱処理後表面粗さを研磨紙32
0番で仕上げた。試験片の熱処理としては、実際に行わ
れている金型の熱処理温度を考慮しT=960、99
0、1020、1050、1080℃に30min保持
してオーステナイト化処理を行なった。また焼入冷却速
度のパラメーターとしては500℃までの冷却時間、す
なわち半冷時間Htを選択し、Htを、Ht=3、1
5、45、110の四段階に選びプログラムコントロー
ルによって等速冷却し、その後2回焼もどしを行なっ
た。
【0030】3 バルクハウゼンノイズ(BHN)測定
装置と磁化条件及び解析方法 次に本実施例におけるBHN測定装置と磁化条件およ
び解析方法につき説明する。図6にこの実施例に用いら
れたBHN測定装置の構成を概念的に示す。試験片1上
には、磁化コイルを巻回したMn−Znフェライトより
なる磁化コア2と、検出コイルを巻回したパーマロイ磁
気ヘッドよりなる検出コア3とにより構成される接触型
BHNセンサーが配置される。前記検出コア2に巻回さ
れた検出コイルは、増幅器4、フィルター(ハイパス、
ローパス)5を介してスペクトラムアナライザー6に接
続されている。
【0031】以上のBHN測定装置を用い表2に示す磁
化条件にて試験片を磁化し、生じた誘導起電圧を検出コ
ア3に巻回された検出コイルで検出後、増幅器4、フィ
ルター(ハイパス、ローパス)5を介してスペクトラム
アナライザー6で700〜10kHzの範囲のBHNを
解析した。
【0032】
【表2】(磁化条件)
【0033】次に本実施例としてはVとしてVpを採用
した。まず、BHNの発生時間範囲(100〜200m
s)を、用いた装置で一度に測定できる時間長さ(40
ms)毎に分割して、それぞれの時間範囲毎にBHNの
パワースペクトラムのパワー値を測定し、それらを合計
してVpを求めた。次に、前記数1を用いてVpの代表
値(Vp)を求め、Vpの測定装置依存性を除去す
るために前記数2により規格化し、規格値(dVP)を
Htを推定するBHNパラメーターとした。なお、数2
での基準材A、Bとして下記A,Bに示すものを用い
た。 A:T=1020℃、HT=3min、H=HRC51.4材 B:T=1020℃、HT=3min、H=HRC37.0材
【0034】4.焼入冷却速度(半冷時間:Ht)の推
つぎに以上により求めたHt、dVp、H、Tから、
Ht−dVp−H−Tの関係を求めた。この結果、これ
までに明らかになっていたT=1020℃の特別な場合
のHt−dVp−Hの関係を数11に示すようにTを含
む関数の形[Ht=f(dVp,H,T)]で総合的か
つ定量的に拡張して表すことができた。
【0035】
【数11】
【0036】いろいろな熱処理を行った材料を用いて、
硬度試験よりHを求め、焼入温度(T)を炉内雰囲気温
度より求め、dVpをBHN法にて測定し、これら諸量
を数11に代入することにより推定した値(推定値H
t)と実際に実験で熱処理した材料の値(実験値Ht)
とを比較した結果を図7に示す。図7に示されるように
推定値と実験値は一致している。従って、硬度(H)と
焼入温度(T)を測定するとともに、バルクハウゼンノ
イズパラメーター(dVp)をBHN法にて求め、これ
ら諸量を数11に代入することにより、本鋼の通常の焼
入温度範囲(1015〜1035℃)において、Htを
総合的かつ定量的に非破壊推定することができた。な
お、この実施例は室温でのHtについての結果である
が、室温以上550℃迄の場合でもHt−V−H−Tの
関係式はこの実施例とは異なる形で成立し、その場合で
もこの発明により焼入冷却速度を非破壊的に推定するこ
とができる。
【0037】
【効果】以上のようにこの発明のバルクハウゼンノイズ
を用いた焼入冷却速度の非破壊推定方法によれば、冷却
速度(CR)と焼入温度(T)、BHN(V)及び硬度
(H)との関係をCR=f(V,H,T)という関数の
形で総合的かつ定量的に表し、この関係式にこれら諸量
(V,H,T)を代入することにより焼入冷却速度を非
破壊的に推定するようにしたので種々の焼入温度におけ
るV,Hと焼入冷却速度(CR)の関係を個別に調べる
必要がなく、工業的な適用が容易にできるという優れた
効果が奏される。特にこの発明によれば、実際に行われ
る金型の焼入温度範囲で焼入冷却速度を焼入温度の如何
にかかわらず正確にかつ非破壊的に推定することができ
るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全バルクハウゼンノイズの出力電圧の二乗和
(Vp)の最大磁化電圧(Vm)に対する依存関係を示
す図である。
【図2】 バルクハウゼンノイズの瞬間出力電圧の最大
値(Vh)の最大磁化電圧(Vm)に対する依存関係を
示す図である。
【図3】 焼入温度T=990℃におけるバルクハウゼ
ンノイズパラメーター(dVp)の半冷時間(Ht)に
対する依存関係を示す図である。
【図4】 焼入温度T=1050℃におけるバルクハウ
ゼンノイズパラメーター(dVp)の半冷時間(Ht)
に対する依存関係を示す図である。
【図5】 バルクハウゼンノイズパラメーター(dV
p)の焼入温度(T)に対する依存関係を示す図であ
る。
【図6】 この発明の一実施例に用いられたバルクハウ
ゼンノイズ測定装置の構成を示す概略図である。
【図7】 この発明を実施して得られた焼入冷却速度
(Ht)の推定式に、BHNパラメーター(dVp)、
焼入温度(T)、硬度(H)を代入し求めた推定値(H
t)と実験値(外1)とを比較した結果を示す図であ
る。
【外1】
【符合の説明】
1 試験片 2 磁化コイルを巻回した磁化コア 3 検出コイルを巻回した検出コア 4 増幅器 5 フィルター 6 スペクトラムアナライザー

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バルクハウゼンノイズ(以下、BHNと
    記す)(V)と焼もどし硬度(H)及び焼入温度(T)
    をパラメーターとして、これら諸量の関数(CR=f
    (V、H、T))により材料の焼入冷却速度(CR)を
    推定することを特徴とするバルクハウゼンノイズを用い
    た焼入冷却速度の非破壊推定方法。
  2. 【請求項2】 前記BHN(V)として、磁化過程で発
    生する全BHNの出力電圧の二乗和(Vp)を用いる請
    求項1に記載した焼入冷却速度の非破壊推定方法。
  3. 【請求項3】 前記BHN(V)として、BHNの瞬間
    出力電圧の最大値(Vh)を用いる請求項1に記載した
    焼入冷却速度の非破壊推定方法。
  4. 【請求項4】 前記Vpの代表量として、Vpと最大磁
    化電圧(Vm)との直線関係を利用して、両者の関係を
    数1で近似し、Vp=0VでのVp、即ち、pを用い
    ることを特徴とする請求項2に記載した焼入冷却速度の
    非破壊推定方法。 【数1】
  5. 【請求項5】 前記Vp* として数2により規格化した
    dVp用いることを特徴とする請求項4に記載した焼
    入冷却速度の非破壊推定方法。 【数2】 dVp={(Vp*−(Vp*/(Vp*−(Vp*} ここで (Vp*:基準材AのVp* (Vp*:基準材BのVp* (Vp*:各材料IのVp* なお、基準材A、B:焼入温度、焼入冷却速度及び硬度
    のいずれか一つ以上異なる任意の材料
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